説明

集魚装置

【課題】低消費電力および低ランニングコストを実現しつつ、魚を効果的に集めたり追い返したりできる集魚装置を提供する。
【解決手段】本発明の集魚装置1は、実装基板3と、実装基板3に実装される複数の発光素子4と、複数の発光素子4に電力を供給する電力供給部5と、複数の発光素子4の発光パターンを制御する制御部6と、を備える。この集魚装置1は、効果的に所望の種類の魚を集めたり追い返したりできる。更には、集魚装置1は、低いランニングコストによって使用でき、漁業関係者に有用な装置となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED(Light Emitting Diode)などの発光ダイオードや発光半導体素子などを始めとする電子素子である発光素子を用いつつ、発光素子の制御に基づいて、集魚や防魚を行う集魚装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の蛍光灯や白熱電球に代わる新しい光源としてLEDを始めとする発光素子が集魚装置に用いられることが多くなっている。LEDを始めとする半導体を利用した発光素子は、小型であること、消費電力が小さいことおよび発光色や発光パターンを容易に制御できること、などのメリットを提供できる。
【0003】
特に、LEDを始めとする半導体素子を用いた発光素子は、長寿命および低消費電力であることから環境負荷が小さいとの理由で、発光素子は、従来の電球や蛍光灯に置き換えられつつある。
【0004】
このため、室内の照明や屋外の街灯など、従来は電球や蛍光灯であることが普通であった集魚装置においても、電球や蛍光灯からLEDなどの発光素子に置き換わる動きが大きくなっている。このような電球や蛍光灯から、LEDなどの発光素子への置き換えは、その他の分野にも進んでいる。例えば、漁船が魚を集めるために用いる集魚装置などにも、置き換えの動きが生じ始めている。
【0005】
集魚装置は、非常に高い輝度を要求する。夜の海上で効果的に魚を集めるには、高い輝度の光を、海面あるいは海中に照射する必要があるからである。このため、現状においては、高い輝度で発光できるハロゲンランプなどの電球が用いられることが多い。しかしながら、ハロゲンランプなどの電球は、寿命が短い上に高い電力を必要とする。このため、維持費用が高くなるなど、漁業関係者にとって不都合であった。
【0006】
加えて、ハロゲンランプのような高い輝度を有する電球は、非常に強い紫外線や発熱を作業者である漁師に与えることになり、漁師の健康被害などの問題も発生していた。
【0007】
このような従来型の電球を用いた集魚装置のランニングコストが高い問題や健康被害などの問題に、電球や蛍光灯から発光素子への置き換えの流れと、が相まって、集魚装置にLEDが用いられる技術が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−140886公報
【特許文献2】特開2008−86230号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1は、発光ダイオードを用いた集魚灯であって、発光ダイオードの周囲を防水カバーで覆った集魚灯を開示する。特許文献1は、従来のハロゲンランプなどの電球を用いた集魚灯を発光ダイオードに置き換える技術を開示している。
【0010】
すなわち、特許文献1は、発光ダイオードによって低消費電力や健康被害の低減を目的とする集魚灯を開示する。
【0011】
しかしながら、特許文献1の集魚灯は、ハロゲンランプなどの電球を発光ダイオードに置き換える技術を提案するだけで、発光ダイオードによって魚を効果的に集めたり、追い返したりする具体的な技術を開示していない。加えて、発光ダイオードは低消費電力ではあるが、高い輝度での光を照射するには、発光ダイオードに高い電力を付与する必要がある。しかしながら、発光ダイオードに高い電力が付与されると、発光ダイオードの発熱が高まって、発光ダイオードの故障などにつながる問題がある。
【0012】
特許文献1に開示される集魚灯は、魚を効果的に集めたり追い返したりすることができない問題を有している。加えて、発熱に対処しつつ十分な輝度の光を照射できない問題も有している。
【0013】
特許文献2は、LEDを用いた集魚灯であって、LEDが生じさせる熱を銅被膜に接続されるヒートシンクより排出する集魚灯を開示する。
【0014】
特許文献2に開示される集魚灯は、LEDが発する熱を排出しつつLEDによって集魚灯を実現する技術を開示する。
【0015】
しかしながら、特許文献2に開示される集魚灯は、特許文献1の集魚灯と同様に、魚を効果的に集めたり追い返したりすることができない問題を有している。加えて、LEDの実装背面にヒートシンクを設置しているが、この構造では、LEDの発光面(ヒートシンクの実装されていない面)における熱を排出できない問題と、LEDの実装近傍においてヒートシンクが排出した熱が籠もってしまい、LEDの実装近傍における温度上昇が抑制できない問題と、を生じさせる。
【0016】
以上のように、従来技術のLEDを用いた集魚灯は、(1)効果的に魚を集めたり追い返したりできない、(2)魚の種類ごとに合わせた発光制御ができない、(3)LEDなどの発光素子の発熱を効果的に抑制できない、といった問題を有していた。
【0017】
本発明は、以上の課題に鑑み、LEDなどの発光素子を用いることで、低消費電力および低ランニングコストを実現しつつ、魚を効果的に集めたり追い返したりできる集魚装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題を解決するために、本発明の集魚装置は、実装基板と、実装基板に実装される複数の発光素子と、複数の発光素子に電力を供給する電力供給部と、複数の発光素子の発光パターンを制御する制御部と、を備える
【発明の効果】
【0019】
本発明の集魚装置は、LEDや発光ダイオードなどの発光素子を発光要素として用いることで、低消費電力および長寿命によって、漁業作業のランニングコストを低減できる。加えて、電球などが生じさせる熱や紫外線などによる健康被害も防止できる。
【0020】
また、本発明の集魚装置は、輝度、色度、発光位置、発光画像、発光波長、発光周波数および発光時間間隔の少なくとも一つを要素とする発光パターンを制御することで、魚の種類に最適に応じて、魚を集めたり追い返したりできる。
【0021】
加えて、本発明の集魚装置は、発光素子の発光面からの熱および実装面からの熱の両方の熱を放出できるので、高い電力を付与することができ、高い輝度で照射することができる。結果として、魚を効率的に集めたり追い返したりできるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態1における集魚装置のブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1における照明部の正面図である。
【図3】本発明の実施の形態1における照明部の正面図である。
【図4】本発明の実施の形態1における発光パターンの一例を示す説明図である。
【図5】本発明の実施の形態2における集魚装置のブロック図である。
【図6】本発明の実施の形態3における集魚装置1のブロック図である。
【図7】本発明の実施の形態3における照明部の側面図である。
【図8】本発明の実施の形態3における照明部の正面図である。
【図9】本発明の実施の形態4における照明部の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の第1の発明に係る集魚装置は、実装基板と、実装基板に実装される複数の発光素子と、複数の発光素子に電力を供給する電力供給部と、複数の発光素子の発光パターンを制御する制御部と、を備える。
【0024】
この構成により、集魚装置は、所望の魚を集めるのに適した発光パターンで、海面や海中を照らすことができる。結果として、集魚装置は、効果的に魚を集めたり追い返したりできる。
【0025】
本発明の第2の発明に係る集魚装置では、第1の発明に加えて、発光パターンは、複数の発光素子のそれぞれの輝度、色度、波長、周波数、発光角度、発光時間間隔および消灯時間間隔の少なくとも一つを含む。
【0026】
この構成により、集魚装置は、魚の種類や特性に応じた発光パターンによる光を照射できる。特に、複数の要素を種々に組み合わせることで、魚の特性に最適な発光パターンでの照射を実現できる。
【0027】
本発明の第3の発明に係る集魚装置では、第1又は第2の発明に加えて、発光パターンは、複数の発光素子全体における、輝度配置分布、色度は位置分布、発光位置分布、発光時間分布、消灯時間分布、発光画像、輝度総量および色度総量の少なくとも一つを更に含む。
【0028】
この構成により、集魚装置は、魚の特性に応じた発光パターンを、個々の発光素子だけでなく、照明部全体において実現できる。
【0029】
本発明の第4の発明に係る集魚装置では、第1から第3のいずれかの発明に加えて、制御部は、魚の種類に応じた発光パターンを記憶する記憶テーブルを更に備え、制御部は、記憶テーブルより読み出した発光パターンに基づいて、複数の発光素子の発光を制御する。
【0030】
この構成により、制御部は、使用者や製造者によって予め記憶された発光パターンによって発光素子を容易に発光させることができる。
【0031】
本発明の第5の発明に係る集魚装置では、第1から第4のいずれかの発明に加えて、制御部は、魚の種類に応じた周波数に基づいて、複数の発光素子の発光を制御する。
【0032】
この構成により、集魚装置は、効果的に魚を集めたり追い返したりできる。
【0033】
本発明の第6の発明に係る集魚装置では、第1から第5のいずれかの発明に加えて、制御部は、複数の発光素子の輝度、色度、波長、周波数、発光角度、発光時間間隔および消灯時間間隔の少なくとも一つの要素と複数の発光素子の照射領域に基づく要素と、の組み合わせによって、複数の発光素子の発光を制御する。
【0034】
この構成により、集魚装置は、魚網の近くに所望の魚を集めることができる。加えて、集魚装置は、魚網の近くに所望の魚を集めるだけでなく、魚網の近くから不要な魚を遠ざけることができる。
【0035】
本発明の第7の発明に係る集魚装置では、第6の発明に加えて、制御部は、複数の発光素子の内の一部の発光素子を、所定の周波数を有する第1周波数で発光させ、複数の発光素子の内の一部の発光素子を、第1周波数と異なる第2周波数で発光させる。
【0036】
この構成により、魚を集めやすい第1周波数による光と魚を追い返しやすい第2周波数の光を混在できる。この光の混在によって、一つの集魚装置によって、所望の魚だけを集めることができる。
【0037】
本発明の第8の発明に係る集魚装置では、第7の発明に加えて、制御部は、複数の発光素子の内、海面に対する照射角度が急峻である領域を照射する発光素子を、第1周波数で発光させ、海面に対する照射角度が緩やかである領域を照射する発光素子を、第2周波数で発光させる。
【0038】
この構成により、集魚装置は、魚網の位置にあわせて、所望の魚だけを集めつつ、不要な魚を追い返すことができる。
【0039】
本発明の第9の発明に係る集魚装置では、第1から第8のいずれかの発明に加えて、実装基板上であって、複数の発光素子の周囲を囲む封止枠と、封止枠内部において、発光素子を封止する封止材と、封止材の上層に積層されるレンズ板と、を更に備え、封止材およびレンズ板は、発光素子からの光の拡散および集光の少なくとも一方を行い、封止材およびレンズ板の少なくとも一方の形状は、発光パターンと関連する。
【0040】
この構成により、複数の発光素子を低コストで実装できると共に、発光素子の発光パターンにあわせた実装が実現できる。
【0041】
本発明の第10の発明に係る集魚装置では、第9の発明に加えて、封止材内部に設けられ、発光素子および封止材の少なくとも一部からの熱を伝導する熱伝導部材と、を更に備え、熱伝導部材は封止枠に熱を伝導し、封止枠は伝導された熱を外部に放出する。
【0042】
この構成により、集魚装置は、発光素子が発光面に生じさせる熱を、効率的に外部に放出できる。結果として、高い電力が発光素子に与えられるようになり、様々な発光パターンでの発光が実現できる。
【0043】
本発明の第11の発明に係る集魚装置では、第10の発明に加えて、熱伝導部材は、熱伝導性の素材で形成された格子形状を有する。
【0044】
この構成により、集魚装置は、発光素子からの光の照射を妨げずに、発光素子が発光面に生じさせる熱を放出できる。
【0045】
本発明の第12の発明に係る集魚装置では、第10又は第11の発明に加えて、封止枠は、熱伝導部材から伝導される熱を外部に放出する放熱機構を備え、放熱機構は、封止枠の表面および側面の少なくとも一部に設けられた放熱フィンを含む。
【0046】
この構成により、熱伝導部材からの熱は、外部に効率的に放出される。
【0047】
本発明の第13の発明に係る集魚装置では、第1から第12の発明に加えて、実装基板は、複数の発光素子の熱を受熱する受熱部と、受熱部が受熱した熱を、実装基板と交差する方向において、実装基板と離隔した位置で排熱する排熱部を更に備える。
【0048】
この構成により、集魚装置は、発光素子が実装面に生じさせる熱を、発光素子から離隔した位置に放出できる。結果として、集魚装置は、発熱の問題にとらわれずに、様々な発光パターンで光を照射できる。
【0049】
以下、図面を用いて、本発明の実施の形態について説明する。
【0050】
(実施の形態1)
【0051】
実施の形態1について説明する。
(全体概要)
【0052】
まず、図1、図2、図3を用いて、実施の形態1における集魚装置の全体概要を説明する。
【0053】
図1は、本発明の実施の形態1における集魚装置のブロック図である。図1は、集魚装置1を、海上において使用する態様に合わせて、必要となる要素をブロックとして示している。
【0054】
集魚装置1は、発光素子4を備える照明部2と制御部6に大きく分けることができる。照明部2は、電子部品や電子素子を実装可能な実装基板3と、実装基板3に実装される複数の発光素子4とを備える。すなわち、照明部2は、実際に光を照射できる発光素子4を基本要素として備える。照明部2は、実際に海面10や海中11に対して光を照射するので、集魚装置1において、独立して可動させたり設置させたりできることも好ましい。もちろん、照明部2が、制御部6と一体であってもよい。
【0055】
集魚装置1は、更に発光素子4に電力を供給する電力供給部5と制御部6とを備える。
【0056】
電力供給部5は、発光素子4に電力を供給する。発光素子4は、電力を受けて発光するので、電力供給部5からの電力によって発光素子4が発光する。このとき、電力供給部5から受ける電力値によって、発光素子4の輝度が変化する。あるいは、発光素子4の種類によっては、電力供給部5から受ける電力値によって、発光素子4の色度なども変化する。電力供給部5は、制御部6からの制御を受けて、発光素子4へ電力を供給しても良いし、一定の電力を供給しながら、実際の発光素子4に電力が到達する際に、制御部6によって電力値が制御されることでも良い。
【0057】
制御部6は、複数の発光素子4のそれぞれ(あるいは全体)の発光パターンを制御する。すなわち、照明部2が照射する光は、制御部6によってその発光態様が制御されることになる。発光素子4は、発光ダイオードやLEDなどの半導体素子などを素材とした付与される電力の値、周波数、波長、付与間隔、付与時間などによって、輝度、色度、クリアランス、照射距離、発光素子全体が形成する発光態様などを変化させることのできる素子である。このため、制御部6は、発光素子4に付与される電力の値、周波数、波長、付与間隔、付与時間などを制御することで、発光素子4の発光パターンを制御できる。すなわち、制御部6は、照明部2の発光態様を制御できる。
【0058】
このとき、制御部6は、電力供給部5を制御することによって、発光素子4の発光パターンを制御しても良いし、電力供給部5から発光素子4に出力された後の電気信号を制御することで、発光素子4の発光パターンを制御しても良い。
【0059】
実施の形態1の集魚装置1は、以上のような構成を有しており、魚を効果的に集めたり追い返したりできる。
【0060】
従来のハロゲン電球などを用いた集魚装置は、ハロゲン電球の輝度を増減する程度しか制御できなかった。実際の漁業においては、魚を集めるために、ハロゲン電球の輝度を最大限にして照射される光の照度を上げることが主に行われていた。照度が高いことが魚を効果的に集めるものと考えられていたからである。
【0061】
一方、発明者の研究によって、魚の種類によって、集魚装置が発する光の、輝度が重要であったり、色度が重要であったり、発光間隔が重要であったり、発光方向が重要であったりすることが分かってきた。また、輝度についても、明るすぎるだけが効果的でないこともありえる。
【0062】
実施の形態1における集魚装置1は、照明部2は、複数の発光素子4を備えており、制御部6は、複数の発光素子4のそれぞれを、個別に制御できる。このため、複数の発光素子4全体において、全体が一様に発光している、一部のみが発光している、一部が他よりも高い輝度で発光している、異なる色度の発光が混在している、特定の発光素子が所定間隔で発光と消灯を繰り返す、といった発光素子4の発光パターンが容易に制御される。
【0063】
集魚装置1は、予め使用者や製造者によって製作されていたコンピュータプログラムなどに従ったり、漁業において使用される際のコントロールに従ったりして、制御部6を動作させる。この制御部6は、複数の発光素子4の発光パターンを制御する制御信号を出力し、この制御信号によって、複数の発光素子4は、目的とされる発光パターンによって発光する。
【0064】
ある種類の魚は、非常に高い輝度による光の照射に集まる特性を有する。このような種類の魚を集めたい場合には、制御部6は、複数の発光素子4の大部分(場合によっては全部)に対して、輝度を最大とするような電力値を与えるように、制御する。ある種類は、所定間隔で発光する光の照射に集まる特性を有する。このような種類の魚を集めたい場合には、制御部6は、複数の発光素子4を所定間隔で発光と消灯とを繰り返させるように制御する。
【0065】
以上のように、制御部6の制御によって、集魚装置1は、魚の種類に合わせた発光パターンで光を照射できる。
【0066】
照明部2は、図2、図3のような態様に示される発光パターンによって、発光素子4を発光させる。
【0067】
図2、図3は、本発明の実施の形態1における照明部の正面図であり、それぞれ、ある発光パターンの一例に基づく発光態様を示している。
【0068】
図2では、複数の発光素子4の内、中央部付近の発光素子4Aのみが発光し、他の発光素子4Bは発光していない。照明部2が中央部のみを発光させることで、集魚装置1は、照射される光束を絞り込むことができる。このような場合には、集魚装置1は、海面10や海中11の非常に狭い領域に絞り込んで光を照射できる。例えば、狭い領域に群れるのを好む魚の種類に適した照射が実現される。
【0069】
このとき、制御部6は、複数の発光素子4において、中央部付近の発光素子4Aのみに電力を供給するように、制御する。
【0070】
あるいは、図3のように、複数の発光素子4のそれぞれが、交互に発光している態様に制御されても良い。この場合には、海面10や海中11が、ぼんやりと幅広く照射されることになる。例えば、やわらかい光に群れるのを好む魚の種類に適した照射となる。このときは、制御部6は、複数の発光素子4において、交互に配置される発光素子4に電力を付与するように、制御する。
【0071】
これらの制御部6による発光素子4の制御の自由度が高いのは、照明部2が、電球や蛍光灯ではなく、発光ダイオードやLEDなどの発光素子を用いているからである。制御部6は、電力値、周波数、付与間隔などの様々な要素を組み合わせながら、発光素子4の発光態様を様々に制御できる。
【0072】
魚の種類に応じて、魚を集めたり追い返したりするための光の照射態様は様々である。集魚装置1は、これらの魚の種類に応じて最適な光の照射を実現できる。結果として、集魚装置1を用いた漁業活動は、低コストでありながら、効率的となる。
【0073】
次に、各部の詳細について説明する。
【0074】
(実装基板)
【0075】
まず、実装基板3について説明する。実装基板3は、電子部品や電子素子を実装可能な基板であり、ガラスエポキシ基板、フレキシブル基板など、種々の電子基板が用いられる。また、電子部品の実装だけに用いられるだけでなく、照明部2の外形や強度を確保するための基板としての役割を有していてもよい。このため、電子部品を実装できる基板の下層に、所定の厚みや強度を有する基板が積層されていても良い。
【0076】
また、実装基板3は、複数の発光素子4を実装する。このため、実装基板3は、電気信号のやり取り(例えば、制御部6や電力供給部5と、発光素子4との間で、電気信号がやり取りされる)が可能な配線層を備えていることが好適である。
【0077】
実装基板3は、照明部2として利用される複数の発光素子4のみを実装しても良いし、発光素子4以外の電子部品や半導体集積回路を実装しても良い。例えば、実装基板3は、電力供給部5や制御部6を合わせて実装しても良い。
【0078】
また、実装基板3は、発光素子4をワイヤボンディング、フリップチップあるいはボールグリッドなどによって電気的に実装し、実装基板3の内外に設けられる他の回路からの電気信号を、発光素子4に与えることができる。
【0079】
(発光素子)
【0080】
次に、発光素子4について説明する。
【0081】
発光素子4は、電気信号を受けて光を発する素子である。電気信号を受けて発光する機能を有する素子であればなんでもよいが、実装や制御の容易性から、発光ダイオードやLEDなどの半導体素子を基本とする素子が用いられるのが好適である。発光ダイオードやLEDは、付与される電気信号の電流・電圧によって、発光状態を制御でき、青色、赤色、緑色などの固有色を有することで、発光色のパターンを容易に制御できるメリットを有するからである。また、発光素子4が発光ダイオードやLEDであることで、電力の供給や遮断に即座に対応して、発光と消灯の制御が容易となるメリットもある。
【0082】
このように、発光ダイオードやLEDなどの半導体素子に基づく発光素子4であることで、制御部6によってその発光パターンを容易に制御できる。
【0083】
複数の発光素子4は、実装基板3に実装される。発光素子4の個数は、集魚装置1の仕様に応じて適宜定められれば良く、数個から数百個(あるいは数千個)の発光素子4が実装基板3に実装される。発光素子4は、実装基板3に対して、ワイヤボンディングやボールグリッドによって実装され、実装基板3に対して(更には、実装基板3に実装されている他の電子部品に対して)電気的に接続される。この電気的な接続によって、発光素子4は、電気信号を受けて発光する。発光素子4の発光に必要となる電力は、電力供給部5より供給される。
【0084】
複数の発光素子4は、それぞれ個別に、電力供給部5および制御部6の少なくとも一方からの電気信号を受けることができる。この発光素子4が受け取る電気信号は、制御部6より出力される制御信号を含んでいる。この制御信号を含む電気信号を受けることにより、複数の発光素子4のそれぞれは、輝度、色度、波長、周波数、発光時間、発光と消灯の間隔、発光方向などの制御を受けながら、発光する。これらの輝度、色度、波長、周波数、発光時間、発光と消灯の間隔、発光方向などの制御を受けることで、複数の発光素子4は(すなわち照明部2は)、様々な発光パターンでの発光を行う。
【0085】
また、複数の発光素子4のそれぞれは、個々に固有色を有している素子であったり、付与される電気信号の状態(電力値、波長、周波数など)によって発光する色度を変化させる素子であったりする。このように、複数の発光素子4のそれぞれが、発光色を有することで、照明部2は、所定の色や所定の色の組み合わせによって光を照射できる。
【0086】
魚の種類によっては、所定の波長(波長が色度を決定する)によって集まったり、あるいは回避したりする特性がある。複数の発光素子4が、輝度、色度、波長、周波数、発光時間、発光と消灯の間隔、発光方向などにおいて、制御部6の制御によって、発光パターンを変えることで、集魚装置1は、魚の種類に応じた光の照射を実現できる。
【0087】
なお、複数の発光素子4は、ベアチップ状態で実装されても良い。集魚装置1のコストやサイズの低減につながるからである。
【0088】
(電力供給部)
【0089】
電力供給部5は、複数の発光素子4のそれぞれに電力を供給する。複数の発光素子4のそれぞれは、電力を受けることで発光する。
【0090】
電力供給部5は、蓄電池、太陽光電池などの電力を供給できる要素と、供給する電力となる電気信号を制御する要素とを含む。例えば、発光素子4に過重な電力が付与されないように、ヒューズなどを備えておいても良い。
【0091】
電力供給部5は、複数の発光素子4のそれぞれに、個別に電力を供給することが好ましい。これは、複数の発光素子4の発光パターンを細かく制御できるからである。しかしながら、製造コストや設計のしやすさなどの観点から、電力供給部5からの電力が複数の発光素子4にまとめて供給されることでもよい。あるいは、複数の発光素子4がいくつかのグループに分割され、電力供給部5が、グループ毎に電力を供給しても良い。
【0092】
なお、電力供給部5は、単数であっても複数であっても良い。
【0093】
(制御部)
【0094】
制御部6は、複数の発光素子4の発光パターンを制御する。
【0095】
制御部6は、照明部2と別体であっても良いし、一体であっても良い。あるいは、制御部6は、照明部2を操作する操作用コンピュータの一部であってもよい。例えば、集魚装置1が、発光素子4が実装された照明部2と、この照明部2に接続されるコンピュータを要素とする場合がある。この場合には、コンピュータは、発光素子4に電力を供給する電力供給部5の役割を果たし、更に発光素子4の発光パターンを制御する制御部6の役割を果たす。
【0096】
コンピュータが記憶するプログラムやコンピュータに入力される入力信号に従って、コンピュータが発光パターンを生成する。この生成された発光パターンは、制御信号として電力供給部5および発光素子4の少なくとも一方に出力され、この生成された発光パターンに従って、複数の発光素子4は発光する。
【0097】
もちろん、実装基板3に実装されたプロセッサやマイコンが、制御部6の役割を果たしても良い。この場合には、プロセッサやマイコンは、内部もしくは外部のメモリに記憶された動作手順に従って、発光パターンを生成する。あるいは、人為的かつ逐次的に操作される操作卓より受け付けられる操作信号に従って、発光パターンを生成する。制御部6は、この生成した発光パターンに従った制御信号を、電力供給部5および複数の発光素子4の少なくとも一部に出力する。この制御信号によって、複数の発光素子4は、生成された発光パターンに従って光を照射する。すなわち、照明部2は、生成された発光パターンに従って光を照射する。
【0098】
このように、制御部6は、照明部2の発光パターンを制御する。制御は、例えば、集魚装置1を使う漁船の漁獲目的に応じて予め決められた制御プラグラムに基づいてもよいし、漁業活動において、使用者による操作に基づいても良い。
【0099】
発光パターンは、複数の発光素子のそれぞれの輝度、色度、発光一、発光時間、消灯時間、周波数、波長、発光角度の少なくとも一つの要素を含む。これらの要素の組み合わせが、発光パターンである。
【0100】
複数の発光素子4の個々の発光素子を単位として考える場合には、発光パターンは、この個々の発光素子の輝度、色度、発光時間、消灯時間、周波数、波長、発光角度の少なくとも一つの要素を含む。また、複数の発光素子4の全体を単位として考える場合には、発光パターンは、複数の発光素子全体における輝度の分布、色度の分布、周波数の分布、発光と消灯の分布、発光時間間隔の分布および消灯時間間隔の分布の少なくとも一つを含む。
【0101】
もちろん、制御部6は、複数の発光素子4の少なくとも一部を制御すれば良く、複数の発光素子4の一部は、制御部6の制御対象外でもよい。制御部6は、複数の発光素子4によって照射される光を制御することが目的であるので、この目的を達成できれば、制御部6が、複数の発光素子4のいずれを制御しても全てを制御しても構わない。
【0102】
また、制御部6は、発光パターンを予め記憶する記憶テーブル61を備えることも好適である。発光パターンは、発光素子4の輝度や色度などの組み合わせを有するが、この発光パターンは魚の種類によって最適な傾向がある。特に、ある種類の魚を集めるのに適した発光パターンや、逆にある種類の魚を回避するのに(追い返すのに)適した発光パターンが見受けられる。制御部6は、これらのある種類の魚を集めるのに適した発光パターンやある種類の魚を回避するのに適した発光パターンでの発光を制御することが好ましい。この場合に、漁業活動中に使用者が発光パターンを生成するための作業を行うのは負担が大きい。このため、記憶テーブル61が、魚の種類に応じた発光パターンを記憶しておくことで、制御部6は、この記憶テーブルから読み出した発光パターンに基づくだけで、複数の発光素子4の発光を制御することができる。
【0103】
この記憶テーブル61は、書き換え可能であり、コンピュータや携帯端末から容易に新たな情報を書き込むことが可能である。漁業活動をおこなう使用者が、研究データや過去の経験データなどに基づいて、最適な発光パターンを検出した場合には、この発光パターンに対応する処理手順を記憶テーブル61に書き込むことができる。記憶テーブル61に新たな発光パターンが書き込まれれば、制御部6は、この発光パターンを読み出すだけで、ある種類の魚に最適な発光パターンでの発光を制御できる。
【0104】
記憶テーブル61は、磁気メモリ、半導体メモリ、光メモリ、CDやDVDなどの記録媒体、制御部6が備えるメモリなどの種々の態様を有する。
【0105】
(発光パターンの例)
【0106】
次に、集魚装置1の発光パターンの例について説明する。
【0107】
制御部6は、複数の発光素子4を、種々の発光パターンで発光させることで、所望の魚を効果的に集めたり効果的に追い返したりできる。発光パターンは、魚の種類に応じて適したものが選択されればよい。
【0108】
(輝度を基準とする発光パターン)
【0109】
発光パターンは、発光素子4の輝度を基準としてもよい。例えば、複数の発光素子4の全体としての輝度を、所定値以上としたり所定値以下とすることで、ある種類の魚を集めたり追い返したりできる。輝度の所定値は、魚の種類によって定められれば良く、記憶テーブル61は、魚の種類に応じた所定値を記憶しておき、制御部6は、記憶テーブル61の所定値に基づいた輝度によって、複数の発光素子4を発光させる。
【0110】
また、輝度を基準とする発光パターンは、複数の発光素子4の内、ある領域の発光素子4を所定値以上の輝度とし、他の領域の発光素子4を所定値以下の輝度とするパターンでもよい。あるいは、所定値以上の輝度で発光する発光素子4と所定値以下の輝度で発光する発光素子4とを、複数の発光素子4の中に混在させるパターンでも良い。
【0111】
このように、発光パターンは、複数の発光素子4の個々の輝度や複数の発光素子4の輝度分布を制御するパターンを含む。
【0112】
(色度を基準とする発光パターン)
【0113】
発光パターンは、発光素子4の色度を基準としても良い。例えば、複数の発光素子4の全体を、所定の色度となるように制御する発光パターンによって、集魚装置1は、所定の種類の魚を効果的に集めたり追い返したりできる。色度は、魚の種類によって定められれば良く、例えば記憶テーブル61が魚の種類に対応する色度を記憶しておけば、制御部6は、この色度によって複数の発光素子4を発光させることができる。
【0114】
また、色度を基準とする発光パターンは、複数の発光素子4の内、ある領域の発光素子4をある色度とし、他の領域の発光素子4を別の色度とし、更に別の領域の発光素子4を他の色度とすることでもよい。もちろん、複数の発光素子4のそれぞれを異なる色度(共通する色度が存在することも含む)となる発光パターンでもよい。
【0115】
例えば、複数の発光素子4の色度分布に基づく発光パターンは、ある混合色や複数色の光に反応しやすい種類の魚を集めたり追い返したりする必要がある場合に好適である。
【0116】
このように、発光パターンは、複数の発光素子4の個々の色度や、複数の発光素子4の色度分布を制御するパターンを含む。
【0117】
(波長や周波数を基準とする発光パターン)
【0118】
発光パターンは、発光素子4の波長や周波数を基準としても良い。波長や周波数は、前述の色度と関連するが、波長や周波数のみが制御されるだけで色度に影響の無い種類の発光素子においては、波長や周波数が制御される発光パターンも、対象とする魚の種類に応じて適当である。
【0119】
発光パターンは、複数の発光素子4のそれぞれの波長や周波数を制御するパターンであったり、複数の発光素子4の内、ある領域の発光素子4を所定値の波長や周波数としたり他の領域の発光素子4を所定値以外の波長や周波数としたりするパターンを含む。
【0120】
このように、発光パターンは、複数の発光素子4の個々の波長や周波数、あるいは複数の発光素子4の波長分布や周波数分布を制御するパターンを含む。
【0121】
(発光位置を基準とする発光パターン)
【0122】
発光パターンは、複数の発光素子4の内、実際に発光する発光素子4の位置を基準としても良い。
【0123】
例えば、図2、図3に示されるように、複数の発光素子4のいずれかのみが発光し、残りは消灯しているような発光パターンである。一般的には、高い輝度で海面や海中を照射することが好ましいと思われているが、魚の種類によっては、光の照射のされ方によって集まりやすかったり追い返しやすかったりすることもある。
【0124】
複数の発光素子4の一部のみが発光することで、やわらかい光の照射となったり鋭い光の照射となったりする。このような光の照射具合が変わることで、上述のような光の照射具合に適した魚を集めたり追い返したりできるようになる。
【0125】
また、発光位置を刻々と変化させるパターンを、発光パターンが含んでも良い。
【0126】
あるいは、発光パターンは、複数の発光素子4の実装面の右方向や左方向のみに偏移した領域の発光素子4のみを発光させたり、複数の発光素子4の実装面の上方向や下方向に偏移した領域の発光素子4のみを発光させたりするパターンを含んでも良い。ある偏った領域の発光素子4のみが発光することで、海面や海中の特定の領域のみを照射することができ、非常に狭い領域に魚を集めることができるようになる。
【0127】
(発光角度を基準とする発光パターン)
【0128】
発光パターンは、複数の発光素子4のそれぞれの照射角度を切り替えることを基準とするパターンを含んでもよい。例えば、複数の発光素子4のそれぞれは、実装基板3に実装される際に、実装基板3に対して可動状態で実装されてもよい。このとき、可動状態とするための可動部が、実装基板3および発光素子4の少なくとも一方に備えられる。
【0129】
制御部6は、この可動部の動作を制御する。具体的には、制御部6は、この可動部の角度を制御し、発光素子4の照射角度を制御する。このとき、制御部6は、この照射角度のパターンを含む発光パターンに基づいて、可動部の動作を制御する。例えば、複数の発光素子4の内、上部に配置されている発光素子4の照射角度を海面に対してより緩やかにし、複数の発光素子4の内、下部に配置されている発光素子4の照射角度を海面に対して鋭角にする。このような照射角度の制御によって、照明部2は、より広い海域を照射できるようになる。
【0130】
あるいは、複数の発光素子4の内、左右の発光素子4の照射角度を、海面に対してより広角とするような発光パターンによって、制御部6は発光素子4の照射角度を制御しても良い。この場合にも、照明部2は、より広い海域を照射できるようになる。
【0131】
以上のように、発光パターンは、複数の発光素子4それぞれの照射角度を基準とするパターンを含んでも良い。
【0132】
(発光する時間間隔を基準とする発光パターン)
【0133】
発光パターンは、複数の発光素子4のそれぞれの発光や消灯の時間間隔を基準とするパターンを含んでも良い。
【0134】
発光ダイオードやLEDなどの発光素子4は、電力の供給と遮断に即座に対応して発光や消灯を繰り返すことができる。魚の種類によっては、この発光と消灯の繰り返しによって、効果的に集まったり逃げたりする習性がある。電球や蛍光灯は、応答速度が遅い上、数も少ないのでこのような発光と消灯の繰り返しを実現するのは困難であるが、多数の発光素子4が実装される集魚装置1では可能である。
【0135】
発光パターンは、複数の発光素子4の発光時間と消灯時間の時間間隔を制御するパターンを含む。これは、例えば複数の発光素子4の内、特定の発光素子4の発光時間および消灯時間の時間間隔を制御するパターンや、複数の発光素子4全体の発光時間や消灯時間の時間間隔を制御するパターンを含む。あるいは、発光パターンは、複数の発光素子4のそれぞれの輝度の増減や、発光させる発光素子4の数の増減によって発光の度合いを、時間間隔で変動させるパターンを含んでも良い。
【0136】
図4は、本発明の実施の形態1における発光パターンの一例を示す説明図である。
【0137】
図4は、横軸に時間、縦軸に輝度を示している。時間の推移に合わせて、複数の発光素子4(すなわち照明部2)の輝度が増減を繰り返す状態を示している。すなわち、図4に示されるグラフは、制御部6が使用する発光パターンである。この発光パターンを使用して制御部6は、複数の発光素子4の輝度を制御し(複数の発光素子4のそれぞれの輝度を一様に変化させても良いし、発光する発光素子の個数を変化させることでもよい)、照明部2が図4に示されるような変化で、光を照射できる。
【0138】
照明部2は、図4に示されるような輝度の増減を、所定間隔(なお、この間隔は、一定間隔でなくてもよく、輝度の最大値、輝度の最小値、輝度の高い時間の長さ、輝度の低い時間の長さなどは、一定であってもよいし、変動しても良い)をもって繰り返す。この繰り返しに反応を示す魚を、集魚装置1は、効果的に集めたり追い返したりできる。あるいは、輝度の高い照射に反応して集まる魚と輝度の低い照射に反応して離散する魚とが混在する海域では、図4に示されるような、高輝度と低輝度とを繰り返す発光パターンによって、所望の魚だけを集めて不要な魚を追い返すことが同時にできる。もちろん、逆のパターンでもよい。
【0139】
また、図4は、時間間隔において輝度を増減させるパターンを示しているが、時間間隔において色度や照射角度を変動させるパターンであっても良い。
【0140】
以上のように、発光パターンは、複数の発光素子4のそれぞれを、輝度、色度、波長、周波数、発光時間、消灯時間、発光と消灯との間隔などを基準に制御するパターンや、複数の発光素子4における輝度分布、色度分布、照射角度分布、輝度変化、色度変化などを基準に制御するパターンなどを含む。加えて、これら輝度や色度のいずれかの要素に限定したものではなく、複数の要素を組み合わせた基準に基づいて制御するパターンを含んでも良い。これらの発光パターンは、集魚装置1を用いる使用者が、集めたい魚あるいは追い返したい魚の特性に合わせて選択すればよく、記憶テーブル61にこれらの発光パターンを記憶させておけばよい。
【0141】
実施の形態1における集魚装置1は、発光ダイオードやLEDなどの複数の発光素子4を、種々の発光パターンによって制御部6がその発光を制御することで、魚の種類にあわせつつ、効果的に魚を集めたり追い返したりできる。
【0142】
(実施の形態2)
【0143】
次に、実施の形態2について説明する。
【0144】
実施の形態2においては、同一海域に集めたい魚と集めたくない魚とが混在する場合に合わせた集魚装置を説明する。
【0145】
ある海域には、漁業活動において集めたい魚と集めたくない魚とが混在し、従来のようにただ光を照射するだけでは、集めたくない魚まで集まってしまう問題があった。例えば、アジやサバなどの集めたい魚以外にくらげや雑魚などの余計な魚も集まってしまう。このような状態では、魚網の中に余分な魚も入ってしまい、海上あるいは陸上での選別作業に多大なコストがかかってしまう。
【0146】
魚の種類によっては、集魚装置1から照射される光の周波数(波長)に対して集まるように反応すしたり、遠ざかるように反応したりする。すなわち、ある周波数の光は、ある魚の種類にとっては集まりやすい反応につながり、別の種類の魚にとっては遠ざかりやすい反応につながる。
【0147】
図5は、本発明の実施の形態2における集魚装置のブロック図である。集魚装置1は、照明部2において、複数の発光素子4の一部を所定の周波数を有する第1周波数で発光させ、他の発光素子4を第1周波数とは異なる第2周波数で発光させる。集魚装置1が、複数の発光素子4を異なる周波数である第1周波数と第2周波数とに分けて発光させることで、例えば第1周波数の光によってある種類の魚をあつめつつ、第2周波数の光によってある種類の魚を追い返すことができるようになる。
【0148】
もちろん、第1周波数と第2周波数との役割分担は一例であり、第1周波数の光がある種類の魚を追い返し、第2周波数の光がある種類の魚を集めることでも良い。あるいは、第3周波数の光を更に照射しても良い。
【0149】
このとき、集魚装置1が漁船に取り付けられる場合には、一般的に漁船の近くに魚網が配置される。このため、漁船の近くに集めたい魚を近づけ、漁船の遠くに追い返したい魚を追い返すことが望まれる。
【0150】
第1周波数の光が所望の魚を集め、第2周波数の光が不要な魚を追い返すと仮定する。照明部2は複数の発光素子4を備えており、複数の発光素子4の内、照明部2の上部に配置される発光素子4は、海面10に対して照射角度が緩やかであり(すなわち、漁船より遠くを照らすことができる)、照明部2の下部に配置される発光素子4は、海面10に対して照射角度が急峻である(すなわち、漁船に近い場所を照らすことができる)。
【0151】
ここで、海面10に対して照射角度が緩やかとなる発光素子4は、第2周波数の光を照射する。一方、海面10に対して照射角度が急峻となる発光素子4は、第1周波数の光を照射する。図5における矢印Aは、第2周波数の光が、海面10において漁船より遠い領域を照らす光の方向を示している。一方、図5における矢印Bは、第1周波数の光が、海面10において漁船に近い領域を照らす光の方向を示している。
【0152】
ある種類の魚(漁獲における所望の魚)を集めるのに適した第1周波数の光は、矢印Bに沿って漁船の近くを照射するので、集魚装置1は、漁船の近くに所望の魚を集めることができるようになる。
【0153】
一方、ある種類の魚(追い返したい魚)を追い返すのに適した第2周波数の光は、矢印Aに沿って漁船の遠くを照射するので、集魚装置1は、漁船より魚を遠ざけることができるようになる。
【0154】
このように、魚の種類に応じた周波数の光を、複数の発光素子4の中で使い分けると共に照射領域をも使い分けることで、漁業活動において所望とする魚だけを集中して漁獲することができるようになる。
【0155】
もちろん、魚網の位置や魚の特性によっては、海面10に対して緩やかな照射角度となる矢印Aに沿って、ある種類の魚を集めやすい第1周波数の光が照射され、海面10に対して急峻な照射角度となる矢印Bに沿って、ある種類の魚を追い返しやすい第2周波数の光が照射されることでもよい。
【0156】
また、実施の形態2では、周波数の違いによって、集めたい魚と追い返したい魚とを同時に制御することを説明したが、輝度、色度、発光時間間隔、消灯時間間隔によって、集めたい魚と追い返したい魚とを同時に制御してもよい。また、矢印Aおよび矢印Bとによって、漁船に対して遠方と近接との照射を制御しているが、更に細かな照射角度によって制御しても良い。
【0157】
以上のように、実施の形態2における集魚装置1は、周波数、波長、輝度、色度、発光時間間隔、消灯時間間隔などの発光の要素に、照射領域の要素を組み合わせることで、集めたい魚と追い返したい魚との両方を同時に制御できる。
【0158】
(実施の形態3)
【0159】
次に実施の形態3について説明する。実施の形態3では、発光素子4が封止枠、封止材およびレンズ板と、によって実装されることで、コスト低減が図られる場合を説明する。
【0160】
集魚装置1は、漁業活動に用いられ、発光ダイオードやLEDなどの発光素子4を用いることで、ランニングコストを低減できる。加えて、製造コストを抑えることができると、集魚装置1は、漁船に容易に導入が可能であり、現在のハロゲンランプや蛍光灯を中心とする集魚装置からの置き換え意欲が高まる。現在のハロゲンランプや蛍光灯を中心とする集魚装置からの置き換えが進めば、消費電力や発熱などの点で、環境にもよい状態が生まれてくることになる。
【0161】
図6は、本発明の実施の形態3における集魚装置1のブロック図であり、集魚装置1の内、照明部2の側面構成を示している。
【0162】
照明部2は、実装基板3において、複数の発光素子4の周囲を囲む封止枠31と、封止枠31内部において複数の発光素子4を封止する封止材32と、封止材32の上層に積層されるレンズ板33と、を備える。ここで、発光素子4は、ベアチップ状態で実装基板3に実装されることも好適である。ベアチップ状態で実装されることで、更にコストが低減するからである。
【0163】
また、封止材32およびレンズ板33の少なくとも一方の構造は、発光パターンと関連する。例えば、発光パターンにおいてある領域に実装された発光素子4からの光は所定の色度で照射し、別の領域に実装された発光素子4からは別の色度で照射することが求められる場合には、封止材32およびレンズ板33の少なくとも一方は、この色度に合わせた色味を有している。
【0164】
このように、封止材32およびレンズ板33は、発光素子4を封止しつつ光の集光や拡散を実現するのに合わせて、発光パターンの実現をより促進させる昨日をも有している。
【0165】
封止材32およびレンズ板33は、透明もしくは半透明であって、封止材32およびレンズ板33の積層は、発光素子4の発する光を拡散および集光の少なくとも一方を行なう。この構成によって、照明部2は、発光素子を封止する部材を活用して、複数の発光素子4が発する光を、適切に外部に照射できる。
【0166】
複数の発光素子4の周囲には封止枠31が設けられており、この封止枠31内部には樹脂などを素材とする封止材32が投入される。封止材32は、複数の発光素子4の表面や側面と接触した上で、複数の発光素子4を封止する。この封止によって、封止材32は、発光素子4を保護する。また、封止枠31が設置された上で、封止材32が投入されるので、封止材32は、封止枠31の形状、大きさに応じた形状や大きさを有する。
【0167】
封止材32の上にレンズ板33が積層される。レンズ板33は、凸レンズや凹レンズ形状を有しており、封止材32の積層面において、レンズ板33のカーブに応じた形状で積層される。封止材32は、封止枠31に投入される際には、溶融樹脂などであるので、レンズ板33の形状に応じて、封止材32の積層面の形状が容易に対応できる。この結果、封止材32とレンズ板33とは、スムーズな曲面で接触する。
【0168】
封止材32およびレンズ板33は、半透明もしくは透明であって、発光素子4からの光を透過させる。このとき、封止材32およびレンズ板33が形成する屈折カーブに従って、発光素子4は、発する光を外部に照射する。このとき、封止材32およびレンズ板33は、カーブ形状に従って、発光素子4の光を拡散および集光の少なくとも一方を行なう。すなわち集魚装置1は、複数の発光素子4の光を一つの集光機能や拡散機能によってまとめた上で、外部に照射する。
【0169】
封止枠31、封止材32は、発光素子4を外部露出から保護するための封止機能を持っており、本来的には、この封止機能が封止枠31などの役割である。しかし、封止機能を有する封止枠31や封止材32に加えて、レンズ板33を積層することで、封止枠31、封止材32およびレンズ板33は、複数の発光素子4を一度に封止できると共に複数の発光素子4が発する光の集光や拡散を制御できる。
【0170】
すなわち、余分な部材を追加することなく、封止と発光を実現できるので、集魚装置1は、余分なコストを必要としない。加えて、集魚装置1は、複数の発光素子4をまとめて封止した上で発光を制御できるので、発光素子4毎に発光や封止のばらつきが生じない。加えて、封止と発光制御とが同時に同一の部材で実現できるので、封止と発光制御とがアンバランスになることが無くなり、発光のばらつきも防止される。特に、複数の発光素子4をまとめて封止することがそのまま発光制御につながるので、照明部2は、複数の発光素子4をまとめて発光させた上で集光や拡散を実現できる。
【0171】
また、封止材32は、その内部に発光素子4および封止材32の少なくとも一部からの熱を伝導する熱伝導部材を更に備え、封止枠31は、熱伝導部材から伝導された熱を外部に放出することも好適である。
【0172】
図7は、本発明の実施の形態3における照明部の側面図である。
【0173】
照明部2は、図7に示されるように、封止枠31や封止材32を備え、封止材32の内部に熱伝導部材34を更に備えている。
【0174】
熱伝導部材34は、封止材32内部に設けられており封止枠31と熱的に接触する。このため、熱伝導部材34は、封止材32からの熱を(すなわち発光素子4からの熱を)封止枠31に伝導できる。封止枠31は、外部に露出されており、熱伝導部材34から受け取った熱を、外部に放出できる。特に、封止枠31は、金属、合金あるいは熱伝導性の高い樹脂などで形成されるので、封止枠31は、伝導された熱を外部に放出できる。この結果、発光素子4の発光面および側面の少なくとも一部から発せられる熱は、封止材32内部に蓄積されることなく、熱伝導部材34および封止枠31を経由して外部に放出される。
【0175】
矢印Cは、熱伝導部材34から封止枠31に熱が伝導することを示しており、矢印Dは、封止枠31から外部に熱が放出されることを示している。
【0176】
加えて、封止枠31は、放熱機構を備えている。放熱機構は、図7に示されるように、封止枠31の表面および側面の少なくとも一部に設けられた放熱フィン36、37を含む。
【0177】
熱伝導部材34から伝導された熱は、この放熱フィン36、37を介して、外部に放出される。
【0178】
このように、熱伝導部材34および放熱フィン36、37によって、照明部2は、熱の溜まりやすい封止材32内部の熱を、効率的に外部に放出できる。
【0179】
発光素子4の発する熱の内、発光面および側面からの熱が、外部に放出されることで、照明部2の発熱が抑えられる。この結果、発光素子4には、高い電流値や電圧値を与えることが可能となり、発光素子4は、高い輝度で光を照射できる。
【0180】
熱伝導部材34は、発光素子4から封止材32に伝わる熱を、封止枠31に伝導させるので、熱伝導性の高い素材で形成されることが好ましい。例えば、金属、合金などである。一例として、熱伝導部材34は、銅、アルミニウム、銀、アルミニウム合金、鉄、鉄合金、ステンレスなどの熱伝導率の高いあるいは防錆性(あるいは耐久性)の高い金属で形成されることが好ましい。
【0181】
また、熱伝導部材34は、封止材32の熱を封止枠31に伝導する機能を担うが、発光素子4からの光が外部に照射されるのを阻害することは不都合である。このため、熱伝導部材34は、熱伝導性の素材で形成された格子形状を有することも好適である。例えば、熱伝導部材34は、金属、合金もしくは熱伝導性の高い樹脂で形成されたメッシュ形状を有することでもよい。
【0182】
熱伝導部材34が格子形状を有する状態を図8に示す。図8は、本発明の実施の形態3における照明部の正面図である。図8に示されるように、熱伝導部材34は、格子形状を有する。
【0183】
熱伝導部材34が、格子形状を有することで、封止材31の熱を封止枠31に伝導できると共に発光素子4からの光を阻害することがない。発光素子4からの光は、格子形状の空き領域をもれ出て行くからである。特に、発光素子4に高い電流値や電圧値が付与されて、高い輝度で発光素子4が発光する場合には、格子形状の熱伝導部材34は、発光における阻害とはなりにくい。
【0184】
なお、熱伝導部材34が格子形状を有する場合には、発光素子4の個数、発光素子4の配列間隔に合わせた格子形状を有すればよい。例えば、格子形状における空き領域の個数や面積は、発光素子4の配列間隔に合わせることも好適である。
【0185】
また、熱伝導部材34は、方形の枠からなる格子形状以外であっても、円形、楕円形、多角形等の枠からなる格子形状を有してもよい。もちろん、封止材31の熱を伝導できると共に発光素子4からの光の照射を阻害しない形状であれば、どのような形状を有してもよい。
【0186】
熱伝導部材34は、封止材32内部に設けられれば良いが、封止材32において、発光素子4と上面との間のいずれかの位置において設けられればよい。例えば、発光素子4と上面とのおよそ中間位置において、熱伝導部材34が封止材32内部において設けられればよい。
【0187】
また放熱フィン36、37は、封止枠31の表面および側面から突出しているが、封止枠31の表面もしくは側面のいずれかのみから放熱フィンが突出していても良い。
【0188】
放熱フィン36、37は、その表面積が大きいことによって、その表面から外部に熱を伝えることで熱を放出できる。加えて、放熱フィン36、37の柱状部材同士の間において熱の対流を生じさせることで、外部に熱を放出できる。放熱フィン36、37は、このように伝導や対流によって、外部に熱を放出できる。また、必要に応じて、放熱フィン36、37に風を送る送風ファンを更に備えることで、放熱フィン36、37による放熱能力が更に高まる。
【0189】
このため、放熱フィン36、37は、棒状部材であってもよいし板状部材であっても良いし、これらの部材が混在した状態でも良い。
【0190】
以上のような照明部2が集魚装置1に組み込まれることで、集魚装置1の製造コストを抑えることができる。
【0191】
また、発光素子4を多数用いることによって生じうる発光素子4の発光面への熱を、外部に効率的に放出できるので、集魚装置1は、所望とする発光パターンを発熱に気遣うことなく制御できるようになる。結果として、実施の形態3の集魚装置1は、効果的に魚を集めたり魚を追い返したりできるように。
【0192】
(実施の形態4)
【0193】
次に、実施の形態4について説明する。
【0194】
実施の形態4の集魚装置は、発光素子4が実装面に生じさせる熱を、照明部2から離隔した位置において放出する機能を有する。
【0195】
図9は、本発明の実施の形態4における照明部の側面図である。図9に示される照明部2が、集魚装置1に用いられる。図9は、照明部2の熱伝導経路を矢印で示している。
【0196】
実装基板3は、複数の発光素子4が発する熱を受熱する受熱部23を含む。更に、受熱部23からの熱を実装基板3と交差する方向であって実装基板3(すなわち照明部2)と離隔する位置で排出する排熱部26が設けられる。排熱部26は、伝導部材24と排出部材25を備えている。
【0197】
受熱部23は、実装基板3そのものが受熱部23であってもよいし(実装基板3と一体で形成される)、実装基板3内部に受熱部23が設けられてもよい。受熱部23は、発光素子4の実装面から発せられる熱を受熱し、伝導部材24に伝える。
【0198】
受熱部23は、伝導部材24と熱的に接続しているので、受熱部23が受熱した熱は、伝導部材24に伝導される。伝導部材24は、受熱部23より伝導した熱を、所定方向に伝導する。この所定方向は、実装基板3と交差する方向である。実装基板3と交差する方向に伝導部材24が熱を伝導することにより、発光素子4の熱は、発光素子4の実装領域より離隔した位置において排出されるようになる。
【0199】
伝導された熱は、伝導部材24に熱的に接触する排出部材25に到達し、排出部材25は、到達した熱を外部に排出する。
【0200】
複数の発光素子4が、実装基板3に実装され、高い輝度で発光できるように高い電力が複数の発光素子4に与えられる場合には、複数の発光素子4は、実装基板3における実装面に対して高い熱を発することになる。この熱は、実装面から実装基板3に伝導するが、実装基板3は受熱部23を含むので、これらの熱は受熱部23によって広がる。周辺領域に広がることで、発光素子4が実装されている領域(この領域には、発光素子4が発光している限りは、熱が発生する)の過大な発熱が抑えられる。加えて、受熱部24が受け取った熱は、伝導部材24および排出部材25を通じて外部に排出されるので、発光素子4が生じさせる熱は、連続して排出される。
【0201】
このように、実装基板3が受熱部23を含んでおり、受熱部23から発光素子4の発光方向と逆側に伝導されて外部に熱が排出されることで、発光素子4および発光素子4の周辺における熱の滞留を防止できる。この結果、発光素子4の過大な発熱を抑えることができるようになるので、発光素子4に対して高い電力を与えることができるようになり、発光素子4は、非常に高い輝度で発光できる。
【0202】
すなわち、複数の発光素子4は、ある平面に沿った実装平面(実装基板3によって形成される平面である)において実装され、受熱部23は、この実装平面に沿って、複数の発光素子4の熱を受熱し、伝導部材24は、この実装平面に交差する方向に沿って、受熱部23からの熱を伝導し、排出部材25が、外界に排出する。このように、照明部2は、実装平面に実装された複数の発光素子3の熱を、3次元的な方向への伝導によって排出できる。この結果、複数の発光素子3の周囲に、熱を滞留させることがなくなり、発光素子3へ高い電力を与えることが容易となる。高い電力を与えることができることにより、制御部6は、複数の発光素子4を高い輝度など様々な発光パターンで発光させることができるようになる。この結果、魚を効率的に集めたり追い返したりできる、様々な発光パターンを用いて、集魚装置1は、光を照射できるようになる。
【0203】
ここで、図9の矢印Eは、発光素子4の発光面からの熱の放出経路(熱伝導部材34および封止枠31を介して放出される経路)を示している。一方で、矢印Fは、発光素子4の実装面からの熱の排出経路(受熱部23、伝導部材24、排出部材25を介して排出される経路)を示している。
【0204】
このように、封止枠31の放熱機構は、複数の発光素子4が発光面に生じさせる熱を外部に放出し、排熱部26は、複数の発光素子4が実装面に生じさせる熱を外部に排出できる。このような3次元的な放熱構造によって、発光素子4が生じさせる熱を外部に効率的に排出でき、集魚装置1は、発熱の問題に関らず、魚を効率的に集めたり追い返したりする発光パターンで、光を照射できる。
【0205】
結果として、集魚装置1は、低いイニシャルコストとランニングコストによって、漁業活動における漁獲量と漁獲精度を高めることができる。
【0206】
以上、実施の形態1〜4で説明された集魚装置は、本発明の趣旨を説明する一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲での変形や改造を含む。
【符号の説明】
【0207】
1 集魚装置
2 照明部
23 受熱部
24 伝導部材
25 排出部材
26 排熱部
3 実装基板
31 封止枠
32 封止材
33 レンズ板
34 熱伝導部材
36、37 放熱フィン
4 発光素子
5 電力供給部
6 制御部
61 記憶テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実装基板と、
前記実装基板に実装される複数の発光素子と、
前記複数の発光素子に電力を供給する電力供給部と、
前記複数の発光素子の発光パターンを制御する制御部と、を備える集魚装置。
【請求項2】
前記発光パターンは、前記複数の発光素子のそれぞれの輝度、色度、波長、周波数、発光角度、発光時間間隔および消灯時間間隔の少なくとも一つを含む請求項1記載の集魚装置。
【請求項3】
前記発光パターンは、前記複数の発光素子全体における、輝度配置分布、色度は位置分布、発光位置分布、発光時間分布、消灯時間分布、発光画像、輝度総量および色度総量の少なくとも一つを更に含む請求項1又は2記載の集魚装置。
【請求項4】
前記制御部は、魚の種類に応じた前記発光パターンを記憶する記憶テーブルを更に備え、前記制御部は、前記記憶テーブルより読み出した前記発光パターンに基づいて、前記複数の発光素子の発光を制御する請求項1から3のいずれか記載の集魚装置。
【請求項5】
前記制御部は、魚の種類に応じた周波数に基づいて、前記複数の発光素子の発光を制御する請求項1から4のいずれか記載の集魚装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記複数の発光素子の輝度、色度、波長、周波数、発光角度、発光時間間隔および消灯時間間隔の少なくとも一つの要素と前記複数の発光素子の照射領域に基づく要素と、の組み合わせによって、前記複数の発光素子の発光を制御する請求項1から5のいずれか記載の集魚装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記複数の発光素子の内の一部の発光素子を、所定の周波数を有する第1周波数で発光させ、前記複数の発光素子の内の一部の発光素子を、前記第1周波数と異なる第2周波数で発光させる請求項6に記載の集魚装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記複数の発光素子の内、海面に対する照射角度が急峻である領域を照射する発光素子を、前記第1周波数で発光させ、海面に対する照射角度が緩やかである領域を照射する発光素子を、前記第2周波数で発光させる請求項7に記載の集魚装置。
【請求項9】
前記実装基板上であって、前記複数の発光素子の周囲を囲む封止枠と、
前記封止枠内部において、前記発光素子を封止する封止材と、
前記封止材の上層に積層されるレンズ板と、を更に備え、
前記封止材および前記レンズ板は、前記発光素子からの光の拡散および集光の少なくとも一方を行い、
前記封止材および前記レンズ板の少なくとも一方の形状は、前記発光パターンと関連する請求項1から8のいずれか記載の集魚装置。
【請求項10】
前記封止材内部に設けられ、前記発光素子および前記封止材の少なくとも一部からの熱を伝導する熱伝導部材と、を更に備え、
前記熱伝導部材は前記封止枠に熱を伝導し、前記封止枠は伝導された熱を外部に放出する請求項9記載の集魚装置。
【請求項11】
前記熱伝導部材は、熱伝導性の素材で形成された格子形状を有する請求項10記載の集魚装置。
【請求項12】
前記封止枠は、前記熱伝導部材から伝導される熱を外部に放出する放熱機構を備え、
前記放熱機構は、前記封止枠の表面および側面の少なくとも一部に設けられた放熱フィンを含む請求項9又は10記載の集魚装置。
【請求項13】
前記実装基板は、前記複数の発光素子の熱を受熱する受熱部と、
前記受熱部が受熱した熱を、前記実装基板と交差する方向において、前記実装基板と離隔した位置で排熱する排熱部を更に備える請求項1から12のいずれか記載の集魚装置。
【請求項14】
前記封止枠の放熱機構は、前記複数の発光素子が発光面に生じさせる熱を外部に放出し、前記排熱部は、前記複数の発光素子が実装面に生じさせる熱を外部に放出する、請求項13記載の集魚装置。
【請求項15】
前記制御部は、前記電力供給部から前記発光素子へ供給される電力を、前記発光パターンに基づいて制御する請求項1から14のいずれか記載の集魚装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−254708(P2011−254708A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−129478(P2010−129478)
【出願日】平成22年6月5日(2010.6.5)
【出願人】(502089671)交和電気産業株式会社 (9)
【出願人】(504258527)国立大学法人 鹿児島大学 (284)
【出願人】(503361813)学校法人 中村産業学園 (26)
【Fターム(参考)】