説明

電力情報報知システムならびに電力情報報知装置

【課題】請求書を通じて電力料金を請求されたテナントが、請求書中の消費電力量及び電力料金が不正のない数値であることを知ることができる電力情報報知システム及び電力情報報知装置を提供する。
【解決手段】電力情報報知システム1の空調コントローラ4は、室内機2a〜2c毎に消費電力量を按分すると共に、各室内機2a〜2c毎の消費電力量に対する電力料金を演算する。そして、空調コントローラ4は、各室内機2a〜2cにおける消費電力量及び電力料金を暗号化して暗号コードを生成すると、これを含む請求書データを管理用コンピュータ5に出力する。センターサーバ6は、インターネット7を介して暗号コードを受け付けると、これを復号化し、室内機2a〜2cの消費電力量及び電力料金を取り出す。取り出された室内機2a〜2cの消費電力量及び電力料金は、端末TA〜TCに報知される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力情報報知システム、ならびに電力情報報知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、特許文献1に示されるように、複数の室内機を統括して制御する空調コントローラには、室内機毎に消費電力量を按分する機能を備えたものがある。このような空調コントローラは、複数のテナントが入居している物件において、各テナントの店舗内に室内機が設置されている場合に良く利用されている。
【特許文献1】特開2004−144348号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上述したような物件においては、物件のオーナーから管理委託されている管理会社は、空調コントローラによる按分結果(具体的には、室内機毎の消費電力量)を基に各室内機の消費電力量に対する電力料金を計算し、計算した電力料金を付した請求書を各テナントに発行する作業を行う。しかしながら、管理会社から請求書を渡されるテナント側からすると、管理会社が電力料金の水増し請求を行っているのではないかと、疑う恐れがある。
【0004】
そこで、本発明は、請求書を通じて電力料金を請求されたテナントが、請求書中の消費電力量及び電力料金が不正のない数値であることを知ることができる電力情報報知システム、ならびに電力情報報知装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明1に係る電力情報報知システムは、按分部と、演算部と、暗号コード生成部と、データ出力部と、受付部と、復号化部と、報知部とを備える。按分部は、複数の空調部それぞれの運転状態に基づいて、空調部毎に消費電力量を按分する。演算部は、按分部の按分結果に基づいて、空調部毎の消費電力量に対する電力料金を演算する。暗号コード生成部は、各空調部における按分部の按分結果及び演算部の演算結果の少なくとも1つを暗号化して、暗号コードを生成する。データ出力部は、各空調部における請求書データを出力する。請求書データには、按分部の按分結果及び演算部の演算結果の少なくとも1つと共に、暗号コードが添付されている。受付部は、通信ネットワークを介して暗号コードを受け付ける。復号化部は、受付部により受け付けられた暗号コードを復号化し、按分部の按分結果及び演算部の演算結果の少なくとも1つを取り出す。報知部は、復号化部により取り出された按分部の按分結果及び演算部の演算結果の少なくとも1つを報知する。
【0006】
この電力情報報知システムによると、各空調部の消費電力量及びこれに相当する電力料金の少なくとも1つが暗号化されることで暗号コードが生成され、生成された暗号コードは、各空調部の消費電力量及び電力料金の少なくとも1つと共に請求書に添付され、出力される。そして、請求書中の暗号コードが受付部により受け付けられると、暗号コードは復号化され、暗号コードとなる前の情報、即ち各空調部の消費電力量及び電力料金が報知される。これにより、請求書を通じて電力料金を請求されたテナントは、例えばWebにアクセスし請求書中の暗号コードを入力して問い合わせることにより、請求書中の消費電力量及び電力料金が不正のない数値であることを知ることができる。従って、物件の管理会社は、電力料金の水増し請求を行っているのではないかとテナント側から疑われにくくなる。また、この電力情報報知システムによると、各空調部の消費電力量や電力料金は、暗号化されかつ復号化されることから、データベース等に蓄積せずともよい。
【0007】
発明2に係る電力情報報知システムは、発明1に係る電力情報報知システムであって、暗号コードは、2次元バーコードである。そして、受付部は、2次元バーコードを読み取り可能な読み取り部によって読み取られた請求書データ中の2次元バーコードを取得する。
【0008】
ここで、読み取り部としては、バーコード読み取り機能を搭載したカメラ付き携帯端末が挙げられる。請求書中の2次元バーコードがカメラ付き携帯端末によって読み取られると、読み取られた2次元バーコードについてのデータは、携帯端末の送信機能によって受付部に送信される。受付部により受け付けられた2次元バーコードは復号化され、暗号化される前の情報が報知される。従って、テナント側は、携帯端末を介して請求書中の消費電力量及び電力料金が不正のない数値であることを容易に確認することができる。
【0009】
発明3に係る電力情報報知システムは、発明1または2に係る電力情報報知システムであって、復号化部は、暗号コード生成部が按分部の按分結果及び演算部の演算結果の少なくとも1つを暗号化する際に用いた鍵情報によって、暗号コードを復号化する。
【0010】
この電力情報報知システムによると、按分部の按分結果及び演算部の演算結果の暗号化、暗号コードの復号化には、同じ鍵情報が用いられる。従って、受付部が受け付けた暗号コードは、正常に復号化される。
【0011】
発明4に係る電力情報報知装置は、按分部と、演算部と、第1記憶部と、受信部と、送信部とを備える。按分部は、複数の空調部それぞれの運転状態に基づいて、空調部毎に消費電力量を按分する。演算部は、按分部の按分結果に基づいて、空調部毎の消費電力量に対する電力料金を演算する。第1記憶部は、各空調部における按分部の按分結果及び演算部の演算結果を記憶する。受信部は、インターネットに接続された外部端末を通じて閲覧されるウェブページを介して、按分部の按分結果及び演算部の演算結果の少なくとも1つの報知要求を受信することが可能である。送信部は、受信部が報知要求を受信した場合、第1記憶部内における按分部の按分結果及び演算部の演算結果の少なくとも1つがウェブページ上に表示されるように、按分部の按分結果及び演算部の演算結果の少なくとも1つを外部端末に送信する。
【0012】
この電力情報報知装置は、外部端末を介して各空調部の消費電力量及び電力料金の報知要求がなされた場合、消費電力量及び電力料金を外部端末に送信する。これにより、外部端末は、ウェブページを介して消費電力量及び電力料金を確認することができる。従って、請求書を通じて電力料金を請求されたテナントは、電力情報報知装置にアクセスすることで、請求書中の消費電力量及び電力料金が不正のない数値であることを知ることができる。
【0013】
発明5に係る電力情報報知装置は、発明4に係る電力情報報知装置であって、第1記憶部は、按分部の按分結果及び演算部の演算結果に対する各空調部の運転状態を更に記憶する。そして、送信部は、受信部が報知要求を受信した場合、按分部の按分結果及び演算部の演算結果に対する空調部の運転状態が更にウェブページ上に表示されるように、第1記憶部内における空調部の運転状態を外部端末に更に送信する。
【0014】
この電力情報報知装置は、外部端末を介して各空調部の消費電力量及び電力料金の報知要求がなされた場合、消費電力量及び電力料金だけではなく、該当する空調部の運転状態を外部端末に更に送信する。これにより、外部端末のウェブページ上には、消費電力量及び電力料金に加え、この電力量を消費した空調部のその時の運転状態が表示される。従って、請求書を通じて電力料金を請求されたテナントは、ウェブページ上の空調部の運転状態から、ウェブページ上に表示されている消費電力量及び電力料金が妥当な値であるか否かを確認することができる。また、第三者によるウェブページの改ざんを防げることができる。
【0015】
発明6に係る電力情報報知装置は、発明4または5に係る電力情報報知装置であって、第2記憶部を更に備える。第2記憶部は、受信部が受信した報知要求に関する情報を履歴情報として記憶する。
【0016】
報知要求に関する情報としては、報知要求を行ったユーザ名や外部端末のIPアドレス、報知要求のあった日時等が挙げられる。この電力情報報知装置は、外部端末を介して各空調部の消費電力量及び電力料金の報知要求がなされた場合、上記報知要求に関する情報を履歴情報として記憶する。つまり、電力情報報知装置は、自装置にアクセスがあった場合のログを記憶する。これにより、第2記憶部内の履歴情報を例えば電力情報報知装置における表示部上に表示することによって、電力情報報知装置を管理する管理者は、どのような人物が消費電力量及び電力料金の報知要求を行っているのかを知ることができる。
【0017】
発明7に係る電力情報報知装置は、按分部と、演算部と、出力部とを備える。按分部は、各空調部の運転状態に基づいて、空調部毎に消費電力量を按分する。演算部は、按分部の按分結果に基づいて、空調部毎の消費電力量に対する電力料金を演算する。出力部は、請求書データを編集不可能な形態で出力する。請求書データは、各空調部における按分部の按分結果及び演算部の演算結果を含む。
【0018】
編集不可能な形態としては、PDF形式のファイルが挙げられる。この電力情報報知装置によると、空調部の消費電力量及び電力料金が記載された請求書が、CSVファイルやEXCELファイルのような編集可能な形態ではなく、PDFファイルのような編集不可能な形態で出力される。従って、物件の管理会社は、請求書データを加工することができないため、電力料金の水増し請求等を行っているのではないかとテナント側から疑われにくくなる。
【発明の効果】
【0019】
発明1に係る電力情報報知システムによると、請求書を通じて電力料金を請求されたテナントは、例えばWebにアクセスし請求書中の暗号コードを入力して問い合わせることにより、請求書中の消費電力量及び電力料金が不正のない数値であることを知ることができる。従って、物件の管理会社は、電力料金の水増し請求を行っているのではないかとテナント側から疑われにくくなる。また、この電力情報報知システムによると、各空調部の消費電力量や電力料金は、暗号化されかつ復号化されることから、データベース等に蓄積せずともよい。
【0020】
発明2に係る電力情報報知システムによると、テナント側は、携帯端末を介して請求書中の消費電力量及び電力料金が不正のない数値であることを容易に確認することができる。
【0021】
発明3に係る電力情報報知システムによると、受付部が受け付けた暗号コードは、正常に復号化される。
【0022】
発明4に係る電力情報報知装置によると、外部端末は、ウェブページを介して消費電力量及び電力料金を確認することができる。従って、請求書を通じて電力料金を請求されたテナントは、電力情報報知装置にアクセスすることで、請求書中の消費電力量及び電力料金が不正のない数値であることを知ることができる。
【0023】
発明5に係る電力情報報知装置によると、請求書を通じて電力料金を請求されたテナントは、ウェブページ上の空調部の運転状態から、ウェブページ上に表示されている消費電力量及び電力料金が妥当な値であるか否かを確認することができる。
【0024】
発明6に係る電力情報報知装置によると、第2記憶部内の履歴情報を例えば電力情報報知装置における表示部上に表示することによって、電力情報報知装置を管理する管理者は、どのような人物が消費電力量及び電力料金の報知要求を行っているのかを知ることができる。
【0025】
発明7に係る電力情報報知装置によると、物件の管理会社は、請求書データを加工することができないため、電力料金の水増し請求等を行っているのではないかとテナント側から疑われにくくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明に係る電力情報報知システム及び電力情報報知装置について、図面を用いて詳細に説明する。
【0027】
<第1実施形態>
(1)システムの概要及び構成
図1は、本発明の第1実施形態に係る電力情報報知システム1の構成を概略的に示す図である。電力情報報知システム1は、1つの物件内における複数の区画RA,RB,RC・・・(以下、区画RA〜RCと記載する)内それぞれに設置されている複数の室内機2a,2b,2c・・・(空調部に相当。以下、室内機2a〜2cと記載する)を空調コントローラ4で統括して制御する、いわゆる空調システムとしての機能を有する。更には、本実施形態に係る電力情報報知システム1は、各室内機2a〜2cの消費電力量及び電力料金に対する暗号コードを生成すると共に、この暗号コードを外部から受け付けるとこれを復号化して各室内機2a〜2cの消費電力量及び電力料金を報知するといった、電力に関する情報を報知するシステムとしての機能を有する。
【0028】
このような電力情報報知システム1は、図1に示すように、主として、複数の室内機2a〜2c、室外機3、空調コントローラ4、管理用コンピュータ5、及びセンターサーバ6を備えている。
【0029】
室内機2a〜2cは、4方向へ空気を吹き出すことができる天井設置型の室内機であって、1つの物件内における各区画RA〜RCに1台ずつ設置されており、設置された各区画RA〜RC内について空調運転を行う。1台の室外機3は、物件の屋上等に設置されており、室内機2a〜2c全てと接続されている。また、図示してはいないが、室外機3には、全室内機2a〜2cにおいて消費された総電力量を計測するための電力量計が接続されている。空調コントローラ4は、物件の管理室等の壁に設けられており、配線によって室外機3と通信可能に接続されている。管理用コンピュータ5は、物件内の管理室のように、区画RA〜RCとは別の部屋等に設置されており、空調コントローラ4とイーサネット(登録商標)を介して通信可能に接続されている。センターサーバ6は、室内機2a〜2cや管理用コンピュータ5が設置されている物件とは別の物件に設置されており、インターネット7に接続されている。
【0030】
ここで、各室内機2a〜2cが設置されている各区画RA〜RCには、テナントA,B,C・・・(以下、テナントA〜Cと記載する)が入居している。そして、各区画RA〜RC内には、インターネット7に接続されたPC等である端末TA,TB,TC・・・(以下、端末TA〜TCと記載する)が、それぞれ1台ずつ設置されている。つまり、各端末TA〜TCは、インターネット7を介してセンターサーバ6にアクセスすることができる。尚、本実施形態では、管理用コンピュータ5及び空調コントローラ4は、インターネット7に接続されていないため、端末TA〜TCは、管理用コンピュータ5及び空調コントローラ4にはアクセスできない仕様となっている。
【0031】
(2)室内機、室外機、空調コントローラ、及びセンターサーバの構成
次に、上述した電力情報報知システム1を構成する各装置のうち、管理用コンピュータ5を除く他の構成、つまり室内機2a〜2c、室外機3、空調コントローラ4、及びセンターサーバ6の各構成について説明する。
【0032】
(2−1)室内機及び室外機
以下の室内機2a〜2cの構成の説明では、室内機2a〜2c全てが同じ構造を有しているため、説明の便宜上、室内機2a〜2cを単に“室内機2”と記載する。
【0033】
〔室内機〕
図1及び図2に示すように、室内機2は、主として、本体21、受信部22、複数の上下フラップ23、複数の左右ルーバ24、室内ファン25、室内温度サーミスタ26及び制御部27を有している。本体21は、箱状の形状を有しており、下面には4つの吹き出し口21a,21b,21c,21dが形成されている(図1参照)。各吹き出し口21a〜21dは、本体21の下面における4辺に沿ってそれぞれ細長い形状に形成されている。受信部22は、本体21の下面に設けられており、各区画RA〜RC内にいるテナントの店員が操作するリモートコントローラ(図示せず)を介して、空調運転の指示や風量、風向きの設定変更等を受け付けることができる。複数の上下フラップ23及び複数の左右ルーバ24は、それぞれ本体21の各吹き出し口21a〜21d付近に設けられている。上下フラップ23は、各吹き出し口21a〜21dから吹き出された空調空気を上下方向に導くための風向調整板であって、各吹き出し口21a〜21dの形状と同様に細長い矩形状に形成されている。各上下フラップ23は、本体21に対し上下に回動することで、各吹き出し口21a〜21dを開閉することができる。左右ルーバ24は、各吹き出し口21a〜21dから吹き出された空調空気を左右方向に導くための風向調節板であって、本体21に対し左右に回動することができる。
【0034】
室内ファン25は、本体21の内部に設けられており、各吹き出し口21a〜21dを介して空調空気が室内に送られるように空気流を生成する。室内温度サーミスタ26は、室内機2付近の温度を検知する。制御部27は、受信部22、室内温度サーミスタ26及び各種モータと接続されており、これら各種機器の制御を行う。各種モータとしては、上下フラップ23の駆動源として機能するモータ、左右ルーバ24の駆動源として機能するモータ、室内ファン25の駆動源として機能するモータが挙げられる。更に、本体21の内部には、図示してはいないが、室内に送られる前の空気と熱交換を行う熱交換器等が設けられている。また、制御部27は、通信線を介して室外機3の制御部37と接続されており、室外機3側の制御部37と各種制御についての通信などを行う。尚、図2では、図面の便宜上、制御部27及び制御部37の間の通信手段を省略し、制御部27と制御部37とを1つの制御部として表している。
【0035】
〔室外機〕
室外機3は、主として、通信部31、圧縮機32,四路切換弁33、電動弁34、室外ファン35、室外温度サーミスタ36及び制御部37を有する。通信部31は、空調コントローラ4と通信を行う通信用インターフェースであって、空調コントローラ4に対し、例えば各室内機2a〜2cの現在の運転状態を送信する。圧縮機32は、冷媒を圧縮し、四路切換弁33は、冷媒の流れ方向を切り換える。電動弁34は、冷媒圧力や冷媒流量の調節を行う。圧縮機32、四路切換弁33及び電動弁34は、室外熱交換器(図示せず)と共に冷媒回路を構成する。室外ファン35は、室外熱交換器(図示せず)において熱交換された後の空気が室外に放出されるように、空気流を生成する。室外温度サーミスタ36は、外気温度を検知する。制御部37は、通信部31、四路切換弁33、電動弁34、室外温度サーミスタ36及び各種モータと接続されており、これら各種機器の制御を行う。各種モータとしては、圧縮機32の駆動源として機能するモータ、室外ファン35の駆動源として機能するモータが挙げられる。
【0036】
(2―2)空調コントローラ
空調コントローラ4は、図3に示すように、室外機用通信部41、操作パネル42、制御部45、及びイーサネット用通信部46(データ出力部に相当)を有する。
【0037】
〔室外機用通信部〕
室外機用通信部41は、室外機3と通信を行うための通信用インターフェースであって、各室内機2a〜2cの現在の運転状態を室外機3から受信することができる。ここで、現在の運転状態としては、暖房運転や除湿運転等の、各室内機2a〜2cが行っている空調運転の種類、各室内機2a〜2cの電磁弁の開度、各室内機2a〜2cの設定温度、設定風量等が挙げられる。
【0038】
また、既に述べたように、本実施形態に係る室外機3には、室内機2a〜2c及び空調コントローラ4の他、電力量計も接続されている。従って、室外機用通信部41は、間近の所定時間間隔における全室内機2a〜2cの総消費電力量を、室外機3を介して電力量計から取得することができる。所定時間間隔としては、例えば1時間が挙げられる。
【0039】
〔操作パネル〕
操作パネル42は、表示部43と、操作部44とで構成される。表示部43は、例えば液晶ディスプレイ及びマトリクススイッチ等で構成されるタッチパネルであって、各種画面を表示することができる。表示部43が表示する画面としては、各室内機2a〜2cの設定温度、風量及び風向等を設定するための設定画面が挙げられる。操作部44は、例えば決定キーや選択キー、数字キー等の各種キーと、ペン型のポインティングデバイスとで構成される。このような操作部44は、表示部43に表示された各種画面に基づいて、各室内機2a〜2cの空調運転に関する各種設定が行われる場合等に用いられる。
【0040】
〔制御部〕
制御部45は、ROMやRAM等のメモリとCPUとからなるマイクロコンピュータで構成される。制御部45は、室外機用通信部41、操作パネル42における表示部43及び操作部44、後述するイーサネット用通信部46と接続されており、接続された各機能部の制御を行う。特に、本実施形態に係る制御部45は、室外機用通信部41が各室内機2a〜2cの運転状態を室外機3から受信した場合、各室内機2a〜2cにおいて消費された消費電力量及び電力料金を計算する。そして、制御部45は、計算結果を暗号化した後、暗号化された計算結果を含むデータが管理用コンピュータ5に送られるようにする。このような動作を行うため、制御部45は、按分部45a、演算部45b、暗号コード生成部45c、及び請求書データ生成部45dとして機能する。
【0041】
按分部45aは、室外機用通信部41が受信した各室内機2a〜2cそれぞれの運転状態に基づいて、室内機2a〜2c毎に消費電力量を按分する。具体的には、室外機用通信部41が、電力量計(図示せず)によって計測された全室内機2a〜2cにおける総消費電力量と共に各室内機2a〜2cの運転状態を室外機3から受信すると、按分部45aは、受信した総消費電力量を、同じく受信した各室内機2a〜2cの空調運転の種類や電磁弁の開度等に基づいて按分する。例えば、室内機2a〜2c全てが冷房運転であれば、按分部45aは、総消費電力量を、各室内機2a〜2cの電磁弁の開度で比例するように按分する。このような動作により、所定時間間隔毎における各室内機2a〜2cの消費電力量が求められる。更に、按分部45aは、このような動作を所定時間間隔毎に繰り返すと共に、所定時間間隔における消費電力量を各室内機2a〜2c毎に積算していくことで、例えば1ヶ月の所定期間における各室内機2a〜2cの消費電力量を求める。
【0042】
演算部45bは、按分部45aの按分結果、即ち各室内機2a〜2cの消費電力量に基づいて、室内機2a〜2c毎の消費電力量に対する電力料金を演算する。具体的には、演算部45bは、物件全体での所定期間における電力料金を、按分部45aにより求められた所定期間における各室内機2a〜2cの消費電力量に比例するように按分することで、各室内機2a〜2cの消費電力量に対する電力料金を算出する。物件全体での所定期間における電力料金については、電力会社から報告されるものが操作パネル42を介して入力されるものとする。
【0043】
暗号コード生成部45cは、按分部45aの按分結果及び演算部45bの演算結果、即ち各室内機2a〜2cの消費電力量及び電力料金を暗号化する。具体的に、本実施形態に係る暗号コード生成部45cは、各室内機2a〜2cの所定期間における消費電力量及び電力料金を暗号化することで、数字及び文字が羅列された文字コードを生成する。このようにして暗号コード生成部45cにより暗号化された室内機2a〜2c毎の消費電力量及び電力料金を、暗号コードという。
【0044】
請求書データ生成部45dは、按分部45aの按分結果及び演算部45bの演算結果である各室内機2a〜2cの消費電力量及び電力料金と、暗号コード生成部45cにより生成された暗号コードとを添付した請求書データを、室内機2a〜2c毎に生成する。つまり、請求書データ生成部45dは、各区画RA〜RCに設けられた室内機2a〜2cの数だけ、請求書データを生成する。このような請求書データの生成動作は、各室内機2a〜2cの消費電力量及び電力料金の算出動作や暗号コードの生成動作と同様、所定期間毎に行われる。
【0045】
〔イーサネット用通信部〕
イーサネット用通信部46は、イーサネットを介して管理用コンピュータ5と通信を行うための通信用インターフェースである。具体的に、イーサネット用通信部46は、請求書データ生成部45dにより生成された室内機2a〜2c毎の請求書データを、イーサネットを介して管理用コンピュータ5に送信する。
【0046】
尚、管理用コンピュータ5は、各室内機2a〜2cの請求書データが空調コントローラ4から送られてくると、これを受信する。受信された請求書データは、管理用コンピュータ5を利用する物件の管理会社によって用紙に印刷され、室内機2a〜2cそれぞれが設置された区画RA〜RCに入居している各テナントA〜Cに渡される。図4は、テナントAに渡される請求書p1の一例である。図4に示すように、請求書p1には、室内機2aの消費電力量info1及び電力料金info2の他、消費電力量info1と電力料金info2とが暗号化された文字コードである暗号コードinfo3が記載されている。
【0047】
(2−3)センターサーバ
センターサーバ6は、図5に示すように、主として、インターネット用通信部61(受付部及び報知部に相当)、及び制御部62を有する。
【0048】
〔インターネット用通信部〕
インターネット用通信部61は、インターネット7を介して区画RA〜RC内の各端末TA〜TCと通信を行うための通信用インターフェースである。具体的に、インターネット用通信部61は、端末TA〜TCのキーボード等を用いてテナントの店員によって入力され送信された請求書中の暗号コードを、インターネット7を介して受信する。つまり、インターネット用通信部61は、空調コントローラ4が管理用コンピュータ5に出力した請求書データに添付されている暗号コードを、管理用コンピュータ5とは通信不可能な端末TA〜TCから受信することができる。
【0049】
また、インターネット用通信部61は、後述する制御部62により解読された暗号コードの解読結果を、該暗号コードの送信元である端末TA〜TCに送信する。例えば、管理会社からテナントAに渡された請求書p1(図4)における暗号コードinfo3「7A24B698」が、端末TAから送信された場合、該暗号コードinfo3「7A24B698」の解読結果は、端末TAに送信される。
【0050】
〔制御部〕
制御部62は、ROMやRAM等のメモリとCPUとからなるマイクロコンピュータで構成される。本実施形態に係る制御部62は、復号化部62a及び通信制御部62bとして機能する。
【0051】
復号化部62aは、インターネット用通信部61により受信された暗号コードを復号化し、空調コントローラ4における按分部45aの按分結果及び演算部45bの演算結果を取り出す。つまり、暗号コードは、空調コントローラ4における暗号コード生成部45cによって、室内機2a〜2cいずれかにおける消費電力量及び電力料金が暗号化されたものであることから、復号化部62aは、端末TA〜TCから送られてきた暗号コードを復号化することにより、暗号コード自体から室内機2a〜2cいずれかにおける消費電力量及び電力料金を取得することができる。
【0052】
尚、本実施形態に係る復号化部62aは、暗号コードの復号化をするにあたり、空調コントローラ4において暗号コード生成部45cが各室内機2a〜2cの消費電力量及び電力料金を暗号化する際に用いた鍵情報を用いる。即ち、暗号コードの復号化には、暗号コード生成時に用いられた鍵情報と同じ情報が用いられる。従って、暗号コードは、正常にかつ容易に復号化されるようになる。
【0053】
通信制御部62bは、インターネット用通信部61の通信制御を行う。具体的には、通信制御部62bは、復号化部62aにより取り出された按分結果及び演算結果、即ち室内機2a〜2cいずれかにおける消費電力量及び電力料金が、インターネット7を介して暗号コードの送信元である端末TA〜TCに送信されるように、インターネット用通信部61の通信制御を行う。
【0054】
上述したセンターサーバ6によると、暗号コードを入力した端末TA〜TCの表示部上には、例えば図6に示すような画面が表示される。図6は、端末TAがセンターサーバ6に図4の暗号コードinfo3「7A24B698」を送信した場合であって、かつ端末TAに室内機2aにおける消費電力量及び電力料金が表示された画面sq1の一例を示している。図6の画面sq1は、例えばWebブラウザを用いてWebページとして表示される。
【0055】
(3)電力情報報知システムの動作
次に、上述した電力情報報知システム1の動作について説明する。図7は、本実施形態に係る電力情報報知システム1の動作の流れを説明するための図である。
【0056】
先ず、室外機3は、所定時間間隔経過毎に、各室内機2a〜2cの運転状態を確認すると共に、電力量計(図示せず)から全室内機2a〜2cの総消費電力量を取得する。そして、室外機3は、各室内機2a〜2cの運転状態及び全室内機2a〜2cの総消費電力量を、空調コントローラ4に送信する(#1)。
【0057】
空調コントローラ4は、各室内機2a〜2cの運転状態及び全室内機2a〜2cの総消費電力量を室外機3から受信すると(#2)、所定時間間隔における各室内機2a〜2cの消費電力量を按分して室内機2a〜2c毎に積算し、所定期間における各室内機2a〜2cの消費電力量を求める。更に、空調コントローラ4は、所定期間における各室内機2a〜2cの消費電力量に対する電力料金を求める(#3)。そして、空調コントローラ4は、所定期間における各室内機2a〜2cの消費電力量及び電力料金を暗号化して、室内機2a〜2c毎に暗号コードを生成する(#4)。次いで、空調コントローラ4は、所定期間における各室内機2a〜2cの消費電力量、電力料金、及び生成した暗号コードが添付された請求書データを室内機2a〜2c毎に生成し、該請求書データを管理用コンピュータ5に送信する(#5)。
【0058】
管理用コンピュータ5は、空調コントローラ4から送られてきた各室内機2a〜2cにおける請求書データを受信する(#6)。受信された請求書データは、管理用コンピュータ5を利用する物件の管理会社によって図4に示すように用紙に印刷され、室内機2a〜2cそれぞれが設置された区画RA〜RCに入居している各テナントA〜Cに渡される(#7)。
【0059】
テナントA〜Cの店員は、物件の管理会社から渡された請求書が正しいか否かを確認するべく、端末TA〜TCを用いてセンターサーバ6にアクセスし、請求書における暗号コードを端末TA〜TCのキーボードを介してWebページに入力する(#8)。端末TA〜TCに入力された暗号コードは、インターネット7を介してセンターサーバ6に送信される。
【0060】
センターサーバ6は、端末TA〜TCから送られてきた暗号コードをインターネット7を介して受信すると(#9)、該暗号コードを復号化し(#10)、復号化した結果、即ち室内機2a〜2cいずれかにおける消費電力量及び電力料金を取得する。次いで、センターサーバ6は、暗号コードの送信元である端末TA〜TCの表示部上に、復号化した結果である室内機2a〜2cいずれかの消費電力量及び電力料金が表示されるようにする(#11)。
【0061】
これにより、テナントA〜Cの店員により暗号コードが入力された端末TA〜TCの表示部上には、図6に示すように、入力された暗号コードに対する室内機2a〜2cの消費電力量及び電力料金が表示されるようになる(#12)。
【0062】
(4)効果
(A)
本実施形態に係る電力情報報知システム1によると、各室内機2a〜2cの消費電力量及びこれに相当する電力料金が空調コントローラ4によって暗号化されることで、暗号コードが生成される。生成された暗号コードは、各室内機2a〜2cの消費電力量及び電力料金と共に請求書データに添付され、管理用コンピュータ5に出力される。そして、各端末TA〜TCがセンターサーバ6にアクセスし、各テナントに発行された請求書中の暗号コードがいずれかの端末TA〜TCを介して入力されると、入力された暗号コードは、センターサーバ6によって復号化される。そして、暗号コードが入力された端末TA〜TCには、暗号コードとなる前の情報、即ち各室内機2a〜2cの消費電力量及び電力料金が各端末TA〜TCに報知される。これにより、請求書を通じて電力料金を請求された各区画RA〜RCのテナントは、例えばWebにアクセスし請求書中の暗号コードを入力してセンターサーバ6に問い合わせることにより、請求書中の消費電力量及び電力料金が不正のない数値であることを知ることができる。従って、物件の管理会社は、電力料金の水増し請求を行っているのではないかとテナント側から疑われにくくなる。
【0063】
また、この電力情報報知システム1によると、各室内機2a〜2cの消費電力量や電力料金は、暗号化されかつ復号化されることから、センターサーバ6は、各室内機2a〜2cの消費電力量及び電力料金をデータベース等に蓄積せずともよい。
【0064】
(B)
また、本実施形態に係る電力情報報知システム1によると、空調コントローラ4における按分部45aの按分結果及び演算部45bの演算結果の暗号化や、センターサーバ6の復号化部62aによる暗号コードの復号化には、同じ鍵情報が用いられる。従って、センターサーバ6が端末TA〜TCから受け付けた暗号コードは、正常に復号化される。
【0065】
<第2実施形態>
上記第1実施形態では、図4に示すように、空調コントローラ4により生成される暗号コードが、複数の数値や文字が羅列された文字コードである場合について説明した。しかし、本発明に係る暗号コードは、文字コードに限定されず、2次元バーコードであってもよい。
【0066】
(1)電力情報報知システムの構成
図8は、本発明の第2実施形態に係る電力情報報知システム101の構成を概略的に示す図である。図8に示すように、本実施形態に係る電力情報報知システム101は、主として、複数の室内機102a〜102c、1台の室外機103、空調コントローラ104、管理用コンピュータ105、及びセンターサーバ106を備えている。複数の室内機102a〜102c、室外機103、空調コントローラ104、管理用コンピュータ105、及びセンターサーバ106は、第1実施形態に係る複数の室内機2a〜2c、室外機3、空調コントローラ4、管理用コンピュータ5、及びセンターサーバ6とほぼ同様の構成を有する。
【0067】
具体的には、室内機102a〜102cは、4方向へ空気を吹き出すことができる天井設置型の室内機であって、1つの物件内における各区画RA〜RCに1台ずつ設置されており、設置された各区画RA〜RC内について空調運転を行う。1台の室外機103は、物件の屋上等に設置されており、室内機102a〜102c全てと接続されている。また、室外機103には、室内機102a〜102c全ての総消費電力量を計測するための電力量計(図示せず)が接続されている。空調コントローラ104は、物件の管理室等の壁に設けられており、配線によって室外機103と通信可能に接続されている。管理用コンピュータ105は、物件内の管理室や各区画RA〜RCとは別の部屋等に設置されており、空調コントローラ104とイーサネット(登録商標)を介して通信可能に接続されている。センターサーバ106は、室内機102a〜102cや管理用コンピュータ105が設置されている物件とは別の物件に設置されている。尚、センターサーバ106は、図8に示すように、空調コントローラ104や管理用コンピュータ105とはインターネット等で接続されていないため、センターサーバ106は、空調コントローラ104や管理用コンピュータ105とは通信できない仕様となっている。
【0068】
上述した電力情報報知システム101では、第1実施形態と同様、空調コントローラ104が各室内機102a〜102cの消費電力量の按分、各室内機102a〜102cの消費電力量に対する電力料金の算出を行う他、消費電力量及び電力料金を暗号化し、暗号コードとして2次元バーコードを生成する。更に、空調コントローラ104は、図9に示すように、室内機102a〜102c毎に、消費電力量、電力料金及び2次元バーコードba1が添付された請求書データを生成し、管理用コンピュータ105に出力する。図9は、管理用コンピュータ105により印刷された、請求書データの一例である。
【0069】
また、本実施形態に係る各区画RA〜RCには、テナントA〜Cが入居しているが、端末TA〜TCが設置されていない代わりに、各テナントA〜Cの店員が携帯端末MA〜MCを有しているとする。携帯端末MA〜MCは、電話機能やメール機能、インターネット機能の他、2次元バーコードを読み取ることが可能な読み取り部を備えた、所謂カメラ付き携帯端末である。従って、各テナントA〜Cの店員は、携帯端末MA〜MCを用いて物件の管理会社から渡された請求書中の2次元バーコードba1(図9)を読み取り、センターサーバ106に送信することで、物件の管理会社から渡された請求書中の消費電力量や電力料金が不正のない数値であるか否かを確認することができる。つまり、本実施形態に係るセンターサーバ106は、第1実施形態に係るセンターサーバ6において、インターネット用通信部61の代わりに無線通信部161を有している構成となっている。具体的には、センターサーバ106は、図8に示すように、無線通信部161を有している他、第1実施形態と同様に復号化部及び通信制御部として機能する制御部を有している。ここで、無線通信部161は、携帯端末MA〜Cによって読み取られた2次元バーコードのデータを受信したり、2次元バーコードを復号化した結果を携帯端末MA〜MCに送信したりすることができる。
【0070】
尚、センターサーバ106は、2次元バーコードを復号化するにあたり、第1実施形態と同様、空調コントローラ104が各室内機102a〜102cの消費電力量及び電力料金を暗号化する際に用いた鍵情報と同じ情報を用いてもよい。
【0071】
また、電力情報報知システム101に係る室内機102a〜102c、室外機103及び空調コントローラ104の構成については、第1実施形態に係る室内機2a〜2c、室外機3及び空調コントローラ4と同様であるため、これらの各機器の詳細な説明は省略する。
【0072】
(2)電力情報報知システムの動作
次に、本実施形態に係る電力情報報知システム101の動作について説明する。図10は、本実施形態に係る電力情報報知システム101の動作の流れを説明するための図である。
【0073】
先ず、室外機103は、所定時間間隔経過毎に、各室内機102a〜102cの運転状態を確認すると共に、電力量計(図示せず)から全室内機102a〜102cの総消費電力量を取得する。そして、室外機103は、各室内機102a〜102cの運転状態及び全室内機102a〜102cの総消費電力量を、空調コントローラ104に送信する(#101)。
【0074】
空調コントローラ104は、各室内機102a〜102cの運転状態及び全室内機102a〜102cの総消費電力量を室外機103から受信すると(#102)、所定時間間隔における各室内機102a〜102cの消費電力量を按分して室内機102a〜102c毎に積算し、所定期間における各室内機102a〜102cの消費電力量を求める。更に、空調コントローラ104は、所定期間における各室内機102a〜102cの消費電力量に対する電力料金を求める(#103)。そして、空調コントローラ104は、所定期間における各室内機102a〜102cの消費電力量及び電力料金を暗号化して、室内機102a〜102c毎に2次元バーコードである暗号コードを生成する(#104)。次いで、空調コントローラ104は、所定期間における各室内機102a〜102cの消費電力量、電力料金、及び生成した2次元バーコードである暗号コードが添付された請求書データを室内機102a〜102c毎に生成し、該請求書データを管理用コンピュータ105に送信する(#105)。
【0075】
管理用コンピュータ105が、空調コントローラ104から送られてきた各室内機102a〜102cにおける請求書データを受信する(#106)。受信された請求書データは、管理用コンピュータ105を利用する物件の管理会社によって図9に示すように用紙に印刷され、室内機102a〜102cそれぞれが設置された区画RA〜RCに入居している各テナントA〜Cに渡される(#107)。
【0076】
テナントA〜Cの店員は、物件の管理会社から渡された請求書が正しいか否かを確認するべく、携帯端末MA〜MCを用いて請求書中の2次元バーコードを読み取り、センターサーバ106に送信する(#108)。
【0077】
センターサーバ106は、携帯端末MA〜MCから送られてきた2次元バーコードのデータを受信すると(#109)、これを復号化し(#110)、復号化した結果、即ち室内機102a〜102cいずれかにおける消費電力量及び電力料金を取得する。次いで、センターサーバ106は、2次元バーコードの送信元である携帯端末MA〜MCに、復号化した結果である室内機102a〜102cいずれかの消費電力量及び電力料金をメールで送信する(#111)。
【0078】
これにより、テナントA〜Cの店員は、2次元バーコードを読み取った携帯端末MA〜MC宛に届いたセンターサーバ106からのメールによって(#112)、請求書に記載されている室内機102a〜102cの消費電力量及び電力料金が不正のない値であるか否かを確認することができる。
【0079】
(3)効果
本実施形態に係る電力情報報知システム1では、図9に示すように、暗号コードが2次元バーコードの形態で請求書中に表される。この2次元バーコードは、室内機102a〜102cの消費電力量及び電力料金が暗号化されたものであって、携帯端末MA〜MCによって読み取られると共に、センターサーバ106に送信される。センターサーバ106の無線通信部161により受信された2次元バーコードのデータは、復号化され、復号化された後の結果、即ち室内機102a〜102cいずれかの消費電力量及び電力料金がメールで携帯端末MA〜MCに通知される。従って、テナント側は、携帯端末MA〜MCを介して請求書中の消費電力量及び電力料金が不正のない数値であることを容易に確認することができる。
【0080】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態に係る電力情報報知装置が採用された空調コントローラ204を備える電力情報報知システム201について説明する。本実施形態に係る電力情報報知システム201では、上記第1及び第2実施形態のように、請求書データが、空調コントローラ204によって生成された後、用紙に出力されて各テナントA〜Cに渡される。しかしながら、請求書中の消費電力量及び電力料金が各テナントA〜Cの店員によって確認される手法が、上記第1及び第2実施形態とは異なっている。
【0081】
(1)構成
図11は、電力情報報知システム201の構成を概略的に示す図である。電力情報報知システム201は、主として、複数の室内機202a〜202c、1台の室外機203、及び空調コントローラ204(電力情報報知装置に相当)を備える。
【0082】
室内機202a〜202cは、1つの物件における各区画RA〜RCに1台ずつ設置されており、設置された各区画RA〜RC内について空調運転を行う。1台の室外機203は、物件の屋上等に設置されており、室内機202a〜202c全てと接続されている。また、室外機203には、室内機202a〜202c全ての総消費電力量を計測するための電力量計(図示せず)が接続されている。空調コントローラ204は、物件の管理室等の壁に設けられており、配線によって室外機203と通信可能に接続されている。また、本実施形態に係る空調コントローラ204は、インターネット207を介して各区画RA〜RC内に設置されているPC等の端末TA〜TC(外部端末に相当)に接続されている。ここで、各区画RA〜RCには、第1及び第2実施形態と同様、テナントA〜Cが入居している。
【0083】
尚、室内機202a〜202c及び室外機203は、第1実施形態に係る室内機2a〜2c及び室外機3と同様の構成を有するため、以下では、空調コントローラ204の構成について詳述する。
【0084】
(1−1)空調コントローラの構成
空調コントローラ204は、図12に示すように、室外機用通信部241、操作パネル242、記憶部245、制御部246、及びインターネット用通信部247(受信部及び送信部に相当)を有する。
【0085】
〔室外機用通信部〕
室外機用通信部241は、室外機203と通信を行うための通信用インターフェースであって、各室内機202a〜202cの現在の運転状態を室外機203から受信することができる。ここで、現在の運転状態としては、第1実施形態と同様、各室内機202a〜202cが行っている空調運転の種類、各室内機202a〜202cの電磁弁の開度、各室内機202a〜202cの設定温度、設定風量等が挙げられる。
【0086】
また、室外機用通信部241は、間近の所定時間間隔における全室内機202a〜202cの総消費電力量を、室外機203を介して電力量計から取得することができる。所定時間間隔としては、例えば1時間が挙げられる。
【0087】
〔操作パネル〕
操作パネル242は、表示部243と、操作部244とで構成される。表示部243は、例えば液晶ディスプレイ及びマトリクススイッチ等で構成されるタッチパネルであって、各室内機202a〜202cの設定温度や風向等を設定するための設定画面等、各種画面を表示することができる。操作部244は、例えば決定キーや選択キー、数字キー等の各種キーと、ペン型のポインティングデバイスとで構成される。このような操作部244は、表示部243に表示された各種画面に基づいて、各室内機202a〜202cの空調運転に関する各種設定が行われる場合等に用いられる。
【0088】
また、本実施形態に係る表示部243は、記憶部245の第2記憶領域245b(後述)内に記憶されている履歴情報についての画面を表示することもできる(図18参照)。
【0089】
〔記憶部〕
記憶部245は、第1記憶領域245a(第1記憶部に相当)及び第2記憶領域245b(第2記憶部に相当)を有しており、各種情報を記憶することができる。
【0090】
第1記憶領域245aには、按分部246aとして機能する制御部246による按分結果(具体的には、各室内機202a〜202cの消費電力量)、及び演算部246bとして機能する制御部246による演算結果(具体的には、各室内機202a〜202cの消費電力量に対する電力料金)が記憶される。更に、第1記憶領域245aには、按分結果及び演算結果に対する各室内機202a〜202cの運転状態が記憶される。つまり、第1記憶領域245aには、各室内機202a〜202cの消費電力量及び電力料金を求める際に用いられた各室内機202a〜202cの運転状態が記憶される。図13は、第1記憶領域245aに記憶されるべき上記各種情報が、室内機に関する情報テーブルta1の形態で第1記憶領域245aに記憶される一例を示している。図13の室内機に関する情報テーブルta1では、室内機202a〜202cの名称、各室内機202a〜202cにおける消費電力量、電力料金、運転状態、及び期間が、それぞれ対応づけられている。
【0091】
第2記憶領域245bには、後述するインターネット用通信部247が受信した報知要求に関する情報が履歴情報として記憶される。報知要求とは、按分結果及び演算結果である各室内機202a〜202cの消費電力量及び電力料金がWebページ上に表示されるようにするために、インターネット207に接続された端末TA〜TCが出力する要求を言う。報知要求は、各端末TA〜TCが設置されたテナントA〜Cの店員によって指示され、各端末TA〜TCから出力される。尚、本実施形態では、報知要求が、インターネット207に接続された端末TA〜TCを通じて閲覧されるWebページを介して行われる。つまり、テナントA〜Cの店員の店員は、空調コントローラ204にアクセスした状態時に各端末TA〜TCに表示されるWebページ上から、報知要求を送ることができる。
【0092】
また、報知要求に関する情報としては、図14の履歴情報リストls1に示されるように、報知要求があった日時や、端末TA〜TCによってWebページ上への表示が要求された情報の内容(即ち、要求内容)、報知要求を行った端末TA〜TCの端末名、端末TA〜TCのIPアドレスが挙げられる。また報知要求に関する情報としては、例えば端末TA〜TCを介して空調コントローラ4にアクセスし、ログインしているユーザがあれば、そのユーザ名が挙げられる。ここで、図14は、第2記憶領域245bに記憶されるべき報知要求に関する情報が、リストの形態で第2記憶領域245bに記憶される一例を示している。図14の履歴情報リストls1には、報知要求があった日時、要求内容、報知要求を行った端末TA〜TCの端末名、及び端末TA〜TCのIPアドレスが、それぞれ対応づけられている。
【0093】
〔制御部〕
制御部246は、ROMやRAM等のメモリとCPUとからなるマイクロコンピュータで構成される。制御部246は、室外機用通信部241、操作パネル242における表示部243及び操作部244、記憶部245、及びインターネット用通信部247と接続されており、接続された各機能部の制御を行う。特に、本実施形態に係る制御部246は、各室内機202a〜202cにおいて消費された消費電力量及び電力料金の計算や、計算結果である各室内機202a〜202cの消費電力量及び電力料金をWebページ上から閲覧可能にするといった動作を行う。このような動作を行うため、制御部246は、按分部246a、演算部246b、請求書データ生成部246c、及び画面情報生成部246dとして機能する。
【0094】
按分部246aは、第1実施形態に係る按分部45aと同様、室外機用通信部241が受信した各室内機202a〜202cそれぞれの運転状態に基づいて、電力量計(図示せず)が計測した総消費電力量を室内機202a〜202c毎に按分する。そして、按分部246aは、このような動作を繰り返し行うと共に室内機202a〜202c毎の按分結果を積算していき、例えば1ヶ月の所定期間における各室内機202a〜202cの消費電力量を求める。
【0095】
演算部246bは、第1実施形態に係る演算部45bと同様、按分部246aの按分結果、即ち各室内機202a〜202cの消費電力量に基づいて、室内機202a〜202c毎の消費電力量に対する電力料金を演算する。
【0096】
請求書データ生成部246cは、按分部246aの按分結果及び演算部246bの演算結果である各室内機202a〜202cの消費電力量と電力料金とを添付した請求書データを、室内機202a〜202c毎に生成する。尚、請求書データ生成部246cにより生成された各室内機202a〜202cの請求書データは、物件の管理会社における担当者にフラッシュメモリ等の記録媒体を介して手渡され、図15に示すように用紙に印刷された後、各テナントA〜Cに渡される。図15に示すように、本実施形態に係る請求書は、第1実施形態に係る図4や第2実施形態に係る図9の請求書とは異なり、暗号コードがない状態となっている。また、請求書データ生成部246cは、消費電力の按分に用いられた運転状態と生成した請求書データとに基づき、図13の室内機に関する情報テーブルta1を更新する。これにより、按分結果、演算結果及び運転状態は、記憶部245の第1記憶領域245aに記憶されるようになる。
【0097】
画面情報生成部246dは、端末TA〜TCのいずれかから、各室内機202a〜202cの消費電力量及び電力料金の報知要求があった場合、記憶部245の第1記憶領域245a内における各種情報に基づいて、消費電力量等を表示するための画面情報を生成する。具体的には、画面情報生成部246dは、按分部246aの按分結果及び演算部246bの演算結果である各室内機202a〜202cの消費電力量及び電力料金、これらの各結果に対する室内機202a〜202cの運転状態がWebページ上に表示されるように、図13の室内機に関する情報テーブルta1に基づいて画面情報を生成する。つまり、画面情報生成部246dが生成する画面情報には、各テナントA〜Cに渡された請求書に記載されている最新の各室内機202a〜202cの消費電力量及び電力料金、更にはこの消費電力量や電力料金の演算時に用いられた室内機202a〜202cの運転状態が含まれる。
【0098】
また、画面情報生成部246dは、生成した画面情報に基づき、図14の履歴情報リストls1を更新する。これにより、要求日時等の報知要求に関する情報は、記憶部245の第2記憶領域245bに記憶されるようになる。更に、空調コントローラ204の管理者により、操作部244を介して履歴情報の表示要求がなされた場合、画面情報生成部246dは、図18に示すような履歴情報の画面が空調コントローラ204の表示部243に表示されるように、図14の履歴情報リストls1に基づいて履歴情報を表示するための画面情報を生成する。
【0099】
〔インターネット用通信部〕
インターネット用通信部247は、インターネット207を介して端末TA〜TCと通信を行うための通信用インターフェースである。具体的に、インターネット用通信部247は、端末TA〜TCを通じて閲覧されるWebページを介して、按分部246aの按分結果及び演算部246bの演算結果の報知要求を受信することができる。また、インターネット用通信部247は、報知要求を受信後、画面情報生成部246dにより生成された消費電力量等を表示するための画面情報を、報知要求の送信元である端末TA〜TCに送信する。これにより、最新の各室内機202a〜202cの消費電力量、電力料金及び室内機202a〜202cの運転状態が、端末TA〜TCの表示部に表示されているWebページ上に表示されるようになる(図16の画面sq2参照)。
【0100】
(2)電力情報報知システムの動作
図17は、本実施形態に係る空調コントローラ204を備えた電力情報報知システム201の動作の流れを説明するための図である。
【0101】
先ず、室外機203は、所定時間間隔経過毎に、各室内機202a〜202cの運転状態を確認すると共に、電力量計(図示せず)から全室内機202a〜202cの総消費電力量を取得する。そして、室外機203は、各室内機202a〜202cの運転状態及び全室内機202a〜202cの総消費電力量を、空調コントローラ204に送信する(#201)。
【0102】
空調コントローラ204は、各室内機202a〜202cの運転状態及び全室内機202a〜202cの総消費電力量を室外機203から受信すると(#202)、所定時間間隔における各室内機202a〜202cの消費電力量を按分して室内機202a〜202c毎に積算し、所定期間における各室内機202a〜202cの消費電力量を求める。更に、空調コントローラ204は、所定期間における各室内機202a〜202cの消費電力量に対する電力料金を求める(#203)。次いで、空調コントローラ204は、所定期間における各室内機202a〜202cの消費電力量及び電力料金が添付された請求書データを室内機202a〜202c毎に生成すると共に、室内機に関する情報テーブルta1(図13)を更新する(#204)。尚、請求書データは、フラッシュメモリ等に出力された後、管理会社に設置されたコンピュータによって用紙に印刷され、室内機202a〜202cそれぞれが設置された区画RA〜RCに入居している各テナントA〜Cに渡される(#205)。
【0103】
テナントA〜Cの店員は、物件の管理会社から渡された請求書が正しいか否かを確認するべく、端末TA〜TCを用いて空調コントローラ204にアクセスし、Webページ上から按分結果及び演算結果の報知要求を行う(#206)。
【0104】
空調コントローラ204は、該報知要求を受信すると(#207)、記憶部245の第1記憶領域245aにおける室内機に関する情報テーブルta1(図13)に基づいて消費電力量等を表示するための画面情報を生成し、報知要求の送信元である端末TA〜TCに送信する(#208)。
【0105】
空調コントローラ204により上記画面情報を受信した端末TA〜TCは(#209)、図16に示すような画面sq2を表示する(#210)。これにより、テナントA〜Cの店員は、請求書に記載されている室内機202a〜202cの消費電力量及び電力料金が不正のない値であるか否かを確認することができる。
【0106】
また、空調コントローラ204は、上記画面情報の生成後、図14の履歴情報リストls1を更新する(#211)。そして、空調コントローラ204の管理者により履歴情報リストls1の閲覧要求があれば、空調コントローラ204は、図14の履歴情報リストls1に基づいて、図18に示すような履歴情報を表示する(#212)。
【0107】
(3)効果
(A)
本実施形態に係る空調コントローラ204は、端末TA〜TCを介して各室内機202a〜202cの消費電力量及び電力料金の報知要求がなされた場合、消費電力量及び電力料金を表示するための画面情報を、端末TA〜TCに送信する。これにより、端末TA〜TC上には、図16に示されるような画面sq2が表示されるため、テナントA〜Cの店員は、Webページを介して消費電力量及び電力料金を確認することができる。従って、請求書を通じて電力料金を請求されたテナントA〜Cは、空調コントローラ204にアクセスすることで、請求書中の消費電力量及び電力料金が不正のない数値であることを知ることができる。
【0108】
(B)
また、本実施形態に係る空調コントローラ204は、端末TA〜TCを介して各室内機202a〜202cの消費電力量及び電力料金の報知要求がなされた場合、消費電力量及び電力料金だけではなく、該消費電力量の演算に用いた室内機202a〜202cの運転状態を端末TA〜TCに更に送信する。これにより、端末TA〜TC上のWebページには、消費電力量及び電力料金に加え、この電力量を消費した室内機202a〜202cのその時の運転状態が表示される。従って、請求書を通じて電力料金を請求されたテナントは、Webページ上の室内機202a〜202cの運転状態から、表示されている消費電力量及び電力料金が妥当な値であるか否かを確認することができる。
【0109】
また、仮に、第三者によってWebページ上の電力料金が改ざんされたとしても、Webページを確認する側は、室内機202a〜202cの運転状態から電力料金が妥当であるか否かを判断することができるため、Webページの改ざんを発見し易くなる。従って、逆に、第三者によるウェブページの改ざんを防げることが可能となる。
【0110】
(C)
また、本実施形態に係る空調コントローラ204は、インターネット用通信部247が受信した報知要求に関する情報を、図14に示すように履歴情報として記憶する。ここで、報知要求に関する情報としては、報知要求を行ったユーザ名や端末TA〜TCのIPアドレス、報知要求のあった日時等が挙げられる。つまり、空調コントローラ204は、自装置にアクセスがあった場合のログを記憶する。これにより、記憶部245の第2記憶領域245b内の履歴情報を、図18に示すように空調コントローラ204上に表示することができ、空調コントローラ204の管理者は、どのような人物が消費電力量及び電力料金の報知要求を行っているのか等を知ることができる。
【0111】
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態に係る電力情報報知装置が採用された空調コントローラ304を備える電力情報報知システム301について説明する。
【0112】
(1)構成
図19は、電力情報報知システム301の構成を概略的に示す図である。電力情報報知システム301は、主として、複数の室内機302a〜302c、1台の室外機303、空調コントローラ304(電力情報報知装置に相当)、及び管理用コンピュータ305を備える。
【0113】
室内機302a〜302cは、1つの物件における各区画RA〜RCに1台ずつ設置されており、設置された各区画RA〜RC内について空調運転を行う。1台の室外機303は、物件の屋上等に設置されており、室内機302a〜302c全てと接続されている。また、室外機303には、室内機302a〜302c全ての総消費電力量を計測するための電力量計(図示せず)が接続されている。空調コントローラ304は、物件の管理室等の壁に設けられており、配線によって室外機303と通信可能に接続されている。管理用コンピュータ305は、空調コントローラ304とイーサネット(登録商標)を介して接続されている。ここで、各区画RA〜RCには、第1〜第3実施形態と同様にテナントA〜Cが入居しているが、第1〜第3実施形態とは異なり、管理用コンピュータ305や空調コントローラ304と通信可能な端末は設置されていない。
【0114】
尚、室内機302a〜302c、室外機303及び管理用コンピュータ305は、第1実施形態に係る室内機2a〜2c、室外機3及び管理用コンピュータ5と同様の構成を有するため、以下では、空調コントローラ304の構成について詳述する。
【0115】
(1−1)空調コントローラの構成
空調コントローラ304は、図20に示すように、室外機用通信部341、操作パネル342、制御部345及びイーサネット用通信部346(出力部に相当)を有する。
【0116】
〔室外機用通信部〕
室外機用通信部341は、室外機303と通信を行うための通信用インターフェースであって、各室内機302a〜302cの現在の運転状態を室外機303から受信することができる。ここで、現在の運転状態としては、第1実施形態と同様、各室内機302a〜302cが行っている空調運転の種類、各室内機302a〜302cの電磁弁の開度、各室内機302a〜302cの設定温度、設定風量等が挙げられる。
【0117】
また、室外機用通信部341は、間近の所定時間間隔における全室内機302a〜302cの総消費電力量を、室外機303を介して電力量計から取得することができる。所定時間間隔としては、例えば1時間が挙げられる。
【0118】
〔操作パネル〕
操作パネル342は、表示部343と、操作部344とで構成される。表示部343は、例えば液晶ディスプレイ及びマトリクススイッチ等で構成されるタッチパネルであって、各室内機302a〜302cの設定温度や風向等を設定するための設定画面等、各種画面を表示することができる。操作部344は、例えば決定キーや選択キー、数字キー等の各種キーと、ペン型のポインティングデバイスとで構成される。このような操作部344は、表示部343に表示された各種画面に基づいて、各室内機302a〜302cの空調運転に関する各種設定が行われる場合等に用いられる。
【0119】
〔制御部〕
制御部345は、ROMやRAM等のメモリとCPUとからなるマイクロコンピュータで構成される。制御部345は、室外機用通信部341、操作パネル342における表示部343及び操作部344、及び後述するイーサネット用通信部346と接続されており、接続された各機能部の制御を行う。制御部345は、按分部345a、演算部345b及び請求書データ生成部345cとして機能する。
【0120】
按分部345aは、第1実施形態に係る按分部45aと同様、室外機用通信部341が受信した各室内機302a〜302cそれぞれの運転状態に基づいて、電力量計(図示せず)が計測した総消費電力量を室内機302a〜302c毎に按分する。そして、按分部345aは、このような動作を繰り返し行うと共に室内機302a〜302c毎の按分結果を積算していき、例えば1ヶ月の所定期間における各室内機302a〜302cの消費電力量を求める。
【0121】
演算部345bは、第1実施形態に係る演算部45bと同様、按分部345aの按分結果、即ち各室内機302a〜302cの消費電力量に基づいて、室内機302a〜302c毎の消費電力量に対する電力料金を演算する。
【0122】
請求書データ生成部345cは、按分部345aの按分結果及び演算部345bの演算結果である各室内機302a〜302cの消費電力量と電力料金とを添付した請求書データを、室内機302a〜302c毎に生成する。特に、本実施形態に係る請求書データ生成部345cは、請求書データを、編集不可能なファイル形式で生成する。ここで、編集不可能なファイル形式としては、PDFファイルが挙げられる。つまり、本実施形態に係る請求書データ生成部345cは、第三者が請求書データを改ざんできないようにするべく、CSVファイルやEXCELファイル等のように編集可能なファイル形式ではなく、あえてPDFファイル等の編集不可能なファイル形式で生成する。
【0123】
〔イーサネット用通信部〕
イーサネット用通信部346は、イーサネットを介して管理用コンピュータ305と通信を行うための通信用インターフェースである。具体的に、イーサネット用通信部346は、請求書データ生成部345cにより生成された室内機302a〜302c毎の請求書データを、イーサネットを介して管理用コンピュータ305に送信する。
【0124】
尚、管理用コンピュータ305は、各室内機302a〜302cの請求書データが空調コントローラ304から送られてくると、これを受信する。受信された請求書データは、管理用コンピュータ305を利用する物件の管理会社によって図15に示すように用紙に印刷され、室内機302a〜302cそれぞれが設置された区画RA〜RCに入居している各テナントA〜Cに渡される。
【0125】
(2)電力情報報知システムの動作
図21は、本実施形態に係る空調コントローラ304を備えた電力情報報知システム301の動作の流れを説明するための図である。
【0126】
先ず、室外機303は、所定時間間隔経過毎に、各室内機302a〜302cの運転状態を確認すると共に、電力量計(図示せず)から全室内機302a〜302cの総消費電力量を取得する。そして、室外機303は、各室内機302a〜302cの運転状態及び全室内機302a〜302cの総消費電力量を、空調コントローラ304に送信する(#301)。
【0127】
空調コントローラ304は、各室内機302a〜302cの運転状態及び全室内機302a〜302cの総消費電力量を室外機303から受信すると(#302)、所定時間間隔における各室内機302a〜302cの消費電力量を按分して室内機302a〜302c毎に積算し、所定期間における各室内機302a〜302cの消費電力量を求める。更に、空調コントローラ304は、所定期間における各室内機302a〜302cの消費電力量に対する電力料金を求める(#303)。次いで、空調コントローラ304は、所定期間における各室内機302a〜302cの消費電力量及び電力料金が添付された請求書データを、室内機302a〜302c毎に編集不可能な形態で生成し、管理用コンピュータ305に送信する(#304)。
【0128】
管理用コンピュータ305が、空調コントローラ304から送られてきた各室内機302a〜302cにおける請求書データを受信すると(#305)、受信された請求書データは、管理用コンピュータ305を利用する物件の管理会社によって用紙に印刷され(図15)、室内機302a〜302cそれぞれが設置された区画RA〜RCに入居している各テナントA〜Cに渡される(#306)。
【0129】
(3)効果
本実施形態に係る空調コントローラ304は、各室内機302a〜302cの消費電力量及び電力料金を含む請求書データを、CSVファイルやEXCELファイルのような編集可能な形態ではなく、PDFファイルのような編集不可能な形態で生成し、管理用コンピュータ305に送信する。従って、物件の管理会社は、請求書データを加工することができないため、電力料金の水増し請求等を行っているのではないかとテナントA〜C側から疑われにくくなる。
【0130】
<その他の実施形態>
(a)
上記第1実施形態では、暗号コードの生成及び暗号コードの復号化において、同じ鍵情報が用いられた場合について説明した。しかし、確実に暗号コードを復号化することができるのであれば、暗号コードの生成及び暗号コードの復号化において、必ずしも同じ鍵情報が用いられずとも良い。
【0131】
(b)
上記第2実施形態では、室内機102a〜102cの消費電力量及び電力料金のみが暗号化されることによって、2次元バーコードが生成される場合について説明した。しかし、2次元バーコードには、室内機102a〜102cの消費電力量及び電力料金が暗号化された部分の他、更にセンターサーバ106のIPアドレスに対応する部分が含まれていても良い。これにより、携帯端末MA〜MCは、2次元バーコードを読み取ると同時に、2次元バーコードにおけるセンターサーバ106のIPアドレスに基づき、自動的にセンターサーバ106にアクセスすることができる。尚、この場合、携帯端末MA〜MCは、2次元バーコード中のIPアドレスの部分のみを復号化可能な手段を有しているものとする。
【0132】
(c)
上記第1及び第2実施形態では、室内機2a〜2c,102a〜102cの消費電力量及び電力料金が暗号化されることによって暗号コードが生成される場合について説明した。しかし、暗号コードの生成には、室内機2a〜2c,102a〜102cの消費電力量及び電力料金のいずれかが用いられても良い。この場合、この暗号コードが復号化された場合には、室内機2a〜2c,102a〜102cの消費電力量及び電力料金のいずれかが報知される。
【0133】
(d)
上記第3実施形態のWebページには、消費電力量の演算に用いられた室内機202a〜202cの運転状態が表示される場合を例にとり説明したが、Webページに表示される室内機202a〜202cの運転状態は、現在の各室内機202a〜202cの運転状態であってもよい。つまり、Webページには、表示されている消費電力量に対する室内機202a〜202cの現在の運転状態が表示されてもよい。現在の各室内機202a〜202cの運転状態を改ざんすることは困難であるため、Webページにおける電力料金の改ざんを容易に発見することができる。従って、逆に、第三者によるウェブページの改ざんを防げることが可能となる。
【0134】
(e)
上記第4実施形態では、室内機302a〜302cの消費電力量及び電力料金が請求書データに含まれる場合について説明した。しかし、請求書データには、室内機302a〜302cの消費電力量及び電力料金のいずれかが含まれていてもよい。
【0135】
(f)
上記第1、第2及び第4実施形態では、空調コントローラ4,104,304により生成された請求書データが、イーサネットを介して管理用コンピュータ5,105,305に送信される場合について説明した。しかし、空調コントローラ4,104,304で生成された請求書データは、イーサネットを介して管理用コンピュータ5,105,305に送信されるのではなく、フラッシュメモリやDVD−RW等の持ち運び可能な記録媒体を経由して管理用コンピュータ5,105,305に出力されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0136】
本発明に係る電力情報報知システム及び電力情報報知装置は、請求書を通じて電力料金を請求されたテナントが、請求書中の消費電力量及び電力料金が不正のない数値であることを知ることができるという効果を有する。本発明に係る電力情報報知システム及び電力情報報知装置は、1つの物件の中に複数のテナントが入居しており、物件を管理している管理会社が、空調部を使用した電力料金を各テナントに要求するような場合に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0137】
【図1】第1実施形態に係る電力情報報知システムの概略構成図。
【図2】第1実施形態に係る室内機及び室外機の概略構成図。
【図3】第1実施形態に係る空調コントローラの概略構成図。
【図4】第1実施形態において、テナントに渡される請求書の一例。
【図5】第1実施形態に係るセンターサーバの概略構成図。
【図6】暗号コードの送信元である端末に、室内機における消費電力量及び電力料金が表示された画面例。
【図7】第1実施形態に係る電力情報報知システムの動作の流れを説明するための図。
【図8】第2実施形態に係る電力情報報知システムの概略構成図。
【図9】第2実施形態において、テナントに渡される請求書の一例。
【図10】第2実施形態に係る電力情報報知システムの動作の流れを説明するための図。
【図11】第3実施形態に係る電力情報報知システムの概略構成図。
【図12】第3実施形態に係る空調コントローラの概略構成図。
【図13】空調コントローラの記憶部における第1記憶領域に記憶される、室内機に関する情報テーブルの概念図。
【図14】空調コントローラの記憶部における第2記憶領域に記憶される、履歴情報リストの概念図。
【図15】第3実施形態において、テナントに渡される請求書の一例。
【図16】各室内機の消費電力量、電力料金及び運転状態が表示されたWebページの画面例。
【図17】第3実施形態に係る空調コントローラを含む電力情報報知システムの動作の流れを説明するための図。
【図18】空調コントローラに表示される履歴情報の画面例。
【図19】第4実施形態に係る電力情報報知システムの概略構成図。
【図20】第4実施形態に係る空調コントローラの概略構成図。
【図21】第4実施形態に係る空調コントローラを含む電力情報報知システムの動作の流れを説明するための図。
【符号の説明】
【0138】
1,101,201,301 電力情報報知システム
2a〜2c,102a〜102c,202a〜202c,302a〜302c 室内機
3,103,203,303 室外機
4,104,204,304 空調コントローラ
5,105,305 管理用コンピュータ
6,106 センターサーバ
7,207 インターネット
45a,246a,345a 按分部
45b,246b,345b 演算部
45c 暗号コード生成部
45d,246c,345c 請求書データ生成部
46,346 イーサネット用通信部
61,247 インターネット用通信部
62a 復号化部
62b 通信制御部
161 無線通信部
245 記憶部
245a 第1記憶領域
245b 第2記憶領域
246d 画面情報生成部
TA〜TC 端末
MA〜MC 携帯端末
RA〜RC 区画
p1 請求書
info1 請求書に記載された室内機の消費電力量
info2 請求書に記載された電力料金
info3 請求書に記載された暗号コード
ba1 2次元バーコード
ta1 室内機に関する情報テーブル
ls1 履歴情報リスト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の空調部(2a〜2c)それぞれの運転状態に基づいて、前記空調部(2a〜2c)毎に消費電力量を按分する按分部(45a)と、
前記按分部(45a)の按分結果に基づいて、前記空調部(2a〜2c)毎の消費電力量に対する電力料金を演算する演算部(45b)と、
各前記空調部(2a〜2c)における前記按分部(45a)の按分結果及び前記演算部(45b)の演算結果の少なくとも1つを暗号化して暗号コードを生成する暗号コード生成部(45c)と、
前記按分部(45a)の按分結果及び前記演算部(45b)の演算結果の少なくとも1つと共に前記暗号コードが添付された各前記空調部(2a〜2c)における請求書データを出力するデータ出力部(46)と、
通信ネットワーク(7)を介して前記暗号コードを受け付ける受付部(61,161)と、
前記受付部(61)により受け付けられた前記暗号コードを復号化し、前記按分部(45a)の按分結果及び前記演算部(45b)の演算結果の少なくとも1つを取り出す復号化部(62a)と、
前記復号化部(62a)により取り出された前記按分部(45a)の按分結果及び前記演算部(45b)の演算結果の少なくとも1つを報知する報知部(61)と、
を備える、電力情報報知システム(1,101)。
【請求項2】
前記暗号コードは、2次元バーコードであって、
前記受付部(161)は、前記2次元バーコードを読み取り可能な読み取り部によって読み取られた前記請求書データ中の前記2次元バーコードを取得する、
請求項1に記載の電力情報報知システム(101)。
【請求項3】
前記復号化部(62a)は、前記暗号コード生成部(45c)が前記按分部(45a)の按分結果及び前記演算部(45b)の演算結果の少なくとも1つを暗号化する際に用いた鍵情報によって前記暗号コードを復号化する、
請求項1または2に記載の電力情報報知システム(1)。
【請求項4】
複数の空調部(202a〜202c)それぞれの運転状態に基づいて、前記空調部(202a〜202c)毎に消費電力量を按分する按分部(246a)と、
前記按分部(246a)の按分結果に基づいて、前記空調部(202a〜202c)毎の消費電力量に対する電力料金を演算する演算部(246b)と、
各前記空調部(202a〜202c)における前記按分部(246a)の按分結果及び前記演算部(246b)の演算結果を記憶する第1記憶部(245a)と、
インターネット(207)に接続された外部端末(TA〜TC)を通じて閲覧されるウェブページを介して、前記按分部(246a)の按分結果及び前記演算部(246b)の演算結果の少なくとも1つの報知要求を受信可能な受信部(247)と、
前記受信部(247)が前記報知要求を受信した場合、前記第1記憶部(245a)内における前記按分部(246a)の按分結果及び前記演算部(246b)の演算結果の少なくとも1つが前記ウェブページ上に表示されるように、前記按分部(246a)の按分結果及び前記演算部(246b)の演算結果の少なくとも1つを前記外部端末(TA〜TC)に送信する送信部(247)と、
を備えた、電力情報報知装置(204)。
【請求項5】
前記第1記憶部(245a)は、前記按分部(246a)の按分結果及び前記演算部(246b)の演算結果に対する各前記空調部(202a〜202c)の運転状態を更に記憶し、
前記送信部(247)は、前記受信部(247)が前記報知要求を受信した場合、前記按分部(246a)の按分結果及び前記演算部(246b)の演算結果に対する前記空調部(202a〜202c)の運転状態が更に前記ウェブページ上に表示されるように、前記第1記憶部(245a)内における前記空調部(202a〜202c)の運転状態を前記外部端末(TA〜TC)に更に送信する、
請求項4に記載の電力情報報知装置(204)。
【請求項6】
前記受信部(247)が受信した前記報知要求に関する情報を履歴情報として記憶する第2記憶部(245b)、
を更に備える、
請求項4または5に記載の電力情報報知装置(204)。
【請求項7】
各空調部(302a〜302c)の運転状態に基づいて、前記空調部(302a〜302c)毎に消費電力量を按分する按分部(345a)と、
前記按分部(345a)の按分結果に基づいて、前記空調部(302a〜302c)毎の消費電力量に対する電力料金を演算する演算部(345b)と、
各前記空調部(302a〜302c)における前記按分部(345a)の按分結果及び前記演算部(345b)の演算結果を含む請求書データを、編集不可能な形態で出力する出力部(346)と、
を備えた、電力情報報知装置(301)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2010−48451(P2010−48451A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−212180(P2008−212180)
【出願日】平成20年8月20日(2008.8.20)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】