説明

階段の踏み板

【課題】コストを低く抑えることができ、かつ、踏み外し事故も防げる階段の踏み板を提供すること。
【解決手段】表面の前側の側端部18に沿って目印の溝19が形成された踏み板本体10と、この踏み板本体10の表面を覆いかつその一側端面(15a,15b)が溝19の上側の角(19a,19b)に合致する化粧シート15とを備え、下端部21が踏み板本体10の溝19に嵌まり込み上端部22に化粧シート15の側端面(15a,15b)を上から覆って押圧可能な鍔部(23,23)を有する押さえ部材20を設けた構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、階段に踏み板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅の階段の踏み板には、踏み板本体が木質製のものが使用されている。しかし、最近、汚れなどを防ぐために踏み板本体の表面を化粧シートで覆った踏み板も普及している。(特許文献1を参照)。
【0003】
ここで、階段は、多数の踏み板からなっているが、踏み板本体の表面が化粧シートで覆われた踏み板を使用した場合、各踏み板の表面の化粧シートは色も模様も略同様であることが多く、人が階段を上がり下がりする場合に各踏み板の境目がわからないで、踏み誤ることがある。特に、視力が弱くなった高齢者は階段で踏み板を踏み外して怪我をすることがある。
【0004】
踏み外し事故を防ぐ等のために、階段の各踏み板の長手方法中央部に目印を設けた踏み板が開発されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特許2003-119984号公報
【特許文献2】特開2001−336262号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、本発明者は、各踏み板の中央部だけに目印を設けるのは不十分だと考えて、長さが各踏み板の長手方向の全長にわたる目印を設けることを試みた。そして、目印として、簡単な構造で目印としても十分に役立つように、各踏み板本体の表面の前側の側端部に沿って溝を形成してみた。しかし、踏み板の表面を化粧シートで覆うと、溝も隠れてしまい、溝が目印としての役目を果たさなくなった。そこで、溝が隠れないように、化粧シートを踏み板本体に貼り付けた後に、カッタなどで化粧シートごと踏み板本体を削って溝を形成したり、化粧シートをその一側端面が踏み板に予め形成された溝の上側の角に合致するように当該シートを張ってみた。こうすることにより、踏み板本体の溝も隠れなくなり、各踏み板の境目もはっきりとわかるようになり、踏み外し事故も防げるかに思えた。
【0006】
ここで、踏み板本体に化粧シートを貼った後は、そのままの状態で塗装もしないて実験を続けて行った。しかし、踏み板の化粧シートが、溝の上部の角に合致する側端面から剥がれてしまうという事態が起こった。かかる事態が起こると、見栄えも悪くなるし、剥がれた部分が障害物となって、階段を使う人の足にひっかかって危険である。このような事態が起こらないように、化粧シートを踏み板に貼り付けた後に、当該シートの上から塗装してみた。これにより、塗料が接着剤の役目を果たし、化粧シートが剥がれる事態は生じなくなったが、塗装作業は面倒で手間もかかりコストも嵩むことになった。
【0007】
本発明の目的は、コストを低く抑えることができ、かつ、踏み外し事故も防げる階段の踏み板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、表面の前側の側端部に沿って目印の溝が形成された踏み板本体と、この踏み板本体の表面を覆いかつその一側端面が前記溝の上側の角に合致する化粧シートとを備え、下端部が前記踏み板本体の溝に嵌まり込み上端部に前記化粧シートの側端面を上から覆って押圧可能な鍔部を有する押さえ部材を設けたことを特徴とする構成である。
【0009】
上記本発明の場合、踏み板本体に化粧ジートを貼り付けた後は塗装しないので、塗装しない分コストも低く抑えることができる。そして、押さえ部材によって化粧シートの剥がれもなくなった。
【発明の効果】
【0010】
本発明によればコストも低く抑えることができ、押さえ部材によって化粧シートの剥がれもなくなった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
【0012】
本発明に係る階段の踏み板は、図1〜図4にしめすように、表面の前側の側端部18に沿って目印の溝19が形成された踏み板本体10と、この踏み板本体10の表面を覆いかつその一側端面(15a,15b)が溝19の上側の角(19a,19b)に合致する化粧シート15とを備え、下端部21が踏み板本体10の溝19に嵌まり込み上端部22に化粧シート15の側端面(15a,15b)を上から覆って押圧可能な鍔部(23,23)を有する押さえ部材20を設けた構成とされている。
【0013】
この実施形態では、踏み板本体10は、合板11とMDF(12,12)とから形成されている。化粧シート15は、シート状のオレフィン材(厚さは0.16mm)から形成されている。この実施形態では、化粧シート15は、図5に示すように、踏み板本体10の表面に貼り付けられた後に、図6に示すようにカッタ50で当該シート15ごと当該踏み板本体10の表面が所定深さに削られる。この化粧シート15は、図3に示す短辺方法長さは、踏み板本体10の短辺方法長さと同じに形成されている。しかし、図7に示すように、その短辺方法長さを踏み板本体10の短辺方法長さと所定長さだけ長く取り、その端部(15a,15b)が踏み板本体10の裏面側に達するようにしてもよい(このような、作業をラッピングという)。このラッピングをすることにより、踏み板本体10の前側端面が化粧シート15で隠れることになり、見栄えも一層良くなる。また、階段を使用する人の足が引っかかることも完全に解消される。また、化粧シート15も端から剥がれるようなことも完全になくなる。なお、この際、化粧シート(15)を踏み板本体10に貼り付けた後に、当該シート(15)をその一側端面が踏み板本体10に予め形成された溝(19)の上側の角(19a,19b)に合うように当該シート(15)を張ってもよい。
【0014】
また、押さえ部材20は、軟質系樹脂から形成されており、その下端部21には当該部材20が外に抜け出すのを完全に防ぐための返し部(25,26)が形成されている。この押さえ部材20が上記した溝19の代わりに目印としての役目を果たす。この押さえ部材20は、化粧シート15の一側端(15a,15b)を上から押圧して当該側端(15a,15b)が剥がれるのを阻止する。この実施例では、その長手方向長さL1(図1中では紙面と直角方向、図2(A)では左右方向)は、図4に示す踏み板本体10の長手方向長さL0相当とされている。押さえ部材20は、化粧シート15と色相または明暗を違えたほうが目印として特に役立つ。
【0015】
本踏み板は、上記した構成であるから、踏み板本体10に化粧ジート15を貼り付けた後は塗装しないので、塗装しない分コストも低く抑えることができる。そして、押さえ部材20に簡単な構成である、これによって化粧シート15の剥がれもなくなった。また、押さえ部材20が踏み板本体10の溝19の目印としての役目を更に補強するので、当本踏み板を使用することにより、各踏み板の境目も一層名作になり踏み外し事故を有効に防止できる。また、押さえ部材20は、軟質系樹脂で形成されており、滑り止めの効果も期待される。これにより、一段と、各踏み板の踏み外し事故も完全に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る階段の踏み板の要部である箇所を示す図である。
【図2】押さえ部材を示す図である。
【図3】本発明に係る踏み板の短辺側の側面面である。
【図4】本発明に係る踏み板の長手方向の側面面である。
【図5】化粧シート貼り作業を示す図である。
【図6】踏み板本体の溝を形成する作業を示す図である。
【図7】化粧シートのラッピング作業を示す図である。
【図8】化粧シートをラッピングして作られた踏み板を示す図である。
【符号の説明】
【0017】
10 踏み板本体
15 化粧シート
20 押さえ部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面の前側の側端部に沿って目印の溝が形成された踏み板本体と、この踏み板本体の表面を覆いかつその一側端面が前記溝の上側の角に合致する化粧シートとを備え、
下端部が前記踏み板本体の溝に嵌まり込み上端部に前記化粧シートの側端面を上から覆って押圧可能な鍔部を有する押さえ部材を設けたことを特徴とする階段の踏み板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−118280(P2006−118280A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−308933(P2004−308933)
【出願日】平成16年10月22日(2004.10.22)
【出願人】(594155872)株式会社オリエント (7)