説明

階段用滑り止め、および階段用滑り止め用の蓄光ユニット

【課題】製造効率を高めることができる階段用滑り止めの提供を目的とする。また、階段用滑り止めの製造効率を高めることができる階段用滑り止め用の蓄光ユニットの提供を目的とする。
【解決手段】滑り止め部材1が固定される硬質の基台2と、
基材3上に蓄光層4を有して帯状に形成され、基台2上に固定される蓄光ユニット5とを有して階段用滑り止めを構成する。
また、硬質の基材3上に蓄光層4を有して帯状に形成され、階段用滑り止めAの基台2に着脱可能に固定して階段用滑り止め用の蓄光ユニットを構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は階段用滑り止め、および階段用滑り止め用の蓄光ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
蓄光部分を有する階段用滑り止めとして、従来、特許文献1に記載のものが知られている。この従来例において階段用滑り止めは、4つのリセス(帯状の凹み)を備えた金属の細長い基板を用意しておき、そのうちの1つの帯状の凹みに摩擦増強材料と混合された樹脂を含む粉末成分を、残り3つの帯状の凹みにフォトルミネッセント顔料と混合された樹脂を含む粉末成分をそれぞれ充填し、次いで、加熱して各粉末成分を溶融させ、この後、溶融したものを帯状の凹みの各々の中で層を形成するようにして硬化、付着させて製造される。
【0003】
これにより階段用滑り止めにはフォトルミネッセントストリップの3つと、滑り止めストリップの1つが形成される。また、上述した帯状の凹みの各々の幅寸法に応じて、3つのフォトルミネッセントストリップはそれぞれが同じ幅寸法であってより狭い幅に、1つの滑り止めストリップはより広い幅に形成される。さらに、フォトルミネッセントストリップと滑り止めストリップとの間には、例えば一方の帯状の凹みから粉末成分がこぼれてしまったときに、他方の帯状の凹みの中に流れ込むことを防止するための溝が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2007-509742号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来例は製造効率が悪くなりやすいという欠点を有する。
【0006】
すなわち、従来例は、異なる粉末成分同士、あるいはこれらが溶融したもの同士が誤って混合してしまうおそれのあるような状況で製造されるため、上述のように溝を設けるなど製造上においてこのような混合を防止しなければならなかったり、成分や分量が異なる粉末成分のいずれをも単一の基板上で適切に溶融等をさせなければならないなど、その製造管理が難しくなりやすい。
【0007】
本発明は以上の欠点を解消すべくなされたものであって、製造効率を高めることができる階段用滑り止めの提供を目的とする。また、本発明の他の目的は、階段用滑り止めの製造効率を高めることができる階段用滑り止め用の蓄光ユニットの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば上記目的は、
滑り止め部材1が固定される硬質の基台2と、
基材3上に蓄光層4を有して帯状に形成され、基台2上に固定される蓄光ユニット5とを有する階段用滑り止めを提供することにより達成される。
【0009】
本発明によれば階段用滑り止めは、蓄光部分をユニット化した蓄光ユニット5を有し、該蓄光ユニット5を基台2上に固定することにより蓄光機能を備えるようにされる。上記基台2には、以上の蓄光ユニット5とは別にして滑り止め部材1が固定されており、蓄光ユニット5と滑り止め部材1を基台2に対して個別に固定することができる。
【0010】
また、蓄光ユニット5は、蓄光層4を基材3上に有する構造にされ、このように基材3を備えることにより、基台2や滑り止め部材1とは別個に製造することも、取り扱うことも容易にされる。
【0011】
したがって本発明によれば、蓄光ユニット5を基台2や滑り止め部材1とは別個に製造し、また、基台2に対して滑り止め部材1とは別個に固定することができるために、製造上の自由度を向上させることができ、製造効率を容易に高めることができる。
【0012】
上記基台2は、上述した従来例のように帯状に形成することも、断面L字状に形成して階段の段鼻部に被せるようにすることも可能である。また、基台2を帯状に形成した上で、この基台2が固定される断面L字状の補助基台2を別途用意しておき、段鼻部に被せるように固定される補助基台2に対して基台2を固定することも可能である。基台2において滑り止め部材1や蓄光ユニット5を固定する部位には、上述した従来例のように凹溝などを設けて滑り止め部材1等の固定による段差の発生を抑えるなどすることが望ましい。以上の基台2は、金属以外に硬質材料であれば硬質の合成樹脂材などの適宜の素材により形成することが可能である。
【0013】
また、滑り止め部材1は、例えば表面を凹凸にした帯形状近似のゴム等などで形成することが可能であるが、滑り止め効果や耐摩耗性、製造効率などを考慮して適宜の形状、材質、サイズを採用することができる。この滑り止め部材1の基台2への固定は、上述した従来例のように基台2上で滑り止め部材1の原料を溶融させた後に固化することによる以外に、完成品としての滑り止め部材1を予め用意しておいて接着剤やネジを用いたり、基台2に嵌合、係止させたり、あるいはこれらを複合的に組み合わせるなど固定強度や製造効率を考慮して適宜に決定することができる。
【0014】
一方、蓄光ユニット5は、基材3上に蓄光層4を有して帯状に形成される。この蓄光層4は、階段の段鼻部での避難誘導表示機能を発揮できるように蓄光によって暗所でも視認できるものである必要があり、いわゆる高輝度のものにすることが望ましいが、単位面積当たりの輝度に対して所定の視認性を確保して相対的に決定される幅寸法Wを備えれば、面積を利用して所定の視認性、すなわち良好な視認性を確実に具備することが可能になる。このような単位面積当たりの輝度と幅寸法との適正な視認性に関する相対的な関係は、例えば、消防庁が蓄光式誘導標識等に関して示しているものを基準にして決めることができる(L’≧L×100/d’、L’は停電等により通常の照明が消灯してから60分間経過した後における帯状の標示の表面における平均輝度[mcd/m2]、Lは2[mcd/m2]、d’は当該表示の幅[mm])。
【0015】
上述した蓄光ユニット5は、後述する実施の形態に示すように、板状の金属等からなる硬質の基材3の上に、透明などの光透過性を備えた適宜の合成樹脂材に蓄光顔料を添加したものを層状に成形して形成することができるが、単に市場で流通している蓄光テープでも足り、この場合には、蓄光層4が上面側に形成されるフィルム状の適宜の合成樹脂材などにより基材3が構成される。また、蓄光層4は、例えば適宜の基材3の上に蓄光塗料を塗って形成することもできる。蓄光ユニット5の基台2への固定は、上述した滑り止め部材1同様、接着等適宜の手段によることができる。
【0016】
また、蓄光ユニット5は、摩耗等したときに交換できるようにすることが望ましい。上述した蓄光テープも基台2から剥がすことによって交換が不可能ではないが、基材3を硬質材料で形成した場合には蓄光ユニット5の保形性が高まるため、基台2に対して強固に固定したり、固定後に取り外したりすることも容易にできるようになる。更に再貼合せの際、テープ単体よりも基材3により容易に施工が行う事が出来る。
【0017】
さらに、上記基材3について、帯状の基部6の両側縁部から側壁7を立ち上げた形状にし、蓄光層4を側壁7、7間に埋設させれば、蓄光層4の摩耗等を抑制することができる。
【0018】
以上の蓄光ユニット5は、
硬質の基材3上に蓄光層4を有して帯状に形成され、階段用滑り止めの基台2に着脱可能に固定するものとして、階段用滑り止めとは別個に構成することができる。
【発明の効果】
【0019】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、階段用滑り止めの製造効率を高めて生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る階段用滑り止めを示す分解斜視図である。
【図2】階段用滑り止めの階段への設置状態を示す図で、(a)は設置作業を説明する分解斜視図、(b)は要部断面図である。
【図3】変形例を示す図で、(a)は第1の変形例を示す図、(b)は第2の変形例を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1および図2に本発明に係る階段用滑り止めAを示す。この実施の形態において、階段用滑り止めAは、階段の段鼻部11に取り付けられる金台(基台2)と、この金台2に固定されるビニルタイヤ(滑り止め部材1)と、同じく金台2に固定される蓄光ユニット5とを有する。
【0022】
上記金台2は、アルミニウムの押し出し成形品であり、所定断面形状の長尺材を設置場所に応じた長さ寸法に切断して形成される。この金台2は、階段の踏面11aに対応する水平片12と、蹴上げ部11bに対応する垂下片13とを有し、水平片12の一側縁部からほぼ直交方向に垂下片13を延設して断面略L字形状に形成される。
【0023】
上記水平片12は、上述したビニルタイヤ1が固定される滑り止め嵌合凹溝14と、蓄光ユニット5が固定されるユニット嵌合凹溝15を有する。これら滑り止め嵌合凹溝14およびユニット嵌合凹溝15は、水平片12の長手方向に沿って並設され、この実施の形態においては、垂下片13に近接して滑り止め嵌合凹溝14が、この滑り止め嵌合凹溝14の垂下片13に対する反対側に近接してユニット嵌合凹溝15が形成される。また、上記ユニット嵌合凹溝15よりもさらに垂下片13から離れた部分、すなわち水平片12における垂下片13の反対側の側縁部は、端縁に行くに従って漸次厚さを薄くされて傾斜面16にされる。
【0024】
また、上記滑り止め嵌合凹溝14およびユニット嵌合凹溝15には、それぞれの開放端部において開放寸法を狭める方向に突出する係止顎部17が形成される。この係止顎部17は、この実施の形態においては図2(b)に示すように、滑り止め嵌合凹溝14およびユニット嵌合凹溝15のそれぞれの垂下片13側の側縁に形成される。上記ユニット嵌合凹溝15は、さらにこの係止顎部17に向き合うようにして、同様に開放端部において開放寸法を狭める方向に突出する補助顎部18を備える。
【0025】
加えて、上述した水平片12は、滑り止め嵌合凹溝14の垂下片13側、すなわち係止顎部17周辺における厚さが、滑り止め嵌合凹溝14とユニット嵌合凹溝15の間隙部分における厚さや、上述した傾斜面16の最も厚い部分における厚さよりもやや厚く形成されるとともに、ユニット嵌合凹溝15の底面が、滑り止め嵌合凹溝14の底面よりもやや深い位置に形成される。
【0026】
なお、図1等において19は、図2(a)に示すように、皿ネジ20を用いて踏面11aに金台2をネジ止めするときにおいて、そのネジ位置についての金台2の幅方向における目安を与えるためのネジ位置ガイドであり、水平片12に線状の微小な溝を加工して形成される。また、21は、滑り止めのための溝である。
【0027】
一方、上記ビニルタイヤ1は、上述した滑り止め嵌合凹溝14に嵌合可能に略帯状に形成され、その表面は滑り止め効果を高めるために凸凹に形成される。また、ビニルタイヤ1の一側縁部は上述した滑り止め嵌合凹溝14の底面から係止顎部17までの間の厚さ寸法程度にされ、すなわち係止顎部17が係止可能な被係止部22が形成される。
【0028】
以上のビニルタイヤ1は、帯状のベース材23上に滑り止め材24を積層して形成される。上記ベース材23はアルミニウム等の適宜の硬質材料からなる。また、上記滑り止め材24は、ゴム等の適宜の滑りにくい材料により製せられるもので、帯状の基礎部24aの上面から凸部24bを所定ピッチで膨出させて形成される。上記基礎部24aは、ベース材23に重ねたときに上述した滑り止め嵌合凹溝14内に埋設されるように、滑り止め嵌合凹溝14の深さよりもベース材23相当分やや薄い厚さに形成され、また、上述した水平片12の厚さ変化に応じて、被係止部22とは反対の他側縁部が鈍角に切り落とされる。さらに、基礎部24aの一側縁部は、上述した被係止部22を形成するために薄肉にされる。ビニルタイヤ1は、以上の滑り止め材24とベース材23を個別に製造した後、両者を図示しない接着剤により接着するなどして形成される。
【0029】
また、上記蓄光ユニット5は、上述したユニット嵌合凹溝15に嵌合可能に略帯状に形成され、表面側において蓄光し、発光できるようにされる。この蓄光ユニット5の一側縁部には、上述したビニルタイヤ1同様、係止顎部17に係止可能な被係止部25が形成される。
【0030】
以上の蓄光ユニット5は、基材3上に蓄光層4を積層して形成され、この蓄光層4は、この実施の形態においては、2液硬化型の合成樹脂材に対して高輝度の蓄光材料を半分以上などの高い割合で混合したものにより製せられる。この蓄光層4は、上述したように消防庁が蓄光式誘導標識等に関して示しているものを基準にした幅寸法Wにされ、階段照明による蓄光層4表面への照度が30ルクスであるこの実施の形態においては、具体的には幅が15mm(15≧2×100/14)にされる。また、蓄光層4の厚さは、要求される輝度に応じて決定され、この実施の形態においては数ミリ程度にされる。
【0031】
また、上記基材3は、基台2同様のアルミニウムの押し出し成型品であり、所定断面形状の長尺材を切断して形成される。また、基材3の蓄光層4の積層面は、白色に塗装され、蓄光層4の発光光を反射しやすくされる。
【0032】
この基材3は、図2(b)等に示すように、帯状の基部6の両側縁部から側壁7を立ち上げて形成され、内部に蓄光層収容凹部26を備えた断面略コ字形状に形成される。また、一方の側壁7は基部6の一側縁よりもやや内側に配置され、これにより上述した被係止部25が形成される。さらに基材3は、他方の側壁7についても同様に基部6の他側縁よりもやや内側に配置されるとともに、基部6の他側縁が、側面と下面との間を面取り状に切り欠かれ、これにより補助被係止部27と切欠部28が形成される。
【0033】
以上の蓄光ユニット5は、基材3の蓄光層収容凹部26に図示しない接着剤を介して蓄光層4をなす材料を固定して形成される。この固定状態において、蓄光層4は、その上面が側壁7、7の頂部と同じ程度の高さになるようにされる。また、基材3の基部6と側壁7、7のいずれにも蓄光層4を接着することにより、蓄光層4が基材3から容易に剥がれてしまうことがないようにされる。さらに、上述した蓄光層4および基材3は、同じ程度の熱膨張率を備えた材料により形成され、温度変化によってこれらを接着する接着剤が容易に剥離してしまうことが防止される。
【0034】
以上の階段用滑り止めAの施工作業を以下に説明する。施工に際しては、予め階段の幅に合わせて所定長に切断し、ネジ位置ガイド19を基準にして図示しないネジ挿通孔を所定ピッチで穿孔した金台2を用意しておく。施工作業は、先ず、図2(a)に示すように、水平片12を踏面11aに、垂下片13を蹴上げ部11bに合わせるようにして段鼻部11に金台2を被せた後、皿ネジ20により上記ネジ挿通孔を利用して段鼻部11に金台2を取り付けることによりなされる。この取り付けに際しては、必要に応じて図示しない接着剤等も使用される。
【0035】
次に、以上のようにして段鼻部11に固定された金台2に対してビニルタイヤ1と蓄光ユニット5を固定する。この固定は、ビニルタイヤ1や蓄光ユニット5のそれぞれの被係止部22、25を金台2の係止顎部17に係止させることによりなされ、固定作業は、被係止部22等を先頭にした傾斜姿勢でビニルタイヤ1等を金台2の滑り止め嵌合凹溝14等に差し込み、被係止部22等の先端縁を係止顎部17の先端縁に引っ掛けたら、そのまま係止顎部17の下方に被係止部22等を滑り込ませるようにしてビニルタイヤ1等を倒し込みながら滑り止め嵌合凹溝14等の中に押し込むことによりなされる。また、蓄光ユニット5においては、この際、ユニット嵌合凹溝15の開放端部の一側縁に切欠部28を滑らせるようにしてなされる。
【0036】
以上の固定作業に際しては、図2(a)および(b)に示すように、予め滑り止め嵌合凹溝14の底面に接着剤29を塗布しておいたり、蓄光ユニット5の底面に両面粘着テープ30を貼り付けておくことにより固定強度が高められる。また、ビニルタイヤ1等の滑り止め嵌合凹溝14内への押し込みに際しては、ビニルタイヤ1等を幅方向に撓ませることによって滑り止め嵌合凹溝14等に対する嵌合状態がより緊密になるようにされる。
【0037】
固定作業が終了した状態で、ビニルタイヤ1等は滑り止め嵌合凹溝14等に嵌合され、被係止部22等が係止顎部17に係止することで妄りに動くことがない。また、蓄光ユニット5においては、補助被係止部27も補助顎部18に係止することによってしっかりと固定される。
【0038】
以上の固定状態において、階段用滑り止めAは、水平片12の上面からビニルタイヤ1の凸部24b、24b、・・が突出し、また、蓄光層4の上面が水平片12の上面とほぼ同一面をなす。したがって階段の利用者は、靴裏で凸部24b、24b、・・を踏むことによって滑りにくくなり、また、靴裏が蓄光層4とは接触しにくくなる。さらに、通常時において階段が照明光で照明されることにより、停電時には蓄光層4が発光し、暗所においても階段を比較的安全に利用することができる。
【0039】
さらに、ビニルタイヤ1や蓄光ユニット5が摩耗や長期の継続使用によって劣化したときには、交換することができる。交換作業は、ビニルタイヤ1等の下面と滑り止め嵌合凹溝14等の底面との間に例えばマイナスドライバーの先端を差し入れるなどしてこれらの間に介在する接着剤29や粘着テープ30を引き剥がすようにして行うことができる。この際、滑り止め嵌合凹溝14等の幅方向における係止顎部17の反対方にマイナスドライバーを差し込むことにより、そのままマイナスドライバーを引き起こせばビニルタイヤ1等を傾斜姿勢に引き起こすことができ、上述した固定作業とは逆の手順により滑り止め嵌合凹溝14等から取り外すことができる。
【0040】
なお、上述した実施の形態においては、蓄光ユニット5に補助被係止部27を形成するとともに、ユニット嵌合凹溝15に補助顎部18を形成する場合を示したが、固定作業性等を考慮して、これらを省略してビニルタイヤ1や滑り止め嵌合凹溝14のように被係止部25や係止顎部17のみ設けるようにしても足りるし、反対に、ビニルタイヤ1や滑り止め嵌合凹溝14に補助被係止部27や補助顎部18を形成して固定強度をより高めるようにすることも可能である。
【0041】
図3(a)に本発明の第1の変形例を示す。なお、この変形例、および後述する変形例において、上述した実施の形態と同一の構成要素は図中に同一の符号を付して説明を省略する。この変形例は、金台2の素材としてより強度の高いステンレスを用いた場合を示すもので、金台2は、ステンレスの板材をフォーミング加工機により折り曲げ加工して製せられる。
【0042】
垂下片13は、水平片12の一側縁から直交方向に折り曲げられて形成され、下端で折り返された後、さらに水平片12に沿って折曲されて被係止部22が形成される。水平片12は、垂下片13とは反対側の他側縁を折り返され、垂下片13の反対方に補助顎部18が形成される。また、水平片12は幅方向中間部で上方に引き起こされてから折り返され、すなわち山折りされて、滑り止め嵌合凹溝14とユニット嵌合凹溝15が区画されて形成される。この山折りの頂部は、補助顎部18の頂部と同じ程度の高さにされる。
【0043】
また、この変形例において、階段の踏面11aには仕上げ材としてのプラスチックタイル31(Pタイル)が敷設される。上述した水平片12は、側縁の折り返し部分がプラスチックタイル31の端面に突き当てられ、プラスチックタイル31上面と側縁の折り返し部分の上面とが同一平面上に位置するようにされる。
【0044】
したがってこの変形例において、ユニット嵌合凹溝15は被係止部25を有さず、蓄光ユニット5は補助被係止部27を補助顎部18に係止させて金台2に固定されるが、階段利用者の靴裏はプラスチックタイル31を踏むことによって蓄光ユニット5表面にあまり接触することはない。
【0045】
図3(b)に第2の変形例を示す。この変形例は、蓄光ユニット5をビニルタイヤ1よりも段鼻部11寄り、すなわち蹴上げ部11b寄りに配置したもので、金台2の水平片12には、ユニット嵌合凹溝15が滑り止め嵌合凹溝14よりも垂下片13側に形成される。
【0046】
また、蓄光ユニット5の基材3は、基部6の両側縁から側壁7を立設させて形成され、被係止部25および補助被係止部27が省略される。この蓄光ユニット5は、図示しない接着剤によってユニット嵌合凹溝15に固定される。
【0047】
したがってこの変形例においては、段鼻部11寄りに配置された蓄光ユニット5によって、停電時に段鼻部11の位置をより正確に把握することができる。
【符号の説明】
【0048】
1 滑り止め部材
2 基台
3 基材
4 蓄光層
5 蓄光ユニット
6 基部
7 側壁
W 幅寸法




【特許請求の範囲】
【請求項1】
滑り止め部材が固定される硬質の基台と、
基材上に蓄光層を有して帯状に形成され、基台上に固定される蓄光ユニットとを有する階段用滑り止め。
【請求項2】
前記蓄光層が単位面積当たりの輝度に対して所定の視認性を確保して相対的に決定される幅寸法を備え、
滑り止め材に沿って前記幅寸法の一条からなる蓄光領域が形成される請求項1記載の階段用滑り止め。
【請求項3】
前記基材が硬質材料により形成され、
蓄光ユニットを基材により保形して基台から着脱可能な請求項1または2記載の階段用滑り止め。
【請求項4】
前記基材は帯状の基部の両側縁部から側壁を立ち上げて形成され、
前記蓄光層が前記側壁間に埋設される請求項3記載の階段用滑り止め。
【請求項5】
硬質の基材上に蓄光層を有して帯状に形成され、階段用滑り止めの基台に着脱可能に固定される階段用滑り止め用の蓄光ユニット。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−117311(P2012−117311A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−269181(P2010−269181)
【出願日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(000110479)ナカ工業株式会社 (125)