説明

隙間用除塵ブラシ

【課題】 パソコンのキーボードや、電卓、家電製品のリモコン等の物品の外面上に形成される微小な隙間内にある塵等を確実に除去することのできる隙間用除塵ブラシを提供する。
【解決手段】 物品の外面上に形成される隙間内の塵等を除去するための隙間用除塵ブラシであって、使用者が把持又は摘持できるように形成された本体部と、該本体部の少なくとも一端部に連設された第一ブラシ部とを備え、第一ブラシ部は、帯電性を有する複数の毛を一束にして形成されるとともに、複数の毛の基端側が本体部に接続され、前記複数の毛の少なくとも毛先部が前記隙間に挿入可能に構成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品の外面上に形成される隙間内の塵や埃を除去するための隙間用除塵ブラシに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電化製品や置物等の物品に付着した塵や埃を除去する除塵ブラシが提供されている。
【0003】
かかる除塵ブラシは、使用者が把持する本体部(ブラシ台)に対して複数の毛が一束にになって植設されている。そして、この種の除塵ブラシには、複数の毛が擦れ合うことで静電気が帯電し、その静電気によって塵や埃を吸着するようにしたものが提供されている。
【0004】
かかる除塵ブラシは、複数の毛(毛自体)のそれぞれに帯電した静電気で塵や埃を吸着できるため、塵や埃を効率的に除去できるとされている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3133017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、従来の除塵ブラシ(静電除塵ブラシ)は、物品の外面上の塵や埃を除去する際に、塵や埃を効率的に除去できる(物品の外面上の広い領域と接触できる)よう、各毛の径が太く、また複数の毛の束径が大きくなっている。
【0007】
そのため、従来の除塵ブラシでは、パソコンのキーボードや、電卓、家電製品のリモコン等の物品の外面上に形成される微小な隙間(例えば、キーボード等のキー間)に対して全く毛が入らずに隙間内の除塵を行うことができない場合がある。また、物品上の微小な隙間に毛が入ったとしても、限られた数(一本乃至数本)の毛だけが侵入することになる結果、隙間内の塵や埃を効率的に払い退けることができず、また、隙間内で作用する静電気の容量も小さくなり、微小な隙間内の除塵を確実にできないといった問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、斯かる実情に鑑み、パソコンのキーボードや、電卓、家電製品のリモコン等の物品の外面上に形成される微小な隙間内にある塵や埃を確実に除去することのできる隙間用除塵ブラシを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る隙間用除塵ブラシは、物品の外面上に形成される隙間内の塵や埃を除去するための隙間用除塵ブラシであって、使用者が把持又は摘持できるように形成された本体部と、該本体部の一端部に連設された第一ブラシ部とを備え、第一ブラシ部は、帯電性を有する複数の毛を一束にして形成されるとともに、複数の毛の基端側が本体部に接続され、前記複数の毛の少なくとも毛先部が前記隙間に挿入可能に構成されていることを特徴とする。
【0010】
上記構成の隙間用除塵ブラシによれば、第一ブラシ部(複数の毛)の先端(毛先)側の全体を物品の外面上に形成される隙間内に挿入することができる。これにより、物品の隙間内にある塵や埃を複数の毛で物理的に集めつつ各毛に帯電した静電気でその塵や埃を吸着することができる。また、ブラシ部(毛)の毛先が隙間の奥にまで到達できるため、上述のように物理的に集めた塵や埃以外にもその周辺の塵や埃を各毛に帯電した静電気で吸着することができる。従って、ブラシ部を物品の隙間から引き出すことで、隙間内の塵や埃を取り出す(除去する)ことができる。
【0011】
本発明の一態様として、第一ブラシ部は、複数の毛のそれぞれの毛先部が先細りに形成されてもよい。このようにすれば、各毛の毛先部間に適度な隙間が形成される(各毛の表面同士が離れる)ことになり、静電気の帯電した各毛の先端側(毛先)の表面に塵や埃が効率的に吸着され易くなり、隙間内の塵や埃を効率的に除去することができる。
【0012】
また、本発明の他態様として、第一ブラシ部が本体部の一端に連設されるとともに、本体部の他端に複数の毛を束ねた第二ブラシ部が連設され、第二ブラシ部は、第一ブラシ部と複数の毛の束径が同径に設定され、前記複数の毛の少なくとも毛先部が前記隙間に挿入可能に構成されてもよい。このようにすれば、第一ブラシ部の形態が不適切な状態になって、塵や埃を除去しにくくなったときに、第二ブラシ部で隙間内の塵や埃を除去することができる。
【0013】
さらに、本発明の別の態様として、第一ブラシ部が本体部の一端に連設されるとともに、本体部の他端に複数の毛を束ねた第二ブラシ部が連設され、第二ブラシ部は、第一ブラシ部よりも複数の毛の束径が大径に設定されてもよい。このようにすれば、本体部の一端に連設されたブラシ部(毛)で隙間内の塵や埃を引き出し、これに伴って物品の外面上に落ちた塵や埃を本体部の他端に連設された第二ブラシ部で払い除けることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の隙間用除塵ブラシによれば、パソコンのキーボードや、電卓、家電製品のリモコン等の物品の外面上に形成される微小な隙間内にある塵や埃を確実に除去することができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第一実施形態に係る隙間用除塵ブラシの説明図であって、(a)は、全体斜視図を示し、(b)は、第一ブラシ部(又は第二ブラシ部)の束形状を説明するための第一ブラシ部(又は第二ブラシ部)の断面図を示す。
【図2】第一実施形態に係る隙間用除塵ブラシの使用状態の説明図であって、(a)は、物品の表面上に形成される隙間に第一ブラシ部(又は第二ブラシ部)を挿入した状態の斜視図を示し、(b)は、物品の表面上に形成される隙間に第一ブラシ部(又は第二ブラシ部)を挿入した状態の該第一ブラシ部(又は第二ブラシ部)の平面図を示す。
【図3】本発明の第二実施形態に係る隙間用除塵ブラシの全体斜視図を示す。
【図4】第二実施形態に係る隙間用除塵ブラシの部分拡大図であって、(a)は、図3のA部(第一ブラシ部)の部分拡大図を示し、(b)は、図3のB部(第二ブラシ部)の部分拡大図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の第一実施形態に係る隙間用除塵ブラシについて、添付図面を参照しつつ説明する。
【0017】
かかる隙間用除塵ブラシは、パソコンのキーボードや、電卓、家電製品のリモコン等の物品の外面上に形成される隙間内の塵や埃(以下、塵等という)を除去するためのもので、図1(a)に示す如く、使用者が把持又は摘持できるように形成された本体部10と、該本体部10の一端に連設された第一ブラシ部20とを備えている。また、本実施形態に係る隙間用除塵ブラシ1は、前記第一ブラシ部20の他に、本体部10の他端に連設された第二ブラシ部30をさらに備えている。
【0018】
本実施形態に係る本体部10は、使用者が把持又は摘持できるように細長く形成されている。すなわち、本実施形態に係る本体部10は、外観棒状に成形されている。該本体部10は、金属や樹脂等の各種材料で成形することができ、本実施形態では、合成樹脂で成形されている。
【0019】
前記第一ブラシ部20は、図1(a)及び図1(b)に示す如く、帯電性を有する複数の毛21…を一束にして形成されるとともに、複数の毛21…の基端側が本体部10に接続されている。本実施形態に係る第一ブラシ部20(複数の毛21…)は、断面形状(束形状)が略円形に設定され、その基端部が本体部10に接続されている。
【0020】
そして、第一ブラシ部20は、複数の毛21…の少なくとも毛先部22が物品の隙間に挿入可能に構成されている。すなわち、第一ブラシ部20は、複数の毛21…が円形状の束形状を維持した状態、或いは、複数の毛21…が円形状の束形状から扁平形状の束形状に崩れた状態で物品上に形成される隙間に挿入可能に構成される。本実施形態に係る隙間用除塵ブラシ1は、パソコンのキーボード上に形成される隙間(キーK,K間の隙間)N内の塵等を除去することを対象としており、第一ブラシ部20は、複数の毛21…の束径D1がキー間の隙間よりも大径に設定され、複数の毛21…の少なくとも毛先部22側の束形状が扁平状になることで、キーK,K間の隙間N(例えば、1〜2mmの隙間N)に挿入できるようになっている(図2(a)及び図2(b)参照)。
【0021】
第一ブラシ部20を構成する各毛21…は、可撓性を有している。そして、本実施形態に係る第一ブラシ部20は、各毛21…が全長に亘って略同径に設定されており、本実施形態において、各毛21…の外径が0.05mm〜0.15mmに設定されている。そして、第一ブラシ部20は、植毛密度が30本/mm2 〜90本/mm2 に設定されている。
【0022】
前記第一ブラシ部20を構成する毛21…は、静電気を帯電できるものであれば天然素材(植物繊維や動物の毛等)で形成したり、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系合成樹脂や、ポリアミド系合成樹脂、ポリアクリロニトリル系合成樹脂、ポリオレフィン系合成樹脂、ポリウレタン系合成樹脂等の合成樹脂で形成したりすることができる。
【0023】
本実施形態に係る第一ブラシ部20を構成する毛21…は、合成樹脂で形成されており、静電気を効率的に帯電できるようにポリブチレンテレフタレートで構成されている。これに伴い、第一ブラシ部20は、複数の毛21…を一束にした上で、全ての毛21…の基端同士を加熱溶着させることで、複数の毛21…が一束にされている。なお、本実施形態において、複数の毛21…の基端同士を加熱溶着してこれらを一体的に形成したが、例えば、接着剤を介して複数の毛21…の基端部同士を接着して一体的に形成してもよい。
【0024】
上記構成の第一ブラシ部20は、複数の毛21…の基端部(加熱溶着して一体化した端部)が、本体部10に接続されている。本実施形態においては、本体部10の一端部に第一ブラシ部20の基端部(一束にされた複数の毛21…の基端部)を挿入可能な凹部又は穴(図示しない)が形成されており、第一ブラシ部20の基端部を本体部10の凹部又は穴に嵌入することで、該基端部を本体部10に接続するようにしている。なお、本体部10に対する第一ブラシ部20の接続をよりいっそう強固にするには、本体部10の凹部又は穴に第一ブラシ部20の基端部を嵌入するのに併せ、本体部10の凹部又は穴に接着剤を充填し、第一ブラシ部20と本体部10とを接着するようにしても勿論よい。
【0025】
前記第二ブラシ部30は、帯電性を有する複数の毛31…を一束にして形成されるとともに、複数の毛31…の基端側が本体部10に接続されている。本実施形態に係る第二ブラシ部30(複数の毛31…)は、断面形状(束形状)が略円形に設定され、その基端部が本体部10に接続されている。
【0026】
そして、第二ブラシ部30は、複数の毛31…の少なくとも毛先部32が物品の隙間Nに挿入可能に構成されている。すなわち、第二ブラシ部30は、複数の毛31…が円形状の束形状を維持した状態、或いは、複数の毛31…が円形状の束形状から扁平形状に束形状に崩れた状態で物品上に形成される隙間に挿入可能に構成される(図2(a)及び図2(b)参照)。
【0027】
本実施形態に係る第二ブラシ部30は、第一ブラシ部20と同様に、複数の毛31…の束径D2がキーK,K間の隙間Nよりも大径に設定され、複数の毛31…の束形状が扁平状になることで、キーK,K間の隙間Nに挿入できるようになっている。なお、第二ブラシ部30は、複数の毛31…の束径D2を第一ブラシ部20の毛21…の束径D1よりも大径に設定してもよいが、本実施形態に係る第二ブラシ部30における毛31…の束径D2は、第一ブラシ部20における毛21…の束径D1と同径に設定されている。
【0028】
前記第二ブラシ部30を構成する各毛31…は、可撓性を有している。そして、本実施形態に係る第二ブラシ部30は、各毛31…が全長に亘って略同径に設定されており、本実施形態において、各毛31…の外径が0.05mm〜0.15mmに設定されている。そして、第二ブラシ部30は、植毛密度が30本/mm2 〜90本/mm2 に設定されている。
【0029】
前記第二ブラシ部30を構成する毛31…は、静電気を帯電できるものであれば天然素材(植物繊維や動物の毛等)で形成したり、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系合成樹脂や、ポリアミド系合成樹脂、ポリアクリロニトリル系合成樹脂、ポリオレフィン系合成樹脂、ポリウレタン系合成樹脂等の合成樹脂で形成したりすることができる。
【0030】
本実施形態に係る第二ブラシ部30を構成する毛31…は、合成樹脂で形成されており、静電気を効率的に帯電できるようにポリブチレンテレフタレートで構成されている。これに伴い、第二ブラシ部30は、複数の毛31…を一束にした上で、全ての毛31…の基端同士を加熱溶着させることで、複数の毛31…が一束にされている。なお、本実施形態において、複数の毛31…の基端同士を加熱溶着してこれらを一体的に形成したが、例えば、接着剤を介して複数の毛31…の基端部同士を接着して一体的に形成してもよい。
【0031】
上記構成の第二ブラシ部30は、複数の毛31…の基端部(加熱溶着して一体化した端部)が、本体部10に接続されている。本実施形態においては、本体部10の他端部に第二ブラシ部30の基端部(一束にされた複数の毛31…の基端部)を挿入可能な凹部又は穴が形成されており、第二ブラシ部30の基端部を本体部10の凹部又は穴に嵌入することで、該基端部を本体部10に接続するようにしている。なお、本体部10に対する第二ブラシ部30の接続をよりいっそう強固にするには、本体部10の凹部又は穴に第二ブラシ部30の基端部を嵌入するのに併せ、本体部10の凹部又は穴に接着剤を充填し、第二ブラシ部30と本体部10とを接着するようにしても勿論よい。
【0032】
本実施形態に係る隙間用除塵ブラシ1は、以上の構成からなり、パソコンのキーボードのキー間(隙間内)の塵等を除去する場合、図2(a)及び図2(b)に示す如く、第一ブラシ部20を隙間Nに挿入し、その隙間Nに沿って第一ブラシ部20を移動させることで、隙間N内の塵等が毛21…によって物理的に掻き寄せられることになる。また、このように第一ブラシ部20を隙間N内で移動させると、第一ブラシ部20を構成する複数の毛21…同士が擦れ合うことになり、この擦れに伴って発生する静電気が各毛21…に帯電し、物理的に掻き寄せた塵等だけでなく、第一ブラシ部20の移動に伴って隙間N内で毛21…が通過する領域の周辺にある塵等が静電気によって各毛21…に吸着されることになる。すなわち、パソコンのキーボードは、各キーK,K間に隙間Nが形成されるだけでなく、キーKの下方に前記隙間Nと連通する空間(図示しない)が形成されているので、上述の如く、第一ブラシ部20を隙間N内で移動させると、キーKの下方にある空間内の塵等が毛21…に吸着されることになる。
【0033】
従って、第一ブラシ部20を隙間に沿って一通り移動させた後に、第一ブラシ部20(毛21…)を隙間Nから抜き出すと、前記隙間Nや前記空間の内部にあった塵等が第一ブラシ部20に付着した状態で外部に出されることになる。このとき、第一ブラシ部20に付着した塵等がキーボード(キー)上に落下してしまうことがあるが、このような場合には、隙間Nに比して非常に広い領域に塵等が落ちることになるので、第一ブラシ部20又は第二ブラシ部30でキーボード上の塵等を払い除けることで、効率的に塵等を除去することができる。
【0034】
本実施形態に係る隙間用除塵ブラシ1は、第二ブラシ部30も静電気が帯電するようになっているため、第一ブラシ部20を構成する複数の毛21…が曲がったりちぎれたりして初期の形態を維持できなくなった場合に、第一ブラシ部20に代えて第二ブラシ部30で物品上に形成される隙間Nに挿入して塵等を除去することができる。
【0035】
以上のように、本実施形態に係る隙間用除塵ブラシ1は、使用者が把持又は摘持できるように形成された本体部10と、該本体部10の一端部に連設された第一ブラシ部20とを備え、第一ブラシ部20は、帯電性を有する複数の毛21…を一束にして形成されるとともに、複数の毛21…の基端側が本体部10に接続され、前記複数の毛21…の少なくとも毛先部22が物品上の隙間Nに挿入可能に構成されているため、第一ブラシ部20(複数の毛21…)の先端(毛先)側を物品の外面上に形成される隙間内に挿入することができる。これにより、物品の隙間内にある塵等を複数の毛21…で物理的に集めつつ各毛21…に帯電した静電気でその塵等を吸着することができる。また、第一ブラシ部20(毛21…)の毛先が隙間の奥にまで到達できるため、上述のように物理的に集めた塵等以外にもその周辺の塵等を各毛21…に帯電した静電気で吸着することができる。従って、第一ブラシ部20を物品の隙間Nから引き出すことで、隙間N内の塵等を取り出す(除去する)ことができる。
【0036】
そして、第一ブラシ部20が本体部10の一端に連設されるとともに、本体部10の他端に複数の毛を束ねた第二ブラシ部30が連設されているため、第一ブラシ部20が塵等を除去する(隙間Nに挿入する)のに不適切な状態になったときに、第一ブラシ部20に代えて第二ブラシ部30で隙間N内の塵等を除去することができる。
【0037】
また、第一ブラシ部20及び第二ブラシ部30の複数の毛21…,31…のそれぞれがポリブチレンテレフタレートで成形されているので、第一ブラシ部20及び第二ブラシ部30(複数の毛21…,31…)が隙間N内に進入したときに撓み易いだけでなく、材質的に帯電性能に優れている。これにより、隙間N内の塵等を確実に除去することができる。
【0038】
次に、本発明の第二実施形態に係る隙間用除塵ブラシについて、添付図面を参照しつつ説明する。なお、本実施形態に係る除塵用ブラシは、第一実施形態の隙間用除塵ブラシの各構成と対応する構成を備えているため、それらの構成については同一名称及び同一符号を付すこととする。
【0039】
かかる隙間用除塵ブラシ1は、第一実施形態と同様、パソコンのキーボードや、電卓、家電製品のリモコン等の物品の外面上に形成される隙間内の塵等を除去するためのもので、図3に示す如く、使用者が把持又は摘持できるように形成された本体部10と、該本体部10の一端に連設された第一ブラシ部20とを備えている。また、本実施形態に係る隙間用除塵ブラシ1は、前記第一ブラシ部20の他に、本体部10の他端に連設された第二ブラシ部30をさらに備えている。
【0040】
本実施形態に係る本体部10は、使用者が把持又は摘持できるように細長く形成されている。すなわち、本実施形態に係る本体部10は、外観棒状に成形されている。該本体部10は、金属や樹脂等の各種材料で成形することができ、本実施形態では、合成樹脂で成形されている。
【0041】
前記第一ブラシ部20は、帯電性を有する複数の毛21…を一束にして形成されるとともに、複数の毛21…の基端側が本体部10に接続されている。本実施形態に係る第一ブラシ部20(複数の毛21…)は、第一実施形態と同様、断面形状(束形状)が略円形に設定され、その基端部が本体部10に接続されている。
【0042】
そして、第一ブラシ部20は、複数の毛21…の少なくとも毛先部22が物品の隙間に挿入可能に構成されている。すなわち、第一ブラシ部20は、複数の毛21…のそれぞれの毛先部22が円形状の束形状を維持した状態、或いは、複数の毛21…のそれぞれの毛先部22が円形状の束形状から扁平形状に束形状に崩れた状態で物品上に形成される隙間に挿入可能に構成される。本実施形態に係る隙間用除塵ブラシ1は、パソコンのキーボード上に形成される隙間(キー間の隙間)内の塵等を除去することを対象としており、第一ブラシ部20は、複数の毛21…の束径D1がキー間の隙間よりも大径に設定され、複数の毛21…の少なくとも毛先部22側の束形状が扁平状になることで、キー間の隙間(例えば、1〜2mmの隙間)に挿入できるようになっている。
【0043】
前記第一ブラシ部20を構成する各毛21…は、可撓性を有している。そして、本実施形態に係る第一ブラシ部20は、図4(a)に示す如く、各毛21…が先細りに形成されている。具体的には、各毛21…は、基端側の径(線径)d1が0.05mm〜0.15mmに設定され、毛先部22のみが先細りに形成されている。
【0044】
そして、第一ブラシ部20を構成する毛21…の先端側(毛先部22)が先細りに形成され、且つ基端側の径(毛21…の最大径)d1が、上述の0.05mm〜0.15mmであることを前提に、第一ブラシ部20は、植毛密度が30本/mm2 〜100本/mm2 に設定されている。
【0045】
前記第一ブラシ部20を構成する毛21…は、静電気を帯電できるものであれば天然素材(植物繊維や動物の毛等)で形成したり、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系合成樹脂や、ポリアミド系合成樹脂、ポリアクリロニトリル系合成樹脂、ポリオレフィン系合成樹脂、ポリウレタン系合成樹脂等の合成樹脂で形成したりすることができる。
【0046】
本実施形態に係る第一ブラシ部を構成する毛21…は、合成樹脂で形成されており、静電気を効率的に帯電できるようにポリブチレンテレフタレートで構成されている。これに伴い、第一ブラシ部20は、複数の毛21…を一束にした上で、全ての毛21…の基端同士を加熱溶着させることで、複数の毛21…が一束にされている。なお、本実施形態において、複数の毛21…の基端同士を加熱溶着してこれらを一体的に形成したが、例えば、接着剤を介して複数の毛21…の基端部同士を接着して一体的に形成してもよい。
【0047】
図3に戻り、上記構成の第一ブラシ部20は、複数の毛21…の基端部(加熱溶着して一体化した端部)が、本体部10に接続されている。本実施形態においては、第一ブラシ部20は、接着剤を介して本体部10に接続(接着)されている。そして、本実施形態に係る隙間用除塵ブラシ1は、筒状のカバー材40で本体部10と第一ブラシ部20との接続箇所が被覆されている。本実施形態に係るカバー材40は、熱収縮性のある樹脂シート(いわゆる、シュリンクフィルム)で構成されている。すなわち、カバー材40は、本体部10と第一ブラシ部20との接続部分に外嵌した筒状のシュリンクフィルムの周囲を加熱することで、該シュリンクフィルムが熱収縮して形成されたものである。そのため、本実施形態に係る隙間用除塵ブラシ1のカバー材40は、本体部10の一端部及び第一ブラシ部20の基端部に沿った体裁のよいものとなっている。
【0048】
前記第二ブラシ部30は、複数の毛31…の基端部を一束にして形成されるとともに、複数の毛31…の基端部が本体部10に連結されている。そして、第二ブラシ部30は、複数の毛31…の束径D2が第一ブラシ部20の束径D1よりも大径に設定されている。
【0049】
本実施形態に係る第二ブラシ部30は、図4(b)に示す如く、全長に亘って同径に設定されている。具体的には、各毛31…は、全長に亘って外径d2が0.05mm〜0.15mmに設定されている。そして、第二ブラシ部30は、植毛密度が30本/mm2 〜250本/mm2 に設定されている。なお、本実施形態に係る第二ブラシ部30の植毛密度が、第一ブラシ部20の直毛密度の範囲の一部と重なっているのは、第二ブラシ部30の植毛密度を第一ブラシ部20の植毛密度よりも粗にすることにより、第二ブラシ部30の束径D2が第一ブラシ部20よりも大径に設定される場合があるからである。
【0050】
前記第二ブラシ部30を構成する毛31…は、可撓性があれば材質を問わないが、本実施形態においては、第二ブラシ部30においても静電気で塵等を吸着できるように静電気を帯電する材料が採用されている。すなわち、本実施形態に係る隙間用除塵ブラシ1の第二ブラシ部30は、静電気を帯電することを前提に、天然素材(植物繊維や動物の毛等)や、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系合成樹脂や、ポリアミド系合成樹脂、ポリアクリロニトリル系合成樹脂、ポリオレフィン系合成樹脂、ポリウレタン系合成樹脂等の合成樹脂で毛31…が形成される。
【0051】
本実施形態に係る第二ブラシ部30を構成する毛31…は、第一ブラシ部20の毛21…と同様に、静電気を効率的に帯電できるようにポリブチレンテレフタレートで構成されている。これに伴い、第二ブラシ部30は、複数の毛31…を一束にした上で、全ての毛31…の基端同士を加熱溶着させることで、複数の毛31…が一束にされている。なお、本実施形態において、第一ブラシ部20と同様に、複数の毛31…の基端同士を加熱溶着してこれらを一体的に形成したが、例えば、接着剤を介して複数の毛31…の基端部同士を接着して一体的に形成してもよい。
【0052】
図3に戻り、上記構成の第二ブラシ部30は、複数の毛31…の基端部(加熱溶着して一体化した端部)が、本体部10に接続されている。本実施形態においては、第二ブラシ部30は、接着剤を介して本体部10に接続(接着)されている。そして、本実施形態に係る隙間用除塵ブラシ1は、本体部10と第二ブラシ部30との接続箇所も筒状のカバー材50で被覆されている。
【0053】
かかるカバー材50も熱収縮性のある樹脂シート(いわゆる、シュリンクフィルム)で構成されている。すなわち、カバー材50は、本体部10と第二ブラシ部30との接続部分に外嵌した筒状のシュリンクフィルムの周囲を加熱することで、該シュリンクフィルムが熱収縮して形成されたものである。そのため、本実施形態に係る隙間用除塵ブラシ1のカバー材50は、本体部10及び第二ブラシ部30の基端部に沿った体裁のよいものとなっている。
【0054】
本実施形態に係る隙間用除塵ブラシ1は、以上の構成からなり、パソコンのキーボードのキー間(隙間内)の塵等を除去する場合、第一ブラシ部20を隙間に挿入し、その隙間に沿って第一ブラシ部20を移動させることで、隙間内の塵等が毛21…によって物理的に掻き寄せられることになる。また、このように第一ブラシ部20を隙間内で移動させると、第一ブラシ部20を構成する複数の毛21…同士が擦れ合うことになり、この擦れに伴って発生する静電気が各毛21…に帯電し、物理的に掻き寄せた塵等だけでなく、第一ブラシ部20の移動に伴って隙間内で毛21…が通過する領域の周辺にある塵等が静電気によって各毛21…に吸着されることになる。すなわち、パソコンのキーボードは、各キー間に隙間が形成されるだけでなく、キーの下方に前記隙間と連通する空間が形成されているので、上述の如く、第一ブラシ部20を隙間内で移動させると、キーの下方にある空間内の塵等が毛21…に吸着されることになる。
【0055】
従って、第一ブラシ部20を隙間に沿って一通り移動させた後に、第一ブラシ部20(毛21…)を隙間から抜き出すと、前記隙間や前記空間の内部にあった塵等が第一ブラシ部20に付着した状態で外部に出されることになる。このとき、第一ブラシ部20に付着した塵等がキーボード(キー)上に落下してしまうことがあるが、このような場合には、隙間に比して非常に広い領域に塵等が落ちることになるので、第一ブラシ部20よりも太い第二ブラシ部30でキーボード上の塵等を払い除けることで、効率的に塵等を除去することができる。本実施形態に係る隙間用除塵ブラシ1は、第二ブラシ部30も静電気が帯電するようになっているため、上述のように広い領域にある塵等を除去するに際し、塵等が第二ブラシ部30に吸着される結果、再度物品(キーボード)上に塵等が落ちてしまうことが防止される。
【0056】
以上のように、本実施形態に係る隙間用除塵ブラシ1は、使用者が把持又は摘持できるように形成された本体部10と、該本体部10の一端部に連設された第一ブラシ部20とを備え、前記第一ブラシ部20は、帯電性を有する複数の毛21…を一束にして形成されるとともに、複数の毛21…の基端側が本体部10に接続され、前記複数の毛21…の少なくとも毛先部22が前記隙間に挿入可能に構成されているため、第一ブラシ部20(複数の毛21…)の先端(毛先)側を物品の外面上に形成される隙間内に挿入することができる。これにより、物品の隙間内にある塵等を複数の毛21…で物理的に集めつつ各毛21…に帯電した静電気でその塵等を吸着することができる。また、第一ブラシ部20(毛21…)の毛先が隙間の奥にまで到達できるため、上述のように物理的に集めた塵等以外にもその周辺の塵等を各毛21…に帯電した静電気で吸着することができる。従って、第一ブラシ部20を物品の隙間から引き出すことで、隙間内の塵等を取り出す(除去する)ことができる。
【0057】
また、第一ブラシ部20を構成する複数の毛21…のそれぞれがポリブチレンテレフタレートで成形されているので、第一ブラシ部20(複数の毛21…)が隙間内に進入したときに撓み易いだけでなく、材質的に帯電性能に優れている。これにより、隙間内の塵等を確実に除去することができる。
【0058】
さらに、第一ブラシ部20を構成する複数の毛21…のそれぞれは、先細りに形成されているので、隙間内の塵等を効率的に除去することができる。すなわち、全長に亘って同径又は略同径に設定された複数の毛21…を一束にして第一ブラシ部20を構成すると、複数の毛21…のそれぞれが密接して毛21…の間に塵等の介在するスペースが少なくなるため、各毛21…の表面に静電気が帯電していても塵等が吸着されにくくなるが、本実施形態のように複数の毛21…のそれぞれを先細りに形成すると、各毛21…の毛先間に適度な隙間が形成される(各毛21…の表面同士が離れる)ため、静電気の帯電した各毛の先端側(毛先)の表面に塵等が効率的に吸着されることになる。従って、本実施形態に係る隙間用除塵ブラシ1は、隙間内の塵等を効率的に除去することができる。
【0059】
そして、前記第一ブラシ部20が本体部10の一端に設けられるとともに、本体部10部の他端に第二ブラシ部30が連設され、第二ブラシ部30は、第一ブラシ部20よりも複数の毛31…の束径D2が大径に設定されているので、第一ブラシ部20(毛21…)に帯電した静電気で物品の隙間内の塵等を吸着して隙間から引き出し、これに伴って物品の外面上に落ちた塵等を第二ブラシ部30で効率的に払い除けることができる。
【0060】
尚、本発明に係る隙間用除塵ブラシは、上記何れの実施形態にも限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0061】
例えば、上記各実施形態において、本体部10の他端部に第二ブラシ部30を連設したが、これに限定されるものではなく、例えば、本体部10の一端に複数の毛21…で構成される第一ブラシ部20のみを連設してもよい。
【0062】
上記各実施形態において、物品としてのキーボードを対象に、そのキーK…間に形成される隙間Nを基準に第一ブラシ部20の外径(複数の毛21…を束ねた状態の束径D1)を設定したが、これに限定されるものではなく、対象となる物品の外面上に形成される隙間Nに応じて第一ブラシ部20の束径を設定すればよい。
【0063】
上記各実施形態において、第一ブラシ部20を構成する複数の毛21…の束径D1を隙間Nよりも大径に設定し、複数の毛21…の束形状が扁平状に崩れることで、複数の毛21…の少なくとも毛先部22が隙間Nに挿入できるようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、第一ブラシ部20を構成する複数の毛21…の束径D1を隙間N以下に設定し、複数の毛21…の束形状が扁平状に崩れることなく、複数の毛21…の少なくとも毛先部22が隙間Nに挿入できるようしてもよい。また、第二ブラシ部30も同様である。
【0064】
上記各実施形態において、本体部10を外観棒状に形成したが、本体部10は、外径が軸心方向の全長に亘って同径に設定されたものに限定されるものではなく、例えば、軸心方向の適宜位置で外径が異なるような形態(例えば、円錐状や瓢箪型状等)であっても勿論よい。
【0065】
上記各実施形態において、第二ブラシ部30においても静電気を帯電させるように構成したが、これに限定されるものではなく、第二ブラシ部30を設ける場合、第二ブラシ部30は、静電気を帯電することなく(塵等を吸着することなく)、複数の毛31…で物理的に塵等を除去できるものであってもよい。
【0066】
上記各実施形態において、毛21…を合成樹脂のみで構成したが、これに限定されるものではなく、例えば、第一ブラシ部20の毛21…は、動物の毛や食物の繊維等の天然材料のみで構成したり、天然材料で形成された心材に帯電性に優れた合成樹脂製のコーティングを施したもの(天然材料と合成樹脂との複合物)で構成したりしてもよい。また、第二ブラシ部30(毛31…)も同様である。
【0067】
また、上記二実施形態において、第一ブラシ部20を構成する複数の毛21…のそれぞれを先細りに形成したが、これに限定されるものではなく、例えば、物品の外面上に形成される隙間N内に第一ブラシ部20の先端部の全体を挿入できることを前提に、第一ブラシ部20の毛21を全長に亘って同一径に設定してもよい。すなわち、第一ブラシ部20よりも束径D2が大径に設定された第二ブラシ部30を本体部10の他端部に連設する場合、その第二ブラシ部30の反対側に設けられる第一ブラシ部20を構成する毛21として、全長に亘って同径にした設定されたものを採用してもよい。
【0068】
上記第二実施形態において、第一ブラシ部20を構成する複数の毛21…の先端部のみを先細りに形成したが、これに限定されるものではなく、例えば、毛21を先細りに形成する場合、毛21…の基端から先端の全長に亘って先細りに形成するようにしてもよい。
【0069】
上記第二実施形態において、第二ブラシ部30を構成する毛31…を全長に亘って同径に設定したが、これに限定されるものではなく、例えば、第一ブラシ部20を構成する毛21…と同様に先細りに形成しても勿論よい。
【符号の説明】
【0070】
1…隙間用除塵ブラシ、10…本体部、20…第一ブラシ部、21…毛、22…毛先部、30…第二ブラシ部、31…毛、32…毛先部、40,50…カバー材、50…カバー材、D1…束径、D2…束径、K…キー、N…隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品の外面上に形成される隙間内の塵や埃を除去するための隙間用除塵ブラシであって、使用者が把持又は摘持できるように形成された本体部と、該本体部の一端部に連設された第一ブラシ部とを備え、第一ブラシ部は、帯電性を有する複数の毛を一束にして形成されるとともに、複数の毛の基端側が本体部に接続され、前記複数の毛の少なくとも毛先部が前記隙間に挿入可能に構成されていることを特徴とする隙間用除塵ブラシ。
【請求項2】
第一ブラシ部は、複数の毛のそれぞれの毛先部が先細りに形成されている請求項1に記載の隙間用除塵ブラシ。
【請求項3】
第一ブラシ部が本体部の一端に連設されるとともに、本体部の他端に複数の毛を束ねた第二ブラシ部が連設され、第二ブラシ部は、第一ブラシ部と複数の毛の束径が同径に設定され、前記複数の毛の少なくとも毛先部が前記隙間に挿入可能に構成されている請求項1又は2に記載の隙間用除塵ブラシ。
【請求項4】
第一ブラシ部が本体部の一端に連設されるとともに、本体部の他端に複数の毛を束ねた第二ブラシ部が連設され、第二ブラシ部は、第一ブラシ部よりも複数の毛の束径が大径に設定されている請求項1又は2に記載の隙間用除塵ブラシ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−253166(P2010−253166A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−109226(P2009−109226)
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【出願人】(000142920)株式会社呉竹 (24)
【Fターム(参考)】