説明

電力変換装置の給電接続構造

【目的】電力変換装置は、ブレーカやトランスを装備した盤(周辺盤)と組み合わせて使用されることが多い。この電力変換装置と周辺盤との接続構造を簡素化することで、コストダウンや軽量化等を実現する。
【解決手段】電力変換装置の側面に導電体を設けることにより、電力変換装置と周辺盤との接続に使用する外線ケーブルを側面から進入させて接続することを可能にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換装置と外部機器である周辺盤との給電接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
プラントの計測設備やコンピュータなどに安定した電源供給を行う電力変換装置として無停電電源装置が知られている。無停電電源装置は、通常、筐体内に、制御部品を機能別に搭載した複数のユニットが上下に多段に収納されている。
【0003】
このような電力変換装置は、通常、電源の開閉および保護を行うブレーカ、電圧の変換を行うトランスなどの外部機器(周辺盤)と組み合わせて使用される。
従来、電力変換装置と周辺盤との接続には外線ケーブル(導電線)が使用されている。接続に際しては、外線ケーブルを、電力変換装置の天井部または底面部から進入させて接続する構成となっている(特許文献1参照)。
【0004】
ここで、従来の電力変換装置の給電接続構造を図13〜図24により説明する。
<従来の電力変換装置と周辺盤との接続例:図13>
図13は、従来の電力変換装置と周辺盤との接続例を示す回路構成図である。
【0005】
ここでは、電力変換装置と、ブレーカやトランスを装備した周辺盤との接続は、外線ケーブルで行われている。図13で示すとおり、外線ケーブルは、電力変換装置の上部から進入して、電力変換装置と周辺盤との接続を実現している。
【0006】
<従来の電力変換装置の外線ケーブルの進入構造の外観:図14〜16>
次に、図14〜16により、従来の電力変換装置の外線ケーブルの進入構造の外観構成を説明する。
【0007】
図14は、従来の電力変換装置の正面図であり、図15はその左側面図であり、図16はその平面図である。101は筐体、102は扉、103は外線ケーブル、104は外線ケーブル(主回路直流部)の貫通孔、105は外線ケーブル(主回路交流部)の貫通孔、106は外線ケーブル(接地回路)の貫通孔、107は外線ケーブル(制御回路)の貫通孔である。
【0008】
筐体101には、正面に扉102が取り付けられている。図14および図15のとおり、外線ケーブル103は、筐体101の天井部からその内部へ進入する構造となっている。外線ケーブル103を内部へ引き込むために、図16のとおり、筐体101の天井部には、各貫通孔が形成されている。この各貫通孔から、外線ケーブル103が筐体101の内部へ引き込まれ、内部の主回路部と接続している。
【0009】
<従来の電力変換装置の内部構成:図17>
続いて、図17〜24により、従来の電力変換装置の内部構成を説明する。
図17は、従来の電力変換装置の扉開時の正面図である。108は電力変換部であり、109はターミナルユニットである。
【0010】
扉102を開けると、筐体101の内部には、電力変換部108とターミナルユニット109が上下方向に多段に組み込まれている。電力変換部108の上部に、ターミナルユニット109が配置されている。
【0011】
<従来の電力変換装置のターミナルユニットの構成:図18>
次に、ターミナルユニット109の構成を説明する。
図18は、図17のA−A線断面図である。110は銅バー(a)(主回路直流部)、111は銅バー(b)(主回路交流部)、112は銅バー(c)(主回路交流部)、113は銅バー(d)(接地回路部)、114は端子台である。
【0012】
ターミナルユニット109には、最背面側から順に、銅バー(a)(主回路直流部)110、銅バー(b)(主回路交流部)111、銅バー(c)(主回路交流部)112、銅バー(d)(接地回路部)113、端子台(制御回路部)114が配置されている。
【0013】
ターミナルユニット109の内部には、主回路部(図示しない)が形成されているが、これらの各端子に電気的に接続した複数本の銅バー(a)110〜(d)113が、互いに並行に配置され、端子台114が最正面側に配置されている。
【0014】
<従来の電力変換装置のターミナルユニットの内部構成:図19〜22>
ターミナルユニットの内部構成をさらに以下に詳述する。
図19は、図18のB−B線断面図である。図20はそのC−C線断面図である。図21はそのD−D線断面図である。図22はそのE−E線断面図である。ここで、B〜Dの断面図は、いずれも背面側から見た場合の図である。
【0015】
図19のとおり、ターミナルユニット109の主回路直流部に接続された2本の銅バー(a)110が並行に配置されている。
図20のとおり、ターミナルユニット109の主回路交流部に接続された2本の銅バー(b)111が並行に配置されている。
【0016】
図21のとおり、ターミナルユニット109の主回路交流部に接続された1本の銅バー(c)112が配置されている。また、接地回路に接続された銅バー(d)113が配置されている。
【0017】
図22のとおり、ターミナルユニット109の制御回路部に接続された端子台114が配置されている。
<従来の電力変換装置のターミナルユニットの回路接続部の構成:図23〜24>
これらの銅バーの形態をさらに以下に説明する。
【0018】
図23は、従来の電力変換装置のターミナルユニットの回路接続部を模式的に示した斜視図(正面側)であり、図24は同様の斜視図(背面側)である。115は支持部材である。
【0019】
銅バーは、上述のとおり、主回路部や接地回路、制御回路の各端子に電気的に接続されている。また、それぞれの銅バーは、支持部材115によりターミナルユニット109に取り付けられている(なお、一部の支持部材については図示していない)。
【0020】
ここで、既に図13で示したとおり、周辺盤と接続された外線ケーブルが、電力変換装置の上部より内部へ進入し、これらの銅バーにそれぞれ接続される。これにより、電力変換装置と周辺盤との結線が完了する。
【0021】
従来の電力変換装置の給電接続構造の説明は以上である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】特開2002−223569号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
このような従来の電力変換装置の給電接続構造には、以下のような課題があった。
上述のとおり、電力変換装置では、接続に使用する外線ケーブルを、電力変換装置の上部から引き込んで進入させる構造とすることが多い。これは、電力変換装置と周辺盤とが離れて配置されるケースに対応するためである。
【0024】
しかし、通常、電力変換装置の排気口も天井部にあるため、天井部から外線ケーブルを引き込むと、排気の妨げとなってしまい、冷却機能の低下をもたらすという問題がある。
また、上部から外線ケーブルを引き込んだ場合には、接続部が破損しないように、ケーブルの厚みを太くしなければならないほか、ケーブルの固定も、大きな強固な固定具で行う必要があり、コスト増加につながってしまう。
【0025】
さらに、電力変換装置が設置される部屋の設備の関係上、部屋の上部にケーブルダクトの無い場合も多い。その場合、電力変換装置と周辺盤との結線だけが上部で行われると、個別に部屋の上部にケーブルダクトを設備として追加しなければならなくなってしまう。
【0026】
そこで、本発明の目的は、上記の課題を解決するために、様々な配置に対応可能な電力変換装置の給電接続構造を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0027】
前記の目的を達成するために、本発明によれば、電力変換装置内の複数の回路端子と、外部機器とを接続する電力変換装置の給電接続構造において、前記電力変換装置の筐体の側面部に第1の接続開口部を設け、該第1の接続開口部を介して、前記回路端子と前記外部機器とを接続することを特徴とする電力変換装置の給電接続構造とする。
【0028】
また、本発明によれば、上記の構成において、前記回路端子が、長手方向の一端部が前記接続開口部から突出して延在している銅バーを含み、該銅バーが前記外部機器と接続されていることを特徴とする電力変換装置の給電接続構造とする。
【0029】
また、本発明によれば、上記の構成において、前記回路端子には導電体が接続され、該導電体が前記外部機器と接続されていることを特徴とする電力変換装置の給電接続構造とする。
【0030】
また、本発明によれば、上記の構成において、前記導電体が、前記回路端子に固定され、長手方向の一端部が前記第1の接続開口部から突出して延在している接合バーであり、該接合バーが、前記外部機器と接続されていることを特徴とする電力変換装置の給電接続構造とする。
【0031】
また、本発明によれば、上記の構成において、前記筐体の天井部に、第2の接続開口部が形成され、前記第1の接続開口部を使用しない場合には、前記第2の接続開口部を介して、前記回路端子と前記外部機器との接続を行うことを特徴とする電力変換装置の給電接続構造とする。
【0032】
また、本発明によれば、上記の構成において、前記筐体の背面部に、第3の接続開口部が形成され、前記第1の接続開口部を使用しない場合には、前記第3の接続開口部を介して、前記回路端子と前記外部機器との接続を行うことを特徴とする電力変換装置の給電接続構造とする。
【0033】
また、本発明によれば、上記の構成において、前記筐体の正面部に、第4の接続開口部が形成され、前記第1の接続開口部を使用しない場合には、前記第4の接続開口部を介して、前記回路端子と前記外部機器との接続を行うことを特徴とする電力変換装置の給電接続構造とする。
【0034】
また、本発明によれば、上記の構成において、前記第1の接続開口部が、塞ぎ部材により塞がれていることを特徴とする電力変換装置の給電接続構造とする。
また、本発明によれば、上記の構成において、前記回路端子と前記外部機器との接続が、導電線を使用して行われていることを特徴とする電力変換装置の給電接続構造とする。
【発明の効果】
【0035】
本発明により、様々な配置に対応可能な電力変換装置の給電接続構造を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施例の電力変換装置と周辺盤との接続例を示す回路構成図である。
【図2】本発明の実施例の電力変換装置の正面図である。
【図3】本発明の実施例の電力変換装置の左側面図である。
【図4】本発明の実施例の電力変換装置の平面図である。
【図5】本発明の実施例の電力変換装置の扉開時の正面図である。
【図6】図5のA−A線断面図である。
【図7】図6のB−B線断面図である。
【図8】図6のC−C線断面図である。
【図9】図6のD−D線断面図である。
【図10】図6のE−E線断面図である。
【図11】本発明の実施例の電力変換装置のターミナルユニットの回路接続部を模式的に示した斜視図(正面側)である。
【図12】本発明の実施例の電力変換装置のターミナルユニットの回路接続部を模式的に示した斜視図(背面側)である。
【図13】従来の電力変換装置と周辺盤との接続例を示す回路構成図である。
【図14】従来の電力変換装置の正面図である。
【図15】従来の電力変換装置の左側面図である。
【図16】従来の電力変換装置の平面図である。
【図17】従来の電力変換装置の扉開時の正面図である。
【図18】図17のA−A線断面図である。
【図19】図18のB−B線断面図である。
【図20】図18のC−C線断面図である。
【図21】図18のD−D線断面図である。
【図22】図18のE−E線断面図である。
【図23】従来の電力変換装置のターミナルユニットの回路接続部を模式的に示した斜視図(正面側)である。
【図24】従来の電力変換装置のターミナルユニットの回路接続部を模式的に示した斜視図(背面側)である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下に、図面を参照しながら、本発明の実施の一形態について説明する。ただし、以下の記載は、あくまでも本発明の例示であり、これに限定されるものではない。つまり、当分野で通常の知識を有する者によって、本発明の技術的思想内で多くの変形実施を行うことが可能である。
【実施例】
【0038】
<電力変換装置1と周辺盤2との接続例:図1>
最初に、図1により、本発明の実施例の電力変換装置の接続例を説明する。
図1は、本発明の実施例の電力変換装置と周辺盤との接続例を示す回路構成図である。1は電力変換装置、2は周辺盤、3はブレーカ、4はトランス、5はチョッパ、6はインバータである。
【0039】
図1では、電力変換装置1とブレーカやトランスを装備した周辺盤2が並列で配置されている。電力変換装置1には、フィルタ回路を含んだ電力変換部として、チョッパ5とインバータ6が備えられている。また、電力変換装置1には、主回路、制御回路、接地回路が備えられている。各回路は、それぞれ外部機器(周辺盤2)等に接続されている。
【0040】
電池からの直流電力は、周辺盤2のブレーカ3を経て電力変換装置1へ入力される。チョッパ5で直流電力を調整し、インバータ6ではこの直流電力を所望の電圧と周波数の交流電力に変換する。このインバータ6で得られた交流電力は、周辺盤2のトランス4およびブレーカ3を経て負荷へ給電される。
【0041】
ここで、後述する電力変換装置1の給電接続構造の構成および作用により、電力変換装置1と周辺盤2との接続は、電力変換装置1の側面部を通じて行うことが可能となっている。
【0042】
そこで、続けて、図2〜12により、本発明の実施例の電力変換装置の給電接続構造の構成を説明する。
<電力変換装置1の外観:図2〜4>
先ず、図2〜4により、電力変換装置1の外観を説明する。
【0043】
図2は、本発明の実施例の電力変換装置の正面図であり、図3はその左側面図であり、図4はその平面図である。7は扉、8は筐体、9は接合バー(直流)、10は接合バー(交流a)、11は接合バー(接地)、12は接合バー(交流b)、13は貫通孔、14は絶縁板、15は膜付グロメットである。なお、各接合バー9〜12は導電体である。
【0044】
図2のとおり、筐体8は直方体状の外形形状を有している。筐体8の正面開口には、扉7が開閉可能に設けられている。筐体8の左側面部には、周辺盤2との接続部分が設けられている。
【0045】
図3および4では、電力変換装置1における、周辺盤2との接続部分の外観を示している。
図3のとおり、電力変換装置1の左側面の上方部には、貫通孔13が短冊状に並列して設けられている。それぞれの貫通孔13には、絶縁板14が嵌め込まれている。絶縁板14からは、接合バー(直流)9、接合バー(交流a)10、接合バー(接地)11、接合バー(交流b)が突出している。それぞれの接合バーは、電力変換装置1の内部で、各回路と接続している。
【0046】
なお、貫通孔13の近傍には、膜付グロメット15が取り付けられている。膜付グロメット15は、電力変換装置1の制御回路の貫通孔(図示しない)に取り付けられているものである。
【0047】
図4のとおり、各接合バー9〜12は、電力変換装置1の左側面部から外部方向へ向けて突出している。
以上が、電力変換装置1の外観の説明である。
【0048】
<電力変換装置1の内部構成:図5>
次に、図5により、電力変換装置1の内部構成を説明する。
図5は、電力変換装置1の扉7を開いた時の正面図である。16はターミナルユニット、17は電力変換部である。
【0049】
電力変換装置1の筐体8の内部には、ターミナルユニット16および電力変換部17が、ターミナルユニット16を上部、電力変換部17を下部として、上下方向に多段に組み込まれている。
【0050】
<電力変換装置1のターミナルユニット16の構成:図6>
さらに、ターミナルユニット16の構成を説明する。
図6は、図5のA−A線断面図である。18は端子台、19は銅バー(直流)、20は銅バー(交流a)、21は銅バー(接地)、22は銅バー(交流b)23は支持部材である。
【0051】
ターミナルユニット16には、最背面側から順に、接合バー(直流)9および銅バー(直流)19、接合バー(交流a)10および銅バー(交流a)20、接合バー(接地)11および接合バー(交流b)12ならびに銅バー(接地)21および銅バー(交流b)22、端子台18が配置されている。
【0052】
ターミナルユニット16の内部には、主回路部(図示しない)が形成されているが、これらの各端子に電気的に接続した複数本の銅バー19〜22が互いに平行に延在しながら突出して配置されている。そして、これらの銅バー19〜22に、各接合バー9〜12がそれぞれ接続されている。
【0053】
<電力変換装置1のターミナルユニット16の内部構成:図7〜10>
ターミナルユニット16の内部構成をさらに以下のとおり詳述する。
図7は、図6のB−B線断面図である。図8は、図6のC−C線断面図である。図9は、図6のD−D線断面図である。図10は、図6のE−E線断面図である。ここで、図7〜10のB〜D線の各断面図は、いずれも、ターミナルユニット16を背面側から見た場合の断面図となっている。
【0054】
図7のとおり、ターミナルユニット16では、その主回路直流部(図示しない)に接続された2本の銅バー(直流)19が、上下方向に平行に配置されている。それぞれの銅バー(直流)19の一端には、接合バー(直流)9が接続されている。接合バー(直流)9は、上述したとおり、互いに平行に延在しながら、電力変換装置1の左側面部から外部へ突出している。銅バー(直流)19および接合バー(直流)9は、支持部材23によりターミナルユニット16に取り付けられている。
【0055】
図8のとおり、ターミナルユニット16では、その主回路交流部(図示しない)に接続された2本の銅バー(交流a)20が、上下方向に平行に配置されている。それぞれの銅バー(交流a)20の一端には、接合バー(交流a)10が接続されている。接合バー(交流a)10は、上述したとおり、互いに平行に延在しながら、電力変換装置1の左側面部から外部へ突出している。銅バー(交流a)20および接合バー(交流a)10は、支持部材23によりターミナルユニット16に取り付けられている。
【0056】
図9のとおり、ターミナルユニット16では、その主回路交流部(図示しない)に接続された銅バー(交流b)22が、図7および8の各銅バー19および20と平行に配置されている。また、ターミナルユニット16の接地回路部(図示しない)に接続された銅バー(接地)21が、銅バー(交流b)22の上側の位置に設けられている。
【0057】
銅バー(交流b)22の一端には、接合バー(交流b)12が接続されている。また、銅バー(接地)21には、接合バー(接地)11が電気的に接続されている。これらの接合バー11および12は、上述したとおり、互いに平行に延在しながら、電力変換装置1の左側面部から外部へ突出している。銅バー(接地)21および銅バー(交流b)22ならびに接合バー(接地)11および接合バー(交流b)12は、それぞれ支持部材23によりターミナルユニット16に取り付けられている(ただし、一部の支持部材は図示していない)。
【0058】
図10のとおり、ターミナルユニット16では、その制御回路部(図示しない)に接続された端子台18が配置されている。端子台18は、上述した電力変換装置1の左側面部の膜付グロメット15と連通されている。
【0059】
<電力変換装置1のターミナルユニット16の回路接続部の構成:図11〜12>
これらの銅バー19〜22、接合バー9〜12の詳細をさらに説明する。
図11は、電力変換装置1のターミナルユニット16の回路接続部を模式的に示した斜視図(正面側)であり、図12は、その斜視図(背面側)である。
【0060】
図11および図12のとおり、ターミナルユニット16の回路接続部では、各銅バー19〜22および各接合バー9〜12が互いに平行するように配置されている。
各接合バー9〜12は、上述した電力変換装置1の左側面部に形成された各貫通孔13を通じて、外部へ向けて突出している。つまり、電力変換装置1の各回路(主回路直流部および交流部、接地回路部)は、各接合バー9〜12を通じて、電力変換装置1の左側面部から外部機器と接続することが可能となっている。
【0061】
以上が、本発明の実施例の電力変換装置の給電接続構造の構成の説明である。
<本実施例の作用>
次に、本発明の実施例の電力変換装置の給電接続構造の作用について、説明する。
【0062】
電力変換装置1と周辺盤2とを列状に配置する際には、電力変換装置1の左側面部の貫通孔13から突出している接合バー9〜12により、周辺盤2との接続が可能となる。つまり、電力変換装置1の各回路(主回路直流部および交流部、接地回路部)は、各接合バー9〜12を通じて、電力変換装置1の左側面部から周辺盤2と接続することができる。
【0063】
さらに、電力変換装置1の制御回路は、端子台18と接続されており、端子台18は、電力変換装置1の左側面部の膜付グロメット15に通じている。そのため、電力変換装置1の制御回路は、外線ケーブル(導電線)を使用することにより、端子台18および膜付グロメット15を通じて、電力変換装置1の左側面部から周辺盤2と接続することができる。
【0064】
本発明の実施例の電力変換装置の給電接続構造の作用の説明は、以上である。
<本実施例の効果>
かくして本発明の実施例によれば、電力変換装置1の左側面部の接合バー9〜12等により、周辺盤2との接続を実現することができる。そのため、電力変換装置1の上部から外線ケーブルを引き込んで接続を行う必要がないため、天井部で行われる排気の妨げになることがなく、冷却機能への影響を抑えることができる。
【0065】
また、接続に使用する外線ケーブルの太さも必要以上に太くする必要がなく、固定具の大きさや強度も抑えることができるため、コストダウンにつながる。また、各回路端子を軽量化することもできる。
【0066】
さらに、電力変換装置1と周辺盤2との結線が上部で行われた場合に必要なケーブルダクトも、不要とすることができ、見栄えもよくすることができる。
<天井部接続との併用例について>
本実施例の構成は、従来の電力変換装置の構成(天井部を通じて周辺盤と接続)に、貫通孔13や接合バー9〜12等を追加するだけで、実現することができる。
【0067】
つまり、本実施例の構成を備えるとともに、従来同様、天井部を通じて周辺盤2との接続を行うことも可能である。その場合には、接合バー9〜12および膜付グロメット15を撤去して、左側面部の貫通孔13に塞ぎ板を取り付けることで、左側面部ではなく、天井部を通じた接続構造に容易に変更することができる。
【0068】
場合によっては、実際に現場に入ってから、電力変換装置1と周辺盤2との現場の配置の配置方法を決定する場合もある。そのような場合には、天井部または左側面部のどちらからでも接続可能な電力変換装置は、非常に有益である。
【0069】
従来の電力変換装置の構成に、貫通孔13や接合バー9〜12等を追加するだけの簡易な作業により、周辺盤2との接続に際し、側面部と天井部を選択可能な電力変換装置の給電接続構造を実現することができる。
【0070】
<その他本実施例について>
また、本実施例では、接合バー9〜12を使用して、電力変換装置1の左側面部から外部へ突出させることにより、周辺盤2との接続を行っている。しかし、接合バー9〜12は必ずしも使用する必要はない。
【0071】
接合バー9〜12を使用しない場合には、銅バー19〜22をさらに延長させて、そのまま電力変換装置1の左側面部の貫通孔13から外部へ突出させる。そして、銅バー19〜22と周辺盤2とを、接続する(直接または外線ケーブル等の導電線を使用)ことにより、電力変換装置1と周辺盤2との接続を実現することができる。
【0072】
そのほか、本実施例では、接合バー9〜12は、電力変換装置1の左側面部から、周辺盤2と接続しているが、左側面部に限定される必要はない。必要であれば、右側面部や背面部、正面部を通じて、周辺盤と接続することも可能である。その場合も、同様に、各部に貫通孔を設け、接合バー(導電体)や外線ケーブル(導電線)を使用することにより、右側面部や背面部、正面部を通じた、電力変換装置と周辺盤との接続か可能となる。
【符号の説明】
【0073】
1 電力変換装置
2 周辺盤
3 ブレーカ
4 トランス
5 チョッパ
6 インバータ
7 扉
8 筐体
9 接合バー(直流)
10 接合バー(交流a)
11 接合バー(接地)
12 接合バー(交流b)
13 貫通孔
14 絶縁板
15 膜付グロメット
16 ターミナルユニット
17 電力変換部
18 端子台
19 銅バー(直流)
20 銅バー(交流a)
21 銅バー(接地)
22 銅バー(交流b)
23 支持部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力変換装置内の複数の回路端子と、外部機器とを接続する電力変換装置の給電接続構造において、
前記電力変換装置の筐体の側面部に第1の接続開口部を設け、
該第1の接続開口部を介して、前記回路端子と前記外部機器とを接続することを特徴とする電力変換装置の給電接続構造。
【請求項2】
請求項1に記載の電力変換装置の給電接続構造において、
前記回路端子が、長手方向の一端部が前記接続開口部から突出して延在している銅バーを含み、
該銅バーが前記外部機器と接続されていることを特徴とする電力変換装置の給電接続構造。
【請求項3】
請求項1に記載の電力変換装置の給電接続構造において、
前記回路端子には導電体が接続され、
該導電体が前記外部機器と接続されていることを特徴とする電力変換装置の給電接続構造。
【請求項4】
請求項3に記載の電力変換装置の給電接続構造において、
前記導電体が、前記回路端子に固定され、長手方向の一端部が前記第1の接続開口部から突出して延在している接合バーであり、
該接合バーが、前記外部機器と接続されていることを特徴とする電力変換装置の給電接続構造。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の電力変換装置の給電接続構造において、
前記筐体の天井部に、第2の接続開口部が形成され、
前記第1の接続開口部を使用しない場合には、
前記第2の接続開口部を介して、前記回路端子と前記外部機器との接続を行うことを特徴とする電力変換装置の給電接続構造。
【請求項6】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の電力変換装置の給電接続構造において、
前記筐体の背面部に、第3の接続開口部が形成され、
前記第1の接続開口部を使用しない場合には、
前記第3の接続開口部を介して、前記回路端子と前記外部機器との接続を行うことを特徴とする電力変換装置の給電接続構造。
【請求項7】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の電力変換装置の給電接続構造において、
前記筐体の正面部に、第4の接続開口部が形成され、
前記第1の接続開口部を使用しない場合には、
前記第4の接続開口部を介して、前記回路端子と前記外部機器との接続を行うことを特徴とする電力変換装置の給電接続構造。
【請求項8】
請求項4ないし7のいずれか1項に記載の電力変換装置の給電接続構造において、
前記第1の接続開口部が、塞ぎ部材により塞がれていることを特徴とする電力変換装置の給電接続構造。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか1項に記載の電力変換装置の給電接続構造において、
前記回路端子と前記外部機器との接続が、導電線を使用して行われていることを特徴とする電力変換装置の給電接続構造。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2013−27067(P2013−27067A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−156327(P2011−156327)
【出願日】平成23年7月15日(2011.7.15)
【出願人】(000005234)富士電機株式会社 (3,146)
【Fターム(参考)】