説明

電力供給システム

【課題】 需要家が電力を購入する発電所を選択可能とし、さらに、需要電力量が発電電力量を超過しないようにする。
【解決手段】 複数の発電所から電力が供給される配電網に、複数の需要家が接続された電力供給システムであって、需要家側に配設され消費電力量を測定する電力量計31と、各需要家の使用電力量履歴を記憶する需要家情報データベース24aと、各発電所から供給される電力の割合が定められた供給タイプごとに、各需要家の希望供給タイプと、使用電力量履歴とに基づいて、割り振った需要家の全使用電力量が各供給タイプの最大購入可能電力量266以下になるように、需要家を割り振るグループ策定タスク27と、電力量計31で測定された消費電力量が、当該需要家の使用予定電力量を超過する場合に、同一供給タイプの他の需要家で、消費電力量が使用予定電力量を下回る需要家から超過分を融通する電力融通タスク28と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数の発電所から電力が供給される配電網に、複数の需要家が接続された電力供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電力は、複数の発電所によって発電され、配電網を通じて需要家に供給されるようになっている。各発電所は、火力、原子力、水力などによって発電しており、発電単価も異なる。電力会社は、発電所の発電電力量の合計(供給)が需要電力量(需要)を賄うように、各発電所の発電電力量を制御している。そして、需要家は、電気使用量に応じて一定の単価を用いて算出された電気料金を支払うようになっている。
【0003】
ところで、地球温暖化などの環境問題や、化石燃料の枯渇の危惧などの資源問題などを受け、エネルギへの関心は高まりつつある。このため、需要家が購入する電力を、単価などに基づいて選択できるようにしたいとの要望も高まることが予想される。
【0004】
グリーンエネルギーにより発電された電力を顧客の側で選択可能な電力供給システムに関する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。また、需要家が自由に発電業者を選択し、使用電力量を簡易に算出可能とする電力売買システムに関する技術が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。電力やガスなどのエネルギー契約及び供給を、住宅群、商店群というように、一群の需要者単位で対応する事により、個別の需要者での新たな手間を要さずに、エネルギー自由化に対応して需要側が最適な電源やガス供給者を一括して選択するエネルギー供給方法及びエネルギー供給装置に関する技術が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−184406号公報
【特許文献2】特開2004−088847号公報
【特許文献3】特開2003−296409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、需要家が発電所を選択可能とした場合は、特定の発電所に人気が集中して、需要電力量(購入電力量または消費電力量)が発電電力量を超過する恐れがある。また、需要家が発電所を選択した場合に、消費電力量と使用予定電力量(購入電力量)とのギャップが生じる恐れがある。
【0007】
そこで、この発明は、前記の課題を解決し、需要家が電力を購入する発電所を選択可能とし、さらに、需要電力量が発電電力量を超過しないようにする電力供給システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の課題を解決するために、請求項1の発明は、複数の発電所から電力が供給される配電網に、複数の需要家が接続された電力供給システムであって、前記複数の需要家に設置され、各需要家で消費される消費電力量を測定するとともに、通信機能を有する電力量計と、前記各需要家の使用電力量履歴を記憶する需要家情報記憶手段と、前記各発電所から供給される電力の割合が定められた供給タイプごとに、前記各需要家が希望する供給タイプと、前記需要家情報記憶手段に記憶された使用電力量履歴とに基づいて、割り振った需要家の全使用電力量が前記各供給タイプの供給可能電力量以下になるように、前記需要家を割り振るグループ策定手段と、需要家の前記電力量計で測定された消費電力量が、当該需要家に定められた使用予定電力量を超過する場合に、当該需要家と同一の供給タイプの他の需要家であって、消費電力量が使用予定電力量を下回る需要家から、前記超過分を融通する電力融通手段と、を備えることを特徴とする電力供給システムである。
【0009】
この発明によれば、各発電所から供給される電力の割合が定められた供給タイプごとに、各需要家が希望する供給タイプと、各需要家の使用電力量履歴とに基づいて、割り振った需要家の全使用電力量が各供給タイプの供給可能電力量以下になるように、需要家が割り振られる。また、需要家の電力量計で測定された消費電力量が、当該需要家に定められた使用予定電力量を超過する場合に、当該需要家と同一の供給タイプの他の需要家であって、消費電力量が使用予定電力量を下回る需要家から、超過分が融通される。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1に記載の電力供給システムにおいて、前記グループ策定手段は、定期的に起動され、前記電力融通手段によって融通された需要家が希望する供給タイプの優先度を低く設定し、前記電力融通手段によって融通した需要家が希望する供給タイプの優先度を高く設定して、前記割り振りを行う、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、グループ策定手段によって、各需要家が希望する供給タイプと、各需要家の使用電力量履歴とに基づいて、割り振った需要家の全使用電力量が各供給タイプの供給可能電力量以下になるように、需要家を割り振ることができる。つまり、特定の発電所に人気が集中した場合であっても、需要電力量が発電電力量を超過しないようにグループを策定できる。
【0012】
また、電力融通手段によって、需要家の電力量計で測定された消費電力量が、当該需要家に定められた使用予定電力量を超過する場合に、当該需要家と同一の供給タイプの他の需要家であって、消費電力量が使用予定電力量を下回る需要家から、超過分を融通することができる。つまり、需要電力量(消費電力量)と使用予定電力量とのギャップが生じた場合であっても、電力を融通することで、総消費電力量を、各供給タイプに割り当てられたグループの供給可能電力量以内に収めることができる。
【0013】
請求項2の発明によれば、グループ策定手段は、定期的に起動されるので、各需要家は希望する供給タイプをいつでも申請することができ、各需要家が希望する供給タイプに基づいて、適切なグループ策定が行われる。
【0014】
また、融通された需要家が希望する供給タイプの優先度を低く設定し、融通した需要家が希望する供給タイプの優先度を高く設定して、割り振りを行うことで、グループの策定を公平、適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明の実施の形態に係る電力供給システムの概略構成ブロック図である。
【図2】図1の電力供給システムの発電所情報データベースに記憶されている売電用計量器情報の一例を示す図である。
【図3】図1の電力供給システムの供給タイプデータベースに記憶されている売電用計量器情報の一例を示す図である。
【図4】図1の電力供給システムのグループ策定タスクによる処理を示すフローチャートである。
【図5】図1の電力供給システムのグループ割振タスクによる処理を示すフローチャートである。
【図6】図1の電力供給システムの電力融通タスクによる処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この実施の形態に基づいて説明する。
【0017】
図1は、この発明の実施の形態に係る電力供給システム1の概略構成ブロック図である。この電力供給システム1は、複数の発電所から電力が供給される配電網に、複数の需要家が接続されたものであり、電力会社側に配設される電力供給サーバ2と各需要家宅3の電力量計31やパーソナルコンピュータ(PC)32などが、通信網NWを介して通信可能に接続されている。ここで、需要家は、一般家庭と、工場や企業などの事業者のことである。
【0018】
電力量計31は、需要家宅に配設され、配電網から供給された電力量(消費電力量)を計量するものである。電力量計31は、通信機能を有するスマートメータであり、所定期間ごとに電力量計31から電力供給サーバ2に検針値が送信されるようになっている。また、電力量計31が通信機能を有していない場合は、計量された消費電力量はハンディターミナル(検針端末)を携帯した検針員によって、所定期間ごとに検針される。そして、ハンディターミナルに登録された検針値(消費電力量)は、ハンディターミナルから直接、あるいはハンディターミナルからデータをアップロードする端末から、電力供給サーバ2に送信されるようになっている。そして、送信された消費電力量は、電力供給サーバ2の需要家情報データベース24aの使用電力量履歴として記憶されるようになっている。
【0019】
パーソナルコンピュータ(PC)32は、需要家宅に配設され、電力会社のホームページにアクセスして、希望の供給タイプを申請する機能を有している。需要家からの希望の供給タイプの申請(希望供給タイプ申請タスク)は、いつでも行うことができるようになっていて、需要家情報データベース24aの希望供給タイプに記憶されており、電力供給サーバ2がグループ策定タスク27を起動した際に、グループ策定に反映されるようになっている。
【0020】
電力供給サーバ2は、電力会社側に設置されたサーバ装置であり、通信部21、表示部22、発電所情報記憶手段23、需要家情報記憶手段24、需要家グループ記憶手段25、供給タイプ記憶手段26、グループ策定タスク(グループ策定手段)27、電力融通タスク(電力融通手段)28、および、これらを制御などする制御部20を備えている。
【0021】
通信部21は、通信網NWを介して需要家側に設置されている電力量計31とPC32と有線または無線で通信するための通信装置である。
【0022】
表示部22は、グループ策定タスク27やグループ割振タスク28の処理結果などを表示するディスプレイなどの表示装置である。
【0023】
発電所情報記憶手段23は、図2に示すように、各発電所を識別する発電所(ID)231ごとに、単価232や稼働率233、発電タイプ234、最大発電量235、その他236などの発電所情報データベース23aを格納するものである。単価232は、当該発電所の発電に要する単価が記憶されており、稼働率や熱効率、燃料費などに基づいて算出されている。この単価232は、発電所ごとに異なっている。稼働率233は、当該発電所の稼働率が記憶されており、定期点検や故障などがある場合は、稼働率が低くなる。発電タイプ234は、例えば水力、原子力、火力、太陽光などと記憶されている。最大発電量235は、当該発電所の最大の発電量が記憶されている。この発電所情報としては、具体的には、「A発電所」は、単価232が「5円」、稼働率233が「100%」、発電タイプ234が「水力」、最大発電量235が「1000MW」と記憶されている。これらの発電所情報は、需要家が供給タイプを選択する際に表示されるようになっており、単価や発電タイプなどを参考にして、需要家は供給タイプを選択できるようになっている。また、「B発電所」は、その他236に「○年○月から定期点検」である旨が記憶されており、「D発電所」、「E発電所」、「F発電所」は、その他236に「代替用電源」である旨が記憶されている。
【0024】
需要家情報記憶手段24は、需要家ごとに、使用電力量履歴や使用予定電力量、電力融通履歴、供給タイプ履歴、希望供給タイプ、優先順位(優先度)などの需要家情報データベース24aを格納するものである。使用電力量履歴は、電力量計31によって計量された当該需要家の使用電力量が記憶されている。
【0025】
使用予定電力量は、後述するグループ策定タスク27によって、当該需要家の使用電力量履歴や、他サーバに格納されている気象データベースや地域別使用量データ、契約電力・電力量伸び率データベース、景況判断データベースなどに基づいて算出されるものである。気象データベースは、気温や降水量、風速・風向などの気象情報履歴を格納している。地域別使用量データは、当該配電網から電力の供給を受ける地域の地域別の使用量情報履歴を格納しており、例えば、住宅の多い地域は、朝と夕方に、冬季と夏季に電力使用量のピークがあり、工場の多い地域は、平日の昼間に使用電力量のピークがあり、休日、夜間の使用電力量は低い、といった地域ごとの電力使用量の傾向を把握することができる。契約電力・電力量伸び率データベースは、契約電力量の増減履歴や、電力量の伸び率履歴などを格納している。この契約電力・電力量伸び率データベースにより、契約電力量や電力量伸び率の傾向を把握することができる。
【0026】
使用予定電力量の算出は、例えば、当該需要家の使用電力量履歴から、気象データに基づいて温度などの気象条件が似ている過去の使用電力量を抽出し、使用予定電力量を算出する。さらに、景況判断データベースや契約電力・電力量伸び率データベースにもとづいて、例えば、景気が上向きで、契約電力・電力量伸び率が上昇傾向である場合は、所定の係数をかけて使用予定電力量を高く算出するようにする。
【0027】
電力融通履歴は、後述する電力融通タスク28によって電力が融通された場合に、電力を融通された旨または電力を融通した旨と、融通された電力量または融通した電力量とを記憶している。供給タイプ履歴は、グループ策定タスク27によって、当該需要家が割り当てられた供給タイプの履歴が記憶されている。希望供給タイプは、当該需要家が、PC32から電力会社のホームページにアクセスして選択した供給タイプが記憶されている。優先順位は、後述する電力融通タスク28によって電力が融通され、電力を融通した需要家(電力融通履歴に「電力を融通した」旨が登録されている需要家)は、優先順位を高くし、電力を融通された需要家(電力融通履歴に「電力を融通された」旨が登録されている需要家)は、優先順位を低くする。
【0028】
需要家グループ記憶手段25は、各供給タイプごとに、割り振られた複数の需要家(グループ)の各需要家情報などのリストとしての需要家グループデータベース25aを格納するものである。需要家グループデータベース25aは、グループ策定タスク27によって、供給タイプごとに割り振られた需要家が記憶されるようになっている。つまり、需要家グループデータベース25aには、例えば、「A発電所」に割り当てられた需要家のグループが記憶されている。
【0029】
供給タイプ記憶手段26は、図3に示すように、各供給タイプ(ID)261ごとに、供給タイプ名262やA発電所からの購入割合263、B発電所からの購入割合264、C発電所からの購入割合265、最大購入可能電力量(供給可能電力量)266、その他267などの供給タイプデータベース26aを格納するものである。この実施の形態では、A発電所〜C発電所の3つの発電所から電力が供給されるものとし、D発電所〜F発電所は、A発電所〜C発電所の故障時などに発電する代替用電源となっている。供給タイプ名262は、例えば「積極型」、「安定型」、「保守型」などのように、供給タイプごとに特徴を表した名前が付けられ、記憶されている。また、「積極型」とは、単価の低い発電所からの購入割合を大きくするタイプである。このため、電力を購入する発電所に偏りが生じるため、例えばA発電所が故障などによって停止した場合には、A発電所への依存度が高いために影響を受けやすい。「安定型」とは、「積極型」と「保守型」の中間に位置するタイプである。「保守型」とは、各発電所から平均的に電力を購入するタイプである。電力を偏りなく購入しているため、例えばA発電所が故障などによって停止した場合であっても、A発電所の依存度が低く、影響を受けにくい。
【0030】
A発電所からの購入割合263は、当該供給タイプがA発電所から電力の供給を受ける割合を記憶しており、この実施の形態では、A発電所からの購入割合263+B発電所からの購入割合264+C発電所からの購入割合265=100% となるように、設定されている。B発電所からの購入割合264、C発電所からの購入割合265も、同様である。最大購入可能電力量266は、当該供給タイプの購入可能電力量の最大値で、当該供給タイプに割り当てられた全需要家の消費電力量(使用予定電力量)の合計の最大値である。また、グループ策定タスクでは、各供給タイプに割り振る需要家の全使用予定電力量が、各供給タイプの最大購入可能電力量266以下になるように、需要家を割り振るようになっている。
【0031】
この供給タイプデータベース26aは、具体的には、「タイプA」は、供給タイプ名262が「積極型」、A発電所からの購入割合263が「80%」、B発電所からの購入割合264が「10%」、C発電所からの購入割合265が「10%」、最大購入可能電力量266が「900MW」と記憶されている。
【0032】
グループ策定タスク(グループ策定手段)27は、供給タイプごとに、需要家情報データベース24aに記憶された各需要家の希望供給タイプと、使用電力量履歴とに基づいて、各供給タイプに割り振った需要家の全使用予定電力量が、各供給タイプの最大購入可能電力量以下になるように、需要家を割り振る機能を有するプログラム、タスクであり、図4および図5に示すフローチャートに基づいている。また、グループ策定タスク27は、制御部20によって、定期的に起動され、電力を融通された需要家の優先順位を低く設定し、電力を融通した需要家の優先順位を高く設定して、前記割り振りを行う。
【0033】
このグループ策定タスク27は、図4に示すように、需要家情報データベース24aから全需要家の希望供給タイプを取得し(ステップS11)、需要家情報データベース24aから全需要家の使用電力量履歴を取得し(ステップS12)、グループ割振タスクを起動する(ステップS13)。
【0034】
グループ割振タスクは、図5に示すように、まず、供給タイプごとに、当該供給タイプを希望している需要家(希望需要家)の使用予定電力量(定められた使用予定電力量)を算出し、その合計を取得する(ステップS111)。希望需要家の使用予定電力量は、当該希望需要家の需要家情報データベース24aや、他サーバに格納されている気象データベースや地域別使用量データ、契約電力・電力量伸び率データベース、景況判断データベースなどに基づいて算出し、需要家情報データベース24aに記憶する。
【0035】
そして、全供給タイプから供給タイプを1つ取得する(ステップS112)。そして、グループ割振の調整が必要か否かを判定する(ステップS113)。ここで、グループ割振の調整が必要か否かの判定は、ステップS111で取得した当該供給タイプの希望需要家の使用予定電力量の合計が、供給タイプデータベース26aの当該供給タイプの最大購入可能電力量266を超過しているか否かによって判定する。つまり、最大購入可能電力量266を超過する場合は、調整が必要と判定し、超過しない場合は、調整が不要と判定する。
【0036】
そして、調整が不要の場合(「NO」の場合)は、ステップS114に進んで次の供給タイプを取得し、ステップS113に戻って処理を繰り返す。調整が必要の場合(「YES」の場合)は、ステップS115に進んで、当該供給タイプの需要家を優先順位の低い順に取得する。そして、当該需要家を他の供給タイプに割り振る(ステップS116)。割り振る他の供給タイプは、希望需要家の使用予定電力量の合計が、当該供給グループの最大購入可能電力量266に対して余裕がある供給タイプに割り振るものとする。
【0037】
そして、再度、グループ割振の調整が必要か否かを判定する(ステップS117)。調整が必要な場合(「YES」の場合)は、ステップS118に進んで、さらに需要家を他の供給タイプに割振る必要があるため、当該供給タイプの需要家を優先順位の低い順に取得して、ステップS116に戻って処理を繰り返す。調整が不要な場合(「NO」の場合)は、ステップS119に進んで、すべての供給タイプについて処理が終わったか否かを判定する。終わっていない場合(「NO」の場合)は、ステップS120に進んで、次の供給タイプを取得して、ステップS113に戻って処理を繰り返す。すべての供給タイプについて処理が終わった場合(「YES」の場合)は、処理を終了する。
【0038】
電力融通タスク(電力融通手段)28は、各需要家の電力量計31で測定された消費電力量が、当該需要家に定められた使用予定電力量を超過する場合に、当該需要家と同一の供給タイプの他の需要家であって、消費電力量が使用予定電力量を下回る需要家から、超過分の電力量を融通する機能を有する機能を有するプログラム、タスクであり、図6に示すフローチャートに基づいている。ここでは、各需要家の消費電力量をリアルタイムに把握する必要があるため、電力量計31は、通信機能付の電力量計(スマートメータ)であるものとし、スマートメータ以外の電力量計が設置され、消費電力量をリアルタイムに把握できない需要家は、この電力融通タスク28の処理の対象外とする。制御部20は、電力量計31で測定された消費電力量が、当該需要家の使用予定電力量を超過しないかを常時監視し、使用予定電力量と消費電力量との差が所定の閾値以下となった場合に、電力融通タスク28を起動するようにプログラミングされている。
【0039】
電力融通タスク28は、図6に示すように、当該需要家と同一タイプの他の需要家を取得する(ステップS21)。そして、ステップS21で取得した同一タイプの他の需要家の中から、最初の需要家を取得する(ステップS22)。そして、電力の融通が可能か否かを判定する(ステップS23)。電力の融通が可能か否かの判定は、当該他の需要家の電力量計31で測定された消費電力量が、当該他の需要家の使用予定電力量を下回るか否かによって判定する。つまり、当該他の需要家の使用予定電力量を下回る場合は、融通可能と判定し、当該他の需要家の使用予定電力量を下回らない場合は、融通不可と判定する。
【0040】
融通が可能な場合(「YES」の場合)は、ステップS24に進んで、当該需要家の需要家情報データベース24aの電力融通履歴に「当該他の需要家から○○W融通された旨」を記憶して優先順位を低くし、当該他の需要家の需要家情報データベース24aの電力融通履歴に「当該需要家へ○○W融通した旨」を記憶して優先順位を低くする。そして、処理を終了する。
【0041】
また、超過が大きく、一人の需要家からの融通では消費電力量がなお不足する場合は、複数の需要家から電力を融通してもらい、消費電力量を補えるまでステップS22〜ステップS26の処理を繰り返してもよい(図示略)。
【0042】
融通が不可能な場合(「NO」の場合)は、ステップS25に進んで、すべての需要家について終了しているか否かを判定する。すべての需要家について終了している場合(「YES」の場合)は、処理を終了する。すべての需要家について処理を終了していない場合(「NO」の場合)は、ステップS26に進んで次の需要家を取得し、ステップS23に戻って処理を繰り返す。
【0043】
このようにして、需要家の電力量計31で測定された消費電力量が、当該需要家に定められた使用予定電力量を超過する場合に、当該需要家と同一の供給タイプの他の需要家であって、消費電力量が使用予定電力量を下回る需要家から、超過分を融通することができる。
【0044】
制御部20は、グループ策定タスク27の起動を制御したり、電力融通タスク28の起動を制御したりするようにプログラミングされ、これらのプログラム、タスクや使用するデータを記憶するようになっている。
【0045】
次に、このような構成の電力供給システム1の作用および、このシステム1による電力供給方法について説明する。ここでは、グループ策定タスク27は、毎日所定の時刻に起動されるものとする。
【0046】
はじめに、需要家はPC32から、電力会社のホームページにアクセスし、希望する供給タイプを選択する。需要家が選択した希望供給タイプは、需要家データベース24aに記憶される。
【0047】
電力供給サーバ2は、毎日所定の時刻になると、グループ策定タスク27を起動する。グループ策定タスク27は、供給タイプごとに、需要家情報データベース24aに記憶された各需要家の希望供給タイプと、使用電力量履歴とに基づいて、各供給タイプに割り振った需要家の全使用予定電力量が、各供給タイプの最大購入可能電力量以下になるように、需要家を割り振る。この需要家の割り振りは、例えば電力融通履歴に基づいて、電力を融通した需要家の優先順位は高く、電力を融通してもらった需要家の優先順位は低く設定されており、この優先順位に基づいて処理を行う。このため、需要家の供給タイプは、希望供給タイプの通りとなる場合もあれば、希望供給タイプとならない場合もある。
【0048】
また、需要家が供給タイプを変更したい場合は、電力会社のホームページにアクセスし、希望供給タイプを選択すると、所定の時刻にグループ策定タスク27によって、グループが策定される。つまり、希望供給タイプを選択した翌日には、変更した希望供給タイプに基づいてグループが策定されている。
【0049】
このようにして、毎日、供給タイプごとに、各需要家が希望する供給タイプと、需要家情報データベース24aに記憶された使用電力量履歴とに基づいて、割り振った需要家の全使用電力量が各供給タイプの最大購入可能電力量以下になるように、需要家が割り振られる。
【0050】
また、電力供給サーバ2は、需要家の電力量計31で測定された消費電力量が、当該需要家の使用予定電力量を超過しないかを常時監視し、超過しそうになった場合に、電力融通タスク28を起動する。電力融通タスク28によって、消費電力量が、使用予定電力量を超過しそうな当該需要家と同一の供給タイプの他の需要家であって、消費電力量が使用予定電力量を下回る需要家から、超過分の電力が融通されて、需要家情報データベース24aの電力融通履歴に記憶される。
【0051】
このようにして、各需要家の消費電力量が、当該需要家の使用予定電力量を超過しないように、同一グループ内で電力が融通される。
【0052】
さらに、電気料金を算出する際(電気料金算出タスク)は、需要家情報データベース24aの供給タイプ履歴や使用電力量履歴、電力融通履歴と、発電所情報データベース23aの単価と、需要家グループデータベース25aと、供給タイプデータベース26aとに基づいて、電気料金が算出される。この際に、例えば、電気を融通された需要家(使用予定電力量を超過した需要家)は、電気料金を割り増しし、電気を融通した需要家(使用予定電力量を下回った需要家)は、電気料金を割り引くようにする。
【0053】
以上のように、この電力供給システム1によれば、グループ策定タスク27によって、各需要家が希望する供給タイプと、需要家情報データベース24aに記憶された使用電力量履歴とに基づいて、割り振った需要家の全使用電力量が各供給タイプの供給可能電力量以下になるように、需要家を割り振ることができる。つまり、特定の発電所に人気が集中した場合であっても、需要電力量が発電電力量を超過しないようにグループを策定できる。
【0054】
また、電力融通タスク28によって、需要家の電力量計31で測定された消費電力量が、当該需要家に定められた使用予定電力量を超過する場合に、当該需要家と同一の供給タイプの他の需要家であって、消費電力量が使用予定電力量を下回る需要家から、超過分の電力を融通することができる。つまり、需要電力量(消費電力量)と使用予定電力量とのギャップが生じた場合であっても、電力を同一グループ内で融通することで、各供給タイプに割り当てられたグループの総消費電力量が供給可能電力量を超過しないので、発電計画(電力使用予定見通し)通りに運用することが可能である。
【0055】
さらに、グループ策定タスク27は、定期的に起動されるので、各需要家は希望する供給タイプをいつでも申請、更新することができ、需要家の希望供給タイプに基づいて適切なグループ策定が行われる。つまり、需要家は、例えば電力会社のホームページで公表されている各発電所の稼働率や単価などに基づいて、希望供給タイプを適宜変更することができる。
【0056】
さらにまた、電力融通タスク28によって、電力を融通された需要家の優先順位を低く設定し、融通した需要家の優先順位を高く設定して、割り振りを行うことで、グループの策定を公平、適切に行うことができる。このため、需要家は、優先順位を高くし(低くならないようにし)希望供給タイプに割り当てられるように、使用予定電力量を超過しないように(電力が融通されないように)するので、電力の使い過ぎを防止することが可能となる。
【0057】
以上、この発明の実施の形態について説明したが、具体的な構成は、上記の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、上記の実施の形態では、供給タイプは、供給タイプデータベース26aに予め記憶されているが、この電力供給システム1で策定するようにしてもよい(供給タイプ策定タスク)。供給タイプ策定タスクは、需要家情報データベース24aの使用電力量履歴や使用予定電力量、他サーバに格納されている気象データベースや地域別使用量データ、契約電力・電力量伸び率データベースなどに基づいて、割り振った需要家の全使用電力量が各供給タイプの最大購入可能電力量以下であり、かつ、希望供給タイプの供給タイプに割り当てられる需要家数が最大となるように、供給グループを策定する機能を有するプログラム、タスクである。つまり上記の条件をみたすように、供給タイプごとに、各発電所からの購入割合や最大購入可能電力量が策定されて、供給タイプデータベース26aに格納すればよい。また、供給タイプ策定タスクは、グループ策定タスク27の起動前に起動されるように制御部20にプログラミングされている。
【0058】
また、希望の供給タイプの申請は、PC32のみならず、携帯電話やFAX、電話などで行ってもよく、FAX、電話などで申請を受け付けた場合は、電力会社側で需要家情報データベース24aに希望供給タイプを登録するようにすればよい。
【符号の説明】
【0059】
1 電力供給システム
2 電力供給サーバ
3 需要家宅
23a 発電所情報データベース
24a 需要家情報データベース
25a 需要家グループデータベース
26a 供給タイプデータベース
27 グループ策定タスク(グループ策定手段)
28 電力融通タスク(電力融通手段)
31 電力量計
32 パーソナルコンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発電所から電力が供給される配電網に、複数の需要家が接続された電力供給システムであって、
前記複数の需要家に設置され、各需要家で消費される消費電力量を測定するとともに、通信機能を有する電力量計と、
前記各需要家の使用電力量履歴を記憶する需要家情報記憶手段と、
前記各発電所から供給される電力の割合が定められた供給タイプごとに、前記各需要家が希望する供給タイプと、前記需要家情報記憶手段に記憶された使用電力量履歴とに基づいて、割り振った需要家の全使用電力量が前記各供給タイプの供給可能電力量以下になるように、前記需要家を割り振るグループ策定手段と、
需要家の前記電力量計で測定された消費電力量が、当該需要家に定められた使用予定電力量を超過する場合に、当該需要家と同一の供給タイプの他の需要家であって、消費電力量が使用予定電力量を下回る需要家から、前記超過分を融通する電力融通手段と、
を備えることを特徴とする電力供給システム。
【請求項2】
前記グループ策定手段は、定期的に起動され、前記電力融通手段によって融通された需要家が希望する供給タイプの優先度を低く設定し、前記電力融通手段によって融通した需要家が希望する供給タイプの優先度を高く設定して、前記割り振りを行う、
ことを特徴とする請求項1に記載の電力供給システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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