説明

電位治療装置用電界検知器

【課題】 被治療者の人体などの被検知体に接触させた場合に、電界の検知結果を知らせることができる電位治療装置用電界検知器を提供する。
【解決手段】 端部電極10と手元電極8と、LEDディスプレイ5とブザー12および電池16を備え、端部電極10の先端部を接触部10aとしてケース2,3から突出させ、この接触部10aが押圧されると端部電極10が電源16の第2電源スイッチ14をオンし、押圧が解除されると第2電源スイッチ14がオフされるように、端部電極10を可動に配設する。接触部10aを被治療者Cの人体に押し当てると第2電源スイッチ14がオンされ、電界が検知されると、LEDディスプレイ5が発光等する。また、接触部10aを被治療者Cの人体から離すと、第2電源スイッチ14がオフされて、LEDディスプレイ5の発光等が停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体に高電圧を印加し、人体の周囲に電界を形成して治療を行うための電位治療装置に関し、特に、電位治療装置によって形成された電界を検知して知らせる電界検知器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電位治療装置は、絶縁された人体に高電圧を与え、人体の周囲に形成された電界による生体刺激作用を利用して、治療を行うものである。このような電位治療装置によって治療を受けている被治療者は、人体の周囲に電界が形成されていることを体感できない。このため、人体の周囲に電界が形成されていることを確認するための電界検知器が電位治療装置に付属されている。
【0003】
この電界検知器は、例えば、機器本体の先端部に設けられた先端電極(端部電極)と、機器本体のグリップ部に設けられた手元電極と、ブザーやLEDなどの報知手段と、この報知手段を起動させる電源とを備えている。このような電界検知器を、検知者が電源スイッチを押しながら電位治療装置に近づけて電界内に位置させると、先端電極と手元電極とに電圧が誘起され、この電圧(電位差)に基づいて電界が検知される。そして、電界が検知されると、ブザーが発音したり、LEDが発光したりするものである(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】実開昭62−48360号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電位治療装置による人体への印加電圧は、電位治療装置の機種や電圧調整操作などによって、数百Vから数万Vまで広範囲にわたっている。従って、人体の周囲に形成される電界の強度、範囲も、電位治療装置の機種や電圧調整操作などによって広範囲にわたる。このため、上記のような電界検知器によって、例えば、数百Vの電圧を人体に印加した状態で電界を検知しようとすると、電界検知器を人体に近接あるいは接触させなければ、電界を検知し、報知手段を発音等させることができない。一方、数万Vの電圧を人体に印加した状態で電界を検知しようとすると、電界検知器が人体から比較的遠く離れた位置からでも電界を検知し、報知手段が発音等してしまう。
【0005】
すなわち、電位治療装置による印加電圧によって、電界検知器による検知位置および、発音・発光などの報知位置が異なることになる。そして、ある場合には人体の近傍で電界検知器が発音などし、他の場合には人体から比較的遠く離れた位置で電界検知器が発音などするため、被治療者に戸惑いや不可解な感じを与えるおそれがある。つまり、実際には人体の周囲に電界が適正に形成され、その電界を電界検知器が正確に検知しているにもかかわらず、電界が適正に形成されているのか、あるいは、その電界を正確に検知しているのか、という疑問を被治療者に感じさせるおそれがある。
【0006】
そこで本発明は、被治療者の人体などの被検知体に接触させた場合に、電界の検知結果を知らせることができる電位治療装置用電界検知器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、機器本体の端部に設けられた端部電極と、機器本体のグリップ部に設けられた手元電極と、音や光などを発する報知手段と、この報知手段を起動させる電源とを備え、電位治療装置によって形成された電界中に位置されることによって、端部電極と手元電極との電圧に基づいて電界を検知し、報知手段から音や光などを発する電位治療装置用電界検知器において、端部電極の一部を接触部として機器本体から突出させ、この接触部が押圧されると端部電極が電源をオンし、押圧が解除されると端部電極が電源をオフするように、端部電極を可動に配設したことを特徴としている。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電位治療装置用電界検知器において、グリップ部の近傍に、電源をオン・オフする手元スイッチを設けたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、電界検知器を持った検知者が、端部電極の接触部を被治療者の人体などに押し当てることで、接触部が押圧されて電源がオンする。そして、電界が検知されると、報知手段から音や光などが発せられる。また、端部電極の接触部を被治療者の人体などから離すと、接触部への押圧が解除されて電源がオフし、報知手段からの発音などが停止する。このように、端部電極の接触部を被治療者の人体などに押し当てた時のみ、電界の検知結果を知らせる。すなわち、本電界検知器による報知位置が常に、被治療者の人体などの被検知体の表面であり、電位治療装置による印加電圧が変わったとしても、報知位置が変わることがない。このため、人体の周囲に電界が適正に形成されているのか、あるいは、その電界を電界検知器が正確に検知しているのか、という疑問を被治療者に感じさせるおそれがない。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、手元スイッチによって電源をオンした状態で、本電界検知器を電位治療装置に近づけると、電界を検知した位置から音や光などが発せられる。これにより、被治療者の人体の周囲に形成された電界の領域(範囲)を把握することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を図示の実施形態に基づいて説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係わる電位治療装置用電界検知器1(以下、「電界検知器1」という)を示す平面図(a)と側面図(b)である。図中符号2は上部ケース、符号3は下部ケースで、この上部ケース2と下部ケース3とによって機器本体が構成されている。また、符号4は半透明窓、符号5はLEDディスプレイ(報知手段)、符号6は発音窓、符号7は手元スイッチ釦、符号8は手元電極を兼ねた銘板(ネームプレート)、符号9は電池収納蓋、符号10は端部電極である。
【0013】
機器本体内には、図2に示すように、回路基板11が収容され、この回路基板11上に、LEDディスプレイ5が半透明窓4に対向し、ブザー12(報知手段)が発音窓6に対向するように配設されている。さらに、回路基板11上の両端部には、第1電源スイッチ13と第2電源スイッチ14とが配設されている。第1電源スイッチ13は手元スイッチ釦7に対向するように配設され、この第1電源スイッチ13と手元スイッチ釦7とによって、手元スイッチが構成されている。また、第2電源スイッチ14はいわゆるマイクロスイッチで、押し釦14aと板バネ状のレバー14bとを備え、レバー14bが押し釦14aに接することで、第2電源スイッチ14がオンするようになっている。
【0014】
この第2電源スイッチ14に近接し、下部ケース3(機器本体)の先端部に、端部電極10が次のように配設されている。すなわち、下部ケース3の先端部に円柱状の支持ピン3aが2つ設けられ、端部電極10には、この支持ピン3aが挿入される長孔10bが形成されている。そして、長孔10bに支持ピン3aを挿入した状態で、端部電極10が支持ピン3aによって支持されて、下部ケース3の長手方向にスライドできる(可動する)ようになっている。また、端部電極10の先端部(一部)である接触部10aが、下部ケース3の先端から突出するように、支持ピン3aおよび長孔10bの位置が設定されている。さらに、端部電極10と第2電源スイッチ14との間には、板バネ状の押圧板15が設けられ、この押圧板15によって端部電極10が下部ケース3の先端側に押し付けられるようになっている。そして、この押し付け力に抗して、端部電極10の接触部10aが押圧されると、押圧板15を介してレバー14bが押され、第2電源スイッチ14がオンされる。また、接触部10aへの押圧が解除されると、押圧板15によって端部電極10が下部ケース3の先端側に戻されるとともに、レバー14bが押し釦14aから離れて第2電源スイッチ14がオフされるものである。
【0015】
銘板8は、上部ケース2(機器本体)のグリップ部2aに配設され、金属製で手元電極として機能するようになっている。また、図1(a)に示すように、この銘板8の近傍に手元スイッチ釦7が配設され、グリップ部2aを握ると銘板8を握る(接触する)ことになり、この状態で手元スイッチ釦7を指で押せるようになっている。そして、手元スイッチ釦7をオン・オフ(押し・押し解除)すると、第1電源スイッチ13がオン・オフされるようになっている。また、電池収納蓋9内には、LEDディスプレイ5およびブザー12を起動(発光・発音)させる電池16(電源)が収容されている。
【0016】
このような電界検知器1の概略構成ブロック図を図3に示す。図中符号17は増幅器で、第1電源スイッチ13および第2電源スイッチ14を介して電池16に接続され、さらに、LEDディスプレイ5およびブザー12に接続されている。このような電界検知器1の第1電源スイッチ13または第2電源スイッチ14が電界中でオンされると、端部電極10と銘板8とに電圧が誘起され、この両電圧の電位差が増幅器17によって増幅されて、電界が検知される。そして、増幅された電位差に基づいて、LEDディスプレイ5が発光し、ブザー12が発音するようになっている。
【0017】
次に、図4、5に基づいて、このような構成の電界検知器1の作動について説明する。
【0018】
図中21は電位治療装置であり、広く一般に使用されている電位治療装置と同等の構成であるため、ここでは詳細な説明を省略するが、概略次のような構成となっている。すなわち、被治療者Cが座る椅子22とヘッドカバー23とフットレスト24とを備えている。ヘッドカバー23とフットレスト24とは絶縁物で覆われ、ヘッドカバー23にはアース電極23aが埋設され、フットレスト24には足部電極24aが埋設されている。また、アース電極23aはアースコードを介して接地され、足部電極24aは高電圧発生ユニット(図示せず)の電圧出力端子に接続されている。そして、高電圧発生ユニットを稼働させ足部電極24aを高電圧にすると、アース電極23aとの間で電界が生じ、被治療者Cが高電位にされるとともに、被治療者Cの人体の周囲に電界が形成されるものである。
【0019】
このようにして被治療者Cの人体の周囲に電界が形成された状態で、電界検知器1によって電界を検知するには、次のようにすればよい。すなわち、図4に示すように、検知者Dがグリップ部2a(銘板8)を握って電界検知器1を保持し、端部電極10の接触部10aを被治療者Cの人体に押し当てる。これにより、接触部10aが第2電源スイッチ14側に押圧され、上記のようにして第2電源スイッチ14がオンされる。そして、上記のように、電界によって端部電極10に電圧が誘起され、この電圧と銘板8の電圧すなわち接地電圧との電位差に基づいて電界が検知されると、LEDディスプレイ5が発光し、ブザー12が発音する。また、端部電極10の接触部10aを被治療者Cの人体から離すと、接触部10aへの押圧が解除され、上記のようにして第2電源スイッチ14がオフされて、LEDディスプレイ5の発光および、ブザー12の発音が停止するものである。
【0020】
このように、端部電極10の接触部10aを被治療者Cの人体などに押し当てた時のみ、電界を検知し、その検知結果を知らせる。すなわち、本電界検知器1による検知位置および報知位置が、常に、被治療者Cの人体などの被検知体の表面であり、電位治療装置21の機種や電圧調整操作などによって印加電圧が変わったとしても、検知位置および報知位置が変わることがない。例えば、足部電極24aに数百Vの電圧が印加され、被治療者Cの人体の周囲に比較的弱い電界が形成されている場合や、足部電極24aに数万Vの電圧が印加され、非常に強い電界が形成されている場合であっても、検知位置および報知位置が変わることがない。このため、人体の周囲に電界が適正に形成されているのか、あるいは、その電界を本電界検知器1が正確に検知しているのか、という疑問などを被治療者Cに感じさせるおそれがない。つまり、被治療者Cは、戸惑いや不可解な感じを抱くことなく、安心して電位治療装置21による治療を受けることができる。同様に、被治療者Cの人体のみならず、電界の有無を確認したい椅子22や壁などの被検知体に端部電極10の接触部10aを押し当てることで、電界を検知し、その検知結果を知らせることができる。
【0021】
また、図5に示すように、手元スイッチ釦7(第1電源スイッチ13)をオンした状態で、本電界検知器1を電位治療装置21に近づけると、上記のようにして電界が検知され、検知された位置からLEDディスプレイ5が発光し、ブザー12が発音する。例えば、足部電極24aに数百Vの電圧が印加され、被治療者Cの人体の周囲に比較的弱い電界が形成されている場合には、人体に近接あるいは接触させた時点で電界が検知され、LEDディスプレイ5が発光したりする。また、足部電極24aに数万Vの電圧が印加され、非常に強い電界が形成されている場合には、人体から比較的遠く離れた位置から電界が検知され、LEDディスプレイ5が発光したりする。このように、人体の周囲に形成された電界の強さに応じて、電界の検知位置が相違するため、本電界検知器1によって電界の形成領域(範囲)ひいては強度を把握することができる。
【0022】
ところで、本電界検知器1では、上記のように、手元スイッチ釦7および第1電源スイッチ13が手元スイッチとして設けられているが、この手元スイッチは必要に応じて設ければよい。すなわち、第2電源スイッチ14のみを設け、上記のように、接触部10aを被治療者Cの人体などに押し当てた場合にのみ、電界を検知し、その検知結果を知らせるようにしてもよい。
【0023】
以上、この発明の実施形態について説明したが、具体的な構成は、本実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、本実施形態では、下部ケース3(機器本体)の先端部に端部電極10が配設されているが、下部ケース3の側端部(長手方向側)に端部電極10を配設するようにしてもよい。また、報知手段は、LEDディスプレイ5やブザー12に限らず、その他の発光器や発音器などであってもよい。さらに、上記のような椅子型の電位治療装置21に限らず、ベッド型の電位治療装置などにおいても、上記と同様に、本電界検知器1によって電界を検知し、その検知結果を知らせることができるのは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態に係わる電位治療装置用電界検知器の平面図(a)と側面図(b)。
【図2】本発明の実施形態に係わる電位治療装置用電界検知器の上部ケースを外した状態の一部を示す平面図。
【図3】本発明の実施形態に係わる電位治療装置用電界検知器の概略構成ブロック図。
【図4】本発明の実施形態に係わる電位治療装置用電界検知器を被治療者の人体に押し当てて、電界を検知している状態を示す斜視図。
【図5】本発明の実施形態に係わる電位治療装置用電界検知器を電位治療装置に近づけて、電界を検知している状態を示す斜視図。
【符号の説明】
【0025】
1 電位治療装置用電界検知器
2 上部ケース(機器本体)
2a グリップ部
3 下部ケース(機器本体)
3a 支持ピン
4 半透明窓
5 LEDディスプレイ(報知手段)
6 発音窓
7 手元スイッチ釦(手元スイッチ)
8 銘板(手元電極)
9 電池収納蓋
10 端部電極
10a 接触部
10b 長孔
11 回路基板
12 ブザー(報知手段)
13 第1電源スイッチ(手元スイッチ)
14 第2電源スイッチ
14a 押し釦
14b レバー
15 押圧板
16 電池(電源)
17 増幅器
21 電位治療装置
22 椅子
23 ヘッドカバー
23a アース電極
24 フットレスト
24a 足部電極24a
C 被治療者
D 検知者


【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器本体の端部に設けられた端部電極と、前記機器本体のグリップ部に設けられた手元電極と、音や光などを発する報知手段と、この報知手段を起動させる電源とを備え、電位治療装置によって形成された電界中に位置されることによって、前記端部電極と前記手元電極との電圧に基づいて前記電界を検知し、前記報知手段から音や光などを発する電位治療装置用電界検知器において、
前記端部電極の一部を接触部として前記機器本体から突出させ、この接触部が押圧されると前記端部電極が前記電源をオンし、前記押圧が解除されると前記端部電極が前記電源をオフするように、前記端部電極を可動に配設したことを特徴とする電位治療装置用電界検知器。
【請求項2】
前記グリップ部の近傍に、前記電源をオン・オフする手元スイッチを設けたことを特徴とする請求項1に記載の電位治療装置用電界検知器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−325894(P2006−325894A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−153216(P2005−153216)
【出願日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願人】(598162562)株式会社白寿生科学研究所 (15)
【Fターム(参考)】