説明

集材用作業機

【課題】ウインチの巻取方向とワイヤの引っ張り方向とが異なる場合でも、ガイドでワイヤを確実にガイドして整然と巻き取るとともに、アームを回動できないような狭い場所でも被牽引物を牽引して本機側に引き寄せることができるようにする。
【解決手段】ブーム12の先端部にアーム13を回動可能に取り付け、該アーム13の先端にウインチ30を取り付け、該ウインチ30により繰出又は巻取可能とされるワイヤ40をガイドするガイドローラ42を、ウインチ30と反対側のアーム13基部側に配置し、該ガイドローラ42を、該ガイドローラ42とウインチ30の回転ドラム32との共通接線と略平行な軸に対し回動可能に支持した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バックホーなどの作業用アームにウインチを装着するとともに、ウインチから延出されるワイヤをガイドするガイドローラを備えた作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、走行部(走行機体)の前端に作業機としてバックホーを取り付け、該バックホーのブームの先端部にアームを回動可能に取り付け、該アームの先端部に作業用アタッチメントを取り付けた旋回式掘削作業機が知られている。このような作業機は、例えば林業における集材作業に利用される場合には、本機にウインチや、該ウインチの回転ドラムから繰り出されるワイヤをガイドするガイドローラを取り付けるとともに、アームに前記作業用アタッチメントとしてグラップルを取り付けて、該ウインチから延出されるワイヤをガイドローラによりガイドしながら引き出したり、巻いたりして、伐採後の材木を牽引可能に構成されていた(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2004−99225号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に示される技術においては、ガイドローラは、ワイヤの引っ張り方向が回転ドラムの巻取方向と同一方向となるようにアームに取り付けられていため、作業機に対し設置幅が狭く、アームを左右に回動できないような場所では、被牽引物がワイヤの引っ張り方向を回転ドラムの巻取方向と異ならせる位置にあると、ガイドローラでワイヤをガイドできず、被牽引物を牽引して本機側に引き寄せることができなかった。また、本機に対する被牽引物の位置によっては、ガイドローラに備えられる溝部からワイヤが外れて、巻取時に乱巻きが生じることがあった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0005】
即ち、請求項1においては、ブームの先端部にアームを回動可能に取り付け、該アームの先端にウインチを取り付け、該ウインチにより繰出又は巻取可能とされるワイヤをガイドするガイドローラを、ウインチと反対側のアーム基部側に配置し、該ガイドローラを、該ガイドローラとウインチの回転ドラムとの共通接線と略平行な軸に対し回動可能に支持したものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0007】
請求項1においては、ウインチの巻取方向とワイヤの引っ張り方向とが異なる場合でも、ガイドでワイヤを確実にガイドして整然と巻き取ることができる。したがって、作業機に対し設置幅が狭く、アームを左右に回動できないような場所でも、ワイヤをガイドローラでガイドしながら被牽引物を牽引して、本機側に引き寄せることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
次に、発明の実施の形態を説明する。
【0009】
図1は本発明の一実施例に係る集材用作業機の全体的な構成を示した側面図、図2は集材用作業機の側面図、図3は集材用作業機の別実施例を示す側面図、図4はガイドローラの取付構造を示す一部断面側面図、図5はガイドローラの取付構造を示す正面図、図6は作業機の背面図、図7は集材用作業機の別実施例を示す側面図、図8は集材用作業機の一部拡大側面図、図9は集材用作業機の正面図である。
【0010】
図1、図2に示すように、集材用作業機10を装着した走行機体(本機)は、クローラ式走行装置1の上部中央に鉛直方向に軸心を有する旋回台軸受2を介して旋回フレーム3が旋回可能に支持されている。該旋回フレーム3は旋回台軸受2の上方に設けられた旋回モータの駆動によってクローラ式走行装置1上方で360度左右に旋回される。また、クローラ式走行装置1の前後一側にはブレード4が上下回動可能に配設されている。
【0011】
旋回フレーム3の中央部にはシートや運転操作手段を備える運転部が設けられ、後部にはエンジンなどが設けられている。そして、運転部が旋回フレーム3上に配設されたキャビン5により被覆され、エンジンがボンネット6により被覆されている。
【0012】
また、走行機体の前後一側、つまり、旋回フレーム3の前部には集材用作業機10が装着されている。集材用作業機10はブーム12やアーム13やウインチ30やこれらの回動手段などから構成され、旋回フレーム3の前端部にブームブラケット11が左右回動可能に支持され、該ブームブラケット11にブーム12の基端部が前後回動可能に支持されている。該ブーム12は中途部で屈曲されて側面視略「く」字状に形成されており、該ブーム12の先端部にアーム13の基端部が回動可能に支持されている。そして、アーム13の先端部にアタッチメント連結装置14が回動可能に支持され、該アタッチメント連結装置14に集材作業用アタッチメントとしてウインチ30が容易に着脱できるように取り付けられている。但し、アタッチメント連結装置14を設けることなく直接取り付けることも可能である。また、ブームとアームを一体的に構成し、または更に延長ブームまたは延長アームを連結した回動支持アーム体の先端にウインチ30を取り付ける構成とすることも可能である。
【0013】
そして、前記ブーム12やアーム13やウインチ30を傾倒回動する手段となるアクチュエーターとして油圧シリンダが集材用作業機10の各部に配設されている。すなわち、ブームブラケット11とブーム12の途中部前面に設けられたブームシリンダブラケット15との間にブームシリンダ16が介装され、該ブームシリンダ16の伸縮作動によりブーム12が回動される。また、ブーム12の途中部背面に設けられたアームシリンダボトムブラケット17とアーム13の基端部に設けられたアームアッパシリンダブラケット18との間にアームシリンダ19が介装され、該アームシリンダ19の伸縮作動によりアーム13がブーム12に対し回動される。
【0014】
さらに、アームアッパシリンダブラケット18とアタッチメント連結装置14との間にアタッチメント回動シリンダ20がリンク21・22を介して設けられ、該アタッチメント回動シリンダ20の伸縮作動によりアタッチメント連結装置14がアーム13に対し前後回動される。つまり、アタッチメント連結装置14が回動されることで、ウインチ30もアタッチメント連結装置14と一体的に回動され、ウインチ30を地面の傾斜に合わせて接地できるようにしている。
【0015】
また、ブームブラケット11と旋回フレーム3との間に図示しないスイングシリンダが介装され、該スイングシリンダの伸縮作動によりブームブラケット11が旋回フレーム3に対し左右に回動される。こうして、集材用作業機10におけるブーム12及びアーム13などが前後及び左右に回動可能にとされる。
【0016】
前記集材用作業機10の先端部にアタッチメントとしてのウインチ30を簡単な操作で着脱可能とするためのアタッチメント連結装置14は主に固定フック25と可動フック26と解除シリンダ等から構成されている。該アタッチメント連結装置14においては、固定フック25に可動フック26が枢支され、該固定フック25と可動フック26との間に解除シリンダが介装されて、該解除シリンダの伸縮作動により可動フック26が固定フック25に対し回動可能とされている。
【0017】
また、固定フック25と可動フック26の先端にそれぞれ係合部25a・26aが形成され、該係合部25a・26aに後述するウインチ30の上部に設けた装着用のピン35・36が係合可能とされている。そして、固定フック25の基部に前記アーム13の先端部が枢支されるとともに、可動フック26と固定フック25との枢支部26bにリンク21が枢支され、固定フック25及び可動フック26が固定フック25とアーム13の枢支部25bを中心として回動可能とされている。
【0018】
よって、可動フック26が解除シリンダの伸長により固定フック25に対し広がるように回動されることにより、固定フック25及び可動フック26の係合部25a・26aがそれぞれウインチ30のピン35・36に係合されて、ウインチ30がアタッチメント連結装置14に固定され、アタッチメント回動シリンダ20の伸縮によりアタッチメント連結装置14と一体的に回動される。逆に、可動フック26が解除シリンダの縮小により固定フック25に対し狭くなるように回動されることにより、固定フック25及び可動フック26の係合部25a・26aとウインチ30のピン35・36との係合がそれぞれ解除されて、ウインチ30がアタッチメント連結装置14から取り外される。
【0019】
こうして、ウインチ30が集材用作業機10の先端部にアタッチメント連結装置14を介して着脱可能に装着されて、回動可能とされるとともに、他のアタッチメントに容易に交換可能とされている。また、ウインチ30を旋回フレーム3や集材用作業機10の中途部にボルトなどの締結具を用いたり、溶接したりして取り付ける必要がなく、オペレーターは運転席に着座したままブームやアーム等を回動操作することで容易に着脱することができるので、作業機の性能が損なわれることもない。
【0020】
前記アタッチメント連結装置14に連結されるウインチ30は取付用のフレーム31、ワイヤ40を巻く回転ドラム32、回転ドラムを回転させる駆動モータなどから構成され、該フレーム31は底板31aと側板31b・31bとにより正面視略凹状に構成されて、底板31aを左右水平方向に位置させて接地部とし、該底板31aを地面に接地させた状態で使用される。該底板31aの底面には所定間隔をあけて下方に突出する複数の突起で構成された滑止用部材33が設けられている。但し、該突起は下方が尖状となる楔状に構成しているが、円柱状や円錐状や多角錘状であっても良い。また、突起の代わりにゴム等の弾性部材を貼設して地面の凹凸を吸収できる構成とすることもできる。
【0021】
このように構成してウインチ30は接地される時に、集材用作業機10の重量を利用して滑止用部材33を地面に食い込ませることにより地面上に安定して固定可能とされている。こうして、ウインチ30は集材用作業機10のうち最も下方の地面に近い位置に配置され、更に本機の重心からは離れた位置に配置される。つまり、ウインチ30の作動時の引っ張り力に対して、本機の転倒モーメントの支点はウインチ30の接地部となり、本機の重心とウインチ30の間の距離は従来のウインチ設置位置よりも長く、かつ、支点位置を低くすることができて、転倒し難い構成とすることができ、安全性の向上することができる。
【0022】
そして更に、山間部等の傾斜地で作業する場合であっても、アタッチメント回動シリンダ20を伸縮作動させてアタッチメント連結装置14を適当に回動させることで、図2に示すように、アーム13を地面と略直角方向に位置させて、または、アーム13を略鉛直方向に位置させて、ウインチ30の底板31aを地面の傾斜に合わせて平行に接地させることが可能となる。よって、ウインチ30の接地面積が大きくなり、ウインチ30を安定して支持することが可能となる。
【0023】
前記底板31aの左右両側からは直角方向に側板31b・31bが左右平行に立設され、これらの側板31b・31bの間に二胴式の回転ドラム32・32が設けられている。回転ドラム32・32はその軸心を左右方向に配置して前後平行に、且つ上下にずれて配置されている。本実施例では前下方と後上方に配置している。各回転ドラム32・32には油圧式の駆動モータが内蔵され、該駆動モータの駆動によりそれぞれ回転ドラム32が正転または逆転されて、ワイヤ40が回転ドラム32に巻取可能に、あるいは回転ドラム32から繰出可能とされている。但し、ウインチ30は一つまたは三つ以上の回転ドラムを配置する構成であってもよい。
【0024】
さらに、前記側板31b・31bの間の上部にはピン35・36が横設され、その下方にも補強用のロッドまたはプレートが横設されている。前記ピン35・36は回転ドラム32上方で、その軸心と平行に配置され、一方のピン35が固定フック25の係合部35aに、他方のピン36が可動フック26の係合部26aに係合可能とされている。そして、前述のようにピン35・36に固定フック25と可動フック26の係合部25a・26aがそれぞれ係合されて、ウインチ30がアタッチメント連結装置14に着脱可能に連結されている。
【0025】
また、前記アーム13の基部側にウインチ30から引き出されるワイヤ40をガイドするガイドローラ38が配設されている。即ち、アーム13の基端部、つまり、図1のようにアーム13を上下方向に位置させた時の上部前面に取り付けたアームアッパシリンダブラケット18にガイドローラブラケット37が取り付けられ、該ガイドローラブラケット37の先端部にガイドローラ38・38が回転自在に支持されている。ガイドローラ38・38はアーム13に対しウインチ30の回転ドラム32と同一側に配設され、つまり、ガイドローラ38と回転ドラム32・32は図1においてアーム13よりも前面側に配置され、ガイドローラ38の軸心と回転ドラム32の軸心とが平行となるように配置されている。
【0026】
さらに、ガイドローラ38・38は同一軸心上の支持軸に左右に配設され、それぞれ回転自在に支持されて、アーム13の幅内に配置されている。該ガイドローラ38の外周面左右中央には溝部が外周方向に形成され、該溝部で回転ドラム32からのワイヤ40をガイドするように構成されている。そして、ガイドローラ38・38は一方のガイドローラ38が一方の回転ドラム32に巻かれたワイヤ40をガイドし、他方のガイドローラ38が他方の回転ドラム32に巻かれたワイヤ40をガイドするように構成されている。これによりガイドローラ38・38の接地スペースが小さくなるため、ガイドローラブラケット37を簡単な構成とすることができる。
【0027】
そして更に、回転ドラム32・32もアーム13の幅内に配置され、ガイドローラ38・38と回転ドラム32・32との間の距離がガイドローラ38及び回転ドラム32の幅に対して数十倍長くなるように、該回転ドラム32・32とガイドローラ38・38とが離れて配置されている。つまり、ガイドローラ38・38と回転ドラム32・32はガイドローラ38の左右中心と回転ドラム32の左右中心が多少ずれていても、正面視で略鉛直方向と略平行なる程度に近似できる程長く離して配置されている。
【0028】
このような配置によって、ガイドローラ38の左右中心と回転ドラム32の左右中心とワイヤ40が略同一面内に位置するようになり、ガイドローラ38と回転ドラム32との間に張架されるワイヤ40はアーム13の長手方向に沿って通るようになって、従来のように、ブーム又はアームの幅内にガイドローラを配置し、ブームの側方に回転ドラムを配置する構成に比べて、左右方向に偏荷重がかかってワイヤの巻き状態が乱れることがなくなるのである。
【0029】
したがって、ワイヤ40はウインチ30から繰り出される際には、駆動モータの駆動により回転ドラム32から所定の距離だけ引き出されてガイドローラ38によりガイドされた後、被牽引物の方向へ引き出される。一方、回転ドラム32に巻き取られる際にも、前記同様にガイドローラ38によりガイドされた後、ウインチ30に引き戻される。この際、左右のガイドローラ38・38は独立して回転するので、互いに逆方向に回転しても干渉することがない。また、巻き取りと引き出しのワイヤ40も左右位置が若干ずれるため干渉することがない。そして、このワイヤ40は正面視でガイドローラ38と回転ドラム32の間においてアーム13の左右幅内を上下方向に通るようになるため、ワイヤ40がガイドローラ38にガイドされてふらつくことなく整然と回転ドラム32に巻き取られて、ワイヤ40の乱巻きが防止される。
【0030】
また、図1の側面視において、ガイドローラ38の後側外周と上側の回転ドラム32の前外周を結ぶ線、つまり、ガイドローラ38と回転ドラム32との共通接線にワイヤ40が張架される。こうして、この張架した状態のワイヤ40がアタッチメント回動シリンダ20やリンク21・22やアタッチメント連結装置14などよりも前方に配置され、これらの部材とワイヤ40とが干渉しないように構成されている。
【0031】
また、図3に示すようにガイドローラ42・42の軸心を前後及び上下方向にずらせて配置する構成とすることもできる。すなわち、アームアッパシリンダブラケット18にガイドローラブラケット41が取り付けられ、該ガイドローラブラケット41の前上部に段付き状にガイドローラ42・42の支持部41a・41bが形成されている。つまり、ガイドローラ42・42は、図3において、上下及び前後に互いにずらされて配置され、ガイドローラ42・42の軸心を結ぶ線がウインチ30の回転ドラム32・32の軸心を結ぶ線と略平行となるように配置されている。
【0032】
このようにして、回転ドラム32・32から引き出されたワイヤ40・40はそれぞれガイドローラ42・42にガイドされ、側面視で略平行となって互いに干渉することがなく、またアーム13側のワイヤ40が前記同様にアタッチメント回動シリンダ20やリンク21・22やアタッチメント連結装置14などと干渉しないように配置される。
【0033】
前記ガイドローラ42・42はその左右中心がアーム13の左右中心に略一致するように配置されている。このように構成することにより、ガイドローラ42・42の左右中心と、回転ドラム32・32の左右中心と、両者の間に張架されるワイヤ40・40は略同一面に位置するようになる。つまり、ワイヤ40はアーム13の左右中心を通過して巻き取り、または、引き出されることになる。これにより、ウインチ30によるワイヤ40の巻取時に左右に振れることがなく乱巻きが防止される。
【0034】
さらに、図4、図5に示すように、前記ガイドローラブラケット41の各支持部41a・41bにおいて、ガイドローラ42・42を左右回転自在に支持することもできる。即ち、一方について説明すると、ガイドローラ42はブラケット43に横架した支軸44により回転自在に支持され、該ブラケット43は正面視略凹状に構成して、その底部から中空状に構成した回転軸45を下方に突出して固設されている。そして、該回転軸45が各支持部41aにベアリングを介して回動自在に支持されている。こうして、ブラケット43が鉛直方向に回転軸45を中心に左右回転自在とされている。なお、アーム13は回動可能であるため、詳しくは、ガイドローラ42と回転ドラム32との共通接線と略平行に配置した回転軸45を中心に、ガイドローラ42は回転自在に支持されている。言い換えれば、該回転軸45の軸心の延長線がガイドローラ42の外周面中央に外周方向に形成された溝部42aの方向と正面視で略一致するように配設されている。つまり、ガイドローラ42の溝部42aの接線と、回転軸45の軸心の延長線とが略一致するように配置されている。そして、ワイヤ40はガイドローラ42の溝部42aから回転軸45の内部(回転中心)を通って回転ドラム32に巻き取られるように張架される。
【0035】
こうして、ガイドローラ42からワイヤ40を左右外方向に引き出しても、ガイドローラ42はワイヤ40の引き出し方向に合わせて回動できるようになり、ガイドローラ42からウインチ30の回転ドラム32へのワイヤ40の巻取方向は常に一定となる。つまり、ウインチ30の巻取方向と、ガイドローラ42から外方向へのワイヤ40の引っ張り方向とが正面視(または平面視)で異なる場合であっても、ガイドローラ42はワイヤ40の引っ張り方向に回転軸45を中心に回動して、ガイドローラ42の溝部42aと回転ドラム32を結ぶ線は略一定となり、ワイヤ40を整然と巻き取りながら、ワイヤ40に牽引される被牽引物を本機側に引き寄せることが可能となる。
【0036】
このとき、回転軸45の軸心をワイヤ40が通過するので、ガイドローラ42が回転しても絡まることはない。例えば、図6に示すように、本機に対し作業場の幅が狭く、集材用作業機10を左右に回動できないような場所でも、ガイドローラ42だけを回動させてワイヤ40の引っ張り方向を変更することで作業が可能となる。
【0037】
また、図7に示すように、集材用作業機10のブーム12の背面側にガイドローラ52・52を配置する構成とすることもできる。すなわち、集材用作業機10のブーム12の長手方向中央部の背面にガイドローラブラケット51が取り付けられ、該ガイドローラブラケット51にガイドローラ52・52が回転自在に支持されている。該ガイドローラ52・52は前記同様に回転軸心がウインチ30の軸心と平行となるように配置されるとともに、その左右中心がウインチ30の回転ドラム32の左右中心と略一致するように配置され、且つ、ガイドローラ52と回転ドラム32との間の距離が前記同様に回転ドラム32の幅に対して十分(数十倍程度)長くなるように配置されている。
【0038】
本実施では、図9に示すように、左右一側の側板31bがアーム13の側面よりも外側に配置され、回転ドラム32・32がアーム13の外側に配置される。駆動モータはアーム13の内側に配置される。また、ガイドローラ52・52も回転ドラム32・32と同じ側の側方に位置するようにブーム12の側方に突出して配置されている。そして、ガイドローラ52・52と回転ドラム32・32とがその左右中心が正面視で略一致するように配置されている。すなわち、ガイドローラ52・52の左右中心と、回転ドラム32・32の左右中心と、両者の間に張架されるワイヤ40が略同一面内に位置するように構成されている。
【0039】
このように、前記ガイドローラ52がブーム12の背面側に設けられることで、ワイヤ40に牽引される被牽引物は本機の直近、つまり、ガイドローラ52下方まで引き寄せることが可能となる。この際、回転ドラム32とガイドローラ52との間に所定の距離が保持されるので、ワイヤ40は乱巻きすることなく、回転ドラム32に整然と巻き取られる。なお、ウインチ30の回転ドラム32は前記と前後逆側に位置させる。つまり、図7において、アーム13を鉛直方向に配置したときに、アーム13下方よりも後方に回転ドラム32・32が位置するようにアーム13先端に装着されている。
【0040】
さらに、前記アームアッパシリンダブラケット18に支持アーム55が着脱可能に固定され、該支持アーム55の上側部にガイドローラ59が前記ガイドローラ52と同じ側に取り付けられている。すなわち、支持アーム55の基部(下部)がアームアッパシリンダブラケット18に開口した取付孔18aにボルトなどの締結具56を用いて取り付けられている。
【0041】
前記支持アーム55の先端部はウインチ30と上下反対側の上方に延出され、該先端部に環状の取付部58が設けられている。そして、該取付部58にガイドローラ59が取り付けられて、該ガイドローラ59がアーム13の上端のブーム12との枢支部よりも離れた位置、つまり、上方に配置されている。詳しくは、ガイドローラ59はブラケット57に水平方向の軸により回転自在に支持され、該ブラケット57の上側一端に形成されたフック57aを前記取付部58に着脱可能に係合することで支持アーム55に取り付けられている。なお、該フック57aはブラケット57の本体に対して、ガイドローラ59の回転軸と直角な上下方向の軸により回転自在に構成されている。
【0042】
こうして、ガイドローラ59を支持するブラケット57が取付部58に対して揺動自在に係合されて支持アーム55に取り付けられ、ガイドローラ59がアーム13の上方位置で左右回転可能とされて、ウインチ30の回転ドラム32から繰り出されるワイヤ40がブーム12背面のガイドローラ52・52にガイドされた後、更に支持アーム55の先端に設けたガイドローラ59にガイドされて、被牽引物の方向に引き出されるように構成されている。
【0043】
したがって、ワイヤ40により被牽引物を牽引する時に、図8に示すように、支持アーム55を用いたワイヤ40Aの高さは、ガイドローラ59を使用しない場合のワイヤ40Bの高さに比べて高く維持することが可能となり、高い位置からワイヤを引っ張ることができる。そのため、被牽引物を持ち上げながら引き寄せることができ、被牽引物と周囲のものとの引っ掛かりが減少される。これにより、被牽引物が本機側に引き寄せやすくなる。また、支持アーム55は小型で作業者一人で着脱できる程度の重量とされ、他の作業時にも邪魔にならないように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の一実施例に係る集材用作業機の全体的な構成を示した側面図。
【図2】集材用作業機の側面図。
【図3】集材用作業機の別実施例を示す側面図。
【図4】ガイドローラの取付構造を示す一部断面側面図。
【図5】ガイドローラの取付構造を示す正面図。
【図6】作業機の背面図。
【図7】集材用作業機の別実施例を示す側面図。
【図8】集材用作業機の一部拡大側面図。
【図9】集材用作業機の正面図。
【符号の説明】
【0045】
10 作業用アーム
12 ブーム
13 アーム
30 ウインチ
32 回転ドラム
42 ガイドローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブームの先端部にアームを回動可能に取り付け、該アームの先端にウインチを取り付け、該ウインチにより繰出又は巻取可能とされるワイヤをガイドするガイドローラを、ウインチと反対側のアーム基部側に配置し、該ガイドローラを、該ガイドローラとウインチの回転ドラムとの共通接線と略平行な軸に対し回動可能に支持したことを特徴とする集材用作業機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate