説明

電力計支持装置

【課題】 誘導型電力計の組み立て過程における軸体の調整に関連する作業の効率化を図るとともに、作業者の作業負担を軽減することのできる電力計支持装置を提供する。
【解決手段】 上下方向の昇降可能な支持台を備え、支持台は、誘導型電力計を掛止可能に構成されたメータ掛止手段を備えるとともに、メータ掛止手段に掛止させた誘導型電力計の端子に電気接続可能な端子接続手段を備えた電力計支持装置において、前記支持台は、メータ掛止手段に掛止された誘導型電力計の前記軸体が上下方向に延びる第一状態と、該軸体が横方向に延びる第二状態とに切り換え可能となるように所定の回転中心回りで回転可能に設けられ、作業者が視認可能な第一位置で第一状態となる一方、第一位置よりも低い第二位置で第二状態となるように構成され、前記メータ掛止手段は、二つ以上の誘導型電力計を横並び状態で掛止可能に構成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オーバーホールした誘導型電力計や新品の誘導型電力計を組み立てる過程において、円板の回転中心となる軸体の位置調整を行う際に用いられる電力計支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電力量を計量する電力計として、誘導型電力計が普及している。かかる誘導型電力計は、軸体が中心を通るように取り付けられるとともに、軸体の両端部が軸支されて垂直方向に延びる軸体の中心回りで回転自在な円板と、誘導電流を発生させて円板を回転させるコイルと、円板の回転に制動をかけて該円板の回転を消費電力に応じた速度(回転量)に制御するための磁石とを備えており、円板の回転量で消費電力を計測できるようになっている。
【0003】
そして、この種の電力計は、通常、所定の期間(例えば、10年)毎にオーバーホールすることで、計測精度の維持が図られる。
【0004】
ところで、この種の電力計は、円板の回転中心となる軸体が適正な配置(姿勢)になっていないと、円板が良好に回転できなくなって適正な計測を行えないことから、通常、オーバーホールした誘導型電力計や新品の誘導型電力計を組み立てる過程において、軸体が垂直方向に延びる適正な姿勢になるように微調整が行われる。
【0005】
そして、かかる調整作業は、調整対象となる組み立て途中の誘導型電力計を家屋等に設置される状態(実際に電力を計測する状態)と同じ状態にしなければ、軸体の姿勢を適正な状態にできないことから、通常、電力計支持装置を用いて行われている。
【0006】
ここで、電力計支持装置について説明すると、電力計支持装置は、軸体が上下方向に延びた姿勢になるように、組み立て途中の誘導型電力計を掛止可能な支持台を備えている。
【0007】
そして、この種の電力計支持装置は、支持台が昇降可能になっており、支持台に掛止させた誘導型電力計を作業者の視線前方に配置できるようになっている。また、この種の電力計支持装置は、支持台に掛止させた誘導型電力計の端子に対して電力供給できるようになっている。すなわち、支持台は、誘導型電力計の端子に電気的に接続される端子接続手段を備えており、制御盤等に別途設けられる外部スイッチを操作することで端子接続手段から誘導型電力計の端子(電源側の端子)に電力供給できるようになっている。
【0008】
これにより、上記構成の電力計支持装置は、支持台に掛止させた誘導型電力計を作業者の視線前方に配置した上で円板を回転させることができるため、作業者が無理な姿勢になることなく、円板及び軸体の姿勢を適確に把握して調整できるようになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、誘導型電力計の組み立て作業は、通常、流れ作業で行われており、各種作業を行うそれぞれのエリアに組み立て途中の誘導型電力計をベルトコンベアで搬送するようにしている。そのため、軸体の姿勢の調整を行うエリアにおいて、一つの誘導型電力計の円板及び軸体の姿勢を調整する度に、組み立て途中の誘導型電力計をベルトコンベアから持ち上げて支持台に掛止させたり、誘導型電力計を支持台から外してベルトコンベア上に配置したりしなければならず、作業が非常に繁雑である。
【0010】
また、一つの誘導型電力計の軸体の姿勢を調整するのに、支持台への誘導型電力計の掛止やその解除(誘導型電力計の移動)、支持台の昇降、誘導型電力計への電力供給(スイッチの操作)、軸体の姿勢の調整といった一連の工程が必要となるため、多数の誘導型電力計の軸体の姿勢を調整すると、支持台の昇降、誘導型電力計への電力供給(スイッチの操作)が不必要に繰り返されることになり、作業効率が低下するといった問題があった。
【0011】
そこで、本発明は、斯かる実情に鑑み、誘導型電力計の組み立て過程における軸体の調整に関連する作業の効率化を図るとともに、作業者の作業負担を軽減することのできる電力計支持装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る電力計支持装置は、上下方向の昇降可能な支持台を備え、支持台は、少なくとも円板が該円板の中心を通るように設けられた軸体を中心にして回転可能に組み付けられた誘導型電力計を掛止可能に構成されたメータ掛止手段を備えるとともに、メータ掛止手段に掛止させた誘導型電力計の端子に電気接続可能な端子接続手段を備えた電力計支持装置において、前記支持台は、メータ掛止手段に掛止された誘導型電力計の前記軸体が上下方向に延びる第一状態と、該軸体が横方向に延びる第二状態とに切り換え可能となるように所定の回転中心回りで回転可能に設けられ、作業者が視認可能な第一位置で第一状態となる一方、第一位置よりも低い第二位置で第二状態となるように構成され、前記メータ掛止手段は、二つ以上の誘導型電力計を横並び状態で掛止可能に構成されていることを特徴とする。
【0013】
上記構成の電力計支持装置によれば、支持台は、メータ掛止手段に掛止された誘導型電力計の前記軸体が上下方向に延びる第一状態と、該軸体が横方向に延びる第二状態とに切り換え可能となるように所定の回転中心回りで回転可能に設けられ、作業者が視認可能な第一位置で第一状態となるように構成されているので、二つ以上の誘導型電力計(軸体)が作業者の姿勢(視線)に応じた配置になり、各誘導型電力計の軸体(円板)の姿勢を連続的に調整することができる。また、支持台は、第一位置よりも低い第二位置で第二状態となるように構成されているので、二つ以上の誘導型電力計のそれぞれの軸体の姿勢を気にせずに、各誘導型電力計を寝かせた状態でセットすることができる。
【0014】
特に、誘導型電力計が流れ作業で組み立てられる場合(ベルトコンベアやローラコンベア等のコンベアで組み立て途中の誘導型電力計を搬送しつつ所定エリア毎で所定の組み付け作業が行われる場合)、電力計支持装置をコンベアに隣接して配置し、支持台における誘導型電力計を配置する面がベルトコンベア(誘導型電力計を配置する搬送面)と同レベル、又は略同レベルになるように第二位置を設定することで、コンベア上の誘導型電力計を大きく持ち上げることなく横方向に移動させることで支持台上に配置することができる。従って、作業者の作業の負担を軽減することができる。
【0015】
また、上記構成の電力計支持装置は、メータ掛止手段が二つ以上の誘導型電力計を横並び状態で掛止可能に構成されているので、メータ掛止手段に二つ以上の誘導型電力計を掛止させた状態で支持台を昇降させることで二つ以上の誘導型電力計の配置を一度に変更できる。従って、多数の誘導型電力計に対する作業を行う際に支持台の昇降回数を減らすことができ、作業時間の短縮(作業効率の効率化)を図ることができる。
【0016】
本発明の一態様として、前記支持台が第一位置に位置した状態で、メータ掛止手段に掛止された誘導型電力計の端子に端子接続手段を介して電力供給するように構成されていることが好ましい。このようにすれば、作業者が軸体の姿勢を確認する位置以外で円板が回転することがなく、支持台の移動(昇降)時に組み立て途中の誘導型電力計が故障する(円板が無理に回転して故障する)ことを防止できる。また、電力供給についての作業を作業者が手作業で行う必要がなく、作業者の作業負担の軽減することができる。
【0017】
本発明の他態様として、前記支持台は、外観多角柱状に形成された支持台本体を備え、前記回転中心は、支持台本体の中心線上、又は該中心線と平行な軸線上に設定され、支持体本体の外周を画定する各面にメータ掛止手段が設けられ、各面上で種類の異なる誘導型電力計が掛止可能に構成されてもよい。このようにすれば、一台の電力計支持装置で複数種類の誘導型電力計に対する調整作業を行うことができる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明の電力計支持装置によれば、誘導型電力計の組み立て過程における軸体の調整に関連する作業の効率化を図るとともに、作業者の作業負担を軽減することができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係る電力計支持装置を部分的に破断させた平面図であって、電力計支持装置を組み立て途中(カバーガラスが取り外された状態)の誘導型電力計を搬送するベルトコンベアに並設した状態を示す。
【図2】同実施形態に係る電力計支持装置の部分拡大図を含む正面図を示す。
【図3】同実施形態に係る電力計支持装置の側面断面図であって、電力計支持装置をベルトコンベアに並設した状態を示す。
【図4】同実施形態に係る電力計支持装置を部分的に破断させた平面図であって、電力計支持装置をベルトコンベアに並設した状態を示す。
【図5】同実施形態に係る電力計支持装置の支持台を第二位置で第二状態にした正面図であって、ベルトコンベア上の誘導型電力計を支持台上に移した状態を示す。
【図6】同実施形態に係る電力計支持装置の支持台を第一位置で第一状態にした正面図を示す。
【図7】同実施形態に係る電力計支持装置の支持台を第一位置で第一状態にした側面断面図であって、電力計支持装置をベルトコンベアに並設した状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態に係る電力計支持装置について、添付図面を参照しつつ説明する。
【0021】
本実施形態に係る電力計支持装置は、図1に示す如く、組み立て途中の誘導型電力計Mを搬送するコンベア(本実施形態においてはベルトコンベア)BCに隣接して配置されている。かかるベルトコンベアBCは、間欠運転するようになっており、組み立て途中の誘導型電力計Mを所定距離移動させた後に、一定時間、或いは、作業者が駆動スイッチを操作するまで移動を停止するようになっている。すなわち、ベルトコンベアBCは、各種作業を行うエリアにまで組み立て途中の誘導型電力計Mを搬送した後に停止し、各エリアでの作業が完了した後に再度誘導型電力計Mを搬送するようになっている。
【0022】
電力計支持装置1は、図2及び図3に示す如く、上下方向に昇降可能な支持台10を備えている。より具体的には、本実施形態に係る電力計支持装置1は、横方向に間隔をあけて配置された一対の支柱11a,11bと、該一対の支柱11a,11b間に配置され、上下方向の昇降可能な支持台10と、支持台10を昇降させるための昇降手段12とを備えている。
【0023】
一対の支柱11a,11bは、ボックス状に形成されている。そして、本実施形態において、一対の支柱11a,11bは、上端部同士が梁材11cを介して連結されている。これにより、一対の支柱11a,11b及び梁材11cは門型を呈している。
【0024】
支持体10は、少なくとも円板Dが該円板Dの中心を通るように設けられた軸体Sを中心にして回転可能に組み付けられた誘導型電力計M(図1参照)を掛止可能に構成されたメータ掛止手段101を備えるとともに、メータ掛止手段101に掛止させた誘導型電力計Mの端子T(図1参照)に電気接続可能な端子接続手段102を備えている。
【0025】
より具体的に説明すると、本実施形態に係る支持台10は、外観多角柱状に形成された支持台本体100と、支持体本体の外周を画定する各面に設けられたメータ掛止手段101と、メータ掛止手段101に掛止させた誘導型電力計Mの端子Tに電気接続可能な端子接続手段102とを備えている。
【0026】
前記支持台10は、メータ掛止手段101に掛止された誘導型電力計Mの前記軸体Sが上下方向に延びる第一状態A(図6及び図7参照)と、該軸体Sが横方向に延びる第二状態B(図4及び図5参照)とに切り換え可能となるように、所定の回転中心回りで回転可能に構成されている。本実施形態に係る支持台10は、上述の如く、外観多角柱状の支持台本体100を備えているため、支持台10の回転中心は支持台本体100の中心線上、又は該中心線と平行な軸線上に設定される。本実施形態に係る電力計支持装置1は、支持台本体100に軸(回転軸)103が挿通されており、支持台10が回転軸103回りで回転可能になっている。
【0027】
本実施形態に係るメータ掛止手段101は、二つ以上の誘導型電力計Mを横並びに配置した状態で掛止可能に構成されている。より具体的に説明すると、本実施形態に係るメータ掛止手段101は、支持台10の外面に対して間隔をあけて配置された帯板で構成されており、誘導型電力計Mの端子部TA(ケーブルを接続するための複数の端子Tが横並びに配設された箇所)を、支持台10の外面とメータ掛止手段101(帯板)との間に介挿することで、誘導型電力計Mを掛止できるようになっている。なお、本実施形態に係る電力計支持装置1は、誘導型電力計Mを二つ以上掛止する(配置する)ようにしているため、各誘導型電力計Mの配置予定位置の両側に誘導型電力計Mの両側端部を補助的に固定するためのクランプ104が設けられている。
【0028】
そして、前記端子接続手段102は、メータ掛止手段(帯板)101と支持台10の外面との間に設けられており、誘導型電力計Mの端子部TAを構成する複数の端子Tの配置に対応して設けられた複数の接点(採番しない)を備えている。そして、端子接続手段102は、支持台10の外面とメータ掛止手段101(帯板)との間に端子部TAが介挿された状態で、端子部TAに設けられた各端子Tに各接点が電気的に接続されるようになっている。
【0029】
誘導型電力計Mの端子部TAには、電源側の端子Tと負荷側の端子Tとが設けられているため、端子接続手段102の接点として、電源にスイッチ機構を介して接続された一次側接点と、負荷発生手段(擬似的に負荷を発生させる負荷発生手段)に接続された二次側接点とが設けられおり、電源側の端子Tに一次側接点が接続され、負荷側の端子Tに二次側接点が接続されるようになっている。
【0030】
そして、本実施形態に係るメータ掛止手段101は、上述の如く、二つ以上(図に示す電力計支持装置1においては五つ)の誘導型電力計Mを掛止可能に構成されているため、前記端子接続手段102は、誘導型電力計Mが配置される(掛止される)位置に対応して二つ以上(本実施形態においては五つ)設けられている。
【0031】
本実施形態に係る電力計支持装置1は、支持台10が後述する第一位置P1に位置した状態で、メータ掛止手段101に掛止された誘導型電力計Mの端子Tに対して端子接続手段102を介して電力供給するように構成されている。
【0032】
本実施形態に係る支持台10は、外観多角柱状の支持台本体100を備えていることから、支持台本体100の外周を画定する各面(各載置面)にメータ掛止手段101が設けられている。これにより支持台本体100の外周を構成する各面上で、二つ以上の誘導型電力計Mを掛止できるようになっており、本実施形態においては、異なる面上で種類の異なる誘導型電力計Mが掛止可能に構成されている。
【0033】
前記昇降手段12は、作業者が視認可能な第一位置P1と、第一位置P1よりも低い第二位置P2との間で支持台10を昇降させるように構成されている。すなわち、本実施形態において、作業者が起立した状態で円板D及び軸体Sの姿勢の調整を行うようにしており、これを前提に支持台10の第一位置P1は、起立した作業者の顔の前方位置に設定されている。また、本実施形態において、上述の如く、電力計支持装置1がベルトコンベアBCに隣接して配置されているため、支持台10の第二位置P2は、ベルトコンベアBC(誘導型電力計Mを搬送する搬送面)に対応するように設定されている。すなわち、支持台10が回転軸103回りで回転可能に設けられているため、誘導型電力計Mを掛止させる面(メータ掛止手段101の取り付けられた面)がベルトコンベアBCの搬送面と同じ又は略同じレベルになるように第二位置P2が設定されている。
【0034】
昇降手段12は、一対の支柱11a,11bのそれぞれに取り付けられており、同期をとって支持台10の両端部を移動させるようになっている。本実施形態に係る電力計支持装置1は、安全性を確保すべく、各昇降手段12がカバー(採番しない)で覆われている。昇降手段12には、油圧或いは空圧のシリンダや、プリーとロープ(ワイヤー)との組み合わせ、スプロケット120a,120bとチェーン121との組み合わせ等、種々のもの採用することができる。
【0035】
本実施形態に係る昇降手段12は、スプロケット120a,120bとチェーン121とを組み合わせたもので構成されており、スプロケット120a,120bを駆動モータDMで回転させることでチェーン121を長手方向(上下方向)に移動させるようになっている。
【0036】
具体的には、本実施形態に係る昇降手段12は、上下方向に間隔をあけて配置された一対のスプロケット120a,120bに掛け渡されたチェーン121に支持台10の両端部(支持台10に挿通した回転軸103の両端部)を軸支する軸受体122が固定されており、チェーン121の長手方向の移動によって軸受体122を介して支持台10を昇降させるようになっている。
【0037】
なお、本実施形態に係る電力計支持装置1は、フットスイッチFSを踏み操作することで昇降手段12を作動させるようになっており、第一位置P1及び第二位置P2に対応して設けられたスイッチ(図示しない)が支持台10を感知すると昇降手段12の作動を停止するようになっている。また、本実施形態に係る電力計支持装置1は、第一位置P1に対応したスイッチが支持台10を感知すると、端子接続手段102の各接点に電力供給するようにもなっている。
【0038】
本実施形態に係る支持台10は、作業者が視認可能な第一位置P1で第一状態Aとなる一方、第一位置P1よりも低い第二位置P2で第二状態Bとなるように構成されている。
【0039】
これに伴い、本実施形態に係る電力計支持装置1は、支持台10を第一状態Aと第二状態Bとに自動的に切り換える姿勢変更手段20が設けられている。かかる姿勢変更手段20は、支柱11a,11bに取り付けられたガイドレール200と、該ガイドレール200に沿って移動可能なガイドローラ201とで構成されている。本実施形態に係るガイドレール200は、支柱11a,11bに取り付けられたガイドプレート200aに穿設された長穴200bを画定する内面により構成されている。なお、本実施形態に係る電力計支持装置1は、ガイドレール200を設けるべく、ガイドプレート200aが支柱11a,11bから前方に向けて延設されていることから、支持台10を昇降させる際に回転軸103の移動(昇降)を許容すべく、ガイドプレート200aにはガイドレール200を形成するための前記長穴200aとは別に上下方向に延びる別の長穴(採番しない)が穿設されており、該長穴に回転軸103が挿通されている。
【0040】
そして、ガイドローラ201は、支持台10に対して回転力が伝達できるように設けられたトルク伝達プレート202に固定されており、ガイドプレート200aの長穴200b内に配置されている。これにより、支持台10が昇降する際にガイドローラ201がガイドレール200に沿って移動し、ガイドローラ201の移動軌跡に対応して支持台10が回転軸103回りで回転するようになっている。
【0041】
本実施形態においては、支持台本体100が三角柱状に形成されているため、支持台本体100の外周を構成する三つの面のうちの一面(載置面)が横方向に向いた(垂直方向に広がる)第一状態Aから該載置面が上方に向いた(水平方向に広がる)第二状態Bに切り替わり、また、支持台本体100の外周を構成する三つの面のうちの一面(載置面)が上方向に向いた(水平方向に広がる)第二状態Bから該載置面が横方向に向いた(垂直方向に広がる)第一状態Aに切り替わるのに、支持台10を回転軸103回りで90°回転させる必要があることから、ガイドレール200は、ガイドローラ201を案内することで支持台10を90°回転させるように形成されている。
【0042】
そして、本実施形態に係る電力計支持装置1は、誘導型電力計Mを掛止させる面を切り換えるための掛止面切換手段30を備えている。掛止面切換手段30は、回転軸103回りでの回転が規制された回転規制フレーム300と、支持台10の端部に連結されるとともに、該支持台10を挿通した回転軸103に外嵌されて該回転軸103回りで回転自在に設けられた環状の回転フレーム301と、回転規制フレーム300と回転フレーム301との相対的な回転を所定角度毎に規制するロック手段302とを備えている。
【0043】
本実施形態においては、上述の如く、トルク伝達プレート202にガイドローラ201が取り付けられ、該ガイドローラ201が上下方向に延びるガイドレール200に案内されるため、トルク伝達プレート202は、回転軸103回りでの回転が規制されている。これに伴い、本実施形態においては、前記トルク伝達プレート202を回転規制フレーム300に兼用している。そして、トルク伝達プレート202は、回転軸103が回転自在に挿通されており、該回転軸103を包囲する筒状部303が支持台10側に突設されている。
【0044】
そして、前記筒状部303には、前記回転フレーム301が外嵌されており、筒状部303及び回転フレーム301が回転軸103回りで相対回転可能になっている。
【0045】
前記ロック手段302は、回転フレーム301を貫通して回転フレーム301の内部に出退可能なロックピン(採番しない)を備えており、ロックピンを筒状部303の外面に形成された凹部、又は穴に嵌入することで回転フレーム301と回転規制フレーム300(トルク伝達プレート202)との相対的な回転を規制するようになっている。なお、筒状部303には、周方向に所定間隔毎(本実施形態においては、支持台10が三角柱状をなして掛止面が三面改正されているため120°毎)に凹部又は穴が設けられており、何れかの凹部又は穴にロックピンを嵌入することで、誘導型電力計Mを掛止する面を何れに変更しても、その面で掛止した誘導型電力計Mを第一状態A及び第二状態Bにできる状態で維持させるようになっている。
【0046】
本実施形態に係る支持台10は、両端側が軸受体122に連結されている。すなわち、支持台10には、回転軸103が挿通されており、該回転軸103の両端部が軸受体122に回転自在に支持されている。これにより、回転軸103は、自己の軸心回りで回転自在になっている。
【0047】
本実施形態に係る電力計支持装置1は、以上の構成からなり、次に、誘導型電力計Mの組み立て工程における円板D及び軸体Sの調整方法(電力計支持装置1の使用方法)について説明する。
【0048】
まず、誘導型電力計Mの組み立て作業において、少なくとも円板Dが該円板Dの中心を通るように設けられた軸体Sを中心にして回転可能な状態にされる。そして、円板Dが該円板Dの中心を通るように設けられた軸体Sを中心にして回転可能な状態になった組み立て途中の誘導型電力計Mは、ベルトコンベアBCによって下流側に搬送される。なお、本実施形態においては、上述の如く、電力計支持装置1の支持台10上で誘導型電力計Mに電力供給して円板Dを回転させるため、円板D(軸体S)の組み付けの他に、コイルや磁石、端子部TA等の組み込みが行われた後(カバーガラスのみが外された状態で)、ベルトコンベアBCによる搬送が再開し、誘導型電力計Mが電力計支持装置1と対応する位置にまで搬送される。
【0049】
そして、組み立て途中の誘導型電力計Mが電力計支持装置1と対応する位置に到達すると、一時的にベルトコンベアBCが停止する。そこで、作業者は、図4及び図5に示す如く、ベルトコンベアBC上の誘導型電力計Mを第二位置P2にある支持台10上に配置する。本実施形態においては、第二位置P2がベルトコンベアBCの搬送面と同一又は略同一レベルに設定されているため、作業者はベルトコンベアBC上の誘導型電力計Mを大きく持ち上げることなく横方向に移動させるようにして誘導型電力計Mを支持台10上に配置できる。
【0050】
そして、各誘導型電力計Mをメータ掛止手段101に掛止させる。すなわち、誘導型電力計Mの端子部TAを支持台本体100の載置面とメータ掛止手段101との間に挿入する。そうすると、各誘導型電力計Mは、第二状態Bで端子部TAの各端子Tが端子接続手段102の各接点に対して電気的(通電可能)に接続される。
【0051】
そして、クランプ104で各誘導型電力計Mの両側端部を補助的に固定した後、作業者がフットスイッチFSを踏み操作すると、支持台10が上昇しつつ回転軸103回りで回転する。すなわち、支持台10が上昇するのに併せてガイドローラ201がガイドレール200に沿って移動し、これに伴って支持台10が回転軸103回りで回転する。そして支持台10は、第一位置P1に到達するとその位置で停止する。この状態で、図6及び図7に示す如く、支持台10に掛止させた各誘導型電力計Mは、円板D及び軸体Sを正面に向けた状態(第一状態A)になる。そして、支持台10が第一位置P1に到達すると、端子接続手段102に電力が供給され、各誘導型電力計Mの円板Dが軸体S周りで回転する。この状態で作業者は、各誘導型電力計Mの円板D及び軸体Sの回転状態を確認しつつ円板D及び軸体Sの姿勢を調整する。
【0052】
そして、各誘導型電力計Mの円板D及び軸体Sの微調整が完了した後、作業者が再びフットスイッチFSを踏み操作すると、支持台10が下降しつつ回転軸103回りで回転する。すなわち、支持台10が下降するのに併せてガイドローラ201がガイドレール200に沿って移動し、これに伴って支持台10が回転軸103回りで回転する。また、支持台10の下降に伴い、第一位置P1に対応して設けられたスイッチがオフになり、端子接続手段102への電力供給が停止される。
【0053】
そして、支持台10は、第二位置P2に到達するとその位置で停止する。この状態で、図4及び図5に示す如く、支持台10に掛止させた各誘導型電力計Mは、円板D及び軸体Sを上方に向けた状態(第二状態B)になる。
【0054】
そして、作業者は、クランプ104を緩めた上でメータ掛止手段101による誘電型電力計Mの掛止を解除し、各誘導型電力計MをベルトコンベアBC上に移動させる(図1参照)。このときにおいても、支持台10は、ベルトコンベアBCの搬送面に対応する第二位置P2にあるため、作業者は支持台10上の誘導型電力計Mを大きく持ち上げることなく横方向に移動させるようにして誘導型電力計MをベルトコンベアBC上に配置できる。
【0055】
しかる後、ベルトコンベアBCを作動させ、後続の誘導型電力計Mに対しても上記工程により円板D及び軸体Sの微調整を行う。
【0056】
そして、異なるタイプの誘導型電力計Mの組み立て作業を行う場合(円板D及び軸体Sの微調整を行う場合)、支持台10を第二位置P2に位置させた状態でロック手段302によるロックを解除し、他の面が上方に向くように支持台10を回転軸103回りで回転させる。そして、微調整(組み立て)の対象となる誘導型電力計Mを掛止できるメータ掛止手段101の設けられた面が上方に向くと、ロック手段302で支持台10の回転を規制する。この状態で、先の対象と異なる誘導型電力計Mを掛止できる状態となるので、上述と同様の工程で誘導型電力計Mの円板D及び軸体Sの微調整が行われる。
【0057】
以上のように、上記構成の電力計支持装置1によれば、支持台10は、メータ掛止手段101に掛止された誘導型電力計Mの前記軸体Sが垂直方向に延びる第一状態Aと、該軸体Sが横方向に延びる第二状態Bとに切り換え可能となるように、所定の回転中心(回転軸)103回りで回転可能に構成され、作業者が視認可能な第一位置P1で第一状態Aとなるように構成されているので、二つ以上の誘導型電力計Mが作業者の姿勢(視線)に応じた配置になり、各誘導型電力計Mの円板D及び軸体Sの姿勢を連続的に調整することができる。
【0058】
また、支持台10が第一位置P1よりも低い第二位置P2で第二状態Bとなるように構成されているので、誘導型電力計Mを大きく持ち上げることなく支持台10上に配置することでメータ掛止手段101に掛止させることができる。特に、誘導型電力計Mが流れ作業で組み立てられる場合(ベルトコンベアBCによって搬送されつつ組み立てられる場合)、当該電力計支持装置1をベルトコンベアBCに隣接して配置するとともに、第二位置P2をベルトコンベアBCの配置に合わせれば、ベルトコンベアBC上の誘導型電力計Mを横方向にスライドさせることで誘導型電力計Mを支持台10上に配置することができる。従って、作業者に対する誘導型電力計Mの持ち運び作業の負担を軽減することができる。
【0059】
また、本実施形態に係る電力計支持装置1は、メータ掛止手段101が二つ以上の誘導型電力計Mを横並び状態で掛止可能に構成されているので、メータ掛止手段101で二つ以上の誘導型電力計Mを掛止させた状態で支持台10を昇降させることで二つ以上の誘導型電力計の配置を一度に変更できる。
【0060】
従って、多数の誘導型電力計Mに対する作業を行う際に支持台10の昇降回数を減らすことができ、作業時間の短縮(作業効率の効率化)を図ることができる。
【0061】
さらに、前記支持台10は、第一位置P1に位置した状態で、メータ掛止手段101に掛止された誘導型電力計Mの端子Tに対して端子接続手段102を介して電力供給するように構成されているので、作業者が円板D及び軸体Sの姿勢を確認する位置以外で円板Dが回転することがなく、支持台10の移動(昇降)時に円板Dが不用意に回転して故障してしまうことを防止することができる。また、電力供給についての作業を作業者が手作業で行う必要がなく、作業者の作業負担の軽減することができる。
【0062】
さらに、前記支持台10は、外観多角柱状に形成された支持台本体100を備え、該支持台10の回転中心が支持台本体100の中心線上、又は該中心線と平行な軸線上に設定され、支持体本体100の外周を画定する各面にメータ掛止手段101が設けられ、各面上で種類の異なる誘導型電力計Mが掛止可能に構成されているので、一台の電力計支持装置1で複数種類の誘導型電力計Mに対する調整作業を行うことができる。
【0063】
尚、本発明に係る電力計支持装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0064】
上記実施形態において、支持体を三角柱状に形成し、外周を構成する各面(三つの面)のそれぞれにメータ掛止手段101を設けるようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、支持台10をプレート状に形成し、その一面にメータ掛止手段101を設けるとともに、支持台10を所定の回転中心(メータ掛止手段101に掛止させた誘導型電力計Mの軸体Sと直交する方向に延びる回転軸103)回りで回転可能に構成してもよい。このようにしても、支持体を回転軸103回りで回転させることで、メータ掛止手段101に掛止させた誘導型電力計Mの軸体Sが上下方向に延びる第一状態Aと、軸体Sが横方向(水平方向)に延びる第二状態Bとに切り換えることができる。
【0065】
上記実施形態において、支持台本体100を三角柱状に形成したが、これ限定されるものではなく、例えば、支持台本体100を四角柱や五角柱等の多角柱状に形成し、外周を構成(画定)する複数の面のそれぞれにメータ掛止手段101(二つ以上の誘導型電力計Mを掛止可能なメータ掛止手段101)を設け、各面において異なる種類の誘導型電力計Mを掛止可能(支持可能)に構成してもよい。
【0066】
上記実施形態において、支持台10を三角柱状に形成し、外周を構成する各面にメータ掛止手段101を設け、各面において異なる種類の誘導型電力計Mを掛止可能に構成したが、これに限定されるものではなく、例えば、各面において同種の誘導型電力計Mを掛止可能に構成してもよい。これは支持台10を四角柱や五角柱等の多角柱上にする場合も同様である。
【0067】
上記実施形態において、支持台10が第一位置P1に到達すると、端子接続手段102を介して誘導型電力計Mの端子Tに電気を供給するようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、作業者がその作業タイミングに応じて電力供給とその停止を切り換えるための手動スイッチを設けるようにし、電力供給とその停止を手動で行うようにしてもよい。
【0068】
上記実施形態において、第一位置P1と第二位置P2との間で支持台10が昇降するのに併せて該支持台10が第一状態Aと第二状態Bとに自動的に切り替わるようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、支持台10の昇降と状態の切り換えを独立させてもよい。従って、支持台10が第一位置P1や第二位置P2に到達した状態で作業者が支持台10を回転軸103回りで回転させるようにしてもよい。但し、支持台10を回転させた後に回転後の姿勢を維持させるようにロック手段を設けることは言うまでもない。
【0069】
上記実施形態において、組み立て途中の誘導型電力計Mが搬送されるベルトコンベアBCに対して電力計支持装置1を隣接した配置することを前提に、第二位置P2(支持台10の下降位置)をベルトコンベアBCの配置に対応させるようにしたが、これに限定されるものではなく、第二位置P2は、作業者にとって誘導型電力計Mを支持台10に載置し易い高さであればよい。また、上記実施形態において、流れ作業を前提にベルトコンベアBCに隣接して電力計支持装置1を配置するようにしたが、例えば、いわゆる屋台方式で組み立て作業を行う場合には、電力計支持装置1は独立して設置するようにしても勿論よい。
【符号の説明】
【0070】
1…電力計支持装置、10…支持台、11a,11b…支柱、11c…梁材、12…昇降手段、20…姿勢変更手段、30…掛止面切換手段、100…支持台本体、101…メータ掛止手段、102…端子接続手段、103…回転軸、104…クランプ、120a,120b…スプロケット、121…チェーン、122…軸受体、200…ガイドレール、200a…ガイドプレート、200b…長穴、201…ガイドローラ、202…トルク伝達プレート、300…回転規制フレーム、301…回転フレーム、302…ロック手段、303…筒状部、A…第一状態、B…第二状態、BC…ベルトコンベア、D…円板、FS…フットスイッチ、DM…駆動モータ、M…誘導型電力計、P1…第一位置、P2…第二位置、S…軸体、T…端子、TA…端子部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向の昇降可能な支持台を備え、支持台は、少なくとも円板が該円板の中心を通るように設けられた軸体を中心にして回転可能に組み付けられた誘導型電力計を掛止可能に構成されたメータ掛止手段を備えるとともに、メータ掛止手段に掛止させた誘導型電力計の端子に電気接続可能な端子接続手段を備えた電力計支持装置において、前記支持台は、メータ掛止手段に掛止された誘導型電力計の前記軸体が上下方向に延びる第一状態と、該軸体が横方向に延びる第二状態とに切り換え可能となるように所定の回転中心回りで回転可能に設けられ、作業者が視認可能な第一位置で第一状態となる一方、第一位置よりも低い第二位置で第二状態となるように構成され、前記メータ掛止手段は、二つ以上の誘導型電力計を横並び状態で掛止可能に構成されていることを特徴とする電力計支持装置。
【請求項2】
前記支持台が第一位置に位置した状態で、メータ掛止手段に掛止された誘導型電力計の端子に端子接続手段を介して電力供給するように構成されている請求項1に記載の電力計支持装置。
【請求項3】
前記支持台は、前記支持台は、外観多角柱状に形成された支持台本体を備え、前記回転中心は、支持台本体の中心線上、又は該中心線と平行な軸線上に設定され、支持体本体の外周を画定する各面にメータ掛止手段が設けられ、各面上で種類の異なる誘導型電力計が掛止可能に構成されている請求項1又は2に記載の電力計支持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−185637(P2011−185637A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−49081(P2010−49081)
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【出願人】(599151776)中国計器工業株式会社 (49)