説明

電力系統における補償リアクトル等の無効電力供給制御方法及び装置

【課題】無効電力供給装置を系統に接続する開閉器の切換えにより、広範囲且つ大容量の無効電力供給量の変動に対しきめ細かく対応可能な無効電力制御方式を提供する。
【解決手段】単位容量の無効電力供給装置複数バンクと、単位容量の整数倍の無効電力供給装置複数バンクが設置され、各バンク毎にアドレスが設定される。現在の出力指令値及び新たな出力指令値に合致するように投入選定したバンクに対応してフラグを設定し、当該フラグに対応して第1、第2の2進数を設定する。前記第1、第2の2進数の論理積の第3の2進数と第1の2進数との排他的論理和、同前記第3の2進数と前記第2の2進数との排他的論理和から得られる第4、第5の2進数が示す投入フラグに対応するバンクの開閉器を開閉・投入する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力系統に挿入して遅相電流を供給する補償リアクトルや進相電流を供給するコンデンサなどの無効電力供給装置挿入用の開閉器の投入/開放による無効電力供給制御に関する。特に、系統切換え等によって変動する線路の対地静電容量の補償や、系統の負荷変動に伴う無効電力供給の変動に対しきめ細かく対応した制御が可能な無効電力供給制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電力系統におけるケーブル線路の拡大等に伴い変電所等の電気所において、線路の対地静電容量による進相電流を抑制する補償リアクトルの設置が増加している。また、従来から、遅相負荷を補償するコンデンサの設置も行われている。何れにしても、電力系統の効率的運用のために系統の切換え、負荷変動に応じて変動する遅相/進相の無効電力供給量をきめ細かく制御し高力率状態を維持することが肝要である。
無効電力供給源としては進相用コンデンサ、遅相用リアクトル等があるが、これらの無効電力供給量を連続的に制御することは容易ではない。また、無効電力供給量を連続的に制御可能な静止型無効電力補償装置(SVC:Static Var Compensator)があるが、これを全面的に採用することは設備コストの増大を招く。
【0003】
そこで、従来から、複数の無効電力供給装置を設置し、各無効電力供給装置を系統に接続する開閉器の開閉切換えにより、系統に投入する無効電力供給装置の台数を制御することで無効電力供給量を制御している。
例えば、特許文献1に開示されているものは、複数の単位容量の進相用コンデンサと前記単位容量の2倍の容量の進相用コンデンサを設置し、軽負荷時には、負荷変動に対応して無効電力継電器により前記単位容量の進相用コンデンサの接続台数を制御し、重負荷になった場合には、前記単位容量の2倍の容量の進相用コンデンサを投入し、負荷変動に対し単位容量ごとの細かい制御を実現している。
【0004】
しかし、前記特許文献に記載されたものでは、広範囲大容量の無効電力供給量の変動に対応するには、多数の単位容量の無効電力供給装置の設置が必要になり、それにより切換え制御する開閉器の台数も多くなる。また、無効電力供給装置の単位容量を大きくすれば台数は減るが、きめ細かい制御ができなくなる。
電力系統における変電所や、大規模な需要家における受電所等の電気所においては、大容量の無効電力供給量が必要であり、また、無効電力供給量の変動も大容量となる。このような電気所で特許文献1に開示された制御手法を適用すること、例えば、多数の台数の単位容量の無効電力供給装置の設置が必要となる。また、台数を減らそうとすれば、きめ細かい制御を犠牲にしなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−107671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電力系統における変電所等比較的大容量の電気所での無効電力制御は、制御所等から通知される無効電力供給量の出力指令値を受信し、設置された無効電力供給装置による供給量を当該指令値に制御するものである。
本発明は、複数の容量の異なる無効電力供給装置を複数バンク設置し、バンク数を格別増大することなく、出力指令値の変動に対し、投入又は開放する無効電力供給装置のバンク数をできるだけ少なくし、制御動作中における無効電力供給量の変動を小さくすると共に、広範囲で大容量の無効電力変動の指令値に対してもきめ細かな無効電力供給量の制御を達成するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の技術手段は、複数台(バンク)の単位容量の無効電力供給装置と、該単位容量に対し複数の整数倍の容量の無効電力供給装置がそれぞれ複数バンク設置され、各バンク毎に開閉器を介して系統に挿入され、前記開閉器の開閉切換えによって無効電力供給量を制御する無効電力供給の制御方法であって、前記各バンクに対し系統に投入又は非投入の状態を示すフラグが設定され、現出力指令値に対応する各バンクの投入・非投入を示す各バンクのフラグに対応した第1の2進数を設定し、新たな出力指令値に対応し当該出力指令値に対応する各バンクの投入・非投入を示すフラグに対応した第2の2進数を設定し、前記第1の2進数と第2の2進数との論理積により第3の2進数を取得し、該第3の2進数と前記第1の2進数との排他的論理和により第4の2進数を取得し、同第3の2進数と第2の2進数との排他的論理和により第5の2進数を取得し、前記第4の2進数で投入を示すフラグに対応するバンクの開閉器を開放し、次いで、前記第5の2進数で投入を示すフラグに対応するバンクの開閉器を投入する無効電力供給制御方法を特徴とする。
【0008】
第2の技術手段は、複数台(バンク)の単位容量の無効電力供給装置と、該単位容量に対し複数の整数倍の容量の無効電力供給装置とがそれぞれ複数バンク設置され、各バンク毎に開閉器を介して系統に挿入され、前記開閉器の開閉切換えによって無効電力供給量を制御する無効電力供給装置であって、無効電力供給の出力指令値に合致するように系統に投入するバンクを選定し、前記各バンクに対して投入・非投入に対応してフラグを設定するバンク選定部と、現出力指令値に対応する前記バンク選定部の選定結果に対応した前記フラグ設定に対応する第1の2進数と、新たな出力指令値に対応して選定されるバンクに対応した前記フラグ設定に対応する第2の2進数とによる論理演算により切換え開閉器を選定する切換え開閉器選定部とを備え、前記切換え開閉器選定部は、前記第1の2進数と第2の2進数との論理積により第3の2進数を取得し、当該第3の2進数と前記第1の2進数との排他的論理和により第4の2進数を取得し、さらに、前記第3の2進数と前記第2の2進数との排他的論理和により第5の2進数を取得し、前記第4の2進数で投入を示すフラグに対応するバンクの開閉器を開放する開閉器として選定し、前記第5の2進数で投入を示すフラグに対応するバンクの開閉器を投入する開閉器として選定することを特徴とする。
【0009】
第3の技術手段は、第2の技術手段の無効電力供給装置において、前記無効電力供給装置のバンクに対し、さらに、前記単位容量の10%、20%、40%、80%の容量のバンクの無効電力供給装置を設置することを特徴とする。
【0010】
第4の技術手段は、第2又は3の技術手段の無効電力供給装置において、前記単位容量の整数倍の整数は、2及びその等比数列の数であり、単位容量のバンクを含め、それぞれ3バンクずつ設置することを特徴とする。
【0011】
第5の技術手段は、第2〜4の技術手段の何れかの無効電力供給装置において、前記バンクの選定は、出力指令値に合致するように容量の小さいバンクを優先して順次選択することを特徴とする。
【0012】
第6の技術手段は、第2〜5の技術手段の何れかの無効電力供給装置において、前記各バンクの一部の開閉器の開閉動作に複数の動作遅延時間を設定することを特徴とする。
【0013】
第7の技術手段は、第2〜第6の技術手段の何れかの無効電力供給装置において、前記系統に挿入される無効電力供給装置は線路の対地静電容量を補償するためのリアクトルであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、大容量で広範囲な無効電力供給量の変動に対して、出力指令値に対応してきめ細かな制御が達成できる。また、多大なバンク数の増大を招くこともなく、出力指令値に対応する切換えにおいても必要なバンクのみを選択して開閉器の切換えを行うので、切換え操作過程における無効電力供給量の変動が少ない無効電力供給の制御が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の概要を説明する図
【図2a】本発明における無効電力供給装置の投入状態例
【図2b】本発明における無効電力供給装置の投入状態例
【図3】本発明の制御による無効電力供給の変動例を説明する図
【図4】本発明の実施例の制御を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0016】
近年の電力系統における無効電力の供給は、遅相負荷に対し進相無効電力供給する場合と共に、線路の対地静電容量を補償するためにリアクトルを設置して遅相無効電力を供給する場合も多くなっている。以下の記載では、リアクトルによる遅相無効電力供給を例に本発明をするが、進相用コンデンサの設置の場合も全く同様であることは明らかである。
第1図は、本発明を説明する図であり、理解を容易にするために無効電力供給装置の単位容量を1アンペア(A)の遅相電流供給として説明している。
【0017】
図において、Lは遅相電流の無効電力供給装置であるリアクトルを示し、下方の表記は当該無効電力供給装置(バンク)の容量を電流値で示し、SWは当該バンクを投入・開放する開閉器、Pは無効電力供給装置が設置される電気所が接続する系統電源を示している。
図に示すように、本実施形態では単位容量を1Aに設定し、さらに1A以下の出力指令
値に対してもきめ細かく対応できるように、0.1A、0.2A、0.4A、0.8Aのバンクを設置しているが、これらのバンクの設置は制御の最小単位の設定に基づくものであり、必ずしも必須ではない。
また、バンクの最大容量が4Aであるが、無効電力供給量に応じて8A、16Aのバンクを設置すればよい。
【0018】
制御部は、出力指令値に合致するように投入するリアクトルのバンクを選定し、投入すべきバンクの開閉器の開閉操作により遅相電流の供給量を制御するものである。
従来の制御では、新たな出力指令値を受信すると、その出力指令値に合致するように投入すべきバンクを選定し、それまで、投入されていたバンクの開閉器を一旦開放し、次いで、新たに投入すべきバンクの開閉器を投入する制御が行われていた。これは、切換えに伴う無効電力供給の変動が大なため系統に対して好ましいことではない。
また、切換え時に操作する開閉器の台数も多くなり、開閉器の操作用電源の容量も大になりコスト増の要因になる。
本発明は、切換え操作時の無効電力供給の変動を少なくし、切換え操作する開閉器数も少なくし、装置のコストを低減するものである。
【0019】
制御部は、バンク選定部と切換え開閉器選定部を備え、選定された開閉器の開閉操作を開閉器操作装置に出力する。
バンク選定部は、制御所等から通知される出力指令値に対し投入すべきバンクを選定するが、通常、指令値を充足するように小容量のバンクから順次選定して指令値と合致させる。
この処理は投入バンク特定部が行う。図2a、2bは0.1A毎の出力指令値に対するバンク選定の処理例を示したものである。投入バンク特定部にこのようなテーブルを用意しておけば簡単にバンク選定ができるが、これに限るものではない。
【0020】
図2a、2bには、図1に示したバンクに対応して左端から1〜13のアドレスが付されており、このアドレスに対応してバンク選定に対応して投入・非投入の各バンクに、例えば1、0のフラグを設定し、当該フラグに対応した2進数を設定する。
例えば、現在の出力指令値が7.9Aの場合、図2bによりアドレス1,4,5,6,7,8,9のバンクが投入されるので、投入のフラグを1とし、非投入のフラグを0とすると、フラグ設定による2進数は、1001,111,110,000となる。
これに対し、新たな出力指令として例えば、8.3Aが指令されたとすると、同様に投入すべきバンクとしてアドレス1,2,5,6,8,9,10のバンクが特定され、フラグ設定による2進数として、1100,110,111,000が設定される。
【0021】
上記2進数は対応するアドレスのバンクの開閉器の開閉状態を示しており、上記の現在の出力指令値に対応する第1の2進数と、新たな出力指令値に対応する第2の2進数との論理演算により開閉切換えする開閉器を特定する。
これは、現在投入されている開閉器の中の開放すべき開閉器と、現在開放されている開閉器の中の投入すべき開閉器を選定することである。
【0022】
現在の指令値に対応して投入されているバンク群(集合)と、新たな指令値に対応して投入すべきバンク群(集合)の両方に共通するバンクは新たな指令値に対応する場合でも投入されることになるので、当該バンクに対応する開閉器は投入状態を維持し開放する必要はない。
しかし、現在の指令値に対応して投入されているが、新たな指令値に対応して投入すべきバンクに含まれないバンクの開閉器は開放しなければならない。また、新たな指令値に対応して投入すべきバンクの中、現在の指令値に対しては非投入状態のバンクの開閉器は投入しなければならない。
【0023】
そこで、現在の指令値と新たな指令値に対して共通に投入されるバンク郡(集合)を特定するために、前記第1の2進数と前記第2の2進数との論理積を演算する。この演算によって得られる第3の2進数は、第1の2進数が示す投入・非投入状態のバンク群(集合)と第2の2進数が示す投入・非投入状態のバンク群(集合)との共通のバンク群(集合)を示すものといえる。
【0024】
【数1】

【0025】
上記第3の2進数が示すアドレス1、5、6、8、9のバンクは新たな指令値においても投入されるバンク群(集合)であるから、当該バンクの開閉器は操作対象にならない。
つまり、第1の指令値に対して投入されているバンク群(集合)の内、上記バンク以外のバンクは新たな指令値に対応して非投入となるバンク群(集合)である。
【0026】
そこで、前記第1の2進数と前記第3の2進数との排他的論理和を演算する。この演算結果である第4の2進数は、第1の2進数が示すバンク群(集合)から第3の2進数が示すバンク群(集合)を除いたバンク群(集合)を示す2進数となる。
【0027】
【数2】

【0028】
第1の2進数で示されるように、現在の出力指令値7.9Aに対応して、アドレス1の0.1A、アドレス4の0.8A、アドレス5、6、7の3つの1A、アドレス8,9の2つの2Aのリアクトルバンクバンク群(合計7.9A)が投入されている。
これに対し、新たな8.3Aの出力指令値に対応する場合には、前記第2の2進数で示されるように、アドレス1の0.1A、アドレス2の0.2A、アドレス5,6の2つの1A、アドレス8,9,10の3つの2Aのバンク群(合計8.3A)が投入される。
上記の両投入バンクを対比すると、7.9Aにおける投入バンクの中のアドレス4の0.8A、アドレス7の1Aの両バンク(合計1.8A)は8.3Aにおいて非投入であり、当該バンクの開閉器が開放されなければならない。
上記第4の2進数は、これらの開放すべき開閉器のアドレス4、7を示しており、これらの開閉器が開放される。この状態で、無効電力供給量は6.1Aとなる。
【0029】
さらに、前記第2の2進数と前記第3の2進数との排他的論理和を演算する。この演算結果である第5の2進数は、新たな8.9Aの出力指令値に対応する場合の第2の2進数が示す投入されるべきバンク群(集合)のうちの、現在の7.9Aの指令値において非投入状態のバンク群を示す2進数となる。
【0030】
【数3】

【0031】
第2の2進数で示されるように、8.3Aの新たな出力指令値に対応するために投入すべきバンクは、アドレス1の0.1A、アドレス2の0.2A、アドレス5,6の2つの1A、アドレス8、9、10の3つの2Aのリアクトルバンクである。
これに対し第2の2進数が示すように7.9Aの現在の出力指令値に対応してアドレス1の0.1A、アドレス5,6の2つの1A、アドレス8,9の2つの2Aのバンク群(合計6.1A)は既に投入状態である。第5の2進数は、これらのバンクを除いたアドレス2の0.2A、アドレス10の2Aの両バンク(合計2.2A)の開閉器を投入すべきことを示している。
【0032】
上記の制御において開閉操作する開閉器は、開放操作2台、投入操作2台であるが、例示のように単位容量以下の出力指令に対してもきめ細かく対応出来、全開閉器を投入し直す従来の制御に比べ開閉器を操作する制御電力が大幅に節減でき、また、開閉器の操作電源の容量も節減できる。
図3は、以上の説明の切換え態様による無効電力供給の変動を示したものであるが、本例では、23%以下の変動であり、大きな変動ケースであっても50%以下に維持できる。例えば、3.9Aから4Aに切替えるケースの場合、以下のように48.72%になるが50%以下である。
【0033】
【数4】

【0034】
第1図の例では、単位容量1A以下の指令値に対応したきめ細かい制御を実行するために、4台の単位容量以下のバンクを設けているが、当該単位容量以下の制御を行わない場合には、これらのバンクを設置する必要はない。
なお、これらのバンク及び当該バンクを系統に挿入する4台の開閉器の設置コストとの兼合いで、これらのバンクに代えて、単位容量の静止型無効電力補償装置(SVC)を設置して、単位容量以下の出力指令値の制御を行うことも出来る。SVCの信頼性はともかく、この場合、フラグ設定や論理演算の制御が簡単になる。
【0035】
同時に動作する開閉数を制限することにより、開閉器の操作電源の容量を節減できる。そのため、例えば、以下のように、開閉器の動作時間をバンクのアドレスに対して分散して設定すればよい。
【0036】
【表1】

【0037】
図4は、このように開閉器の動作時間を設定した場合の図3の切換え例の切換え態様を示したものである。
7.9Aから8.3Aへの切換え指令に応じて開放・投入すべきリアクトルの演算が開始され、演算結果に応じ先ず開放すべき開閉器に開放指令が出力され、開放が確認されると投入する開閉器に投入指令が出力される。
本例の場合、開放される開閉器は、第4の2進数で示されるようにアドレス4及び7の開閉器であるが、これらの開閉器は表1に示すように、アドレス7の開閉器には動作時間域100msec、同アドレス4の開閉器には150msecが設定されている。
【0038】
それ故、図4に示すように開放指令から100msec後に開閉器7が開放操作され、150msec後に開閉器4が開放操作されることになり、開閉器の操作電源に加わる負荷電力は1台ずつで済む。
同様に、これらの開閉器の開放確認後第5の2進数が示すアドレス2及び10の開閉器に投入指令が出力され、同様に表1の設定にしたがって、100msec後に開閉器10が投入し、150msec後に開閉器2が投入する。この場合も開閉器操作電源に加わる負荷電力は1台ずつで済む。
【0039】
以上説明のとおり、本発明によれば、比較的少ないバンク数で大容量、且つ広範囲の無効電力供給の変動に対してきめ細かい制御で対応することが可能である。また、SVCのように半導体素子を用いて無効電流の開閉するものではないので、長寿命であり、信頼性も高い。
なお、リアクトルによる遅相電流供給を例に説明したが、コンデンサによる進相電流の供給にも適用できることは明らかである。また、単位容量の設定等は設備需要に応じて任意に設定できることも明らかである。
【符号の説明】
【0040】
P…系統電源、SW…開閉器、L…リアクトル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数台(バンク)の単位容量の無効電力供給装置と、該単位容量に対し複数の整数倍の容量の無効電力供給装置がそれぞれ複数バンク設置され、各バンク毎に開閉器を介して系統に挿入され、前記開閉器の開閉切換えによって無効電力供給量を制御する無効電力供給の制御方法であって、
前記各バンクに対し系統に投入又は非投入の状態を示すフラグが設定され、現出力指令値に対応する各バンクの投入・非投入を示す各バンクのフラグに対応した第1の2進数を設定し、
新たな出力指令値に対応し当該出力指令値に対応する各バンクの投入・非投入を示すフラグに対応した第2の2進数を設定し、
前記第1の2進数と第2の2進数との論理積により第3の2進数を取得し、
該第3の2進数と前記第1の2進数との排他的論理和により第4の2進数を取得し、同第3の2進数と第2の2進数との排他的論理和により第5の2進数を取得し、
前記第4の2進数で投入を示すフラグに対応するバンクの開閉器を開放し、
次いで、前記第5の2進数で投入を示すフラグに対応するバンクの開閉器を投入することを特徴する無効電力供給制御方法。
【請求項2】
複数台(バンク)の単位容量の無効電力供給装置と、該単位容量に対し複数の整数倍の容量の無効電力供給装置とがそれぞれ複数バンク設置され、各バンク毎に開閉器を介して系統に挿入され、前記開閉器の開閉切換えによって無効電力供給量を制御する無効電力供給装置であって、
無効電力供給の出力指令値に合致するように系統に投入するバンクを選定し、前記各バンクに対して投入・非投入に対応してフラグを設定するバンク選定部と、
現出力指令値に対応する前記バンク選定部の選定結果に対応した前記フラグ設定に対応する第1の2進数と、新たな出力指令値に対応して選定されるバンクに対応した前記フラグ設定に対応する第2の2進数とによる論理演算により切換え開閉器を選定する切換え開閉器選定部とを備え、
前記切換え開閉器選定部は、前記第1の2進数と第2の2進数との論理積により第3の2進数を取得し、
当該第3の2進数と前記第1の2進数との排他的論理和により第4の2進数を取得し、
さらに、前記第3の2進数と前記第2の2進数との排他的論理和により第5の2進数を取得し、
前記第4の2進数で投入を示すフラグに対応するバンクの開閉器を開放する開閉器として選定し、
前記第5の2進数で投入を示すフラグに対応するバンクの開閉器を投入する開閉器として選定することを特徴とする無効電力供給装置。
【請求項3】
前記無効電力供給装置のバンクに対し、さらに、前記単位容量の10%、20%、40%、80%の容量のバンクの無効電力供給装置を設置することを特徴とする請求項1に記載の無効電力供給装置。
【請求項4】
前記単位容量の整数倍の整数は、2及びその等比数列の数であり、単位容量のバンクを含め、それぞれ3バンクずつ設置することを特徴とする請求項2又は3に記載の無効電力供給装置。
【請求項5】
前記バンクの選定は、出力指令値に合致するように容量の小さいバンクを優先して順次選択することを特徴とする請求項2〜4の何れかに記載の無効電力供給装置。
【請求項6】
前記各バンクの一部の開閉器の開閉動作に複数の動作遅延時間を設定することを特徴とする請求項2〜5の何れかに記載の無効電力供給装置。
【請求項7】
前記系統に挿入される無効電力供給装置は線路の対地静電容量を補償するためのリアクトルであることを特徴とする請求項2〜6の何れかに記載の無効電力供給装置。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−85476(P2012−85476A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−231059(P2010−231059)
【出願日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(391004920)東北電機製造株式会社 (7)
【出願人】(000222037)東北電力株式会社 (228)
【Fターム(参考)】