説明

雑草の生育を抑制する雑草生育抑制工法及び雑草生育抑制用組成物

【課題】下地の水分に影響されにくい塗膜を形成できる雑草生育抑制工法及び雑草生育抑制用組成物を提供すること。
【解決手段】ポリウレタン樹脂を含む塗膜を下地に形成し、前記下地における雑草の生育を抑制する雑草生育抑制工法であって、前記ポリウレタン樹脂は、ポリイソシアネート及びポリオールを含むモノマーを重合して成るものであり、前記ポリイソシアネートは、(A1)MDI(A2)ポリメリックMDI(A3)カルボジイミド変性MDI(A4)水素添加MDI(A5)2価又は多価アルコールで前記(A1)〜(A4)のいずれかを変性した化合物から成る群から選ばれる1種以上であるとともに、前記ポリオールは、(B1)ヒマシ油(B2)変性ヒマシ油(B3)ポリブタジエン系ポリオール(B4)ポリテトラメチレングリコールから成る群から選ばれる1種以上であることを特徴とする雑草生育抑制工法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、高速道路、国道、県道等の道路、それらに併設されている歩道、中央分離帯、駐車場等における端部、境界面、クラック等に発生する雑草の発生、生育を抑制する雑草生育抑制工法及び雑草生育抑制用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
上述した各施設に発生する雑草は、景観を損なうのみならず、通行車両の視界を著しく遮り、安全走行や歩行を妨げる。また、雑草の根は、アスファルト舗装を持ち上げたり、ひび割れ、破壊等を生じさせ、放置しておけば次第に被害が大きくなってしまう。よって、各施設の管理当局は、雑草の除去を行わざるを得ないが、その方法は多くの場合、人海戦術による除草であり、多大の労力と経費とを要する。
【0003】
また、歩道端部の雑草を除去した後、プライマーを塗布し、さらに、定型材料(例えば、幅約20cm前後、2〜3mm長のアスファルトシート)をガスバーナーで加熱溶融させ、圧着して被覆する方法が試みられている。
【0004】
しかしながら、この方法は、施工時にガスバーナーによるアスファルトシートの加熱溶融を行う必要があるため、火気使用による作業者の火傷、悪臭の発生等、種々の問題点がある。さらに、上記の方法は、シート被覆材を用いる場合特有の問題点、すなわち、
(1)下地の凹凸部、不陸部、縁石とアスファルト歩道界面との間の隙間等への充填が不可能であること
(2)電柱や役物周りへの対応が難しく、施工後のシート面に浮き等が生じ、その部分においてシート被覆部が剥離したり、雑草が再発生すること
(3)シート被覆部と歩道界面との間に2〜3mmの段差が生じ、この段差部に泥、砂等の土砂、ゴミが集まり、そこから雑草が再発生すること
がある。
【0005】
そこで、道路の中央分離帯の表面や側壁に、二液型ウレタンエラストマーをスプレー吹き付けすることで皮膜を形成し、雑草の発生を防止する技術が提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平6−316908号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、一般的なポリウレタン樹脂は、イソシアネート成分が下地の水分と反応して炭酸ガスを発生し、硬化塗膜に気泡や発泡が生じてしまう。この気泡や発泡は、塗膜の外観を見苦しくすることに加えて、塗膜の耐水性や耐久性を低下させてしまい、雑草の再発生の原因となる。
【0007】
本発明は以上の点に鑑み成されたものであり、下地の水分に影響されにくい塗膜を形成し、雑草の生育を抑制できる雑草生育抑制工法及び雑草生育抑制用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)請求項1の発明は、
ポリウレタン樹脂を含む塗膜を下地に形成し、前記下地における雑草の生育を抑制する雑草生育抑制工法であって、
前記ポリウレタン樹脂は、ポリイソシアネート及びポリオールを含むモノマーを重合して成るものであり、
前記ポリイソシアネートは、
(A1)MDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)
(A2)ポリメリックMDI(ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート)
(A3)カルボジイミド変性MDI
(A4)水素添加MDI
(A5)2価又は多価アルコールで前記(A1)〜(A4)のいずれかを変性した化合物
から成る群から選ばれる1種以上であるとともに、
前記ポリオールは、
(B1)ヒマシ油
(B2)変性ヒマシ油
(B3)ポリブタジエン系ポリオール
(B4)ポリテトラメチレングリコール
から成る群から選ばれる1種以上であることを特徴とする雑草生育抑制工法を要旨とする。
【0009】
本発明の雑草生育抑制工法により形成される塗膜は、上記の組成を有することにより、下地の水分に影響されにくく、発泡や気泡が生じにくい。よって、本発明の雑草生育抑制工法は、雑草の生育を抑制する効果が高い。
【0010】
前記(A5)における2価又は多価アルコールとしては、例えば、ポリプロピレングリコールやポリオール、ポリテトラメチレングリコール、各種ポリエステルポリオール、ヒマシ油類、ジプロピレングリコール、1,3ブチレングリコール、1,4ブタンジオール、1,6ヘキサンジオール等が挙げられる。
【0011】
本発明で用いるポリウレタン樹脂は、例えば、ポリオールを含む第1剤と、ポリイソシアネートを含む第2剤とを、使用時に混合する二液型であってもよいし、いわゆる一液型のものであってもよい。一液型のものとしては、例えば、前記ポリイソシアネートを構成要素とする、末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーと、前記ポリオールとを配合したものが挙げられる。これには、さらに、無機充填材、可塑剤、高沸点希釈剤、各種安定剤、消泡剤、合成ゼオライト系水分吸収剤(アルカリ金属又はアルカリ土類金属の結晶性含水アルミノ珪酸塩)、触媒等を配合することができる。
【0012】
また、別の一液型としては、上述した一液型の組成物からポリイソシアネート成分(例えばMDI系有機ポリイソシアネート)のみを除いた混合物を加熱脱水し、これにポリイソシアネート成分を添加、反応させて末端イソシアネート基含有一液型ポリウレタン樹脂組成物としたものが挙げられる。
(2)請求項2の発明は、
前記ポリウレタン樹脂を構成するモノマーとして、さらに、ポリアミンを含むことを特徴とする請求項1記載の雑草生育抑制工法を要旨とする。
【0013】
ポリアミンは、ポリウレタン樹脂の塗膜において、架橋作用、鎖延長作用、反応促進作用、硬化塗膜物性向上作用等を奏する。そのため、本発明により形成される塗膜は、硬化早さ、物性(強度)、耐久性が一層良好である。
【0014】
前記ポリアミンとしては、例えば、
(a)4,4‘ジアミノジフェニルメタン、3,3‘ジクロロ4,4‘ジアミノジフェニルメタン(以下、MOCAと称する)、それらの混合物等の有機ジアミン
(b)上記(a)の有機ジアミンを可塑剤やポリエーテルポリオール類に溶解さえせた常温液状アミン類
(c)3,5ジメチル2,4トルエンジアミン、3,5ジメチル2,6トルエンジアミン、3,5ジメチルチオ2,4トルエンジアミン、3,5ジメチルチオ2,6トルエンジアミン
(d)ポリエーテルポリオール又はポリテトラメチレングリコールの末端水酸基をアミノ基に置換した高分子量アミン類
(e)アニリン、ジエチルアミン、アンモニア、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等にプロピレンオキシド、エチレンオキシド等のアルキレンオキシド類を付加重合せしめた分子量200〜3000のアミンポリオール類
等が挙げられる。
(3)請求項3の発明は、
前記ポリウレタン樹脂は、前記ポリオール及び前記ポリアミンを含む第1剤と、前記ポリイソシアネートを含む第2剤とを混合して得られたものであり、
前記第1剤の全液状成分における前記ポリオールの重量比が50〜95重量%の範囲内であるとともに、
前記第1剤の全液状成分における前記ポリアミンの重量比が3〜20重量%の範囲内であることを特徴とする請求項2記載の雑草生育抑制工法を要旨とする。
【0015】
本発明の雑草生育抑制工法は、いわゆる二液型のポリウレタン樹脂を用いるので、ポリウレタン樹脂を塗布してから硬化するまでの硬化時間を一層短縮することができる。
第1剤の全液状成分における前記ポリオールの重量比が50〜95重量%の範囲内であることにより、ポリウレタン樹脂の塗膜は、下地に含まれる水分の影響を一層受けにくく、炭酸ガスの発生に起因する気泡や発泡が一層生じにくい。その結果、ポリウレタン樹脂の塗膜の耐水性、耐久性が一層向上する。
【0016】
また、第1剤の全液状成分における前記ポリアミンの重量比が3〜20重量%の範囲内であることにより、塗膜の硬化早さ、塗膜の物性(強度)、耐久性が一層良好になる。
前記ポリウレタン樹脂の可使時間(第1剤と前記第2剤とを混合した直後から、人力による攪拌、流し込み、塗布作業が可能である時間)は、3〜30分間であることが好ましく、5〜15分間であることが一層好ましい。可使時間が3分(5分)以上であることにより、混合塗布作業が容易になり、30分(15分)以下であることにより、必要な養生時間が長くなり過ぎることがない。可使時間は、第1剤と第2剤とを混合してから、B型粘度計で測定した粘度が10万mPa.sに達するまでの時間とすることができる。このときのB型粘度計の測定条件は、ローター:No4、回転数:6〜60rpm、液温:25℃、スケール:100gとすることができる。
【0017】
前記第1剤には、例えば、無機充填材として、炭酸カルシウム、クレー、セメント、消石灰、生石灰、水酸化アルミニウム、砂、酸化チタン、石膏、微粉シリカ等を配合することができる。これらを配合することは、硬化塗膜の改質や、チクソ化、耐久性、耐候性、経済性等の向上に有効である。
【0018】
また、前記第1剤には、例えば、塗膜の硬化を促進するための触媒を配合することができる。触媒としては、例えば、
(a)オクチル酸錫、ジブチル錫ラウレート、オクチル酸鉛、ビスマス等の金属触媒
(b)トリエチレンジアミン、テトラメチルヘキサンジアミン、N−メチルモルホリン、メチルイミダゾール、ジアザビシクロウンデセン等のアミン触媒やそれらのカルボン酸塩
(c)酢酸カリウム、酢酸ソーダ、オクチル酸カリウム、トリアジン類等のイソシアヌレート化触媒や第四アンモニウム塩類等
が挙げられる。
【0019】
触媒の配合量は、第1剤の全量を100重量部としたとき、0.001〜2重量部の範囲が好ましく、0.005〜1重量部の範囲が一層好ましい。
また、前記第1剤には、例えば、耐候性や耐熱性の更なる向上を目的として、酸化防止剤、光安定剤、耐熱性賦与剤、消泡剤(例えば、シリコン系消泡剤、鉱物油系消泡剤)、顔料等を配合することができる。
【0020】
前記第1剤の剤型は、粘度が数百〜数十万mPa・sの液状あるいはペースト状であることが好ましい。
前記第2剤には、例えば、作業性向上や難燃化を目的として、可塑剤、高沸点希釈剤、液状難燃剤等を配合することができる。配合する物質としては、ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート、ジイソノニルフタレート、アルキルホスフェート、各種ハロゲン化ホスフェート、塩素化パラフィン、二塩基酸ジメチルエステル、プロピレンカーボネート等が挙げられる。
【0021】
前記第2剤の剤型は、粘度が数百〜数万mPa・sの液状あるいはペースト状であることが好ましい。
前記第1剤と前記第2剤との配合比は、次のようにすることが好ましい。すなわち、第1剤中のポリオール及びポリアミンの合計当量と、第2剤中のイソシアネート当量との比率が、1:1〜1:0.5となる配合比が好ましく、1:1〜1:0.8となる配合比が一層好ましい。また、第1剤と第2剤との重量比は、100:10〜100:1000となる範囲が好ましく、100:20〜100:300となる範囲が一層好ましい。
(4)請求項4の発明は、
下地における雑草の生育を抑制する雑草生育抑制用組成物であって、
ポリイソシアネートと、
ポリオールと、を含み、
前記ポリイソシアネートは、
(A1)MDI
(A2)ポリメリックMDI
(A3)カルボジイミド変性MDI
(A4)水素添加MDI
(A5)2価又は多価アルコールで前記(A1)〜(A4)のいずれかを変性した化合物
から成る群から選ばれる1種以上であるとともに、
前記ポリオールは、
(B1)ヒマシ油
(B2)変性ヒマシ油
(B3)ポリブタジエン系ポリオール
(B4)ポリテトラメチレングリコール
から成る群から選ばれる1種以上であることを特徴とする雑草生育抑制用組成物を要旨とする。
【0022】
本発明の雑草生育抑制用組成物により形成される塗膜は、上記の組成を有することにより、下地の水分に影響されにくく、発泡や気泡が生じにくい。よって、本発明の雑草生育抑制用組成物は、雑草の生育を抑制する効果が高い。
【0023】
前記(A5)における2価又は多価アルコールとしては、例えば、ポリプロピレングリコールやポリオール、ポリテトラメチレングリコール、各種ポリエステルポリオール、ヒマシ油類、ジプロピレングリコール、1,3ブチレングリコール、1,4ブタンジオール、1,6ヘキサンジオール等が挙げられる。
【0024】
本発明の雑草生育抑制用組成物は、例えば、ポリオールを含む第1剤と、ポリイソシアネートを含む第2剤とを、使用時に混合するものであってもよいし、いわゆる一液型のものであってもよい。一液型のものとしては、例えば、前記ポリイソシアネートを構成要素とする、末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーと、前記ポリオールとを配合したものが挙げられる。これには、さらに、無機充填材、可塑剤、高沸点希釈剤、各種安定剤、消泡剤、合成ゼオライト系水分吸収剤(アルカリ金属又はアルカリ土類金属の結晶性含水アルミノ珪酸塩)、触媒等を配合することができる。
【0025】
また、別の一液型としては、上述した一液型の組成物からポリイソシアネート成分(例えばMDI系有機ポリイソシアネート)のみを除いた混合物を加熱脱水し、これにポリイソシアネート成分を添加、反応させて末端イソシアネート基含有一液型ポリウレタン樹脂組成物としたものが挙げられる。
(5)請求項5の発明は、
さらに、ポリアミンを含むことを特徴とする請求項4記載の雑草生育抑制用組成物を要旨とする。
【0026】
ポリアミンは、ポリウレタン樹脂の塗膜において、架橋作用、鎖延長作用、反応促進作用、硬化塗膜物性向上作用等を奏する。そのため、本発明の雑草生育抑制用組成物により形成される塗膜は、硬化早さ、物性(強度)、耐久性が一層良好である。
【0027】
前記ポリアミンとしては、例えば、請求項2に係る発明において用いられるものと、同様のものが挙げられる。
(6)請求項6の発明は、
前記雑草生育抑制用組成物は、前記ポリオール及び前記ポリアミンを含む第1剤と、前記ポリイソシアネートを含む第2剤とから成り、
前記第1剤の全液状成分における前記ポリオールの重量比が50〜95重量%の範囲内であるとともに、
前記第1剤の全液状成分における前記ポリアミンの重量比が3〜20重量%の範囲内であることを特徴とする請求項5記載の雑草生育抑制用組成物を要旨とする。
【0028】
本発明の雑草生育抑制用組成物は、いわゆる二液型のポリウレタン樹脂を用いるので、ポリウレタン樹脂を塗布してから硬化するまでの硬化時間を一層短縮することができる。
第1剤の全液状成分における前記ポリオールの重量比が50〜95重量%の範囲内であることにより、ポリウレタン樹脂の塗膜は、下地に含まれる水分の影響を一層受けにくく、炭酸ガスの発生に起因する気泡や発泡が一層生じにくい。その結果、ポリウレタン樹脂の塗膜の耐水性、耐久性が一層向上する。
【0029】
また、第1剤の全液状成分における前記ポリアミンの重量比が3〜20重量%の範囲内であることにより、塗膜の硬化早さ、塗膜の物性(強度)、耐久性が一層良好になる。
本発明の雑草生育抑制用組成物の可使時間は、3〜30分間であることが好ましく、5〜15分間であることが一層好ましい。可使時間が3分(5分)以上であることにより、混合塗布作業が容易になり、30分(15分)以下であることにより、必要な養生時間が長くなり過ぎることがない。
【0030】
本発明の雑草生育抑制用組成物における第1剤及び第2剤の添加成分、粘度、配合比等は、例えば、請求項3に係る発明における第1剤及び第2剤と同様とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
本発明を実施例に基づいて説明する。
【実施例1】
【0032】
a)雑草生育抑制用組成物の調製
(i)第1剤の調製
まず、下記の成分を10分間予備混合した。
【0033】
変性ヒマシ油系ポリオール:300重量部
平均分子量210のアミンポリオール:70重量部
分子量1000のポリプロピレングリコール:45重量部
ジイソノニルフタレート:90重量部
消泡剤、カーボン、触媒:少量
次に、上記の混合物に、さらに、炭酸カルシウム492重量部を加え、合計1000重量部とし、ディスパー及びホモジナイザーで分散させ、第1剤を得た。この第1剤は、25℃での粘度が約11000Pa・sである液状組成物であり、水酸基当量は621であった。
【0034】
(ii)第2剤の調製
カルボジイミド変性MDIとポリメリックMDIとを1:1の重量比で混合したものを第2剤とした。この第2剤の遊離イソシアネート含量は30重量%であり、25℃における粘度は約100mPa・sであった。
【0035】
b)雑草生育抑制用組成物の評価
(i)可使時間の評価
第1剤100重量部と第2剤25重量部とを混合し、この混合物の粘度を、B型粘度計を用いて継続的に測定した。測定条件は、ローター:No4、回転速度:6rpm、温度:25℃とした。可使時間(混合直後から、粘度10万mPa・sに達するまでの時間)は15分であった。なお、上記混合物におけるNCO/OH当量比は、1/0.90であった。
【0036】
(ii)硬化塗膜の物性の評価
第1剤100重量部と第2剤25重量部とを混合し、この混合物を、予め離型剤で処理したアルミ板上に流し込み、2〜3mmの厚さで塗布し、塗膜を形成した。塗布後、室温で7日間養生してから、塗膜を脱型し、JIS A6021に準じて硬化塗膜物性を測定した。その結果を表1に示す。
【0037】
【表1】

【0038】
表1に示すように、塗膜の強度は非常に高かった。
また、上記塗膜を、水、温水、セメント分散液、及び塩酸水溶液に浸漬する浸漬試験を行ったが、塗膜に異常は認められなかった。
【0039】
(iii) 硬化塗膜の接着性の評価
第1剤100重量部と第2剤25重量部とを混合した混合物を、スレート板に塗布したときのH型接着試験を、JIS A5758に準じて行った。その結果、上記表1に示すとおり、17kgf/cm2という高い接着力を示した。また、このH型供試体を水、セメント飽和水溶液、80℃熱水に浸漬した後で接着試験を行ったところ、接着力は良好であった。
【0040】
c)雑草生育抑制工法の施工
まず、歩道端部であって、雑草が生育しているところの雑草を刈り、雑草の根を除去した。以下、この部分を「下地」とする。ただし、根を完全に除去することはできず、根の一部は地中に残存した。
【0041】
次に、第1剤5.6Kgに第2剤1.4Kgを加え、容積10Lのポリ缶に入れた。そして、電動式ハンドミキサーを用いて、約1分間、均一に混ざるように混合した。この混合物を、下地のうち、幅15cm×長さ9mの領域に流し込み、下地を被覆する塗膜を形成した。さらに、硬化前の塗膜の上に、ガラスビーズ入黒色硅砂(ガラスビーズ:硅砂比=1:9(重量比))を約10Kg散布した。このガラスビーズ入黒色硅砂の散布により、ノンスリップ、艶消し仕上げとなる。
【0042】
形成された塗膜は、複雑な下地の形状にも良く追従し、浸透硬化していた。すなわち、コンクリート縁石と歩道との境界面における隙間や、雑草の根を除去した跡の凹部にもよく浸透硬化し、良好に接着していた。また、塗布部と未塗布部(歩道)との界面にも殆ど段差が生じていなかった。さらに、形成された塗膜は、弾力性に優れ、下地の振動やムーブメントにも良く追従することができる。また、形成された塗膜は、全体として気密でフラット、しかもノンスリップ艶消仕上がりとなっており、気泡や発泡は生じていなかった。
【0043】
上記雑草生育抑制工法の施工は高温多湿時であったが、施工から1年経過後も雑草の発生はなかった。このことは、形成された塗膜が下地(縁石、アスファルト歩道を含む)と完全に密着し、気密性、遮水性を有し、雑草の発育に必要な空気、水、光、土砂等を遮断した状態を長期間維持できること(遮水性、気密性、遮光性に優れること)を示している。
【0044】
また、形成された塗膜には、施工から1年経過後も、表面のひび割れ、クラック、剥がれ、変色等の不具合は全く生じず、施工直後の状態を維持していた。すなわち、塗膜は、耐水性、耐候性、耐久性において非常に優れていた。
【0045】
本実施例の雑草生育抑制工法は、施工が簡便であり、施工後のメンテナンスも容易であり、作業安全面、環境面でも優れている。従って、既設、新設の歩道端部などに生育繁殖する雑草類の発生防止ないし抑制に極めて有効である。
【実施例2】
【0046】
a)雑草生育抑制用組成物の調製
(i)第1剤の調製
下記の成分を混合し、ディスパー及びホモジナイザーを用いて分散させた。
【0047】
ポリブタジエン系ポリオール:230重量部
変性ヒマシ油系ジオール:230重量部
平均分子量210のアミンポリオール:30重量部
炭酸カルシウム:340重量部
表面脂肪酸処理炭酸カルシウム:160重量部
吸湿剤である合成ゼオライト:30重量部
シリコン系消泡剤、アミン系触媒、耐熱性賦与剤、安定剤:少量
分散後、60〜70℃で脱泡処理し、ペースト状の第1剤を得た。この第1剤の水酸基当量は850であった。
【0048】
(ii)第2剤の調製
カルボジイミド変性MDI75重量部をフタル酸ジイソノニル(DINP)25重量部で希釈したものを第2剤とした。この第2剤の遊離イソシアネート含量は21.5重量%であった。
【0049】
b)雑草生育抑制用組成物の評価
(i)可使時間の評価
第1剤100重量部と第2剤25重量部とを混合し、前記実施例1と同様にして可使時間を測定したところ、可使時間は5分間であった。なお、上記混合物におけるNCO/OH当量比は、1/0.92であり、ゲルタイムは8分であった。
【0050】
(ii)硬化塗膜の物性の評価
第1剤100重量部と第2剤25重量部とを混合し、この混合物を、テフロン(登録商標)板上に流し込み、2〜3mmの厚さで塗布し、塗膜を形成した。塗布後、室温で7日間養生してから、塗膜を脱型し、JIS A6021に準じて硬化塗膜物性を測定した。その結果を上記表1に示す。
【0051】
表1に示すように、塗膜の強度は非常に高かった。
また、上記塗膜を、水、温水、セメント分散液、及び塩酸水溶液に浸漬する浸漬試験を行ったが、塗膜に異常は認められなかった。
【0052】
(iii) 硬化塗膜の接着性の評価
第1剤100重量部と第2剤25重量部とを混合した混合物を、スレート板に塗布したときのH型接着試験を、JIS A5758に準じて行った。その結果、上記表1に示すとおり、9.3kgf/cm2という高い接着力を示した。また、このH型供試体を水、セメント飽和水溶液、80℃熱水に浸漬した後で接着試験を行ったところ、接着力は良好であった。
【0053】
c)雑草生育抑制工法の施工
まず、前記実施例1と同様に、歩道端部であって、雑草が生育しているところの雑草を刈り、雑草の根を除去して、下地を形成した。
【0054】
次に、第1剤4.8Kgに第2剤1.2Kgを加え、容積10Lのポリバットに入れた。そして、電動式ハンドミキサーを用いて、約1分間、均一に混ざるように混合した。この混合物を、下地のうち、幅15cm×長さ7mの領域に流し込んだ。
【0055】
流し込んだ混合物は半ペースト状であり、歩道の傾斜によってもほとんど流されず、コンクリート縁石と歩道との界面における隙間や雑草引き抜き跡の凹凸部にも、2〜3mm厚の塗膜を形成することができた。硬化前の塗膜の上から、ガラスビーズ入黒色硅砂(ガラスビーズ:硅砂比=1:9(重量比))を約10Kg散布した。このガラスビーズ入黒色硅砂の散布により、ノンスリップ、艶消し仕上げとなる。
【0056】
本実施例2で形成された塗膜も、前記実施例1と同様に、複雑な下地の形状にも良く追従し、浸透硬化していた。すなわち、コンクリート縁石と歩道との境界面における隙間や、雑草の根を除去した跡の凹部にもよく浸透硬化し、良好に接着していた。また、塗布部と未塗布部(歩道)との界面にも殆ど段差が生じていなかった。さらに、形成された塗膜は、弾力性に優れ、下地の振動やムーブメントにも良く追従することができる。また、形成された塗膜は、全体として気密でフラット、しかもノンスリップ艶消仕上がりとなっており、気泡や発泡は生じていなかった。
【0057】
また、施工から1年経過後も雑草の発生はなかった。このことは、形成された塗膜が下地(縁石、アスファルト歩道を含む)と完全に密着し、気密性、遮水性を有し、雑草の発育に必要な空気、水、光、土砂等を遮断した状態を長期間維持できること(遮水性、気密性、遮光性に優れること)を示している。
【0058】
また、形成された塗膜には、施工から1年経過後も、表面のひび割れ、クラック、剥がれ、変色等の不具合は全く生じず、施工直後の状態を維持していた。すなわち、塗膜は、耐水性、耐候性、耐久性において非常に優れていた。
【0059】
本実施例の雑草生育抑制工法は、施工が簡便であり、施工後のメンテナンスも容易であり、作業安全面、環境面でも優れている。従って、既設、新設の歩道端部などに生育繁殖する雑草類の発生防止ないし抑制に極めて有効である。
【実施例3】
【0060】
a)雑草生育抑制用組成物の調製
(i)第1剤の調製
下記の成分を容量1Lのポリカップに入れ、ディスパー及びホモジナイザーを用いて分散させた。
【0061】
平均分子量1000のポリテトラメチレングリコール:660重量部
1,4ブチレングリコール:30重量部
ジイソノニルフタレート:100重量部
炭酸カルシウム粉体:205重量部
アミン系触媒:4重量部
黒色トナー:1重量部
シリコン系消泡剤:0.2重量部
酸化防止剤:0.5重量部
分散後、加熱脱水して、暗灰色粘稠の第1剤が得られた。この第1剤の水酸基当量は504であった。
【0062】
(ii)第2剤の調製
以下の成分を混合し、80℃で1.5時間反応させ、ウレタンプレポリマーから成る第2剤を得た。
【0063】
カルボジイミド変性MDI:56重量部
4,4‘ジフェニルメタンジイソシアネート:515重量部
平均分子量1000のポリテトラメチレングリコール:429重量部
この第2剤の遊離イソシアネート含量は15重量%である。
【0064】
b)雑草生育抑制用組成物の評価
(i)可使時間の評価
第1剤100重量部と第2剤60重量部とを混合し、前記実施例1と同様にして可使時間を測定したところ、可使時間は8分間であった。なお、上記混合物におけるNCO/OH当量比は、1/0.93であった。
【0065】
(ii)硬化塗膜の物性の評価
第1剤100重量部と第2剤60重量部とを混合し、この混合物を、予め離型剤で処理したアルミ板上に流し込み、2〜3mmの厚さで塗布し、塗膜を形成した。塗布後、室温で7日間養生してから、塗膜を脱型し、JIS A6021に準じて硬化塗膜物性を測定した。その結果を上記表1に示す。
【0066】
表1に示すように、塗膜の強度は非常に高かった。
また、上記塗膜を、水、温水、セメント分散液、及び塩酸水溶液に浸漬する浸漬試験を行ったが、塗膜に異常は認められなかった。
【0067】
(iii) 硬化塗膜の接着性の評価
第1剤100重量部と第2剤60重量部とを混合した混合物を、スレート板に塗布したときのH型接着試験を、JIS A5758に準じて行った。その結果、上記表1に示すとおり、16.1kgf/cm2という高い接着力を示した。また、このH型供試体を水、セメント飽和水溶液、80℃熱水に浸漬した後で接着試験を行ったところ、接着力は良好であった。
【0068】
c)雑草の生育を抑制する抑制工法
まず、前記実施例1と同様に、歩道端部であって、雑草が生育しているところの雑草を刈り、雑草の根を除去して、下地を形成した。
【0069】
次に、第1剤1000gと第2剤600gとを均一に混合し、この混合物を、下地のうち、幅15cm×長さ2mの領域に、金ゴテで平滑に塗布した。さらに、その上から、ガラスビーズ入黒色硅砂(ガラスビーズ:硅砂比=1:9(重量比))を約3Kg散布した。このガラスビーズ入黒色硅砂の散布により、ノンスリップ、艶消し仕上げとなる。
【0070】
本実施例3で形成された塗膜も、前記実施例1と同様に、複雑な下地の形状にも良く追従し、浸透硬化していた。すなわち、コンクリート縁石と歩道との境界面における隙間や、雑草の根を除去した跡の凹部にもよく浸透硬化し、良好に接着していた。また、塗布部と未塗布部(歩道)との界面にも殆ど段差が生じていなかった。さらに、形成された塗膜は、弾力性に優れ、下地の振動やムーブメントにも良く追従することができる。また、形成された塗膜は、全体として気密でフラット、しかもノンスリップ艶消仕上がりとなっており、気泡や発泡は生じていなかった。
【0071】
また、施工から1年経過後も雑草の発生はなかった。このことは、形成された塗膜が下地(縁石、アスファルト歩道を含む)と完全に密着し、気密性、遮水性を有し、雑草の発育に必要な空気、水、光、土砂等を遮断した状態を長期間維持できること(遮水性、気密性、遮光性に優れること)を示している。
【0072】
また、形成された塗膜には、施工から1年経過後も、表面のひび割れ、クラック、剥がれ、変色等の不具合は全く生じず、施工直後の状態を維持していた。すなわち、塗膜は、耐水性、耐候性、耐久性において非常に優れていた。
【0073】
本実施例の雑草生育抑制工法は、施工が簡便であり、施工後のメンテナンスも容易であり、作業安全面、環境面でも優れている。従って、既設、新設の歩道端部などに生育繁殖する雑草類の発生防止ないし抑制に極めて有効である。
【実施例4】
【0074】
a)雑草生育抑制用組成物の調製
(i)第1剤の調製
下記の成分を容量1Lのポリカップに入れ、ディスパー及びホモジナイザーを用いて分散させた。
【0075】
ポリブタジエン系ポリオール(R−45HT、出光石油化学社製):350重量部
硫黄含有ジアミン(エタキュアー300、イハラケミカル工業社製):70.4重量部
ポリプロピレントリオール4000:140重量部
ジイソノニルフタレート:133重量部
炭酸カルシウム粉体:302重量部
アミン系触媒:3重量部
黒色トナー:1重量部
シリコン系消泡剤:0.2重量部
酸化防止剤:0.4重量部
分散後、加熱脱水して、ダークグレー色粘稠の第1剤が得られた。この第1剤の水酸基当量は950であった。
【0076】
(ii)第2剤の調製
以下の成分を混合し、80℃で1.5時間反応させ、ウレタンプレポリマーから成る第2剤を得た。
【0077】
カルボジイミド変性MDI:397重量部
平均分子量3000のポリプロピレングリコール:453重量部
ジイソノニルフタレート:150重量部
この第2剤の遊離イソシアネート含量は10重量%である。
【0078】
b)雑草の生育抑制用組成物の評価
(i)可使時間の評価
第1剤100重量部と第2剤50重量部とを混合し、前記実施例1と同様にして可使時間を測定したところ、可使時間は4分間であった。なお、上記混合物におけるNCO/OH当量比は、1/0.88であった。
【0079】
(ii)硬化塗膜の物性の評価
第1剤100重量部と第2剤50重量部とを混合し、この混合物を、予め離型剤で処理したアルミ板上に流し込み、2〜3mmの厚さで塗布し、塗膜を形成した。塗布後、室温で7日間養生してから、塗膜を脱型し、JIS A6021に準じて硬化塗膜物性を測定した。その結果を上記表1に示す。
【0080】
表1に示すように、塗膜の強度は非常に高かった。
また、上記塗膜を、水、温水、セメント分散液、及び塩酸水溶液に浸漬する浸漬試験を行ったが、塗膜に異常は認められなかった。
【0081】
(iii) 硬化塗膜の接着性の評価
第1剤100重量部と第2剤50重量部とを混合した混合物を、スレート板に塗布したときのH型接着試験を、JIS A5758に準じて行った。その結果、上記表1に示すとおり、14.3kgf/cm2という高い接着力を示した。また、このH型供試体を水、セメント飽和水溶液、80℃熱水に浸漬した後で接着試験を行ったところ、接着力は良好であった。
【0082】
c)雑草生育抑制工法の施工
まず、前記実施例1と同様に、歩道端部であって、雑草が生育しているところの雑草を刈り、雑草の根を除去して、下地を形成した。
【0083】
次に、第1剤1000gと第2剤500gとを均一に混合し、この混合物を、下地のうち、幅15cm×長さ2mの領域に、金ゴテで平滑に塗布した。さらに、その上から、ガラスビーズ入黒色硅砂(ガラスビーズ:硅砂比=1:9(重量比))を約3Kg散布した。このガラスビーズ入黒色硅砂の散布により、ノンスリップ、艶消し仕上げとなる。
【0084】
本実施例4で形成された塗膜も、前記実施例1と同様に、複雑な下地の形状にも良く追従し、浸透硬化していた。すなわち、コンクリート縁石と歩道との境界面における隙間や、雑草の根を除去した跡の凹部にもよく浸透硬化し、良好に接着していた。また、塗布部と未塗布部(歩道)との界面にも殆ど段差が生じていなかった。さらに、形成された塗膜は、弾力性に優れ、下地の振動やムーブメントにも良く追従することができる。また、形成された塗膜は、全体として気密でフラット、しかもノンスリップ艶消仕上がりとなっており、気泡や発泡は生じていなかった。
【0085】
また、施工から1年経過後も雑草の発生はなかった。このことは、形成された塗膜が下地(縁石、アスファルト歩道を含む)と完全に密着し、気密性、遮水性を有し、雑草の発育に必要な空気、水、光、土砂等を遮断した状態を長期間維持できること(遮水性、気密性、遮光性に優れること)を示している。
【0086】
また、形成された塗膜には、施工から1年経過後も、表面のひび割れ、クラック、剥がれ、変色等の不具合は全く生じず、施工直後の状態を維持していた。すなわち、塗膜は、耐水性、耐候性、耐久性において非常に優れていた。
【0087】
本実施例の雑草生育抑制工法は、施工が簡便であり、施工後のメンテナンスも容易であり、作業安全面、環境面でも優れている。従って、既設、新設の歩道端部などに生育繁殖する雑草類の発生防止ないし抑制に極めて有効である。
(比較例1)
a)雑草生育抑制用組成物の調製
(i)第1剤の調製
まず、下記の成分を混合し、加熱溶解した。
【0088】
分子量5000のポリオキシプロピレン−エチレントリオール(エチレンオキシド末端10%チップ):600重量部
分子量2000のポリオキシプロピレングリコール:294重量部
可塑剤としての20%ジオクチルフタレート:300重量部
MOCA:10重量部
次に、下記の成分をさらに加えて総量を2000重量部とし、ディスパー及びホモジナイザーを用いて分散した。
【0089】
炭酸カルシウム:766重量部
触媒としての20%オクチル酸鉛:10重量部
安定剤としてのノクラックNBC:10重量部
分散後、100〜105℃で1時間加熱減圧脱水してから、50℃まで冷却して第1剤を得た。この第1剤の水酸基当量は2744であった。
【0090】
(ii)第2剤の調製
まず、下記2成分の混合液を調製した。
分子量5000のポリオキシプロピレントリオール:700重量部
分子量2000のポリオキシプロピレングリコール:300重量部
次に、この混合液に、さらに
TDI―80(日本ポリウレタン工業社製):146重量部
を加え、100℃で2時間反応させて、ウレタンプレポリマーから成る第2剤を得た。この第2剤の末端遊離イソシアネート含量は3.30重量%であった。
【0091】
b)雑草生育抑制工法の施工
まず、前記実施例1と同様に、歩道端部であって、雑草が生育しているところの雑草を刈り、雑草の根を除去して、下地を形成した。
【0092】
次に、第1剤1000gと第2剤500gとを均一に混合し、この混合物を、下地のうち、幅15cm×長さ2mの領域に流し込み、金ゴテで平滑に塗布した。そして、硬化前の塗膜の上から、ガラスビーズ入黒色硅砂(ガラスビーズ:硅砂比=1:9(重量比))を約1Kg散布した。このガラスビーズ入黒色硅砂の散布により、ノンスリップ、艶消し仕上げとなる。
【0093】
上記の塗膜塗膜は、硬化したとき、下地の水分の影響により、発泡状になっており、仕上がり状態が不良であった。このように仕上がりが不良であることから、雑草の再発生が予想できる。
(比較例2)
a)雑草の生育抑制用組成物の調製
(i)第1剤の調製
まず、下記の成分を混合した。
【0094】
分子量3000のポリオキシプロピレントリオール:350重量部
分子量1000のポリオキシプロピレングリコール:120重量部
水酸基価534mgKOH/gのアミンポリオール:10重量部
可塑剤としてのジオクチルフタレート:170重量部
次に、下記の成分をさらに加えて総量を1000重量部とし、ディスパー及びホモジナイザーを用いて分散した。
【0095】
炭酸カルシウム:325重量部
触媒としての20%オクチル酸鉛:10重量部
安定剤としてのノクラックNBC:10重量部
シリコン系消泡剤:5重量部
分散後、100〜105℃で1時間加熱減圧脱水してから、50℃まで冷却して第1剤を得た。この第1剤の水酸基当量は1460であった。
【0096】
(ii)第2剤の調製
まず、下記3成分の混合液を調製した。
分子量5000のポリオキシプロピレントリオール:470重量部
分子量2000のポリオキシプロピレングリコール:500重量部
1,4ブチレングリコール:30重量部
次に、この混合液に、さらに
TDI―80(日本ポリウレタン工業社製):291重量部
を加え、100℃で2時間反応させて、ウレタンプレポリマーから成る第2剤を得た。この第2剤の末端遊離イソシアネート含量は6重量%であった。
【0097】
b)雑草の生育を抑制する抑制工法
まず、前記実施例1と同様に、歩道端部であって、雑草が生育しているところの雑草を刈り、雑草の根を除去して、下地を形成した。
【0098】
次に、第1剤1000gと第2剤500gとを均一に混合し、この混合物を、下地のうち、幅15cm×長さ2mの領域に流し込み、金ゴテで平滑に塗布した。そして、硬化前の塗膜の上から、ガラスビーズ入黒色硅砂(ガラスビーズ:硅砂比=1:9(重量比))を約1Kg散布した。このガラスビーズ入黒色硅砂の散布により、ノンスリップ、艶消し仕上げとなる。
【0099】
上記の塗膜塗膜は、硬化したとき、下地の水分の影響により、発泡状になっており、仕上がり状態が不良であった。このように仕上がりが不良であることから、雑草の再発生が予想できる。
【0100】
尚、本発明は前記実施の形態になんら限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
例えば、前記実施例1〜4において、ポリウレタン樹脂の塗布は、二液混合吐出ポンプを用いる方法でもよい。このすることにより、施工の効率化、省人化を図ることができる。
【0101】
また、ポリウレタン樹脂は、一液型のものを用いてもよい。この場合、第1剤と第2剤とを混合する工程が不要になるので、施工が一層容易になる。ただし、硬化時間を短縮できるという点では、二液型の方が優れている。
【0102】
また、ノンスリップ仕上げのために散布する成分は、各種粒径の硅砂、ガラスビーズ、ゴムチップ、及びそれらの混合物を用いることができる。これらの成分の使用方法としては、ポリウレタン樹脂の塗膜が硬化する前に散布し、塗膜が硬化してから、未接着分をほうき等で掃き集め、回収する方法がある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリウレタン樹脂を含む塗膜を下地に形成し、前記下地における雑草の生育を抑制する雑草生育抑制工法であって、
前記ポリウレタン樹脂は、ポリイソシアネート及びポリオールを含むモノマーを重合して成るものであり、
前記ポリイソシアネートは、
(A1)MDI
(A2)ポリメリックMDI
(A3)カルボジイミド変性MDI
(A4)水素添加MDI
(A5)2価又は多価アルコールで前記(A1)〜(A4)のいずれかを変性した化合物
から成る群から選ばれる1種以上であるとともに、
前記ポリオールは、
(B1)ヒマシ油
(B2)変性ヒマシ油
(B3)ポリブタジエン系ポリオール
(B4)ポリテトラメチレングリコール
から成る群から選ばれる1種以上であることを特徴とする雑草生育抑制工法。
【請求項2】
前記ポリウレタン樹脂を構成するモノマーとして、さらに、ポリアミンを含むことを特徴とする請求項1記載の雑草生育抑制工法。
【請求項3】
前記ポリウレタン樹脂は、前記ポリオール及び前記ポリアミンを含む第1剤と、前記ポリイソシアネートを含む第2剤とを混合して得られたものであり、
前記第1剤の全液状成分における前記ポリオールの重量比が50〜95重量%の範囲内であるとともに、
前記第1剤の全液状成分における前記ポリアミンの重量比が3〜20重量%の範囲内であることを特徴とする請求項2記載の雑草生育抑制工法。
【請求項4】
下地における雑草の生育を抑制する雑草生育抑制用組成物であって、
ポリイソシアネートと、
ポリオールと、を含み、
前記ポリイソシアネートは、
(A1)MDI
(A2)ポリメリックMDI
(A3)カルボジイミド変性MDI
(A4)水素添加MDI
(A5)2価又は多価アルコールで前記(A1)〜(A4)のいずれかを変性した化合物
から成る群から選ばれる1種以上であるとともに、
前記ポリオールは、
(B1)ヒマシ油
(B2)変性ヒマシ油
(B3)ポリブタジエン系ポリオール
(B4)ポリテトラメチレングリコール
から成る群から選ばれる1種以上であることを特徴とする雑草生育抑制用組成物。
【請求項5】
さらに、ポリアミンを含むことを特徴とする請求項4記載の雑草生育抑制用組成物。
【請求項6】
前記雑草生育抑制用組成物は、前記ポリオール及び前記ポリアミンを含む第1剤と、前記ポリイソシアネートを含む第2剤とから成り、
前記第1剤の全液状成分における前記ポリオールの重量比が50〜95重量%の範囲内であるとともに、
前記第1剤の全液状成分における前記ポリアミンの重量比が3〜20重量%の範囲内であることを特徴とする請求項5記載の雑草生育抑制用組成物。

【公開番号】特開2008−267036(P2008−267036A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−113080(P2007−113080)
【出願日】平成19年4月23日(2007.4.23)
【出願人】(599157996)ウレタン技研工業株式会社 (3)
【出願人】(507134035)松岡建設株式会社 (1)
【出願人】(507133337)名阪商事株式会社 (1)
【Fターム(参考)】