説明

電位治療器

【課題】電位治療後に不快感が残らない電位治療器を提供すること。
【解決手段】電位治療器は、交流電源に接続される電位発生器と、該電位発生器に接続され、人体に接触して人体に電位を与える出力端子とを具備する。そして、前記出力端子に接続されるアース線と、前記出力端子に直列に接続され、該出力端子に負電圧を印加する直流電源と、前記出力端子に接続され、該出力端子を前記電位発生器に接続する場合と前記アース線に接続する場合を切り替える切換スイッチとを具備することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電位治療器に関する。
【背景技術】
【0002】
電位治療器は、人体に1000V〜数千Vの電圧をかけることにより、頭痛、肩こり、慢性便秘等に対する治療効果を発揮するもので、家庭用の交流100V電源を用いるものも市販されている。マット状の電極を組み込んだマットタイプのものも市販されており、使用者は、マットの上に横たわり、高電圧をかける。あるいは、マットを敷いてその上に足だけを乗せて使用する(特許文献1、2)。
【0003】
一方、本願共同発明者は先に、人体をアースすると共に直流の負電圧をかけることによりリラクゼーション効果をもたらすことができるリラクゼーション補助装置を発明している(特許文献3)。
【0004】
【特許文献1】特開2005-21465号公報
【特許文献2】特開2000-42123号公報
【特許文献3】国際公開公報WO02/28464
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の電位治療器では、使用後、電圧を切った後に湯当りのような不快感が残る場合があることが知られている。
【0006】
本発明の目的は、電位治療後に不快感が残らない電位治療器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明者は、鋭意研究の結果、電位治療後に、人体に直流の負電圧をかけながら人体をアースすることにより、電位治療後の不快感の問題を回避できることを見出し、かつ、スイッチを切り替えることにより電位治療器の出力端子に直流の負電圧をかけながらアースできるように構成すれば、ユーザーは電位治療後も引続きそのままの体勢でアース処理を受けることができ、利便性が高いのみならず、装置の複雑化や大型化を最小化できることに想到し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、交流電源に接続される電位発生器と、該電位発生器に接続され、人体に接触して人体に電位を与える出力端子とを具備する電位治療器において、前記出力端子に接続されるアース線と、前記出力端子に直列に接続され、該出力端子に負電圧を印加する直流電源と、前記出力端子に接続され、該出力端子を前記電位発生器に接続する場合と前記アース線に接続する場合を切り替える切換スイッチとを具備することを特徴とする電位治療器を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、ユーザーが引続き同じ体勢で、電位治療後の不快感を防止する処置を受けることができる電位治療器が初めて提供された。本発明の電位治療器を用いれば、ユーザーは、電位治療中と同じ体勢で、不快感防止処置を受けることができるので利便性が高く、また、切換スイッチにより電位治療器の出力端子をそのまま不快感防止処置のためのアース線として利用するので、装置の複雑化や大型化を最小化できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
上記の通り、本発明の電位治療器は、交流電源に接続される電位発生器と、該電位発生器に接続され、人体に接触して人体に電位を与える出力端子とを具備する公知の電位治療器を基本とし、さらに前記出力端子に接続されるアース線と、前記出力端子に直列に接続され、該出力端子に負電圧を印加する直流電源と、前記出力端子に接続され、該出力端子を前記電位発生器に接続する場合と前記アース線に接続する場合を切り替える切換スイッチとを具備することを特徴とするものである。
【0011】
アース線は、前記直流電源を介して前記出力端子に接続されることが好ましい。また、アース線は、家庭用の交流電源のアース側に接続するようにすることでより利便性が高まり好ましい。すなわち、家庭用の交流電源の一方の端子はアース線であるが、この交流電源のアース線に電位治療器の出力端子を接続することにより該出力端子をアースすることが利便性が高く好ましい。交流電源の2本の端子のいずれがアース線であるかは、周知のアース検出回路(例えば特許文献3に記載)を組み込むことにより容易に検出することができる。アース端子への接続は、切換スイッチにより手動で行なうようにしてもよいし、アース検出回路と切換スイッチを連動させて、自動的にアース端子に接続されるようにしてもよい。また、前記直流電源と前記出力端子の間に抵抗が配置されていることが、電気ショックを防止する上で好ましい。抵抗の大きさは、100Ωないし1kΩ程度が適当である。抵抗を、1kΩ程度の可変抵抗器として、大きな抵抗値から徐々に小さな抵抗値に下げていくことも可能である。
【0012】
負電圧は、電池によりかけることが便利であるが、家庭用電源からインバーターにより直流電圧を発生させてもよい。負電圧の大きさは、電位治療後の不快感を防止する観点から、−12Vないし−27Vが好ましく、−14Vないし−22Vがさらに好ましい。
【0013】
電位治療からアース及び負電圧印加処理(以下、便宜的に「アース処理」)に切り替える切換スイッチは、手動式のものでもよいし、タイマーと連動させて所定の時間経過後に自動的にアース処理に切り替わるようにしてもよい。
【0014】
上記のような、電位治療器の出力端子をアースするアース処理手段を具備することを除き、他の構成は従来の電位治療器と同様であってよい。家庭用の交流電源を電源として用いるものが利便性が高くて好ましい。また、出力端子としては、金属繊維やプラスチック繊維で形成した網状のシートや、これをマットに組み込んだもの等を好ましく用いることができる。電圧は、通常、1000Vないし数千Vである。タイマーを組み込んで、電位治療後、電圧を数分〜十数分かけて徐々に0Vまで下げていく構成としたものが好ましい。
【0015】
使用時には、まず、通常の方法、例えば、マット状の出力端子の場合には、その上に横たわったり、足を置いたりして、電位治療を行なう。電位治療後、好ましくは、徐々に電圧を0まで下げた後、出力端子をアース処理側に切り換え、出力端子に直流の負電圧をかけると共に出力端子をアースする。なお、この切り換えは、上記の通り、タイマーを使用して自動的に切り替わるようにしてもよい。人体に直流負電圧が印加されながらアースされている状態を好ましくは数分間以上維持する。人体に直流負電圧を印加しながらアースしている状態は、何ら人体に悪影響を与えないばかりか、リラクゼーション効果を与えるので、電位治療後、アース処理に切り換えた状態で、就寝してもよい。このようにして、電位治療後にアース処理を行なうことにより、高電圧による電位治療後に残る恐れがある不快感を効果的に防止することができる。
【0016】
以下、本発明を実施例に基づきより具体的に説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0017】
図1に基づき本発明の好ましい実施例を説明する。図1中、10は電位発生器であり、電源コード12a及び12bを介して家庭用の交流100Vの電源に接続される。12bが家庭用交流100V電源のアース側である。電位発生器10は、切換えスイッチ14の端子14aを介して出力端子16に接続されている。出力端子は、例えば、銅線から成る網状のシートの形態にあり、これを通気性のある布製の袋等に収納したシート状ないしマット状のものが好ましく用いられる。17は動作切換えタイマーであり、18は電圧コントローラーである。動作切換えタイマー16で予め設定した時間が経過すると、電圧コントローラー18が作動して、電位発生器10により発生される電圧が数分〜十数分かけて0Vまで徐々に下がる。なお、動作切換えタイマー16や電圧コントローラー18は、市販の電位治療器に採用されている公知のものを採用することができる。以上の構造は、市販の電位治療器に採用されている公知のものである。
【0018】
切換えスイッチ14内の端子14bは、抵抗20を介して電池22の陰極に接続されている。本実施例では、抵抗20は330Ωであり、電池は市販の9Vの乾電池を2個直列に接続するので18Vである。なお、電池22には、図示しない電池チェッカー回路を接続してもよい。電池チェッカー回路は、例えばツェナーダイオードを駆使して、電池の電圧が所定値、例えば14Vよりも下がった場合には、アラームランプが点灯するようにしたもの等であり、それ自体周知のものである。電池22の陽極側は、アース検出器兼切換えスイッチ(以下、便宜的に「アース切換えスイッチ」)24を介して家庭用交流100V電源に接続される。アース切換えスイッチ24内の端子24bが家庭用交流100V電源のアース側12bに接続され、もう一方の端子24aは、非アース側12aに接続される。アース検出回路自体は周知であり、切換えスイッチ24がアース側12bに接続されているか否かを検出し、接続されていない場合には、スイッチを切り換えて電池22の陽極を家庭用交流100V電源のアース側12bに接続する。なお、アース切換えスイッチ24として、アース側の検出と切換えを自動で行なうものを採用することもできる。
【0019】
使用時には、ユーザーは、先ず、通常の電位治療器と同様にして電位治療を行なう。すなわち、予め電位治療を行なう時間をタイマー16でセットする。また、切換えスイッチ14を端子14a側に接続しておく。次に、出力端子16が、銅線のメッシュであり、これが通気性の布袋内に収納されてシートになっている電位治療器の場合には、該シートの上に横たわったり、該シートの上に足を乗せる。この状態で、電源を入れ、電位発生器10により発生された高電圧を、出力端子16から人体にかける。タイマーにセットした時間が経過すると、タイマーが作動し、それに連動して電圧コントローラー18が作動して、電位発生器10が発生する電圧が徐々に下がる。数分〜十数分かけて電圧が0Vにまで下がった後、切換えスイッチ14を端子14b側に切り換える。一方、アース切換えスイッチ24によりアース側を検出して、アース切換えスイッチ24を端子24bに切り換える(初めからアース側に接続されていた場合には、当然ながら切り換える必要はない)。そうすると、人体は、18Vの直流の負電圧がかかった状態でアースされる。これにより、電位治療に起因する不快感を防止することができる。なお、このアース処理は、少なくとも数分間行なうことが好ましい。また、アース処理は、不快感などの副作用を全く生じず、むしろ、人体がアースされている状態は好ましいので、アース処理を受けている状態で朝まで眠ってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の電位治療器の1実施例の回路図である。
【符号の説明】
【0021】
10 電位発生器
12a 電源コード(非アース側)
12b 電源コード(アース側)
14 切換えスイッチ
16 出力端子
17 動作切換えタイマー
18 電圧コントローラー
20 抵抗
22 電池
24 アース検出器兼切換えスイッチ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源に接続される電位発生器と、該電位発生器に接続され、人体に接触して人体に電位を与える出力端子とを具備する電位治療器において、前記出力端子に接続されるアース線と、前記出力端子に直列に接続され、該出力端子に負電圧を印加する直流電源と、前記出力端子に接続され、該出力端子を前記電位発生器に接続する場合と前記アース線に接続する場合を切り替える切換スイッチとを具備することを特徴とする電位治療器。
【請求項2】
前記アース線は、前記直流電源を介して前記出力端子に接続される請求項1記載の電位治療器。
【請求項3】
前記アース線は、家庭用の交流電源のアース側に接続される請求項1又は2記載の電位治療器。
【請求項4】
前記直流電源と前記出力端子の間に抵抗が配置されている請求項1ないし3のいずれか1項に記載の電位治療器。
【請求項5】
前記出力端子は、網状のシートの形態にある請求項1ないし4のいずれか1項に記載の電位治療器。


【図1】
image rotate


【公開番号】特開2007−111186(P2007−111186A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−304765(P2005−304765)
【出願日】平成17年10月19日(2005.10.19)
【出願人】(592117254)株式会社ナチュラルグループ本社 (5)
【出願人】(591201686)株式会社日本トリム (15)
【Fターム(参考)】