説明

集塵機

【課題】従来技術と比較して重心位置が低く安定性の良好な集塵機を提供する。
【解決手段】タンク部5は、全体として有底略円筒形状であり、上部が開口し、側面に吸込み口6を備える。吸込み口6には、粉塵や液体を吸引する図略のホースが着脱自在である。フィルタ10は、タンク部5内において上下方向に延びる筒状の側面10aを有する略円錐台形状であり、タンク部5の上部外周5aに係止されて粉塵等を遮断(分離)する。モータ3及び集塵ファン4は、ケース11内に保持された状態で、フィルタ10の側面10aの内側かつ側面10aの高さ範囲内に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉塵又は液体をタンク内に吸引する集塵機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の集塵機について、図6を参照しながら説明する。従来の集塵機では、モータ803と、モータ803に直結された集塵ファン(ファンケース804の内部に保持される)と、モータ803の起動・停止を行うスイッチ808とが、本体801上側のヘッド部802に配置されている。ヘッド部802は、モータ803と集塵ファンの形状により上方から見てほぼ円形状となっている。
【0003】
前記円形状をしたヘッド部802の下部に、吸引した粉塵等を溜めるタンク805が配置される。タンク805は、粉塵等を搬送する図略のホースを着脱する吸込み口806を側面に備える。複数の回転自在なキャスタ807がタンク805の下部に取り付けられる。また、タンク805は上方に開口する開口部を有する。タンク805とヘッド部802との固定・解除のために複数のクランプ809が設けられている。さらに、タンク805内部のほぼ中央部には、吸引した粉塵をろ過するほぼ円錐台形状のフィルタ810が、タンク805の上部外周部805aに係止されて設けられている。フロート811は、フィルタ810内であってヘッド部802の下方に配置され、軸線812に沿って上下動可能に構成されている。フロート811は、吸引物が液体である場合に、タンク805内に吸い込まれた液体の水位に応じて上昇し、液面が所定の高さに達するとヘッド部802の通気口813を塞ぐ機能を有する。
【0004】
上記構成において、スイッチ808をONするとモータ803が起動し、集塵ファンが回転することで、タンク805の吸込み口806に吸引力が発生する。粉塵等は吸引力により吸込み口806を通過し、タンク805内に吸引されフィルタ810によりろ過される。ろ過されたきれいな空気のみフィルタ810を通過し、排気口814から集塵機の本体801外に排出される。吸引を継続すると、フィルタ810により分離された粉塵がタンク805内に堆積する(貯留される)。また、タンク805内に吸い込まれた液体は、タンク805内に貯留される。
【0005】
フロート811は、タンク805内に貯留された液体の水位に応じて上昇し、タンク805内の液体の水位が所定の高さに到達すると、集塵ファンにより発生する吸引力により通気口813に吸い寄せられ、通気口813を塞ぐ。これにより、吸込み口806からの集塵が中止され、ヘッド部802の水没や排気口814からの液体の噴出、あるいは吸込み口806からの液体の逆流等が防止される。
【0006】
タンク805内の粉塵や液体等を廃棄するときは、クランプ809を解除してヘッド部802を上方に持ち上げ、タンク805から取り外し、次にフィルタ810を取り外し、タンク805内の粉塵や液体等を廃棄する。廃棄後、タンク805にフィルタ810、ヘッド部802を取り付け、クランプ809で固定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−190304号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
粉塵発生の多い作業場では、タンク容量の大きい集塵機が使用されことが多い。また作業時には、吸込み口806に取り付けられた図略のホース等を持って集塵機の本体801が引き回されることがある。上記した従来技術では、ヘッド部802のうちタンク805から上側に盛り上がった位置にモータ803が設けられているために、重心位置が高く安定性が良くない。このため、作業時にホース等を持って引き回される際に、操作の仕方やちょっとした床面の段差、傾斜によりキャスタ807の動作が追従できず、本体801がバランスを崩し転倒しやすい等、使い勝手が悪い場合がある。
【0009】
本発明はこうした状況を認識してなされたものであり、その目的は、従来技術と比較して重心位置が低く安定性の良好な集塵機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のある態様は、集塵機である。この集塵機は、
吸込み口を有するタンク部と、
前記吸込み口に吸引力を発生させる集塵ファンと、
前記集塵ファンを回転駆動するモータと、
前記タンク部内に配置された、筒状の側面を有するフィルタとを備え、
前記モータの少なくとも一部が、前記フィルタの前記側面の内側かつ前記側面の高さ範囲内に位置する。
【0011】
前記タンク部は、上部に開口部を有し、
前記開口部を覆うように前記タンク部に取り付けられたヘッド部を備え、
前記フィルタの上部が開口であり、
前記ヘッド部は、上側ヘッド部材と、前記上側ヘッド部材から下方に延びて前記フィルタの前記開口よりも下側かつ前記フィルタの側面の内側に延在する下側仕切り部材とを有し、
前記上側ヘッド部材と前記下側仕切り部材との間の空間に前記モータ及び前記集塵ファンが配置されていてもよい。
【0012】
前記上側ヘッド部材は、下方に向けて凹んだ凹部を有し、前記凹部の下側に前記モータ及び前記集塵ファンが配置されていてもよい。
【0013】
前記モータ及び前記集塵ファンを収容するケースを備え、
前記下側仕切り部材は、前記ケースを載せる底面部と、前記ケースの外側において前記底面部から立ち上がる筒状の側面部と、前記側面部の上端側から外側に延びるフランジ部とを有し、前記フランジ部が前記上側ヘッド部材に着脱可能に固定され、前記底面部に空気流通用の開口が形成されていてもよい。
【0014】
前記フランジ部と前記上側ヘッド部材との間を貫通する排気口が設けられてもよい。
【0015】
前記モータと前記集塵ファンとの間に増速手段を有し、前記モータの回転数よりも高い回転数で前記集塵ファンを回転してもよい。
【0016】
前記モータがディスクモータであってもよい。
【0017】
前記ディスクモータは、回転子と、固定子と、出力軸とを有し、
前記回転子は、前記出力軸と一体に回転するコイルディスクを含み、
前記固定子は、前記コイルディスクを貫く磁束を発生する磁束発生手段を含み、
前記コイルディスクに設けられたコイルパターンに流れる電流と前記磁束発生手段の発生する磁界との間の電磁力により前記コイルディスクが回転してもよい。
【0018】
前記タンク部の内部で液面が所定の高さになったときに前記モータを停止させる水位センサを備えてもよい。
【0019】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法やシステムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、モータの少なくとも一部がフィルタの側面の内側かつ前記側面の高さ範囲内に位置するため、従来技術と比較して重心位置が低く安定性の良好な集塵機を実現可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態1に係る集塵機の、一部を断面とした側面図。
【図2】図1のケースに保持されたモータ及び集塵ファンの拡大断面図。
【図3】図1及び図2に示すモータの固定子の模式的平面図。
【図4】(A)は、図2に示すコイルディスクの平面図。(B)は、同コイルディスクの底面図。
【図5】本発明の実施の形態2に係る集塵機の、一部を断面とした側面図。
【図6】従来の集塵機の、一部を断面とした側面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態を詳述する。なお、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理等には同一の符号を付し、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は発明を限定するものではなく例示であり、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0023】
図1は、本発明の実施の形態1に係る集塵機1の、一部を断面とした側面図である。集塵機1は、ヘッド部2と、モータ3と、集塵ファン4と、タンク部5と、キャスタ7と、スイッチ8と、フィルタ10と、ケース11と、水位センサ16とを備える。
【0024】
例えば樹脂製のタンク部5は、全体として有底略円筒形状であり、上部が開口し、側面に吸込み口6を備え、底部に3個以上の回転自在なキャスタ7が取り付けられている。吸込み口6には、粉塵や液体を吸引する図略のホース(吸引ノズル)が着脱自在である。フィルタ10は、タンク部5内において上下方向に延びる筒状の側面10aを有し且つ上部が開口である例えば略円錐台形状であり、タンク部5の上部外周5aに係止されて粉塵等を遮断(分離)する。例えば、フィルタ10の上縁部に一周するように縫い付けられたゴム等のフック101が、タンク部5の上部外周5aに引っ掛けられる。吸込み口6から取り込まれた空気は、フィルタ10によりろ過されてフィルタ10の内部に入る一方、吸込み口6からの吸引物(粉塵等)は、フィルタ10によって分離されてタンク部5内においてフィルタ10の外側に溜められる。
【0025】
ヘッド部2は、タンク部5の上部開口を覆うとともに、後述のようにモータ3及び集塵ファン4を保持する。モータ3及び集塵ファン4は、例えば樹脂製のケース11内に保持された状態で、フィルタ10の側面10aの内側かつ側面10aの高さ範囲内に配置される。タンク部5に対する固定・解除のための複数のクランプ9が、ヘッド部2に設けられている。
【0026】
例えば樹脂製のヘッド部2は、上側ヘッド部材21と、下側仕切り部材22とを含む。上側ヘッド部材21は、環状(例えば円環状)の平坦部21aの中央部に下方に向けて凹んだ大径の凹部21bを有する。平坦部21aの上面にはモータ3の起動・停止を行うスイッチ8が設けられる。下側仕切り部材22は、上側ヘッド部材21の平坦部21aから下方に延びてフィルタ10の上部開口よりも下側かつフィルタ10の側面10aの内側に延在する。上側ヘッド部材21と下側仕切り部材22との間の空間内であって上側ヘッド部材21の凹部21bの下側となる位置に、ケース11並びにモータ3及び集塵ファン4が配置される。
【0027】
下側仕切り部材22は、底面部22aと、側面部22bと、フランジ部22cとを有する。底面部22aは、環状(例えば円環状)であって、中央部が空気流通用に例えば円形の開口13となっている。底面部22a上に、環状(例えば円環状)のゴム等のシール部材115を挟んでケース11が載せられる(押し付けられる)。側面部22bは、筒状(例えば円筒状)であって底面部22aの外縁部から立ち上がり、ケース11の外側において上方に延びる。フランジ部22cは、側面部22bの上端側から外側に延びる。フランジ部22cと上側ヘッド部材21の平坦部21aとが例えばネジ止め等により相互に着脱可能に固定される。
【0028】
フランジ部22cと平坦部21aとの間は、排気口14となっている。なお、排気口14は、上下方向を軸としてフランジ部22cと平坦部21aとの間の全周に渡って設けられてもよいし、所定の角度範囲のみに限定して設けられてもよく、また個数も任意である。排気口14の手前には、スポンジ141がフランジ部22cに保持される。スポンジ141は、空気を通す一方、粉塵は遮断する一種のフィルタである。フィルタ10の内側に入り込んだ粉塵があっても、スポンジ141によって遮断され、排気口14からの放出が防止される。フランジ部22cの外縁部下面は、環状(例えば円環状)のゴム等のシール部材102及びフィルタ10のフック101を挟んで、タンク部5の上部外周5aに押し付けられている。
【0029】
なお、吸引物が液体の場合にモータ3の水没を防止するために、底面部22aの下面に水位センサ16が設けられ図略の電源回路に接続されている。水位センサ16は公知のものでよい。液面が水位センサ16の位置に達すると、水位センサ16は例えば電気的にそれを検知し、モータ3への通電の停止、又は音や光による作業者への警告、あるいはそれらの両方が実行される。
【0030】
ケース11内において、モータ3及び集塵ファン4は、モータ3が上で、集塵ファン4が下となる位置関係である。集塵ファン4は、モータ3の出力軸31と一体に回転する、又は、図2で後述するように出力軸31に増速手段を介して連結されてモータ3よりも速く回転する。集塵ファン4は、図1の例では2段構成であり、上下段の間に整流板42が固定されている。
【0031】
図2は、ケース11に保持されたモータ3及び集塵ファン4の拡大断面図である。本図においては集塵ファン4を1段構成で示している。モータ3の出力軸31と、集塵ファン4の回転軸41との間には、動力伝達可能に両軸を連結する増速手段18が設けられている。集塵ファン4の回転軸41は、ケース11に固定された軸受け713,714に回転自在に支持される。図示の例では増速手段18は歯車の組合せである。なお、増速手段18としては、歯車に替えて、摩擦車やベルト等が使用可能である。増速手段18を設けたことにより、集塵ファン4は、モータ3の回転数よりも高い回転数で回転する。ケース11には、空気穴11aが側面を一周するように複数ないし多数配列される。また、ケース11の底面には、空気取入用の開口11bが設けられている。
【0032】
モータ3は、ディスクモータであり、その構成は公知のものでよいが、例示的な構成を以下に説明する。
【0033】
モータ3の固定子は、磁束発生手段としてのマグネット36と、軟磁性体であるリング状の上ヨーク37及び下ヨーク38とを有し、それぞれがケース11に固定される。図3は、図1に示すモータ3の固定子の模式的平面図である。本図に示すように、例えば円板形状のマグネット36は、例えば10個、円周上に等角度ピッチで並んで配置される。円周の中心は、モータ3の回転中心と略一致する。隣り合うマグネット36は、上面の磁極が相互に異なる。上ヨーク37及び下ヨーク38は、後述する回転子のコイルパターンに印加される磁束密度を高めるものである。
【0034】
モータ3の回転子は、出力軸31に固定又は一体のフランジ32の下面に接着層501によって少なくとも1枚のコイルディスク33を積層一体化し、フランジ32の上面に接着層502によって整流子ディスク34を積層一体化してなる。出力軸31は、ケース11に固定された軸受け711,712に回転自在に支持される。ケース11に固定の一対のブラシ35から整流子ディスク34を介して、コイルディスク33に設けられたコイルパターンに電流が供給される。
【0035】
図4(A)は、図1に示すコイルディスク33の平面図である。図4(B)は、同コイルディスクの底面図である。
【0036】
コイルディスク33は、円板状の絶縁基板90(例えばガラス繊維強化エポキシ樹脂基板等の絶縁樹脂基板)の両面にそれぞれコイルパターン92を有する。絶縁基板90の中心にある貫通孔91は、図1の出力軸31を挿通させるものである。貫通孔367は、整流子ディスク34(あるいは他の層のコイルディスク)との電気的接続のために複数設けられる。
【0037】
銅その他の導電材からなるコイルパターン92は、相互に近接した略同一幅の4列のパターンからなる部分コイルパターン群920を片面につき20個ずつ有する。部分コイルパターン群920は、内側連絡パターン群92Aと、放射状パターン群92Bと、外側連絡パターン群92Cとを順に接続したものである。両面の内側連絡パターン群92A同士は、端部近傍に形成されたスルーホール921によって相互に電気的に接続される。両面の外側連絡パターン群92C同士は、端部近傍に形成されたスルーホール922によって相互に電気的に接続される。放射状パターン群92Bは、絶縁基板90の中心側から半径方向外側に延びて内側連絡パターン群92Aと外側連絡パターン群92Cとを渡す。両面の放射状パターン群92B同士は、軸方向視で略同一位置に存在する。各々の面の放射状パターン群92Bは、絶縁基板90の中心から等角度ピッチで存在する。放射状パターン群92Bは、図3に示すマグネット36の配列円周(各マグネット36の中心が配列される円周)の真上に位置する。つまり、各コイルディスクの回転に伴って放射状パターン群92Bはマグネット36の真上を通過する。放射状パターン群92Bに流れる電流とマグネット36の発生する磁界(コイルディスクを出力軸の軸線方向に通過)との間の電磁力により回転力が得られる。
【0038】
集塵機1で作業する際には、作業者は、スイッチ8を押す。すると、商用電源に接続された不図示の電源ケーブルからモータ3に電力が供給され、モータ3が回転駆動される。モータ3の回転に伴って集塵ファン4も回転し、吸込み口6に吸引力が発生する。これにより、吸込み口6に接続された不図示のホースから粉塵等が空気とともに吸引され、吸込み口6からタンク部5の内部に入る。
【0039】
空気の流れは、図1に矢印で示される。すなわち、空気は、吸込み口6からフィルタ10、下側仕切り部材22の底面部22aの開口13、ケース11の底面の開口11bを通ってケース11内に入る。そして、ケース11の側面の空気穴11aからケース11の外に出て、下側仕切り部材22の側面部22bの内側を上方に流れ、スポンジ141を通過し、排気口14から集塵機1の外部に放出される。
【0040】
フィルタ10により分離された粉塵はタンク部5内に貯留される。タンク部5内に吸込まれた液体は、タンク部5内に貯留される。タンク部5内の液体の水位が所定の高さに到達すると、水位センサ16からの信号によりモータ3が停止する。これにより、吸込み口6からの集塵が中止されることから、ヘッド部2の水没や排気口14からの液体の噴出、あるいは吸込み口6からの液体の逆流等が防止される。
【0041】
タンク部5内の粉塵や液体等を廃棄するときは、クランプ9を解除してヘッド部2を上方に持ち上げ、タンク部5から取り外し、次にフィルタ10を取り外し、タンク部5内の粉塵や液体等を廃棄する。廃棄後、タンク部5にフィルタ10、ヘッド部2を取り付け、クランプ9で固定する。
【0042】
本実施の形態によれば、下記の効果を奏することができる。
【0043】
(1) モータ3(及び集塵ファン4)がフィルタ10の側面10aの内側かつ側面10aの高さ範囲内に配置されるため、従来技術と異なり、重心位置が低く安定性の良好で、転倒しにくく操作性の良い集塵機を実現可能である。
【0044】
(2) モータ3がディスクモータであって従来技術のものと比較して薄型であり、こうした薄型のモータ3をフィルタ10の高さの中間部分にまで落とし込んだ配置としたため、低重心化の効果が高い。また、集塵機1の全高を低くでき、省スペース化にも有利である。
【0045】
(3) モータ3として従来技術のものより小型なディスクモータを用いているため、同じタンク容量であれば従来技術と比較して小型化を図ることが可能となる。このため、保管時や運搬時には場所をとり、邪魔になるという問題を好適に解決できる。
【0046】
(4) 増速手段18を設けたことにより、モータ3の回転数に対して集塵ファン4の回転数を増加させることができ、吸込み力を強化することが可能となる。
【0047】
(5) 上側ヘッド部材21の上面の略中央部に大径の凹部21bを設けたことにより、凹部21bに小物類等を収納することができ、便利である。すなわち、上側ヘッド部材21の上面が全面的に平面であると小物等を置いたときに振動等で動きやすく落下しやすいという問題があるが、本実施の形態では凹部21bを設けたことによりそのような問題を好適に解決できる。
【0048】
図5は、本発明の実施の形態2に係る集塵機の、一部を断面とした側面図である。この集塵機は、図1に示した実施の形態1と比較して、上側ヘッド部材21の凹部21bを無くして上側ヘッド部材21の上面を全面的に平面とし、それに伴ってモータ3及び集塵ファン4を上方に移動した点で主に相違し、その他の点は同様である。モータ3の一部(下側)はフィルタ10の側面10aの内側かつ側面10aの高さ範囲内に位置し、残りの部分(上側)はフィルタ10の上部開口の上に位置する。本実施の形態によれば、実施の形態1ほどではないものの、従来技術と比較して低重心化を実現できる。また、実施の形態1と比較して小物収納性は低いものの、集塵容量は大きい。また、省スペース化と小型化に関しては実施の形態1と同様の効果を奏する。
【0049】
以上、実施の形態を例に本発明を説明したが、実施の形態の各構成要素や各処理プロセスには請求項に記載の範囲で種々の変形が可能であることは当業者に理解されるところである。以下、変形例について触れる。
【0050】
複数のキャスタ7をタンク部5の下部に備えることに替えて又はそれに加えて、例えば集塵機1を背負うことができるようにタンク部5に図略の背負いバンドを設けてもよい。また、集塵機1を肩にかけられるように図略の肩掛けバンドを設けてもよい。これらによれば、集塵機1の重心が低いため、集塵機1を安定的に背負ったり肩にかけたりすることができる。
【0051】
モータ3はディスクモータでなく例えば従来技術と同様のものであってもよく、この場合も、モータ3の少なくとも一部をフィルタ10の側面10aの内側かつ側面10aの高さ範囲内に位置させることで、従来技術と比較して低重心化を図ることができる。
【0052】
ディスクモータにおけるマグネットの個数とその配置角度ピッチ、コイルパターンの周回数(コイルパターンの列数)、コイルディスクの積層数、その他のパラメータは、要求される性能やコストに応じて適宜設定可能である。また、コイルパターンの周回数は、コイルディスクが複数の場合はコイルディスクごとに異なってもよい。なお、コイルパターンが1列の場合は、実施の形態の説明における「部分コイルパターン群」、「内側連絡パターン群」、「放射状パターン群」、及び「外側連絡パターン群」の各用語を、「群」を除いて読み替える。
【符号の説明】
【0053】
1 集塵機
2 ヘッド部
3 モータ
4 集塵ファン
5 タンク部
7 キャスタ
8 スイッチ
9 クランプ
10 フィルタ
11 ケース
14 排気口
16 水位センサ
21 上側ヘッド部材
21a 平坦部
21b 凹部
22 下側仕切り部材
22a 底面部
22b 側面部
22c フランジ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸込み口を有するタンク部と、
前記吸込み口に吸引力を発生させる集塵ファンと、
前記集塵ファンを回転駆動するモータと、
前記タンク部内に配置された、筒状の側面を有するフィルタとを備え、
前記モータの少なくとも一部が、前記フィルタの前記側面の内側かつ前記側面の高さ範囲内に位置する、集塵機。
【請求項2】
前記タンク部は、上部に開口部を有し、
前記開口部を覆うように前記タンク部に取り付けられたヘッド部を備え、
前記フィルタの上部が開口であり、
前記ヘッド部は、上側ヘッド部材と、前記上側ヘッド部材から下方に延びて前記フィルタの前記開口よりも下側かつ前記フィルタの側面の内側に延在する下側仕切り部材とを有し、
前記上側ヘッド部材と前記下側仕切り部材との間の空間に前記モータ及び前記集塵ファンが配置されている、請求項1に記載の集塵機。
【請求項3】
前記上側ヘッド部材は、下方に向けて凹んだ凹部を有し、前記凹部の下側に前記モータ及び前記集塵ファンが配置されている、請求項2に記載の集塵機。
【請求項4】
前記モータ及び前記集塵ファンを収容するケースを備え、
前記下側仕切り部材は、前記ケースを載せる底面部と、前記ケースの外側において前記底面部から立ち上がる筒状の側面部と、前記側面部の上端側から外側に延びるフランジ部とを有し、前記フランジ部が前記上側ヘッド部材に着脱可能に固定され、前記底面部に空気流通用の開口が形成されている、請求項2又は3に記載の集塵機。
【請求項5】
前記フランジ部と前記上側ヘッド部材との間を貫通する排気口が設けられている請求項4に記載の集塵機。
【請求項6】
前記モータと前記集塵ファンとの間に増速手段を有し、前記モータの回転数よりも高い回転数で前記集塵ファンを回転する、請求項1から5のいずれか一項に記載の集塵機。
【請求項7】
前記モータがディスクモータである請求項1から6のいずれか一項に記載の集塵機。
【請求項8】
前記ディスクモータは、回転子と、固定子と、出力軸とを有し、
前記回転子は、前記出力軸と一体に回転するコイルディスクを含み、
前記固定子は、前記コイルディスクを貫く磁束を発生する磁束発生手段を含み、
前記コイルディスクに設けられたコイルパターンに流れる電流と前記磁束発生手段の発生する磁界との間の電磁力により前記コイルディスクが回転する、請求項7に記載の集塵機。
【請求項9】
前記タンク部の内部で液面が所定の高さになったときに前記モータを停止させる水位センサを備える請求項1から8のいずれか一項に記載の集塵機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−303(P2013−303A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−133711(P2011−133711)
【出願日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【出願人】(000005094)日立工機株式会社 (1,861)
【Fターム(参考)】