説明

電力外部入出力装置

【課題】電源母線が停電中の負荷を安全、簡便に稼動し得る電力外部入出力装置を提供すること。
【解決手段】電力外部入出力装置100は、遮断器110、外部電源入出力制御用のスイッチ機構120、電源外部入力線路130、及び電源外部出力線路140を含む。電源外部入力線路130は、電源ケーブルCV1が着脱可能なプラグイン方式の接続部131を有する。電源外部出力線路140は、電源ケーブルCV2が着脱可能なプラグイン方式の接続部141を有する。また、スイッチ機構120は、遮断器110の二次側電路112と負荷103とを接続する通常状態に替わって、少なくとも電源外部入力線路130と負荷103とを接続する電源外部入力状態(2−4スイッチ接続)、及び、遮断器110の二次側電路112と電源外部出力線路140とを接続する電源外部出力状態(1−3スイッチ接続)のいずれかの状態に切替え可能となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電プラントにおいて電源母線の迂回に利用可能な電力外部入出力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
原子力発電所(又は火力発電所)等の発電プラントでは、所定の電源母線の保守・点検時においては、点検時の母線が停電中であるために、当該母線を電源とする負荷は、負荷点検直後のテストラン等が実施できない。そこで、従来では、点検期間の短縮化、点検効率向上の観点から、停電していない別系統の母線遮断器二次側より電源を迂回させ、テストラン等を実施している。
【0003】
上記電源迂回作業には、電源迂回元の母線遮断器二次側の電線を解線する作業が伴う。この作業時、周囲の母線が活線状態であるため、手順を誤ると感電の恐れがある。また、電源迂回ケーブルの端末処理、上記の遮断器二次側解線や接続作業に時間がかかる。また、諸事情により電源迂回制限があると、負荷の点検期間や電力系統の構成に遅れが生ずる懸念がある。
【0004】
上記のような電源母線の保守・点検時に関係する特許文献として、発電プラントの通常運転時における母線間の電気的独立を保ちながら、保守時の母線切替え作業を容易にする、原子力発電所非常用所内電源設備と保守時インターロック切替母線連絡回路が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平9−222494号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のような技術においては、各種の遮断器において、通常運転時又はその他の状態に応じた各種のインターロックの条件が定められている。既存の発電プラントに、必要な遮断器を配備すること、及び各種のインターロックの条件を新たに定めることは相当なコストがかかる上、構成上の制限もあると考えられるので、別の工夫が望まれる。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑み、実状に沿って、電源母線が停電中の負荷を安全、簡便に稼動し得る電力外部入出力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、遮断器二次側にプラグイン方式の電力外部入力、出力部を設置し、簡便に電源ケーブルが接続し得る構成を見出した。さらに、外部電源入出力制御用のスイッチ機構と組み合わせることによって、電源母線が停電中の負荷に対し、容易に別系統の電源母線の電力を供給することができることを見出し、以下のような本発明を完成するに至った。
【0008】
(1)第1の電源供給用電線路に一次側電路が接続され、負荷に二次側電路が接続される遮断器と、プラグイン方式の第1の接続部を有する電源外部入力線路と、プラグイン方式の第2の接続部を有する電源外部出力線路と、前記遮断器の二次側電路と前記負荷とを接続する通常状態に替わって少なくとも前記電源外部入力線路と前記負荷とを接続する電源外部入力状態、及び、前記遮断器の二次側電路と前記電源外部出力線路とを接続する電源外部出力状態のいずれかの状態に切替え可能なスイッチ機構と、を具備したことを特徴とする電力外部入出力装置。
【0009】
(2)電源外部入力線路は、少なくとも前記第1の電源供給用電線路が給電停止状態となったときに活線状態となっている第2の電源供給用電線路と接続される(1)に記載の電力外部入出力装置。
【0010】
(3)前記第1の接続部及び前記第2の接続部は、前記電源供給用電線路と所定距離離れて設置される(1)に記載の電力外部入出力装置。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、第1の電源供給用電線路が点検等で給電停止時、プラグイン方式の第1の接続部を有する電源外部入力線路は、別系統の第2の電源供給用電線路と接続し、スイッチ機構を介して容易に負荷に電源を供給することができる。これにより、従来のケーブルの付け替え作業時間は大幅に短縮でき、電源母線が停電中の負荷を安全、簡便に稼動し得る電力外部入出力装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は、本発明に係る電力外部入出力装置の要部の構成を示す回路図である。電力外部入出力装置100は、遮断器110、外部電源入出力制御用のスイッチ機構120、電源外部入力線路130、及び電源外部出力線路140を含む。第1の電源供給用電線路としての第1の母線電源101に、遮断器110の一次側電路111が接続されている。遮断器110の二次側電路112は、通常、スイッチ機構120を介してモータ等の負荷103に接続される。
【0013】
電源外部入力線路130は、電源ケーブルCV1が着脱可能なプラグイン方式の接続部131を有する。電源外部出力線路140は、電源ケーブルCV2が着脱可能なプラグイン方式の接続部141を有する。また、スイッチ機構120は、遮断器110の二次側電路112と負荷103とを接続する通常状態に替わって、少なくとも電源外部入力線路130と負荷103とを接続する電源外部入力状態(2−4スイッチ接続)、及び、遮断器110の二次側電路112と電源外部出力線路140とを接続する電源外部出力状態(1−3スイッチ接続)のいずれかの状態に切替え可能となっている。
【0014】
図1における回路動作を説明する。発電プラントにおいて、通常は、遮断器110内のスイッチ88がオン状態にされ、第1の母線電源101から負荷103に電力が供給される。一方、発電プラントの点検時において第1の母線電源101を検査するとき、第1の母線電源101は給電停止状態となる。その際、負荷103を点検、その後、負荷103を稼動させて確認するなど、短い時間で負荷103を点検したい場合、第1の母線電源101の復旧を待たずに活線状態にある別系統の第2の母線電源(第2の電源供給用電線路)からの電力供給を実施する。従来では遮断器110の二次側接続部U,V,Wを切って別系統の第2の母線電源と繋ぐ作業を要したが、本発明の構成では簡便化される。つまり、プラグイン方式の接続部131を利用するのである。第2の電源供給用電線路として、別系統の活線状態にある第2の母線電源を、図示しない遮断器を介した電源ケーブルCV1によって接続部131にプラグ接続する。もちろん電源ケーブルCV1の端末もプラグ形態となっており、容易に別系統の活線状態にある第2の母線電源を、電源ケーブルCV1を介して電源外部入力線路130に接続することができる。その後、スイッチ機構120は、電源外部入力線路130と負荷103とを接続する電源外部入力状態(2−4スイッチ接続)に制御される。
【0015】
以上により、第1の電源供給用電線路としての第1の母線電源101が点検等のために給電停止している際、プラグイン方式の接続部131を有する電源外部入力線路130は、電源ケーブルCV1を介して別系統の第2の母線電源(第2の電源供給用電線路)と接続し、容易にスイッチ機構120を介して負荷103に電源を供給することができる。
【0016】
また、図1における別の回路動作を説明する。発電プラントにおいて、通常は、遮断器110内のスイッチ88がオン状態にされ、第1の母線電源101から負荷103に電力が供給される。一方、発電プラントの点検において図示しない第3の母線電源の検査でその母線電源が給電停止状態となったとき、停電した第3の母線電源に繋がる他の負荷を稼動させたい場合、第3の母線電源の復旧を待たずに活線状態にある図示の第1の母線電源101からの電力供給を実施する。図示しない遮断器を介した電源ケーブルCV2によって接続部141にプラグ接続する。もちろん電源ケーブルCV2の端末もプラグ形態となっており、容易に第1の母線電源を、電源ケーブルCV2を介して電源外部出力線路140に接続することができる。その後、スイッチ機構120は、遮断器110の二次側電路112と電源外部出力線路140とを接続する電源外部出力状態(1−3スイッチ接続)に制御される。
【0017】
以上により、図示しない別系統の第3の母線電源(第3の電源供給用電線路)が点検等のために給電停止している際、プラグイン方式の接続部141を有する電源外部出力線路140は、電源ケーブルCV2を介して図示しない他の負荷と接続し、容易にスイッチ機構120を介して図示の第1の母線電源(第1の電源供給用電線路)による電源を他の負荷に供給することができる。
【0018】
図2は、本発明に係る電力外部入出力装置を搭載した配線用遮断器を伴う、発電プラントにおけるモータコントロールセンタ(MCC)の概略図である。MCC装置は、発電プラントにおけるモータを集中的に起動・停止・制御するユニットの集まりであり、モータの短絡、過負荷、欠相を検出し、モータを損傷から保護する。MCC装置200には図示しないが、図1に示す回路構成も含まれている。また、母線室が設けられ、母線電源としての有効線が配備される。例えば、MCC装置200内には、図1における第1の母線電源101が供給される第1の電源供給用電線路(図示せず)が配設されている。また、MCC装置200内には、さらに第1の母線電源101とは別系統の第2の母線電源が供給される第2の電源供給用電線路(図示せず)が配設されていてもよい。MCC装置200の前面の所定箇所には、図1におけるプラグイン方式の接続部131、141が設けられている。接続部131、141はそれぞれ回路単位に応じて複数設けられていてもよい。
【0019】
接続部131は、図1における電源外部入力線路130の接続ターミナル、接続部141は、図1における電源外部出力線路140の接続ターミナルであるので、それぞれ見分けが付くように色分け等がなされていることが望ましい。また、接続部131、141それぞれの設置箇所としては、誘導による電圧変動を避けるため、なるべく母線電源から所定距離(例えば40cm以上)遠ざけることが重要である。接続部131、141それぞれには、MCC装置200または図示しない他のMCC装置や配線用遮断器の所定部から伸長された電源ケーブル(図示せず)が用途に応じて接続される。接続される電源ケーブルのターミナルは、上記したようにプラグ形態(高圧型プラグ)となっており、接続部131または141に接続後、ボルト・ナットで固定されるようにしてもよい。
【0020】
以上説明したように、本発明の構成によれば、プラグイン方式の第1の接続部を有する電源外部入力線路、プラグイン方式の第2の接続部を有する電源外部出力線路、さらには電源外部入力線路または電源外部出力線路を機能させるための外部電源入出力制御用のスイッチ機構を備える。これらの構成により、電源ケーブルを廻らせ、繋ぎ込む作業は大幅に時間短縮されると共に、安全性、確実性の向上が期待できる。すなわち、電源母線が停電中の負荷を安全、簡便に稼動し得る電力外部入出力装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る電力外部入出力装置の要部の構成を示す回路図である。
【図2】本発明に係る電力外部入出力装置を搭載した配線用遮断器を伴う、発電プラントにおけるモータコントロールセンタ(MCC)の概略図である。
【符号の説明】
【0022】
100 電力外部入出力装置
101 第1の母線電源
103 負荷
110 遮断器
111 遮断器の一次側電路
112 遮断器の二次側電路
120 スイッチ機構
130 電源外部入力線路
131,141 接続部
140 電源外部出力線路
200 MCC装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電源供給用電線路に一次側電路が接続され、負荷に二次側電路が接続される遮断器と、
プラグイン方式の第1の接続部を有する電源外部入力線路と、
プラグイン方式の第2の接続部を有する電源外部出力線路と、
前記遮断器の二次側電路と前記負荷とを接続する通常状態に替わって少なくとも前記電源外部入力線路と前記負荷とを接続する電源外部入力状態、及び、前記遮断器の二次側電路と前記電源外部出力線路とを接続する電源外部出力状態のいずれかの状態に切替え可能なスイッチ機構と、
を具備したことを特徴とする電力外部入出力装置。
【請求項2】
電源外部入力線路は、少なくとも前記第1の電源供給用電線路が給電停止状態となったときに活線状態となっている第2の電源供給用電線路と接続される請求項1記載の電力外部入出力装置。
【請求項3】
前記第1の接続部及び前記第2の接続部は、前記電源供給用電線路と所定距離離れて設置される請求項1記載の電力外部入出力装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−130941(P2009−130941A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−299574(P2007−299574)
【出願日】平成19年11月19日(2007.11.19)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】