説明

電力制御装置、健康機器

【課題】電気機器の待機時における消費電力の更なる低減を図ることのできる電力制御装置及び健康機器を提供する。
【解決手段】健康機器1に備えられる制御部101、負荷102、制御指令部103及び入力操作部104に所要の電力を供給する負荷用電力生成回路106と、前記負荷用電力生成回路106と商用電源Eとの間の電力供給路を接断する開閉器107と、前記商用電源Eから供給される電力に基づき前記開閉器107による接断動作に要する電力を生成する開閉器用電力生成回路109と、健康機器1に対する使用者の予め定められた使用準備動作の有無に応じて、前記開閉器用電力生成回路109と前記開閉器107との間の電力供給路を接断するスイッチ部108とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力を用いた負荷の駆動により健康的な作用を使用者に与える健康機器に搭載される電力制御装置及び該電力制御装置を備えた健康機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
家電製品等の電気機器において、該電気機器を使用者が使用していない待機時における消費電力を低減する技術が種々提案されており、その中の一つとして、下記特許文献1がある。
【0003】
下記特許文献1には、交流入力電源からメインスイッチ及びパワートランスを介して電気機器のメイン回路に電源を供給する回路に待機電源回路を備える点と、該待機電源回路の動作に関し、「待機状態においてリモコン受光部207には以下のように間欠電源が供給される。まず、交流電源201が供給されると図2の電源回路は待機状態に入る。直流電源205から電源を供給されたRTC211はサブマイコン209に時刻データaを供給するとともに、間欠コントローラ212にトリガbを出力する。すると間欠コントローラ212は間欠電源のデューティ比を所定のデューティ比、例えば50%のデューティ比とする信号dを出力して間欠電源を駆動し、リモコン受光部207とフィルタ208に間欠電源を供給する([0013])」との記載とがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−265449号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1には、待機時において待機電源回路に電力を供給する旨が記載されているが、この待機電源回路は、サブマイコンや間欠コントローラなどの回路を搭載している。これらの回路は、待機時ではない通常動作時に電力が供給されるメインマイコンと比べると消費電力は小さいものの、無視することはできない電力を消費する。よって、このような回路を有する前記待機電源回路に向けて待機時に常時電力を供給する構成には、無駄な電力消費が依然として存在し、更なる消費電力の低減を図る余地があった。
【0006】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、健康機器の待機時における消費電力の更なる低減を図ることのできる電力制御装置及び健康機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、電力を用いた負荷の駆動により健康的な作用を使用者に与える健康機器に搭載され、電力源から供給される電力に基づいて所要の電力を前記負荷に供給するための電力制御装置であって、前記電力源から供給される電力に基づき前記負荷の動作に要する電力を生成する負荷用電力生成部と、前記負荷用電力生成部と前記電力源との間の電力供給路を接断する開閉器と、前記健康機器に対する使用者の予め定められた使用準備動作に起因して電気的な変化を発生させる回路素子を備え、前記電気的な変化が発生すると、前記負荷用電力生成部と前記電力源との間の電力供給路を前記開閉器に接続させる開閉器制御部とを備えたものである。
【0008】
この発明によれば、前記健康機器に対する使用者の予め定められた使用準備動作が行われると、該使用準備動作に起因して電気的な変化が発生し、この電気的な変化により、前記負荷用電力生成部と前記電力源との間の電力供給路が前記開閉器により接続される。
【0009】
このような構成では、前記使用準備動作に起因して回路素子で電気的な変化が発生するまでは、前記負荷用電力生成部と前記電力源との間の電力供給路が前記開閉器により接続されない。また、その結果、前記使用準備動作が行われるまでは、前記負荷への電力供給が行われないこととなる。これにより、当該健康機器の待機時における消費電力を零又は極めて少ない電力に抑制することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電力制御装置において、前記開閉器制御部は、更に、前記電力源から供給される電力に基づき前記開閉器の接続動作に要する電力を生成する開閉器用電力生成部を備え、前記回路素子は、前記開閉器用電力生成部と前記開閉器との間の電力供給路を接断するスイッチ部であり、前記健康機器に対する使用者の予め定められた使用準備動作に起因して、前記開閉器用電力生成部と前記開閉器との間の電力供給路を接続するものである。
【0011】
この発明によれば、前記健康機器に対する使用者の予め定められた使用準備動作が行われるまでは、前記開閉器用電力生成部と前記開閉器との間の電力供給路が前記スイッチ部により接続されることは無く、前記開閉器用電力生成部で生成される、前記開閉器の接続動作に要する電力が、前記開閉器に供給されることも無い。その結果、前記負荷用電力生成部と前記電力源との間の電力供給路が前記開閉器により接続されることは無く、前記負荷への電力供給が行われないこととなる。
【0012】
このように、前記健康機器に対する使用者の予め定められた使用準備動作が行われるまでは前記負荷に電力が供給されず、前記健康機器に対する使用者の予め定められた使用準備動作が行われて始めて前記負荷に電力が供給されるように構成したので、健康機器の待機時における消費電力を零又は極めて少ない電力に抑制することができる。
【0013】
前記健康機器が、使用者が騎乗する可動部と、当該電力制御装置から出力される電力の供給を受けて前記可動部を駆動して該可動部の動作状態を変化させる駆動部とを前記負荷として含み、前記可動部に騎乗した前記使用者に乗馬を模した運動負荷を与えるものである場合には、請求項3に記載の発明のように、前記スイッチ部を、前記手綱にそれぞれ設置された一対の電極を含んで構成し、使用者が前記手綱を把持する動作を前記使用準備動作として行ったときに前記両電極同士が該使用者の人体を介して電気的に導通することでスイッチとして働くようにしてもよいし、或いは、請求項4に記載の発明のように、前記スイッチ部を、前記座面又はその近傍に設置されたプッシュスイッチを含んで構成し、前記使用者が前記可動部に騎乗したときにオンされるようにしてもよい。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の電力制御装置において、前記回路素子は、前記健康機器に対する使用者の予め定められた使用準備動作に起因する力を受けて発電する圧電素子であり、前記開閉器制御部は、更に、前記回路素子により生成された電力に基づいて前記負荷用電力生成部と前記電力源との間の電力供給路を前記開閉器に接続させるのに要する電力を生成する開閉器用電力生成部を備えるものである。
【0015】
この発明によれば、前記健康機器に対する使用者の予め定められた使用準備動作が行われるまでは圧電素子は発電せず、そのため、前記開閉器用電力生成部において前記開閉器の接続動作に要する電力が生成されることも無い。また、その結果、前記負荷用電力生成部と前記電力源との間の電力供給路が前記開閉器により接続されることは無く、前記負荷への電力供給が行われることも無い。
【0016】
このように、前記健康機器に対する使用者の予め定められた使用準備動作が行われるまでは前記負荷に電力が供給されず、前記健康機器に対する使用者の予め定められた使用準備動作が行われて始めて前記負荷に電力が供給されるように構成したので、健康機器の待機時における消費電力を零又は極めて少ない電力に抑制することができる。
【0017】
前記健康機器が、使用者が騎乗する可動部と、当該電力制御装置から出力される電力の供給を受けて前記可動部を駆動して該可動部の動作状態を変化させる駆動部とを前記負荷として含み、前記可動部に騎乗した前記使用者に乗馬を模した運動負荷を与えるものである場合には、請求項6に記載の発明のように、前記圧電素子を、前記座面又はその近傍に設置し、前記使用者が前記可動部に騎乗したときに該使用者からの荷重により発電するように構成してもよいし、請求項7,8に記載の発明のように、前記回路素子を、前記あぶみや手綱の動きと連動して発電する発電装置としてもよい。
【0018】
請求項9に記載の発明は、請求項4に記載の健康機器において、前記負荷は、使用者が騎乗する可動部と、前記電力制御装置から出力される電力の供給を受けて前記可動部を駆動して該可動部の動作状態を変化させることにより前記使用者に運動負荷を与える駆動部とを含むものである。
【0019】
この発明によれば、前記健康機器の中でも、前記可動部の動作状態を変化させることにより前記使用者に運動負荷を与える健康機器において、待機時における消費電力が零又は極めて少ない健康機器を実現することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、使用者が健康機器を使用していない待機時(未使用時)における消費電力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る健康機器の第1の実施形態を表す外観斜視図である。
【図2】健康機器の外観側面図である。
【図3】健康機器の内部構成を示す側面図である。
【図4】揺動機構を拡大して示す側面図である。
【図5】揺動機構の平面図である。
【図6】揺動機構の背面図である。
【図7】座部の動きを説明するための図である。
【図8】健康機器の電気的な構成を示すブロック図である。
【図9】電力制御回路部の回路構成を示す図である。
【図10】健康機器の他の電気的な構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る健康機器の実施形態について説明する。図1は、本発明に係る健康機器の第1の実施形態を表す外観斜視図、図2は、該健康機器の側面図である。
【0023】
図1、図2に示すように、健康機器1は、馬の背や鞍を模した形状で使用者が跨って着座可能な座部2と、この座部2を揺動運動させる揺動機構3と、電動モータ及びラック・ピニオン等により座部2を上昇位置Uと下降位置Dとに昇降させて前記座部2の高さを調節する昇降機構4と、前記座部2の左右位置の上ヒンジピン5に前後回動可能に吊下げられ、下端に使用者が足先を掛ける輪部を有するあぶみ6と、座部2の前部に前後揺動可能に設けた手綱7と、前記座部2及び揺動機構3を支える脚部8とを備えて構成されている。
【0024】
図3は、健康機器1の内部構成を示す側面図、図4は、前記揺動機構3を拡大して示す側面図であり、図5はその平面図であり、図6はその背面図である。図3、図4及び図6において、該揺動機構3が揺動した状態を仮想線で示す。
【0025】
座部2が取付けられる台座9は、左右を一対とする連結リンク10を介して可動架台11に前後に揺動可能に支持され、可動架台11はベース12に左右に揺動可能に支持されているとともに、台座9と可動架台11との間には駆動部13が収納されている。前記連結リンク10は、前リンク10aと、後リンク10bとから成る。前リンク10aの上端部は、台座9の前端部に設けた上軸ピン9aに軸着され、前リンク10aの下端部は可動架台11の側板14の前端部に設けた下軸ピン15aに軸着されている。また、後リンク10bの上端部は台座9の後端部に設けた上軸ピン9bに軸着され、後リンク10bの下端部は可動架台11の側板14の後端部に設けた下軸ピン15bに軸着されている。前後の各下軸ピン15a,15bは、連結リンク10を左右方向Yの軸線回りに回動可能に支持する左右軸15を構成しており、これによって、台座9は左右軸15回りに図4の矢印Mで示す前後方向に往復回転移動可能となっている。
【0026】
前記ベース12の前後方向Xの両端部には、図4及び図6に示すように、軸支板16がそれぞれ立設され、可動架台11の前後方向Xの両端部には前記軸支板16と対向する連結板17がそれぞれ垂設され、軸支板16に対して連結板17が前後軸18によって回動可能に連結されている。前後軸18はベース12の中央部の前後2箇所に配置されて可動架台11を前後軸18回りに回動可能に支持するものであり、これによって台座9は前後軸18回りに図6の矢印Nで示す左右方向に回転往復移動可能となっている。
【0027】
一方、駆動部13は、単体のモータ19と、モータ19の出力回転軸20の回転力を台座9の前後方向Xの往復直進移動、左右軸15回りの回転往復移動、前後軸18回りの回転往復移動にそれぞれ変換して、これら3動作を組み合わせて座部2を駆動可能とする2つの駆動部13a,13bとを備えている。本例のモータ19はベース12上に縦据え置きされ、出力回転軸20の突出方向は上向きとされる。
【0028】
前記第1駆動部13aは、前後方向Xの往復直進移動および左右軸15回りの回転往復移動用であり、前記第2駆動部13bは、前後軸18回りの回転往復移動用である。第1駆動部13aは、図4及び図5で示すように、前記出力回転軸20にモータギア21及び第1ギア22を介して連結される第1シャフト23と、第1シャフト23の一端部に偏心して連結される偏心クランク24(図5参照)と、一端部が偏心クランク24に連結され、他端部が前リンク10aに設けた軸ピン10cに軸着されるアームリンク25とから成る。第1シャフト23の両端部は台座9側にそれぞれ回動可能に支持されており、偏心クランク24が第1シャフト23に対して偏心円運動を行うことによって、アームリンク25を介して前リンク10aが前後方向Xに往復移動し、これによって連結リンク10に連結されている台座9、すなわち座部2が図3及び図4の矢印Mで示す方向に揺動可能となっている。
【0029】
また、図5及び図6で示すように、第2駆動部13bは、前記第1シャフト23の連動ギア26と第2ギア27を介して連結された第2シャフト28と、一端部が第2シャフト28の一端部に偏心して連結され、他端部がベース12に回動可能に連結される偏心ロッド29とを備えて構成される。第2シャフト28の両端部は台座9側に回動可能に支持されている。偏心ロッド29は、台座9の左側或いは右側のいずれか一方に配置され(図5及び図6では右側)、偏心ロッド29の上端部29aが図6に示す軸ピン60により第2シャフト28の一端部に対して偏心して連結され、偏心ロッド29の下端部29bはベース12に固定したL形連結金具30に対して軸ピン31により回動可能に連結されている。したがって、第2シャフト28の回転によって、偏心ロッド29の上端部が偏心円運動を行うことで、台座9、すなわち座部2が図6の矢印Nで示すように、前後軸18回りの回転往復移動可能となっている。
【0030】
上記構成によれば、モータ19の一方向に突出する出力回転軸20が回転すると、モータギア21と第1ギア22との噛み合いによって第1シャフト23が回転すると同時に、第1シャフト23の連動ギア26と第2ギア27との噛み合いによって第2シャフト28が回転する。第1シャフト23が回転すると該第1シャフト23の一端部に連結された偏心クランク24が偏心円運動を行い、アームリンク25を介して前リンク10aが前側の左右軸15を中心に前後方向Xに回動する。このとき後リンク10bが協働して後側の左右軸15回りに回動することから、台座9、すなわち座部2は前後方向Xに往復移動および揺動する。一方、第2シャフト28の回転によって、偏心ロッド29の上端部が偏心円運動を行い、台座9、すなわち座部2は前後軸18回りに回転往復移動する。
【0031】
このようにして、使用者が座部2に着座した状態で、座部2は図7に示す前後方向X、左右方向Y、上下方向Zへの運動、およびθX方向、θY方向、θZ方向の揺動を行うことから、身体のバランス機能や運動機能を訓練することができる。しかも、1個のモータ19を用いて3動作を行うことができるので、モータ19の数が減り、モータの制御が簡単になるとともに、低コスト化およびコンパクト化を図ることができる。さらに、モータ19の出力回転軸20は一方向に突出していればよく、2方向に突出させる場合には横置きとなるのに対して、縦置きが可能となり、これによって該モータ19を含む揺動機構3全体の設置スペースを狭めてコンパクト化を図ることができ、揺動機構3を座部2内部に格納して、乗馬を模した狙い通りの動作を忠実に再現することが可能になる。
【0032】
図8は、健康機器1の電気的な構成を示すブロック図、図9は、電力制御回路部105の回路図である。なお、図1〜図7に示す構成と同一の構成については同一の番号を付し、その説明を省略する。
【0033】
図8に示すように、健康機器1は、制御部101と、負荷102と、制御指令部103と、入力操作部104と、電力制御回路部105とを備え、前記各部101〜105は、商用電源Eから供給される電力の供給を受けて動作する。なお、制御部101と負荷102と制御指令部103と入力操作部104とは互いに電気的に接続されており、制御部101や制御指令部103は、この電気的接続を介して、入力操作部104からの操作信号を受信したり、負荷102や入力操作部104の動作を制御する制御信号を負荷102や入力操作部104に送信したりする。
【0034】
制御部101は、図略のCPU(Central Processing Unit:中央演算処理部)と、そのCPUの動作を規定するプログラムを格納するROM(Read Only Memory)やデータを一時的に保管する機能や作業領域としての機能を有するRAM(Random Access Memory)等を備えて構成されたマイクロコンピュータを有してなり、当該健康機器1の全体制御を司るものである。
【0035】
負荷102は、前記揺動機構3内に備えられる前記モータ19を含み、制御指令部103は、この負荷102の動作制御や後述する開閉器107のオンオフ動作の制御を行うものである。
【0036】
入力操作部104は、詳細には説明しないが、揺動機構3による揺動動作を開始する指示を入力したり停止する指示を入力したりするための切/入ボタン、揺動機構3の揺動態様(揺動速度や座部2の角度等)が予め設定された複数のコースを指定するためのボタン、揺動機構3による揺動速度を調節するため速度調節ボタン、座部2の前傾・後傾の角度を調節するための座面傾き調節ボタン、座面の高さを調節するためのシート高さ調節ボタン、使用者の性別や身長等を入力するための使用者情報入力ボタン等からなる。
【0037】
電力制御回路部105は、前記電力制御装置の一例であり、負荷用電力生成回路106と、開閉器107と、スイッチ部108と、開閉器用電力生成回路109とを有して構成されている。
【0038】
負荷用電力生成回路106は、制御部101、負荷102、制御指令部103及び入力操作部104にそれぞれ電力線でそれぞれ接続されており、これらの動作に要する電力を生成し前記電力線を介して前記制御部101等に供給するものである。なお、負荷用電力生成回路106の電力供給対象は、制御部101、負荷102、前記制御指令部103及び入力操作部104に限定されるものではない。
【0039】
開閉器107は、前記負荷用電力生成回路106と前記商用電源Eとの間の電力供給路を接断するものである。開閉器用電力生成回路109は、例えばAC/DCコンバータからなり、前記商用電源Eから供給される電力に基づき前記開閉器107による接断動作に要する電力を生成するものである。
【0040】
スイッチ部108は、前記回路素子の一例であり、当該健康機器1に対する使用者の予め定められた使用準備動作、例えば、使用者が手綱7を握る動作、あぶみ6に足を掛ける動作、座部2に着座する動作等の有無に応じて、前記開閉器用電力生成回路109と前記開閉器107との間の電力供給路を接断するものである。
【0041】
スイッチ部108は、例えば、図9に示すように、前記使用者による使用準備動作の有無に応じてオンオフするスイッチング素子SWと抵抗素子Rとが直列接続されてなり、この直列回路が開閉器用電力生成回路(AC/DCコンバータ)109の出力端子間に接続されている。なお、スイッチング素子SWと抵抗素子Rとの前記直列回路の一方の端子はグランドに接続されている。
【0042】
そして、前記スイッチング素子SWと前記抵抗素子Rとの接続点Aが開閉器107の入力端子に接続されており、前記接続点Aの電位を示す信号が開閉器107に出力される。スイッチング素子SWがオフのときには、前記接続点Aから前記開閉器107にL(ロー)の電位を示す閉信号が開閉器107に出力される。これにより、開閉器107はオンしない。一方、前記使用者により使用準備動作が行われることでスイッチング素子SWがオンされると、前記接続点Aから前記開閉器107にH(ハイ)の電位を示す開信号が出力される。これにより、開閉器107はオンする。
【0043】
スイッチング素子SWの構成としては、当該健康機器1に対する使用者の予め定められた使用準備動作によって押圧される機械ボタン111(図2参照;前記プッシュスイッチに相当)により切片が両端子に接続される構成の他、当該健康機器1に対する使用者の予め定められた前記使用準備動作として使用者が手綱7を握る動作を想定した場合には、手綱7に一対の電極112(図1参照)を設置し、それぞれの手で手綱7を握ると前記両電極が使用者の人体を介して電気的に接続される(オンする)構成も想定される。このとき、前記両電極は前記端子として機能し、人体は切片として機能する。
【0044】
このような構成を有する健康機器1においては、当該健康機器1に対する使用者の予め定められた使用準備動作が行われると、該使用準備動作に起因して前記スイッチ部108がオフからオンに切り替わる。これにより、開閉器用電力生成回路109で生成された電力がスイッチ部108を介して開閉器107に供給され、開閉器107の動作状態はオフからオンに切り替わる。
【0045】
なお、開閉器107がオンになると、商用電源Eと負荷用電力生成回路106との間の電力供給路が接続され、商用電源Eから供給される電力が負荷用電力生成回路106に供給される。負荷用電力生成回路106は、前記商用電源Eから供給される電力に基づき所要の電力を生成して制御部101や負荷102等に供給する。これにより、健康機器1は、使用者が利用できるスタンバイ状態となる。なお、このとき、健康機器1がスタンバイ状態になったことを示すため、LEDやメッセージ表示など視覚的な報知や音声による聴覚的な報知を行うようにすると好ましい。
【0046】
その後、使用者が入力操作部104に対して操作を行うと、入力操作部104からその操作内容を示す操作信号が制御指令部103を介して制御部101に出力され、該制御部101により、前記操作信号が示す操作内容に応じた前記負荷102の動作が制御される。
【0047】
使用者が健康機器1の利用を終了するべく前記切/入ボタンを操作すると、前記入力操作部104から制御指令部103に動作終了信号が送信され、制御指令部103は、モータ等の負荷102を停止させ、それから所定時間後に、開閉器107に開閉器用制御信号を送信し、開閉器107をオンからオフに切り替える。開閉器107がオフになると、商用電源Eと負荷用電力生成回路106との電力供給路が遮断される。
【0048】
このとき、前記負荷用電力生成回路106には電力が供給されず、商用電源Eと常時接続されている開閉器用電力生成回路109においてのみ、その内部のダイオードやコンデンサ等で電力が消費されることとなる。しかし、この消費電力は僅かであるから、待機電力を限りなく零にすることができる。
【0049】
以上のように、本実施形態では、商用電源Eから供給される電力を基に開閉器107をオンするのに必要な電力を生成する開閉器用電力生成回路109と、該開閉器用電力生成回路109と前記開閉器107との間の電力供給路を接断するスイッチ部108とを備えるとともに、前記スイッチ部108を、健康機器1に対する使用者の使用準備動作が行われると、該使用準備動作に起因して発生する電気信号に基づいて前記電力供給路を接続する構成としたので、使用者が健康機器1を使用していない待機時には、開閉器用電力生成回路109内の素子や回路において微小な消費電力が発生する以外は、他の箇所で電力が消費されることがほとんど無い。したがって、前記待機時における消費電力を極めて小さくすることができる。
【0050】
(第2の実施形態)
本実施形態においては、前記電力制御回路部105の構成が前記第1の実施形態と相違するのみであり、その他の点については略同一であるため、相違点についてのみ説明することとし、相違点については説明を省略するものとする。
【0051】
図10に示すように、本実施形態の電力制御回路部105は、負荷用電力生成回路106及び開閉器107を備える点、及び、開閉器107と負荷用電力生成回路106との接続関係、開閉器107と商用電源Eとの接続関係は前記第1の実施形態と略同様であるが、前記第1の実施形態におけるスイッチ部108に代えて発電部110が採用されている点、開閉器用電力生成回路109が開閉器107に直接接続されている点、及び、該開閉器用電力生成回路109に発電部110が接続されている点とが相違する。なお、前記第1の実施形態と同一のものについては同一の番号を付し、その説明を省略するものとする。
【0052】
発電部110は、力が加えられると電荷を発生し、電圧が加えられると伸縮(変形)する圧電素子(前記回路素子の一例)を備える。発電部110は、例えば座部2の座面直下や座面上に設置され(図2参照)、使用者が座部2に着座したときに、使用者の体重によって前記圧電素子に力が加えられることで該圧電素子から出力される電力を起動電力(又は動作開始信号)として負荷用電力生成回路106に出力する。
【0053】
開閉器用電力生成回路109は、前記起動電力を前記発電部110から受け取ると、この起動電力を基に、前記開閉器107の動作に要する電力を生成して開閉器107に出力する。これにより、開閉器107はオフからオンに切り替わり、負荷用電力生成回路106と商用電源Eとの間の電力供給路が接続され、前記各負荷102に所要の電力が供給されることとなる。
【0054】
前記第1の実施形態では、前記待機時にも開閉器用電力生成回路109が商用電源Eに接続されているため、開閉器用電力生成回路109内の素子や回路において電力が消費される分だけ、待機時に電力消費が僅かながら発生するが、本実施形態では、待機時において商用電源Eから電力の供給を受ける素子や回路は一切無いから、前記待機時における消費電力を零にすることができる。
【0055】
なお、本件は、前記実施形態に代えて又は前記実施形態に加えて、次の様な形態も含むものである。
【0056】
(1)前記第2の実施形態は、座面に該圧電素子を設置し、使用者が座面に着座すると、該使用者の体重を受けて変形した圧電素子から発生する電荷に基づいて開閉器用電力生成回路109が動作する形態であるが、この形態に限定されず、例えば、あぶみ6や手綱7に圧電素子を接続しておいて使用者があぶみ6や手綱7を動かすとその振動により前記圧電素子が発電し、この電力が前記開閉器用電力生成回路109に供給されるようにしてもよい。
【0057】
或いは、健康機器1の適所に発電機を設置し、使用者があぶみ6や手綱7を動かすと、それに連動して前記発電機が稼動して電力を生成し、該電力が前記開閉器用電力生成回路109に供給されるようにしてもよい。
【0058】
(2)前記電力制御回路部105の搭載機器としては、前記各実施形態に係る健康機器、すなわち使用者に運動負荷を与えるタイプの健康機器に限定されず、例えばマッサージ機器に搭載することもできる。前記電力制御回路部105を前記マッサージ機器に搭載した場合の使用者の使用準備動作としては、座部に着座する動作や肘掛に腕を乗せる動作などが考えられる。
【符号の説明】
【0059】
1 健康機器
2 座部
3 揺動機構
4 昇降機構
6 あぶみ
101 制御部
102 負荷
103 制御指令部
104 入力操作部
105 電力制御回路部
106 負荷用電力生成回路
107 開閉器
108 スイッチ部
109 開閉器用電力生成回路
110 発電部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力を用いた負荷の駆動により健康的な作用を使用者に与える健康機器に搭載され、電力源から供給される電力に基づいて所要の電力を前記負荷に供給するための電力制御装置であって、
前記電力源から供給される電力に基づき前記負荷の動作に要する電力を生成する負荷用電力生成部と、
前記負荷用電力生成部と前記電力源との間の電力供給路を接断する開閉器と、
前記健康機器に対する使用者の予め定められた使用準備動作に起因して電気的な変化を発生させる回路素子を備え、前記電気的な変化が発生すると、前記負荷用電力生成部と前記電力源との間の電力供給路を前記開閉器に接続させる開閉器制御部と
を備えた電力制御装置。
【請求項2】
前記開閉器制御部は、更に、前記電力源から供給される電力に基づき前記開閉器の接続動作に要する電力を生成する開閉器用電力生成部を備え、
前記回路素子は、前記開閉器用電力生成部と前記開閉器との間の電力供給路を接断するスイッチ部であり、前記健康機器に対する使用者の予め定められた使用準備動作に起因して、前記開閉器用電力生成部と前記開閉器との間の電力供給路を接続する請求項1に記載の電力制御装置。
【請求項3】
前記健康機器は、使用者が騎乗する可動部と、当該電力制御装置から出力される電力の供給を受けて前記可動部を駆動して該可動部の動作状態を変化させる駆動部とを前記負荷として含むとともに、使用者により把持される手綱を有し、前記可動部に騎乗して手綱を把持した前記使用者に乗馬を模した運動負荷を与えるものであり、
前記スイッチ部は、前記手綱にそれぞれ設置された一対の電極を含んで構成されており、使用者が前記手綱を把持する動作を前記使用準備動作として行ったときに前記両電極同士が該使用者の人体を介して電気的に導通することでスイッチとして働くものである請求項2に記載の電力制御装置。
【請求項4】
前記健康機器は、使用者が騎乗する可動部と、当該電力制御装置から出力される電力の供給を受けて前記可動部を駆動して該可動部の動作状態を変化させる駆動部とを前記負荷として含み、前記可動部に騎乗した前記使用者に乗馬を模した運動負荷を与えるものであり、
前記スイッチ部は、前記座面又はその近傍に設置されたプッシュスイッチを含んで構成されており、前記使用者が前記可動部に騎乗したときにオンされるものである請求項2に記載の電力制御装置。
【請求項5】
前記回路素子は、前記健康機器に対する使用者の予め定められた使用準備動作に起因する力を受けて発電する圧電素子であり、
前記開閉器制御部は、更に、前記回路素子により生成された電力に基づいて前記負荷用電力生成部と前記電力源との間の電力供給路を前記開閉器に接続させるのに要する電力を生成する開閉器用電力生成部を備えるものである請求項1に記載の電力制御装置。
【請求項6】
前記健康機器は、使用者が騎乗する可動部と、当該電力制御装置から出力される電力の供給を受けて前記可動部を駆動し該可動部の動作状態を変化させる駆動部とを前記負荷として含み、前記可動部に騎乗した前記使用者に乗馬を模した運動負荷を与えるものであり、
前記圧電素子は、前記座面又はその近傍に設置されており、前記使用者が前記可動部に騎乗したときに該使用者からの荷重により発電するものである請求項5に記載の電力制御装置。
【請求項7】
前記健康機器は、使用者が騎乗する可動部と、当該電力制御装置から出力される電力の供給を受けて前記可動部を駆動して該可動部の動作状態を変化させる駆動部とを前記負荷として含むとともに、使用者が足先を掛けるためのあぶみを有し、使用者があぶみに足先を掛けた状態で前記可動部に騎乗した前記使用者に乗馬を模した運動負荷を与えるものであり、
前記回路素子は、前記あぶみの動きと連動して発電する発電装置である請求項5に記載の電力制御装置。
【請求項8】
前記健康機器は、使用者が騎乗する可動部と、当該電力制御装置から出力される電力の供給を受けて前記可動部を駆動して該可動部の動作状態を変化させる駆動部とを前記負荷として含むとともに、使用者により把持される手綱を有し、前記手綱を把持した状態で前記可動部に騎乗した前記使用者に乗馬を模した運動負荷を与えるものであり、
前記回路素子は、前記手綱の動きと連動して発電する発電装置である請求項5に記載の電力制御装置。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れかに記載の電力制御装置と、
前記電力制御装置から出力される電力の供給を受けて予め定められた動作を行うことにより使用者に健康的な作用を与える負荷と
を備えてなる健康機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−227168(P2010−227168A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−75601(P2009−75601)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)