説明

隔離室形成装置、及び、隔離室清浄燻蒸方法

【課題】感染患者を隔離するための隔離空間内の空気の陰圧や燻蒸を安全に行う。
【解決手段】空気清浄燻蒸機103は、感染患者151を隔離収容するテント102の外部に設置される。連結パイプ109は、空気清浄燻蒸機103の吸気口202とテント102の排気孔110とを連結する。連結パイプ111は、空気清浄燻蒸機103のオゾン排出口303とテント102のオゾン導入孔112とを連結する。空気清浄燻蒸機103は、テント102内の空気を吸引してオゾン清浄化し、オゾンを酸素に変化させてテント102の外部に排出する。また、空気清浄燻蒸機103は、オゾンを発生してテント102の内部に送り込み、テント102の内部をオゾン燻蒸する。空気清浄燻蒸機103は、テント102内に残存するオゾンを含む空気をオゾン吸気口から吸気して分解する。操作者は、テント102の外部で、空気清浄燻蒸機103の操作デバイス223を操作する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インフルエンザ等の感染症を引き起こす病原体に感染した感染患者を他者から隔離する非気密性のテントを備える隔離室形成装置、及び、隔離室清浄燻蒸方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インフルエンザ等の感染症を引き起こす病原体に感染した感染患者を他者から隔離するとともに、その感染患者から発せられる病原体が他者に感染しないように通気を行うことが行われている(例えば、特許文献1に記載の密閉式移動ベッド)。
【0003】
特許文献1に記載の密閉式移動ベッドは、患者を搬送するためのものである。この密閉式移動ベッドは、送風ファン7とオゾン発生装置1とを備えている。送風ファン7は、患者収容スペース18内の空気をオゾン発生装置1に送り出す。その結果、患者収容スペース18が負圧になる。このため、外部の空気がバルブ16を介して患者収容スペース18に入ってくることはあっても、患者収容スペース18内の空気が外部に直接放出されることはない。そして、送風ファン7によって送り出された空気は、オゾン発生装置1から発生したオゾンによって殺菌された上で外部に放出される。
【0004】
また、従来、医療施設の部屋にオゾン燻蒸殺菌装置を運び込んで作動させ、その装置からオゾンを発生させて部屋の内部全体をオゾン雰囲気に保ち殺菌することが行われている。しかしながら、オゾンは有害物質であるため、操作者が部屋に入りオゾン燻蒸殺菌装置を操作することは好ましくない。この点、特許文献2には、オゾンを発生するオゾン燻蒸殺菌装置の装置本体を部屋の内部に配置し、この装置本体に動作指令を行うためのリモートコントロール装置を部屋の外に配置し、操作者が部屋に入って部屋の目張りをし、装置本体の運転スイッチをオンにさせた後に部屋から出て、リモートコントロール装置を操作して装置本体に殺菌処理を開始させるオゾン燻蒸殺菌装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−034582公報
【特許文献2】特開平11−146905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
患者を収容した後の密室式移動ベッドやそこに配置された上掛け及びマットには、患者が保有する菌等の病原体が残存している。このままではこの密室式移動ベッドに他の患者を収容することができず、密室式移動ベッドを焼却する等により廃棄しなければならない。しかしながら、これは非常に不経済である。特許文献1には、このような患者を収容した後の密室式移動ベッドの取扱いについての記載が無い。
【0007】
ここで、操作者は、隔離空間内に感染患者が収容されている間には、空気清浄装置を作動させて隔離空間内の空気を清浄化して外部に放出するようにし、隔離空間に感染患者が収容されていない間にのみ特許文献2に記載のオゾン燻蒸殺菌装置のようなオゾン燻蒸装置を用いて隔離空間の内部をオゾン燻蒸し、この隔離空間を繰り返し使用することが考えられる。ところが、特許文献1に記載のオゾン発生装置やファン、及び、特許文献2に記載のオゾン燻蒸殺菌装置は、いずれも隔離空間内に配置されているものである。このため、操作者は、隔離空間内に入ってこれらの機器のオンオフを切り替えなくてはならない。これでは、操作者は、残存する病原体やオゾン燻蒸装置が発する人体に有害なオゾンに接触するおそれがある。
【0008】
本発明の目的は、感染患者を隔離するための隔離空間内の空気の清浄化や燻蒸を安全に行うことである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の隔離室形成装置は、(i)感染患者を隔離収容する非気密性のテントと、(ii)吸気口と、排気口と、第1のオゾン発生器と、操作入力を行うための第1の操作入力部と、オゾンを酸素に変化させる第1のオゾン分解触媒と、微粒子を捕集するHEPAフィルタと、を備え、前記第1の操作入力部からの操作入力に応じて前記吸気口から空気を吸引し、この吸引した空気を前記第1のオゾン発生器によるオゾンの発生箇所及び前記オゾン分解触媒の順に通過させ、かつ、前記HEPAフィルタに通過させて前記排気口から排出する空気清浄化部と、(iii)第2のオゾン発生器と、オゾン排出口と、オゾン吸気口と、操作入力を行うための第2の操作入力部と、オゾンを酸素に変化させる第2のオゾン分解触媒と、を備え、前記第2の操作入力部からの操作入力に応じて前記第2のオゾン発生器にオゾンを発生させて前記オゾン排出口に向けて送り出すオゾン放出と、この排出したオゾンを含む空気を前記オゾン吸気口から吸引して前記第2のオゾン分解触媒に通過させるオゾン回収と、を行う燻蒸部と、(iv)前記テントの外部に設置された前記空気清浄化部の吸気口と当該テントの内部空間とを連通し、前記テント内の空気を前記空気清浄化部に導く第1の連通構造と、(v)前記テントの外部に設置された前記燻蒸部のオゾン排出口と当該テントの内部空間とを連通し、前記燻蒸部で発生するオゾンを前記テントの内部に導く第2の連通構造と、(vi)前記テントの外部に設置された前記燻蒸部のオゾン吸気口と当該テントの内部空間とを連通し、前記テントの内部の空気を前記燻蒸部に導く第3の連通構造と、を備える。
【0010】
本発明の隔離室清浄化燻蒸方法は、感染患者を隔離収容する非気密性のテントの外部に設置され、吸気口と、排気口と、第1のオゾン発生器と、操作入力を行うための第1の操作入力部と、オゾンを酸素に変化させる第1のオゾン分解触媒と、微粒子を捕集するHEPAフィルタと、を備える空気清浄化部が、前記第1の操作入力部からの操作入力に応じて前記吸気口から当該テントの内部の空気を吸引し、この吸引した空気を前記第1のオゾン発生器によるオゾンの発生箇所及び前記オゾン分解触媒の順に通過させ、かつ、前記HEPAフィルタに通過させて前記排気口から排出する工程と、前記テントの外部に設置され、第2のオゾン発生器と、オゾン排出口と、オゾン吸気口と、操作入力を行うための第2の操作入力部と、オゾンを酸素に変化させる第2のオゾン分解触媒と、を備える燻蒸部が、前記第2の操作入力部からの操作入力に応じて前記第2のオゾン発生器にオゾンを発生させて前記オゾン排出口に向けて送り出すオゾン放出工程と、前記燻蒸部が、前記オゾン排出口から排出したオゾンを含む空気を前記オゾン吸気口から吸引して前記第2のオゾン分解触媒に通過させるオゾン回収工程と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、空気清浄化機とオゾン燻蒸機とのいずれもテントの外部に配置されているため、操作者はテント内に入らなくてもこれらの機器を操作でき、従って、操作者は、感染患者を隔離するための隔離空間内の空気の清浄化や燻蒸を安全に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第一の実施の形態における、隔離室形成装置の全体を示す模式図である。
【図2】(a)及び(b)は、テントの一部を拡大して示す斜視図である。
【図3】空気清浄燻蒸機の構造を示す模式図である。
【図4】第一の実施の形態における空気清浄燻蒸機の構造の変形例を示す模式図である。
【図5】空気清浄を行う際の空気清浄燻蒸機の制御の流れについて示すフローチャートである。
【図6】オゾン燻蒸を行う際の空気清浄燻蒸機の制御の流れについて示すフローチャートである。
【図7】隔離室形成装置の変形例について示す模式図である。
【図8】第二の実施の形態における、隔離室形成装置の全体を示す模式図である。
【図9】空気清浄機の構造を示す模式図である。
【図10】オゾン燻蒸機の構造を示す模式図である。
【図11】第三の実施の形態における、隔離室形成装置の全体を示す模式図である。
【図12】オゾン燻蒸機の構造を示す模式図である。
【図13】オゾン分解を行う際の空気清浄機の制御の流れについて示すフローチャートある。
【図14】空気清浄機及びオゾン燻蒸機の変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の一形態(第一の実施の形態)について、図1ないし図7に基づいて説明する。
【0014】
図1は、隔離室形成装置101の全体を示す模式図である。隔離室形成装置101は、テント102と、空気清浄燻蒸機103と、を備える。テント102は、その内部空間にインフルエンザ等の感染症を引き起こす病原体に感染した感染患者151を収容し、感染患者151と第三者とが接触することによりこの第三者に病原体が感染することがないようにこの感染患者151を隔離するためのものである。
【0015】
テント102は、組み立てられて直方体形状なる構造を有する。テント102は、骨格をなすフレーム105と、壁としての役割を果たすシート106からなる。フレーム105は、複数本のステンレス製のパイプを連結して構成される。フレーム105は、折り畳み可能なもので、設置作業者が容易に持ち運びできるよう小型化することができる。シート106の素材は、一例として軟質塩化ビニルであり、別の一例としてテフロン(登録商標)である。また、シート106は、ポリエステル素材で形成される。設置作業者は、折りたたまれたフレーム105を直方体形状に広げ、底面107に載置する。この底面107は、テント102の設置場所に応じ、病院の床面であったり、地面であったりする。続いて、設置作業者は、フレーム105が形成する直方体形状の四側面、上面及び下面をシート106で覆う。
【0016】
シート106は、テント102の一の側面106a(図1において、ベッド152の奥側に位置する側面)に位置する箇所に、出入口108を有する。出入口108は、テント102に入れられた切れ込みにより形成される。出入口108は、ベッド152を通過可能な大きさに設けられている。また、感染患者151、この感染患者151を診察する医師、看護士及び補助者等も、出入口108からテント102に出入りする。感染患者151は、安静にするために、テント102内に搬入されたベッド152の上で横になる。また、テント102内には、ベッド152の他にも、ストレッチャーや椅子(いずれも図示せず)を配置することもできる。
【0017】
感染患者151がテント102内にいる場合、出入口108は、面ファスナ(図示せず)等で目張りされる。この目張りにより、テント102の内部から外部に空気が漏れることが防止される。また、出入口108は、ファスナーによって開閉自在となっていても良い。
【0018】
図2(a)及び図2(b)は、テント102の一部を拡大して示す斜視図である。テント102と底面107との間には、隙間SPが形成される。この隙間SPは、図2(a)に示すように、シート106がフレーム105に取り付けられた際に底面107に僅かに達しない程の大きさを有していることにより形成されてもよい。また、この隙間SPは、図2(b)に示すように、シート106がフレーム105に取り付けられた際に底面107に達するのに十分な大きさを有していたとしても、シート106の撓みや底面107の凹凸によって、シート106と底面107との間に生じるものである。また、隙間SPは、図2(b)に示すように、シート106の重ね合わせ部分にも生じる。すなわち、このテント102は、非気密となっている。
【0019】
図1に戻る。空気清浄燻蒸機103は、テント102の外部で、このテント102に隣接して位置する。空気清浄燻蒸機103は、空気清浄部103Aと、燻蒸部103Bとを備える。空気清浄部103Aは、空気を吸引し、吸引した空気をオゾンで清浄化し、清浄化された空気に残存するオゾンを酸素に変化させて外部に排出する。燻蒸部103Bは、オゾンを生成して排出し、オゾン雰囲気を作製して、オゾンの排出先の空間の燻蒸を行うものである。また、燻蒸部103Bは、オゾンを含む空気を吸引して、その吸引した空気に含まれるオゾンを分解することも行う。空気清浄燻蒸機103の詳細については、図3に基づいて後述する。
【0020】
隔離室形成装置101は、第1及び第3の連通構造としての連結パイプ109を備える。連結パイプ109は、テント102内の空気を空気清浄燻蒸機103の吸気口202に導く円筒形状の短筒である。ここで、シート106は、空気清浄燻蒸機103に隣接するテント102の一の側面106b(図1における左側の側面)に位置付けられる箇所に、排気孔110を有する。そして、シート106が組み立てられたフレーム105に取り付けられることによって、排気孔110は底面107の近傍に位置付けられる。連結パイプ109は、この排気孔110と空気清浄燻蒸機103の吸気口202とを連結する。したがって、連結パイプ109は、空気清浄燻蒸機103の吸気口202をテント102の内部空間に連通させる役割を担っている。
【0021】
隔離室形成装置101は、第2の連通構造としての連結パイプ111を備える。連結パイプ111は、空気清浄燻蒸機103で発生したオゾンをテント102の内部空間に導く曲がった形状のパイプである。ここで、シート106は、組み立てられたフレーム105に取り付けられて排気孔110よりも上方となる箇所にオゾン導入孔112を有する。そして、シート106が組み立てられたフレーム105に取り付けられることによって、オゾン導入孔112は、底面107から離れて排気孔110よりも上方なる位置に位置付けられる。連結パイプ111は、このオゾン導入孔112と空気清浄燻蒸機103のオゾン排出口303とを連結する。したがって、連結パイプ111は、空気清浄燻蒸機103のオゾン排出口303をテント102の内部空間に連通させる役割を担っている。
【0022】
図3は、空気清浄燻蒸機103の構造を示す模式図である。空気清浄燻蒸機103は、箱型のハウジング201を備える。ハウジング201は、下面四隅に、空気清浄燻蒸機103を移動自在にするキャスタ221を備える。ハウジング201は、その前面に、吸気口202を備える。また、ハウジング201は、その上面に、装置排気口202aを形成する。ハウジング201には、吸気口202及び装置排気口202aのそれぞれについて、これらを横断するように複数枚の羽根板(図示せず)が平行に取り付けられている。つまり、吸気口202及び装置排気口202aは、ガラリとなっている。
【0023】
ハウジング201は、空気清浄燻蒸機103の上面となる位置に、表示デバイス222と操作デバイス223とを備える。また、ハウジング201は、空気清浄燻蒸機103の前面となる位置に、リモートコントローラRMが発信する各種の指示信号を受信する通信部217を備える。表示デバイス222は、空気清浄燻蒸機103の状態等の情報を表示する。操作デバイス223は、制御回路226(後述)に各部の制御を行わせるための操作入力に用いられる。制御回路226は、操作デバイス223からの操作入力に応じて、空気清浄燻蒸機103に備わる各部を制御する。また、制御回路226は、通信部217が受信するリモートコントローラRMからの指示信号を受信したと判定した場合、この指示信号の内容に応じて、空気清浄燻蒸機103に備わる各部を制御する。すなわち、空気清浄燻蒸機103に対する操作入力は、操作デバイス223及びリモートコントローラRMのいずれによっても実現される。
【0024】
空気清浄燻蒸機103は、ハウジング201の内部に風洞204を備える。風洞204の一端部は、吸気口202の近傍に位置する。風洞204の他端部は、装置排気口202aの近傍に位置する。このように、風洞204は、吸気口202と装置排気口202aとを連絡している。
【0025】
空気清浄燻蒸機103は、風洞204の内部に、吸気口202側から装置排気口202a側に向けて順に、プレフィルタ205と、蛍光灯225と、光触媒207と、第1及び第2のオゾン分解触媒としてのオゾン分解触媒208と、高性能脱臭フィルタ209と、カーボンシルク210と、HEPAフィルタ211と、ファン212と、マイナスイオン発生器213と、を備える。プレフィルタ205は、大きな塵や埃を捕集する。蛍光灯225は、光を照射する。光触媒207は、蛍光灯225からの照射光を受けて、除菌脱臭を行う。オゾン分解触媒208は、オゾンを酸素に変化させる。高性能脱臭フィルタ209は、アンモニア、酢酸、メチルメルカプタン等の悪臭物質を捕集する。カーボンシルク210は、脱臭を行う。HEPAフィルタ211は、微粒子を捕集する。ファン212は、回転することで、風洞204の空気を、吸気口202から装置排気口202aに向けて送り出す。マイナスイオン発生器213は、マイナスイオンを発生させる。なお、光触媒207とオゾン分解触媒208とは、いずれも各種の担体(図示せず)に担持されている。
【0026】
ここで、HEPAフィルタ211の設置位置は、図3に示される位置に限られることはない。すなわち、HEPAフィルタ211は、清浄用オゾン発生器206aによるオゾンの発生箇所206dよりも風洞204による気体の経路の上流側(吸気口202側)や、この発生箇所206dとオゾン分解触媒208との間、オゾン分解触媒208よりも風洞204による気体の経路の下流側(装置排気口202a側)のいずれであってもよい。しかしながら、HEPAフィルタ211をオゾン分解触媒208よりも下流側に設けることで、オゾンで清浄化済みの空気内に含まれる微粒子がHEPAフィルタ211に捕捉されることになる。その結果、装置排気口202aから排出される空気は、さらにきれいになる。
【0027】
また、空気清浄燻蒸機103は、ハウジング201の内部に、第1のオゾン発生器としての清浄用オゾン発生器206aと、清浄用エアポンプ206aaと、第2のオゾン発生器としての燻蒸用オゾン発生器206bと、燻蒸用エアポンプ206bbとを備える。清浄用オゾン発生器206a及び燻蒸用オゾン発生器206bはいずれも、例えば、沿面放電によってオゾンを発生するものであって、周知の技術である。
【0028】
清浄用エアポンプ206aaは、吸気口202に配置される。清浄用エアポンプ206aaは、中空のチューブ305aを介して、清浄用オゾン発生器206aに接続する。清浄用オゾン発生器206aは、別のチューブ305aを介して、気体を噴出するための清浄用噴出ノズル306aに接続する。清浄用噴出ノズル306aは、風洞204の内空間に向けて配置される。清浄用エアポンプ206aaが清浄用オゾン発生器206aに向けて空気を送り出すことにより、清浄用オゾン発生器206aから発生したオゾンを、清浄用噴出ノズル306aから噴出させる。
【0029】
燻蒸用エアポンプ206bbは、吸気口202に配置される。燻蒸用エアポンプ206bbは、中空のチューブ305bを介して、燻蒸用オゾン発生器206bに接続する。燻蒸用オゾン発生器206bは、別のチューブ305bを介して、気体を噴出するための燻蒸用噴出ノズル306bに接続する。燻蒸用噴出ノズル306bは、装置排気口202aに配置される。燻蒸用エアポンプ206bbが燻蒸用オゾン発生器206bに向けて空気を送り出すことにより、燻蒸用オゾン発生器206bから発生したオゾンを、燻蒸用噴出ノズル306bから噴出させる。
【0030】
空気清浄燻蒸機103は、各部を駆動制御する制御部231を備える。制御部231の中核をなすのは、制御回路226である。制御回路226は、表示デバイス222と、操作デバイス223と、通信部217と、マイナスイオン発生器213と、空気の汚れ具合をセンシングするダストセンサ218と、に接続する。また、制御回路226は、点灯回路(図示せず)を介して、蛍光灯225にも接続する。また、制御回路226は、動力伝達機構(図示せず)を介して、ファン212の駆動源であるモータ224にも接続する。さらに、制御回路226は、清浄用オゾン発生器206aと清浄用エアポンプ206aaと燻蒸用オゾン発生器206bと燻蒸用エアポンプ206bbとにも接続する。操作デバイス223は、空気清浄燻蒸機103に空気清浄とオゾン燻蒸との両方の動作を行わせるためのものであり、第1の操作入力部としての機能と第2の操作入力部としての機能とを兼ね備えている。また、リモートコントローラRM及び通信部217も、空気清浄燻蒸機103に空気清浄とオゾン燻蒸との両方の動作を行わせるためのものであり、第1の操作入力部としての機能と第2の操作入力部としての機能とを兼ね備えている。制御回路226は、接続している各部に制御信号を出力して、これら各部を制御する。
【0031】
ここで、この制御部231と、風洞204と、プレフィルタ205と、清浄用オゾン発生器206aと、清浄用エアポンプ206aaと、チューブ305aと、清浄用噴出ノズル306aと、蛍光灯225と、光触媒207と、オゾン分解触媒208と、高性能脱臭フィルタ209と、カーボンシルク210と、HEPAフィルタ211と、ファン212と、マイナスイオン発生器213とは、空気清浄部103Aを構成する。また、制御部231と、燻蒸用オゾン発生器206bと、燻蒸用エアポンプ206bbと、チューブ305bと、燻蒸用噴出ノズル306bとは、燻蒸部103Bを構成する。
【0032】
図4は、空気清浄燻蒸機103の構造の変形例を示す模式図である。図4の空気清浄燻蒸機103では、オゾン発生に関する部材の共通化が図られている。すなわち、図4の空気清浄燻蒸機103は、第1のオゾン発生器及び第2のオゾン発生器としてのオゾン発生器206cと、オゾン発生器206cに空気を送り込むエアポンプ206ccとを、それぞれ一つずつ備えている。エアポンプ206ccとオゾン発生器206cとは中空のチューブ305で連結され、オゾン発生器206cには中空のチューブ305を介して電磁バルブVが連結されている。電磁バルブVには、清浄用噴出ノズル306aに連絡する中空のチューブ305aと燻蒸用噴出ノズル306bに連絡する中空のチューブ305bとが連結している。電磁バルブVは、これらの二本のチューブ305a及び305bを択一的に切り替える。このような電磁バルブVは、制御回路226に接続されており、制御回路226によって切り替え動作を制御される。
【0033】
図3に基づく説明に戻る。空気清浄燻蒸機103は、排気路切替機構114を備える。排気路切替機構114は、装置排気口202aの縁から上方に延びる太筒115と、この太筒115の先端から横並びに延びる第1の細筒116及び第2の細筒117と、を備える。第1の細筒116は、風洞204の先端の上方に位置し、テント102の外部に至る。この第1の細筒116の先端は、排気口203となる。また、第2の細筒117は、噴出ノズル306の上方に位置する。この第2の細筒117の先端は、オゾン排出口303となっていて、連結パイプ111に繋がり、テント102の内部に至る。
【0034】
空気清浄燻蒸機103は、アクチュエータ118と切替弁119とを備える。切替弁119は、第1の細筒116を塞ぐ位置PA(図3中、点線で示す)と、第2の細筒117を塞ぐ位置PB(図3中、実線で示す)との間で移動自在となっている。アクチュエータ118は、切替弁119を移動する駆動源であり、制御回路226からの制御信号を受けて駆動する。アクチュエータ118の駆動により、切替弁119は、第1の細筒116を塞ぐ位置と第2の細筒117を塞ぐ位置との間を移動する。
【0035】
図5は、空気清浄を行う際の空気清浄燻蒸機103の制御の流れについて示すフローチャートである。制御回路226は、操作デバイス223や、リモートコントローラRMから発せられる指示信号を受信した通信部217から入力される空気清浄命令の制御信号の入力を判定した場合(ステップS101のY)、アクチュエータ118を駆動して、切替弁119を位置PBに位置付け、第2の細筒117を塞ぐ(ステップS102)。
【0036】
続いて、制御回路226は、清浄用オゾン発生器206a(もしくはオゾン発生器206)、蛍光灯225の点灯回路(図示せず)、マイナスイオン発生器213を制御し、これらを駆動する(ステップS103)。
【0037】
続いて、制御回路226は、装置排気口202aから清浄化された空気を放出させる(ステップS104)。より詳細には、制御回路226は、図3に示す空気清浄燻蒸機103においては、清浄用エアポンプ206aaを制御して風洞204内に清浄用オゾン発生器206aからのオゾンを送り出させた上で、モータ224を制御してファン212を動かし、風洞204内の空気を吸気口202側から排気口203側に送り出す。また、制御回路226は、図4に示す変形例の空気清浄燻蒸機103においては、モータ224を制御してファン212を動かし、オゾン発生器206から発せられるオゾンを含む風洞204内の空気を吸気口202側から排気口203側に送り出す。いずれの場合においても、ステップS102の処理によって第2の細筒117は塞がれているため、装置排気口202aから排出された気体は、第1の細筒116の内部を通り、排気口203から外部空間に出る。
【0038】
図6は、オゾン燻蒸を行う際の空気清浄燻蒸機103の制御の流れについて示すフローチャートである。制御回路226は、操作デバイス223や、リモートコントローラRMから発せられる指示信号を受信した通信部217から入力されるオゾン燻蒸命令の制御信号の入力を判定した場合(ステップS201のY)、アクチュエータ118を駆動して、切替弁119を位置PAに位置づけ、第1の細筒116を塞ぐ(ステップS202)。
【0039】
続いて、制御回路226は、燻蒸用オゾン発生器206b(もしくはオゾン発生器206)及び燻蒸用エアポンプ206bbを制御し、これらを駆動する(ステップS203)。このとき、第1の細筒116は塞がれているため、燻蒸用噴出ノズル306bから放出され装置排気口202aから排出される気体(燻蒸用オゾン発生器206bから発せられるオゾンを含む空気)は、第2の細筒117の内部を通り、排気口203を経由してテント102の内部に放出される。
【0040】
続いて、制御回路226は、テント102内の燻蒸が完了するまで処理を待機する(ステップS204)。この待機は、一例として、テント102内の空気をオゾン燻蒸し、テント102内の物品が消毒されるのに十分な時間が経過するまで行われる。ここで、制御回路226は、ステップS204において、制御回路226がタイマー回路(図示せず)に接続されてこのタイマー回路での計時によって所定時間経過したことを判定することで処理をステップS205に進めてもよい。また、制御回路226は、ステップS204において、操作者がテント102内の物品が十分に消毒されたと判断して操作デバイス223から操作入力した際にこの操作デバイス223から発せられる制御信号の入力を判定することで処理をステップS205に進めてもよい。別の一例として、ステップS204の待機は、ダストセンサ218がセンシングする空気の汚れ具合が所定値になったと制御回路226が判断するまで行われる。これに対する別の一例として、オゾンの濃度を測定する測定センサ(図示せず)をテント102内に設置しておき、制御回路226がステップS204においてオゾン濃度測定センサから入力される信号に応じて待機状態を解除するようにしてもよい。
【0041】
制御回路226は、上記のような判定によってテント102内の燻蒸が完了したと判定した場合(ステップS204のY)、燻蒸用オゾン発生器206b(もしくはオゾン発生器206)及び燻蒸用エアポンプ206bbを停止させ(ステップS204a)、続いて、アクチュエータ118を駆動して、切替弁119を位置PBに位置付け、第2の細筒117を塞ぐ(ステップS205)。
【0042】
続いて、制御回路226は、テント102内のオゾンを回収する処理を実行する(ステップS206)。より詳細には、ステップS206において、制御回路226は、まず、蛍光灯225の点灯回路(図示せず)及びマイナスイオン発生器213を制御し、これらを駆動する。ここで重要なのは、制御回路226は、清浄用オゾン発生器206a及び燻蒸用オゾン発生器206bのいずれも制御しないということである。続いて、制御回路226は、モータ224を制御してファン212を動かし、風洞204内の空気を吸気口202側から排気口203側に送り出す。これにより、テント102内の空気は吸気口202から空気清浄燻蒸機103に吸い込まれ、空気清浄燻蒸機103は吸い込んだ空気に含まれているオゾンを分解する。すなわち、吸気口202はオゾン吸気口としての役割も果たし、また、連結パイプ109は、第3の連通構造としても機能する。
【0043】
図1及び図3を参照する。このような隔離室形成装置101において、テント102に感染患者151が収容されている場合、操作者は、リモートコントローラRMや空気清浄燻蒸機103の操作デバイス223を操作して、空気清浄燻蒸機103に対して空気清浄命令を操作入力する。これを受けて、空気清浄燻蒸機103では、空気清浄部103Aがテント102内の空気の清浄化を行う。より詳細には、空気清浄燻蒸機103に空気清浄命令が入力されると、第2の細筒117が塞がれ、清浄用オゾン発生器206a(もしくはオゾン発生器206)と点灯回路(図示せず)とマイナスイオン発生器213とが駆動する。これにより、清浄用オゾン発生器206a(もしくはオゾン発生器206)はオゾンを発生させる。また、蛍光灯225が点灯して光触媒207が除菌脱臭を行うようになる。さらに、マイナスイオン発生器213は、マイナスイオンを発生させる。
【0044】
そして、空気清浄燻蒸機103では、ファン212が回転する。これにより、テント102内の空気は、排気孔110から吸引されて連結パイプ109を通過し、吸気口202から空気清浄燻蒸機103に入る。そして、空気清浄燻蒸機103に入った空気は、風洞204を通過し、装置排気口202aを経て、排気口203に至る。このとき、空気清浄燻蒸機103は、風洞204内の空気の清浄化を行う。より詳細には、吸気口202から空気清浄燻蒸機103に入った空気は、プレフィルタ205を通過する。プレフィルタ205は、大きな塵埃を除去する。清浄用オゾン発生器206a(もしくはオゾン発生器206)から発生したオゾンは、プレフィルタ205を通過した空気を除菌脱臭する。光触媒207は、この空気を除菌脱臭する。オゾン分解触媒208は、この空気に残存するオゾンを酸素に変化させる。高性能脱臭フィルタ209は、光触媒207及びオゾン分解触媒208を通過した空気から悪臭物質を除去する。カーボンシルク210は、高性能脱臭フィルタ209を通過した空気の脱臭を行う。HEPAフィルタ211は、カーボンシルク210を通過した空気に残存する残りの浮遊菌や塵を除去する。その結果、HEPAフィルタ211を通過した空気は、清浄化される。マイナスイオン発生器213は、この清浄化された空気に、マイナスイオンを混合する。このマイナスイオンを含む空気は、装置排気口202aを経て排気口203に至り、テント102の外部に放出される。
【0045】
このように、空気清浄燻蒸機103は、感染患者151の保有する病原体を含んでいるおそれがあるテント102内の空気を吸引し、オゾンを用いて清浄化した後に外部に排出する。このとき、テント102内は、空気清浄燻蒸機103の空気吸引によって、陰圧になる。このため、テント102の外部の空気が隙間SPからテント102の内部に入り込むことはあっても、テント102内の空気が空気清浄燻蒸機103以外から外部に漏れることは無い。つまり、空気清浄燻蒸機103が駆動している間は、テント102内の空気が外部に直接漏れることはなくなり、感染患者151からの病原体がテント102の外部に漏れ出すことはなくなる。
【0046】
また、感染患者151がテント102内に滞在した後にそこから去った場合、操作者は、リモートコントローラRMや、空気清浄燻蒸機103の操作デバイス313を操作して、空気清浄燻蒸機103に対してオゾン燻蒸命令を操作入力する。これを受けて、空気清浄燻蒸機103では、燻蒸部103Bがテント102のオゾン燻蒸を行う。より詳細には、空気清浄燻蒸機103にオゾン燻蒸命令が入力されると、第1の細筒116が塞がれ、燻蒸用オゾン発生器206b(もしくはオゾン発生器206)と燻蒸用エアポンプ206bbとが駆動する。燻蒸用エアポンプ206bbが駆動することにより、燻蒸用オゾン発生器206b(もしくはオゾン発生器206)で発生したオゾンは、燻蒸用噴出ノズル306bから噴出し、テント102内を燻蒸する。その結果、フレーム105、シート106の内面、ベッド152等のテント102内の物品は消毒され、テント102は繰り返し使用可能になる。
【0047】
そして、テント102内のオゾン燻蒸が終わると、燻蒸部103Bはテント102内に残存するオゾンの分解を開始する。より詳細には、切替弁119が第2の細筒117を塞ぎ、点灯回路(図示せず)とマイナスイオン発生器213とが駆動するとともに、ファン212が回転する。これにより、テント102内の空気は、空気清浄燻蒸機103に入り、風洞204を通過し、装置排気口202aを経て、排気口203に至る。このとき、風洞204内を通過する空気に残存するオゾンは、オゾン分解触媒208によって酸素に変化する。そして、この空気は、装置排気口202aを経て排気口203に至り、テント102の外部に放出される。
【0048】
ここで、燻蒸部103Bがテント102内をオゾン燻蒸する場合、空気清浄燻蒸機103はテント102内の空気を取り込む。そして、空気清浄燻蒸機103は取り込んだ空気中の酸素をオゾンに変化させてその空気を再びテント102内に戻す。この際、テント102の内外で圧力が平衡となるため、テント102内のオゾンは外部に漏れ出しにくい。
【0049】
そして、燻蒸部103Bがテント102内のオゾンを分解する場合、空気清浄燻蒸機103は、オゾンを含んでいるテント102内の空気を吸引し、この吸引した空気をオゾン分解触媒208に通過させた後に、外部に排出する。このとき、テント102内は、陰圧になるため、テント102の外部の空気が隙間SPからテント102の内部に入り込むことはあっても、テント102内のオゾンが外部に漏れることは無い。
【0050】
操作者は、テント102内に残存したオゾンが消滅するのに十分な時間が経過したと判断した場合、操作デバイス223から操作入力を行って、空気清浄燻蒸機103を停止する。
【0051】
ここで重要なのは、操作者は、空気清浄燻蒸機103にテント102内の空気清浄を行わせる操作も、空気清浄燻蒸機103内にオゾン燻蒸を行わせる操作も、いずれもテント102の外側で行うことができるという点である。つまり、感染患者151がテント102内にいる場合、テント102内の空気に病原体が含まれているおそれがある。この場合、感染患者151以外の者がテント102内に入ると、その病原体に感染するおそれがある。また、オゾン燻蒸でテント102内がオゾンで充満している場合、オゾンは人体にとって有毒であることから、人間がテント102内に入ることはやはり危険である。この点、隔離室形成装置101では、空気清浄燻蒸機103はテント102の外部に設置されているため、操作者は、テント102に入らなくても操作できる。従って、操作者は、病原体やオゾンに接触するという危険にさらされることなく、感染患者151を隔離するためのテント102内の空気の清浄化や燻蒸を安全に行うことができる。
【0052】
また、本実施の形態の隔離室形成装置101では、空気清浄燻蒸機103はテント102の外部に設置されることから、屋内のみならず屋外においても設置が容易であり、さらには、設営費用及び撤去費用の低減化を図ることができる。
【0053】
さらに、本実施の形態の隔離室形成装置101では、空気清浄燻蒸機103がオゾン燻蒸を行った後にテント102内の空気を吸引し、吸引した空気に残存するオゾンを積極的に分解するため、テント102内のオゾンの濃度を素早く下げることができ、テント102の使用効率を高めることができる。
【0054】
ここで、図4に示す空気清浄燻蒸機を使用する場合の制御回路の制御内容について説明する。
【0055】
制御回路226は、空気清浄命令の入力を判定した場合(図5のステップS101のY)、エアポンプ206cc及びオゾン発生器206cを駆動し、オゾン発生器206cに連結されているチューブ305が清浄用噴出ノズル306aに連通しているチューブ305aの側に連通するよう、電磁バルブVを切り替え制御する。これにより、空気清浄部103Aは、前述した動作と同一の動作を行なう。
【0056】
制御回路226は、オゾン燻蒸命令の入力を判定した場合(図6のステップS201のY)、エアポンプ206cc及びオゾン発生器206cを駆動し、オゾン発生器206cに連結されているチューブ305が燻蒸用噴出ノズル306bに連通しているチューブ305bの側に連通するよう、電磁バルブVを切り替え制御する。これにより、燻蒸部103Bは、前述した燻蒸動作と同一の燻蒸動作を行なう。
【0057】
制御回路226は、空気清浄燻蒸機103の燻蒸部103Bにオゾン回収動作をさせる場合(図6のステップS204のY)、エアポンプ206cc及びオゾン発生器206cをいずれも動作させず、電磁バルブVも切り替え制御しない。これにより、燻蒸部103Bは、前述したオゾン回収動作と同一のオゾン回収動作を行なう。
【0058】
図7は、本実施の形態の隔離室形成装置101の変形例について示す模式図である。隔離室形成装置101を構成するテント102は、図1に基づいて説明したベッド152を収納可能な程に大きい横長の内部空間を形成するものであっても良いし、図7に示すような、一人用の椅子153のみ設置できる内部空間を形成する縦長の簡易テント102’であってもよい。さらには、テント102の形状は、図1及び図7に示した例に限られること無く、シート106がフレーム105を覆うことで、感染患者151を収容する空間を外部と隔離して形成するものであれば、いかなる形状であっても良い。
【0059】
次いで、別の実施の形態(第二の実施の形態)について、図8ないし図10について説明する。この場合、第一の実施の形態と同一の部分には同一の符号を用い、説明も省略する。本実施の形態の隔離室形成装置101では、空気清浄燻蒸機103に備わる空気清浄部103Aの機能は、空気清浄機181によって実現される。また、空気清浄燻蒸機103に備わる燻蒸部103Bの機能は、オゾン燻蒸機182によって実現される。
【0060】
図8は、隔離室形成装置101の全体を示す模式図である。空気清浄機181とオゾン燻蒸機182とは、いずれもテント102の外部で、このテント102に隣接して設けられる。空気清浄機181とオゾン燻蒸機182とは、図8に示すように互いに離れた位置に配置して、テント102の相対する側面の外側に位置させてもよい。また、空気清浄機181とオゾン燻蒸機182とは、互いに隣り合っていてもよい。
【0061】
空気清浄機181は、空気を吸引し、吸引した空気をオゾンで清浄化して、外部に排出する機器である。すなわち、空気清浄機181は、空気清浄部103Aとしての役割を果たす。この空気清浄機181の詳細については、図9に基づいて後述する。
【0062】
オゾン燻蒸機182は、オゾンを生成して排出し、オゾン雰囲気を作製して、オゾンの排出先の空間の燻蒸を行うものである。また、オゾン燻蒸機182は、オゾンを含む空気を吸引して、その吸引した空気に含まれるオゾンを分解することも行う。すなわち、オゾン燻蒸機182は、燻蒸部103Bとしての役割を果たす。このオゾン燻蒸機182の詳細については、図10に基づいて後述する。
【0063】
隔離室形成装置101は、第1の連通構造としての連結パイプ109を備える。連結パイプ109は、テント102内の空気を空気清浄機181の吸気口202に導く円筒形状の短筒である。ここで、シート106は、空気清浄機181に隣接するテント102の一の側面106b(図1における左側の側面)に位置付けられる箇所に、排気孔110を有する。そして、シート106が組み立てられたテント102のフレーム105に取り付けられることによって、排気孔110は底面107の近傍に位置付けられる。連結パイプ109は、この排気孔110と空気清浄機181の吸気口202とを連結する。
【0064】
隔離室形成装置101は、第2の連通構造としての連結パイプ111を備える。連結パイプ111は、オゾン燻蒸機182で発生したオゾンをテント102の内部に導くパイプである。ここで、シート106は、オゾン燻蒸機182に隣接するテント102の一の側面106c(図1における右側の側面)に位置付けられる箇所に、オゾン導入孔112を有する。そして、シート106が組み立てられたテント102のフレーム105に取り付けられることによって、オゾン導入孔112はその側面106cに位置付けられる。連結パイプ111は、このオゾン導入孔112とオゾン燻蒸機182のオゾン排出口303とを連結する。
【0065】
さらに、隔離室形成装置101は、テント102内の空気をオゾン燻蒸機182に導く第3の連通構造としての連結パイプ121も備える。ここで、シート106は、組み立てられたフレーム105に取り付けられてオゾン導入孔112よりも下方となる箇所に、オゾン分解用孔122を有する。そして、シート106が組み立てられたフレーム105に取り付けられることによって、オゾン分解用孔122は、底面107から離れてオゾン導入孔112よりも下方なる位置に位置付けられる。連結パイプ121は、このオゾン分解用孔122とオゾン燻蒸機182のオゾン吸気口351とを連結する。
【0066】
図9は、空気清浄機181の構造を示す模式図である。本実施の形態の空気清浄機181は、第一の実施の形態の空気清浄燻蒸機103に備わる各部のうち、空気清浄部103Aに関わる各部を備えて構成される。
【0067】
すなわち、空気清浄機181は、燻蒸用オゾン発生器206bと燻蒸用エアポンプ206bbとチューブ305bと燻蒸用噴出ノズル306bとを有しない。また、空気清浄機181は、排気路切替機構114、切替弁119、アクチュエータ118も有しない。そして、空気清浄機181では、装置排気口202aは排気口203としての役目を果たす。
【0068】
空気清浄機181に備わる制御回路226は、図5に示す処理を実行する。但し、空気清浄機181は、アクチュエータ118を備えていない。このため、制御回路226は、図5に示すステップS102以外の処理を実行する。すなわち、制御回路226は、操作デバイス223やリモートコントローラRMを用いて入力される空気清浄命令の制御信号の入力を判定した場合(ステップS101のY)、清浄用オゾン発生器206a、蛍光灯225の点灯回路(図示せず)、マイナスイオン発生器213を制御し、これらを駆動する(ステップS103)。続いて、制御回路226は、モータ224を制御してファン212を動かし、風洞204内の空気を吸気口202側から排気口203側に送り出し、外部空間に放出する(ステップS104)。
【0069】
図10は、オゾン燻蒸機182の構造を示す模式図である。本実施の形態のオゾン燻蒸機182は、第一の実施の形態の空気清浄燻蒸機103に備わる各部のうち、燻蒸部103Bに関わる各部を備えて構成される。
【0070】
すなわち、オゾン燻蒸機182は、箱型のハウジング301を備える。ハウジング301は、下面四隅に、オゾン燻蒸機182を移動自在にするキャスタ311を備える。ハウジング301は、その上面に、空気導入口302を形成する。また、ハウジング301は、その側面に、オゾン排出口303を形成する。ハウジング301は、オゾン燻蒸機182の上面となる位置に、表示デバイス312と操作デバイス313とを配置する。また、ハウジング301は、オゾン燻蒸機182の前面となる位置に、リモートコントローラRMが発信する各種の指示信号を受信する通信部317を備える。表示デバイス312は、オゾン燻蒸機182の状態等の情報を表示する。操作デバイス313は、制御回路315(後述)に各部の制御を行わせるための操作入力に用いられる。制御回路315は、操作デバイス313からの操作入力に応じて、オゾン燻蒸機182に備わる各部を制御する。また、制御回路315は、通信部317が受信するリモートコントローラRMからの指示信号を受信したと判定した場合、この指示信号の内容に応じて、オゾン燻蒸機182に備わる各部を制御する。すなわち、オゾン燻蒸機182に対する操作入力は、操作デバイス313及びリモートコントローラRMのいずれによっても実現される。
【0071】
オゾン燻蒸機182は、ハウジング301の内部に、燻蒸用オゾン発生器304とチューブ305とを配置する。チューブ305は、空気導入口302から燻蒸用オゾン発生器304を経てオゾン排出口303に至る。すなわち、チューブ305は、空気導入口302とオゾン排出口303とを連絡する。チューブ305は、空気導入口302に位置する端部に、燻蒸用エアポンプ314を備える。燻蒸用エアポンプ314は、空気導入口302の近傍に位置し、燻蒸用オゾン発生器304に向けて空気を送り出す。そして、チューブ305は、オゾン排出口303に位置する端部に、気体を噴出するための燻蒸用噴出ノズル306bを備える。燻蒸用オゾン発生器304で発生したオゾンは、チューブ305の内部を通って燻蒸用噴出ノズル306bから噴出する。
【0072】
また、オゾン燻蒸機182において、ハウジング301は、オゾン排出口303よりも下方に、オゾン吸気口351を備える。また、ハウジング301は、オゾン吸気口351を備える面とは反対側となる面に、オゾン分解済排気口352を備える。そして、オゾン燻蒸機182は、オゾン吸気口351とオゾン分解済排気口352とを連絡する風洞353を備える。オゾン燻蒸機182は、風洞353の内部に、オゾン吸気口351側からオゾン分解済排気口352側に向けて順に、蛍光灯354と、光触媒355と、第2のオゾン分解触媒としてのオゾン分解触媒356と、高性能脱臭フィルタ357と、カーボンシルク358と、ファン359と、マイナスイオン発生器360を備える。また、オゾン燻蒸機182は、ハウジング301の内部に、蛍光灯354を点灯させる点灯回路(図示せず)と、ファン359を動かすモータ361とを備える。
【0073】
オゾン燻蒸機182は、各部を駆動制御する制御部321を備える。制御部321の中核をなすのは、制御回路315である。制御回路315は、表示デバイス312と、操作デバイス313と、燻蒸用オゾン発生器304と、燻蒸用エアポンプ314と、点灯回路(図示せず)と、マイナスイオン発生器360と、モータ361と、ダストセンサ218と、に接続する。制御回路315は、接続している各部に制御信号を出力して、これら各部を制御する。
【0074】
オゾン燻蒸機182に備わる制御回路315は、図6に示す処理を実行する。但し、オゾン燻蒸機182は、アクチュエータ118を備えていない。このため、制御回路315は、図6に示すステップS202及びステップS205以外の処理を実行する。すなわち、制御回路315は、操作デバイス313やリモートコントローラRMを用いて入力されるオゾン燻蒸命令の制御信号の入力を判定した場合(ステップS201のY)、燻蒸用オゾン発生器304及び燻蒸用エアポンプ314を制御し、これらを駆動して、テント102内にオゾンを放出する(ステップS203)。続いて、制御回路315は、テント102内のオゾン燻蒸を完了したと判定するまで処理を待機する(ステップS204)。続いて、制御回路315は、待機後に、燻蒸用オゾン発生器304及び燻蒸用エアポンプ314を停止させ(ステップS204a)、蛍光灯354の点灯回路(図示せず)、マイナスイオン発生器360を制御し、続いて、制御回路315は、モータ361を制御してファン359を動かし、風洞353内の空気をオゾン吸気口351側からオゾン分解済排気口352側に送り出すことによって、テント102内のオゾンを回収する(ステップS206)。
【0075】
図8及び図9を参照する。このような隔離室形成装置101において、テント102に感染患者151が収容されている場合、操作者は、空気清浄機181の操作デバイス223やリモートコントローラRMを操作して、空気清浄機181を起動する。この操作入力によって、空気清浄機181は、テント102内の空気を吸引し、吸引した空気を各種のフィルタに通過させるとともにオゾンによる空気の清浄化を行い、清浄化のために用いられずに残存するオゾンを酸素に変化させて、テント102の外部に放出する。
【0076】
図8及び図10を参照する。また、感染患者151がテント102内に滞在した後にそこから去った場合、操作者は、オゾン燻蒸機182の操作デバイス313やリモートコントローラRMを操作して、オゾン燻蒸機182を起動する。この操作入力によって、オゾン燻蒸機182は、オゾンを発生してテント102内に噴出し、テント102内を燻蒸する。その後、テント102内のオゾン燻蒸が終わると、オゾン燻蒸機182は、テント102内の空気を吸引してオゾン分解触媒356によって吸引した空気に含まれるオゾンを酸素に変化させ、この空気をテント102の外部に放出する。
【0077】
ここで、空気清浄機181がテント102内の空気を清浄化する場合、空気清浄機181がテント102内の空気を吸引する。また、オゾン燻蒸機182がテント102内の空気のオゾン分解を行う場合、オゾン燻蒸機182がテント102内の空気を吸引する。これらの場合はいずれも、テント102内は陰圧になる。このため、テント102の外部の空気が隙間SPからテント102の内部に入り込むことはあっても、テント102内の空気が外部に漏れることは無い。また、オゾン燻蒸機182がテント102内をオゾン燻蒸する場合、オゾン燻蒸機182はテント102の外部から取り入れた空気内の酸素からオゾンを生成し、テント102内に放出する。そこで、テント102内を陰圧にするために、操作者は空気清浄機181を作動させ、テント102内の空気を陰圧に保つようにする。なお、変形例として、オゾン燻蒸機182の空気導入口302とテント102とを連通するパイプを設け、オゾン燻蒸機182がテント102内の空気を吸い込んでオゾンを生成し、オゾン燻蒸機182が生成したオゾンをオゾン排出口303からテント102内に排出するようにしてもよい。この場合は、操作者は空気清浄機181を作動させても、作動させなくてもよい。
【0078】
本実施の形態の隔離室形成装置101でも、操作者は、テント102の外側で、空気清浄燻蒸機103にテント102内の空気清浄を行わせる操作も、空気清浄燻蒸機103内にオゾン燻蒸を行わせる操作もできる。つまり、操作者は、病原体やオゾンに接触することはない。従って、操作者は、病原体やオゾンに接触するという危険にさらされることなく、感染患者151を隔離するためのテント102内の空気の清浄化や燻蒸を安全に行うことができる。
【0079】
次いで、さらに別の実施の形態(第三の実施の形態)について、図11ないし図14について説明する。本実施の形態は、第二の実施の形態に基づくものである。この場合、第二の実施の形態と同一の部分には同一の符号を用い、説明も省略する。
【0080】
図11は、隔離室形成装置101の全体を示す模式図である。本実施の形態の隔離室形成装置101では、燻蒸部103Bは、空気清浄機181及びオゾン燻蒸機182の両方によって実現される。また、テント102は、オゾン分解用孔122を有していない。また、隔離室形成装置101は、連結パイプ121も備えていない。
【0081】
図12は、オゾン燻蒸機182の構造を示す模式図である。オゾン燻蒸機182は、第二の実施の形態のオゾン燻蒸機182(図10参照)の構造をさらに簡略化したものである。
【0082】
すなわち、オゾン燻蒸機182のハウジング301には、空気導入口302及びオゾン排出口303が形成されているが、オゾン吸気口351及びオゾン分解済排気口352は形成されていない。また、オゾン燻蒸機182は、テント102内のオゾン分解を行う機能を備えておらず、このために、風洞353、蛍光灯354、点灯回路(図示せず)、光触媒355、オゾン分解触媒356、高性能脱臭フィルタ357、カーボンシルク358、ファン359、マイナスイオン発生器360及びモータ361を備えていない。
【0083】
そして、オゾン燻蒸機182に備わる制御回路315は、図6に示す処理のうち、ステップS201及びステップS203の処理のみを実行する。すなわち、制御回路315は、操作デバイス313から入力されるオゾン燻蒸命令の制御信号の入力を判定した場合(ステップS201のY)、燻蒸用オゾン発生器304及び燻蒸用エアポンプ314を制御し、これらを駆動して、テント102内にオゾンを放出する(ステップS203)。
【0084】
図13は、オゾン分解を行う際の空気清浄機181の制御の流れについて示すフローチャートある。本実施の形態では、燻蒸後に残存するテント102内のオゾンの分解は、空気清浄機181が担当する。
【0085】
空気清浄機181が備える制御回路226は、操作デバイス223やリモートコントローラRMを用いて入力されるオゾン分解命令の制御信号の入力を判定した場合(ステップS301のY)、オゾンの回収を実行する(ステップS302)。より詳細には、制御回路226は、ステップS302において、蛍光灯225の点灯回路(図示せず)、マイナスイオン発生器213を制御し、これらを駆動する。ここで重要なのは、このとき制御回路226は、清浄用オゾン発生器206aや清浄用エアポンプ206aaを制御せず、清浄用オゾン発生器206aにオゾンを発生させないという点である。続いて、制御回路226は、モータ224を制御してファン212を動かし、風洞204内の空気を吸気口202側から排気口203側に送り出す。すなわち、本実施の形態では、吸気口202はオゾン吸気口としての役割も果たし、また、吸気口202は第3の連通構造としても機能する。
【0086】
図11及び図12を参照する。このような隔離室形成装置101において、テント102に感染患者151が収容されている場合、操作者は、空気清浄機181の操作デバイス223やリモートコントローラRMを操作して空気清浄機181に空気清浄命令を操作入力し、空気清浄機181にテント102内の空気を清浄化する。
【0087】
また、感染患者151がテント102内に滞在した後にそこから去った場合、操作者は、オゾン燻蒸機182の操作デバイス313やリモートコントローラRMを操作してオゾン燻蒸機182にオゾン燻蒸命令を入力し、オゾン燻蒸機182にテント102内を燻蒸させる。そして、操作者は、空気清浄機181の操作デバイス223やリモートコントローラRMを操作して空気清浄機181にオゾン分解命令を入力し、空気清浄機181にテント102内のオゾンを回収させる。
【0088】
ここで、本実施の形態では、オゾン燻蒸機182は、テント102の外部から空気を吸い込み、この吸い込んだ空気に含まれる酸素からオゾンを生成してテント102内に送り込む。このため、オゾン燻蒸によってテント102内が陽圧になり、テント102が有する隙間からオゾンが漏れ出すおそれがある。このため、本実施の形態では、操作者は、オゾン燻蒸機182を起動してテント102内のオゾン燻蒸を行う際、空気清浄機181も同時に起動し、テント102内が陽圧にならない程度の出力で、テント102内の空気を空気清浄機181に排出させる必要がある。オゾン燻蒸機182を所定時間作動させた後、操作者は、操作デバイス313から操作入力を行ってこのオゾン燻蒸機182を停止する。このことにより、テント102に残存するオゾンが、空気清浄機181によって酸素に変化した後にテント102の外部に放出される。テント102内のオゾンが消え去った段階で、操作者は、操作デバイス223から操作入力を行って空気清浄機181を停止する。なお、変形例として、オゾン燻蒸機182の空気導入口302とテント102とを連通するパイプを設け、オゾン燻蒸機182がテント102内の空気を吸い込んでオゾンを生成し、オゾン燻蒸機182が生成したオゾンをオゾン排出口303からテント102内に排出するようにしてもよい。この場合は、操作者は、オゾン燻蒸機182にテント102内のオゾン燻蒸をさせる間は、空気清浄機181を作動させても、作動させなくてもよい。無論、操作者は、空気清浄機181にテント102内のオゾンを分解させるためには、この空気清浄機181を作動させる必要がある。
【0089】
本実施の形態の隔離室形成装置101でも、操作者は、テント102の外側で、空気清浄機181にテント102内の空気清浄を行わせる操作と、オゾン燻蒸機182にテント102内のオゾン燻蒸を行わせる操作との、いずれをも行なうことができる。つまり、操作者は、病原体やオゾンに接触することはない。従って、操作者は、病原体やオゾンに接触するという危険にさらされることなく、感染患者151を隔離するためのテント102内の空気の清浄化や燻蒸を安全に行うことができる。
【0090】
さらに本実施の形態の隔離室形成装置101では、構造が簡略化されたオゾン燻蒸機182を採用することができる。このため、隔離室形成装置101の製造コストの低減化が図れるとともに、隔離室形成装置101の設置及び撤去が容易となる。
【0091】
図14は、本実施の形態の空気清浄機181及びオゾン燻蒸機182の変形例を示す斜視図である。隔離室形成装置101では、直方体形状のハウジング401を用いて、空気清浄機181とオゾン燻蒸機182とを収納して一体化することもできる。ハウジング401は、直方体形状を有する。ハウジング401は、下面四隅に、キャスタ402を備える。また、ハウジング401は、上面と一側面とを有さず、そこに開口部403が形成される。空気清浄機181及びオゾン燻蒸機182は、開口部403から導入され、ハウジング401の底面に載置される。ハウジング401は、底面に、空気清浄機181に備わるキャスタ221を位置決めする窪み404を形成している。空気清浄機181に備わるキャスタ221がこの窪み404に入ると、空気清浄機181はハウジング401から脱落しなくなる。また、オゾン燻蒸機182に備わるキャスタ311がこの窪み404に入ると、オゾン燻蒸機182はハウジング401から脱落しなくなる。このとき、空気清浄機181に形成される吸気口202と、オゾン燻蒸機182に形成されるオゾン排出口303とは、図14に示すように、横並びとなる。そして、テント102の排気孔110に繋がる連結パイプ109の端部は、吸気口202に連結する。また、テント102のオゾン導入孔112に繋がる連結パイプ111は、オゾン排出口303に連結する。そして、空気清浄機181に形成される排気口203と、オゾン燻蒸機182に形成される空気導入口302とは、いずれも上方に向く。
【0092】
本実施の形態の隔離室形成装置101によっても、空気清浄機181及びオゾン燻蒸機182はいずれも、テント102の外部に設置されている。このため、操作者は、テント102の外側にいながら、テント102内の空気の陰圧化及び清浄化、並びに、テント102内の空気のオゾン燻蒸のいずれをも行うことができる。従って、操作者は、病原体やオゾンに接触するという危険にさらされることなく、感染患者151を隔離するためのテント102内の空気の清浄化や燻蒸を安全に行うことができる。
【0093】
さらに、本実施の形態の隔離室形成装置101では、空気清浄機181とオゾン燻蒸機182とがハウジング401によって一体化されている。このため、隔離室形成装置101を設置する設置者は、隔離室形成装置101を底面107に設置する際に、空気清浄機181及びオゾン燻蒸機182を設置する手間を簡略化することができる。
【符号の説明】
【0094】
101 隔離室形成装置
102 テント
103 空気清浄燻蒸機(空気清浄部、燻蒸部)
103A 空気清浄部
103B 燻蒸部
109 連結パイプ(第1の連通構造、第3の連通構造)
111 連結パイプ(第2の連通構造)
121 連結パイプ(第3の連通構造)
151 感染患者
181 空気清浄機(空気清浄部)
182 オゾン燻蒸機(燻蒸部)
201 ハウジング
202 吸気口(オゾン吸気口)
203 排気口
206 オゾン発生器(第1のオゾン発生器、第2のオゾン発生器)
206a 清浄用オゾン発生器(第1のオゾン発生器)
206b 燻蒸用オゾン発生器(第2のオゾン発生器)
206d オゾンの発生箇所
208 オゾン分解触媒(第1のオゾン分解触媒)
211 HEPAフィルタ
217 通信部(第1の操作入力部)
223 操作デバイス(第1の操作入力部、第2の操作入力部)
303 オゾン排出口
304 オゾン発生器(第2のオゾン発生器)
313 操作デバイス(第2の操作入力部)
317 通信部(第2の操作入力部)
351 オゾン吸気口
356 オゾン分解触媒(第2のオゾン分解触媒)
RM リモートコントローラ(第1の操作入力部、第2の操作入力部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感染患者を隔離収容する非気密性のテントと、
吸気口と、排気口と、第1のオゾン発生器と、操作入力を行うための第1の操作入力部と、オゾンを酸素に変化させる第1のオゾン分解触媒と、微粒子を捕集するHEPAフィルタと、を備え、前記第1の操作入力部からの操作入力に応じて前記吸気口から空気を吸引し、この吸引した空気を前記第1のオゾン発生器によるオゾンの発生箇所及び前記オゾン分解触媒の順に通過させ、かつ、前記HEPAフィルタに通過させて前記排気口から排出する空気清浄部と、
第2のオゾン発生器と、オゾン排出口と、オゾン吸気口と、操作入力を行うための第2の操作入力部と、オゾンを酸素に変化させる第2のオゾン分解触媒と、を備え、前記第2の操作入力部からの操作入力に応じて前記第2のオゾン発生器にオゾンを発生させて前記オゾン排出口に向けて送り出すオゾン放出と、この排出したオゾンを含む空気を前記オゾン吸気口から吸引して前記第2のオゾン分解触媒に通過させるオゾン回収と、を行う燻蒸部と、
前記テントの外部に設置された前記空気清浄部の吸気口と当該テントの内部空間とを連通し、前記テント内の空気を前記空気清浄部に導く第1の連通構造と、
前記テントの外部に設置された前記燻蒸部のオゾン排出口と当該テントの内部空間とを連通し、前記燻蒸部で発生するオゾンを前記テントの内部に導く第2の連通構造と、
前記テントの外部に設置された前記燻蒸部のオゾン吸気口と当該テントの内部空間とを連通し、前記テントの内部の空気を前記燻蒸部に導く第3の連通構造と、
を備える隔離室形成装置。
【請求項2】
前記HEPAフィルタは、前記空気清浄部を通過する気体の経路における前記オゾン分解触媒の下流側に設けられる、
請求項1記載の隔離室形成装置。
【請求項3】
前記空気清浄部と前記燻蒸部とは、前記吸気口と前記排気口と前記オゾン排出口と前記オゾン吸気口と前記第1の操作入力部と前記第2の操作入力部とを有する単一のハウジングに収納されている、
請求項1又は2記載の隔離室形成装置。
【請求項4】
前記空気清浄部と前記燻蒸部とは、単一のオゾン発生器によって前記第1のオゾン発生器と前記第2のオゾン発生器とを共用する、
請求項3記載の隔離室形成装置。
【請求項5】
前記空気清浄部と前記燻蒸部とは、単一のオゾン分解触媒によって前記第1のオゾン分解触媒と前記第2のオゾン分解触媒とを共用する、
請求項3又は4記載の隔離室形成装置。
【請求項6】
前記空気清浄部と前記燻蒸部とは、前記ハウジングに形成された単一の吸気口によって前記吸気口と前記オゾン吸気口とを共用し、
前記単一の吸気口と前記テントの内部空間とを連通する単一構造によって前記第1の連通構造と前記第3の連通構造とを共用する、
請求項3、4又は5記載の隔離室形成装置。
【請求項7】
感染患者を隔離収容する非気密性のテントの外部に設置され、吸気口と、排気口と、第1のオゾン発生器と、操作入力を行うための第1の操作入力部と、オゾンを酸素に変化させる第1のオゾン分解触媒と、微粒子を捕集するHEPAフィルタと、を備える空気清浄部が、前記第1の操作入力部からの操作入力に応じて前記吸気口から当該テントの内部の空気を吸引し、この吸引した空気を前記第1のオゾン発生器によるオゾンの発生箇所及び前記オゾン分解触媒の順に通過させ、かつ、前記HEPAフィルタに通過させて前記排気口から排出する工程と、
前記テントの外部に設置され、第2のオゾン発生器と、オゾン排出口と、オゾン吸気口と、操作入力を行うための第2の操作入力部と、オゾンを酸素に変化させる第2のオゾン分解触媒と、を備える燻蒸部が、前記第2の操作入力部からの操作入力に応じて前記第2のオゾン発生器にオゾンを発生させて前記オゾン排出口に向けて送り出すオゾン放出工程と、
前記燻蒸部が、前記オゾン排出口から排出したオゾンを含む空気を前記オゾン吸気口から吸引して前記第2のオゾン分解触媒に通過させるオゾン回収工程と、
を備える隔離室清浄燻蒸方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−264076(P2010−264076A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−118092(P2009−118092)
【出願日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(000198330)株式会社IHIシバウラ (74)
【Fターム(参考)】