電力を節約する緑内障排水装置
緑内障排水装置は、眼の前房(710)と排水場所(1030)との間に配置されるように構成されたアクティブバルブ(750)と、アクティブバルブに接続された電源と、電源に接続されたコントローラとを有する。第1圧力センサ(P1)は前房と流体連通して配置され、第2圧力センサ(P2)は排水場所に配置され、第3圧力センサは第1圧力センサ及び第2圧力センサから離隔されて配置される。コントローラは、所定の時間周期中に一度、第1圧力センサ、第2圧力センサ、及び第3圧力センサを読み込み、且つ、眼内圧力を制御すべくアクティブバルブを調整する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2010年7月16日に出願された米国特許出願シリアル番号12/837803の優先権の利益を主張し、米国特許出願シリアル番号12/837803は、2010年1月12日に出願された米国特許出願シリアル番号12/685772の一部継続出願であり、米国特許出願シリアル番号12/685772は、2009年10月30日に出願された米国特許出願シリアル番号12/609043の一部継続出願であり、米国特許出願シリアル番号12/609043は、2009年9月21日に出願された米国特許出願シリアル番号12/563244の一部継続出願である。
【0002】
本発明は、電力を節約するように作動される緑内障排水装置に関する。
【背景技術】
【0003】
緑内障、並びに網膜及び視神経に影響する一群の眼疾患は、世界中で失明をもたらす主要因の一つである。緑内障は、眼内圧力(IOP)が、長時間に亘って正常よりも高い圧力に増大すると生じる。IOPは、房水の生成と排水との不均衡によって増大しうる。未治療のままにしておくと、上昇したIOPが視神経および網膜繊維に回復不能な損傷をもたらし、このことは進行性の永久的な視力喪失を引き起こす。
【0004】
眼の毛様体上皮は、眼の前房(角膜と虹彩との間の空間)を満たす透明な流体である房水を絶えず生成する。房水は、複雑な排水システムであるぶどう膜強膜経路を通して前房から流れ出る。房水の生成と排水との間の微妙なバランスが眼のIOPを決定する。
【0005】
(慢性開放隅角又は原発開放隅角とも称される)開放隅角が緑内障の最も一般的なタイプである。このタイプでは、眼の前方構造が正常であるようにみえたとしても、房水が前房内において徐々に増え、IOPの上昇が引き起こされる。未治療のままにしておくと、このことは視神経及び網膜の永久的な損傷をもたらしうる。一般的には、眼圧を下げるために点眼薬が処方される。場合によっては、IOPを薬物療法で十分に制御することができなければ外科手術が行われる。
【0006】
人工の約10%のみが急性閉塞隅角緑内障を患う。急性の隅角の閉塞は眼の前方における構造の異常な状態によって生じる。これら多くの場合、虹彩と角膜との間の空間は正常よりも狭く、房水が通過するための小さなチャネルが残される。房水の流れが完全に遮断されると、IOPが急に上昇し、急激な隅角の閉塞が発症する。
【0007】
続発性緑内障は、別の病気の結果、又は、炎症、外傷、既往手術、糖尿病、腫瘍、及び所定の薬剤のような眼内における問題の結果として生じる。このタイプについて、緑内障とその根本的な問題との両方が治療されなければならない。
【0008】
図1は緑内障の過程を説明するのを助ける眼の前方部分の略図である。図1では、水晶体110、角膜120、虹彩130、毛様体140、小柱網150、及びシュレム管160の描写が描かれている。解剖学上、眼の前房は緑内障を引き起こす構造を含む。房水は毛様体140によって生成され、毛様体140は虹彩130の下に位置し且つ前房内において水晶体110に近接する。この房水は、水晶体110および虹彩130に押し寄せて、前房の隅角に配置された排水システムに流れる。眼の周りに周方向に延在する前房の隅角は、房水が排水されることを可能にする構造を含む。その第1の構造であり且つ一般的に緑内障と最も関連する構造が小柱網150である。小柱網150は、隅角において前房の周りに周方向に延在する。小柱網150は、フィルタとして作用するように見え、房水の流出を制限し、且つIOPを生成する背圧を提供する。シュレム管160は、小柱網150を越えて配置される。シュレム管160はコレクタチャネルを有し、コレクタチャネルは房水が前房から流れ出ることを可能とする。図1の前房における二つの矢印は、毛様体140から水晶体110及び虹彩130を越えて小柱網150を通ってシュレム管160及びそのコレクタチャネル内へと流れる房水の流れを示す。
【0009】
緑内障患者において、IOPは24時間広範に変化しうる。一般的には、IOPは、薬剤が、起きているときに投与される前の早朝の時間帯において最も高い。高い圧力は視神経に損傷を与えて失明を引き起こしうる。したがって、IOPを制御するアクティブな緑内障排水装置を有することが望ましいであろう。
【発明の概要】
【0010】
本発明の原理と一致した一つの実施形態では、本発明は、緑内障排水装置であって、眼の前房と排水場所との間に配置されるように構成されたアクティブバルブと、アクティブバルブに接続された電源と、電源に接続されたコントローラとを具備し、コントローラが、圧力に基づいて電源からアクティブバルブへの電力を指示する、緑内障排水装置である。
【0011】
本発明の原理と一致した別の実施形態では、本発明は、眼内圧力センサシステムであって、眼の前房と流体連通して配置された第1圧力センサと、大気圧を測定し又は大気圧の近似値を求めるように第1圧力センサから離隔されて配置された離隔圧力センサと、第1圧力センサ及び第2圧力センサを読み込むように構成されたコントローラと、コントローラに接続された電源とを具備し、第1圧力センサからの数値と離隔圧力センサからの数値との間の差が眼内圧力に近似し、さらに、コントローラが、所定の時間周期中に一度、第1圧力センサ及び第2圧力センサを読み込む、眼内圧力センサシステムである。
【0012】
本発明の原理と一致した別の実施形態では、本発明は、眼内圧力センサシステムであって、眼の前房と流体連通して配置された第1圧力センサと、排水場所に配置された第2圧力センサと、第1圧力センサ及び第2圧力センサを読み込むように構成されたコントローラと、コントローラに接続された電源とを具備し、第1圧力センサからの数値と第2圧力センサからの数値との間の差が前房と排水場所との間の圧力差に近似し、さらに、コントローラが、所定の時間周期中に一度、第1圧力センサ及び第2圧力センサを読み込む、眼内圧力センサシステムである。
【0013】
本発明の原理と一致した別の実施形態では、本発明は、眼内圧力センサシステムであって、排水場所に配置された第1圧力センサと、大気圧を測定し又は大気圧の近似値を求めるように第1圧力センサから離隔されて配置された離隔圧力センサと、第1圧力センサ及び第2圧力センサを読み込むように構成されたコントローラと、コントローラに接続された電源とを具備し、第1圧力センサからの数値と離隔圧力センサからの数値との間の差が排水場所における圧力に近似し、さらに、コントローラが、所定の時間周期中に一度、第1圧力センサ及び第2圧力センサを読み込む、眼内圧力センサシステムである。
【0014】
本発明の原理と一致した別の実施形態では、本発明は、緑内障排水装置であって、眼の前房と排水場所との間に配置されるように構成されたアクティブバルブと、アクティブバルブに接続された電源と、電源に接続されたコントローラと、前房と流体連通して配置された第1圧力センサと、排水場所に配置された第2圧力センサと、第1圧力センサ及び第2圧力センサから離隔されて配置された第3圧力センサとを具備し、コントローラが、所定の時間周期中に一度、第1圧力センサ、第2圧力センサ、及び第3圧力センサを読み込む、緑内障排水装置である。
【0015】
前述の一般的な説明及び以下の詳細な説明の両方が、模範的なものであり説明のためにのみ存在し、且つ、特許請求の範囲に記載されるような発明の更なる説明を提供することが意図されていることが理解されるべきである。以下の説明及び本発明の実施例が本発明の追加の利点及び目的を説明し且つ提案する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、眼の正面部分の略図である。
【図2】図2は、本発明の原理に係るIOP測定システムのブロック図である。
【図3】図3は、本発明の原理に係るIOPセンサの略図である。
【図4】図4は、本発明のIOPセンサの可能な一つの用途の略図である。
【図5】図5は、本発明の原理と合致したIOPセンサの端キャップの実装(implementation)である。
【図6A】図6Aは、本発明の原理に合致したIOPセンサの端キャップの実装の斜視図である。
【図6B】図6Bは、本発明の原理に合致したIOPセンサの端キャップの実装の斜視図である。
【図7A】図7Aは、本発明の原理に係る、ルーメン除去バルブ(lumen clearing valve)の斜視図である。
【図7B】図7Bは、本発明の原理に係る、ルーメン除去バルブの斜視図である。
【図8】図8は、本発明の原理に係る線維除去部材を備えたルーメン除去バルブの斜視図である。
【図9】図9は、本発明の原理に係る線維形成を除去するための房水分散部材を備えたルーメン除去バルブの斜視図である。
【図10】図10は、本発明の原理に係るハイブリッドな外側部材を備えたルーメン除去バルブの斜視図である。
【図11A】図11Aは、二つのルーメン型を含む本発明の原理に係るバルブの端キャップの実装と圧力センサシステムとを描写する。
【図11B】図11Bは、単一のルーメン型を含む本発明の原理に係るバルブの端キャップの実装と圧力センサシステムとを描写する。
【図12A】図12Aは、本発明のシステムと共に使用されうる二つの管の断面図である。
【図12B】図12Bは、本発明のシステムと共に使用されうる二つの管の断面図である。
【図13】図13は、本発明の原理に係る二つのルーメンのバルブ及び圧力センサシステムの斜視図である。
【図14】図14は、本発明の原理に係る発電機の斜視図である。
【図15】図15は、本発明の原理に係るチューブに配置されたローターの端面図である。
【図16】図16は、本発明の原理に係る緑内障排水システムにおける発電機の一つの可能な場所の略図である。
【図17】図17は、本発明の原理に係る緑内障排水システムにおける発電機の別な可能な場所の略図である。
【図18】図18は、本発明の緑内障排水装置を作動する一つの方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書に取り込まれ且つ本明細書の一部を構成する添付の図面が、説明と共に本発明のいくつかの実施形態を示して、本発明の原理を説明するのに役立つ。
以下、本発明の模範的な実施形態が詳細に参照され、それらの例が添付の図面において示される。可能な限り、同一の参照番号が、図面を通して同一又は同様の部品を参照するのに使用される。
【0018】
図2は、本発明の原理に係るIOP測定システム200のブロック図である。図2では、IOP測定システムは、電源205、(P1、P2、及び/又はP3を含みうる)IOPセンサ210、プロセッサ215、メモリ220、データ伝送モジュール225、及び随意的なスピーカー230を含む。
【0019】
電源205は、典型的にはリチウムイオンバッテリー又はリチウムポリマーバッテリーのような充電可能なバッテリーであるが、他のタイプのバッテリーが用いられてもよい。加えて、任意の他のタイプの動力電池(power cell)が電源205に適切である。電源205は、システム200、特にプロセッサ215に電力を提供する。電源はRFIDリンク又は他のタイプの磁気結合を介して充電されることができる。
【0020】
本発明の別の実施形態では、電源205は、以下に説明されるような発電機1410によって発生せしめられた電荷を貯蔵するコンデンサである。他のタイプの電荷貯蔵装置又はエネルギー貯蔵装置が、電源205を実装するのに用いられてもよい。以下により完全に説明されるように、発電機1410は電源205に接続される。
【0021】
典型的には、プロセッサ215は、ロジック機能を実行できる、電源ピン、入力ピン、及び出力ピンを備えた集積回路である。様々な実施形態において、プロセッサ215は、対象となる装置のコントローラである。斯かる場合、プロセッサ215は、データ伝送モジュール225、スピーカー230、電源205、又はメモリ220のような特定の装置又は構成要素を対象とする特定の制御機能を実行する。他の実施形態では、プロセッサ215はマイクロプロセッサである。斯かる場合、プロセッサ215は、装置の一つよりも多い構成要素を制御するように機能できるようにプログラム可能である。他の場合、プロセッサ215は、プログラム可能なマイクロプロセッサではなく、代わりに、種々の機能を実行する種々の構成要素を制御するように構成された特殊用途のコントローラである。
【0022】
メモリ220は典型的にはNANDフラッシュメモリのような半導体メモリである。半導体メモリのサイズが非常に小さく且つシステム200のメモリ要求が小さいので、メモリ220はシステム200の非常に小さな設置面積(footprint)を占める。メモリ220はプロセッサ215と連動する。このようにして、プロセッサ215はメモリ220に書き込み且つメモリ220から読み込むことができる。例えば、プロセッサ215は、IOPセンサ210からデータを読み込んでそのデータをメモリ220に書き込むように構成されることができる。この態様では、一連のIOPの数値がメモリ220内に記憶されることができる。プロセッサ215は、他の基本的なメモリ機能、例えば、メモリ220を消去し又は上書きする機能と、メモリ220がいっぱいになったときを検出する機能と、半導体メモリを管理することに関連する他の一般的な機能とを実行することもできる。
【0023】
データ伝送モジュール225は任意の多くの様々なタイプのデータ伝送を用いることができる。例えば、データ伝送モジュール225は無線機のような能動装置である。データ伝送モジュール225はRFIDタグ上のアンテナのような受動装置であってもよい。この場合、RFIDタグはメモリ220とアンテナの形態のデータ伝送モジュール225とを含む。その後、RFIDリーダーが、メモリ220にデータを書き込み又はメモリ220からデータを読み込むべくシステム200の近くに設置されることができる。典型的には(一定の時間に亘るIOPの数値から成る)メモリ220内に記憶されるデータの量が小さいであろうから、データが転送される速度はあまり重要ではない。メモリ220内に記憶されてデータ伝送モジュール225によって伝送されうる、他のタイプのデータが、限定されるものではないが、電源データ(例えばローバッテリー、バッテリー不良)、スピーカーデータ(警告音、警告声(warning voice))、IOPセンサデータ(IOPの数値、問題の状況)、及びこれらと均等なものを含む。
【0024】
随意的なスピーカー230は、危険な状況が存在するときに患者に警告音又は警告声を提供する。例えば、IOPが、患者に損傷をもたらし又は患者にリスクを与える可能性があるレベルである場合、スピーカー230は、医学的な治療を求め又は点眼剤を投与するように患者を警告すべく警告音を出すことができる。プロセッサ215はIOPセンサ210からIOPの数値を読み込む。プロセッサ215は、閾値よりも大きい一つの又は一連のIOPの数値を読み込んだ場合、その後、警告音を出すようにスピーカー230を作動させることができる。閾値は設定されてメモリ220内に記憶されることができる。この態様では、IOPの閾値は医者によって設定されることができ、IOPの閾値が超えられると、警告音が出されうる。
【0025】
代替的に、データ伝送モジュールは、二次装置、例えば、PDA、携帯電話、コンピュータ、腕時計、この目的だけのためのカスタム装置、リモートアクセス可能なデータ保存サイト(例えばインターネットサーバー、電子メールサーバー、テキストメッセージサーバー)、又は他の電子装置に、上昇したIOPの状況を通信するように作動されてもよい。一つの実施形態では、個人の電子装置がリモートアクセス可能なデータ保存サイト(例えば、インターネットサーバー、電子メールサーバー、テキストメッセージサーバー)にデータをアップロードする。情報が、例えば医療関係者によってリアルタイムに見られうるようにリモートアクセス可能なデータ保存サイトにアップロードされうる。この場合、二次装置はスピーカー230を含んでもよい。例えば、病院の環境において、患者が緑内障手術を受けてシステム200が埋め込まれた後、二次装置は患者の病院ベッドの隣に配置されうる。IOPの変動が(高い側と、同様に危険な状況である低い側との両方において)緑内障手術後によく起こるので、プロセッサ215は、埋め込まれたIOPセンサ210によって作られたIOPの数値を読み込むことができる。プロセッサ215が危険なIOPの状況を読み込んだ場合、データ伝送モジュール225は、スピーカー230を介して又は危険な数値を二次装置に送信することによって患者及び医療スタッフを警告することができる。
【0026】
斯かるシステムは病院の環境外での使用についても適切である。例えば、危険なIOPの状況が存在する場合、プロセッサ215は、可聴な警告音を出すようにスピーカー230を作動させることができる。その後、患者は警告されて医学的な治療を求めることができる。警告は多数の態様において医療専門家によって止められることができる。例えば、データ伝送モジュール225がRFIDタグであるとき、RFIDリンクが外部装置とシステム200との間に築かれることができる。この外部装置は、スピーカー230の電源を切るためにシステム200と通信することができる。代替的に、光信号がシステム200によって読み込まれてもよい。この場合、データ伝送モジュール225は光受容器を有し、光受容器は一連の光パルスを受容することができ、一連の光パルスは、指令、例えばスピーカー230の電源を切るための指令を表す。
【0027】
図3は、本発明の原理に係るIOPセンサの略図である。図3では、IOPセンサは、三つの圧力センサ、P1、P2、及びP3と、排水チューブ430と、バルブ420と、分割器350とから成る。圧力センサP1は前房340内に配置され又は前房340と流体連通し、圧力センサP2は結膜下腔内の排水部位に配置され、圧力センサP3はP1及びP2から離隔されて配置される。圧力センサP1は、前房と流体連通しているルーメン又はチューブ内に配置されてもよい。このようにして、圧力センサP1は前房内の圧力を測定し、圧力センサP2は排水部位において圧力を測定し、圧力センサP3は概して大気圧を測定し又は大気圧に対応する。
【0028】
図3では、チューブ430は眼の前房340から房水を排水する。バルブ420が、チューブ430を通る房水の流れを制御する。圧力センサP1は、バルブ420の上流であり且つ前房340の下流において、チューブ430内の圧力を測定する。この態様では、圧力センサP1は前房340内の圧力を測定する。P1が前房の下流においてチューブ内に配置されるとき(P1が強膜と結膜との間に配置されるときでさえ)、真の前房の圧力と、P1によって測定された圧力との間の期待される測定相違は非常に小さい。例えば、パイプ流れについてのポアズイユの法則は、水の毎分3マイクロリットルの流量について、0.300ミリメーターの内径を有する5ミリメートルの長いチューブを横切る0.01mmHgの圧力低下を予測する。
【0029】
分割器350は圧力センサP3から圧力センサP2を隔てる。圧力センサP2は排水部位(例えば図4における410)において配置される。このようにして、圧力センサP2は、概して房水を収容するポケットにおいて配置され、すなわち濡れた場所410に位置する。圧力センサP3は物理的に分割器350によって圧力センサP2から隔てられる。分割器350は、P3の乾いた場所360からP2の濡れた場所410を隔てる物理的な構造体である。分割器350は、本発明のシステムが単一の基材上に配置されるときに含まれる。この形態では、全ての三つの圧力センサ(P1、P2、及びP3)は基材上に配置され、基材は、チューブ430、バルブ420、分割器350、及びシステムの他の構成部品を含む。
【0030】
本発明の一つの実施形態では、圧力センサP3は、眼に近接して配置される。圧力センサP3は眼内において結膜の下に埋め込まれてもよい。斯かる場合、圧力センサP3は、大気圧と関連付けられうる圧力を測定する。例えば、真の大気圧は圧力センサP3の圧力数値の関数である。P3は、排水場所から隔てられた結膜下腔の乾いた部分360に配置されてもよい。場所に拘わらず、圧力センサP3は眼の付近において又は眼の表面において大気圧を測定することが意図される。
【0031】
概して、IOPは、ゲージ圧力数値、すなわち(P1によって測定されるような)眼内の絶対圧力と(P3によって測定されるような)大気圧との間の差である。典型的には約760mmHgの大気圧は大きさが10mmHg以上変化することが多い。加えて、大気圧は、患者が水泳、ハイキング、飛行機に乗船等をする場合、100mmHgを超えて著しく変化しうる。大気圧における斯かる変動は、IOPが典型的には約15mmHgの範囲内であるので重大である。このため、IOPの24時間監視の間、(P1によって測定されるような)前房についての圧力数値と、(P3によって測定されるような)眼の付近の大気圧についての圧力数値とを有することが望ましい。
【0032】
このため、本発明の一つの実施形態では、圧力数値は、実際のIOPが(P1−P3又はP1−f(P3)として)計算されうるように同時に又はほぼ同時にP1及びP3によって長時間に亘って採られる。P1及びP3の圧力数値はプロセッサ215によってメモリ220内に記憶されることができる。これらは、その後、長期間に亘る実際のIOPが医師によって解釈されうるようにメモリから読み込まれることができる。
【0033】
圧力センサP1、P2、及びP3は眼内における埋め込みに適切な任意のタイプの圧力センサでありうる。これら各々は同じタイプの圧力センサであり又は異なるタイプの圧力センサであってもよい。例えば、圧力センサP1及びP2は(眼内に埋め込まれた)同じタイプの圧力センサであり、圧力センサP3は(眼の付近における)異なるタイプの圧力センサである。
【0034】
本発明の別の実施形態では、圧力センサP1及びP2によって採られた圧力数値は、前房340から房水を排水する装置を制御するのに使用されうる。図4は、圧力センサP1及びP2の数値を利用する本発明のIOPセンサの一つの可能な用途の略図である。図4では、圧力センサP1は眼の前房340内の圧力を測定する。圧力センサP2は排水部位410において圧力を測定する。
【0035】
緑内障を制御すべく前房340から房水を排水するための非常に多くの装置が開発されてきた。これら装置のほとんどは、前房340から排水場所410へ房水を流すチューブの変形である。例えば、前房340から結膜下腔へ房水を流し、このため結膜の下に濾過胞を形成するチューブ、又は前房340から強膜下腔へ房水を流し、このため強膜の下に濾過胞を形成するチューブが開発されてきた。(濾過胞とは、結膜又は強膜の下に形成される流体のポケットであることに留意されたい。)他のチューブ設計は、前房から脈絡膜上腔、毛様体上腔、中心窩空間(juxta-uveal space)、又は脈絡膜へ房水を流す。他の用途では、チューブは、前房から、シュレム管、シュレム菅内のコレクタチャネル、又は強膜上静脈のような任意の多くの様々な血管へ房水を流す。いくつかのチューブでは前房から結膜の外側へ房水を流すことさえある。最後に、いくつかの用途ではチューブは全く使用されない。例えば、線維柱帯切除術(又は他のタイプの濾過手術)では、小さな穴が結膜下腔又は強膜下腔から前房にかけて作られる。この態様では、房水は前房から穴を通って結膜又は強膜の下の濾過胞へ排水される。房水が流れ込むこれら種々の解剖学的場所の各々は排水場所410の例である。
【0036】
図4では、一方の端部上にバルブ420を備えたチューブ430が、一方の端部が前房340内に位置し且つ他方の端部が排水場所410に位置する状態で配置される。この態様では、チューブ430は前房340から排水場所410へ房水を排水する。バルブ420は前房340から排水場所410への房水の流れを制御する。圧力センサP1は前房内に配置され又は前房340と流体連通する。図3の実施形態において示されるように、圧力センサP1はバルブ420の上流に配置される。この態様では、圧力センサP1は結膜下腔内に配置されるが前房340と流体連通している。
【0037】
圧力センサP1が前房340内の圧力を測定し、圧力センサP2が排水場所410において圧力を測定するので、これら二つの圧力センサ(P1−P2)によって採られる数値の差は前房340と排水場所410との間の圧力差の指標を与える。一つの実施形態では、この圧力差は前房340から排水場所410への房水の流量を決定する。
【0038】
前房340を排水場所410へ流す濾過手術に関連する一つの合併症が、低眼圧症、すなわち深刻な結果をもたらしうるIOPの危険な低下である。低眼圧症を防ぐように前房340から排水場所410への房水の流出率を制御することが望ましい。圧力センサP1及び圧力センサP2からの数値は、制御バルブ420によってチューブ430を通した流量を制御するのに使用されうる。例えば、バルブ420は圧力センサP1及び圧力センサP2からの圧力数値に基づいて制御されうる。
【0039】
本発明の別の実施形態では、(圧力センサP1及び圧力センサP3からの数値に基づく)IOPは制御バルブ420によって制御されうる。この態様では、IOPは制御パラメータである。バルブ420は(15mmHgのIOPのような)特定のIOPを維持すべく調整されうる。バルブ420は、特定のIOPを維持すべく日中よりも夜に多く開かれうる。他の実施形態では、IOPの低下が制御されうる。濾過手術の直後、IOPは急激に低下しうる。バルブ420は、圧力センサP1及びP3からの数値に基づいてIOPの漸進的な低下を容認するように調整されてもよい。
【0040】
本発明の別の実施形態では、圧力センサP2(又は圧力センサP2と、P3によって測定されるような大気圧との間の差)からの数値は、濾過胞の形態を制御するようにバルブ420を制御するのに使用されうる。濾過手術と関連した問題の一つが濾過胞の機能不全である。濾過胞は貧弱な構造又は線維形成のせいで機能不全になりうる。濾過胞における圧力は、濾過胞の形態を決定する一つの要因である。過剰な圧力によって、濾過胞が望ましくない場所へ移動せしめられ、又は線維形成が引き起こされうる。濾過胞の圧力は、(排水場所410において、この場合濾過胞において)圧力センサP2からの数値を使用することによって制御されうる。本発明の一つの実施形態では、(P2によって測定されるような)濾過胞における圧力と(P3によって測定されるような)大気圧との間の差が、所望の濾過胞圧力を維持すべくバルブ420を制御するのに使用されうる。この態様では、本発明のIOP圧力センサは、濾過胞を適切に維持するのにも使用されることができる。
【0041】
バルブ420はマイクロプロセッサ215又は適切なPID制御器によって制御されうる。(所望の流量に相当する)所望の圧力差が、バルブ420の作動を制御することによって維持されうる。同様に、所望のIOP、IOP変化率、又は濾過胞圧力が、バルブ420の作動を制御することによって制御されうる。
【0042】
バルブ420は、バルブとして描写されているが、前房340から排水場所410への房水の流れを測定し、制限し、又は容認する任意の多くの様々な流れ制御構造体であってもよい。加えて、バルブ420はチューブ430内のどこかに又はチューブ430に沿って配置されうる。
【0043】
最後に、本IOPセンサについての他の多くの同様な使用がある。例えば、様々な圧力数値は、チューブ420がいくつかの望ましくない態様において閉塞され又は遮られているかどうか判定するのに使用されうる。このようにして、排水装置の機能不全が検出されうる。前房340を排水場所410へ流す自己除去ルーメン(self clearing lumen)では、望ましくない障害物が、P1、P2、及び/又はP3の圧力数値に基づいて除去されうる。
【0044】
図5は、本発明の原理と一致したIOPセンサの端キャップの実装である。図5では、圧力センサP1及びP3が端キャップ510内に組み込まれる。端キャップ510は、流体密封シールを形成するようにチューブ430内に収まる。チューブ430の一方の端部は前房340内に存在し、(端キャップ510が配置される)チューブ430の他方の端部は前房340の外側に配置される。典型的には、チューブ430の一方の端部は前房340内に存在し、他方の端部は結膜下腔内に存在する。この態様では、圧力センサP1は前房340と流体連通する。前房340と、前房340と流体連通しているチューブ430の内部との間の圧力差がほとんどないので、圧力センサP1は前房340内の圧力を測定する。圧力センサP3は、前房340の外部にあり、且つ大気圧を測定し又は大気圧と関連付けられうる。
【0045】
典型的には、チューブ430は、緑内障濾過手術のときには、前房340を結膜下腔にブリッジすべく眼内に設置される。この場合、P3は結膜下腔に存在する。この形態では、P3は、大気圧に非常に近い圧力又は単純な機能の使用を通して大気圧に関連付けられうる圧力を測定する。プラグ510がチューブ430に流体密封シールを提供するので、圧力センサP3は圧力センサP1から分離される。このため、正確なIOP数値がP1の圧力数値とP3の圧力数値の間の差(P1−P3)として採られうる。一つの実施形態では、単一の薄膜520(典型的にはピエゾ抵抗結晶(piezoresistive crystal))が、センサパッケージ内に存在し、一方の側(チューブ側)においてP1に曝され且つ他方の側(分離側)においてP3に曝される。このため、膜520上の正味の圧力がセンサによって記録され、IOPに対応するゲージ数値が与えられる。
【0046】
図6A及び図6Bは図5の端キャップの実装の斜視図である。この実施形態では、圧力センサP1は、チューブ430の内側に配置されうるように端キャップ510の一方の端部上に配置される。圧力センサP3は、チューブ430の外側に配置されうるように端キャップ510の他方の端部上に配置される。膜520はP3からP1を隔てる。この態様では、圧力センサP1は圧力センサP3から分離される。圧力センサP1及びP3は、端キャップ510内の膜520の両面上に配置されるように描写されているが、圧力測定を促進すべく任意の適切な位置において端キャップ510と一体に配置されてもよい。
【0047】
図7A及び図7Bは、本発明の原理に係るルーメン除去バルブの斜視図であり、ルーメン除去バルブは制御バルブ420として働くことができる。図7A及び図7Bでは、ルーメン除去バルブ700は、チューブ710、ハウジング720、アクチュエータ730、作動アーム740、テーパー状アーム750、圧力センサP1、及び圧力センサP2を含む。図3及び図4を参照して前述されたように、チューブ710の一方の端部は前房内に配置され、チューブ710の他方の端部はハウジング720に接続される。圧力センサP1は前房内の圧力を監視する。アクチュエータ730はハウジング720内に配置される。アクチュエータ730は作動アーム740に接続され、順に作動アーム740はテーパー状アーム750に堅く接続される。テーパー状アーム750はチューブ710のルーメン内に延在するように構成される。圧力センサP2はハウジング720の流出領域(すなわち排水場所)に配置される。矢印は前房から排水場所への房水の流れを示す。
【0048】
ハウジング720は、概して平らであるが、眼の湾曲に適合する僅かな湾曲を有してもよい。ハウジング720はアクチュエータ730を保持する。ハウジング720は作動アーム740及びテーパー状アーム750も保持する。チューブ710は、ハウジング720の内部に配置されたチャネルに流体的に接続される。このチャネルは前房から(チューブ710を通して)排水場所へ房水を伝える。ハウジング720はステンレス鋼のような任意の多数の様々な生体適合性材料から作られることができる。
【0049】
アクチュエータ730は所定の平面において作動アーム740を前後に動作させる。この態様では、作動アーム740は、力がアクチュエータ730によって適用されると、振動し又は往復運動する。テーパー状アーム750が作動アーム740に堅く接続されているので、テーパー状アーム750もチューブ710内において振動し又は往復運動する。アクチュエータ730は、任意の多くの様々な公知の方法、例えば電磁作動、静電作動、圧電作動、又は形状記憶合金材料による作動に基づく。作動アーム740は低繰り返し率(例えば数ヘルツ)又は高作動率(例えば超音波)でアクチュエータ730によって動作されうる。
【0050】
テーパー状アーム750は、チューブ710内に収まるような大きさに作られる。この態様では、テーパー状アーム750は、チューブ710を遮断している任意の材料を除去すべくチューブ710内において前後に振動するように作られることができる。テーパー状アーム750は、チューブ710内に配置される概して鋭利な端部を有する。示されるように、テーパー状アーム750は大きなテーパー部も有し、大きなテーパー部は、チューブ710を通した流れを制限するように働くことができ、このため、バルブとして機能する。この態様では、テーパー状アーム750は、チューブ710を遮断している材料を除去すべく振動せしめられうるだけではなく、チューブ710を通した流れを部分的に遮る位置に動作されることもできる。アーム750のテーパー状の設計は、ハウジング720及びチューブ710に対してアーム750の位置を変化させることによって、チューブ710を通した流れの制限レベルを変化させることを可能とする。
【0051】
テーパー状アーム750は、バルブとして使用されるとき、排水場所に入って前房から出る房水の量を制限することができる。房水流れを制御することは、濾過手術後の低眼圧症の可能性を低減し、適切なIOPを維持し、且つ排水場所における淀んだ房水の量を制御することができる。排水場所が結膜下の濾過胞であるとき、濾過胞における淀んだ房水の量を制御することは、濾過胞の適切な形態を維持し且つ線維形成の量を低減することを補助することができる。濾過胞における過剰な淀んだ房水は線維形成をもたらしうる。線維芽細胞が淀んだ房水内に生じ且つ濾過胞壁における過剰な張力(すなわち濾過胞における高すぎる圧力)が濾過胞の機能不全を引き起こしうると仮定されてきた。このため、バルブとしてのテーパー状アーム750の使用は、これら有害な副作用の可能性を減らす適切な濾過胞のメンテナンスをもたらすことができる。
【0052】
ルーメン除去バルブシステム700は、上述されたようにP1、P2及びP3からの数値に基づいて制御されうる。本発明のルーメン除去バルブシステム700は、MEMSプロセスを使用して作られることができ、MEMSプロセスでは、ハウジング720の一部を形成する基材上に層が堆積される。現在利用可能な緑内障排水装置と同様に、ルーメン除去バルブシステム700の全ての要素は、排水場所に延在するプレートの上若しくは下に配置され又はプレート内に組み込まれうる。
【0053】
図8は、本発明の原理に係る線維除去部材を備えたルーメン除去バルブの斜視図である。図8の実施形態は、図8が排水場所に配置されるニードルヘッド810も描写することを除いて、図7の実施形態と同様である。典型的には、排水場所は結膜下腔内にある。この態様では、結膜下腔内の濾過胞は、ハウジング710から出る房水を受容する。ニードルヘッド810は、濾過胞を保ち、線維を除去し、又は(濾過胞の機能不全の一つの原因である)線維形成を低減すべく振動せしめられうる。この態様では、作動アーム740が動作されると、ニードルヘッド810は排水場所(この場合、濾過胞)において動作される。ニードルヘッド810は線維を取り除き且つ繊維性組織の構築を妨げることができる。
【0054】
図9は、本発明の原理に係る線維形成を除去するための房水分散部材を備えたルーメン除去バルブの斜視図である。図9の実施形態は、図9が排水場所に配置されるニードルヘッド910も描写することを除いて、図7の実施形態と同様である。この実施形態では、ニードルヘッド910は、排水場所において線維を除去し且つ/又は排水場所へ房水を分散するように働くことができる。ハウジング920の出口端部は、房水が排水場所へ流れることを可能とすべく開いている。ニードルヘッド910はハウジング内の出口の近くに配置される。ニードルヘッド910は、振動すると房水が排水場所に分散されるように概して幅広であり且つ先が丸い。流体がチューブ710からマイクロチャネル930を介して排水場所へ進み、マイクロチャネル930は典型的にはニードルヘッド910にエッチングされる。房水の分散は、より適切に濾過胞の形態を管理すべく、排水場所においてより大きな有効領域を提供し、濾過胞の高さを減らし、且つ/又は濾過胞の圧力を減少させることによって、典型的には濾過胞の形成及び/又は線維の成長によって生成される排水場所における抵抗の形成を低減することを補助することができる。加えて、房水の分散は、典型的には濾過胞の形成及び/又は線維の成長によって生成される排水場所に関連した流れ抵抗を克服する機械的手段を提供することによって排水の流れを補助することができる。
【0055】
図10は、本発明の原理に係るハイブリッド外側部材を備えたルーメン除去バルブの斜視図である。図10の実施形態は図9の実施形態と同様である。図10では、幅広なニードルヘッド1010及び付加的な排水穴1030によって、排水場所(典型的には結膜下の濾過胞)において房水の広範な分散が可能となる。流体がチューブ710からマイクロチャネル930を介して排水場所へ進み、マイクロチャネル930は典型的にはニードルヘッド1010にエッチングされる。図10では、ハウジング1020は、複数の排水穴1030を含む幅広な出口端部を有する。加えて、ハウジング1020の幅広な端部は、房水がこの広範な開口を通って流れることを可能とすべく開いている。このため、図10の実施形態では、房水は前房からチューブ710及びハウジング1020を通って排水穴1030及びハウジング1020の幅広な端部から出て排水場所に流れ込む。ニードルヘッド1010は、振動せしめられると、排水場所から線維を除去するように働くことができる。ニードルヘッド1010は房水を排水場所へ分散させることもできる。
【0056】
図7〜図10の実施形態は二つの異なるモードすなわちルーメン除去モード及びバルブモードにおいて作動せしめられることができ、テーパー状アーム750は、ルーメン除去モードでは振動し又は動作し、且つバルブモードではチューブ710を通した流体流れを制限すべく特定の位置において維持される。ルーメン除去モードでは、テーパー状アーム750は、チューブ710の内部及び/又は排水場所から線維性材料を除去すべく動作され又は振動せしめられる。ルーメン除去モードでは、テーパー状アーム750は、排水場所において房水を分散することを補助することもできる。
【0057】
テーパー状アーム750は、バルブとして作動するとき、チューブ710を通した房水の流れを制限すべく特定の位置において維持されうる。図3〜図6に関して上述されたような圧力センサP1、P2、及び/又はP3からの圧力数値に基づいてテーパー状アーム750の位置を長時間に亘って変化させることができる。この態様では、以下のいずれか、すなわちIOP、濾過胞内の圧力、流体の流量等がテーパー状アーム750の制御についての基礎となりうる。
【0058】
図11Aは、本発明の原理に係る二つのルーメンのバルブ及び圧力センサシステムの略図である。図11Aでは、アクティブバルブ/ルーメン除去システムのチューブ710が前房と排水場所とをブリッジする。第2チューブ430が、図5において記述されたような端キャップ510を含む。図11Aのシステムでは、図5及び図6の圧力センサと図7〜図10のアクティブバルブ/ルーメン除去装置とが組み合わされ、後者は制御バルブ420として働くことができる。この態様では、一方のチューブ(430)がIOPを測定するのに使用され、一方、第2チューブ(710)が房水を排水するために使用されうる。乾いた場所360と端キャップ510のP3感知部との間の流体連通がチューブ1100によって提供されうる。図11Bは別の可能な構成であり、図11Bでは単一のチューブが前房340内に存在する。図11Bでは、端キャップ510はチューブ430における開口に配置される。
【0059】
図12A及び図12Bは二つの管の断面図であり、二つの管は本発明のシステムと共に使用されうる。図12Aでは、二つのルーメン430及び710が単一のチューブ内に収容される。図12Aはこの二つ孔の管構成を示す。図12Bでは、二つのルーメン430及び710は、互いに結合される二つの別個のチューブ内に収容される。図12Bはこの直線的な二つの管の構成を示す。二つのルーメンの装置の他の変形が本発明と併せて使用されてもよい。
【0060】
図13は、本発明の原理に係る二つのルーメンのバルブ及び圧力センサシステムの斜視図である。図13では、二つのチューブ430及び710が一方の端部(前房内に存在する端部)において接続され且つ他方の端部(この場合、結膜下腔内に存在する端部)において隔てられる。チューブ430が、IOPを測定する端キャップ510を有する。チューブ710がテーパー状アーム750を受容する。テーパー状アーム750は、チューブ710の内部をきれいにするように働くことができる。チューブ750は、チューブ710の内部を部分的に又は完全に閉塞できるバルブとして作用することもできる。テーパー状アーム750は、図7〜図10において描写されたシステムのいずれかに接続される。障壁350が、710の出口、典型的には排水場所410からP3を隔てる。この態様では、P3は「乾いた」空間360内にあり且つ大気圧の近似値を測定する。(テーパー状アーム750に近接して示された)710の出口端部は、「濡れた」空間又は410のような排水場所に配置される。上記されたように、P2はこの「濡れた」空間に配置される。
【0061】
圧力監視システム又はアクティブな排水システムのための電力が、上述されたように電源205によって供給されうる。図2において示されたように、電源205は発電機1410に接続される。発電機1410の一つの例が図14において示される。図14では、発電機1410は、ローター1430に接続されたマイクロ発電機1420を有する。この例では、ローター1430が回転すると、マイクロ発電機1420は電力を生成する。このようにして、発電機1410の作動は任意の従来の発電機の作動に非常に似ている。ローター1430が、シャフトに接続された四個のパドルを有するように示されているが、任意のローター設計が用いられうる。さらに、流体流れを電力に変換する任意の他のタイプの装置が用いられてもよい。図14は一つの例であることのみが意図されている。
【0062】
発電機1410は前房340から排水場所410への房水の流体流れを利用することができる。あらゆる緑内障排水装置の一般的な目的が前房340から排水場所410へ房水を流すことであるので、房水は前房340から(この場合、チューブ430のようなチューブを通って)排水場所410へ流れる。前房340における流体圧力と排水場所410における流体圧力との間には自然な圧力差がある。この圧力差によって、房水が前房340から排水場所410へ流れるようになる。発電機1410はこの房水の流体流れを電力に変換する。
【0063】
典型的な例では、チューブ430を通って流れる房水は、毎分約2マイクロリットルの房水流量に基づいて毎分約1回転でローター1430を回転させる。前房340と排水場所410との間の圧力差が約8mmHgである場合、伝送可能な潜在的な電力は一日当たり約25ナノワット(又は約2ミリジュールのエネルギー)である。この電力は、電源205において貯蔵されることができ、且つ、この用途において記述されたシステム(圧力センサ、テレメトリー、アクティブバルブ等)に電力供給するのに使用されうる。
【0064】
図15は、本発明の原理に係るローターの一つの実施形態の端面図である。図15では、ローター1430は、四個のパドルに接続されたシャフトを有する。ローター1430は、チューブを通した流体流れを利用すべくチューブ430内に配置される。矢印は、チューブ430を通した房水の流体流れの方向と、ローター1430の対応する回転方向とを示す。記されたように、図15はローター1430についての多くの可能な形態のうちの一つを描写する。
【0065】
図16は、本発明の原理に係る緑内障排水システムにおける発電機の一つの可能な場所の略図である。図16の例では、発電機1410はチューブ430内に又はチューブ430に沿って配置される。チューブ430は前房340を排水場所410へ流す。バルブ420は、前述されたようなチューブ430の端部に配置される。この例では、発電機1410によって発生せしめられた電力は、バルブ420(及びシステムの他の構成要素)に電力供給するのに使用される。
【0066】
図17は、本発明の原理に係る緑内障排水システムにおける発電機の別の可能な場所の略図である。図17の例では、発電機1410はチューブ430の端部に配置される。ここでは、発電機1410は、二つの機能を行い、すなわち電力を発生し且つバルブとして作用する。発電機1410がチューブ430を通した流体の流れに抗するので、この流れ抵抗は、チューブ430を通した房水の流量を制御するのに使用されうる。言い換えれば、発電機1410はアクティブバルブとして作動されうる。さらに、ローターの回転は、(上述されたように)ルーメンをきれいにするように機能することができる。
【0067】
図17の例では、マイクロ発電機1420が、ローター1430の流れ抵抗を変更すべく制御されうる。マイクロ発電機1420が(典型的な発電機のような)単一の磁気コア及びコイルの発電機であるとき、磁気コアとコイルとの間の距離は、ローター1430を回転させるのに必要な力を変更すべく変更されうる。ローター1430を回転させるのに必要な力が大きければ大きいほど、チューブ430を通した房水流れに対する抵抗は大きくなる。逆に、ローター1430を回転させるのに必要な力が小さければ小さいほど、チューブ430を通した房水流れに対する抵抗は小さくなる。房水流れに対するこの抵抗は、所望のIOPを維持するのに制御されうる。
【0068】
緑内障排水装置が発電機を有し又は貯蔵されたエネルギーで作動するかに拘わらず、装置を作動する電力節約方法は有益である。図18は、電力を節約するように本発明の緑内障排水装置を作動する一つの方法のフローチャートである。1810において、システムに電力が提供される。1820において、IOPが測定される。IOPは上述されたように測定されうる。IOPが所定の範囲内にある場合、その後1830において、装置が、時間Xの間、電源オフされる(すなわちスリープモードにされる)。IOPが所定の範囲外にある場合、その後1840において、バルブが適宜調整される。1850において、IOPが測定される。IOPが所定の範囲内にある場合、その後1830において、装置が、時間Xの間、電源オフされる(すなわちスリープモードにされる)。IOPが所定の範囲外にある場合、その後1840において、バルブが適宜調整される。この反復する工程を、IOPを所望の範囲内に維持すべく必要に応じて繰り返すことができる。
【0069】
したがって、図18において描写された操作を用いて、本発明の緑内障排水装置は周期的にIOPを測定し且つ適宜調整する。IOP測定間の時間間隔Xは任意の時間周期である。例えば、IOPは10分毎に又は1時間毎に測定されうる。IOPの数値が所定の範囲内にあり又は範囲外にあるかを判定する値の範囲が設定されうる。例えば、15mmHgよりも上のIOPは高すぎるとみなされる。15mmHgよりも上のIOPの測定値が採られた場合、その測定値は範囲外であり、バルブが適宜調整される。1850におけるIOP測定は、バルブを調整すべく任意の時間間隔において繰り返されてもよい。例えば、1850におけるIOPの読込は、バルブを調整する工程において1分毎に繰り返されてもよい。
【0070】
上記から、本発明が、IOPセンサによって制御されうるルーメン除去バルブを提供することが理解されうる。本発明は、ルーメンをきれいにし、房水を分散し、且つ/又は排水場所から線維性材料を除去することができるバルブ状装置を提供する。本発明は、斯かるシステムに電力供給するのに使用されうる埋め込み可能な発電機も提供する。本発明は本明細書において例によって示され、様々な修正が当業者によってなされうる。
【0071】
本発明の他の実施形態が、本明細書と、本明細書において開示された本発明の実施例とを考慮すると、当業者にとって明らかであるだろう。本明細書及び例が単なる模範的なものとしてみなされ、本発明の真の範囲及び思想は以下の特許請求の範囲によって示されることが意図されている。
【技術分野】
【0001】
本願は、2010年7月16日に出願された米国特許出願シリアル番号12/837803の優先権の利益を主張し、米国特許出願シリアル番号12/837803は、2010年1月12日に出願された米国特許出願シリアル番号12/685772の一部継続出願であり、米国特許出願シリアル番号12/685772は、2009年10月30日に出願された米国特許出願シリアル番号12/609043の一部継続出願であり、米国特許出願シリアル番号12/609043は、2009年9月21日に出願された米国特許出願シリアル番号12/563244の一部継続出願である。
【0002】
本発明は、電力を節約するように作動される緑内障排水装置に関する。
【背景技術】
【0003】
緑内障、並びに網膜及び視神経に影響する一群の眼疾患は、世界中で失明をもたらす主要因の一つである。緑内障は、眼内圧力(IOP)が、長時間に亘って正常よりも高い圧力に増大すると生じる。IOPは、房水の生成と排水との不均衡によって増大しうる。未治療のままにしておくと、上昇したIOPが視神経および網膜繊維に回復不能な損傷をもたらし、このことは進行性の永久的な視力喪失を引き起こす。
【0004】
眼の毛様体上皮は、眼の前房(角膜と虹彩との間の空間)を満たす透明な流体である房水を絶えず生成する。房水は、複雑な排水システムであるぶどう膜強膜経路を通して前房から流れ出る。房水の生成と排水との間の微妙なバランスが眼のIOPを決定する。
【0005】
(慢性開放隅角又は原発開放隅角とも称される)開放隅角が緑内障の最も一般的なタイプである。このタイプでは、眼の前方構造が正常であるようにみえたとしても、房水が前房内において徐々に増え、IOPの上昇が引き起こされる。未治療のままにしておくと、このことは視神経及び網膜の永久的な損傷をもたらしうる。一般的には、眼圧を下げるために点眼薬が処方される。場合によっては、IOPを薬物療法で十分に制御することができなければ外科手術が行われる。
【0006】
人工の約10%のみが急性閉塞隅角緑内障を患う。急性の隅角の閉塞は眼の前方における構造の異常な状態によって生じる。これら多くの場合、虹彩と角膜との間の空間は正常よりも狭く、房水が通過するための小さなチャネルが残される。房水の流れが完全に遮断されると、IOPが急に上昇し、急激な隅角の閉塞が発症する。
【0007】
続発性緑内障は、別の病気の結果、又は、炎症、外傷、既往手術、糖尿病、腫瘍、及び所定の薬剤のような眼内における問題の結果として生じる。このタイプについて、緑内障とその根本的な問題との両方が治療されなければならない。
【0008】
図1は緑内障の過程を説明するのを助ける眼の前方部分の略図である。図1では、水晶体110、角膜120、虹彩130、毛様体140、小柱網150、及びシュレム管160の描写が描かれている。解剖学上、眼の前房は緑内障を引き起こす構造を含む。房水は毛様体140によって生成され、毛様体140は虹彩130の下に位置し且つ前房内において水晶体110に近接する。この房水は、水晶体110および虹彩130に押し寄せて、前房の隅角に配置された排水システムに流れる。眼の周りに周方向に延在する前房の隅角は、房水が排水されることを可能にする構造を含む。その第1の構造であり且つ一般的に緑内障と最も関連する構造が小柱網150である。小柱網150は、隅角において前房の周りに周方向に延在する。小柱網150は、フィルタとして作用するように見え、房水の流出を制限し、且つIOPを生成する背圧を提供する。シュレム管160は、小柱網150を越えて配置される。シュレム管160はコレクタチャネルを有し、コレクタチャネルは房水が前房から流れ出ることを可能とする。図1の前房における二つの矢印は、毛様体140から水晶体110及び虹彩130を越えて小柱網150を通ってシュレム管160及びそのコレクタチャネル内へと流れる房水の流れを示す。
【0009】
緑内障患者において、IOPは24時間広範に変化しうる。一般的には、IOPは、薬剤が、起きているときに投与される前の早朝の時間帯において最も高い。高い圧力は視神経に損傷を与えて失明を引き起こしうる。したがって、IOPを制御するアクティブな緑内障排水装置を有することが望ましいであろう。
【発明の概要】
【0010】
本発明の原理と一致した一つの実施形態では、本発明は、緑内障排水装置であって、眼の前房と排水場所との間に配置されるように構成されたアクティブバルブと、アクティブバルブに接続された電源と、電源に接続されたコントローラとを具備し、コントローラが、圧力に基づいて電源からアクティブバルブへの電力を指示する、緑内障排水装置である。
【0011】
本発明の原理と一致した別の実施形態では、本発明は、眼内圧力センサシステムであって、眼の前房と流体連通して配置された第1圧力センサと、大気圧を測定し又は大気圧の近似値を求めるように第1圧力センサから離隔されて配置された離隔圧力センサと、第1圧力センサ及び第2圧力センサを読み込むように構成されたコントローラと、コントローラに接続された電源とを具備し、第1圧力センサからの数値と離隔圧力センサからの数値との間の差が眼内圧力に近似し、さらに、コントローラが、所定の時間周期中に一度、第1圧力センサ及び第2圧力センサを読み込む、眼内圧力センサシステムである。
【0012】
本発明の原理と一致した別の実施形態では、本発明は、眼内圧力センサシステムであって、眼の前房と流体連通して配置された第1圧力センサと、排水場所に配置された第2圧力センサと、第1圧力センサ及び第2圧力センサを読み込むように構成されたコントローラと、コントローラに接続された電源とを具備し、第1圧力センサからの数値と第2圧力センサからの数値との間の差が前房と排水場所との間の圧力差に近似し、さらに、コントローラが、所定の時間周期中に一度、第1圧力センサ及び第2圧力センサを読み込む、眼内圧力センサシステムである。
【0013】
本発明の原理と一致した別の実施形態では、本発明は、眼内圧力センサシステムであって、排水場所に配置された第1圧力センサと、大気圧を測定し又は大気圧の近似値を求めるように第1圧力センサから離隔されて配置された離隔圧力センサと、第1圧力センサ及び第2圧力センサを読み込むように構成されたコントローラと、コントローラに接続された電源とを具備し、第1圧力センサからの数値と離隔圧力センサからの数値との間の差が排水場所における圧力に近似し、さらに、コントローラが、所定の時間周期中に一度、第1圧力センサ及び第2圧力センサを読み込む、眼内圧力センサシステムである。
【0014】
本発明の原理と一致した別の実施形態では、本発明は、緑内障排水装置であって、眼の前房と排水場所との間に配置されるように構成されたアクティブバルブと、アクティブバルブに接続された電源と、電源に接続されたコントローラと、前房と流体連通して配置された第1圧力センサと、排水場所に配置された第2圧力センサと、第1圧力センサ及び第2圧力センサから離隔されて配置された第3圧力センサとを具備し、コントローラが、所定の時間周期中に一度、第1圧力センサ、第2圧力センサ、及び第3圧力センサを読み込む、緑内障排水装置である。
【0015】
前述の一般的な説明及び以下の詳細な説明の両方が、模範的なものであり説明のためにのみ存在し、且つ、特許請求の範囲に記載されるような発明の更なる説明を提供することが意図されていることが理解されるべきである。以下の説明及び本発明の実施例が本発明の追加の利点及び目的を説明し且つ提案する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、眼の正面部分の略図である。
【図2】図2は、本発明の原理に係るIOP測定システムのブロック図である。
【図3】図3は、本発明の原理に係るIOPセンサの略図である。
【図4】図4は、本発明のIOPセンサの可能な一つの用途の略図である。
【図5】図5は、本発明の原理と合致したIOPセンサの端キャップの実装(implementation)である。
【図6A】図6Aは、本発明の原理に合致したIOPセンサの端キャップの実装の斜視図である。
【図6B】図6Bは、本発明の原理に合致したIOPセンサの端キャップの実装の斜視図である。
【図7A】図7Aは、本発明の原理に係る、ルーメン除去バルブ(lumen clearing valve)の斜視図である。
【図7B】図7Bは、本発明の原理に係る、ルーメン除去バルブの斜視図である。
【図8】図8は、本発明の原理に係る線維除去部材を備えたルーメン除去バルブの斜視図である。
【図9】図9は、本発明の原理に係る線維形成を除去するための房水分散部材を備えたルーメン除去バルブの斜視図である。
【図10】図10は、本発明の原理に係るハイブリッドな外側部材を備えたルーメン除去バルブの斜視図である。
【図11A】図11Aは、二つのルーメン型を含む本発明の原理に係るバルブの端キャップの実装と圧力センサシステムとを描写する。
【図11B】図11Bは、単一のルーメン型を含む本発明の原理に係るバルブの端キャップの実装と圧力センサシステムとを描写する。
【図12A】図12Aは、本発明のシステムと共に使用されうる二つの管の断面図である。
【図12B】図12Bは、本発明のシステムと共に使用されうる二つの管の断面図である。
【図13】図13は、本発明の原理に係る二つのルーメンのバルブ及び圧力センサシステムの斜視図である。
【図14】図14は、本発明の原理に係る発電機の斜視図である。
【図15】図15は、本発明の原理に係るチューブに配置されたローターの端面図である。
【図16】図16は、本発明の原理に係る緑内障排水システムにおける発電機の一つの可能な場所の略図である。
【図17】図17は、本発明の原理に係る緑内障排水システムにおける発電機の別な可能な場所の略図である。
【図18】図18は、本発明の緑内障排水装置を作動する一つの方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書に取り込まれ且つ本明細書の一部を構成する添付の図面が、説明と共に本発明のいくつかの実施形態を示して、本発明の原理を説明するのに役立つ。
以下、本発明の模範的な実施形態が詳細に参照され、それらの例が添付の図面において示される。可能な限り、同一の参照番号が、図面を通して同一又は同様の部品を参照するのに使用される。
【0018】
図2は、本発明の原理に係るIOP測定システム200のブロック図である。図2では、IOP測定システムは、電源205、(P1、P2、及び/又はP3を含みうる)IOPセンサ210、プロセッサ215、メモリ220、データ伝送モジュール225、及び随意的なスピーカー230を含む。
【0019】
電源205は、典型的にはリチウムイオンバッテリー又はリチウムポリマーバッテリーのような充電可能なバッテリーであるが、他のタイプのバッテリーが用いられてもよい。加えて、任意の他のタイプの動力電池(power cell)が電源205に適切である。電源205は、システム200、特にプロセッサ215に電力を提供する。電源はRFIDリンク又は他のタイプの磁気結合を介して充電されることができる。
【0020】
本発明の別の実施形態では、電源205は、以下に説明されるような発電機1410によって発生せしめられた電荷を貯蔵するコンデンサである。他のタイプの電荷貯蔵装置又はエネルギー貯蔵装置が、電源205を実装するのに用いられてもよい。以下により完全に説明されるように、発電機1410は電源205に接続される。
【0021】
典型的には、プロセッサ215は、ロジック機能を実行できる、電源ピン、入力ピン、及び出力ピンを備えた集積回路である。様々な実施形態において、プロセッサ215は、対象となる装置のコントローラである。斯かる場合、プロセッサ215は、データ伝送モジュール225、スピーカー230、電源205、又はメモリ220のような特定の装置又は構成要素を対象とする特定の制御機能を実行する。他の実施形態では、プロセッサ215はマイクロプロセッサである。斯かる場合、プロセッサ215は、装置の一つよりも多い構成要素を制御するように機能できるようにプログラム可能である。他の場合、プロセッサ215は、プログラム可能なマイクロプロセッサではなく、代わりに、種々の機能を実行する種々の構成要素を制御するように構成された特殊用途のコントローラである。
【0022】
メモリ220は典型的にはNANDフラッシュメモリのような半導体メモリである。半導体メモリのサイズが非常に小さく且つシステム200のメモリ要求が小さいので、メモリ220はシステム200の非常に小さな設置面積(footprint)を占める。メモリ220はプロセッサ215と連動する。このようにして、プロセッサ215はメモリ220に書き込み且つメモリ220から読み込むことができる。例えば、プロセッサ215は、IOPセンサ210からデータを読み込んでそのデータをメモリ220に書き込むように構成されることができる。この態様では、一連のIOPの数値がメモリ220内に記憶されることができる。プロセッサ215は、他の基本的なメモリ機能、例えば、メモリ220を消去し又は上書きする機能と、メモリ220がいっぱいになったときを検出する機能と、半導体メモリを管理することに関連する他の一般的な機能とを実行することもできる。
【0023】
データ伝送モジュール225は任意の多くの様々なタイプのデータ伝送を用いることができる。例えば、データ伝送モジュール225は無線機のような能動装置である。データ伝送モジュール225はRFIDタグ上のアンテナのような受動装置であってもよい。この場合、RFIDタグはメモリ220とアンテナの形態のデータ伝送モジュール225とを含む。その後、RFIDリーダーが、メモリ220にデータを書き込み又はメモリ220からデータを読み込むべくシステム200の近くに設置されることができる。典型的には(一定の時間に亘るIOPの数値から成る)メモリ220内に記憶されるデータの量が小さいであろうから、データが転送される速度はあまり重要ではない。メモリ220内に記憶されてデータ伝送モジュール225によって伝送されうる、他のタイプのデータが、限定されるものではないが、電源データ(例えばローバッテリー、バッテリー不良)、スピーカーデータ(警告音、警告声(warning voice))、IOPセンサデータ(IOPの数値、問題の状況)、及びこれらと均等なものを含む。
【0024】
随意的なスピーカー230は、危険な状況が存在するときに患者に警告音又は警告声を提供する。例えば、IOPが、患者に損傷をもたらし又は患者にリスクを与える可能性があるレベルである場合、スピーカー230は、医学的な治療を求め又は点眼剤を投与するように患者を警告すべく警告音を出すことができる。プロセッサ215はIOPセンサ210からIOPの数値を読み込む。プロセッサ215は、閾値よりも大きい一つの又は一連のIOPの数値を読み込んだ場合、その後、警告音を出すようにスピーカー230を作動させることができる。閾値は設定されてメモリ220内に記憶されることができる。この態様では、IOPの閾値は医者によって設定されることができ、IOPの閾値が超えられると、警告音が出されうる。
【0025】
代替的に、データ伝送モジュールは、二次装置、例えば、PDA、携帯電話、コンピュータ、腕時計、この目的だけのためのカスタム装置、リモートアクセス可能なデータ保存サイト(例えばインターネットサーバー、電子メールサーバー、テキストメッセージサーバー)、又は他の電子装置に、上昇したIOPの状況を通信するように作動されてもよい。一つの実施形態では、個人の電子装置がリモートアクセス可能なデータ保存サイト(例えば、インターネットサーバー、電子メールサーバー、テキストメッセージサーバー)にデータをアップロードする。情報が、例えば医療関係者によってリアルタイムに見られうるようにリモートアクセス可能なデータ保存サイトにアップロードされうる。この場合、二次装置はスピーカー230を含んでもよい。例えば、病院の環境において、患者が緑内障手術を受けてシステム200が埋め込まれた後、二次装置は患者の病院ベッドの隣に配置されうる。IOPの変動が(高い側と、同様に危険な状況である低い側との両方において)緑内障手術後によく起こるので、プロセッサ215は、埋め込まれたIOPセンサ210によって作られたIOPの数値を読み込むことができる。プロセッサ215が危険なIOPの状況を読み込んだ場合、データ伝送モジュール225は、スピーカー230を介して又は危険な数値を二次装置に送信することによって患者及び医療スタッフを警告することができる。
【0026】
斯かるシステムは病院の環境外での使用についても適切である。例えば、危険なIOPの状況が存在する場合、プロセッサ215は、可聴な警告音を出すようにスピーカー230を作動させることができる。その後、患者は警告されて医学的な治療を求めることができる。警告は多数の態様において医療専門家によって止められることができる。例えば、データ伝送モジュール225がRFIDタグであるとき、RFIDリンクが外部装置とシステム200との間に築かれることができる。この外部装置は、スピーカー230の電源を切るためにシステム200と通信することができる。代替的に、光信号がシステム200によって読み込まれてもよい。この場合、データ伝送モジュール225は光受容器を有し、光受容器は一連の光パルスを受容することができ、一連の光パルスは、指令、例えばスピーカー230の電源を切るための指令を表す。
【0027】
図3は、本発明の原理に係るIOPセンサの略図である。図3では、IOPセンサは、三つの圧力センサ、P1、P2、及びP3と、排水チューブ430と、バルブ420と、分割器350とから成る。圧力センサP1は前房340内に配置され又は前房340と流体連通し、圧力センサP2は結膜下腔内の排水部位に配置され、圧力センサP3はP1及びP2から離隔されて配置される。圧力センサP1は、前房と流体連通しているルーメン又はチューブ内に配置されてもよい。このようにして、圧力センサP1は前房内の圧力を測定し、圧力センサP2は排水部位において圧力を測定し、圧力センサP3は概して大気圧を測定し又は大気圧に対応する。
【0028】
図3では、チューブ430は眼の前房340から房水を排水する。バルブ420が、チューブ430を通る房水の流れを制御する。圧力センサP1は、バルブ420の上流であり且つ前房340の下流において、チューブ430内の圧力を測定する。この態様では、圧力センサP1は前房340内の圧力を測定する。P1が前房の下流においてチューブ内に配置されるとき(P1が強膜と結膜との間に配置されるときでさえ)、真の前房の圧力と、P1によって測定された圧力との間の期待される測定相違は非常に小さい。例えば、パイプ流れについてのポアズイユの法則は、水の毎分3マイクロリットルの流量について、0.300ミリメーターの内径を有する5ミリメートルの長いチューブを横切る0.01mmHgの圧力低下を予測する。
【0029】
分割器350は圧力センサP3から圧力センサP2を隔てる。圧力センサP2は排水部位(例えば図4における410)において配置される。このようにして、圧力センサP2は、概して房水を収容するポケットにおいて配置され、すなわち濡れた場所410に位置する。圧力センサP3は物理的に分割器350によって圧力センサP2から隔てられる。分割器350は、P3の乾いた場所360からP2の濡れた場所410を隔てる物理的な構造体である。分割器350は、本発明のシステムが単一の基材上に配置されるときに含まれる。この形態では、全ての三つの圧力センサ(P1、P2、及びP3)は基材上に配置され、基材は、チューブ430、バルブ420、分割器350、及びシステムの他の構成部品を含む。
【0030】
本発明の一つの実施形態では、圧力センサP3は、眼に近接して配置される。圧力センサP3は眼内において結膜の下に埋め込まれてもよい。斯かる場合、圧力センサP3は、大気圧と関連付けられうる圧力を測定する。例えば、真の大気圧は圧力センサP3の圧力数値の関数である。P3は、排水場所から隔てられた結膜下腔の乾いた部分360に配置されてもよい。場所に拘わらず、圧力センサP3は眼の付近において又は眼の表面において大気圧を測定することが意図される。
【0031】
概して、IOPは、ゲージ圧力数値、すなわち(P1によって測定されるような)眼内の絶対圧力と(P3によって測定されるような)大気圧との間の差である。典型的には約760mmHgの大気圧は大きさが10mmHg以上変化することが多い。加えて、大気圧は、患者が水泳、ハイキング、飛行機に乗船等をする場合、100mmHgを超えて著しく変化しうる。大気圧における斯かる変動は、IOPが典型的には約15mmHgの範囲内であるので重大である。このため、IOPの24時間監視の間、(P1によって測定されるような)前房についての圧力数値と、(P3によって測定されるような)眼の付近の大気圧についての圧力数値とを有することが望ましい。
【0032】
このため、本発明の一つの実施形態では、圧力数値は、実際のIOPが(P1−P3又はP1−f(P3)として)計算されうるように同時に又はほぼ同時にP1及びP3によって長時間に亘って採られる。P1及びP3の圧力数値はプロセッサ215によってメモリ220内に記憶されることができる。これらは、その後、長期間に亘る実際のIOPが医師によって解釈されうるようにメモリから読み込まれることができる。
【0033】
圧力センサP1、P2、及びP3は眼内における埋め込みに適切な任意のタイプの圧力センサでありうる。これら各々は同じタイプの圧力センサであり又は異なるタイプの圧力センサであってもよい。例えば、圧力センサP1及びP2は(眼内に埋め込まれた)同じタイプの圧力センサであり、圧力センサP3は(眼の付近における)異なるタイプの圧力センサである。
【0034】
本発明の別の実施形態では、圧力センサP1及びP2によって採られた圧力数値は、前房340から房水を排水する装置を制御するのに使用されうる。図4は、圧力センサP1及びP2の数値を利用する本発明のIOPセンサの一つの可能な用途の略図である。図4では、圧力センサP1は眼の前房340内の圧力を測定する。圧力センサP2は排水部位410において圧力を測定する。
【0035】
緑内障を制御すべく前房340から房水を排水するための非常に多くの装置が開発されてきた。これら装置のほとんどは、前房340から排水場所410へ房水を流すチューブの変形である。例えば、前房340から結膜下腔へ房水を流し、このため結膜の下に濾過胞を形成するチューブ、又は前房340から強膜下腔へ房水を流し、このため強膜の下に濾過胞を形成するチューブが開発されてきた。(濾過胞とは、結膜又は強膜の下に形成される流体のポケットであることに留意されたい。)他のチューブ設計は、前房から脈絡膜上腔、毛様体上腔、中心窩空間(juxta-uveal space)、又は脈絡膜へ房水を流す。他の用途では、チューブは、前房から、シュレム管、シュレム菅内のコレクタチャネル、又は強膜上静脈のような任意の多くの様々な血管へ房水を流す。いくつかのチューブでは前房から結膜の外側へ房水を流すことさえある。最後に、いくつかの用途ではチューブは全く使用されない。例えば、線維柱帯切除術(又は他のタイプの濾過手術)では、小さな穴が結膜下腔又は強膜下腔から前房にかけて作られる。この態様では、房水は前房から穴を通って結膜又は強膜の下の濾過胞へ排水される。房水が流れ込むこれら種々の解剖学的場所の各々は排水場所410の例である。
【0036】
図4では、一方の端部上にバルブ420を備えたチューブ430が、一方の端部が前房340内に位置し且つ他方の端部が排水場所410に位置する状態で配置される。この態様では、チューブ430は前房340から排水場所410へ房水を排水する。バルブ420は前房340から排水場所410への房水の流れを制御する。圧力センサP1は前房内に配置され又は前房340と流体連通する。図3の実施形態において示されるように、圧力センサP1はバルブ420の上流に配置される。この態様では、圧力センサP1は結膜下腔内に配置されるが前房340と流体連通している。
【0037】
圧力センサP1が前房340内の圧力を測定し、圧力センサP2が排水場所410において圧力を測定するので、これら二つの圧力センサ(P1−P2)によって採られる数値の差は前房340と排水場所410との間の圧力差の指標を与える。一つの実施形態では、この圧力差は前房340から排水場所410への房水の流量を決定する。
【0038】
前房340を排水場所410へ流す濾過手術に関連する一つの合併症が、低眼圧症、すなわち深刻な結果をもたらしうるIOPの危険な低下である。低眼圧症を防ぐように前房340から排水場所410への房水の流出率を制御することが望ましい。圧力センサP1及び圧力センサP2からの数値は、制御バルブ420によってチューブ430を通した流量を制御するのに使用されうる。例えば、バルブ420は圧力センサP1及び圧力センサP2からの圧力数値に基づいて制御されうる。
【0039】
本発明の別の実施形態では、(圧力センサP1及び圧力センサP3からの数値に基づく)IOPは制御バルブ420によって制御されうる。この態様では、IOPは制御パラメータである。バルブ420は(15mmHgのIOPのような)特定のIOPを維持すべく調整されうる。バルブ420は、特定のIOPを維持すべく日中よりも夜に多く開かれうる。他の実施形態では、IOPの低下が制御されうる。濾過手術の直後、IOPは急激に低下しうる。バルブ420は、圧力センサP1及びP3からの数値に基づいてIOPの漸進的な低下を容認するように調整されてもよい。
【0040】
本発明の別の実施形態では、圧力センサP2(又は圧力センサP2と、P3によって測定されるような大気圧との間の差)からの数値は、濾過胞の形態を制御するようにバルブ420を制御するのに使用されうる。濾過手術と関連した問題の一つが濾過胞の機能不全である。濾過胞は貧弱な構造又は線維形成のせいで機能不全になりうる。濾過胞における圧力は、濾過胞の形態を決定する一つの要因である。過剰な圧力によって、濾過胞が望ましくない場所へ移動せしめられ、又は線維形成が引き起こされうる。濾過胞の圧力は、(排水場所410において、この場合濾過胞において)圧力センサP2からの数値を使用することによって制御されうる。本発明の一つの実施形態では、(P2によって測定されるような)濾過胞における圧力と(P3によって測定されるような)大気圧との間の差が、所望の濾過胞圧力を維持すべくバルブ420を制御するのに使用されうる。この態様では、本発明のIOP圧力センサは、濾過胞を適切に維持するのにも使用されることができる。
【0041】
バルブ420はマイクロプロセッサ215又は適切なPID制御器によって制御されうる。(所望の流量に相当する)所望の圧力差が、バルブ420の作動を制御することによって維持されうる。同様に、所望のIOP、IOP変化率、又は濾過胞圧力が、バルブ420の作動を制御することによって制御されうる。
【0042】
バルブ420は、バルブとして描写されているが、前房340から排水場所410への房水の流れを測定し、制限し、又は容認する任意の多くの様々な流れ制御構造体であってもよい。加えて、バルブ420はチューブ430内のどこかに又はチューブ430に沿って配置されうる。
【0043】
最後に、本IOPセンサについての他の多くの同様な使用がある。例えば、様々な圧力数値は、チューブ420がいくつかの望ましくない態様において閉塞され又は遮られているかどうか判定するのに使用されうる。このようにして、排水装置の機能不全が検出されうる。前房340を排水場所410へ流す自己除去ルーメン(self clearing lumen)では、望ましくない障害物が、P1、P2、及び/又はP3の圧力数値に基づいて除去されうる。
【0044】
図5は、本発明の原理と一致したIOPセンサの端キャップの実装である。図5では、圧力センサP1及びP3が端キャップ510内に組み込まれる。端キャップ510は、流体密封シールを形成するようにチューブ430内に収まる。チューブ430の一方の端部は前房340内に存在し、(端キャップ510が配置される)チューブ430の他方の端部は前房340の外側に配置される。典型的には、チューブ430の一方の端部は前房340内に存在し、他方の端部は結膜下腔内に存在する。この態様では、圧力センサP1は前房340と流体連通する。前房340と、前房340と流体連通しているチューブ430の内部との間の圧力差がほとんどないので、圧力センサP1は前房340内の圧力を測定する。圧力センサP3は、前房340の外部にあり、且つ大気圧を測定し又は大気圧と関連付けられうる。
【0045】
典型的には、チューブ430は、緑内障濾過手術のときには、前房340を結膜下腔にブリッジすべく眼内に設置される。この場合、P3は結膜下腔に存在する。この形態では、P3は、大気圧に非常に近い圧力又は単純な機能の使用を通して大気圧に関連付けられうる圧力を測定する。プラグ510がチューブ430に流体密封シールを提供するので、圧力センサP3は圧力センサP1から分離される。このため、正確なIOP数値がP1の圧力数値とP3の圧力数値の間の差(P1−P3)として採られうる。一つの実施形態では、単一の薄膜520(典型的にはピエゾ抵抗結晶(piezoresistive crystal))が、センサパッケージ内に存在し、一方の側(チューブ側)においてP1に曝され且つ他方の側(分離側)においてP3に曝される。このため、膜520上の正味の圧力がセンサによって記録され、IOPに対応するゲージ数値が与えられる。
【0046】
図6A及び図6Bは図5の端キャップの実装の斜視図である。この実施形態では、圧力センサP1は、チューブ430の内側に配置されうるように端キャップ510の一方の端部上に配置される。圧力センサP3は、チューブ430の外側に配置されうるように端キャップ510の他方の端部上に配置される。膜520はP3からP1を隔てる。この態様では、圧力センサP1は圧力センサP3から分離される。圧力センサP1及びP3は、端キャップ510内の膜520の両面上に配置されるように描写されているが、圧力測定を促進すべく任意の適切な位置において端キャップ510と一体に配置されてもよい。
【0047】
図7A及び図7Bは、本発明の原理に係るルーメン除去バルブの斜視図であり、ルーメン除去バルブは制御バルブ420として働くことができる。図7A及び図7Bでは、ルーメン除去バルブ700は、チューブ710、ハウジング720、アクチュエータ730、作動アーム740、テーパー状アーム750、圧力センサP1、及び圧力センサP2を含む。図3及び図4を参照して前述されたように、チューブ710の一方の端部は前房内に配置され、チューブ710の他方の端部はハウジング720に接続される。圧力センサP1は前房内の圧力を監視する。アクチュエータ730はハウジング720内に配置される。アクチュエータ730は作動アーム740に接続され、順に作動アーム740はテーパー状アーム750に堅く接続される。テーパー状アーム750はチューブ710のルーメン内に延在するように構成される。圧力センサP2はハウジング720の流出領域(すなわち排水場所)に配置される。矢印は前房から排水場所への房水の流れを示す。
【0048】
ハウジング720は、概して平らであるが、眼の湾曲に適合する僅かな湾曲を有してもよい。ハウジング720はアクチュエータ730を保持する。ハウジング720は作動アーム740及びテーパー状アーム750も保持する。チューブ710は、ハウジング720の内部に配置されたチャネルに流体的に接続される。このチャネルは前房から(チューブ710を通して)排水場所へ房水を伝える。ハウジング720はステンレス鋼のような任意の多数の様々な生体適合性材料から作られることができる。
【0049】
アクチュエータ730は所定の平面において作動アーム740を前後に動作させる。この態様では、作動アーム740は、力がアクチュエータ730によって適用されると、振動し又は往復運動する。テーパー状アーム750が作動アーム740に堅く接続されているので、テーパー状アーム750もチューブ710内において振動し又は往復運動する。アクチュエータ730は、任意の多くの様々な公知の方法、例えば電磁作動、静電作動、圧電作動、又は形状記憶合金材料による作動に基づく。作動アーム740は低繰り返し率(例えば数ヘルツ)又は高作動率(例えば超音波)でアクチュエータ730によって動作されうる。
【0050】
テーパー状アーム750は、チューブ710内に収まるような大きさに作られる。この態様では、テーパー状アーム750は、チューブ710を遮断している任意の材料を除去すべくチューブ710内において前後に振動するように作られることができる。テーパー状アーム750は、チューブ710内に配置される概して鋭利な端部を有する。示されるように、テーパー状アーム750は大きなテーパー部も有し、大きなテーパー部は、チューブ710を通した流れを制限するように働くことができ、このため、バルブとして機能する。この態様では、テーパー状アーム750は、チューブ710を遮断している材料を除去すべく振動せしめられうるだけではなく、チューブ710を通した流れを部分的に遮る位置に動作されることもできる。アーム750のテーパー状の設計は、ハウジング720及びチューブ710に対してアーム750の位置を変化させることによって、チューブ710を通した流れの制限レベルを変化させることを可能とする。
【0051】
テーパー状アーム750は、バルブとして使用されるとき、排水場所に入って前房から出る房水の量を制限することができる。房水流れを制御することは、濾過手術後の低眼圧症の可能性を低減し、適切なIOPを維持し、且つ排水場所における淀んだ房水の量を制御することができる。排水場所が結膜下の濾過胞であるとき、濾過胞における淀んだ房水の量を制御することは、濾過胞の適切な形態を維持し且つ線維形成の量を低減することを補助することができる。濾過胞における過剰な淀んだ房水は線維形成をもたらしうる。線維芽細胞が淀んだ房水内に生じ且つ濾過胞壁における過剰な張力(すなわち濾過胞における高すぎる圧力)が濾過胞の機能不全を引き起こしうると仮定されてきた。このため、バルブとしてのテーパー状アーム750の使用は、これら有害な副作用の可能性を減らす適切な濾過胞のメンテナンスをもたらすことができる。
【0052】
ルーメン除去バルブシステム700は、上述されたようにP1、P2及びP3からの数値に基づいて制御されうる。本発明のルーメン除去バルブシステム700は、MEMSプロセスを使用して作られることができ、MEMSプロセスでは、ハウジング720の一部を形成する基材上に層が堆積される。現在利用可能な緑内障排水装置と同様に、ルーメン除去バルブシステム700の全ての要素は、排水場所に延在するプレートの上若しくは下に配置され又はプレート内に組み込まれうる。
【0053】
図8は、本発明の原理に係る線維除去部材を備えたルーメン除去バルブの斜視図である。図8の実施形態は、図8が排水場所に配置されるニードルヘッド810も描写することを除いて、図7の実施形態と同様である。典型的には、排水場所は結膜下腔内にある。この態様では、結膜下腔内の濾過胞は、ハウジング710から出る房水を受容する。ニードルヘッド810は、濾過胞を保ち、線維を除去し、又は(濾過胞の機能不全の一つの原因である)線維形成を低減すべく振動せしめられうる。この態様では、作動アーム740が動作されると、ニードルヘッド810は排水場所(この場合、濾過胞)において動作される。ニードルヘッド810は線維を取り除き且つ繊維性組織の構築を妨げることができる。
【0054】
図9は、本発明の原理に係る線維形成を除去するための房水分散部材を備えたルーメン除去バルブの斜視図である。図9の実施形態は、図9が排水場所に配置されるニードルヘッド910も描写することを除いて、図7の実施形態と同様である。この実施形態では、ニードルヘッド910は、排水場所において線維を除去し且つ/又は排水場所へ房水を分散するように働くことができる。ハウジング920の出口端部は、房水が排水場所へ流れることを可能とすべく開いている。ニードルヘッド910はハウジング内の出口の近くに配置される。ニードルヘッド910は、振動すると房水が排水場所に分散されるように概して幅広であり且つ先が丸い。流体がチューブ710からマイクロチャネル930を介して排水場所へ進み、マイクロチャネル930は典型的にはニードルヘッド910にエッチングされる。房水の分散は、より適切に濾過胞の形態を管理すべく、排水場所においてより大きな有効領域を提供し、濾過胞の高さを減らし、且つ/又は濾過胞の圧力を減少させることによって、典型的には濾過胞の形成及び/又は線維の成長によって生成される排水場所における抵抗の形成を低減することを補助することができる。加えて、房水の分散は、典型的には濾過胞の形成及び/又は線維の成長によって生成される排水場所に関連した流れ抵抗を克服する機械的手段を提供することによって排水の流れを補助することができる。
【0055】
図10は、本発明の原理に係るハイブリッド外側部材を備えたルーメン除去バルブの斜視図である。図10の実施形態は図9の実施形態と同様である。図10では、幅広なニードルヘッド1010及び付加的な排水穴1030によって、排水場所(典型的には結膜下の濾過胞)において房水の広範な分散が可能となる。流体がチューブ710からマイクロチャネル930を介して排水場所へ進み、マイクロチャネル930は典型的にはニードルヘッド1010にエッチングされる。図10では、ハウジング1020は、複数の排水穴1030を含む幅広な出口端部を有する。加えて、ハウジング1020の幅広な端部は、房水がこの広範な開口を通って流れることを可能とすべく開いている。このため、図10の実施形態では、房水は前房からチューブ710及びハウジング1020を通って排水穴1030及びハウジング1020の幅広な端部から出て排水場所に流れ込む。ニードルヘッド1010は、振動せしめられると、排水場所から線維を除去するように働くことができる。ニードルヘッド1010は房水を排水場所へ分散させることもできる。
【0056】
図7〜図10の実施形態は二つの異なるモードすなわちルーメン除去モード及びバルブモードにおいて作動せしめられることができ、テーパー状アーム750は、ルーメン除去モードでは振動し又は動作し、且つバルブモードではチューブ710を通した流体流れを制限すべく特定の位置において維持される。ルーメン除去モードでは、テーパー状アーム750は、チューブ710の内部及び/又は排水場所から線維性材料を除去すべく動作され又は振動せしめられる。ルーメン除去モードでは、テーパー状アーム750は、排水場所において房水を分散することを補助することもできる。
【0057】
テーパー状アーム750は、バルブとして作動するとき、チューブ710を通した房水の流れを制限すべく特定の位置において維持されうる。図3〜図6に関して上述されたような圧力センサP1、P2、及び/又はP3からの圧力数値に基づいてテーパー状アーム750の位置を長時間に亘って変化させることができる。この態様では、以下のいずれか、すなわちIOP、濾過胞内の圧力、流体の流量等がテーパー状アーム750の制御についての基礎となりうる。
【0058】
図11Aは、本発明の原理に係る二つのルーメンのバルブ及び圧力センサシステムの略図である。図11Aでは、アクティブバルブ/ルーメン除去システムのチューブ710が前房と排水場所とをブリッジする。第2チューブ430が、図5において記述されたような端キャップ510を含む。図11Aのシステムでは、図5及び図6の圧力センサと図7〜図10のアクティブバルブ/ルーメン除去装置とが組み合わされ、後者は制御バルブ420として働くことができる。この態様では、一方のチューブ(430)がIOPを測定するのに使用され、一方、第2チューブ(710)が房水を排水するために使用されうる。乾いた場所360と端キャップ510のP3感知部との間の流体連通がチューブ1100によって提供されうる。図11Bは別の可能な構成であり、図11Bでは単一のチューブが前房340内に存在する。図11Bでは、端キャップ510はチューブ430における開口に配置される。
【0059】
図12A及び図12Bは二つの管の断面図であり、二つの管は本発明のシステムと共に使用されうる。図12Aでは、二つのルーメン430及び710が単一のチューブ内に収容される。図12Aはこの二つ孔の管構成を示す。図12Bでは、二つのルーメン430及び710は、互いに結合される二つの別個のチューブ内に収容される。図12Bはこの直線的な二つの管の構成を示す。二つのルーメンの装置の他の変形が本発明と併せて使用されてもよい。
【0060】
図13は、本発明の原理に係る二つのルーメンのバルブ及び圧力センサシステムの斜視図である。図13では、二つのチューブ430及び710が一方の端部(前房内に存在する端部)において接続され且つ他方の端部(この場合、結膜下腔内に存在する端部)において隔てられる。チューブ430が、IOPを測定する端キャップ510を有する。チューブ710がテーパー状アーム750を受容する。テーパー状アーム750は、チューブ710の内部をきれいにするように働くことができる。チューブ750は、チューブ710の内部を部分的に又は完全に閉塞できるバルブとして作用することもできる。テーパー状アーム750は、図7〜図10において描写されたシステムのいずれかに接続される。障壁350が、710の出口、典型的には排水場所410からP3を隔てる。この態様では、P3は「乾いた」空間360内にあり且つ大気圧の近似値を測定する。(テーパー状アーム750に近接して示された)710の出口端部は、「濡れた」空間又は410のような排水場所に配置される。上記されたように、P2はこの「濡れた」空間に配置される。
【0061】
圧力監視システム又はアクティブな排水システムのための電力が、上述されたように電源205によって供給されうる。図2において示されたように、電源205は発電機1410に接続される。発電機1410の一つの例が図14において示される。図14では、発電機1410は、ローター1430に接続されたマイクロ発電機1420を有する。この例では、ローター1430が回転すると、マイクロ発電機1420は電力を生成する。このようにして、発電機1410の作動は任意の従来の発電機の作動に非常に似ている。ローター1430が、シャフトに接続された四個のパドルを有するように示されているが、任意のローター設計が用いられうる。さらに、流体流れを電力に変換する任意の他のタイプの装置が用いられてもよい。図14は一つの例であることのみが意図されている。
【0062】
発電機1410は前房340から排水場所410への房水の流体流れを利用することができる。あらゆる緑内障排水装置の一般的な目的が前房340から排水場所410へ房水を流すことであるので、房水は前房340から(この場合、チューブ430のようなチューブを通って)排水場所410へ流れる。前房340における流体圧力と排水場所410における流体圧力との間には自然な圧力差がある。この圧力差によって、房水が前房340から排水場所410へ流れるようになる。発電機1410はこの房水の流体流れを電力に変換する。
【0063】
典型的な例では、チューブ430を通って流れる房水は、毎分約2マイクロリットルの房水流量に基づいて毎分約1回転でローター1430を回転させる。前房340と排水場所410との間の圧力差が約8mmHgである場合、伝送可能な潜在的な電力は一日当たり約25ナノワット(又は約2ミリジュールのエネルギー)である。この電力は、電源205において貯蔵されることができ、且つ、この用途において記述されたシステム(圧力センサ、テレメトリー、アクティブバルブ等)に電力供給するのに使用されうる。
【0064】
図15は、本発明の原理に係るローターの一つの実施形態の端面図である。図15では、ローター1430は、四個のパドルに接続されたシャフトを有する。ローター1430は、チューブを通した流体流れを利用すべくチューブ430内に配置される。矢印は、チューブ430を通した房水の流体流れの方向と、ローター1430の対応する回転方向とを示す。記されたように、図15はローター1430についての多くの可能な形態のうちの一つを描写する。
【0065】
図16は、本発明の原理に係る緑内障排水システムにおける発電機の一つの可能な場所の略図である。図16の例では、発電機1410はチューブ430内に又はチューブ430に沿って配置される。チューブ430は前房340を排水場所410へ流す。バルブ420は、前述されたようなチューブ430の端部に配置される。この例では、発電機1410によって発生せしめられた電力は、バルブ420(及びシステムの他の構成要素)に電力供給するのに使用される。
【0066】
図17は、本発明の原理に係る緑内障排水システムにおける発電機の別の可能な場所の略図である。図17の例では、発電機1410はチューブ430の端部に配置される。ここでは、発電機1410は、二つの機能を行い、すなわち電力を発生し且つバルブとして作用する。発電機1410がチューブ430を通した流体の流れに抗するので、この流れ抵抗は、チューブ430を通した房水の流量を制御するのに使用されうる。言い換えれば、発電機1410はアクティブバルブとして作動されうる。さらに、ローターの回転は、(上述されたように)ルーメンをきれいにするように機能することができる。
【0067】
図17の例では、マイクロ発電機1420が、ローター1430の流れ抵抗を変更すべく制御されうる。マイクロ発電機1420が(典型的な発電機のような)単一の磁気コア及びコイルの発電機であるとき、磁気コアとコイルとの間の距離は、ローター1430を回転させるのに必要な力を変更すべく変更されうる。ローター1430を回転させるのに必要な力が大きければ大きいほど、チューブ430を通した房水流れに対する抵抗は大きくなる。逆に、ローター1430を回転させるのに必要な力が小さければ小さいほど、チューブ430を通した房水流れに対する抵抗は小さくなる。房水流れに対するこの抵抗は、所望のIOPを維持するのに制御されうる。
【0068】
緑内障排水装置が発電機を有し又は貯蔵されたエネルギーで作動するかに拘わらず、装置を作動する電力節約方法は有益である。図18は、電力を節約するように本発明の緑内障排水装置を作動する一つの方法のフローチャートである。1810において、システムに電力が提供される。1820において、IOPが測定される。IOPは上述されたように測定されうる。IOPが所定の範囲内にある場合、その後1830において、装置が、時間Xの間、電源オフされる(すなわちスリープモードにされる)。IOPが所定の範囲外にある場合、その後1840において、バルブが適宜調整される。1850において、IOPが測定される。IOPが所定の範囲内にある場合、その後1830において、装置が、時間Xの間、電源オフされる(すなわちスリープモードにされる)。IOPが所定の範囲外にある場合、その後1840において、バルブが適宜調整される。この反復する工程を、IOPを所望の範囲内に維持すべく必要に応じて繰り返すことができる。
【0069】
したがって、図18において描写された操作を用いて、本発明の緑内障排水装置は周期的にIOPを測定し且つ適宜調整する。IOP測定間の時間間隔Xは任意の時間周期である。例えば、IOPは10分毎に又は1時間毎に測定されうる。IOPの数値が所定の範囲内にあり又は範囲外にあるかを判定する値の範囲が設定されうる。例えば、15mmHgよりも上のIOPは高すぎるとみなされる。15mmHgよりも上のIOPの測定値が採られた場合、その測定値は範囲外であり、バルブが適宜調整される。1850におけるIOP測定は、バルブを調整すべく任意の時間間隔において繰り返されてもよい。例えば、1850におけるIOPの読込は、バルブを調整する工程において1分毎に繰り返されてもよい。
【0070】
上記から、本発明が、IOPセンサによって制御されうるルーメン除去バルブを提供することが理解されうる。本発明は、ルーメンをきれいにし、房水を分散し、且つ/又は排水場所から線維性材料を除去することができるバルブ状装置を提供する。本発明は、斯かるシステムに電力供給するのに使用されうる埋め込み可能な発電機も提供する。本発明は本明細書において例によって示され、様々な修正が当業者によってなされうる。
【0071】
本発明の他の実施形態が、本明細書と、本明細書において開示された本発明の実施例とを考慮すると、当業者にとって明らかであるだろう。本明細書及び例が単なる模範的なものとしてみなされ、本発明の真の範囲及び思想は以下の特許請求の範囲によって示されることが意図されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
緑内障排水装置であって、
眼の前房と排水場所との間に配置されるように構成されたアクティブバルブと、
該アクティブバルブに接続された電源と、
該電源に接続されたコントローラと
を具備し、
該コントローラが、圧力に基づいて前記電源から前記アクティブバルブへの電力を指示する、緑内障排水装置。
【請求項2】
前記圧力が眼内圧力であり、前記コントローラが、前記眼内圧力が所定の範囲内にないとき、前記電源から前記アクティブバルブへの電力を指示する、請求項1に記載の緑内障排水装置。
【請求項3】
前記排水場所が、前記眼の結膜下腔、前記眼の脈絡膜上腔、前記眼の毛様体上腔、前記眼の強膜下腔、及び前記眼の外側から成る群から選択される、請求項1に記載の緑内障排水装置。
【請求項4】
前記アクティブバルブが、
開いた出口端部を備えたハウジングと、
該ハウジングと流体連通したチューブと、
前記ハウジング内に配置されたアクチュエータと、
前記ハウジング内に少なくとも部分的に配置された作動アームであって、前記アクチュエータに接続された作動アームと、
該作動アームに堅く接続されたテーパー状アームであって、該テーパー状アームのテーパー状端部が前記チューブ内に少なくとも部分的に配置された、テーパー状アームと
を具備する、請求項1に記載の緑内障排水装置。
【請求項5】
前記コントローラが、前記チューブを部分的に遮るように前記テーパー状アームの位置を制御し、このことによって前記チューブを通した流体流れを制限する、請求項4に記載の緑内障排水装置。
【請求項6】
前記作動アームを前記テーパー状アームに接続するニードルヘッドであって、前記テーパー状アームのテーパー状端部の反対側に配置されたニードルヘッドを更に具備する、請求項4に記載の緑内障排水装置。
【請求項7】
前記コントローラが、排水場所において前記ニードルヘッドを動作させて房水を分散させるべく前記アクチュエータを制御する、請求項6に記載の緑内障排水装置。
【請求項8】
眼の前房と流体連通して配置された第1圧力センサと、
前記排水場所に配置された第2圧力センサと
を更に具備し、
前記第1圧力センサからの数値と前記第2圧力センサからの数値との間の差が前記前房と前記排水場所との間の圧力差に近似し、さらに、前記コントローラが前記アクティブバルブを制御すべく前記圧力差を使用する、請求項1に記載の緑内障排水装置。
【請求項9】
眼の前房と流体連通して配置された第1圧力センサと、
大気圧を測定し又は大気圧の近似値を求めるように前記第1圧力センサから離隔されて配置された離隔圧力センサと
を更に具備し、
前記第1圧力センサからの数値と前記離隔圧力センサからの数値との間の差が眼内圧力に近似し、さらに、前記コントローラが前記アクティブバルブを制御すべく眼内圧力を使用する、請求項5に記載の緑内障排水装置。
【請求項10】
眼内圧力センサシステムであって、
眼の前房と流体連通して配置された第1圧力センサと、
大気圧を測定し又は大気圧の近似値を求めるように前記第1圧力センサから離隔されて配置された離隔圧力センサと、
前記第1圧力センサ及び第2圧力センサを読み込むように構成されたコントローラと、
該コントローラに接続された電源と
を具備し、
前記第1圧力センサからの数値と前記離隔圧力センサからの数値との間の差が眼内圧力に近似し、さらに、前記コントローラが、所定の時間周期中に一度、前記第1圧力センサ及び第2圧力センサを読み込む、眼内圧力センサシステム。
【請求項11】
前記第1圧力センサを前記離隔圧力センサから隔てる障壁を更に具備する、請求項10に記載の圧力センサシステム。
【請求項12】
眼内圧力センサシステムであって、
眼の前房と流体連通して配置された第1圧力センサと、
排水場所に配置された第2圧力センサと、
前記第1圧力センサ及び第2圧力センサを読み込むように構成されたコントローラと、
該コントローラに接続された電源と
を具備し、
前記第1圧力センサからの数値と前記第2圧力センサからの数値との間の差が前記前房と前記排水場所との間の圧力差に近似し、さらに、前記コントローラが、所定の時間周期中に一度、前記第1圧力センサ及び第2圧力センサを読み込む、眼内圧力センサシステム。
【請求項13】
眼内圧力センサシステムであって、
排水場所に配置された第1圧力センサと、
大気圧を測定し又は大気圧の近似値を求めるように前記第1圧力センサから離隔されて配置された離隔圧力センサと、
前記第1圧力センサ及び第2圧力センサを読み込むように構成されたコントローラと、
該コントローラに接続された電源と
を具備し、
前記第1圧力センサからの数値と前記離隔圧力センサからの数値との間の差が前記排水場所における圧力に近似し、さらに、前記コントローラが、所定の時間周期中に一度、前記第1圧力センサ及び第2圧力センサを読み込む、眼内圧力センサシステム。
【請求項14】
緑内障排水装置であって、眼の前房と排水場所との間に配置されるように構成されたアクティブバルブと、
該アクティブバルブに接続された電源と、
該電源に接続されたコントローラと、
前記前房と流体連通して配置された第1圧力センサと、
前記排水場所に配置された第2圧力センサと、
前記第1圧力センサ及び第2圧力センサから離隔されて配置された第3圧力センサと
を具備し、
前記コントローラが、所定の時間周期中に一度、前記第1圧力センサ、第2圧力センサ、及び第3圧力センサを読み込む、緑内障排水装置。
【請求項15】
前記所定の時間周期が30秒よりも長く且つ1時間よりも短い、請求項14に記載の緑内障排水装置。
【請求項16】
前記コントローラが、前記第1圧力センサ、第2圧力センサ、又は第3圧力センサからの圧力数値に基づいて眼内圧力を計算する、請求項14に記載の緑内障排水装置。
【請求項17】
前記コントローラが、前記第1圧力センサ、第2圧力センサ、又は第3圧力センサからの圧力数値に基づいて前記電源から前記アクティブバルブへの電力を指示する、請求項14に記載の緑内障排水装置。
【請求項18】
前記コントローラが、その後、前記第1圧力センサ、第2圧力センサ、及び第3圧力センサを読み込み且つ前記アクティブバルブの更なる調整を指示する、請求項17に記載の緑内障排水装置。
【請求項19】
前記コントローラが、眼の前記眼内圧力を変化させるべく前記第1圧力センサ、第2圧力センサ、又は第3圧力センサからの圧力数値に基づいて前記アクティブバルブを調整する、請求項14に記載の緑内障排水装置。
【請求項1】
緑内障排水装置であって、
眼の前房と排水場所との間に配置されるように構成されたアクティブバルブと、
該アクティブバルブに接続された電源と、
該電源に接続されたコントローラと
を具備し、
該コントローラが、圧力に基づいて前記電源から前記アクティブバルブへの電力を指示する、緑内障排水装置。
【請求項2】
前記圧力が眼内圧力であり、前記コントローラが、前記眼内圧力が所定の範囲内にないとき、前記電源から前記アクティブバルブへの電力を指示する、請求項1に記載の緑内障排水装置。
【請求項3】
前記排水場所が、前記眼の結膜下腔、前記眼の脈絡膜上腔、前記眼の毛様体上腔、前記眼の強膜下腔、及び前記眼の外側から成る群から選択される、請求項1に記載の緑内障排水装置。
【請求項4】
前記アクティブバルブが、
開いた出口端部を備えたハウジングと、
該ハウジングと流体連通したチューブと、
前記ハウジング内に配置されたアクチュエータと、
前記ハウジング内に少なくとも部分的に配置された作動アームであって、前記アクチュエータに接続された作動アームと、
該作動アームに堅く接続されたテーパー状アームであって、該テーパー状アームのテーパー状端部が前記チューブ内に少なくとも部分的に配置された、テーパー状アームと
を具備する、請求項1に記載の緑内障排水装置。
【請求項5】
前記コントローラが、前記チューブを部分的に遮るように前記テーパー状アームの位置を制御し、このことによって前記チューブを通した流体流れを制限する、請求項4に記載の緑内障排水装置。
【請求項6】
前記作動アームを前記テーパー状アームに接続するニードルヘッドであって、前記テーパー状アームのテーパー状端部の反対側に配置されたニードルヘッドを更に具備する、請求項4に記載の緑内障排水装置。
【請求項7】
前記コントローラが、排水場所において前記ニードルヘッドを動作させて房水を分散させるべく前記アクチュエータを制御する、請求項6に記載の緑内障排水装置。
【請求項8】
眼の前房と流体連通して配置された第1圧力センサと、
前記排水場所に配置された第2圧力センサと
を更に具備し、
前記第1圧力センサからの数値と前記第2圧力センサからの数値との間の差が前記前房と前記排水場所との間の圧力差に近似し、さらに、前記コントローラが前記アクティブバルブを制御すべく前記圧力差を使用する、請求項1に記載の緑内障排水装置。
【請求項9】
眼の前房と流体連通して配置された第1圧力センサと、
大気圧を測定し又は大気圧の近似値を求めるように前記第1圧力センサから離隔されて配置された離隔圧力センサと
を更に具備し、
前記第1圧力センサからの数値と前記離隔圧力センサからの数値との間の差が眼内圧力に近似し、さらに、前記コントローラが前記アクティブバルブを制御すべく眼内圧力を使用する、請求項5に記載の緑内障排水装置。
【請求項10】
眼内圧力センサシステムであって、
眼の前房と流体連通して配置された第1圧力センサと、
大気圧を測定し又は大気圧の近似値を求めるように前記第1圧力センサから離隔されて配置された離隔圧力センサと、
前記第1圧力センサ及び第2圧力センサを読み込むように構成されたコントローラと、
該コントローラに接続された電源と
を具備し、
前記第1圧力センサからの数値と前記離隔圧力センサからの数値との間の差が眼内圧力に近似し、さらに、前記コントローラが、所定の時間周期中に一度、前記第1圧力センサ及び第2圧力センサを読み込む、眼内圧力センサシステム。
【請求項11】
前記第1圧力センサを前記離隔圧力センサから隔てる障壁を更に具備する、請求項10に記載の圧力センサシステム。
【請求項12】
眼内圧力センサシステムであって、
眼の前房と流体連通して配置された第1圧力センサと、
排水場所に配置された第2圧力センサと、
前記第1圧力センサ及び第2圧力センサを読み込むように構成されたコントローラと、
該コントローラに接続された電源と
を具備し、
前記第1圧力センサからの数値と前記第2圧力センサからの数値との間の差が前記前房と前記排水場所との間の圧力差に近似し、さらに、前記コントローラが、所定の時間周期中に一度、前記第1圧力センサ及び第2圧力センサを読み込む、眼内圧力センサシステム。
【請求項13】
眼内圧力センサシステムであって、
排水場所に配置された第1圧力センサと、
大気圧を測定し又は大気圧の近似値を求めるように前記第1圧力センサから離隔されて配置された離隔圧力センサと、
前記第1圧力センサ及び第2圧力センサを読み込むように構成されたコントローラと、
該コントローラに接続された電源と
を具備し、
前記第1圧力センサからの数値と前記離隔圧力センサからの数値との間の差が前記排水場所における圧力に近似し、さらに、前記コントローラが、所定の時間周期中に一度、前記第1圧力センサ及び第2圧力センサを読み込む、眼内圧力センサシステム。
【請求項14】
緑内障排水装置であって、眼の前房と排水場所との間に配置されるように構成されたアクティブバルブと、
該アクティブバルブに接続された電源と、
該電源に接続されたコントローラと、
前記前房と流体連通して配置された第1圧力センサと、
前記排水場所に配置された第2圧力センサと、
前記第1圧力センサ及び第2圧力センサから離隔されて配置された第3圧力センサと
を具備し、
前記コントローラが、所定の時間周期中に一度、前記第1圧力センサ、第2圧力センサ、及び第3圧力センサを読み込む、緑内障排水装置。
【請求項15】
前記所定の時間周期が30秒よりも長く且つ1時間よりも短い、請求項14に記載の緑内障排水装置。
【請求項16】
前記コントローラが、前記第1圧力センサ、第2圧力センサ、又は第3圧力センサからの圧力数値に基づいて眼内圧力を計算する、請求項14に記載の緑内障排水装置。
【請求項17】
前記コントローラが、前記第1圧力センサ、第2圧力センサ、又は第3圧力センサからの圧力数値に基づいて前記電源から前記アクティブバルブへの電力を指示する、請求項14に記載の緑内障排水装置。
【請求項18】
前記コントローラが、その後、前記第1圧力センサ、第2圧力センサ、及び第3圧力センサを読み込み且つ前記アクティブバルブの更なる調整を指示する、請求項17に記載の緑内障排水装置。
【請求項19】
前記コントローラが、眼の前記眼内圧力を変化させるべく前記第1圧力センサ、第2圧力センサ、又は第3圧力センサからの圧力数値に基づいて前記アクティブバルブを調整する、請求項14に記載の緑内障排水装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図12A】
【図12B】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図12A】
【図12B】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公表番号】特表2013−505065(P2013−505065A)
【公表日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−529795(P2012−529795)
【出願日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際出願番号】PCT/US2010/047605
【国際公開番号】WO2011/034740
【国際公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(508185074)アルコン リサーチ, リミテッド (160)
【公表日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際出願番号】PCT/US2010/047605
【国際公開番号】WO2011/034740
【国際公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(508185074)アルコン リサーチ, リミテッド (160)
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