説明

電力表示器

【課題】 積算電気料金の表示がフルになった場合であっても、積算電力量の算出を続行してその積算電力量の表示を継続するようにした電力表示器を提供する。
【解決手段】 コンセントに差し込み可能なプラグおよび電気機器を差し込み可能なコンセントを有する電力表示器であって、プラグからの入力電流および入力電圧に基づいて算出された積算電力量と、その積算電力量に基づいて算出された積算電気料金および積算CO2排出量とを含む各表示項目を所定のインターバルでサイクリック表示する表示部を具備し、表示部は、積算電気料金の表示項目がオーバーフローした時点でバー表示に切り替えた上で、積算電力量の表示項目がオーバーフローした時点でその積算電力量および積算CO2排出量をゼロ表示に切り替えると共に積算電気料金をバー表示からゼロ表示へ切り替えるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、一般家庭のコンセントに装着すると共に電気機器を接続することにより、電気機器の積算電力量などの表示項目を表示させる簡易型の電力表示器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化などの環境問題から、一般家庭での省エネルギー対策として、電気機器の積算電力量、積算電気料金および積算通電時間などの表示項目を表示するようにした簡易型電力量表示器が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この簡易型電力量表示器は、一般家庭で使用する各種電気機器の積算電力量、積算電気料金および積算通電時間などの表示項目を表示することにより、電力需要家の省エネ意識を高めようとするものである。
【0003】
この特許文献1に開示された簡易型電力量表示器は、コンセントに差し込み可能なプラグおよび電気機器を差し込み可能なコンセントを有する機器ケース内に、積算通電時間、積算電力量および積算電気料金を算出する演算回路が設けられていると共に、その演算された積算電気料金の数値およびその単位記号である「円」と、積算電力量の数値およびその単位記号である「kWh」と、積算通電時間の数値およびその単位記号である「時間」とを、その記載の順番で、かつ、設定時間間隔でサイクリックに表示させることが可能なLCD表示器が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−147014号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前述した特許文献1における簡易型電力量表示器では、積算通電時間、積算電力量、積算電気料金のいずれかの数値がフル(999)になった場合は、積算通電時間のカウント、積算電力量の算出および積算電気料金の算出を停止すると共に、動作表示を消灯し、そのうち積算通電時間がフル(999時間)になった場合は、「円」→「kWh」→「999」をサイクリックに表示し、積算電力量がフル(999kWh)になった場合は、「円」→「999」→「時間」をサイクリックに表示し、かつ、積算電気料金がフル(999円)になった場合は、「999」→「kWh」→「時間」をサイクリックに表示するようにしている(特許文献1の段落番号[0016]参照)。
【0006】
このように、特許文献1で開示された簡易型電力量表示器では、積算通電時間、積算電力量、積算電気料金のいずれかの数値がフル(999)になった場合、積算通電時間のカウント、積算電力量の算出および積算電気料金の算出を停止させている。通常、一番最初にフル(999円)となるのは積算電気料金であることから、その時点で積算電力量の算出を停止した場合、積算電力量がフル(999kWh)まで表示可能な状態であるにもかかわらず、積算電力量の表示を停止することになる。
【0007】
このような簡易型電力量表示器を使用する一般家庭の電力需要家にとっては、積算電気料金の表示がフル(999円)になった場合であっても、積算電力量を算出することを停止せずに続行することが必要な場合もあり、その積算電力量の数値を表示し続けることが要望されている。
【0008】
そこで、本発明は前述の要望に鑑みて提案されたもので、その目的とするところは、積算電気料金の表示がフルになった場合であっても、積算電力量の算出を続行してその積算電力量の表示を継続するようにした電力表示器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述の目的を達成するための技術的手段として、本発明は、コンセントに差し込み可能なプラグおよび電気機器を差し込み可能なコンセントを有する電力表示器であって、プラグからの入力電流および入力電圧に基づいて算出された積算電力量と、その積算電力量に基づいて算出された積算電気料金および積算CO2排出量とを含む各表示項目を所定のインターバルでサイクリック表示する表示部を具備し、その表示部は、積算電気料金の表示項目がオーバーフローした時点でバー表示に切り替えた上で、積算電力量の表示項目がオーバーフローした時点でその積算電力量および積算CO2排出量をゼロ表示に切り替えると共に積算電気料金をバー表示からゼロ表示へ切り替えるようにしたことを特徴とする。
【0010】
従来のように、積算電気料金の表示項目がフル(999円)となった時点でその数値を表示したままであると、積算電力量の数値が増加するにもかかわらず、積算電気料金の数値が999円のままとなることから、算出し続けている積算電力量に対して、算出を停止した積算電気料金を誤認することになる。そこで、本発明では、積算電気料金の表示項目がオーバーフローした時点でバー表示に切り替えることで、積算電力量に対する積算電気料金を誤認することを未然に防止できる。
【0011】
本発明では、積算電気料金の表示項目がオーバーフローした時点でバー表示に切り替えた状態で、その後、積算電力量の表示項目がオーバーフローした時点でその積算電力量および積算CO2排出量をゼロ表示に切り替えると共に積算電気料金をバー表示からゼロ表示へ切り替えるようにしたことにより、積算電力量の計測を続行しながら、その積算電力量、積算電気料金および積算CO2排出量をリセットした上で表示することを続行する。
【0012】
本発明の電力表示器は、プラグからの入力電流を検出する電流検出部と、プラグからの入力電圧を検出する電圧検出部と、電流検出部および電圧検出部の出力に基づいて積算電力量を算出すると共にその積算電力量に基づいて積算電気料金および積算CO2排出量を算出する演算部と、演算部の出力に基づいて表示部を駆動する制御部とで構成することが可能である。このようにすれば、電力表示器を簡易な回路構成で実現することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、積算電気料金の表示項目がオーバーフローした時点でバー表示に切り替えることで、積算電力量に対する積算電気料金を誤認することを未然に防止できる。また、積算電気料金の表示項目がオーバーフローした時点でバー表示に切り替えた状態で、積算電力量の表示項目がオーバーフローした時点でその積算電力量および積算CO2排出量をゼロ表示に切り替えると共に積算電気料金をバー表示からゼロ表示へ切り替えるようにしたことにより、積算電気料金の表示がフルになった場合であっても、積算電力量の算出を続行してその積算電力量の表示を継続したいという電力需要家のニーズに速やかに対応することができ、その実用的価値は大きい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る電力表示器の実施形態で、積算電力量、積算電気料金および積算CO2排出量の表示状態を示す説明図である。
【図2】図1の表示状態を実現するためのフローチャートである。
【図3】本発明の電力表示器の外観および使用状態を示す斜視図である。
【図4】図3の電力表示器の内部構成を示すブロック図である。
【図5】図3の電力表示器の表示部で、サイクリック表示を示す説明図である。
【図6】図3の電力表示器の表示部で、積算電気料金の表示項目がバー表示となっている場合を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係る電力表示器の実施形態を、図1〜図6を参照しながら以下に詳述する。
【0016】
この実施形態の電力表示器11は、図3に示すように、コンセント12に差し込み可能なプラグ13および電気機器14を差し込み可能なコンセント15を有する直方体形状の樹脂製筐体16を持つ。この筐体16の背面にプラグ13を配設して屋内の壁面に設けられたコンセント12に差し込み可能とし、筐体16の下面にコンセント15を配設して電気機器14から延びるコード先端のプラグ17が差し込み可能となっている。この筐体16の前面にLCD等の表示部27が配設されている。
【0017】
この電力表示器11の筐体16内には、図4に示す内部回路が配線基板に実装された状態で格納されている。電力表示器11の内部回路は、プラグ13が設けられた入力端子21に接続された電圧検出部22と、コンセント15が設けられた出力端子23と入力端子21との間に接続された電流検出部24と、電圧検出部22および電流検出部24に接続された演算部25と、その演算部25に接続された制御部26と、その制御部26に接続されたLCD等の表示部27と、制御部26に接続された送受信部28とで構成されている。なお、電圧検出部22、電流検出部24、演算部25、制御部26、表示部27および送受信部28に電源電圧を供給する電源部29が設けられている。
【0018】
前述の電圧検出部22は、プラグ13からの入力電圧を検出する。電流検出部24は、プラグ13からコンセント15へ流れる入力電流を検出する。演算部25は、電圧検出部22および電流検出部24の出力に基づいて電気機器14の積算電力量を算出すると共に、積算電力量に基づいて積算電気料金および積算CO2排出量を算出する。制御部26は、演算部25の出力に基づいて積算電力量、積算電気料金および積算CO2排出量からなる各表示項目を表示する表示部27を駆動する。表示部27は、積算電力量、積算電気料金および積算CO2排出量とからなる各表示項目を所定のインターバルでサイクリック表示する。送受信部28は、積算電力量を外部へ送信したり、外部からの指令を受信したりする。
【0019】
なお、前述した積算電力量、積算電気料金および積算CO2排出量の各表示項目はいずれも積算される数値であるが、このような積算値以外の単位時間当たりの電気料金についても、前述の積算電力量、積算電気料金および積算CO2排出量に加えて、演算部25で算出されて表示部27で表示される。
【0020】
表示部27は、図5に示すように、7セグメントを8の字状に配置された3桁表示のLCDで、最大3桁の数値が表示可能な数値表示部31と、その最上位桁左側でドット点滅する動作表示部32と、最下位桁右側で各表示項目に対応する単位記号である「円」「kWh」「kg−CO2」「円/時間」を表示する単位記号表示部33と、最上位桁と中間位桁との間および中間位桁と最下位桁との間でドット点灯する小数点表示部34とを有している。なお、この小数点表示部34のドット点灯を移動させることにより、必要とする桁数の数値を数値表示部31で表示可能としている。
【0021】
この実施形態の電力表示器11では、図3および図4に示すように制御部26により表示部27を駆動することにより、その表示部27にて、プラグ13からの入力電流および入力電圧に基づいて演算部25で算出された電気機器14の積算電力量と、その積算電力量に基づいて演算部25で算出された積算電気料金、積算CO2排出量および単位時間当たりの電気料金とからなる各表示項目を所定のインターバルでサイクリック表示する。
【0022】
この表示部27でのサイクリック表示は、例えば、図5に示すように電源投入時のみ、数値表示部31の3桁表示「888」に加えて、動作表示部32、単位記号表示部33および小数点表示部34の全てを1秒間だけ点灯させる。その後、積算電気料金の表示項目「22円」→積算電力量の表示項目「1.00kWh」→積算CO2排出量の表示項目「0.55kg−CO2」→単位時間当たりの電気料金の表示項目「8.8円/時間」を3秒のインターバルでもってサイクリック表示する。
【0023】
このサイクリック表示中、積算電気料金、積算電力量および積算CO2排出量が増加して、積算電気料金の表示項目がフル「999円」となり、その後、積算電気料金の表示項目がオーバーフローした時点で、表示部27では、図6に示すように積算電気料金の表示項目をバー表示「−−−円」に切り替える。なお、積算電気料金、積算電力量および積算CO2排出量の各表示項目の中で、積算電気料金の表示項目が一番最初にフル「999円」となる。
【0024】
つまり、図1および図2に示すように、サイクリック表示中、積算電気料金、積算電力量および積算CO2排出量が増加して(図2のSTEP1)、積算電気料金が999円になると、積算電気料金の表示項目「999円」→積算電力量の表示項目「45.4kWh」→積算CO2排出量の表示項目「25.2kg−CO2」を表示する(図1のD2および図2のSTEP2)。次に、積算電気料金が999円を超えてその表示項目がオーバーフローした時点でバー表示「−−−円」に切り替えて、積算電気料金の表示項目「−−−円」→積算電力量の表示項目「45.5kWh」→積算CO2排出量の表示項目「25.3kg−CO2」を表示する(図1のD3および図2のSTEP3)。
【0025】
従来のように、積算電気料金の表示項目がフル(999円)となった時点でその数値を表示したままであると、積算電力量の数値が増加するにもかかわらず、積算電気料金の数値が999円のままとなることから、算出し続けている積算電力量に対して、算出を停止した積算電気料金を誤認することになる。そこで、積算電気料金の表示項目がオーバーフローした時点で前述のようにバー表示に切り替えることで、積算電気料金の数値が999円であるのか、あるいはそれを超えているのかが明確となり、積算電力量に対する積算電気料金を誤認することを未然に防止できる。
【0026】
サイクリック表示中、さらに、積算電力量および積算CO2排出量が増加して、その積算電力量が999kWhになると、積算電気料金の表示項目「−−−円」→積算電力量の表示項目「999kWh」→積算CO2排出量の表示項目「554kg−CO2」を表示する(図1のD4および図2のSTEP4)。次に、積算電力量が999kWhを超えてその表示項目がオーバーフローした時点で積算電力量および積算CO2排出量の表示項目をゼロ表示に切り替えると共に積算電気料金の表示項目をバー表示からゼロ表示へ切り替えて、積算電気料金の表示項目「000円」→積算電力量の表示項目「0.00kWh」→積算CO2排出量の表示項目「0.00kg−CO2」を表示する(図1のD1および図2のSTEP5〜7)。この表示で、積算電力量、積算電気料金および積算CO2排出量をリセットした上で計測を続行する。
【0027】
この電力表示器11では、積算電気料金の表示項目がオーバーフローした時点でバー表示に切り替え、その後、積算電力量の表示項目がオーバーフローした時点でその積算電力量および積算CO2排出量をゼロ表示に切り替えると共に積算電気料金をバー表示からゼロ表示へ切り替えるようにしたことにより、積算電力量の計測を続行しながら、その積算電力量、積算電気料金および積算CO2排出量をリセットした上で表示することを続行する。これにより、その積算電力量の表示を継続したいという電力需要家のニーズに速やかに対応することができる。
【0028】
本発明は前述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
【符号の説明】
【0029】
11 電力表示器
12 コンセント
13 プラグ
14 電気機器
15 コンセント
22 電圧検出部
24 電流検出部
25 演算部
26 制御部
27 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンセントに差し込み可能なプラグおよび電気機器を差し込み可能なコンセントを有する電力表示器であって、
前記プラグからの入力電流および入力電圧に基づいて算出された積算電力量と、前記積算電力量に基づいて算出された積算電気料金および積算CO2排出量とを含む各表示項目を所定のインターバルでサイクリック表示する表示部を具備し、
前記表示部は、積算電気料金の表示項目がオーバーフローした時点でバー表示に切り替えた上で、前記積算電力量の表示項目がオーバーフローした時点でその積算電力量および積算CO2排出量をゼロ表示に切り替えると共に前記積算電気料金をバー表示からゼロ表示へ切り替えるようにしたことを特徴とする電力表示器。
【請求項2】
前記プラグからの入力電流を検出する電流検出部と、前記プラグからの入力電圧を検出する電圧検出部と、電流検出部および電圧検出部の出力に基づいて積算電力量を算出すると共に、前記積算電力量に基づいて積算電気料金および積算CO2排出量を算出する演算部と、前記演算部の出力に基づいて前記表示部を駆動する制御部とで構成されている請求項1に記載の電力表示器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−237581(P2012−237581A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−105195(P2011−105195)
【出願日】平成23年5月10日(2011.5.10)
【出願人】(000220882)株式会社エネゲート (42)