集塵装置
【課題】放電電極(21)と対向電極(22)とを有してイオンを生成する荷電部(20)と、イオンが付着した空気中の塵埃を捕集する電気集塵部(30)と、空気吸込口(11)と空気吹出口(12)とが形成されるとともに荷電部(20)と電気集塵部(30)とを保持するケーシング(10)と、空気吸込口(11)から空気吹出口(12)へ向かう空気流れをケーシング(10)内に形成するファン(60)とを備えた集塵装置において、帯電した塵埃が壁面に付着することに起因する壁面汚れを防止できるようにする。
【解決手段】荷電部(20)の放電電極(21)と対向電極(22)を、空気吸込口(11)の全域にわたって電界が形成されるように配置し、帯電した塵埃を室内に放出せずにケーシング(10)内に取り込むようにする。
【解決手段】荷電部(20)の放電電極(21)と対向電極(22)を、空気吸込口(11)の全域にわたって電界が形成されるように配置し、帯電した塵埃を室内に放出せずにケーシング(10)内に取り込むようにする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放電電極と対向電極との間に電界を形成して被処理空気中の浮遊粒子(塵埃)を帯電させ、その浮遊粒子を電気的に捕集する集塵装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
被処理空気中の塵埃(浮遊粒子)を電気的に捕集する従来の集塵装置として、室内空間で塵を帯電させた後に空気を装置内に吸い込んで、その塵埃を装置のケーシング内で捕集するものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1の集塵装置では、ケーシング内に荷電部と電気集塵部とファンが設けられている。そして、装置内の荷電部で生成したイオンを装置外に放出して、室内の空気中に浮遊する塵埃と結合させることで塵埃を室内空間で帯電させ、この塵埃を集塵装置のケーシング内にファンで吸い込んで電気集塵部で捕集するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−87967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1の装置では、室内空間で塵埃をイオン化させるようにしているので、室内空間に電荷が溜まり、壁面に対して空間電位が生じてしまう。そのため、特許文献1の装置では、装置内の電気集塵部に塵埃を取り込む前に、部屋の壁などに塵埃が引き寄せられて付着し、壁が汚れるおそれがあった。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みて創案されたものであり、その目的は、荷電部で生成したイオンによって帯電した空気中の塵埃を電気的に捕集する集塵装置において、帯電した塵埃が壁面に引き寄せられて付着することに起因する壁面汚れを防止できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、放電電極(21)と対向電極(22)とを有してイオンを生成する荷電部(20)と、上記イオンが付着した空気中の塵埃を捕集する電気集塵部(30)と、空気吸込口(11)と空気吹出口(12)とが形成されるとともに上記荷電部(20)と電気集塵部(30)とを保持するケーシング(10)と、上記空気吸込口(11)から空気吹出口(12)へ向かう空気流れをケーシング(10)内に形成するファン(60)とを備えた集塵装置を前提としている。
【0008】
そして、この集塵装置は、上記荷電部(20)の放電電極(21)と対向電極(22)が、上記空気吸込口(11)の全域にわたって電界が形成されるように配置されていることを特徴としている。
【0009】
この第1の発明では、ファン(60)によってケーシング(10)の中に空気吸込口(11)から空気吹出口(12)へ向かう空気流れが形成されるので、この空気流れに沿って、室内の空気が空気吸込口(11)からケーシング(10)内に取り込まれ、その空気が空気吹出口(12)から室内に吹き出されて室内に供給される。このとき、荷電部(20)によって空気吸込口(11)の全域にわたって電界が形成されているので、この荷電部(20)で形成された電界を吸込空気が通過してケーシング(10)内に導入される。したがって、空気中の塵埃は上記電界を飛んでいるイオンによって電荷を帯び、電気集塵部(30)に捕集される。このように帯電した塵埃が直接にケーシング(10)内に導入されるから、上記電界で帯電した空気中の塵埃等の浮遊粒子は、室内空間へは拡散しない。
【0010】
第2の発明は、第1の発明において、上記放電電極(21)と対向電極(22)が、放電電極(21)からのイオンの放出方向がケーシング(10)の内側から外側へ向かう方向となり、対向電極(22)へのイオンの入射方向がケーシング(10)の外側から内側へ向かう方向となるように配置されて、上記空気吸込口(11)に対してケーシング(10)の外側に電界が形成されるように構成されていることを特徴としている。
【0011】
この第2の発明では、放電電極(21)と対向電極(22)の間に形成される電気力線が、ケーシング(10)に対して空気吸込口(11)の外側に飛び出す状態で形成される。つまり、電気力線がケーシング(10)の外の空間に向かって比較的広い範囲に形成され、その電界の中を吸込空気が通過するときに、空気中の塵埃が帯電する。帯電した塵埃は室内の空気中へは拡散せずにケーシング(10)内に直接に取り込まれ、電気集塵部(30)に捕集される。
【0012】
第3の発明は、第2の発明において、上記放電電極(21)が針状電極により構成され、上記針状電極の先端がケーシング(10)の外側を向くように配置されていることを特徴としている。
【0013】
この第3の発明では、針状電極により形成された放電電極(21)がケーシング(10)の外側を向くように配置されているので、電気力線をケーシング(10)の外側空間の広い領域で形成しやすくなる。
【0014】
第4の発明は、第1,第2または第3の発明において、上記放電電極(21)が上記空気吸込口(11)の側縁部の一方に配置されるとともに、対向電極(22)が上記放電電極(21)上記空気吸込口(11)の側縁部の他方に配置されていることを特徴としている。
【0015】
第5の発明は、第1,第2または第3の発明において、上記放電電極(21)と対向電極(22)が、上記空気吸込口(11)の一対の側縁部の間に分散して配置されていることを特徴としている。
【0016】
上記第4,第5の発明では、電気力線を空気吸込口(11)の全域にわたって形成するための構成を、放電電極(21)と対向電極(22)を空気吸込口(11)の一対の側縁部に沿って向して配置したり、空気吸込口(11)の一対の側縁部の間に分散して配置したりするなど、種々の配置で実現できる。
【0017】
第6の発明は、第2から第5の発明の何れか1つにおいて、上記放電電極(21)の近傍に補助対向電極(24)が配置されていることを特徴としている。
【0018】
この第6の発明では、放電電極(21)の近傍に補助対向電極(24)が配置され、補助対向電極(24)よりも離れた位置に対向電極(22)が配置される。ここで、放電電極(21)と補助対向電極(24)は距離が近いので、その間では、放電電極(21)から飛び出したイオンのほとんどが補助対向電極(24)に向かう比較的湾曲度合いの小さい電気力線に沿って流れ、印加電圧が小さくても、イオンが補助対向電極(24)に到達する衝突荷電方式の放電が行われる。一方、放電電極(21)と対向電極(以下、対向電極(22)という)は、放電電極(21)と補助対向電極(24)よりも距離が離れている。放電電極(21)と補助対向電極(24)の間には、補助対向電極(24)の裏側へ回り込むように大きく湾曲した電気力線も形成されるが、放電電極(21)からこの湾曲した電気力線に沿って飛び出したイオンには、補助対向電極(24)に到達せずに、対向電極(22)の方へ流れるものが含まれる。つまり、印加電圧が小さくても、拡散荷電方式の放電が行われる。
【0019】
第7の発明は、第2から第6の発明の何れか1つにおいて、上記空気吸込口(11)の外側に絶縁性カバー(70)が配置されていることを特徴としている。
【0020】
集塵装置の配置によっては、ケーシング(10)の外側に形成される電気力線が壁や天井に近い位置に形成されることがあるが、この第7の発明では、そのような場合に、電界を通過して帯電した塵埃が上記の壁や天井に付着するのを絶縁性カバー(70)によって阻止できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、荷電部(20)の放電電極(21)と対向電極(22)を、空気吸込口(11)の全域にわたって電界が形成されるように配置しているので、空気吸込口(11)からケーシング(10)内に吸い込まれる空気をその電界を通過する際に帯電させて、室内には拡散させずにケーシング(10)内に直接的に取り込むことができる。したがって、室内の空気中には帯電した塵埃が放出されないので、室内の壁面に対する空間電位が生じない。したがって、帯電した塵埃が壁面に引き寄せられて付着することに起因する壁面汚れも防止できる。
【0022】
上記第2の発明によれば、放電電極(21)と対向電極(22)の間に形成される電気力線を、ケーシング(10)に対して空気吹出口(12)の外側に突出するようにして、ケーシング(10)の外の空間の比較的広い範囲に電界を形成するようにしている。そして、その電界の中を吸込空気が通過するときに、空気中の塵埃を帯電させるようにしているので、帯電した空気は室内へ放出されずにケーシング(10)内に取り込まれて電気集塵部(30)に捕集される。この第2の発明ではケーシング(10)の空気吸込口(11)の外側の広い空間を帯電領域として利用しているので、装置の集塵性能を高めることができる。
【0023】
上記第3の発明によれば、放電電極(21)を構成する針状電極の先端を、ケーシング(10)の外側を向くように配置することにより、電気力線をケーシング(10)の外側空間の比較的広い領域に形成しやすくなる。したがって、第2の発明の効果をより確実に得ることができる。
【0024】
上記第4,第5の発明によれば、電気力線を空気吸込口(11)の全域にわたって形成するための構成として、放電電極(21)と対向電極(22)を空気吸込口(11)の側縁部の一方と他方で互いに対向するように配置したり、空気吸込口(11)の一対の側縁部の間に分散して配置したりすることができるので、電極配置に関する設計の自由度を高めることができる。
【0025】
上記第6の発明によれば、放電電極(21)に対して距離の離れた対向電極(22)と、それよりも距離の近い補助対向電極(24)を設けることにより、衝突荷電方式と拡散荷電方式の放電を併用するようにしている。このことにより、空気吸込口(11)の全域にわたって形成される電界は、主に拡散荷電方式により形成される。そして、対向電極(22)の近傍に補助対向電極(24)を設けて衝突荷電方式の放電を行うようにすることにより、印加電圧を低くしても放電が行われ、その衝突荷電に伴って、放電電極(21)と対向電極(22)との間では空気吸込口(11)の全域にわたる拡散荷電方式の放電を行うことができる。
【0026】
上記第7の発明によれば、ケーシング(10)の外側に形成される電気力線(電界)が壁や天井に近い位置に形成されるように集塵装置が配置される場合に、その電界を通過して帯電した塵埃が壁や天井に付着するのを上記絶縁性カバー(70)によって阻止できる。したがって、集塵装置の配置にかかわらず、壁や天井が塵埃で汚れるのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、本発明の実施形態1に係る集塵装置が適用された壁掛け型の空気調和装置を示し、図1(A)は斜視図、図1(B)は側面図である。
【図2】図2(A)は空気調和装置の動作状態を示す概念図、図2(B)は電界を通過する塵埃が帯電する様子を示す状態図である。
【図3】図3は、本発明の実施形態2に係る集塵装置が適用された壁掛け型の空気調和装置を示す斜視図である。
【図4】図4は、ケーシングに対する放電電極と主対向電極の取付構造を示す斜視図である。
【図5】図5は、補助対向電極の働きを示す説明図であり、図5(A)は補助対向電極を幅の広い板状にした場合、図5(B)は補助対向電極を細い棒状にした場合を示している。
【図6】図6(A)〜図6(C)は、放電電極に対する補助対向電極の複数の配置例を示す図である。
【図7】図7は、実施形態2の変形例1に係る空気調和装置の断面図である。
【図8】図8は、実施形態2の変形例2に係る空気調和装置の断面図である。
【図9】図9は、実施形態2の変形例3に係る空気調和装置の断面図である。
【図10】図10は、実施形態2の変形例4に係る空気調和装置の断面図である。
【図11】図11は、実施形態2の変形例5に係る空気調和装置の断面図である。
【図12】図12(A)及び図12(B)は、実施形態2の変形例6に係る空気調和装置の断面図である。
【図13】図13は、実施形態2の変形例7に係る空気調和装置の断面図である。
【図14】図14は、実施形態2の変形例8に係る空気調和装置の斜視図である。
【図15】図15は、実施形態2の変形例9に係る空気調和装置の斜視図である。
【図16】図16は、実施形態2の変形例10に係る空気調和装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0029】
《発明の実施形態1》
本発明の実施形態1について説明する。
【0030】
この実施形態1は、本発明に係る集塵装置(2)を壁掛け型の空気調和装置(1)に適用したものである。この空気調和装置(1)は、内部構造を表す図1(A)の斜視図及び図1(B)の側面図に示すように、上面側に空気吸込口(11)が形成されるとともに下面側に空気吹出口が形成されたケーシング(10)内に装置の構成部品が収納されたものである。このケーシング(10)内には、上方から下方へ向かって順に、荷電部(20)、集塵ユニット(30)(電気集塵部)、脱臭ユニット(40)、熱交換器(50)、及びファン(60)が配置されている。
【0031】
本発明の集塵装置(2)は、上記の空気調和装置(1)の構成部品のうち、荷電部(20)(イオン化部)と、集塵ユニット(30)と、ケーシング(10)と、ファン(60)とを構成要素としている。上記荷電部(20)は、放電電極(21)と対向電極(22)(以下、主対向電極(22)という)とを有し、両電極間の放電によりイオンを生成するように構成されている。集塵ユニット(30)は、上記イオンを空気中の塵埃に付着させた後に、その塵埃を捕集するものである。この集塵ユニット(30)は、詳細を図示していないが、電極板を用いてクーロン力により塵埃を捕集する構成にしたり、金属メッシュ材を用いて電気影像力により塵埃を捕集する構成にしたりすることができる。つまり、集塵ユニット(30)は、塵埃を電気的に捕集するものであれば、その形式は任意に選択すればよい。
【0032】
ケーシング(10)は、図1では簡略化して直方体形状で表しているが、実際には図2に示すように上面と下面は傾斜した湾曲面になっている。このケーシング(10)は、内部に上記荷電部(20)と電気集塵部とファン(60)を保持する集塵装置(2)のケーシング(10)であるとともに、脱臭ユニット(40)と熱交換器(50)も保持して空気調和装置(1)のケーシング(10)にもなっている。なお、ファン(60)は脱臭ユニット(40)の構成要素であるとともに空気調和装置(1)の構成要素でもある。
【0033】
脱臭ユニット(40)には、活性炭やゼオライトなどを用いた吸着方式や、光触媒などを用いた触媒方式や、オゾンなどの酸化剤を用いた方式など、種々の方式のうちから任意の方式を採用することができる。
【0034】
熱交換器(50)は、図示していないが、室外ユニットに設けられている圧縮機や室外熱交換器と冷媒配管で接続された空気熱交換器(50)である。この空気熱交換器(50)で空気と冷媒とが熱交換をすることにより、空気が冷却または加熱される。
【0035】
上記ファン(60)には、クロスフローファン(60)が用いられている。このクロスフローファン(60)は、上記空気吸込口(11)から空気吹出口へ向かう空気流れをケーシング(10)内に形成するものである。また、クロスフローファン(60)には、駆動機構(71)であるファンモータ(61)が接続されている。
【0036】
上記荷電部(20)の放電電極(21)と主対向電極(22)は、両電極間での放電により、上記空気吸込口(11)の全域にわたって電界が形成されるように配置されている。具体的には、上記放電電極(21)と主対向電極(22)は、図1(A)に破線で示すように、放電電極(21)からのイオンの放出方向がケーシング(10)の内側から外側へ向かう方向となり、主対向電極(22)へのイオンの入射方向がケーシング(10)の外側から内側へ向かう方向となるように配置されている。そして、こうすることにより、図1に破線で示すように電気力線が形成されることになり、上記空気吸込口(11)に対してケーシング(10)の外側に電界が形成される。
【0037】
また、上記放電電極(21)は上記空気吸込口(11)の一対の側縁部の一方に沿って配置され、上記主対向電極(22)は、上記空気吸込口(11)の一対の側縁部の他方に沿って配置されている。そして、この放電電極(21)と対向電極(22)は、上記空気吸込口(11)を挟んで対向している。この放電電極(21)と主対向電極(22)には、放電用の高圧電源(23)が接続され、放電電極(21)と主対向電極(22)の間に電位差が与えられるようになっている。
【0038】
上記放電電極(21)は針状電極により構成されている。この針状電極は、その基端側がケーシング(10)の内側を向き、その先端がケーシング(10)の外側を向くように配置されている。また、主対向電極(22)は、空気吸込口(11)の側縁部と実質的に平行に配置された棒状の電極により構成されている。このように両電極を配置することにより、放電電極(21)からのイオンの放出方向がケーシング(10)の内側から外側へ向かう方向となり、主対向電極(22)へのイオンの入射方向がケーシング(10)の外側から内側へ向かう方向となる構成を実現している。
【0039】
−運転動作−
次に、この空気調和装置(1)の運転動作について説明する。
【0040】
室外機を起動して冷媒回路を冷媒が循環するようにした状態でクロスフローファン(60)を起動すると、室内空気が室内空間からケーシング(10)内に取り込まる。この空気は、集塵装置(2)による浄化作用を受けた後、室内熱交換器(50)を通過する。このとき、室内熱交換器(50)の中を流れる冷媒と、室内熱交換器(50)の外を通過する空気が熱交換をして、空気が冷却または加熱される。冷却または加熱された空気は空気吹出口から室内へ吹き出される。このことにより、室内の冷房または暖房が行われる。
【0041】
一方、集塵装置(2)では、放電電極(21)と主対向電極(22)に高電圧が印加される。ここで、放電電極(21)には高圧電源(23)のマイナス極が接続され、主対向電極(22)にはプラス極が接続されている。なお、図示していないが、主対向電極(22)は接地されている。この構成においては、放電電極(21)から電子が飛び出してマイナスイオンが発生し、このマイナスイオンが、図1(A)及び図2(A)に破線で示すようにケーシング(10)の空気吸込口(11)の外側に形成される電気力線に沿って飛んで行き、主対向電極(22)に入射する。したがって、空気吸込口(11)の外側には、この空気吸込口(11)の全域にわたって電界が形成される。
【0042】
このとき、空気はクロスフローファン(60)の作用により、上述のように室内からケーシング(10)内へ吸い込まれている。したがって、空気中で浮遊している塵埃は、図2(B)に示すように上記電界を通過する。このことにより、塵埃が誘電分極して、電気力線が塵埃を介して形成されることになる。その結果、塵埃は電気力線に沿って来たイオンを吸収して帯電する。
【0043】
このように、本実施形態では、空気吸込口(11)の外側に形成された電界を空気が通過するときに、空気中の塵埃が帯電するようにしている。したがって、帯電した塵埃は、空気中に放出されずに、直接にケーシング(10)内に吸い込まれて集塵ユニット(30)で捕集される。集塵ユニット(30)における塵埃の捕集は、クーロン力または電気影像力の作用で行われる。
【0044】
−実施形態1の効果−
本実施形態によれば、ケーシング(10)に形成されている空気吸込口(11)の外側に、この空気吸込口(11)の全域にわたるように電界を形成している。そして、この電界をケーシング(10)に向かって通過する空気中の塵埃を帯電させて、この塵埃を直接ケーシング(10)内に吸い込んで集塵ユニット(30)により捕集するようにしている。したがって、この実施形態では、イオンが室内に放出されないため、室内空気と壁面との間に空間電位は生じない。そのため、本実施形態によれば、壁面が塵埃の付着によって汚れるの確実に防止できる。
【0045】
−実施形態1の変形例−
上記実施形態では放電電極(21)として針状電極を用いているが、その形状は針状に限定されるものではないし、主対向電極(22)も棒状に限定されるものではない。要するに、各電極は、ケーシング(10)の外側で空気吸込口(11)の全域にわたって電界が形成されるようになっていれば、その形状は適宜変更してもよい。
【0046】
《発明の実施形態2》
本発明の実施形態2について説明する。
【0047】
本発明の実施形態2は、実施形態1とは荷電部(20)の構成を異なるようにした例である。そこで、以下では、主に荷電部(20)の構成について説明する。
【0048】
この実施形態2の荷電部(20)は、空気吸込口(11)の両側の縁部に放電電極(21)と主対向電極(22)をそれぞれ対向するように配置しているのに加えて、図3に示すように、放電電極(21)の近傍に補助対向電極(24)を配置している。放電電極(21)と主対向電極(22)の配置の仕方は、実施形態1と同じである。
【0049】
補助対向電極(24)は、放電電極(21)の位置を基準とすると、それよりも空気吸込口(11)の内側に配置されている。補助対向電極(24)は、空気吸込口(11)における放電電極(21)側の側縁部と平行に配置されている。この補助対向電極(24)は、主対向電極(22)よりも細い直径(例えば1〜2mm)の棒状電極により構成されている。そして、放電電極(21)には高圧電源(23)のマイナス極が接続され、主対向電極(22)と補助対向電極(24)にはプラス極が接続されている。
【0050】
図4には、ケーシング(10)に対する放電電極(21)と補助対向電極(24)の取付構造を示している。放電電極(21)と補助対向電極(24)は、合成樹脂製の一つの取付台(25)に取り付けられている。この取付台(25)は、空気調和装置(1)のケーシング(10)に固定するための取付板(25a)と、この取付板(25a)の下部中央で針状の放電電極(21)を鉛直方向に沿って上向きに保持するための放電電極(21)保持部(25b)と、取付板(25a)の上端部で棒状の補助対向電極(24)を水平方向に沿って横向きに保持するための補助対向電極(24)取付アーム(25c)とを有している。放電電極(21)は、上記放電電極(21)保持部(25b)にネジ留めされ、高圧電線(26a)(マイナス極側)が接続されている。また、補助対向電極(24)は、上記補助対向電極(24)取付アーム(25c)にネジ留めされ、アース線(26b)(プラス極側)が接続されている。
【0051】
他の構成は実施形態1と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0052】
−運転動作−
次に、運転動作について説明する。空気調和装置(1)としての全体的な運転動作は実施形態1と同じであるため、この実施形態2では、荷電部(20)における放電の詳細な動作について説明する。
【0053】
この実施形態2では、空気吸込口(11)における放電電極(21)とは反対側の縁部に主対向電極(22)を配置する一方、放電電極(21)と同じ側の縁部には補助対向電極(24)を配置している。つまり、放電電極(21)の近傍に補助対向電極(24)を配置している。
【0054】
補助対向電極(24)を用いない場合には、放電電極(21)と主対向電極(22)の距離が比較的大きいため、放電開始電圧も比較的大きくなるが、この実施形態2では補助対向電極(24)を放電電極(21)の近傍に設けたことにより、低い電圧であっても放電電極(21)と補助対向電極(24)の間で放電が開始される。
【0055】
また、図5(A)に示すように補助対向電極(24)が例えば板状で幅が広いものであると、放電電極(21)から補助対向電極(24)に向かう電気力線が拡がらず、イオンがほとんど補助対向電極(24)に向かってしまって主対向電極(22)までイオンが到達しなくなるが、この実施形態2では、補助対向電極(24)を棒状にして、その直径を主対向電極(22)の直径よりも細くしているので、図5(B)に示すように、放電電極(21)から発生する電気力線の湾曲度合いが大きくなり、補助対向電極(24)の裏側に回り込むようになる。
【0056】
この場合でも放電電極(21)から出たイオンは多くが補助対向電極(24)に到達するが(衝突荷電方式)、放電電極(21)と補助対向電極(24)の間の電気力線がこのように湾曲した形状で形成されると、湾曲度合いの大きな電気力線に沿って飛んでいるイオンの一部は補助対向電極(24)に向かわずに、その電気力線から外れて流れていく。放電電極(21)と補助対向電極(24)の間の電気力線から外れたイオンは、その結果、放電電極(21)と主対向電極(22)の間に形成されている緩やかに湾曲した電気力線に沿って、放電電極(21)からは距離の離れた主対向電極(22)まで進んでいく。つまり、印加電圧を小さな値にした場合でも、放電電極(21)と主対向電極(22)の間で放電が行われることになる(拡散荷電方式)。このように、放電電極(21)と補助対向電極(24)の間で拡散荷電方式の放電が行われるので、電界は、空気吸込口(11)の全体を覆うように形成される。
【0057】
なお、図6(A)に示すように、放電電極(21)に対する補助対向電極(24)の位置は、放電電極(21)の先端を通る中心線に対して斜め45°程度の角度をなす直線上の位置に配置すると印加電圧を低減する効果をより確実に得ることができる。これに対して、図6(B)に示すように、放電電極(21)の横(放電電極(21)の先端を通る中心線に対して約90°の角度をなす直線上の位置)に補助対向電極(24)を配置すると、放電開始電圧が高くなってしまい、逆に図6(C)に示すように放電電極(21)の上方の位置(放電電極(21)の先端を通る中心線上の位置)に補助対向電極(24)を配置すると、放電開始電圧を最も低くできるものの無駄な電流が増えてしまう。以上のことから、放電電極(21)に対する補助対向電極(24)の位置関係については、図6(A)の配置を採用するとよい。
【0058】
−実施形態2の効果−
この実施形態2によれば、実施形態1と同様の効果を得られることに加えて、放電電極(21)の近傍に補助対向電極(24)を配置したことにより、放電開始電圧を小さくしても、放電電極(21)と主対向電極(22)との間で放電が行われるようにすることができる。したがって、集塵装置(2)を、より低コストで実用性が高いものにすることができる。
【0059】
−実施形態2の変形例−
(変形例1)
実施形態2の変形例1は、図7に示すように、放電電極(21)を鉛直方向に沿って上向きに配置するのではなく、先端が主対向電極(22)に向かう方向へ斜めに向くように配置した例である。補助対向電極(24)は、放電電極(21)の先端に対してほぼ水平方向内側に配置されている。つまり、補助対向電極(24)の配置を、放電電極(21)の先端を通る中心線に対する位置関係で表すと、補助対向電極(24)は、この中心線に対して斜め下側約45°の位置に配置されている。
【0060】
放電電極(21)と補助対向電極(24)をこのように配置すると、放電電極(21)と補助対向電極(24)との間の電気力線には、図3及び図5(B)と同様に直線的なものから、図において時計回り方向への流れで補助対向電極(24)の裏側に回り込むように大きく湾曲するものまで含まれる。放電電極(21)から、大きく湾曲する電気力線に沿って飛び出したイオンの一部は、この電気力線から外れて流れ、放電電極(21)と主対向電極(22)の間に形成される湾曲度合いの小さな電気力線に沿って移動する。
【0061】
この変形例1の構成では、放電電極(21)と補助対向電極(24)の間の電気力線の向きと、放電電極(21)と主対向電極(22)の間の電気力線の向きが同じであるため、放電電極(21)と主対向電極(22)の間には、ケーシング(10)の外面に比較的小さいところを通る電気力線から、ケーシング(10)の外面から比較的離れたところを通る電気力線まで、広い範囲に電気力線が形成される。したがって、低電圧でも空気吸込口(11)の全域にわたって電界を形成することができるとともに、広い範囲で空気中の塵埃に電荷を与える効果を得ることができる。
【0062】
(変形例2)
実施形態2の変形例2は、図8に示すように、放電電極(21)を先端が主対向電極(22)に向かう方向へ斜め向きに配置した点は図7の変形例1と同じである。一方、補助対向電極(24)は、放電電極(21)の先端に対してほぼ鉛直上方に配置されている。つまり、補助対向電極(24)の配置を、放電電極(21)の先端を通る中心線に対する位置関係で表すと、補助対向電極(24)は、この中心線に対して斜め上側約45°の位置に配置されている。
【0063】
放電電極(21)と補助対向電極(24)をこのように配置すると、放電電極(21)と補助対向電極(24)との間の電気力線には、直線的なものから、図において反時計回り方向への流れで補助対向電極(24)の裏側に回り込むように大きく湾曲するものまで含まれる。放電電極(21)から、大きく湾曲する電気力線に沿って飛び出したイオンの一部は、この電気力線から外れて流れ、放電電極(21)と主対向電極(22)の間に形成される湾曲度合いの小さな電気力線に沿って移動する。
【0064】
この変形例2の構成では、放電電極(21)と補助対向電極(24)の間の電気力線の向きと、放電電極(21)と主対向電極(22)の間の電気力線の向きが反対であるため、放電電極(21)と対向電極(22)の間には、ケーシング(10)の外面付近の狭い範囲にのみ、ケーシング(10)の外向きに飛び出すように湾曲する電気力線が形成される。したがって、比較的狭い範囲に電界が形成されることになるが、電界中のイオンの密度は図7の変形例1に比べて高くなる。そのため、電界が形成される範囲が狭くても、空気中の塵埃に電荷を与える効果は十分に得ることができる。
【0065】
(変形例3)
実施形態2の変形例3は、図9に示すように、放電電極(21)を先端が対向電極(22)へ向かう方向へ横向き(水平)に配置した例である。補助対向電極(24)は、図において放電電極(21)の右斜め上側約45°の位置に配置されている。つまり、補助対向電極(24)の配置を、放電電極(21)の先端を通る中心線に対する位置関係で表すと、補助対向電極(24)は、この中心線に対して、右斜め上側約45°の角度でのびる線分が通る位置に配置されている。
【0066】
放電電極(21)と補助対向電極(24)をこのように配置すると、放電電極(21)と補助対向電極(24)との間の電気力線には、直線的なものから、図において反時計回り方向への流れで補助対向電極(24)の裏側に回り込むように大きく湾曲するものまで含まれる。放電電極(21)から、大きく湾曲する電気力線に沿って飛び出したイオンの一部は、この電気力線から外れて流れ、放電電極(21)と主対向電極(22)の間に形成される湾曲度合いの小さな電気力線に沿って移動する。
【0067】
この変形例3の構成では、放電電極(21)と補助対向電極(24)の間の電気力線の向きと、放電電極(21)と主対向電極(22)の間の電気力線の向きが反対であるため、放電電極(21)と対向電極(22)の間には、ほぼ空気吸込口(11)の範囲内で小さく湾曲する電気力線が形成される。したがって、変形例2と同様に比較的狭い範囲に電界が形成されることになるが、電界中のイオンの密度は図7の変形例1に比べて高くなる。そのため、電界が形成される範囲が狭くても、空気中の塵埃に電荷を与える効果は十分に得ることができる。
【0068】
(変形例4)
実施形態2の変形例4は、図10に示すように、空気吸込口(11)がケーシング(10)の左右2箇所に分かれて配置されている場合に対応した電極の配置を示す例である。この変形例4では、放電電極(21)を、2つの空気吸込口(11)の間の、ケーシング(10)の中央の位置に配置している。また、主対向電極(22)は、放電電極(21)に対して各空気吸込口(11)を挟んで放電電極(21)と反対側の縁部に配置されている。補助対向電極(24)は、放電電極(21)を挟んで左右両側に1つずつ配置され、それぞれが各空気吸込口における放電電極(21)の近傍側の縁部に配置されている。そして、各空気吸込口について、主対向電極(22)と補助対向電極(24)がその空気吹出口を挟んで対向している。
【0069】
この変形例4の構成においては、上記実施形態2と同様に、放電電極(21)と各補助対向電極(24)との間の衝突荷電方式の放電に誘発されて、放電電極(21)と各主対向電極(22)との間で拡散荷電方式の放電が行われる。そして、この変形例4では、空気吹出口を2つ設けることにより、放電電極(21)と主対向電極(22)の距離を短くすることができるから、より低い電圧でも安定した放電を行うことができる。したがって、集塵性能を安定させることが可能となる。このように、放電電極(21)と主対向電極(22)及び補助対向電極(24)を空気吸込口(11)の外側と内側に分散して配置することにより、低電圧でも安定した放電を行うことが可能になる。
【0070】
(変形例5)
実施形態2の変形例5は、図11に示すように、空気吸込口(11)が1つ設けられている構成において、電極の配置を図3の実施形態2とは変更した例である。
【0071】
この変形例5では、放電電極(21)は、空気吹出口の左右の縁部に沿って1つずつ、空気吹出口を挟んで対向するように配置されている。棒状の主対向電極(22)は、空気吹出口の中央に1本だけ設けられている。つまり、この1本の主対向電極(22)が、2本の放電電極(21)用の主対向電極(22)を兼ねるようになっている。また、各放電電極(21)の近傍には、空気吸込口(11)の一対の側縁部に沿うように、補助対向電極(24)が1本ずつ配置されている。
【0072】
この変形例5の構成においては、変形例4とは各電極の位置が異なるものの、放電自体は変形例4とほぼ同様にして行われる。そして、変形例4と同様に、放電電極(21)と主対向電極(22)及び補助対向電極(24)を空気吸込口(11)の外側と内側に分散して配置することにより、低電圧でも安定した放電を行うことが可能になる。
【0073】
(変形例6)
実施形態2の変形例6は、図12(A)及び図12(B)に示すように、空気吸込口(11)と各電極の配置を図3の実施形態2及び図7〜図11の各変形例とは異なるようにした例である。
【0074】
図12(A)の例は、ケーシング(10)に3つの空気吸込口(11)を設けた場合の電極の配置を示している。この例では、放電電極(21)は、隣り合う空気吹出口の間に1つずつ設けられている。主対向電極(22)は、外側の空気吸込口(11)の外側縁部に沿う位置に1本ずつと、真ん中の空気吸込口(11)の中央に1本、合計3本が設けられている。また、補助対向電極(24)は、各放電電極(21)の左右両側で空気吸込口(11)の側縁部に沿う位置に1本ずつ、合計4本が設けられている。
【0075】
この変形例6の構成においては、変形例4,5とは空気吸込口(11)及び各電極の配置が異なるものの、放電自体は変形例4,5とほぼ同様にして行われる。そして、変形例4,5と同様に、放電電極(21)と主対向電極(22)及び補助対向電極(24)を空気吸込口(11)の外側と内側に分散して配置することにより、低電圧でも安定した放電を行うことが可能になる。
【0076】
また、図12(B)の例では、図12(A)の真ん中の空気吸込口(11)を更に2つに分けて、空気吸込口(11)を4つにした例である。この構成においても、放電電極(21)と主対向電極(22)及び補助対向電極(24)は図12(B)と同じように配置されている。したがって、放電は変形例4,5とほぼ同様に行われる。そして、変形例4,5と同様に、放電電極(21)と主対向電極(22)及び補助対向電極(24)を空気吸込口(11)の外側と内側に分散して配置することにより、低電圧でも安定した放電を行うことが可能になる。
【0077】
(変形例7)
実施形態2の変形例7は、図13に示すように、空気吸込口(11)の外側に絶縁性カバー(70)を配置するようにしたものである。この絶縁性カバー(70)は、空気調和装置(1)を運転しているときには空気吸込口(11)を開放し、空気調和装置(1)の運転をていしているときには空気吸込口(11)を閉鎖するように構成されている。
【0078】
空気吸込口(11)がケーシング(10)の上面に1つだけ設けられていることと、その空気吸込口(11)の一対の側縁部の一方に沿って放電電極(21)と補助対向電極(24)が配置され、空気吸込口(11)の一致の側縁部の他方に沿って主対向電極(22)が配置されていることは、図3の実施形態2と同じである。
【0079】
したがって、放電の作用は図3の実施形態2と同様である。
【0080】
この実施形態の集塵装置(2)を備えた空気調和装置(1)の配置によっては、ケーシング(10)の外側に形成される電気力線が壁や天井に近い位置に形成されることがあるが、この変形例7では、そのような場合に、電界を通過して帯電した塵埃が部屋の壁や天井に付着するのを絶縁性カバー(70)によって阻止できる。したがって、集塵装置(2)の配置にかかわらず、壁や天井が塵埃で汚れるのを防止できる。
【0081】
(変形例8)
実施形態2の変形例8は、変形例7の絶縁性カバー(70)を駆動する構造を具体化した例である。この変形例7では、空気吸込口(11)や各電極の構成は上記変形例7と同じであるため、絶縁性カバー(70)の駆動機構(71)についてのみ説明する。
【0082】
図14に示すように、この空気調和装置(1)のケーシング(10)には、上記空気吸込口(11)を開閉するために、絶縁性カバー(70)が設けられている。この絶縁性カバー(70)は、ケーシング(10)に対して上下に平行移動するように構成されている。
【0083】
そのため、絶縁性カバー(70)には、鉛直上下方向にのびるガイドロッド(72)が該絶縁性カバー(70)の下面の左右両端部に設けられている。また、ケーシング(10)内には、上下ガイドロッド(72)の上下の動作を許容するためにリニアブッシュ(73)が設けられている。このリニアブッシュ(73)は、ケーシング(10)の側壁の内面に固定されている。
【0084】
上記ガイドロッド(72)の一方(図の右側のガイドロッド(72))は、下端部にラックギヤ(74)が形成されている。また、ケーシング(10)の右側壁の内面には、ラックギヤ(74)と噛み合うピニオン(76)が駆動軸に取り付けられたモータ(75)が装着されている。このモータ(75)を動作させることにより、リニアブッシュ(73)でガイドロッド(72)の動作が案内された状態でラックとピニオン(76)が作用して、絶縁性カバー(70)が上下へ動作する。
【0085】
空気調和装置(1)の運転時には絶縁性カバー(70)が上方へ移動して空気吸込口(11)が開放されるようになっている。この状態で装置の運転を行うと、吸込気流はケーシング(10)と絶縁性カバー(70)の間から吸込口を通ってケーシング(10)内に吸い込まれる。ケーシング(10)と絶縁性カバー(70)の間には、上述したように空気吸込口(11)の全域にわたって電界が形成されているので、空気中の塵埃が電荷を帯びた状態でケーシング(10)内に導入される。この塵埃は集塵ユニット(30)に電気的に捕集され、さらに空気熱交換器(50)で温度が調整された後、空気吹出口から室内へ吹き出される。なお、空気調和装置(1)の運転停止時には、上記絶縁性カバー(70)が下降してケーシング(10)の上面に接触し、空気吸込口(11)が覆われる。
【0086】
この変形例8では、空気調和装置(1)の運転中に空気吸込口(11)を開放するとともに、その空気吸込口(11)の上方に位置する絶縁性カバー(70)を設けているので、ケーシング(10)の外側に飛び出して形成される電気力線が壁や天井に近い位置に形成される場合でも、電界を通過することにより帯電した塵埃が部屋の壁や天井に付着するのを絶縁性カバー(70)によって阻止できる。したがって、集塵装置(2)の配置にかかわらず、壁や天井が塵埃で汚れるのを防止できる。しかも、ラックとピニオン(76)を用いた直動型の簡単な機構により、絶縁性カバー(70)を設ける構成を実現できる。
【0087】
(変形例9)
実施形態2の変形例9は、変形例7の絶縁性カバー(70)を、開き戸のように一端を支点として開閉するように構成した例である。図では詳細は示していないが、絶縁性カバー(70)の一端にはヒンジが設けられていてケーシング(10)と連結されている。この絶縁性カバー(70)の開閉機構としては、リンク機構などを用いることができる。
【0088】
この変形例9においても、変形例8と同様に、空気調和装置(1)の運転中には絶縁性カバー(70)が開いて空気吸込口(11)が開放され、空気調和装置(1)の運転停止中には絶縁性カバー(70)が閉じて空気吸込口(11)が閉鎖される。
【0089】
そして、変形例8と同様に、絶縁性カバー(70)を設けているので、ケーシング(10)の外側に飛び出して形成される電気力線が壁や天井に近い位置に形成される場合でも、電界を通過することにより帯電した塵埃が部屋の壁や天井に付着するのを絶縁性カバー(70)によって阻止できる。したがって、集塵装置(2)の配置にかかわらず、壁や天井が塵埃で汚れるのを防止できる。
【0090】
(変形例10)
実施形態2の変形例10は、図16に示すように、空気調和装置(1)に設けられているプレフィルター(80)の手前に電界を形成するようにした例である。また、この空気調和装置(1)では、空気調和装置(1)のエアフィルター(81)に塵埃が溜まると、自動掃除機構(82)によって塵埃を回収し、エアフィルター(81)のメンテナンスを不要にしている。自動掃除機構(82)は、駆動部(83)と掃除部(84)とからなるものであって、掃除部(84)が駆動部(83)によって移動することによりエアフィルター(81)が掃除される。
【0091】
空気吸込口(11)及び荷電部(20)の構成は図3の実施形態2と同様である。
【0092】
このようにすると、プレフィルターの性能が向上するので、集塵ユニット(30)の長寿命化を図ることができる。また、エアフィルター(81)を自動で掃除するようにしているので、フィルターのメンテナンスが不要になる。
【0093】
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
【0094】
上記各実施形態では、放電電極(21)に針状電極を用い、対向電極(22)(主対向電極(22)及び補助対向電極(24))に棒状電極を用いているが、電極の形状は適宜変更してもよい。また、上記各実施形態及びその変形例で示した電極の配置も、空気吸込口(11)の全域にわたって電界が形成されるようになっている限りは適宜変更してもよい。
【0095】
さらに、上記各実施形態においては、主対向電極(22)に対して放電電極(21)を1本だけ設けるようにしているが、空気吸込口(11)の側縁部に沿って複数本を設けるようにしてもよい。このようにすると、放電電極(21)と主対向電極(22)の間に形成される電極によって、空気吸込口(11)の全域を覆いやすくすることができる。
【0096】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【実施例】
【0097】
次に、本発明における塵埃の荷電効率について考察する。
【0098】
塵を帯電させるのには、放電極と主対向電極(22)の間の距離が影響する。距離が長ければイオンの滞空時間が長くなり、塵に出会う機会が増えるからである。そこで、電極間距離とイオンの滞空時間の関係を考える。
【0099】
ここで、電気力線に沿って飛ぶイオンの運動エネルギーとイオンが電界で得るエネルギーは等しい。イオンが電界で得るエネルギーは、イオンが空気分子に衝突した後に、自由行程移動する間に電界のポテンシャルエネルギーを得る。
【0100】
その値は、e×(V/L)×dとなる。
ここで、e:素電荷(1.6×10−19C)
V:電極間印加電圧
L:電極間距離
V/Lは電界強度
d:イオンの平均自由行程 である。
したがって、(1/2)mv2=e×(V/L)×d
ここで、m:イオンの質量
v=イオンの平均速度
したがって、v=(2eVd/mL)1/2 となる。
【0101】
一方、イオンの滞空時間tは、
t=L/v であるから
t=L/(2eVd/mL)1/2 となる。
【0102】
つまり、イオンの滞空時間は電極間隔の1.5乗に比例する。また、印加電圧の0.5乗に反比例する。したがって、電極間隔を長くすることが、塵埃の帯電を増やすのに有効ということである。
【0103】
例えば、通常使われる放電線を平板の主対向電極(22)と組み合わせたイオン化部の電極間隔は1.5cm程度である。本発明において、空気吸込口(11)を挟んで両側に放電電極(21)と主対向電極(22)を設置し、その間隔が50cmで合ったとすると、滞在時間tは、
t=(50/1.5)1.5倍、すなわち192倍になることが分かる。
【0104】
このことから、逆に従来のイオン化部で192μAの放電電流が必要だったとすると、本発明によれば、理論的には1μAの放電電流で同じ効果が得られることを示している。このように、本発明では、効率を大幅に向上させることができる。
【0105】
また、電気力線を移動するイオンの速度vは、
v=(2eVd/mL)1/2 である。
ここで、m=(32×10−3)/(6×1023)Kg
e=1.6×10−19c
V=5000V
d=7×10−8m
L=0.5m とすると、
イオンの速度vは、
v=29.0m/sec となる。
【0106】
このように、幅が50cmの空気吸込口(11)を跨って配置された放電電極(21)と主対向電極(22)の間を飛ぶイオンの速度は30m/sec前後と非常に高速になる。これに対して、空気吸込口(11)からケーシング(10)内に吸い込まれる空気の風速は1〜5m/sec程度の低速であることから、空気吸込口(11)の風の影響を受けずに電気力線でイオンを空気吸込口(11)の手前に保持できることが分かる。
【0107】
したがって、本発明によれば、イオンが空気吸込口(11)の外側で飛んでいる状態を保ちながら、空気吸込口(11)から空気を吸い込むことができるので、塵埃のイオン化に関して高い性能を得ることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0108】
以上説明したように、本発明は、放電電極と主対向電極との間に電界を形成して被処理空気中の浮遊粒子を帯電させ、その浮遊粒子を電気的に捕集する集塵装置について有用である。
【符号の説明】
【0109】
1 空気調和装置
2 集塵装置
10 ケーシング
11 空気吸込口
12 空気吹出口
20 荷電部
21 放電電極
22 対向電極
24 補助対向電極
30 電気集塵部
60 ファン
70 絶縁性カバー
【技術分野】
【0001】
本発明は、放電電極と対向電極との間に電界を形成して被処理空気中の浮遊粒子(塵埃)を帯電させ、その浮遊粒子を電気的に捕集する集塵装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
被処理空気中の塵埃(浮遊粒子)を電気的に捕集する従来の集塵装置として、室内空間で塵を帯電させた後に空気を装置内に吸い込んで、その塵埃を装置のケーシング内で捕集するものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1の集塵装置では、ケーシング内に荷電部と電気集塵部とファンが設けられている。そして、装置内の荷電部で生成したイオンを装置外に放出して、室内の空気中に浮遊する塵埃と結合させることで塵埃を室内空間で帯電させ、この塵埃を集塵装置のケーシング内にファンで吸い込んで電気集塵部で捕集するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−87967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1の装置では、室内空間で塵埃をイオン化させるようにしているので、室内空間に電荷が溜まり、壁面に対して空間電位が生じてしまう。そのため、特許文献1の装置では、装置内の電気集塵部に塵埃を取り込む前に、部屋の壁などに塵埃が引き寄せられて付着し、壁が汚れるおそれがあった。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みて創案されたものであり、その目的は、荷電部で生成したイオンによって帯電した空気中の塵埃を電気的に捕集する集塵装置において、帯電した塵埃が壁面に引き寄せられて付着することに起因する壁面汚れを防止できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、放電電極(21)と対向電極(22)とを有してイオンを生成する荷電部(20)と、上記イオンが付着した空気中の塵埃を捕集する電気集塵部(30)と、空気吸込口(11)と空気吹出口(12)とが形成されるとともに上記荷電部(20)と電気集塵部(30)とを保持するケーシング(10)と、上記空気吸込口(11)から空気吹出口(12)へ向かう空気流れをケーシング(10)内に形成するファン(60)とを備えた集塵装置を前提としている。
【0008】
そして、この集塵装置は、上記荷電部(20)の放電電極(21)と対向電極(22)が、上記空気吸込口(11)の全域にわたって電界が形成されるように配置されていることを特徴としている。
【0009】
この第1の発明では、ファン(60)によってケーシング(10)の中に空気吸込口(11)から空気吹出口(12)へ向かう空気流れが形成されるので、この空気流れに沿って、室内の空気が空気吸込口(11)からケーシング(10)内に取り込まれ、その空気が空気吹出口(12)から室内に吹き出されて室内に供給される。このとき、荷電部(20)によって空気吸込口(11)の全域にわたって電界が形成されているので、この荷電部(20)で形成された電界を吸込空気が通過してケーシング(10)内に導入される。したがって、空気中の塵埃は上記電界を飛んでいるイオンによって電荷を帯び、電気集塵部(30)に捕集される。このように帯電した塵埃が直接にケーシング(10)内に導入されるから、上記電界で帯電した空気中の塵埃等の浮遊粒子は、室内空間へは拡散しない。
【0010】
第2の発明は、第1の発明において、上記放電電極(21)と対向電極(22)が、放電電極(21)からのイオンの放出方向がケーシング(10)の内側から外側へ向かう方向となり、対向電極(22)へのイオンの入射方向がケーシング(10)の外側から内側へ向かう方向となるように配置されて、上記空気吸込口(11)に対してケーシング(10)の外側に電界が形成されるように構成されていることを特徴としている。
【0011】
この第2の発明では、放電電極(21)と対向電極(22)の間に形成される電気力線が、ケーシング(10)に対して空気吸込口(11)の外側に飛び出す状態で形成される。つまり、電気力線がケーシング(10)の外の空間に向かって比較的広い範囲に形成され、その電界の中を吸込空気が通過するときに、空気中の塵埃が帯電する。帯電した塵埃は室内の空気中へは拡散せずにケーシング(10)内に直接に取り込まれ、電気集塵部(30)に捕集される。
【0012】
第3の発明は、第2の発明において、上記放電電極(21)が針状電極により構成され、上記針状電極の先端がケーシング(10)の外側を向くように配置されていることを特徴としている。
【0013】
この第3の発明では、針状電極により形成された放電電極(21)がケーシング(10)の外側を向くように配置されているので、電気力線をケーシング(10)の外側空間の広い領域で形成しやすくなる。
【0014】
第4の発明は、第1,第2または第3の発明において、上記放電電極(21)が上記空気吸込口(11)の側縁部の一方に配置されるとともに、対向電極(22)が上記放電電極(21)上記空気吸込口(11)の側縁部の他方に配置されていることを特徴としている。
【0015】
第5の発明は、第1,第2または第3の発明において、上記放電電極(21)と対向電極(22)が、上記空気吸込口(11)の一対の側縁部の間に分散して配置されていることを特徴としている。
【0016】
上記第4,第5の発明では、電気力線を空気吸込口(11)の全域にわたって形成するための構成を、放電電極(21)と対向電極(22)を空気吸込口(11)の一対の側縁部に沿って向して配置したり、空気吸込口(11)の一対の側縁部の間に分散して配置したりするなど、種々の配置で実現できる。
【0017】
第6の発明は、第2から第5の発明の何れか1つにおいて、上記放電電極(21)の近傍に補助対向電極(24)が配置されていることを特徴としている。
【0018】
この第6の発明では、放電電極(21)の近傍に補助対向電極(24)が配置され、補助対向電極(24)よりも離れた位置に対向電極(22)が配置される。ここで、放電電極(21)と補助対向電極(24)は距離が近いので、その間では、放電電極(21)から飛び出したイオンのほとんどが補助対向電極(24)に向かう比較的湾曲度合いの小さい電気力線に沿って流れ、印加電圧が小さくても、イオンが補助対向電極(24)に到達する衝突荷電方式の放電が行われる。一方、放電電極(21)と対向電極(以下、対向電極(22)という)は、放電電極(21)と補助対向電極(24)よりも距離が離れている。放電電極(21)と補助対向電極(24)の間には、補助対向電極(24)の裏側へ回り込むように大きく湾曲した電気力線も形成されるが、放電電極(21)からこの湾曲した電気力線に沿って飛び出したイオンには、補助対向電極(24)に到達せずに、対向電極(22)の方へ流れるものが含まれる。つまり、印加電圧が小さくても、拡散荷電方式の放電が行われる。
【0019】
第7の発明は、第2から第6の発明の何れか1つにおいて、上記空気吸込口(11)の外側に絶縁性カバー(70)が配置されていることを特徴としている。
【0020】
集塵装置の配置によっては、ケーシング(10)の外側に形成される電気力線が壁や天井に近い位置に形成されることがあるが、この第7の発明では、そのような場合に、電界を通過して帯電した塵埃が上記の壁や天井に付着するのを絶縁性カバー(70)によって阻止できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、荷電部(20)の放電電極(21)と対向電極(22)を、空気吸込口(11)の全域にわたって電界が形成されるように配置しているので、空気吸込口(11)からケーシング(10)内に吸い込まれる空気をその電界を通過する際に帯電させて、室内には拡散させずにケーシング(10)内に直接的に取り込むことができる。したがって、室内の空気中には帯電した塵埃が放出されないので、室内の壁面に対する空間電位が生じない。したがって、帯電した塵埃が壁面に引き寄せられて付着することに起因する壁面汚れも防止できる。
【0022】
上記第2の発明によれば、放電電極(21)と対向電極(22)の間に形成される電気力線を、ケーシング(10)に対して空気吹出口(12)の外側に突出するようにして、ケーシング(10)の外の空間の比較的広い範囲に電界を形成するようにしている。そして、その電界の中を吸込空気が通過するときに、空気中の塵埃を帯電させるようにしているので、帯電した空気は室内へ放出されずにケーシング(10)内に取り込まれて電気集塵部(30)に捕集される。この第2の発明ではケーシング(10)の空気吸込口(11)の外側の広い空間を帯電領域として利用しているので、装置の集塵性能を高めることができる。
【0023】
上記第3の発明によれば、放電電極(21)を構成する針状電極の先端を、ケーシング(10)の外側を向くように配置することにより、電気力線をケーシング(10)の外側空間の比較的広い領域に形成しやすくなる。したがって、第2の発明の効果をより確実に得ることができる。
【0024】
上記第4,第5の発明によれば、電気力線を空気吸込口(11)の全域にわたって形成するための構成として、放電電極(21)と対向電極(22)を空気吸込口(11)の側縁部の一方と他方で互いに対向するように配置したり、空気吸込口(11)の一対の側縁部の間に分散して配置したりすることができるので、電極配置に関する設計の自由度を高めることができる。
【0025】
上記第6の発明によれば、放電電極(21)に対して距離の離れた対向電極(22)と、それよりも距離の近い補助対向電極(24)を設けることにより、衝突荷電方式と拡散荷電方式の放電を併用するようにしている。このことにより、空気吸込口(11)の全域にわたって形成される電界は、主に拡散荷電方式により形成される。そして、対向電極(22)の近傍に補助対向電極(24)を設けて衝突荷電方式の放電を行うようにすることにより、印加電圧を低くしても放電が行われ、その衝突荷電に伴って、放電電極(21)と対向電極(22)との間では空気吸込口(11)の全域にわたる拡散荷電方式の放電を行うことができる。
【0026】
上記第7の発明によれば、ケーシング(10)の外側に形成される電気力線(電界)が壁や天井に近い位置に形成されるように集塵装置が配置される場合に、その電界を通過して帯電した塵埃が壁や天井に付着するのを上記絶縁性カバー(70)によって阻止できる。したがって、集塵装置の配置にかかわらず、壁や天井が塵埃で汚れるのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、本発明の実施形態1に係る集塵装置が適用された壁掛け型の空気調和装置を示し、図1(A)は斜視図、図1(B)は側面図である。
【図2】図2(A)は空気調和装置の動作状態を示す概念図、図2(B)は電界を通過する塵埃が帯電する様子を示す状態図である。
【図3】図3は、本発明の実施形態2に係る集塵装置が適用された壁掛け型の空気調和装置を示す斜視図である。
【図4】図4は、ケーシングに対する放電電極と主対向電極の取付構造を示す斜視図である。
【図5】図5は、補助対向電極の働きを示す説明図であり、図5(A)は補助対向電極を幅の広い板状にした場合、図5(B)は補助対向電極を細い棒状にした場合を示している。
【図6】図6(A)〜図6(C)は、放電電極に対する補助対向電極の複数の配置例を示す図である。
【図7】図7は、実施形態2の変形例1に係る空気調和装置の断面図である。
【図8】図8は、実施形態2の変形例2に係る空気調和装置の断面図である。
【図9】図9は、実施形態2の変形例3に係る空気調和装置の断面図である。
【図10】図10は、実施形態2の変形例4に係る空気調和装置の断面図である。
【図11】図11は、実施形態2の変形例5に係る空気調和装置の断面図である。
【図12】図12(A)及び図12(B)は、実施形態2の変形例6に係る空気調和装置の断面図である。
【図13】図13は、実施形態2の変形例7に係る空気調和装置の断面図である。
【図14】図14は、実施形態2の変形例8に係る空気調和装置の斜視図である。
【図15】図15は、実施形態2の変形例9に係る空気調和装置の斜視図である。
【図16】図16は、実施形態2の変形例10に係る空気調和装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0029】
《発明の実施形態1》
本発明の実施形態1について説明する。
【0030】
この実施形態1は、本発明に係る集塵装置(2)を壁掛け型の空気調和装置(1)に適用したものである。この空気調和装置(1)は、内部構造を表す図1(A)の斜視図及び図1(B)の側面図に示すように、上面側に空気吸込口(11)が形成されるとともに下面側に空気吹出口が形成されたケーシング(10)内に装置の構成部品が収納されたものである。このケーシング(10)内には、上方から下方へ向かって順に、荷電部(20)、集塵ユニット(30)(電気集塵部)、脱臭ユニット(40)、熱交換器(50)、及びファン(60)が配置されている。
【0031】
本発明の集塵装置(2)は、上記の空気調和装置(1)の構成部品のうち、荷電部(20)(イオン化部)と、集塵ユニット(30)と、ケーシング(10)と、ファン(60)とを構成要素としている。上記荷電部(20)は、放電電極(21)と対向電極(22)(以下、主対向電極(22)という)とを有し、両電極間の放電によりイオンを生成するように構成されている。集塵ユニット(30)は、上記イオンを空気中の塵埃に付着させた後に、その塵埃を捕集するものである。この集塵ユニット(30)は、詳細を図示していないが、電極板を用いてクーロン力により塵埃を捕集する構成にしたり、金属メッシュ材を用いて電気影像力により塵埃を捕集する構成にしたりすることができる。つまり、集塵ユニット(30)は、塵埃を電気的に捕集するものであれば、その形式は任意に選択すればよい。
【0032】
ケーシング(10)は、図1では簡略化して直方体形状で表しているが、実際には図2に示すように上面と下面は傾斜した湾曲面になっている。このケーシング(10)は、内部に上記荷電部(20)と電気集塵部とファン(60)を保持する集塵装置(2)のケーシング(10)であるとともに、脱臭ユニット(40)と熱交換器(50)も保持して空気調和装置(1)のケーシング(10)にもなっている。なお、ファン(60)は脱臭ユニット(40)の構成要素であるとともに空気調和装置(1)の構成要素でもある。
【0033】
脱臭ユニット(40)には、活性炭やゼオライトなどを用いた吸着方式や、光触媒などを用いた触媒方式や、オゾンなどの酸化剤を用いた方式など、種々の方式のうちから任意の方式を採用することができる。
【0034】
熱交換器(50)は、図示していないが、室外ユニットに設けられている圧縮機や室外熱交換器と冷媒配管で接続された空気熱交換器(50)である。この空気熱交換器(50)で空気と冷媒とが熱交換をすることにより、空気が冷却または加熱される。
【0035】
上記ファン(60)には、クロスフローファン(60)が用いられている。このクロスフローファン(60)は、上記空気吸込口(11)から空気吹出口へ向かう空気流れをケーシング(10)内に形成するものである。また、クロスフローファン(60)には、駆動機構(71)であるファンモータ(61)が接続されている。
【0036】
上記荷電部(20)の放電電極(21)と主対向電極(22)は、両電極間での放電により、上記空気吸込口(11)の全域にわたって電界が形成されるように配置されている。具体的には、上記放電電極(21)と主対向電極(22)は、図1(A)に破線で示すように、放電電極(21)からのイオンの放出方向がケーシング(10)の内側から外側へ向かう方向となり、主対向電極(22)へのイオンの入射方向がケーシング(10)の外側から内側へ向かう方向となるように配置されている。そして、こうすることにより、図1に破線で示すように電気力線が形成されることになり、上記空気吸込口(11)に対してケーシング(10)の外側に電界が形成される。
【0037】
また、上記放電電極(21)は上記空気吸込口(11)の一対の側縁部の一方に沿って配置され、上記主対向電極(22)は、上記空気吸込口(11)の一対の側縁部の他方に沿って配置されている。そして、この放電電極(21)と対向電極(22)は、上記空気吸込口(11)を挟んで対向している。この放電電極(21)と主対向電極(22)には、放電用の高圧電源(23)が接続され、放電電極(21)と主対向電極(22)の間に電位差が与えられるようになっている。
【0038】
上記放電電極(21)は針状電極により構成されている。この針状電極は、その基端側がケーシング(10)の内側を向き、その先端がケーシング(10)の外側を向くように配置されている。また、主対向電極(22)は、空気吸込口(11)の側縁部と実質的に平行に配置された棒状の電極により構成されている。このように両電極を配置することにより、放電電極(21)からのイオンの放出方向がケーシング(10)の内側から外側へ向かう方向となり、主対向電極(22)へのイオンの入射方向がケーシング(10)の外側から内側へ向かう方向となる構成を実現している。
【0039】
−運転動作−
次に、この空気調和装置(1)の運転動作について説明する。
【0040】
室外機を起動して冷媒回路を冷媒が循環するようにした状態でクロスフローファン(60)を起動すると、室内空気が室内空間からケーシング(10)内に取り込まる。この空気は、集塵装置(2)による浄化作用を受けた後、室内熱交換器(50)を通過する。このとき、室内熱交換器(50)の中を流れる冷媒と、室内熱交換器(50)の外を通過する空気が熱交換をして、空気が冷却または加熱される。冷却または加熱された空気は空気吹出口から室内へ吹き出される。このことにより、室内の冷房または暖房が行われる。
【0041】
一方、集塵装置(2)では、放電電極(21)と主対向電極(22)に高電圧が印加される。ここで、放電電極(21)には高圧電源(23)のマイナス極が接続され、主対向電極(22)にはプラス極が接続されている。なお、図示していないが、主対向電極(22)は接地されている。この構成においては、放電電極(21)から電子が飛び出してマイナスイオンが発生し、このマイナスイオンが、図1(A)及び図2(A)に破線で示すようにケーシング(10)の空気吸込口(11)の外側に形成される電気力線に沿って飛んで行き、主対向電極(22)に入射する。したがって、空気吸込口(11)の外側には、この空気吸込口(11)の全域にわたって電界が形成される。
【0042】
このとき、空気はクロスフローファン(60)の作用により、上述のように室内からケーシング(10)内へ吸い込まれている。したがって、空気中で浮遊している塵埃は、図2(B)に示すように上記電界を通過する。このことにより、塵埃が誘電分極して、電気力線が塵埃を介して形成されることになる。その結果、塵埃は電気力線に沿って来たイオンを吸収して帯電する。
【0043】
このように、本実施形態では、空気吸込口(11)の外側に形成された電界を空気が通過するときに、空気中の塵埃が帯電するようにしている。したがって、帯電した塵埃は、空気中に放出されずに、直接にケーシング(10)内に吸い込まれて集塵ユニット(30)で捕集される。集塵ユニット(30)における塵埃の捕集は、クーロン力または電気影像力の作用で行われる。
【0044】
−実施形態1の効果−
本実施形態によれば、ケーシング(10)に形成されている空気吸込口(11)の外側に、この空気吸込口(11)の全域にわたるように電界を形成している。そして、この電界をケーシング(10)に向かって通過する空気中の塵埃を帯電させて、この塵埃を直接ケーシング(10)内に吸い込んで集塵ユニット(30)により捕集するようにしている。したがって、この実施形態では、イオンが室内に放出されないため、室内空気と壁面との間に空間電位は生じない。そのため、本実施形態によれば、壁面が塵埃の付着によって汚れるの確実に防止できる。
【0045】
−実施形態1の変形例−
上記実施形態では放電電極(21)として針状電極を用いているが、その形状は針状に限定されるものではないし、主対向電極(22)も棒状に限定されるものではない。要するに、各電極は、ケーシング(10)の外側で空気吸込口(11)の全域にわたって電界が形成されるようになっていれば、その形状は適宜変更してもよい。
【0046】
《発明の実施形態2》
本発明の実施形態2について説明する。
【0047】
本発明の実施形態2は、実施形態1とは荷電部(20)の構成を異なるようにした例である。そこで、以下では、主に荷電部(20)の構成について説明する。
【0048】
この実施形態2の荷電部(20)は、空気吸込口(11)の両側の縁部に放電電極(21)と主対向電極(22)をそれぞれ対向するように配置しているのに加えて、図3に示すように、放電電極(21)の近傍に補助対向電極(24)を配置している。放電電極(21)と主対向電極(22)の配置の仕方は、実施形態1と同じである。
【0049】
補助対向電極(24)は、放電電極(21)の位置を基準とすると、それよりも空気吸込口(11)の内側に配置されている。補助対向電極(24)は、空気吸込口(11)における放電電極(21)側の側縁部と平行に配置されている。この補助対向電極(24)は、主対向電極(22)よりも細い直径(例えば1〜2mm)の棒状電極により構成されている。そして、放電電極(21)には高圧電源(23)のマイナス極が接続され、主対向電極(22)と補助対向電極(24)にはプラス極が接続されている。
【0050】
図4には、ケーシング(10)に対する放電電極(21)と補助対向電極(24)の取付構造を示している。放電電極(21)と補助対向電極(24)は、合成樹脂製の一つの取付台(25)に取り付けられている。この取付台(25)は、空気調和装置(1)のケーシング(10)に固定するための取付板(25a)と、この取付板(25a)の下部中央で針状の放電電極(21)を鉛直方向に沿って上向きに保持するための放電電極(21)保持部(25b)と、取付板(25a)の上端部で棒状の補助対向電極(24)を水平方向に沿って横向きに保持するための補助対向電極(24)取付アーム(25c)とを有している。放電電極(21)は、上記放電電極(21)保持部(25b)にネジ留めされ、高圧電線(26a)(マイナス極側)が接続されている。また、補助対向電極(24)は、上記補助対向電極(24)取付アーム(25c)にネジ留めされ、アース線(26b)(プラス極側)が接続されている。
【0051】
他の構成は実施形態1と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0052】
−運転動作−
次に、運転動作について説明する。空気調和装置(1)としての全体的な運転動作は実施形態1と同じであるため、この実施形態2では、荷電部(20)における放電の詳細な動作について説明する。
【0053】
この実施形態2では、空気吸込口(11)における放電電極(21)とは反対側の縁部に主対向電極(22)を配置する一方、放電電極(21)と同じ側の縁部には補助対向電極(24)を配置している。つまり、放電電極(21)の近傍に補助対向電極(24)を配置している。
【0054】
補助対向電極(24)を用いない場合には、放電電極(21)と主対向電極(22)の距離が比較的大きいため、放電開始電圧も比較的大きくなるが、この実施形態2では補助対向電極(24)を放電電極(21)の近傍に設けたことにより、低い電圧であっても放電電極(21)と補助対向電極(24)の間で放電が開始される。
【0055】
また、図5(A)に示すように補助対向電極(24)が例えば板状で幅が広いものであると、放電電極(21)から補助対向電極(24)に向かう電気力線が拡がらず、イオンがほとんど補助対向電極(24)に向かってしまって主対向電極(22)までイオンが到達しなくなるが、この実施形態2では、補助対向電極(24)を棒状にして、その直径を主対向電極(22)の直径よりも細くしているので、図5(B)に示すように、放電電極(21)から発生する電気力線の湾曲度合いが大きくなり、補助対向電極(24)の裏側に回り込むようになる。
【0056】
この場合でも放電電極(21)から出たイオンは多くが補助対向電極(24)に到達するが(衝突荷電方式)、放電電極(21)と補助対向電極(24)の間の電気力線がこのように湾曲した形状で形成されると、湾曲度合いの大きな電気力線に沿って飛んでいるイオンの一部は補助対向電極(24)に向かわずに、その電気力線から外れて流れていく。放電電極(21)と補助対向電極(24)の間の電気力線から外れたイオンは、その結果、放電電極(21)と主対向電極(22)の間に形成されている緩やかに湾曲した電気力線に沿って、放電電極(21)からは距離の離れた主対向電極(22)まで進んでいく。つまり、印加電圧を小さな値にした場合でも、放電電極(21)と主対向電極(22)の間で放電が行われることになる(拡散荷電方式)。このように、放電電極(21)と補助対向電極(24)の間で拡散荷電方式の放電が行われるので、電界は、空気吸込口(11)の全体を覆うように形成される。
【0057】
なお、図6(A)に示すように、放電電極(21)に対する補助対向電極(24)の位置は、放電電極(21)の先端を通る中心線に対して斜め45°程度の角度をなす直線上の位置に配置すると印加電圧を低減する効果をより確実に得ることができる。これに対して、図6(B)に示すように、放電電極(21)の横(放電電極(21)の先端を通る中心線に対して約90°の角度をなす直線上の位置)に補助対向電極(24)を配置すると、放電開始電圧が高くなってしまい、逆に図6(C)に示すように放電電極(21)の上方の位置(放電電極(21)の先端を通る中心線上の位置)に補助対向電極(24)を配置すると、放電開始電圧を最も低くできるものの無駄な電流が増えてしまう。以上のことから、放電電極(21)に対する補助対向電極(24)の位置関係については、図6(A)の配置を採用するとよい。
【0058】
−実施形態2の効果−
この実施形態2によれば、実施形態1と同様の効果を得られることに加えて、放電電極(21)の近傍に補助対向電極(24)を配置したことにより、放電開始電圧を小さくしても、放電電極(21)と主対向電極(22)との間で放電が行われるようにすることができる。したがって、集塵装置(2)を、より低コストで実用性が高いものにすることができる。
【0059】
−実施形態2の変形例−
(変形例1)
実施形態2の変形例1は、図7に示すように、放電電極(21)を鉛直方向に沿って上向きに配置するのではなく、先端が主対向電極(22)に向かう方向へ斜めに向くように配置した例である。補助対向電極(24)は、放電電極(21)の先端に対してほぼ水平方向内側に配置されている。つまり、補助対向電極(24)の配置を、放電電極(21)の先端を通る中心線に対する位置関係で表すと、補助対向電極(24)は、この中心線に対して斜め下側約45°の位置に配置されている。
【0060】
放電電極(21)と補助対向電極(24)をこのように配置すると、放電電極(21)と補助対向電極(24)との間の電気力線には、図3及び図5(B)と同様に直線的なものから、図において時計回り方向への流れで補助対向電極(24)の裏側に回り込むように大きく湾曲するものまで含まれる。放電電極(21)から、大きく湾曲する電気力線に沿って飛び出したイオンの一部は、この電気力線から外れて流れ、放電電極(21)と主対向電極(22)の間に形成される湾曲度合いの小さな電気力線に沿って移動する。
【0061】
この変形例1の構成では、放電電極(21)と補助対向電極(24)の間の電気力線の向きと、放電電極(21)と主対向電極(22)の間の電気力線の向きが同じであるため、放電電極(21)と主対向電極(22)の間には、ケーシング(10)の外面に比較的小さいところを通る電気力線から、ケーシング(10)の外面から比較的離れたところを通る電気力線まで、広い範囲に電気力線が形成される。したがって、低電圧でも空気吸込口(11)の全域にわたって電界を形成することができるとともに、広い範囲で空気中の塵埃に電荷を与える効果を得ることができる。
【0062】
(変形例2)
実施形態2の変形例2は、図8に示すように、放電電極(21)を先端が主対向電極(22)に向かう方向へ斜め向きに配置した点は図7の変形例1と同じである。一方、補助対向電極(24)は、放電電極(21)の先端に対してほぼ鉛直上方に配置されている。つまり、補助対向電極(24)の配置を、放電電極(21)の先端を通る中心線に対する位置関係で表すと、補助対向電極(24)は、この中心線に対して斜め上側約45°の位置に配置されている。
【0063】
放電電極(21)と補助対向電極(24)をこのように配置すると、放電電極(21)と補助対向電極(24)との間の電気力線には、直線的なものから、図において反時計回り方向への流れで補助対向電極(24)の裏側に回り込むように大きく湾曲するものまで含まれる。放電電極(21)から、大きく湾曲する電気力線に沿って飛び出したイオンの一部は、この電気力線から外れて流れ、放電電極(21)と主対向電極(22)の間に形成される湾曲度合いの小さな電気力線に沿って移動する。
【0064】
この変形例2の構成では、放電電極(21)と補助対向電極(24)の間の電気力線の向きと、放電電極(21)と主対向電極(22)の間の電気力線の向きが反対であるため、放電電極(21)と対向電極(22)の間には、ケーシング(10)の外面付近の狭い範囲にのみ、ケーシング(10)の外向きに飛び出すように湾曲する電気力線が形成される。したがって、比較的狭い範囲に電界が形成されることになるが、電界中のイオンの密度は図7の変形例1に比べて高くなる。そのため、電界が形成される範囲が狭くても、空気中の塵埃に電荷を与える効果は十分に得ることができる。
【0065】
(変形例3)
実施形態2の変形例3は、図9に示すように、放電電極(21)を先端が対向電極(22)へ向かう方向へ横向き(水平)に配置した例である。補助対向電極(24)は、図において放電電極(21)の右斜め上側約45°の位置に配置されている。つまり、補助対向電極(24)の配置を、放電電極(21)の先端を通る中心線に対する位置関係で表すと、補助対向電極(24)は、この中心線に対して、右斜め上側約45°の角度でのびる線分が通る位置に配置されている。
【0066】
放電電極(21)と補助対向電極(24)をこのように配置すると、放電電極(21)と補助対向電極(24)との間の電気力線には、直線的なものから、図において反時計回り方向への流れで補助対向電極(24)の裏側に回り込むように大きく湾曲するものまで含まれる。放電電極(21)から、大きく湾曲する電気力線に沿って飛び出したイオンの一部は、この電気力線から外れて流れ、放電電極(21)と主対向電極(22)の間に形成される湾曲度合いの小さな電気力線に沿って移動する。
【0067】
この変形例3の構成では、放電電極(21)と補助対向電極(24)の間の電気力線の向きと、放電電極(21)と主対向電極(22)の間の電気力線の向きが反対であるため、放電電極(21)と対向電極(22)の間には、ほぼ空気吸込口(11)の範囲内で小さく湾曲する電気力線が形成される。したがって、変形例2と同様に比較的狭い範囲に電界が形成されることになるが、電界中のイオンの密度は図7の変形例1に比べて高くなる。そのため、電界が形成される範囲が狭くても、空気中の塵埃に電荷を与える効果は十分に得ることができる。
【0068】
(変形例4)
実施形態2の変形例4は、図10に示すように、空気吸込口(11)がケーシング(10)の左右2箇所に分かれて配置されている場合に対応した電極の配置を示す例である。この変形例4では、放電電極(21)を、2つの空気吸込口(11)の間の、ケーシング(10)の中央の位置に配置している。また、主対向電極(22)は、放電電極(21)に対して各空気吸込口(11)を挟んで放電電極(21)と反対側の縁部に配置されている。補助対向電極(24)は、放電電極(21)を挟んで左右両側に1つずつ配置され、それぞれが各空気吸込口における放電電極(21)の近傍側の縁部に配置されている。そして、各空気吸込口について、主対向電極(22)と補助対向電極(24)がその空気吹出口を挟んで対向している。
【0069】
この変形例4の構成においては、上記実施形態2と同様に、放電電極(21)と各補助対向電極(24)との間の衝突荷電方式の放電に誘発されて、放電電極(21)と各主対向電極(22)との間で拡散荷電方式の放電が行われる。そして、この変形例4では、空気吹出口を2つ設けることにより、放電電極(21)と主対向電極(22)の距離を短くすることができるから、より低い電圧でも安定した放電を行うことができる。したがって、集塵性能を安定させることが可能となる。このように、放電電極(21)と主対向電極(22)及び補助対向電極(24)を空気吸込口(11)の外側と内側に分散して配置することにより、低電圧でも安定した放電を行うことが可能になる。
【0070】
(変形例5)
実施形態2の変形例5は、図11に示すように、空気吸込口(11)が1つ設けられている構成において、電極の配置を図3の実施形態2とは変更した例である。
【0071】
この変形例5では、放電電極(21)は、空気吹出口の左右の縁部に沿って1つずつ、空気吹出口を挟んで対向するように配置されている。棒状の主対向電極(22)は、空気吹出口の中央に1本だけ設けられている。つまり、この1本の主対向電極(22)が、2本の放電電極(21)用の主対向電極(22)を兼ねるようになっている。また、各放電電極(21)の近傍には、空気吸込口(11)の一対の側縁部に沿うように、補助対向電極(24)が1本ずつ配置されている。
【0072】
この変形例5の構成においては、変形例4とは各電極の位置が異なるものの、放電自体は変形例4とほぼ同様にして行われる。そして、変形例4と同様に、放電電極(21)と主対向電極(22)及び補助対向電極(24)を空気吸込口(11)の外側と内側に分散して配置することにより、低電圧でも安定した放電を行うことが可能になる。
【0073】
(変形例6)
実施形態2の変形例6は、図12(A)及び図12(B)に示すように、空気吸込口(11)と各電極の配置を図3の実施形態2及び図7〜図11の各変形例とは異なるようにした例である。
【0074】
図12(A)の例は、ケーシング(10)に3つの空気吸込口(11)を設けた場合の電極の配置を示している。この例では、放電電極(21)は、隣り合う空気吹出口の間に1つずつ設けられている。主対向電極(22)は、外側の空気吸込口(11)の外側縁部に沿う位置に1本ずつと、真ん中の空気吸込口(11)の中央に1本、合計3本が設けられている。また、補助対向電極(24)は、各放電電極(21)の左右両側で空気吸込口(11)の側縁部に沿う位置に1本ずつ、合計4本が設けられている。
【0075】
この変形例6の構成においては、変形例4,5とは空気吸込口(11)及び各電極の配置が異なるものの、放電自体は変形例4,5とほぼ同様にして行われる。そして、変形例4,5と同様に、放電電極(21)と主対向電極(22)及び補助対向電極(24)を空気吸込口(11)の外側と内側に分散して配置することにより、低電圧でも安定した放電を行うことが可能になる。
【0076】
また、図12(B)の例では、図12(A)の真ん中の空気吸込口(11)を更に2つに分けて、空気吸込口(11)を4つにした例である。この構成においても、放電電極(21)と主対向電極(22)及び補助対向電極(24)は図12(B)と同じように配置されている。したがって、放電は変形例4,5とほぼ同様に行われる。そして、変形例4,5と同様に、放電電極(21)と主対向電極(22)及び補助対向電極(24)を空気吸込口(11)の外側と内側に分散して配置することにより、低電圧でも安定した放電を行うことが可能になる。
【0077】
(変形例7)
実施形態2の変形例7は、図13に示すように、空気吸込口(11)の外側に絶縁性カバー(70)を配置するようにしたものである。この絶縁性カバー(70)は、空気調和装置(1)を運転しているときには空気吸込口(11)を開放し、空気調和装置(1)の運転をていしているときには空気吸込口(11)を閉鎖するように構成されている。
【0078】
空気吸込口(11)がケーシング(10)の上面に1つだけ設けられていることと、その空気吸込口(11)の一対の側縁部の一方に沿って放電電極(21)と補助対向電極(24)が配置され、空気吸込口(11)の一致の側縁部の他方に沿って主対向電極(22)が配置されていることは、図3の実施形態2と同じである。
【0079】
したがって、放電の作用は図3の実施形態2と同様である。
【0080】
この実施形態の集塵装置(2)を備えた空気調和装置(1)の配置によっては、ケーシング(10)の外側に形成される電気力線が壁や天井に近い位置に形成されることがあるが、この変形例7では、そのような場合に、電界を通過して帯電した塵埃が部屋の壁や天井に付着するのを絶縁性カバー(70)によって阻止できる。したがって、集塵装置(2)の配置にかかわらず、壁や天井が塵埃で汚れるのを防止できる。
【0081】
(変形例8)
実施形態2の変形例8は、変形例7の絶縁性カバー(70)を駆動する構造を具体化した例である。この変形例7では、空気吸込口(11)や各電極の構成は上記変形例7と同じであるため、絶縁性カバー(70)の駆動機構(71)についてのみ説明する。
【0082】
図14に示すように、この空気調和装置(1)のケーシング(10)には、上記空気吸込口(11)を開閉するために、絶縁性カバー(70)が設けられている。この絶縁性カバー(70)は、ケーシング(10)に対して上下に平行移動するように構成されている。
【0083】
そのため、絶縁性カバー(70)には、鉛直上下方向にのびるガイドロッド(72)が該絶縁性カバー(70)の下面の左右両端部に設けられている。また、ケーシング(10)内には、上下ガイドロッド(72)の上下の動作を許容するためにリニアブッシュ(73)が設けられている。このリニアブッシュ(73)は、ケーシング(10)の側壁の内面に固定されている。
【0084】
上記ガイドロッド(72)の一方(図の右側のガイドロッド(72))は、下端部にラックギヤ(74)が形成されている。また、ケーシング(10)の右側壁の内面には、ラックギヤ(74)と噛み合うピニオン(76)が駆動軸に取り付けられたモータ(75)が装着されている。このモータ(75)を動作させることにより、リニアブッシュ(73)でガイドロッド(72)の動作が案内された状態でラックとピニオン(76)が作用して、絶縁性カバー(70)が上下へ動作する。
【0085】
空気調和装置(1)の運転時には絶縁性カバー(70)が上方へ移動して空気吸込口(11)が開放されるようになっている。この状態で装置の運転を行うと、吸込気流はケーシング(10)と絶縁性カバー(70)の間から吸込口を通ってケーシング(10)内に吸い込まれる。ケーシング(10)と絶縁性カバー(70)の間には、上述したように空気吸込口(11)の全域にわたって電界が形成されているので、空気中の塵埃が電荷を帯びた状態でケーシング(10)内に導入される。この塵埃は集塵ユニット(30)に電気的に捕集され、さらに空気熱交換器(50)で温度が調整された後、空気吹出口から室内へ吹き出される。なお、空気調和装置(1)の運転停止時には、上記絶縁性カバー(70)が下降してケーシング(10)の上面に接触し、空気吸込口(11)が覆われる。
【0086】
この変形例8では、空気調和装置(1)の運転中に空気吸込口(11)を開放するとともに、その空気吸込口(11)の上方に位置する絶縁性カバー(70)を設けているので、ケーシング(10)の外側に飛び出して形成される電気力線が壁や天井に近い位置に形成される場合でも、電界を通過することにより帯電した塵埃が部屋の壁や天井に付着するのを絶縁性カバー(70)によって阻止できる。したがって、集塵装置(2)の配置にかかわらず、壁や天井が塵埃で汚れるのを防止できる。しかも、ラックとピニオン(76)を用いた直動型の簡単な機構により、絶縁性カバー(70)を設ける構成を実現できる。
【0087】
(変形例9)
実施形態2の変形例9は、変形例7の絶縁性カバー(70)を、開き戸のように一端を支点として開閉するように構成した例である。図では詳細は示していないが、絶縁性カバー(70)の一端にはヒンジが設けられていてケーシング(10)と連結されている。この絶縁性カバー(70)の開閉機構としては、リンク機構などを用いることができる。
【0088】
この変形例9においても、変形例8と同様に、空気調和装置(1)の運転中には絶縁性カバー(70)が開いて空気吸込口(11)が開放され、空気調和装置(1)の運転停止中には絶縁性カバー(70)が閉じて空気吸込口(11)が閉鎖される。
【0089】
そして、変形例8と同様に、絶縁性カバー(70)を設けているので、ケーシング(10)の外側に飛び出して形成される電気力線が壁や天井に近い位置に形成される場合でも、電界を通過することにより帯電した塵埃が部屋の壁や天井に付着するのを絶縁性カバー(70)によって阻止できる。したがって、集塵装置(2)の配置にかかわらず、壁や天井が塵埃で汚れるのを防止できる。
【0090】
(変形例10)
実施形態2の変形例10は、図16に示すように、空気調和装置(1)に設けられているプレフィルター(80)の手前に電界を形成するようにした例である。また、この空気調和装置(1)では、空気調和装置(1)のエアフィルター(81)に塵埃が溜まると、自動掃除機構(82)によって塵埃を回収し、エアフィルター(81)のメンテナンスを不要にしている。自動掃除機構(82)は、駆動部(83)と掃除部(84)とからなるものであって、掃除部(84)が駆動部(83)によって移動することによりエアフィルター(81)が掃除される。
【0091】
空気吸込口(11)及び荷電部(20)の構成は図3の実施形態2と同様である。
【0092】
このようにすると、プレフィルターの性能が向上するので、集塵ユニット(30)の長寿命化を図ることができる。また、エアフィルター(81)を自動で掃除するようにしているので、フィルターのメンテナンスが不要になる。
【0093】
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
【0094】
上記各実施形態では、放電電極(21)に針状電極を用い、対向電極(22)(主対向電極(22)及び補助対向電極(24))に棒状電極を用いているが、電極の形状は適宜変更してもよい。また、上記各実施形態及びその変形例で示した電極の配置も、空気吸込口(11)の全域にわたって電界が形成されるようになっている限りは適宜変更してもよい。
【0095】
さらに、上記各実施形態においては、主対向電極(22)に対して放電電極(21)を1本だけ設けるようにしているが、空気吸込口(11)の側縁部に沿って複数本を設けるようにしてもよい。このようにすると、放電電極(21)と主対向電極(22)の間に形成される電極によって、空気吸込口(11)の全域を覆いやすくすることができる。
【0096】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【実施例】
【0097】
次に、本発明における塵埃の荷電効率について考察する。
【0098】
塵を帯電させるのには、放電極と主対向電極(22)の間の距離が影響する。距離が長ければイオンの滞空時間が長くなり、塵に出会う機会が増えるからである。そこで、電極間距離とイオンの滞空時間の関係を考える。
【0099】
ここで、電気力線に沿って飛ぶイオンの運動エネルギーとイオンが電界で得るエネルギーは等しい。イオンが電界で得るエネルギーは、イオンが空気分子に衝突した後に、自由行程移動する間に電界のポテンシャルエネルギーを得る。
【0100】
その値は、e×(V/L)×dとなる。
ここで、e:素電荷(1.6×10−19C)
V:電極間印加電圧
L:電極間距離
V/Lは電界強度
d:イオンの平均自由行程 である。
したがって、(1/2)mv2=e×(V/L)×d
ここで、m:イオンの質量
v=イオンの平均速度
したがって、v=(2eVd/mL)1/2 となる。
【0101】
一方、イオンの滞空時間tは、
t=L/v であるから
t=L/(2eVd/mL)1/2 となる。
【0102】
つまり、イオンの滞空時間は電極間隔の1.5乗に比例する。また、印加電圧の0.5乗に反比例する。したがって、電極間隔を長くすることが、塵埃の帯電を増やすのに有効ということである。
【0103】
例えば、通常使われる放電線を平板の主対向電極(22)と組み合わせたイオン化部の電極間隔は1.5cm程度である。本発明において、空気吸込口(11)を挟んで両側に放電電極(21)と主対向電極(22)を設置し、その間隔が50cmで合ったとすると、滞在時間tは、
t=(50/1.5)1.5倍、すなわち192倍になることが分かる。
【0104】
このことから、逆に従来のイオン化部で192μAの放電電流が必要だったとすると、本発明によれば、理論的には1μAの放電電流で同じ効果が得られることを示している。このように、本発明では、効率を大幅に向上させることができる。
【0105】
また、電気力線を移動するイオンの速度vは、
v=(2eVd/mL)1/2 である。
ここで、m=(32×10−3)/(6×1023)Kg
e=1.6×10−19c
V=5000V
d=7×10−8m
L=0.5m とすると、
イオンの速度vは、
v=29.0m/sec となる。
【0106】
このように、幅が50cmの空気吸込口(11)を跨って配置された放電電極(21)と主対向電極(22)の間を飛ぶイオンの速度は30m/sec前後と非常に高速になる。これに対して、空気吸込口(11)からケーシング(10)内に吸い込まれる空気の風速は1〜5m/sec程度の低速であることから、空気吸込口(11)の風の影響を受けずに電気力線でイオンを空気吸込口(11)の手前に保持できることが分かる。
【0107】
したがって、本発明によれば、イオンが空気吸込口(11)の外側で飛んでいる状態を保ちながら、空気吸込口(11)から空気を吸い込むことができるので、塵埃のイオン化に関して高い性能を得ることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0108】
以上説明したように、本発明は、放電電極と主対向電極との間に電界を形成して被処理空気中の浮遊粒子を帯電させ、その浮遊粒子を電気的に捕集する集塵装置について有用である。
【符号の説明】
【0109】
1 空気調和装置
2 集塵装置
10 ケーシング
11 空気吸込口
12 空気吹出口
20 荷電部
21 放電電極
22 対向電極
24 補助対向電極
30 電気集塵部
60 ファン
70 絶縁性カバー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電電極(21)と対向電極(22)とを有してイオンを生成する荷電部(20)と、上記イオンが付着した空気中の塵埃を捕集する電気集塵部(30)と、空気吸込口(11)と空気吹出口(12)とが形成されるとともに上記荷電部(20)と電気集塵部(30)とを保持するケーシング(10)と、上記空気吸込口(11)から空気吹出口(12)へ向かう空気流れをケーシング(10)内に形成するファン(60)とを備えた集塵装置であって、
上記荷電部(20)の放電電極(21)と対向電極(22)は、上記空気吸込口(11)の全域にわたって電界が形成されるように配置されていることを特徴とする集塵装置。
【請求項2】
請求項1において、
上記放電電極(21)と対向電極(22)は、放電電極(21)からのイオンの放出方向がケーシング(10)の内側から外側へ向かう方向となり、対向電極(22)へのイオンの入射方向がケーシング(10)の外側から内側へ向かう方向となるように配置され、上記空気吸込口(11)に対してケーシング(10)の外側に電界が形成されるように構成されていることを特徴とする集塵装置。
【請求項3】
請求項2において、
上記放電電極(21)は針状電極により構成され、
上記針状電極は、先端がケーシング(10)の外側を向くように配置されていることを特徴とする集塵装置。
【請求項4】
請求項1,2または3において、
上記放電電極(21)が上記空気吸込口(11)の側縁部の一方に配置されるとともに、対向電極(22)が上記放電電極(21)上記空気吸込口(11)の側縁部の他方に配置されていることを特徴とする集塵装置。
【請求項5】
請求項1,2または3において、
上記放電電極(21)と対向電極(22)が、上記空気吸込口(11)の一対の側縁部の間に分散して配置されていることを特徴とする集塵装置。
【請求項6】
請求項2から5の何れか1つにおいて、
上記放電電極(21)の近傍に補助対向電極(24)が配置されていることを特徴とする集塵装置。
【請求項7】
請求項2から6の何れか1つにおいて、
上記空気吸込口(11)の外側に絶縁性カバー(70)が配置されていることを特徴とする集塵装置。
【請求項1】
放電電極(21)と対向電極(22)とを有してイオンを生成する荷電部(20)と、上記イオンが付着した空気中の塵埃を捕集する電気集塵部(30)と、空気吸込口(11)と空気吹出口(12)とが形成されるとともに上記荷電部(20)と電気集塵部(30)とを保持するケーシング(10)と、上記空気吸込口(11)から空気吹出口(12)へ向かう空気流れをケーシング(10)内に形成するファン(60)とを備えた集塵装置であって、
上記荷電部(20)の放電電極(21)と対向電極(22)は、上記空気吸込口(11)の全域にわたって電界が形成されるように配置されていることを特徴とする集塵装置。
【請求項2】
請求項1において、
上記放電電極(21)と対向電極(22)は、放電電極(21)からのイオンの放出方向がケーシング(10)の内側から外側へ向かう方向となり、対向電極(22)へのイオンの入射方向がケーシング(10)の外側から内側へ向かう方向となるように配置され、上記空気吸込口(11)に対してケーシング(10)の外側に電界が形成されるように構成されていることを特徴とする集塵装置。
【請求項3】
請求項2において、
上記放電電極(21)は針状電極により構成され、
上記針状電極は、先端がケーシング(10)の外側を向くように配置されていることを特徴とする集塵装置。
【請求項4】
請求項1,2または3において、
上記放電電極(21)が上記空気吸込口(11)の側縁部の一方に配置されるとともに、対向電極(22)が上記放電電極(21)上記空気吸込口(11)の側縁部の他方に配置されていることを特徴とする集塵装置。
【請求項5】
請求項1,2または3において、
上記放電電極(21)と対向電極(22)が、上記空気吸込口(11)の一対の側縁部の間に分散して配置されていることを特徴とする集塵装置。
【請求項6】
請求項2から5の何れか1つにおいて、
上記放電電極(21)の近傍に補助対向電極(24)が配置されていることを特徴とする集塵装置。
【請求項7】
請求項2から6の何れか1つにおいて、
上記空気吸込口(11)の外側に絶縁性カバー(70)が配置されていることを特徴とする集塵装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2011−72891(P2011−72891A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−226057(P2009−226057)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]