説明

電力計測装置および、これを用いた電力計測システム

【課題】計測値の和・差に対して生じるユーザーの違和感を抑制する電力計測装置および、これを用いた電力計測システムを提供する。
【解決手段】DC/DCコンバータ5と、DC/ACインバータ7とを含んで構成される電源システムに用いられ、DC/DCコンバータ5からDC/ACインバータ7に電力供給する第1の直流電力系統K2と、第1の直流電力系統K2に対して電力供給されるまたは電力供給する第2の直流電力系統K3と、DC/ACインバータ7が交流電力を出力する交流電力系統K1との電力を計測する計測部21〜23と、DC/ACインバータ7の電力変換効率に基づいて、第1,第2の直流電力系統K2,K3の各計測値Pb1,Pc1の和が、交流電力系統K1の計測値Pa1に一致するように、計測値Pb1,Pc1を補正する演算部11とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力計測装置および、これを用いた電力計測システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、太陽電池によって発生した直流電力を交流電力に変換し、交流負荷に電力を供給する電源システムがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この電源システムは、図4に示すように、太陽電池アレイ4とDC/DCコンバータ5と蓄電装置6とDC/ACインバータ7とで構成されている。
【0004】
太陽電池アレイ4は、複数の太陽電池で構成されており、太陽光を受光することによって発電した直流電圧をDC/DCコンバータ5に出力する。
【0005】
DC/DCコンバータ5は、太陽電池アレイ4が出力する直流電圧を、所定の直流電圧に変換し、蓄電装置6およびDC/ACインバータ7に出力する。
【0006】
蓄電装置6は、DC/DCコンバータ5から電力供給されることによって充電される。また、蓄電装置6は、蓄電した電力をDC/ACインバータ7に供給することによって放電する。
【0007】
DC/ACインバータ7は、DC/DCコンバータ5および蓄電装置6から出力される直流電圧を所定の交流電圧に変換する。
【0008】
なお、DC/ACインバータ7が交流電圧を出力する電路を交流電力系統K1と称す。また、DC/DCコンバータ5からDC/ACインバータ7に電力供給する電路を第1の直流電力系統K2、第1の直流電力系統K2から蓄電装置6に接続された充放電路を第2の直流電力系統K3と称す。
【0009】
そして、電力計測装置1aは、上記の電源システムに用いられ、各電力系統K1,K2,K3の電力を計測する計測部21,22,23を備えている。そして、電力計測装置1aは、計測部21〜23の各計測結果を表示部3に出力して、計測結果をユーザーに表示する。
【0010】
なお、計測部21が計測する交流電力系統K1の計測値をPa、計測部22が計測する第1の直流電力系統K2の計測値をPb,計測部23が計測する第2の直流電力系統K3の計測値をPcとする。なお、蓄電装置6から第2の直流電力系統K3を介して第1の直流電力系統K2に電力供給(放電)している場合に、計測部23の計測値Pcの符号を正とする。また、第1の直流電力系統K2から第2の直流電力系統K3を介して蓄電装置6に電力供給(充電)している場合に、計測部23の計測値Pcの符号を負とする。
【0011】
したがって、蓄電装置6が放電している場合、DC/ACインバータ7に入力される電力はPb+Pcとなり、蓄電装置6が充電されている場合、DC/ACインバータ7に入力される電力はPb−Pcとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2004−180467号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかし、DC/ACインバータ7が直流電圧を交流電圧に変換する際に、電力損失が発生する。そのため、従来の電力計測装置1aでは、交流電力系統K1の計測値Paが、第1の直流電力系統K2の計測値Pbと第2の直流電力系統K3の計測値Pcとの和よりも小さくなる(Pa<Pb+Pc)。そのため、表示部3に表示される計測値Pa,Pb,Pcに対して、ユーザーに違和感が生じていた。
【0014】
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、計測値の和・差に対して生じるユーザーの違和感を抑制する電力計測装置および、これを用いた電力計測システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の電力計測装置は、太陽電池の出力電圧を所定の直流電圧に変換するDC/DCコンバータと、前記DC/DCコンバータが出力する直流電圧を所定の交流電圧に変換するDC/ACインバータとを含んで構成される電源システムに用いられ、前記DC/DCコンバータから前記DC/ACインバータに電力供給する第1の直流電力系統と、当該第1の直流電力系統から電力供給される、または前記第1の直流電力系統に電力供給する1乃至複数の第2の直流電力系統と、前記DC/ACインバータが交流電力を供給する交流電力系統との電力系統毎の電力を計測する電力計測装置において、前記DC/DCコンバータが前記第1の直流電力系統に供給する電力を計測する第1の計測部と、前記第1の直流電力系統と前記第2の直流電力系統の各々との間で授受される電力を計測する第2の計測部と、前記DC/ACインバータが前記交流電力系統に供給する電力を計測する第3の計測部と、前記DC/ACインバータの電力変換効率に基づいて、前記第1,第2の計測部の各計測値の和が、前記第3の計測部の計測値に一致するように、前記第1,第2の計測部の各計測値を補正する演算部とを備えることを特徴とする。
【0016】
この電力計測装置において、前記演算部は、前記第1,第2の計測部の各計測値の和に対する前記第1の計測部の計測値の比を、前記第3の計測部の計測値に乗算した結果を補正後の前記第1の計測部の計測値とし、前記第1,第2の直流電力系統の各計測値の和に対する前記第2の計測部の計測値の比を、前記第3の計測部の計測値に乗算した結果を補正後の前記第2の計測部の計測値とすることが好ましい。
【0017】
この電力計測装置において、前記演算部は、前記第3の計測部の計測値を、前記第1,第2の計測部の各計測値の和で除算することで、前記DC/ACインバータの電力変換効率を算出し、当該電力変換効率を、前記第1,第2の計測部の各計測値に乗算することで、前記第1,第2の計測部の各計測値を補正することが好ましい。
【0018】
この電力計測装置において、前記演算部は、前記第3の計測部の計測値と前記第1の直流電力系統から前記第2の直流電力系統に供給される電力を計測する前記第2の計測部の計測値との和を、前記第1の計測部の計測値と前記第2の直流電力系統から前記第1の直流電力系統に供給される電力を計測する前記第2の計測部の計測値との和で除算することで補正係数を算出し、当該補正係数を、前記第1の計測部の計測値および、前記第2の直流電力系統から前記第1の直流電力系統に供給される電力を計測する前記第2の計測部の計測値に乗算することで、前記第1,第2の計測部の計測値を補正することが好ましい。
【0019】
この電力計測装置において、少なくとも1つの前記第2の直流電力系統は、前記第1の直流電力系統からの電力供給による蓄電および、前記第1の直流電力系統への電力供給による放電を行う蓄電装置が接続された充放電路で構成されることが好ましい。
【0020】
この電力計測装置において、少なくとも1つの前記第2の直流電力系統は、前記第1の直流電力系統から供給される電力を消費する負荷が接続される電路で構成されることが好ましい。
【0021】
本発明の電力計測システムは、太陽電池の出力電圧を所定の直流電圧に変換するDC/DCコンバータと、前記DC/DCコンバータが出力する直流電圧を所定の交流電圧に変換するDC/ACインバータとを含んで構成される電源システムに用いられ、前記DC/DCコンバータから前記DC/ACインバータに電力供給する第1の直流電力系統と、当該第1の直流電力系統から電力供給される、または前記第1の直流電力系統に電力供給する1乃至複数の第2の直流電力系統と、前記DC/ACインバータが交流電力を出力する交流電力系統との電力系統毎の電力を計測する電力計測装置において、前記第1,第2の直流電力系統および前記交流電力系統における電力系統毎の電力を計測する計測部と、前記DC/ACインバータの電力変換効率に基づいて、前記第1,第2の直流電力系統の各計測値の和が、前記交流電力系統の計測値に一致するように、前記第1,第2の直流電力系統の各計測値を補正する演算部とを備える電力計測装置と、前記演算部が算出した補正後の前記第1,第2の計測部の計測値および前記第3の計測部の計測値を出力する出力部と、前記出力部から出力される各計測値を表示する表示部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、本発明では、計測値の和・差に対して生じるユーザーの違和感を抑制することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態1の電力計測装置および電力計測システムのブロック構成図である。
【図2】同上の電力計測装置および電力計測システムのブロック構成図である。
【図3】同上の実施形態の2の電力計測装置および電力計測システムのブロック構成図である。
【図4】従来の電力計測装置のブロック構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0025】
(実施形態1)
図1に本実施形態の電力計測装置1および電力計測システム10のブロック構成図を示す。なお、従来例と同一構成には、同一符号を付して説明は省略する。
【0026】
本実施形態の電力計測装置1は、計測部21〜23と演算部11と出力部12とを備えている。そして、電力計測装置1と表示部3とで電力計測システム10を構成している。
【0027】
計測部21は、DC/ACインバータ7が交流電力系統K1に供給する電力を計測しており、本願発明の第3の計測部に相当する。計測部22は、DC/DCコンバータ5が第1の直流電力系統K2に供給する電力を計測しており、本願発明の第1の計測部に相当する。計測部23は、第1の直流電力系統K2と第2の直流電力系統K3との間で授受される電力を計測しており、本願発明の第2の計測部に相当する。以降、計測部21の計測値Pa1を交流電力系統K1の計測値Pa1、計測部22の計測値Pb1を第1の直流電力系統K2の計測値Pb1、計測部23の計測値Pc1を第2の直流電力系統K3の計測値Pc1と称す。
【0028】
なお、計測部21の計測値をPa1、計測部22の計測値をPb1、計測部23の計測値をPc1とする。なお、第1の直流電力系統K2を介して蓄電装置6からDC/ACインバータ7に電力供給して放電している場合に、計測部23の計測値Pc1の符号を正とする。また、第1の直流電力系統K2を介してDC/DCコンバータ5から蓄電装置6に電力供給されて充電している場合に、計測部23の計測値Pc1の符号を負とする。
【0029】
そして、演算部11は、DC/ACインバータ7の電力変換効率を考慮して、第1,第2の直流電力系統K2,K3の計測値Pb1,Pc1を補正した補正値Pb2,Pc2を算出する。
【0030】
出力部12は、演算部11が算出した補正値Pb2,Pc2と計測値Pa1とを瞬時電力表示用データとして表示部3に出力する。
【0031】
表示部3は、モニターで構成されており、出力部12から出力される計測値Pa1と補正値Pb2,Pc2とを表示し、ユーザーに各電力系統K1〜K3の瞬時電力を報知する。
【0032】
以下に、演算部11が行う補正値Pb2,Pc2の算出方法について説明する。
【0033】
まず、演算部11は、各計測部21〜23の各計測値Pa1,Pb1,Pc1を取得する。そして、演算部11は、第1,第2の直流電力系統K2,K3の計測値Pb1,Pc1の比に基づいて、交流電力系統K1の計測値Pa1を按分することで、補正値Pb2,Pc2を算出する。
【0034】
具体的には、演算部11は、下記式(1)に示すように、第1,第2の直流電力系統K2,K3の計測値Pb1,Pc1の和に対する第1の直流電力系統K2の計測値Pb1の比を、交流電力系統K1の計測値Pa1に乗算することで、補正値Pb2を算出する。
Pb2=Pa1×(Pb1/(Pb1+Pc1)) …(1)
同様に、演算部11は、下記式(2)に示すように、第1,第2の直流電力系統K2,K3の計測値Pb1,Pc1の和に対する第2の直流電力系統K3の計測値Pc1の比を、交流電力系統K1の計測値Pa1に乗算することで、補正値Pc2を算出する。
Pc2=Pb1×(Pc1/(Pb1+Pc1)) …(2)
そして、出力部12は、演算部11が算出した補正値Pb2,Pc2と、計測部21の計測値Pa1とを、瞬時電力表示用データとして表示部3に出力する。
【0035】
本実施形態では、交流電力系統K1の計測値Pa1を按分して、補正値Pb2,Pc2を算出しているので、補正値Pb2,Pc2の和が計測値Pa1に一致する(Pa1=Pb2+Pc2)。したがって、表示部3に表示された計測値Pa1,補正値Pb2,Pc2に対して、ユーザーに違和感が生じることがない。
【0036】
また、電源システムは上記構成に限定するものではなく、図2に示すようにDC/DCコンバータ5が出力する直流電圧を所定の直流電圧に変換して負荷に供給するDC/DCコンバータ8を備えていてもよい。なお、第1の電力系統K1からDC/DCコンバータ8に接続される電路を第2の直流電力系統K4と称す。すなわち、第2の直流電力系統は、K3とK4とで構成されている。
【0037】
この場合、電力計測装置1は、第1の直流電力系統K2から第2の直流電力系統K4に供給される電力を計測する計測部24を備えており、計測部24の計測値をPd1と称す。この計測部24は、本願発明の第2の計測部に相当する。以降、計測部24の計測値Pd1を、第2の直流電力系統K4の計測値Pd1と称す。なお、第1の直流電力系統K2から第2の直流電力系統K4を介してDC/DCコンバータ8に電力供給されており、計測値Pd1の符号は負となる。
【0038】
そして、演算部11は、第1の直流電力系統K2および第2の直流電力系統K3,K4の計測値Pb1,Pc1,Pd1を補正した補正値Pb3,Pc3,Pd3の和が、交流電力系統K1の計測値Pa1に一致するように補正値Pb3,Pc3,Pd3を算出する。演算部11は、上記同様に各計測値Pb1,Pc1,Pd1の比に基づいて計測値Pa1を按分することで、補正値Pb3,Pc3,Pd3を算出する。
【0039】
演算部11は、下記式(3)に示すように、第1の直流電力系統K2および第2の直流電力系統K3,K4の計測値Pb1,Pc1,Pd1の和に対する第1の直流電力系統K2の計測値Pb1の比を、計測値Pa1に乗算することで補正値Pb3を算出する。
Pb3=Pa1×(Pb1/(Pb1+Pc1+Pd1)) …(3)
また、演算部11は、下記式(4)に示すように、第1の直流電力系統K2および第2の直流電力系統K3,K4の計測値Pb1,Pc1,Pd1の和に対する第2の直流電力系統K3の計測値Pc1の比を、計測値Pa1に乗算することで補正値Pc3を算出する。
Pc3=Pa1×(Pc1/(Pb1+Pc1+Pd1)) …(4)
また、演算部11は、下記式(5)に示すように、第1の直流電力系統K2および第2の直流電力系統K3,K4の計測値Pb1,Pc1,Pd1の和に対する第2の直流電力系統K4の計測値Pd1の比を、計測値Pa1に乗算することで補正値Pd3を算出する。
Pd3=Pa1×(Pd1/(Pb1+Pc1+Pd1)) …(5)
このように、第2の直流電力系統が複数ある場合でも、交流電力系統K1の計測値Paを、第1の直流電力系統K2および第2の直流電力系統K3,K4の計測値Pb1,Pc1,Pd1の比に基づいて按分することで補正値Pb3,Pc3,Pd3を算出する。それによって、交流電力系統K1の計測値Pa1が、補正値Pb3,Pc3,Pd3の和に一致する(Pa1=Pb3+Pc3+Pd3)。したがって、表示部3に表示された計測値Pa1,補正値Pb3,Pc3,Pd3に対してユーザーに違和感が生じることがない。
【0040】
(実施形態2)
本実施形態の電力計測装置1は、DC/ACインバータ7の電力変換効率ηを算出し、第1,第2の直流電力系統K2,K3の計測値Pb1,Pc1を補正して補正値Pb2,Pc2を算出する。なお、実施形態1と同一構成には、同一符号を付して説明は省略する。
【0041】
本実施形態の電力計測装置1は、図3に示すように、DC/ACインバータ7に入力される電力を計測する計測部25を備えており、計測部25の計測値をPe1と称す。この計測値Pe1は、第1,第2の直流電力系統K2,K3の計測値Pb1,Pc1の和に一致する(Pe1=Pb1+Pc1)。
【0042】
まず、演算部11は、計測部21が計測した交流電力系統K1の計測値Pa1と、計測部25が計測したDC/ACインバータ7に入力される電力である計測値Pe1とから、DC/ACインバータ7の電力変換効率ηを算出する。具体的には、演算部11は、下記式(6)に示すように、計測値Pa1を計測値Pe1で除算することで電力変換効率ηを算出する。
η=Pa1/Pe1 …(6)
そして、演算部11は、下記式(7)(8)に示すように、算出した電力変換効率ηを第1,第2の直流電力系統K2,K3の計測値Pb1,Pc1の各々に乗算することで、補正値Pb2,Pc2を算出する。
Pb2=η×Pb1 …(7)
Pc2=η×Pc1 …(8)
そして、出力部12は、演算部11が算出した補正値Pb2,Pc2と、計測部21の計測値Pa1とを、瞬時電力表示用データとして表示部3に出力する。
【0043】
本実施形態では、DC/ACインバータ7の電力変換効率ηを算出し、この電力変換効率ηを第1,第2の直流電力系統K2,K3の計測値Pb1,Pc1の各々に乗算することで、補正値Pb2,Pc2を算出している。したがって、補正値Pb2,Pc2の和が、交流電力系統K1の計測値Pa1に一致する(Pa1=Pb2+Pc2)。したがって、表示部3に表示された計測値Pa1,補正値Pb2,Pc2に対して、ユーザーに違和感が生じることがない。
【0044】
(実施形態3)
本実施形態の電力計測装置1を図2を用いて説明する。本実施形態の電力計測装置1は、DC/ACインバータ7の変換効率に基づいた補正係数を算出する。そして、補正係数を用いて第1の直流電力系統K2および第2の直流電力系統K3の計測値Pb1,Pc1の補正を行う。なお、実施形態1と同一構成には、同一符号を付して説明は省略する。
【0045】
まず、検出部23が、第1の直流電力系統K2から第2の直流電力系統K3に供給される電力、すなわち、DC/DCコンバータ5から蓄電装置6へ供給される充電電力を検出している場合について説明する。
【0046】
演算部11は、各計測部21〜24の各計測値Pa1〜Pd1から、DC/ACインバータ7の補正係数を算出する。以降、蓄電装置6の充電時におけるDC/ACインバータ7の補正係数をαと称す。演算部11は、下記式(9)に示すように、計測部21の計測値Pa1と計測部23,24の計測値Pc1,Pd1の絶対値との和を、計測部22の計測値Pb1で除算することで補正係数αを算出する。
α=(Pa1+|Pc1|+|Pd1|)/Pb1 …(9)
そして、演算部11は、下記式(10)に示すように、算出した補正係数αを計測部22の計測値Pb1に乗算することで、補正値Pb3を算出する。
Pb3=α×Pb1 …(10)
そして、出力部12は、演算部11が算出した補正値Pb3と、計測部21,23,24の計測値Pa1,Pc1,Pd1とを、瞬時電力表示用データとして表示部3に出力する。
【0047】
このように、本実施形態では、蓄電装置6の充電時におけるDC/ACインバータ7の補正係数αを用いて、DC/ACインバータ7に供給される電力の計測値(計測部22のの計測値Pb1)のみ補正を行う。すなわち、DC/ACインバータ7に供給されない電力の計測値(計測部21,23,24の計測値Pa1,Pc1,Pd1)の補正を行わず、計測値Pa1,Pc1,Pd1を瞬時電力表示用データとして用いる。そのため、算出される補正値Pb3は、実際に計測された計測値Pb1に近い値となり、演算部11の補正による計測値Pb1と補正値Pb3との差を小さくすることができる。
【0048】
次に、検出部23が、第2の直流電力系統K3から第1の直流電力系統K1に供給される電力、すなわち、蓄電装置6からDC/ACインバータ7へ供給する放電電力を検出している場合について説明する。
【0049】
演算部11は、各計測部21〜24の各計測値Pa1〜Pd1から、DC/ACインバータ7の補正係数を算出する。以降、蓄電装置6の放電時におけるDC/ACインバータ7の補正係数をβと称す。演算部11は、下記式(11)に示すように、計測部21の計測値Pa1と計測部24の計測値Pd1の絶対値との和を、計測部22の計測値Pb1と計測部23の計測値Pc1との和で除算することで補正係数βを算出する。
β=(Pa1+|Pd1|)/(Pb1+Pc1) …(11)
そして、演算部11は、下記式(12)(13)に示すように、算出した補正係数βを計測部22,23の計測値Pb1,Pc1に各々乗算することで、補正値Pb4,Pc4を算出する。
Pb4=β×Pb1 …(12)
Pc4=β×Pc1 …(13)
そして、出力部12は、演算部11が算出した補正値Pb4,Pc4と、計測部21,24の計測値Pa1,Pd1とを、瞬時電力表示用データとして表示部3に出力する。
【0050】
このように、本実施形態では、蓄電装置6の放電時におけるDC/ACインバータ7の補正係数βを用いて、DC/ACインバータ7に供給される電力の計測値(計測部22,23の計測値Pb1,Pc1)のみ補正を行う。すなわち、DC/ACインバータ7に供給されない電力の計測値(計測部21,24の計測値Pa1,Pd1)の補正を行わず、計測値Pa1,Pd1を瞬時電力表示用データとして用いる。そのため、算出される補正値Pb4,Pc4は、実際に計測された計測値Pb1,Pc1に近い値となり、演算部11の補正による計測値Pb1,Pc1と補正値Pb4,Pc4との差を小さくすることができる。
【符号の説明】
【0051】
1 電力計測装置
3 表示部
4 太陽電池アレイ
5 DC/DCコンバータ
6 蓄電装置
7 DC/ACインバータ
11 演算部
12 出力部
21,22,23 計測部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池の出力電圧を所定の直流電圧に変換するDC/DCコンバータと、前記DC/DCコンバータが出力する直流電圧を所定の交流電圧に変換するDC/ACインバータとを含んで構成される電源システムに用いられ、前記DC/DCコンバータから前記DC/ACインバータに電力供給する第1の直流電力系統と、当該第1の直流電力系統から電力供給される、または前記第1の直流電力系統に電力供給する1乃至複数の第2の直流電力系統と、前記DC/ACインバータが交流電力を供給する交流電力系統との電力系統毎の電力を計測する電力計測装置において、
前記DC/DCコンバータが前記第1の直流電力系統に供給する電力を計測する第1の計測部と、
前記第1の直流電力系統と前記第2の直流電力系統の各々との間で授受される電力を計測する第2の計測部と、
前記DC/ACインバータが前記交流電力系統に供給する電力を計測する第3の計測部と、
前記DC/ACインバータの電力変換効率に基づいて、前記第1,第2の計測部の各計測値の和が、前記第3の計測部の計測値に一致するように、前記第1,第2の計測部の各計測値を補正する演算部とを備えることを特徴とする電力計測装置。
【請求項2】
前記演算部は、前記第1,第2の計測部の各計測値の和に対する前記第1の計測部の計測値の比を、前記第3の計測部の計測値に乗算した結果を補正後の前記第1の計測部の計測値とし、前記第1,第2の直流電力系統の各計測値の和に対する前記第2の計測部の計測値の比を、前記第3の計測部の計測値に乗算した結果を補正後の前記第2の計測部の計測値とすることを特徴とする請求項1記載の電力計測装置。
【請求項3】
前記演算部は、前記第3の計測部の計測値を、前記第1,第2の計測部の各計測値の和で除算することで、前記DC/ACインバータの電力変換効率を算出し、当該電力変換効率を、前記第1,第2の計測部の各計測値に乗算することで、前記第1,第2の計測部の各計測値を補正することを特徴とする請求項1記載の電力計測装置。
【請求項4】
前記演算部は、前記第3の計測部の計測値と前記第1の直流電力系統から前記第2の直流電力系統に供給される電力を計測する前記第2の計測部の計測値との和を、前記第1の計測部の計測値と前記第2の直流電力系統から前記第1の直流電力系統に供給される電力を計測する前記第2の計測部の計測値との和で除算することで補正係数を算出し、当該補正係数を、前記第1の計測部の計測値および、前記第2の直流電力系統から前記第1の直流電力系統に供給される電力を計測する前記第2の計測部の計測値に乗算することで、前記第1,第2の計測部の計測値を補正することを特徴とする請求項1記載の電力計測装置。
【請求項5】
少なくとも1つの前記第2の直流電力系統は、前記第1の直流電力系統からの電力供給による蓄電および、前記第1の直流電力系統への電力供給による放電を行う蓄電装置が接続された充放電路で構成されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電力計測装置。
【請求項6】
少なくとも1つの前記第2の直流電力系統は、前記第1の直流電力系統から供給される電力を消費する負荷が接続される電路で構成されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電力計測装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の電力計測装置と、前記演算部が算出した補正後の前記第1,第2の計測部の計測値および前記第3の計測部の計測値を出力する出力部と、前記出力部から出力される各計測値を表示する表示部とを備えることを特徴とする電力計測システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−173149(P2012−173149A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−35686(P2011−35686)
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【出願人】(505155012)パナソニックエコソリューションズ電路株式会社 (140)