説明

電力比率測定装置および電力比率測定方法

【課題】周波数の異なる2つの系統の各電力についての比率を正確に測定する。
【解決手段】処理部4は、交流電圧V1についてのゼロクロス点P1および交流電圧V2についてのゼロクロス点P2をそれぞれ検出し、次いで、隣り合う一対のゼロクロス点P1間の交流電圧V1および交流電流I1に基づいて入力電力W1を算出し、続いて、この一対のゼロクロス点P1間に含まれるすべてのゼロクロス点P2についての隣り合うすべての一対のゼロクロス点P2間の交流電圧V2および交流電流I2に基づいて各一対のゼロクロス点P2間の電力を算出すると共に算出した各電力の平均値を出力電力W2として算出し、次いで、算出した入力電力W1および出力電力W2に基づいて電力変換効率Aを算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1系統についての第1電圧信号および第1電流信号に基づいて第1電力を測定すると共に、この第1電圧信号および第1電流信号よりも周期の短い第2系統についての第2電圧信号および第2電流信号に基づいて第2電力を測定し、測定した2つの電力のうちの一方の電力に対する他方の電力の比率を算出する電力比率測定装置および電力比率測定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電力を測定する場合、下記特許文献1に開示されているように、まず、電力計算の元になる入力信号(電圧および電流)の基本周波数を入力信号(電圧および電流のうちの一方)のゼロクロスに基づいて求め、求めた基本周波数から算出される入力信号の半周期または1周期の整数倍の期間をサンプリング期間として規定する。次いで、前半側がこのサンプリング期間に割り当てられ、かつ後半側が電力計算のための演算期間に割り当てられた期間を1測定周期として規定し、この1測定周期を連続して繰り返す。これにより、サンプリング期間において入力信号(電圧および電流)をサンプリングすることによってその瞬時波形データを取り込み、演算期間においてこの瞬時波形データに基づいて入力信号(電圧および電流)の実効値演算を行うと共に各実効値に基づいて電力の実効値を算出して出力するという動作が繰り返されて、測定された電力が1測定周期毎に出力される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−318088号公報(第2−7頁、第3図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、例えば、商用周波数(50Hzまたは60Hz)の信号をこの周波数と異なる周波数(より低い周波数またはより高い周波数)の信号に変換して出力するAC−ACコンバータの電力変換効率を連続的に測定する場合のように、周波数の異なる2つの系統(AC−ACコンバータ装置では入力系統と出力系統)の各電力を測定しつつ、測定された2つの電力に基づいて電力変換効率を測定して出力する動作を繰り返し実行する必要のあるときにおいて、各電力の測定に上記した電力測定の手法を電力変換効率の測定周期を短くして(つまり、演算期間を短くして)適用したときには、以下の改善すべき課題が発生する。
【0005】
すなわち、周波数の異なる2つの系統では、それぞれの電力の測定の元となる信号の周期が相違する(一方の系統における隣り合う一対のゼロクロス間の時間間隔と、他方の系統における隣り合う一対のゼロクロス間の時間間隔とが一致していない)ことにより、このゼロクロス間の信号(電圧および電流)の波形データに基づいて算出される電力の測定周期(測定タイミング)も相違する。
【0006】
このため、例えば、2つの系統の電力が徐々に増加するように変化している状態(上記のコンバータ装置では、出力系統の電力が増加する場合には、入力系統の電力もそれに応じて増加する状態)では、周期の長い信号についての電力が算出されて、次の電力が算出されるまでの間(算出された電力が更新されるまでの間)において、周期の短い信号については徐々に増加する電力が順次算出される。したがって、実際の電力変換効率がほぼ一定の状態であったとしても、このようにして順次増加する周期の短い信号についての算出される電力と周期の長い信号についての算出される一定の電力とに基づいて、周期の短い信号についての電力の測定周期で算出される電力変換効率は順次上昇する値として算出されるため、これを改善すべきという課題が発生する。
【0007】
また、逆に、2つの系統の電力が徐々に減少するように変化している状態(上記のコンバータ装置では、出力系統の電力が減少する場合には、入力系統の電力もそれに応じて減少する状態)においても、周期の長い信号について新たな電力が算出されるまでの間(算出された電力が一定となっている間)において、周期の短い信号については徐々に減少する電力が順次算出されるため、実際の電力変換効率がほぼ一定の状態であったとしても、周期の短い信号についての電力の測定周期で算出される電力変換効率が順次低下する値として算出されるため、これを改善すべきという課題が発生する。すなわち、実際の電力変換効率(2つの系統の電力の比率)と相違する電力変換効率(比率)が算出(測定)されるという解決すべき課題が発生する。
【0008】
本発明は、かかる課題を改善すべくなされたものであり、周波数の異なる2つの系統の各電力についての比率を正確に測定し得る電力比率測定装置および電力比率測定方法を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成すべく本発明に係る電力比率測定装置は、第1系統についての第1電圧信号および第1電流信号に基づいて第1電力を測定すると共に、当該第1電圧信号および当該第1電流信号よりも周期の短い第2系統についての第2電圧信号および第2電流信号に基づいて第2電力を測定し、当該測定した2つの電力のうちの一方の電力に対する他方の電力の比率を算出する処理部を備えた電力比率測定装置であって、前記第1電圧信号および前記第1電流信号のうちの一方の信号についての第1ゼロクロス点を検出する第1検出部と、前記第2電圧信号および前記第2電流信号のうちの前記一方の信号と同種の信号についての第2ゼロクロス点を検出する第2検出部とを有し、前記処理部は、隣り合う一対の前記第1ゼロクロス点間の前記第1電圧信号および第1電流信号に基づいて前記第1電力を算出する第1電力算出処理と、前記一対の第1ゼロクロス点間に含まれるすべての前記第2ゼロクロス点についての隣り合うすべての一対の当該第2ゼロクロス点間の前記第2電圧信号および前記第2電流信号に基づいて当該各一対の第2ゼロクロス点間の電力を算出すると共に当該算出した各電力の平均値を前記第2電力として算出する第2電力算出処理と、前記算出した第1電力および第2電力に基づいて前記比率を算出する比率算出処理とを前記一対の第1ゼロクロス点で規定される前記第1系統の1周期の終了後に実行する。
【0010】
また、請求項2記載の電力比率測定装置は、請求項1記載の電力比率測定装置において、前記処理部は、前記第2電力算出処理において、前記一対の第1ゼロクロス点の直前の前記第2ゼロクロス点と当該一対の第1ゼロクロス点間に含まれる前記すべての第2ゼロクロス点のうちの最初の当該第2ゼロクロス点との間の前記第2電圧信号および前記第2電流信号に基づいて当該一対の第2ゼロクロス点間全体の電力を始期全体電力として算出すると共に、当該一対の第1ゼロクロス点のうちの最初の当該第1ゼロクロス点と前記最初の第2ゼロクロス点との間の期間長についての当該一対の第2ゼロクロス点間の期間長に対する比率を始期比率として算出し、かつ前記始期全体電力と当該始期比率とを乗算して、当該最初の第1ゼロクロス点と当該最初の第2ゼロクロス点との間の電力を始期部分電力として測定する始期電力測定処理と、前記一対の第1ゼロクロス点の直後の前記第2ゼロクロス点と当該一対の第1ゼロクロス点間に含まれる前記すべての第2ゼロクロス点のうちの最後の当該第2ゼロクロス点との間の前記第2電圧信号および前記第2電流信号に基づいて当該一対の第2ゼロクロス点間全体の電力を終期全体電力として算出すると共に、当該一対の第1ゼロクロス点のうちの最後の当該第1ゼロクロス点と前記最後の第2ゼロクロス点との間の期間長についての当該一対の第2ゼロクロス点間の期間長に対する比率を終期比率として算出し、かつ前記終期全体電力と当該終期比率とを乗算して、当該最後の第2ゼロクロス点と当該最後の第1ゼロクロス点との間の電力を終期部分電力として測定する終期電力測定処理とを実行し、前記算出した各一対の第2ゼロクロス点間の電力、前記始期部分電力および前記終期部分電力の平均値を前記第2電力として前記比率を算出する。
【0011】
また、請求項3記載の電力比率測定方法は、第1系統についての第1電圧信号および第1電流信号に基づいて第1電力を測定すると共に、当該第1電圧信号および当該第1電流信号よりも周期の短い第2系統についての第2電圧信号および第2電流信号に基づいて第2電力を測定し、当該測定した2つの電力のうちの一方の電力に対する他方の電力の比率を算出する電力比率測定方法であって、前記第1電圧信号および前記第1電流信号のうちの一方の信号についての第1ゼロクロス点を検出すると共に、前記第2電圧信号および前記第2電流信号のうちの前記一方の信号と同種の信号についての第2ゼロクロス点を検出するゼロクロス点検出処理と、隣り合う一対の前記第1ゼロクロス点間の前記第1電圧信号および前記第1電流信号に基づいて前記第1電力を算出する第1電力算出処理と、前記一対の第1ゼロクロス点間に含まれるすべての前記第2ゼロクロス点についての隣り合うすべての一対の当該第2ゼロクロス点間の前記第2電圧信号および前記第2電流信号に基づいて当該各一対の第2ゼロクロス点間の電力を算出すると共に当該算出した各電力の平均値を前記第2電力として算出する第2電力算出処理と、前記算出した第1電力および第2電力に基づいて前記比率を算出する比率算出処理とを前記一対の第1ゼロクロス点で規定される前記第1系統の1周期の終了後に実行する。
【0012】
また、請求項4記載の電力比率測定方法は、請求項3記載の電力比率測定方法において、前記第2電力算出処理において、前記一対の第1ゼロクロス点の直前の前記第2ゼロクロス点と当該一対の第1ゼロクロス点間に含まれる前記すべての第2ゼロクロス点のうちの最初の当該第2ゼロクロス点との間の前記第2電圧信号および前記第2電流信号に基づいて当該一対の第2ゼロクロス点間全体の電力を始期全体電力として算出すると共に、当該一対の第1ゼロクロス点のうちの最初の当該第1ゼロクロス点と前記最初の第2ゼロクロス点との間の期間長についての当該一対の第2ゼロクロス点間の期間長に対する比率を始期比率として算出し、かつ前記始期全体電力と当該始期比率とを乗算して、当該最初の第1ゼロクロス点と当該最初の第2ゼロクロス点との間の電力を始期部分電力として測定する始期電力測定処理と、前記一対の第1ゼロクロス点の直後の前記第2ゼロクロス点と当該一対の第1ゼロクロス点間に含まれる前記すべての第2ゼロクロス点のうちの最後の当該第2ゼロクロス点との間の前記第2電圧信号および前記第2電流信号に基づいて当該一対の第2ゼロクロス点間全体の電力を終期全体電力として算出すると共に、当該一対の第1ゼロクロス点のうちの最後の当該第1ゼロクロス点と前記最後の第2ゼロクロス点との間の期間長についての当該一対の第2ゼロクロス点間の期間長に対する比率を終期比率として算出し、かつ前記終期全体電力と当該終期比率とを乗算して、当該最後の第2ゼロクロス点と当該最後の第1ゼロクロス点との間の電力を終期部分電力として測定する終期電力測定処理とを実行し、前記比率算出処理において、前記算出した各一対の第2ゼロクロス点間の電力、前記始期部分電力および前記終期部分電力の平均値を前記第2電力として前記比率を算出する。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の電力比率測定装置および請求項3記載の電力比率測定方法によれば、第1系統の1周期分の第1電力と、第1系統のこの1周期内に含まれるすべての一対の第2ゼロクロス点間の第2系統についての電力の平均値である第2電力の双方を、より長い第1系統の周期の終了後に算出し、しかもより短い周期の第2系統の第2電圧については上記のように平均して算出するため、第2系統側の第2電圧信号および第2電流信号のうちの少なくとも一方が第1系統のこの周期内において変動(増加したり、減少したり)したとしても、この変動の比率への影響を軽減させて、実際の実際の比率に近い比率を正確に測定することができる。
【0014】
請求項2記載の電力比率測定装置および請求項4記載の電力比率測定方法によれば、第1系統の1周期分の第1電力と、短い第2系統の周期を複数含む第1系統のこの1周期と同じ期間でのこの第2系統の各周期での電力の平均値である第2電力の双方を、より長い第1系統の周期の終了後に算出し、しかもより短い周期の第2系統の第2電圧については上記のように平均して算出するため、第2系統側の第2電圧信号および第2電流信号のうちの少なくとも一方が第1系統のこの周期内において変動(増加したり、減少したり)したとしても、この変動の比率への影響を軽減させて、実際の実際の比率に近い比率を正確に測定することができる。
【0015】
また、この電力比率測定装置および電力比率測定方法によれば、短い第2系統の周期を複数含む第1系統のこの1周期と同じ期間での第2電圧信号および第2電流信号に基づいて第2電力を算出する構成のため、第2電力をより正確に算出することができ、この結果として、比率をより正確に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】電力効率測定装置1の構成図である。
【図2】電力効率測定装置1の動作を説明するための波形図である。
【図3】電力効率測定装置1の他の動作を説明するための波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して、電力比率測定装置の実施の形態について説明する。なお、一例として、商用周波数(50Hzまたは60Hz)の信号(交流電圧)を入力すると共に、この商用周波数とは異なる周波数の信号(交流電圧)を生成して負荷に供給するAC−ACコンバータを測定対象として、入力電力に対する出力電力の比率(電力変換効率)を測定する電力効率測定装置として電力比率測定装置を使用する例を挙げて説明する。
【0018】
最初に、電力効率測定装置1の構成について、図1を参照して説明する。
【0019】
電力効率測定装置1は、一例として、第1電圧電流測定部2(以下、単に「測定部2」ともいう)、第2電圧電流測定部3(以下、単に「測定部3」ともいう)、処理部4、記憶部5および出力部6を備え、測定対象としてのAC−ACコンバータ7(以下、単に「コンバータ7」ともいう)の電力効率Aを測定して出力する。このコンバータ7は、商用周波数の信号(第1電圧信号としての交流電圧V1)を入力すると共に、この商用周波数とは異なる周波数の信号(周波数が数倍(一例として5倍程度)以上の第2電圧信号としての2kHzの交流電圧V2)を生成して負荷8に出力する。電力効率測定装置1は、コンバータ7の入力系統(第1系統)についての電力(第1電力としての入力電力W1)と、その出力系統(交流電圧V1よりも周期の短い交流電圧V2を出力する第2系統)についての電力(第2電力としての出力電力W2)とを測定して、両電力W1,W2のうちの一方の電力に対する他方の電力の比率(本例では、一方の電力としての入力電力W1に対する他方の電力としての出力電力W2の比率。つまり、電力効率A(=W2/W1))を測定する。
【0020】
測定部2は、入力系統を構成する電路11に電圧プローブ21,21を介して接続されて交流電圧V1(図2において実線で示す信号)を検出すると共に所定のサンプリング周期でサンプリングして、その瞬時電圧値を示す電圧データDv1を出力する電圧測定器(不図示)と、電路11に電流プローブ22を介して接続されて交流電流I1(第1電流信号。図2において破線で示す信号)を検出すると共に同じサンプリング周期でサンプリングして、その瞬時電流値を示す電流データDi1を出力する電流測定器(不図示)とを備えて構成されている。
【0021】
測定部3は、出力系統を構成する電路12に電圧プローブ31,31を介して接続されて交流電圧V2(図2において実線で示す信号)を検出すると共に測定部2と同じサンプリング周期でサンプリングして、その瞬時電圧値を示す電圧データDv2を出力する他の電圧測定器(不図示)と、電路12に電流プローブ32を介して接続されて交流電流I2(第2電流信号。図2において破線で示す信号)を検出すると共に同じサンプリング周期でサンプリングして、その瞬時電流値を示す電流データDi2を出力する電流測定器(不図示)とを備えて構成されている。
【0022】
処理部4は、例えばコンピュータで構成されて、記憶処理、ゼロクロス点検出処理、電力算出処理および出力処理を実行することにより、電力効率Aを算出して、出力部6に出力する。記憶部5は、RAMなどの半導体メモリや、HDD(Hard disk drive )で構成されて、電圧データDv1、電流データDi1、電圧データDv2および電流データDi2を記憶する。また、記憶部5は、処理部4によって算出された電力効率Aを記憶する。出力部6は、一例として、不図示の外部装置(外部記憶媒体などの外部記憶装置を含む)としてのインターフェース回路で構成されて、接続されている外部装置に電力効率Aの情報を出力する。本例では一例として、外部装置は外部記憶媒体としてのリムーバブルメモリで構成されているため、出力部6は、このリムーバブルメモリに電力効率Aの情報を順次出力して記憶させる。
【0023】
次に、電力効率測定装置1の動作について図面を参照して説明すると共に、電力効率測定方法(電力比率測定方法の一例)についても説明する。なお、測定部2は、電圧プローブ21,21および電流プローブ22を介して電路11に予め接続され、また、測定部3は、電圧プローブ31,31および電流プローブ32を介して電路12に予め接続されているものとする。
【0024】
電力効率測定装置1では、測定部2は、電路11についての交流電圧V1を電圧プローブ21,21を介して検出すると共に、交流電流I1を電流プローブ22を介して検出して、電圧データDv1および電流データDi1を処理部4に所定のサンプリング周期で出力する。同様にして、測定部3も、電路12についての交流電圧V2を電圧プローブ31,31を介して検出すると共に、交流電流I2を電流プローブ32を介して検出して、電圧データDv2および電流データDi2を処理部4に測定部2と同じサンプリング周期で出力する。
【0025】
処理部4は、測定部2から電圧データDv1および電流データDi1が出力され、かつ測定部3から電圧データDv2および電流データDi2が出力される都度、これらを取得して記憶部5に順次記憶させる記憶処理を繰り返し実行する。また、処理部4は、この記憶処理と並行してゼロクロス点検出処理を実行する。
【0026】
ゼロクロス点検出処理では、処理部4は、第1検出部として機能して、電圧データDv1および電流データDi1のうちの一方のデータに基づいて、図2に示すように、この一方のデータに対応する信号(交流電圧V1および交流電流I1のうちの一方の信号(本例では一例として、交流電圧V1))についての第1ゼロクロス点P1(以下、「ゼロクロス点P1」ともいう)を検出する。
【0027】
また、処理部4は、第2検出部として機能して、電圧データDv2および電流データDi2のうちの一方のデータ(上記した入力系統についての一方のデータに対応する同種(入力系統が電圧データであれば電圧データ、電流データであれば電流データ)に基づいて、図2に示すように、電圧データDv2および電流データDi2のうちの一方のデータに対応する信号(交流電圧V2および交流電流I2のうちの上記した入力系統についての一方の信号と同種の信号(本例では、交流電圧V2))についての第2ゼロクロス点P2(以下、「ゼロクロス点P2」ともいう)を検出する。
【0028】
また、本例では一例として、処理部4は、交流電圧V1や交流電圧V2が負側から正側に向かって変化しつつゼロを横切るゼロクロス点(立ち上がりゼロクロス点)を検出する構成を採用しているが、正側から負側に向かって変化しつつゼロを横切るゼロクロス点(立ち下がりゼロクロス点)を検出する構成を採用することもできる。
【0029】
この状態において、処理部4は、検出した各ゼロクロス点P1,P2に基づいて、入力系統および出力系統のうちの周期の長い(周波数の低い)系統を特定する。また、処理部4は、特定した周期の長い系統についてのゼロクロス点(本例では、ゼロクロス点P1)に基づき、一対のゼロクロス点P1(特に区別するときには、交流電圧V1の1つの周期T1における始期のゼロクロス点P1を「P1a」、終期のゼロクロス点P1を「P1b」ともいう)のうちのゼロクロス点P1bを検出したときから開始する電力算出期間Tcにおいて、まず、上記した電力算出処理を実行する。
【0030】
この電力算出処理では、処理部4は、この一対のゼロクロス点P1間(この1つの周期T1)に含まれている電圧データDv1および電流データDi1に基づいて、この一対のゼロクロス点P1間での交流電圧V1の実効値Vrms1と交流電流I1の実効値Irms1とを算出して記憶部5に記憶させる。続いて、処理部4は、算出した実効値Vrms1と実効値Irms1とを乗算して、この1つの周期T1についての入力電力(有効入力電力)W1を算出し、算出した入力電力W1を記憶部5に記憶させる(第1電力算出処理)。
【0031】
また、処理部4は、この周期T1に含まれている隣り合うすべての一対の第2ゼロクロス点P2間(図2では、3つの一対の第2ゼロクロス点P2間)の電圧データDv2および電流データDi2(交流電圧V2の各周期T2に含まれる電圧データDv2および電流データDi2)に基づいて、各一対の第2ゼロクロス点P2間(各周期T2)での交流電圧V2の実効値Vrms2および交流電流I2の実効値Irms2をそれぞれ算出して記憶部5に記憶させる。次いで、処理部4は、各周期T2についての実効値Vrms1と実効値Irms1とを乗算して、各周期T2での電力を算出し、続いて、算出した各電力の平均値を算出して、上記の1つの周期T1に対応する期間での出力電力(有効出力電力)W2として記憶部5に記憶させる(第2電力算出処理)。
【0032】
最後に、処理部4は、算出した入力電力W1および出力電力W2に基づいて、上記の1つの周期T1での電力効率A(=W2/W1)を算出して、記憶部5に記憶させる(比率算出処理)。これにより、電力算出処理が完了する。
【0033】
処理部4は、電力算出期間Tcにおいて上記した電力算出処理に続いて、出力処理を実行する。この出力処理では、処理部4は、記憶部5に記憶されている電力効率Aの情報を読み出して、一例として、時刻データと共に出力部6に出力する。出力部6は、接続されているリムーバブルメモリに、対応する時刻データと共に電力効率Aの情報を記憶させる。これにより、出力処理が完了する。
【0034】
処理部4は、上記した電力算出処理および出力処理を、予め規定された周期で(本例では周期(T1×2)で)繰り返し実行する。これにより、リムーバブルメモリには、予め規定された周期で、この周期内に含まれる1つの周期T1での電力効率Aが順次記憶される。
【0035】
以上のように、この電力効率測定装置1では、処理部4は、2つの系統(コンバータ7の入力系統と出力系統)の各信号の周期T1,T2のうちのより長い周期T1の1周期内(一対のゼロクロス点P1間)の交流電圧V1についての電圧データDv1および交流電流I1についての電流データDi1に基づいて、この周期T1の終了時点(周期T1後の電力算出期間Tc)において、入力電力W1を測定する。また、処理部4は、この周期T1の1周期内(一対のゼロクロス点P1間)に含まれるすべての一対のゼロクロス点P2間の交流電圧V2についての電圧データDv2および交流電流I2についての電流データDi2に基づいて、この周期T1の終了時点(電力算出期間Tc)において、各一対のゼロクロス点P2間の電力を算出して平均することにより、1つの周期T1に対応する期間(本例では周期T2の3周期分の期間)での出力電力W2を算出する。また、処理部4は、この周期T1の終了時点(電力算出期間Tc)において、これらの入力電力W1および出力電力W2に基づいて電力効率Aを算出(測定)する。
【0036】
したがって、この電力効率測定装置1によれば、周期T1内の1周期分の各データDv1,Di1に基づいて算出される入力電力W1と、周期T1内の複数周期分(上記の例では周期T2の3つ分)の各データDv2,Di2に基づいて算出される各周期T2での電力の平均値である出力電力W2の双方を、より長い周期T1の1周期の終了時点で(終了後に)算出し(つまり、両電力W1,W2を同じタイミングで算出し)、しかもより短い周期T2の系統の出力電力W2については平均して算出するため、より短い周期T2の系統(出力系統)側の交流電圧V2および交流電流I2が1つの周期T1内において変動(増加したり、減少したり)したとしても、この変動の電力効率Aへの影響を軽減させて、実際の電力効率に近い電力効率Aを正確に測定することができる。
【0037】
なお、上記した電力効率測定装置1の構成に限定されない。例えば、周期T1内の複数周期分(上記の例では3周期分)の各データDv2,Di2に基づいて出力電力W2を算出する構成を採用した例について上記したが、この出力電力W2の算出(測定)に際して、周期T1の1周期に一部が掛かる周期T2に含まれている交流電圧V2についての電圧データDv2および交流電流I2についての電流データDi2も使用して、出力電力W2を算出する構成を採用することもできる。
【0038】
以下、この構成を採用した電力効率測定装置1Aについて、図1,3を参照して説明する。なお、電力効率測定装置1Aの構成は、電力効率測定装置1と同一であり、処理部4Aが実行する実効値算出処理および電力算出処理の内容が処理部4が実行する同処理の内容と相違するのみである。このため、電力効率測定装置1Aの処理部4以外の各構成要素については、電力効率測定装置1と同一であるため、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0039】
電力効率測定装置1Aは、測定部2、測定部3、処理部4A、記憶部5および出力部6を備えている。
【0040】
処理部4Aは、例えばコンピュータで構成されて、記憶処理、ゼロクロス点検出処理、電力算出処理および出力処理を実行する。この場合、処理部4Aは、記憶処理、ゼロクロス点検出処理および出力処理については、処理部4と同一の内容の処理を実行する。
【0041】
この処理部4Aは、周期T1,T2のうちのより長い周期T1に続く電力算出期間Tcにおいて実行する電力算出処理では、電力効率測定装置1の処理部4と同様にして第1電力算出処理を実行して、入力電力W1を算出する。具体的には、処理部4Aは、図3に示すように、一対のゼロクロス点P1間(ゼロクロス点P1a,P1b)に含まれている電圧データDv1および電流データDi1に基づいて、この一対のゼロクロス点P1間での交流電圧V1の実効値Vrms1と交流電流I1の実効値Irms1とを算出して記憶部5に記憶させる。続いて、処理部4は、算出した実効値Vrms1と実効値Irms1とを乗算して、この1つの周期T1についての入力電力(有効入力電力)W1を算出し、算出した入力電力W1を記憶部5に記憶させる。
【0042】
また、処理部4Aは、電力算出期間Tcに実行する第2電力算出処理において、電力効率測定装置1の処理部4と同様にして、上記の周期T1に含まれている隣り合うすべての一対の第2ゼロクロス点P2間(図3では、3つの一対の第2ゼロクロス点P2間)の電圧データDv2および電流データDi2に基づいて、各一対の第2ゼロクロス点P2間(各周期T2)での交流電圧V2の実効値Vrms2および交流電流I2の実効値Irms2をそれぞれ算出し、この算出した実効値Vrms2と実効値Irms2とを乗算して、各周期T2での電力を算出する。
【0043】
また、処理部4Aは、処理部4とは異なり、さらに、周期T1内に含まれる各周期T2のうちの最初の周期T2の始期のゼロクロス点P2と周期T1の始期のゼロクロス点P1aとの間の期間Ta(以下、「始期期間Ta」ともいう)での始期部分電力W2apを算出する。また、処理部4Aは、周期T1内に含まれる各周期T2のうちの最後の周期T2の終期のゼロクロス点P2と周期T1の終期のゼロクロス点P1bとの間の期間Tb(以下、「終期期間Tb」ともいう)での終期部分電力W2bpを算出する。
【0044】
具体的に、始期部分電力W2apおよび終期部分電力W2bpの算出方法について説明する。
【0045】
最初に、始期部分電力W2apの算出に際しては、処理部4Aは、まず、一対のゼロクロス点P1の直前のゼロクロス点P2(上記の始期期間Taを含む周期T2(特に区別するときには、「周期T2a」ともいう)における始期のゼロクロス点P2a)と、この一対のゼロクロス点P1間に含まれるすべてのゼロクロス点P2のうちの最初のゼロクロス点P2(上記の周期T2aにおける終期のゼロクロス点P2bでもある)との間の交流電圧V2の電圧データDv2および交流電流I2の電流データDi2(つまり、周期T2a内の電圧データDv2および電流データDi2)に基づいて、この隣接する一対のゼロクロス点P2a,P2b間(周期T2a)での実効値Vrms2および実効値Irms2を算出する。次いで、処理部4Aは、算出した実効値Vrms1と実効値Irms1とを乗算して、周期T2a全体での始期全体電力W2atを算出する。
【0046】
続いて、処理部4Aは、始期期間Taの期間長についての周期T2aに対する比率B(=Ta/T2)を始期比率(以下、初期比率Bともいう)として算出し、この比率Bを始期全体電力W2atに乗算することにより、始期期間Taでの電力(つまり、始期部分電力W2ap)を算出する(始期電力測定処理)。
【0047】
次に、終期部分電力W2bpの算出に際しては、処理部4Aは、まず、一対のゼロクロス点P1の直後のゼロクロス点P2(上記の終期期間Tbを含む周期T2(特に区別するときには、「周期T2b」ともいう)における終期のゼロクロス点P2b)と、この一対のゼロクロス点P1間に含まれるすべてのゼロクロス点P2のうちの最後のゼロクロス点P2(上記の周期T2bにおける始期のゼロクロス点P2a)との間の交流電圧V2の電圧データDv2および交流電流I2の電流データDi2(周期T2b内の電圧データDv2および電流データDi2)に基づいて、この隣接する一対のゼロクロス点P2a,P2b間(周期T2b)での実効値Vrms2および実効値Irms2を算出する。次いで、処理部4Aは、算出した実効値Vrms1と実効値Irms1とを乗算して、周期T2b全体での終期全体電力W2btを算出する。
【0048】
続いて、処理部4Aは、終期期間Tbの期間長についての周期T2に対する比率C(=Tb/T2)を終期比率(以下、終期比率Cともいう)として算出し、この比率Cを終期全体電力W2btに乗算することにより、終期期間Tbでの電力(つまり、終期部分電力W2bp)を算出する(終期電力測定処理)。
【0049】
この後、処理部4Aは、第2電力算出処理において、上記のようにして算出した上記の周期T1に含まれている各周期T2での電力、始期部分電力W2apおよび終期部分電力W2bpの平均値を1つの周期T1に対応する期間での出力電力W2として算出して、記憶部5に記憶させる。これにより、第2電力算出処理が完了する。
【0050】
最後に、処理部4Aは、算出した入力電力W1および出力電力W2に基づいて、上記の1つの周期T1での電力効率A(=W2/W1)を算出して、記憶部5に記憶させる(比率算出処理)。これにより、電力算出処理が完了する。
【0051】
以上のように、この電力効率測定装置1Aでは、処理部4Aは、2つの系統(コンバータ7の入力系統と出力系統)の各信号の周期T1,T2のうちのより長い周期T1の1周期内(一対のゼロクロス点P1間)の交流電圧V1についての電圧データDv1および交流電流I1についての電流データDi1に基づいて、この周期T1の終了時点(周期T1後の電力算出期間Tc)において、入力電力W1を測定する。また、処理部4は、この周期T1の1周期内(一対のゼロクロス点P1間)に含まれるすべての一対のゼロクロス点P2間の交流電圧V2についての電圧データDv2および交流電流I2についての電流データDi2に基づいて、この周期T1の終了時点において、各一対のゼロクロス点P2間(各周期T2)の電力、始期部分電力W2apおよび終期部分電力W2bpの平均値(周期T1と同じ期間における平均値)を出力電力W2として算出する。また、処理部4は、この周期T1の終了時点において、入力電力W1および出力電力W2に基づいて電力効率Aを算出(測定)する。
【0052】
したがって、この電力効率測定装置1Aによれば、周期T1内の1周期分の各データDv1,Di1に基づいて算出される入力電力W1と、複数の周期T2を含む周期T1の1周期分と同じ期間での電圧データDv2および電流データDi2に基づいて算出される各周期T2での電力の平均値である出力電力W2の双方を、より長い周期T1の1周期の終了時点で(終了後に)算出し(つまり、両電力W1,W2を同じタイミングで算出し)、しかもより短い周期T2の系統の出力電力W2については平均して算出するため、より短い周期T2の系統(出力系統)側の交流電圧V2および交流電流I2が1つの周期T1内において変動(増加したり、減少したり)したとしても、この変動の電力効率Aへの影響を軽減させて、実際の電力効率により近い電力効率Aを正確に測定することができる。
【0053】
また、この電力効率測定装置1Aによれば、複数の周期T2を含む周期T1の1周期分と同じ期間での電圧データDv2および電流データDi2に基づいて出力電力W2を算出する構成のため、出力電力W2をより正確に算出することができ、この結果として、電力効率Aをより正確に測定することができる。
【0054】
なお、上記の電力効率測定装置1,1Aでは、処理部4,4Aが、ゼロクロス点P1やゼロクロス点P2を検出する構成を採用しているが、この構成に代えて、例えば、コンパレータなどを用いてゼロクロスを検出する検出部を処理部4,4Aとは別個に構成して、この検出部が第1検出部および第2検出部として機能して、ゼロクロス点P1やゼロクロス点P2を検出する構成を採用することもできる。
【0055】
また、入力系統の周期T1に対して出力系統の周期T2が短い例について説明したが、入力系統の周期T1に対して出力系統の周期T2が長い場合についても、電力効率測定装置1,1Aを適用して電力効率Aを測定することができる。電力効率測定装置1を例に挙げて説明すると、この場合、処理部4は、より長い周期T2の1周期内(一対のゼロクロス点P2間)の交流電圧V2についての電圧データDv2および交流電流I2についての電流データDi2に基づいて、この周期T2の終了時点(周期T2後の電力算出期間Tc)において、出力電力W2を測定する。また、処理部4は、この周期T2の1周期内(一対のゼロクロス点P2間)に含まれるすべての一対のゼロクロス点P1間の交流電圧V1についての電圧データDv1および交流電流I1についての電流データDi1に基づいて、この周期T2の終了時点(電力算出期間Tc)において、各一対のゼロクロス点P1間の電力(各周期T1での電力)を算出して平均することにより、入力電力W1を算出する。また、処理部4は、この周期T2の終了時点(電力算出期間Tc)において、入力電力W1および出力電力W2に基づいて電力効率Aを算出(測定)する。つまり、電圧プローブ21,21および電流プローブ22を介して電路12に測定部2を接続すると共に電圧プローブ31,31および電流プローブ32を介して電路11に測定部3を接続した状態で上記した動作と同様にして電力効率Aを算出する。
【0056】
したがって、電力効率測定装置1は、入力系統の周期T1に対して出力系統の周期T2が長い場合においても、入力系統の周期T1に対して出力系統の周期T2が短い場合と同様にして、より短い周期T1の系統(入力系統)側の交流電圧V1および交流電流I1が1つの周期T2内において変動(増加したり、減少したり)したとしても、この変動の電力効率Aへの影響を軽減させて、実際の電力効率に近い電力効率Aを測定することができる。
【0057】
また、上記の電力効率測定装置1,1Aでは、処理部4,4Aが、予め規定された周期としての周期(T1×2)、つまり、周期T1,T2のうちのより長い周期の2倍の周期で電力算出処理および出力処理を繰り返し実行する構成を採用しているが、この構成に限定されるものではなく、1倍以上の任意の倍数の周期で電力算出処理および出力処理を繰り返し実行する構成を採用することもできる。
【0058】
また、コンバータ7の電力変換効率を測定する電力効率測定装置1,1Aとして電力比率測定装置を使用する例を挙げて説明したが、例えば、2つの独立した交流電路から2つの独立した負荷に対して供給される2つの電力の一方に対する他方の比率を測定する比率測定装置に電力比率測定装置を使用することもできる。
【符号の説明】
【0059】
1,1A 電力効率測定装置
2,3 測定部
4,4A 処理部
A 電力変換効率
I1,I2 交流電流
V1,V2 交流電圧
W1 入力電力
W2 出力電力

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1系統についての第1電圧信号および第1電流信号に基づいて第1電力を測定すると共に、当該第1電圧信号および当該第1電流信号よりも周期の短い第2系統についての第2電圧信号および第2電流信号に基づいて第2電力を測定し、当該測定した2つの電力のうちの一方の電力に対する他方の電力の比率を算出する処理部を備えた電力比率測定装置であって、
前記第1電圧信号および前記第1電流信号のうちの一方の信号についての第1ゼロクロス点を検出する第1検出部と、
前記第2電圧信号および第2電流信号のうちの前記一方の信号と同種の信号についての第2ゼロクロス点を検出する第2検出部とを有し、
前記処理部は、
隣り合う一対の前記第1ゼロクロス点間の前記第1電圧信号および前記第1電流信号に基づいて前記第1電力を算出する第1電力算出処理と、
前記一対の第1ゼロクロス点間に含まれるすべての前記第2ゼロクロス点についての隣り合うすべての一対の当該第2ゼロクロス点間の前記第2電圧信号および前記第2電流信号に基づいて当該各一対の第2ゼロクロス点間の電力を算出すると共に当該算出した各電力の平均値を前記第2電力として算出する第2電力算出処理と、
前記算出した第1電力および第2電力に基づいて前記比率を算出する比率算出処理とを前記一対の第1ゼロクロス点で規定される前記第1系統の1周期の終了後に実行する電力比率測定装置。
【請求項2】
前記処理部は、前記第2電力算出処理において、
前記一対の第1ゼロクロス点の直前の前記第2ゼロクロス点と当該一対の第1ゼロクロス点間に含まれる前記すべての第2ゼロクロス点のうちの最初の当該第2ゼロクロス点との間の前記第2電圧信号および前記第2電流信号に基づいて当該一対の第2ゼロクロス点間全体の電力を始期全体電力として算出すると共に、当該一対の第1ゼロクロス点のうちの最初の当該第1ゼロクロス点と前記最初の第2ゼロクロス点との間の期間長についての当該一対の第2ゼロクロス点間の期間長に対する比率を始期比率として算出し、かつ前記始期全体電力と当該始期比率とを乗算して、当該最初の第1ゼロクロス点と当該最初の第2ゼロクロス点との間の電力を始期部分電力として測定する始期電力測定処理と、
前記一対の第1ゼロクロス点の直後の前記第2ゼロクロス点と当該一対の第1ゼロクロス点間に含まれる前記すべての第2ゼロクロス点のうちの最後の当該第2ゼロクロス点との間の前記第2電圧信号および前記第2電流信号に基づいて当該一対の第2ゼロクロス点間全体の電力を終期全体電力として算出すると共に、当該一対の第1ゼロクロス点のうちの最後の当該第1ゼロクロス点と前記最後の第2ゼロクロス点との間の期間長についての当該一対の第2ゼロクロス点間の期間長に対する比率を終期比率として算出し、かつ前記終期全体電力と当該終期比率とを乗算して、当該最後の第2ゼロクロス点と当該最後の第1ゼロクロス点との間の電力を終期部分電力として測定する終期電力測定処理とを実行し、
前記算出した各一対の第2ゼロクロス点間の電力、前記始期部分電力および前記終期部分電力の平均値を前記第2電力として前記比率を算出する請求項1記載の電力比率測定装置。
【請求項3】
第1系統についての第1電圧信号および第1電流信号に基づいて第1電力を測定すると共に、当該第1電圧信号および当該第1電流信号よりも周期の短い第2系統についての第2電圧信号および第2電流信号に基づいて第2電力を測定し、当該測定した2つの電力のうちの一方の電力に対する他方の電力の比率を算出する電力比率測定方法であって、
前記第1電圧信号および前記第1電流信号のうちの一方の信号についての第1ゼロクロス点を検出すると共に、前記第2電圧信号および前記第2電流信号のうちの前記一方の信号と同種の信号についての第2ゼロクロス点を検出するゼロクロス点検出処理と、
隣り合う一対の前記第1ゼロクロス点間の前記第1電圧信号および前記第1電流信号に基づいて前記第1電力を算出する第1電力算出処理と、
前記一対の第1ゼロクロス点間に含まれるすべての前記第2ゼロクロス点についての隣り合うすべての一対の当該第2ゼロクロス点間の前記第2電圧信号および前記第2電流信号に基づいて当該各一対の第2ゼロクロス点間の電力を算出すると共に当該算出した各電力の平均値を前記第2電力として算出する第2電力算出処理と、
前記算出した第1電力および第2電力に基づいて前記比率を算出する比率算出処理とを前記一対の第1ゼロクロス点で規定される前記第1系統の1周期の終了後に実行する電力比率測定方法。
【請求項4】
前記第2電力算出処理において、
前記一対の第1ゼロクロス点の直前の前記第2ゼロクロス点と当該一対の第1ゼロクロス点間に含まれる前記すべての第2ゼロクロス点のうちの最初の当該第2ゼロクロス点との間の前記第2電圧信号および前記第2電流信号に基づいて当該一対の第2ゼロクロス点間全体の電力を始期全体電力として算出すると共に、当該一対の第1ゼロクロス点のうちの最初の当該第1ゼロクロス点と前記最初の第2ゼロクロス点との間の期間長についての当該一対の第2ゼロクロス点間の期間長に対する比率を始期比率として算出し、かつ前記始期全体電力と当該始期比率とを乗算して、当該最初の第1ゼロクロス点と当該最初の第2ゼロクロス点との間の電力を始期部分電力として測定する始期電力測定処理と、
前記一対の第1ゼロクロス点の直後の前記第2ゼロクロス点と当該一対の第1ゼロクロス点間に含まれる前記すべての第2ゼロクロス点のうちの最後の当該第2ゼロクロス点との間の前記第2電圧信号および前記第2電流信号に基づいて当該一対の第2ゼロクロス点間全体の電力を終期全体電力として算出すると共に、当該一対の第1ゼロクロス点のうちの最後の当該第1ゼロクロス点と前記最後の第2ゼロクロス点との間の期間長についての当該一対の第2ゼロクロス点間の期間長に対する比率を終期比率として算出し、かつ前記終期全体電力と当該終期比率とを乗算して、当該最後の第2ゼロクロス点と当該最後の第1ゼロクロス点との間の電力を終期部分電力として測定する終期電力測定処理とを実行し、
前記比率算出処理において、前記算出した各一対の第2ゼロクロス点間の電力、前記始期部分電力および前記終期部分電力の平均値を前記第2電力として前記比率を算出する請求項3記載の電力比率測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−113589(P2013−113589A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256946(P2011−256946)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000227180)日置電機株式会社 (982)