説明

電力利用スケジュール調整装置、電力利用スケジュール調整方法、及びプログラム

【課題】電力供給の制約の下で電力利用のスケジュールの決定に要する時間を短縮する。
【解決手段】電力利用スケジュール調整装置は、ピーク電力及び使用電力量に上限が設けられた電力供給の制約の下に、電力を利用する複数の作業を実施するスケジュールを算出する電力利用スケジュール調整装置であって、作業を実施する要求と、当該作業の継続時間及び最大消費電力とを示す情報が入力される入力部と、入力部に入力された複数の作業に対して、当該作業の継続時間及び最大消費電力から電力供給の制約を満たして実行可能か否かを順に判定し、実施する作業の組合せを削減する分枝限定法を適用して作業を実施するスケジュールを算出するスケジュール算出部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力利用スケジュール調整装置、電力利用スケジュール調整方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
研究機関や大学などでは、作業をする人員や材料の有無等に基づいて実験を実施するスケジュールを立てている。更に、電力供給の制約が加わる場合、実験において使用する電力量を考慮して、実験を実施する日時や順序などのスケジュールを決めることが必要である。このように、制約の下でスケジュールを立てることは、生産、配送、プロジェクト、要因勤務などの管理において種々の制約条件の下で実行可能な最適なスケジュールを見出すスケジューリング問題として知られている(特許文献1、2)。
スケジューリング問題は、組合せの最適化問題であり、すべての組合せを調べることで、最適解が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−257383号公報
【特許文献2】特開2011−065421号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、実験(作業)の組合せの総数が大きくなると、すべての実験の組合せを調べるのに要する時間は、指数関数的に増加してしまうという問題がある。このとき、実施する作業のスケジュールを決定において、制限時間が設けられていると、作業の実施スケジュールを決定できず、作業を実施することができなくなってしまう可能性がある。
【0005】
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、その目的は、電力供給の制約の下において電力を利用する作業のスケジュール決定に要する時間の指数関数的な増加を抑制して、スケジュールの決定に要する時間を短縮できる電力利用スケジュール調整装置、電力利用スケジュール調整方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するために、本発明の電力利用スケジュール調整装置は、ピーク電力及び使用電力量に上限が設けられた電力供給の制約の下に、電力を利用する複数の作業を実施するスケジュールを算出する電力利用スケジュール調整装置であって、前記作業を実施する要求と、当該作業の継続時間及び最大消費電力とを示す情報が入力される入力部と、前記入力部に入力された複数の作業に対して、当該作業の継続時間及び最大消費電力から前記電力供給の制約を満たして実行可能か否かを順に判定し、実施する作業の組合せを削減する分枝限定法を適用して前記作業を実施するスケジュールを算出するスケジュール算出部とを備える。
【0007】
また、本発明は、上記に記載の発明において、前記作業を実施する要求に当該作業を実施すべき時間帯が制約条件として設けられている場合、前記スケジュール算出部は、前記複数の作業に対して、前記電力供給の制約と前記制約条件とを満たして実行可能か否かを順に判定することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の電力利用スケジュール調整方法は、ピーク電力及び使用電力量に上限が設けられた電力供給の制約の下に、電力を利用する複数の作業を実施するスケジュールを算出する電力利用スケジュール調整装置における電力利用スケジュール調整方法であって、前記作業を実施する要求と、当該作業の継続時間及び最大消費電力とを示す情報が入力される入力ステップと、前記入力ステップにおいて入力された複数の作業に対して、当該作業の継続時間及び最大消費電力から前記電力供給の制約を満たして実行可能か否かを順に判定し、実施する作業の組合せを削減する分枝限定法を適用して前記作業を実施するスケジュールを算出するスケジュール算出ステップとを有する。
【0009】
また、本発明のプログラムは、ピーク電力及び使用電力量に上限が設けられた電力供給の制約の下に、電力を利用する複数の作業を実施するスケジュールを算出する電力利用スケジュール調整装置に備えられたコンピュータに、前記作業を実施する要求と、当該作業の継続時間及び最大消費電力とを示す情報が入力される入力ステップと、前記入力ステップにおいて入力された複数の作業に対して、当該作業の継続時間及び最大消費電力から前記電力供給の制約を満たして実行可能か否かを順に判定し、実施する作業の組合せを削減する分枝限定法を適用して前記作業を実施するスケジュールを算出するスケジュール算出ステップとを実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、電力利用する作業それぞれを、当該作業の継続時間及び最大消費電力から電力供給の制約を満たして実行可能か否かを順に判定し、実施する作業の組合せである探索領域を判定結果に応じて削減する。これにより、すべての作業の組合せを調べることなく、実施する作業のスケジュールを決定することができ、作業のスケジュール決定に要する時間を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態における電力利用スケジュール調整装置1の構成を示す概略ブロック図である。
【図2】本実施形態における実験項目を入力する画面の一例である。
【図3】本実施形態における実験電力プロファイルの一例を示す図である。
【図4】本実施形態のスケジュール算出部13が行う分枝限定法を示す概念図である。
【図5】本実施形態における実験スケジュールの出力例を示す図である。
【図6】スケジュール算出部13が実験スケジュールを算出する処理を示すフローチャートである。
【図7】スケジュール算出部13が記憶部12に記憶されている申請情報及び実験電力プロファイルから生成した実験情報を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態における電力利用スケジュール調整装置、電力利用スケジュール調整方法、及びプログラムを説明する。ここでは、電力を利用する作業として実験を例とし、ピーク電力(最大消費電力)及び使用電力量の両方に上限が設けられた電力供給の制約の下に、電力利用スケジュールとしての実験スケジュールを立案する装置等について説明する。
【0013】
図1は、本実施形態における電力利用スケジュール調整装置1の構成を示す概略ブロック図である。同図に示すように、電力利用スケジュール調整装置1は、入力部11と、記憶部12と、スケジュール算出部13と、表示部14とを備えている。
入力部11には、ユーザーから実験を実施する申請を受けたスケジュール立案担当者による操作に応じて、当該実験申請に係る実験項目それぞれの情報を含む申請情報が入力される。ここで、実験項目は、実験名(実験時稼動設備)、継続時間、実験回数である。図2は、本実施形態における実験項目を入力する画面の一例である。同図に示すように、実験名、継続時間、及び実験回数は、予め定められたものから選択するようにしてもよい。
【0014】
図1に戻って、電力利用スケジュール調整装置1の説明を続ける。
記憶部12には、入力部11に入力された申請情報が記憶される。また、記憶部12には、各実験におけるピーク電力が実験名に対応付けられた実験電力プロファイルが予め記憶されている。
図3は、本実施形態における実験電力プロファイルの一例を示す図である。同図に示すように、実験名にピーク電力が対応付けられている。例えば、実験名がクリーンルームの実験には、150[kW]のピーク電力が対応付けられている。
【0015】
図1に戻って、電力利用スケジュール調整装置1の説明を続ける。
スケジュール算出部13は、記憶部12が記憶する申請情報、及び実験電力プロファイルに基づいて、各実験に対応する実験情報を生成する。例えば、実験開始時刻t0から実験終了時刻t1までの間に電力A[kW]を消費する実験の消費電力は、次式(1)として立式される。
【0016】
【数1】

【0017】
また、実施しているときに消費する電力が一度変化する実験の消費電力は、次式(2)として立式される。このとき、時刻t1は消費電力が変化する時間であり、時刻t2は実験終了時刻である。
【0018】
【数2】

【0019】
なお、実施中に消費する電力が複数回変化する実験では、場合分けが変化の回数に応じて増加する。
また、式(1)を用いて消費電力が表される実験に対して、実施する時間帯の制約がある場合、次式(3−1)及び(3−2)として立式される。
【0020】
【数3】

【0021】
式(3−1)及び(3−2)で消費電力が表される実験は、午前中に実施することが制約として設けられている。
また、スケジュール算出部13は、各実験の消費電力Pexpk(t)に基づいて、制約条件つきのスケジューリング問題を次式(4)〜(6)として立式する。
【0022】
【数4】

【0023】
【数5】

【0024】
【数6】

【0025】
ここで、式(4)のPtotal(t)は時刻tにおける全実験の総電力であり、Pbase(t)は時刻tにおけるベース電力(空調設備やその他の負荷)である。各時刻におけるベース電力は、過去の使用電力等に基づいた統計値を用いるようにしてもよい。この場合、記憶部12に、各時刻におけるベース電力を予め記憶させるようにしてもよい。
また、nは実験総数である。Pwmaxは総ピーク電力の上限値としての電力制約値であり、Pwhmaxは使用電力量の上限値としての電力量制約値である。電力制約値Pwmaxと電力量制約値Pwhmaxとは、電力供給の制約として予め定められる。また、tstは実験スケジュールの調整期間の開始時刻であり、tfinは実験スケジュールの調整期間の終了時刻である。
【0026】
このとき、スケジュール算出部13は、実験スケジュールの立案を次式(7)で表されるz(実施する実験数)を最大化する問題とする。
【0027】
【数7】

【0028】
式(7)において、δkは実験kの実施の可否(0−1)を示す変数であり、δk=0は実験kの不実施を示し、δk=1は実験kの実施を示す。
スケジュール算出部13は、できるだけ多くの実験を実施する実験スケジュールを立案するため、式(4)〜(6)の制約を満たしつつ、各実験の可否を示すδkの総和を示す式(7)を最大化する実験の組合せを算出する。
【0029】
上述の問題は、混合整数計画問題として分類される。すべての0−1変数(δk:k=1,…,n)に対し探索を行うと、探索領域は2になる。スケジュールの対象になる実験の数が多くなると、探索領域は指数関数的に増加することになり、解を得ることが困難になる。
そこで、スケジュール算出部13は、分枝限定法を用いて、探索領域を削減しつつ実験スケジュールの立案を行うようにする。
【0030】
図4は、本実施形態のスケジュール算出部13が行う分枝限定法を示す概念図である。スケジュール算出部13は、0−1変数(δk)の1つである0−1変数(δ1)に対応する実験1を実行する場合に各制約を満たすことができるか否かを判定する(節点N11)。ここで、節点N11における状態は、各実験を実施するか否かを定めていない状態である。
【0031】
スケジュール算出部13は、すべての制約を満たせる場合、実験1を実施するとき(節点N21)と、実験1を実施しないとき(節点N22)とにおける目的関数(式(7))の上界を算出する。例えば、節点N22の上界が節点N11の上界より小さい場合、実験1を実施することを選択し、節点N22以下の探索領域(節点N33、節点N34、…)に対する探索を行なわないことになる。
一方、スケジュール算出部13は、満たせない制約がある場合、実験1を実施しないことを選択し探索を続ける。この場合、節点N21以下の探索領域(節点N31、節点N32、…)に対する探索を行わない。
【0032】
また、図4において、節点N21は実験1を実施することを定め、他の実験を実施するか否かを定めていない状態である。節点N22は実験1を実施しないことを定め、他の実験を実施するか否かを定めていない状態である。
また、節点N31は実験1及び実験2を実施することを定め、他の実験を実施するか否かを定めていない状態である。節点N32は実験1を実施し、実験2を実施しないことを定め、他の実験を実施するか否かを定めていない状態である。節点N33は実験1を実施せず、実験2を実施することを定め、他の実験を実施するか否かを定めていない状態である。節点N34は、実験1及び実験2を実施しないことを定め、他の実験を実施するか否かを定めていない状態である。
【0033】
上述のように、スケジュール算出部13は、探索領域を限定しながら、実験スケジュールを決定する。スケジュール算出部13は、算出した実験スケジュールを表示部14に出力して表示させる。
また、スケジュール算出部13は、算出した実験スケジュールを記憶部12に記憶させる。電力利用スケジュール調整装置1は、入力部11に入力されるスケジュール立案担当者の操作に応じて、記憶部12に記憶された実験スケジュールを外部に出力するようにしてもよい。
【0034】
図5は、本実施形態における実験スケジュールの出力例を示す図である。同図において横軸は時刻を示し、縦軸は各時刻における消費電力を示している。また、各実験が実施される時刻がグラフにより示されている。ここに示した出力例では、ピーク電力の総和が1200[kW]を以下にする電力供給の制約の下に実験のスケジュールが立案されている。図5(a)は、スケジュール算出部13が算出した、電力供給の制約を満たす実験スケジュールの出力例である。図5(b)は、電力供給の制約を満たさない実験スケジュールの例である。同図に示した実験スケジュールでは、各実験に対して7時から21時までの間に実施することが制約として設けられている。
【0035】
以下、電力利用スケジュール調整装置1による実験スケジュールを算出する処理を、図6及び図7を用いて説明する。図6は、スケジュール算出部13が実験スケジュールを算出する処理を示すフローチャートである。図7は、スケジュール算出部13が記憶部12に記憶されている申請情報及び実験電力プロファイルから生成した実験情報を示す図である。
図7に示す実験情報では、各実験1〜7を実施する時間帯の希望である希望時間帯が加えられている。希望時間帯は、入力部11を介して外部より入力され、実験スケジュールを算出する際の制約条件の一つとなる。また、各実験は、実験番号をキーにして、実験名、継続時間、ピーク電力、及び希望時間帯が対応付けられている。例えば、実験番号が実験3の実験に対して、振動台(100%)、2[h]、800[kW]、及びAM(7:00〜12:00)が、実験名、継続時間、ピーク電力、及び希望時間帯として対応付けられている。また、実験番号は、例えば、入力部11に入力された順に付与される。
以下、実験は7時から20時までの正時に開始する場合について説明する。
【0036】
実験スケジュールを算出する処理が開始されると、図6に示すように、入力部11に申請情報が入力され、申請情報が記憶部12に記憶される(ステップS101)。
スケジュール算出部13は、記憶部12に記憶されている申請情報及び実験電力プロファイルから実験情報を生成する(ステップS102)。
スケジュール算出部13は、各実験を実施するか否かを定めていない状態を実験スケジュールとする初期化を行い、実験スケジュールを記憶部12に記憶させる(ステップS103)。このとき、各時刻における電力としてベース電力が設定される。
【0037】
スケジュール算出部13は、実験番号の小さい実験から順に、ステップS104〜ステップS107の処理を繰り返して行う。スケジュール算出部13は、記憶部12に記憶されている実験スケジュールを読み出し(ステップS104)、読み出した実験スケジュールにおいて、判定対象の実験を実施可能な開始時刻があるか否かを判定する(ステップS105)。また、記憶部12に複数の実験スケジュールが記憶されている場合、スケジュール算出部13は、実験スケジュールごとに、ステップS105以降の処理を実行する。
【0038】
図7に示された実験1が判定対象である場合、スケジュール算出部13は、実験1の希望時間帯において、実施可能な開始時刻があるか否かを判定する。具体的には、継続時間が4時間の実験1を午前中に終了させるように、7時又は8時から開始できるか否かを判定する。このとき、実験1を実施した場合に制約条件を満たしているか否かを判定する。スケジュール算出部13は、7、8、9、10、11時台に使用される電力(ベース電力や、他の実験で使用される電力)に500[kW]を足したピーク電力が電力制約値Pwmaxを超えていないこと、及び、実験1を実施した場合に使用される電力量(4[h]×500[kW])を加えた使用電力量が電力量制約値Pwhmaxを超えていないことを判定する。
電力制約値Pwmax及び電力量制約値Pwhmaxを超えない場合、すなわち電力供給の制約を満たす場合、実験1を実施可能な開始時刻があることになる。これに対して、電力制約値Pwmax又は電力量制約値Pwhmaxのいずれか一方、あるいは両方を超える場合、すなわち電力供給の制約を満たせない場合、実験1が実施可能な開始時刻がないことになる。
【0039】
ステップS105において、判定対象の実験に対して実施可能な開始時刻がある場合(ステップS105:YES)、スケジュール算出部13は、判定対象の実験を実施した場合の目的関数(式(7))の上界と、判定対象の実験を実施しない場合の目的関数の上界とを算出する。スケジュール算出部13は、上界が大きくなる選択を行う。すなわち、スケジュール算出部13は、判定対象の実験を実施する選択を行い、判定対象の実験を実施しない組合せを含む実験スケジュールの探索を行わずに探索領域を削減する。
【0040】
スケジュール算出部13は、実施可能と判定した開始時刻から実験を実施する実験スケジュールを生成し、生成した実験スケジュールを記憶部12に記憶させて、実験スケジュールの更新を行う(ステップS106)。このとき、実施可能と判定された開始時刻が複数ある場合、それぞれの開始時刻から実験を実施する実験スケジュールに更新する。すなわち、複数の実験スケジュールを生成する。図7における実験1が判定対象の場合、スケジュール算出部13は、実験1を7時から実施する実験スケジュールと、実験1を8時から実施する実験スケジュールとを生成し、生成した実験スケジュールを記憶部12に記憶させて、実験スケジュールを更新する。
【0041】
一方、ステップS105において、判定対象の実験に対して実施可能な開始時刻がない場合(ステップS105:NO)、スケジュール算出部13は、判定対象の実験を実施しないことを選択し、当該実験を実施しない実験スケジュールを生成する。すなわち、スケジュール算出部13は、判定対象の実験を実施する組合せを含む実験スケジュールの探索を行わずに探索領域を削減する。
スケジュール算出部13は、生成した実験スケジュールを記憶部12に記憶させて、実験スケジュールを更新する(ステップS107)。
【0042】
スケジュール算出部13は、実験ごとに、ステップS104〜ステップS107を繰り返して行い、目的関数(式(7))を最大にする実験スケジュールを算出する。例えば、実験情報が図7に示した実験情報である場合、午前中に実験1、実験3、実験4及び実験6を開始する実験スケジュールが目的関数を最大にする実験の組合せとなる。
スケジュール算出部13は、実験に対して実施するか否かを示す実験スケジュールを記憶部12から読み出し、読み出した実験スケジュールを表示部14に出力する(ステップS108)。実験スケジュールには、上述のように、実施する実験の開始時間を示す情報が含まれている。
【0043】
以上のように、電力利用スケジュール調整装置1は、スケジュール算出部13が申請情報と実験電力プロファイルとに基づいて実験情報を生成する。スケジュール算出部13は、分枝限定法を用いて、予め定められた制約を満たす実験スケジュールを算出して、記憶部12に記憶させるとともに、表示部14に出力する。このとき、スケジュール算出部13は、実験情報に含まれる実験に対して順に電力供給の制約を満たして実施することができるか否かを判定することにより、探索領域を削減して申請された実験のすべての組合せを調べることなく、実験スケジュールを算出することができる。
これにより、電力利用スケジュール調整装置1は、電力供給の制約の下において電力を利用する作業のスケジュール決定に要する時間の指数関数的な増加を抑制して、スケジュールの決定に要する時間を短縮することができる。
【0044】
なお、本実施形態では、各実験のピーク電力が実験電力プロファイルとして記憶部12に予め記憶されている構成を説明した。しかし、これに限ることなく、ピーク電力を含む申請情報が入力部11に入力されるようにしてもよい。
【0045】
なお、上述の電力利用スケジュール調整装置1は内部に、コンピュータシステムを有していてもよい。その場合、上述した入力部11、記憶部12、スケジュール算出部13、及び表示部14の各機能部が行う処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、実験スケジュールを算出する処理が行われることになる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
【符号の説明】
【0046】
1…電力利用スケジュール調整装置、11…入力部、12…記憶部、13…スケジュール算出部、14…表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピーク電力及び使用電力量に上限が設けられた電力供給の制約の下に、電力を利用する複数の作業を実施するスケジュールを算出する電力利用スケジュール調整装置であって、
前記作業を実施する要求と、当該作業の継続時間及び最大消費電力とを示す情報が入力される入力部と、
前記入力部に入力された複数の作業に対して、当該作業の継続時間及び最大消費電力から前記電力供給の制約を満たして実行可能か否かを順に判定し、実施する作業の組合せを削減する分枝限定法を適用して前記作業を実施するスケジュールを算出するスケジュール算出部と
を備えることを特徴とする電力利用スケジュール調整装置。
【請求項2】
前記作業を実施する要求に当該作業を実施すべき時間帯が制約条件として設けられている場合、
前記スケジュール算出部は、前記複数の作業に対して、前記電力供給の制約と前記制約条件とを満たして実行可能か否かを順に判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の電力利用スケジュール調整装置。
【請求項3】
ピーク電力及び使用電力量に上限が設けられた電力供給の制約の下に、電力を利用する複数の作業を実施するスケジュールを算出する電力利用スケジュール調整装置における電力利用スケジュール調整方法であって、
前記作業を実施する要求と、当該作業の継続時間及び最大消費電力とを示す情報が入力される入力ステップと、
前記入力ステップにおいて入力された複数の作業に対して、当該作業の継続時間及び最大消費電力から前記電力供給の制約を満たして実行可能か否かを順に判定し、実施する作業の組合せを削減する分枝限定法を適用して前記作業を実施するスケジュールを算出するスケジュール算出ステップと
を有することを特徴とする電力利用スケジュール調整方法。
【請求項4】
ピーク電力及び使用電力量に上限が設けられた電力供給の制約の下に、電力を利用する複数の作業を実施するスケジュールを算出する電力利用スケジュール調整装置に備えられたコンピュータに、
前記作業を実施する要求と、当該作業の継続時間及び最大消費電力とを示す情報が入力される入力ステップと、
前記入力ステップにおいて入力された複数の作業に対して、当該作業の継続時間及び最大消費電力から前記電力供給の制約を満たして実行可能か否かを順に判定し、実施する作業の組合せを削減する分枝限定法を適用して前記作業を実施するスケジュールを算出するスケジュール算出ステップと
を実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−66330(P2013−66330A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−204146(P2011−204146)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【Fターム(参考)】