説明

集魚灯

【課題】防水用シール材としてゴムを使用したとき、LEDから出る熱により熱せられてゴムより水分が出て電子回路の誤動作を引き起こしたりあるいは冷えたときに結露し、その水がLED及び電流制限抵抗器及びLED基板を損なうことのないLED照明器を提供する。
【解決手段】ゴム10をシーリング材として使用した密閉されたケースにシリカゲル等の乾燥剤を入れ、暖められたゴム10から発生する水分を吸収させる。また、乾燥剤を入れる通気性のある容器6をLED照明器の前面にある窓付き金属板1の陰になった部分に配置し容器6の存在を隠し美観を損なわないようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDを用いた照明器の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、石油価格が高騰し燃料費が大きな負担となってきている。漁船の集魚灯は、現在、メタルハロイドランプ、ハロゲンランプが主に使用されており大きな電力を必要とすることが負担となってきている。これらのランプをLED化し省エネを行うべく10年近く前から水産庁を中心として研究が進められ、最近になりLED化により釣果はさほど変わらず重油の使用量が激減するという成果が発表され漁船への導入が始まってきた。
【0003】
また、屋外で使用される投光器も発電機を使用しており、同様に燃料費の高騰が問題になっている。この対策としてLEDを採用した投光器が各社から発売されるようになってきている。
【0004】
これら屋外及び浴室等の水分がある環境で使用するLED照明器は、雨、海水あるいは湿気から守るため防水構造になっている。LEDは発熱しないと一般に思われているが実際は比較的発熱しないというのが正しく、照明器に使用されているパワーLEDは1ワット以上のものが主流で点灯すると発熱する。放熱しないと間単に100℃を越えLEDにダメージを与え輝度劣化の原因となる。このため、放熱フィンを設けて放熱しているが空冷では効率が良くなく70度くらいに昇温するがLEDの定格で100℃までは保障されているので問題は無い。消灯すると温度が下がるためケース内の空気にあった水分が結露する。電子回路の表面はメッキを施しているが結露した水分が金属を腐食し故障の原因となることが考えられる。
【0005】
また、防水のケースはシール材としてゴムを使用することが多いが熱せられるとゴムから水分が出てくる。この水分が密閉されたケースの中の空気に吸収されることにより絶遠抵抗が下がり電子回路の誤動作の原因となる。防水のケースの開閉を容易にしメンテナンスがしやすくするためにゴムを使用しネジで締めこむ構造としている。
【0006】
この対策としてLEDを搭載した基板を収納しているケース内部を透明の樹脂で充填する方法がとられている。LEDが発生する温度の高い環境では耐熱性の良いシリコン樹脂が望ましく高価なシーリング材となっている。また、気泡が発生するのを防ぐためには樹脂の注入口をヒータで暖め粘度を下げる必要があり設備費用の引き上げ、電力費用アップの要因となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−225546
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
防水構造が必要となる屋外及び浴室等水分のある環境で使用するLED照明器の密閉ケースのシーリング材のゴムが、パワーLEDが点灯したときの熱により暖められることにより、ゴムから水分が発生され、その水分を暖められた空気が吸収する。その後、消灯されたとき温度が下がることにより空気に含まれた水分が出てきて結露しLEDおよび基板を損なうことから守るために、また、電子回路の誤動作を防ぐため安価な手法で水分が発生することを防ぐ方法を実現し防水型LED照明器を安価に提供することを可能とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
屋外及び浴室等の水分がある環境で使用する防水型のLED照明器において、防水構造のケースに、LEDが搭載されたLED基板と、通風性のある容器に入った乾燥剤が配置されていることを特徴とするものである。
【0010】
前記乾燥剤は、シリカゲル等水分を吸収しても変形しないものであることを特徴とする ものである。
【0011】
前記防水構造ケースは、表面は縁以外が透明で、表面の縁及び側面及び底面は不透明であり、前記LED基板は底面の内部表面に配置されていることを特徴とするものである。
【0012】
前記通気性のある容器に入った乾燥剤は前期防水構造のケース前面の縁の裏に配置していることを特徴とすものである。
【発明の効果】
【0013】
ケースの開け閉めを容易にした防水型のLED照明器を連続点灯したとき、LEDが熱を発生しその熱でゴムから水分が発生し、その水分は暖められた空気に吸収される。消灯されると空気も冷えてきて吸収できる水の量が下がりやがて結露する。この水がLED及び基板を腐食する障害が発生する可能性があるが、シリカゲル等の乾燥剤を収納した容器を設け、この乾燥剤がが水分を吸収するためこの問題を解決する。また、空気が含んだ水分が絶縁抵抗を下げ電子回路の誤動作を発生することから防ぐことを可能とした。
【0014】
シリカゲル等の乾燥剤は安価な材料であり、且つ、LED基板を入れる防水ケースの容量も小さいことから安価に加工することを可能とした。
【0015】
防水ケースの前面の不透明の縁の裏側にシリカゲルを入れた容器を配置するため、その存在が判別しづらいため照明器の美観を損なうことが無い。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施例の集魚灯の断面図。
【図2】本発明の実施例の集魚灯の正面図。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0017】
図1は、本発明の実施例のLED照明器の断面図である。LED2と電流制限抵抗器3はLED基板4に搭載されている。本実施例ではLED2は表面実装型の白色パワーLED1ワットクラスのものを使用した。白色LEDは青色LEDの表面に黄色の蛍光シリコンをコーティングした擬似白色LEDである。
【0018】
LED基板4は、ポリイミドシートに薄膜技術で銅箔を形成しており厚みが薄い。本実施例ではポリイミドの厚みが25μmで銅箔の厚みは8μmのものを使用した。この薄型基板を金属板8に熱伝導性接着剤5で貼った。金属板8の裏側に熱伝導性接着剤5で放熱フィンを貼った。本実施例では、金属板8はアルミニウムの厚み3mmを使用した。熱伝導性接着剤5は厚み50μmを使用し、放熱フィン9は耐候性を上げるためにアルミの表面がアルマイト処理されたものを使用した。
【0019】
放熱フィン9を接着剤とともにネジ止めすると更に信頼性が上る。特に、集魚灯では船のエンジンの振動があり部品の結合は強くする必要がある。集魚灯は海上で使用されるため塩害があるので金属はステンレスが望ましくより表面劣化が小さくなる。
【0020】
本実施例の屋外及び浴室等水分のある環境で使用する照明器は、雨天での使用を可能にするために防水構造となっている。金属板8と窓付き金属板1の間に透明のポリカーボネイト板11とゴム板10を挟みネジ12とナット13で締め付け防水構造にした。
【0021】
中央部に大きな穴と縁にネジを通す複数の穴を設けた窓付き金属板1の裏側に縁にネジ12を通す複数の穴を設けた透明のポリカーボネイト11を当て、更にその裏に中央部に大きな穴と縁にネジ12を通す複数の穴を設けたゴム板10を当て、更にその裏に縁にネジ12を通す複数の穴を設けた金属板8を当て、表側よりネジ12を差し込み裏側にナット13で締め上げるとゴム板が締まり防水構造とした。ネジ12を外すことで容易に開けることができるのでメンテナンスがし易くなった。ネジ12は強く締められるように六角穴付きボルトを使用した。
【0022】
LED2を搭載したLED基板4は、金属板8に熱伝導性接着テープ5で貼られており、LED2を点灯させると熱が発生し、金属板8の周囲では50℃以上に昇温し、ゴム板10も温められ水分を発生し、暖められた空気7に吸収される。消灯させると放熱され温度が下がり、空気7に吸収された水が結露する。容器に入れられたシリカゲル等の乾燥剤容器6は空気中の水分を吸収するので結露は避けられる。
【0023】
点灯時に空気7が湿気を含むと絶縁抵抗が下がり、防水ケースに電子回路があると誤動作の原因となる。例えば、ケースの温度を検知してLEDに印加する電力を制御する回路が設けられている場合、制御不能と成りLED2に過大な電力を供給しLEDの特性劣化を引き起こす事故にも繋がるが、シリカゲル等の乾燥剤容器6が湿気を吸収し湿度増加を防ぎ事故を回避できる。
【0024】
乾燥剤はシリカゲルのように水分を吸収しても形状の変化が無いものが好ましく、食品に使用される塩化カルシウムのように水分を吸収すると溶け塩分を出し金属を錆びさせる等の副作用のあるものは使用できず、水分を吸収しても形状が変化しないものに限る。
【0025】
LED2を数時間以上点灯させた後消灯すると、空気7に含まれていた水分が結露しその水がLED2あるいは電流制限抵抗器3あるいはLED基板を錆びさせ故障になる可能性があるがシリカゲル等の乾燥剤の容器6が水分を吸収することで対策される。シリカゲル等の乾燥剤の容器6は通気性があるものである。
【0026】
図2は本実施例の防水型LED照明器を正面から見た図である。表面から順にネジ12が8個あり、窓付き金属板1が配置されている。窓付き金属板1の裏に耐候性の良好なポリカーボネイト板11が配置されており外側の破線が外形である。ポリカーボネイト板11の裏にゴム板7が配置されており、外形はポリカーボネイト板11と同じで長方形の穴を設けている。穴の左右の大きさは窓付き金属板1と同じ寸法で上下は破線で示されている大きさである。一番下は金属板8で大きさはポリカーボネイト板11の外寸と同じ大きさである。LED2及び電流制限抵抗器3はLED基板4に搭載され、LED基板4は熱伝導性接着剤5にて金属板8に貼られている。熱伝導性接着剤5は柔らかいものを使用しており熱膨張の差により金属板8とLED基板4を剥がすことは無い。
【0027】
窓付き金属板1の裏に透明のポリカーボネイト板11が配置されており、LED2で発生された光は外へ透過される構造となっている。シリカゲル等の乾燥剤の容器6は窓付き金属板1の裏側に配置されており外部からはその存在が判別しづらくなっている。
【0028】
ネジ12を窓付き金属板及びポリカーボネイト板11及びゴム板10及び金属板8のネジ穴に差し込みナット13を金属板8の裏からネジ穴の位置に配置し、ネジ12を六角レンチで締め上げるとゴム板6とポリカーボネイト板11との間及びゴム板6と金属板8の間に隙間が無くなり防水構造となる。
ネジ12を締め上げた上で水中に挿入しても、密封された空間には全く水がはいらなかった。ネジ12を解くと容易に開封できる。
【符号の説明】
【0025】
1・・・窓付き金属板
2・・・LED
3・・・電流制限抵抗器
4・・・LED基板
5・・・熱伝導性接着材
6・・・シリカゲル等の乾燥剤の容器
7・・・空気
8・・・金属板
9・・・放熱フィン
10・・・ゴム板
11・・・ポリカーボネイト板
12・・・ネジ
13・・・ナット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋外及び浴室等の水分がある環境で使用する防水型のLED照明器において、防水構造のケースに、LEDが搭載されたLED基板と、通風性のある容器に入った乾燥剤が配置されていることを特徴とするLED照明器。
【請求項2】
前記乾燥剤は、シリカゲル等水分を吸収しても変形しないものであることを特徴とする請求項1に記載したLED照明器。
【請求項3】
前記防水構造ケースは、表面は縁以外が透明で、表面の縁及び側面及び底面は不透明であり、前記LED基板は底面の内部表面に配置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載したLED照明器
【請求項4】
前記通気性のある容器に入った乾燥剤は前期防水構造のケース前面の縁の裏に配置していることを特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3に記載したLED照明器。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−4510(P2013−4510A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−143517(P2011−143517)
【出願日】平成23年6月10日(2011.6.10)
【出願人】(503014012)株式会社サーマルプリンタ研究所 (10)
【出願人】(511158007)株式会社若越電器 (1)
【Fターム(参考)】