電力量計
【課題】 螺合部材の支持部から螺合部材が脱落することを防止する。
【解決手段】 電力量計本体ベースと、該電力量計本体ベースに着脱自在に取り付けられるパッケージ化された計量部とを備えた電力量計であって、計量部は、該計量部を電力量計本体ベースに固定するための螺合部材を挿通する挿通孔を有する螺合部材支持部と、該螺合部材支持部から挿通孔の軸長方向に所定の距離をおいて配置され、抜去方向に移動した螺合部材の頭部に当接して係止することで、螺合部材のそれ以上の移動を規制し、螺合部材が螺合部材支持部から脱落するのを防止する係止部とを備える。
【解決手段】 電力量計本体ベースと、該電力量計本体ベースに着脱自在に取り付けられるパッケージ化された計量部とを備えた電力量計であって、計量部は、該計量部を電力量計本体ベースに固定するための螺合部材を挿通する挿通孔を有する螺合部材支持部と、該螺合部材支持部から挿通孔の軸長方向に所定の距離をおいて配置され、抜去方向に移動した螺合部材の頭部に当接して係止することで、螺合部材のそれ以上の移動を規制し、螺合部材が螺合部材支持部から脱落するのを防止する係止部とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力量計に関し、詳しくは、計量部を電力量計本体ベースに固定する螺合部材の電力量計からの脱落を防止する電力量計に関する。
【背景技術】
【0002】
電力量計においては、一定期間ごとに、交換、点検改修、およびメンテナンスが行われている。電力量計の交換、点検改修、およびメンテナンスの作業性を上げることを目的として、電力量計の機能ごとにユニット化することが行われている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−181297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電力量計の各機能をユニット化する場合、各ユニットは、電力量計本体ベースに取り付けられる必要がある。ボルト等の螺合部材を利用して各ユニットが電力量計本体ベースに取り付けられる場合、各ユニットと電力量計本体ベースとを接続する螺合部材を締める必要がある。逆に、各ユニットを電力量計本体ベースから取り外す場合、螺合部材を緩める必要がある。
【0005】
ここで、螺合部材の締緩作業は、住居の壁面に垂直に取り付けられた電力量計本体ベースに対して行われるので、締緩作業は、他のユニットへの締緩工具の干渉や、作業スペースの狭さ等から困難である場合がある。また、螺合部材が螺合部材の支持部から脱落した場合、落下した螺合部材を拾って支持部に再度挿入する必要があるなど、作業が煩雑になりがちである。特に、落下した螺合部材が既に取り付けられたユニット内に入ってしまった場合等では、螺合部材を取り出す作業がさらに必要になる。
【0006】
本発明は、斯かる事情に鑑み、螺合部材の支持部から螺合部材が脱落することを防止する電力量計を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記の課題を解決するためのものであって、電力量計本体ベースと、該電力量計本体ベースに着脱自在に取り付けられるパッケージ化された計量部とを備えた電力量計であって、計量部は、該計量部を電力量計本体ベースに固定するための螺合部材を挿通する挿通孔を有する螺合部材支持部と、該螺合部材支持部から挿通孔の軸長方向に所定の距離をおいて配置され、抜去方向に移動した螺合部材の頭部に当接して係止することで、螺合部材のそれ以上の移動を規制し、螺合部材が螺合部材支持部から脱落するのを防止する係止部とを備えることを特徴とする。
【0008】
斯かる構成によれば、螺合部材支持部に支持される螺合部材が抜去方向に移動したときに、計量部に設けられる係止部がこの螺合部材の頭部に当接して係止することによって、螺合部材が螺合部材支持部から脱落することが防止される。これによって、電力量計のメンテナンス作業を行う際に、作業者は、螺合部材の脱落やこれによる紛失を心配することなく、作業に専念でき、電力量計は利便性の高いものになる。
【0009】
また、計量部は、第1および第2ハウジングを組み合わせることによりパッケージ化され、螺合部材支持部は、第1ハウジング側に設けられ、係止部は、第2ハウジング側に設けられ、第1および第2ハウジングを分離することにより、螺合部材から係止部が離間するように構成されてもよい。
【0010】
斯かる構成によれば、第1ハウジングと第2ハウジングが分離可能に構成されるとともに、螺合部材支持部が第1ハウジング側に設けられ、係止部が第2ハウジング側に設けられることで、第1ハウジングと第2ハウジングとを分離したときに、螺合部材と係止部が離間することで、螺合部材支持部に支持される螺合部材から係止部が離間し、これによって、係止部による螺合部材の係止を解除することができる。これによって、計量部を分解してメンテナンスする必要がある場合には、螺合部材が邪魔にならずに、メンテナンス作業を確実かつ適切に行うことができる。
【0011】
また、螺合部材支持部は、電力量を計量部で計量するための回路を構成すべく、電線に電気的に接続される端子として構成されることが望ましい。
【0012】
斯かる構成によれば、螺合部材支持部を、電力量を計量するための回路の端子として兼用することにより、計量部の部品点数を可及的に減少させ、電力量計の製造コストを低減することが可能になる。
【0013】
また、電力量計本体ベースは、電線が接続される電線接続部と、該電線接続部と螺合部材支持部とを電気的に接続する導電バーを備え、導電バーの一端部が電線接続部に接続され、導電バーの他端部が螺合部材を介して前記螺合部材支持部と接続されるように構成されることが望ましい。
【0014】
斯かる構成によれば、電線接続部と、端子としての螺合部材支持部との間に導電バーを介在させることにより、計量部と電線とを離間した位置で接続することができるようになる。これによって、計量部の大きさや形状の影響を受けることなく、電線を容易かつ確実に計量部に接続することができる。
【0015】
また、係止部は、螺合部材を操作するための工具の所定の動作をガイドするガイド部を有する構成を採用できる。
【0016】
斯かる構成によれば、ガイド部が、螺合部材に対して工具をガイドするので、螺合部材の締緩作業を容易に行うことができるようになる。
【0017】
また、螺合部材は、前記工具が係合する係合凹部を有し、ガイド部は、該工具が螺合部材の係合凹部に係合するように該工具をガイドするガイド面を有する構成を採用できる。
【0018】
斯かる構成によれば、ガイド面によって工具を係合凹部に向かって案内することで、工具を容易に螺合部材の係合凹部に係合させることができ、作業性を高めることができる。
【0019】
また、螺合部材は、前記工具が係合する係合凹部を有し、ガイド部は、前記工具を螺合部材の係合凹部に係合させて該螺合部材を回転させる動作を規制するように、該工具の回転の方向に沿って湾曲する湾曲面を有する構成を採用できる。
【0020】
斯かる構成によれば、螺合部材を回転させるために工具を回転操作する際、工具が半径方向に移動したときに、この湾曲面に当接してその移動が規制される。これにより、作業者は、工具を適切かつ正確に回転させ、螺合部材の締緩作業を行うことができるようになる。
【発明の効果】
【0021】
以上の如く、本発明に係る電力量計によれば、螺合部材支持部から螺合部材が脱落することを防止できるというすぐれた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係る電力量計の平面図を示す。
【図2】同実施形態に係る封印カバーを取り外した状態における電力量計の平面図を示す。
【図3】同実施形態に係る電力量計の電力量計本体ベースの平面図を示す。
【図4】同実施形態に係る電力量計の側面概略図を示す。
【図5】同実施形態に係る電力量計本体ベースの要部平面図を示す。
【図6】同実施形態に係る計量部の側面図を示す。
【図7】同実施形態に係る計量部の平面図を示す。
【図8】同実施形態に係る計量部の底面図を示す。
【図9】同実施形態に係る第1ハウジングの平面図を示す。
【図10】同実施形態に係る第1ハウジングの側面図を示す。
【図11】同実施形態に係る第2ハウジングの平面図を示す。
【図12】同実施形態に係る第2ハウジングの側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る電力量計における一実施形態について、図1〜図12を参酌して説明する。
【0024】
電力量計10は、電線に接続されることで、積算電力量を計算、表示、および通信するためのものである。電力量計10は、図1〜図4に示すように、住居の壁面に取り付けられる電力量計本体ベース20と、電力量計本体ベース20と接続されて電力量を計算および表示する計量部30と、PLC(Power Line Telecommunication)の通信アダプターまたは無線通信アダプターとして機能する通信部40と、電力量計本体ベース20、計量部30、および通信部40の不正操作を防止するための封印カバー50とを備える。
【0025】
電力量計本体ベース20は、電線と計量部30とを接続して、計量部30に電力を供給する。計量部30は、電力量計本体ベース20に接続された電路における電圧値および電流値を計測して、積算電力量を計算する。また、計量部30は、計算された積算電力量を表示するとともに、通信部40に対して送信する。通信部40は、送信された積算電力量を電力会社に対して送信する。
【0026】
電力量計本体ベース20は、長方形状を有する。電力量計本体ベース20は、計量部30および通信部40の一部を収納可能に形成されている。また、電力量計本体ベース20は、封印カバー50を係止して、計量部30および通信部40を封印可能に形成されている。
【0027】
電力量計本体ベース20は、電線と計量部30とを接続する接続部100と、計量部30、接続部100の一部、および通信部40の一部を収納する収納部200と、封印カバー50を固定するための固定部300とを有する。
【0028】
接続部100は、電線と接続される複数の電線接続部110,110,…と、電線接続部110のそれぞれに接続される複数の端子金具120,120,…と、端子金具120のそれぞれに接続される導電バー130と、一部の導電バー130同士を短絡する短絡バー160と、一部の導電バー130から計量部30の動作電力を供給する端子片170とを有する。
【0029】
複数の電線接続部110,110,…は、電力量計本体ベース20の長手方向の一方の端部に設けられる。各電線接続部110は、電力量計本体ベース20の短手方向に所定の間隔をおいて設けられる。本実施形態において、各電線接続部110は、1S端子、2S端子、3S端子、1L端子、2L端子、および3L端子として利用される。1S端子の電線接続部110から3S端子の電線接続部110は、電力会社側の電線に接続される。2S端子の電線接続部110は、中性線用である。1L端子の電線接続部110から3L端子の電線接続部110は、住居側の電線に接続される。2L端子の電線接続部110は、中性線用である。
【0030】
各端子金具120は、長板状に形成され、その長手方向を電力量計本体ベース20の長手方向に沿って配置される。各端子金具120は、その一端部が電線接続部110に接続され、その他端部が導電バー130に電気的に接続される。
【0031】
複数の導電バー130は、導電性の金属、例えば、真鋳や銅等で形成される。複数の導電バー130は、1S端子と計量部30とを電気的に接続する第1の導電バー131と、2S端子と計量部30とを電気的に接続する第2の導電バー132と、3S端子と計量部30とを電気的に接続する第3の導電バー133と、通信部40と計量部30とを電気的に接続する第4の導電バー134と、3L端子と通信部40とを電気的に接続する第5の導電バー135と、通信部40と計量部30とを電気的に接続する第6の導電バー136と、1L端子と通信部40とを電気的に接続する第7の導電バー137とを有する。
【0032】
第1の導電バー131は、長尺状の板形状に形成される。第1の導電バー131は、その長手方向を電力量計本体ベース20の長手方向に沿って配置される。第1の導電バー131は、電線から計量部30へ電力を供給するべく設けられる。第1の導電バー131は、1S端子に対応する端子金具120に接続される端部141と、計量部30に接続される端部142とを有する。
【0033】
第2の導電バー132は、略長尺状の板形状に形成される。第2の導電バー132は、その長手方向を電力量計本体ベース20の長手方向に沿って配置される。第2の導電バー132は、電線から計量部30への中性線用に設けられる。第2の導電バー132は、2S端子に対応する端子金具120に接続される端部143と、計量部30に接続される端部144とを有する。
【0034】
第3の導電バー133は、長尺状の板形状に形成される。第3の導電バー133は、その長手方向を電力量計本体ベース20の長手方向に沿って配置される。第3の導電バー133は、電線から計量部30へ電力を供給するべく設けられる。第3の導電バー133は、3S端子に対応する端子金具120に接続される端部145と、計量部30に接続される端部146とを有する。
【0035】
第4の導電バー134は、通信部40を介して、第5の導電バー135と電気的に接続されるべく設けられる。第4の導電バー134は、計量部30から住居へ電力を供給するべく設けられる。第4の導電バー134は、通信部40に接続される端部147と、計量部30に接続される端部148とを有する。
【0036】
第5の導電バー135は、第4の導電バー134から住居へ電力を供給するべく設けられる。第5の導電バー135は、3L端子に対応する端子金具120に接続される端部149と、通信部40に接続される端部150とを有する。
【0037】
第6の導電バー136は、通信部40を介して、第7の導電バー137と電気的に接続されるべく設けられる。第6の導電バー136は、計量部30から住居へ電力を供給するべく設けられる。第6の導電バー136は、通信部40に接続される端部151と、計量部30に接続される端部152とを有する。
【0038】
第7の導電バー137は、第6の導電バー136から住居へ電力を供給するべく設けられる。第7の導電バー137は、1L端子に対応する端子金具120に接続される端部153と、通信部40に接続される端部154とを有する。
【0039】
ここで、第1の導電バー131、第2の導電バー132、第3の導電バー133、第4の導電バー134、および第6の導電バー136の一方の端部142,144,146,148,152は、電力量計本体ベース20の近傍に沿う位置に配置される。すなわち、端部142,144,146,148,152は、電力量計本体ベース20の短手方向に沿って、所定の間隔をおいて配置される。また、端部142,144,146,148,152のそれぞれは、計量部30の一部と螺合する螺合孔(図示しない)を有する。
【0040】
短絡バー160は、中性線の2S端子に対応する端子金具120と、中性線の2L端子に対応する端子金具120とを短絡するべく設けられる。短絡バー160は、2S端子に対応する端子金具120の端部と、2L端子に対応する端子金具120の端部とを接続する。すなわち、短絡バー160は、2S端子に接続される第2の導電バー132の端部143とも接続される。短絡バー160は、3S端子の端子金具120および3L端子の端子金具120への干渉を避けることを目的として、U字形状を有する。
【0041】
端子片170は、第1の導電バー131の端部142と、第3の導電バー133の端部146とのそれぞれに一部を重ねて設けられる。端子片170は、電力量計本体ベース20の短手方向に、端部142および端部146よりも広い幅を有する。これにより、端子片170は、計量部30に対して第1の導電バー131および第3の導電バー133と並列な回路を形成する。すなわち、端子片170は、第1の導電バー131および第3の導電バー133とは別に、計量部30に動作電力を供給するための回路を形成する。端子片170は、一方が導電バー131,133の端部142,146に電気的に接続され、他方が計量部30に電気的に接続される2つの端子を有する。端子片170の端部は、計量部30の近傍に沿う位置に配置される。
【0042】
収納部200は、図4および図5に示すように、計量部30を収納する第1収納部210と、接続部100の一部および通信部40の一部を収納する第2収納部220とを有する。
【0043】
ここで、収納部200は、電力量計本体ベース20の外縁に沿うように設けられる環状の仕切り壁201と、電力量計本体ベース20の長手方向の中途で電力量計本体ベース20の短手方向に延びる仕切り壁202と、仕切り壁201、202で仕切られた一部の領域を覆うベースカバー203とで構成される。第1収納部210および第2収納部220は、仕切り壁202を介して隣接して形成される。
【0044】
仕切り壁201は、電力量計本体ベース20の底面21から突出して形成される。電力量計本体ベース20の底面21からの仕切り壁201の高さは、底面21からの仕切り壁202の高さよりも高い。
【0045】
仕切り壁202は、電力量計本体ベース20の底面21から突出して形成される。仕切り壁202は、この底面21側の端部に対向する端部に、第1の導電バー131の端部142、第3の導電バー133の端部146、第4の導電バー134の端部148、および第6の導電バー136の端部152のそれぞれと嵌合する複数のバー嵌合部204と、複数の端子片170,170のそれぞれと嵌合する端子片嵌合部205とを有する。第1収納部210および第2収納部220は、仕切り壁202を介して隣接して形成される。
【0046】
バー嵌合部204は、端部142,144,146,148,152と嵌合するべく、底面21側に窪む凹形状を有する。バー嵌合部204は、端部142,144,146,148,152の高さを揃えるべく、電力量計本体ベース20の底面21に対して等しい高さを有する。バー嵌合部204の一部は、端子片170の一部と嵌合可能な幅を有する。
【0047】
端子片嵌合部205は、端子片170と嵌合するべく、電力量計本体ベース20の底面21側に窪む凹形状を有する。端子片嵌合部205は、端子片170の底面21に対する高さを揃えるべく、底面21に対して等しい高さを有する。
【0048】
ベースカバー203は、一方の面で第2収納部220を覆うように所定の面積を有して構成される。ベースカバー203は、他方の面で通信部40の一部を係止するように構成される。具体的には、ベースカバー203は、他方の面に、通信部40を係止する爪部206を有する。爪部206は、通信部40の一部をベースカバー203の他方の面に当接させた状態で係止するように構成される。
【0049】
第1収納部210は、計量部30を適切な位置に収納するために、計量部30を電力量計本体ベース20に固定する爪をもつ一対の爪部208を有する。
【0050】
爪部208は、底面21から突出して設けられる。爪部208は、所定の間隔をおいて設けられ、自身の間に計量部30を収納可能に構成される。計量部30が第1収納部210に収納される場合、爪部208のそれぞれは、図2および図3に示すように、計量部30の所定の位置に係合して、計量部30を係止する。これにより、爪部208は、計量部30を第1収納部210に収納して固定する。
【0051】
第2収納部220は、電力量計本体ベース20の長手方向において、第1収納部210および電線接続部110の間に設けられる。第2収納部220は、接続部100の一部および通信部40の一部を収納する。第2収納部220は、接続部100の一部および通信部40の一部を収納している状態で、ベースカバー203により覆われる。
【0052】
固定部300は、電力量計本体ベース20の外縁から板状に外方に突出して設けられる。固定部300は、封印カバー50を係止するべく、係止孔231、232を有する。
【0053】
計量部30は、図6から図8に示すように、頂面301で、計算する積算電力量を表示可能に構成されている。計量部30は、第1収納部210に収納されることで、電力量計本体ベース20に電気的に接続され得る。
【0054】
計量部30は、第1の導電バー131および第6の導電バー136を介して1S端子および1L端子に電気的に接続され得る第1電流線311と、第3の導電バー133および第4の導電バー134を介して3S端子および3L端子に電気的に接続され得る第2電流線312と、第1電流線311および第2電流線312に電気的に接続されて、積算電力量を計算して表示する計算表示部320と、第1電流線311および第2電流線312の端部に設けられる螺合部材330と、螺合部材330の第1電流線311および第2電流線312から脱落するのを防止する複数の係止部340と、端子片170と電気的に接続し得る接続端子350と、第1電流線311、第2電流線312、計算表示部320、螺合部材330、係止部340、および接続端子350をパッケージ化するための平面視長方形状のハウジング360とを有する。
【0055】
第1電流線311は、第1の導電バー131および第6の導電バー136間の電流値を計算表示部320で計算するためのものである。第1電流線311は、第2電流線312との干渉防止を目的として、第2電流線312から所定の間隔を開けて設けられる。第1電流線311は、所定の長さを有する第1の線部338と、この第1の線部338の各端部に設けられるとともに、第1の導電バー131および第6の導電バー136と係合する第1の螺合部材支持部370とを有する。
【0056】
第1の線部338は、図3に示すように、第1の導電バー131と第6の導電バー136とを接続するために所定の長さでU字状に構成される。
【0057】
2つの第1の螺合部材支持部370,370は、端子である。2つの第1の螺合部材支持部370,370は、その一部が、ハウジング360の長辺に対応する側面302から突出して設けられる。第1の螺合部材支持部370は、計量部30の第1収納部210への収納の結果、第1の導電バー131の端部142と第6の導電バー136の端部152と当接する。第1の螺合部材支持部370は、端部142、152と当接することで、電力量計本体ベース20に電気的に接続される。第1の螺合部材支持部370は、第1電流線311を端部142,152に係止するべく、螺合部材330を挿通する第1の挿通孔371を有する。
【0058】
第1の挿通孔371は、螺合部材330を挿通可能な径を有する。第1の挿通孔371の軸長方向(軸心方向)は、計量部30の第1収納部210への収納の結果、端部146、148に設けられている螺合孔(図示しない)の軸長方向(軸心方向)と一致する。
【0059】
第2電流線312は、第3の導電バー133および第4の導電バー134間の電流値を計算表示部320で計算するためのものである。第2電流線312は、所定の長さを有する第2の線部339と、第2の線部339の各端部に設けられるとともに、第3の導電バー133および第4の導電バー134と係合する第2の螺合部材支持部380とを有する。
【0060】
第2の線部339は、第3の導電バー133と第4の導電バー134とを接続するために所定の長さでU字状に構成される。第2の線部339の長さは、第1の線部338の長さよりも短く設定されている。
【0061】
第2の螺合部材支持部380は、端子である。第2の螺合部材支持部380は、ハウジング360の長手方向側面302から突出して設けられる。第2の螺合部材支持部380は、計量部30の第1収納部210への収納の結果、第3の導電バー133の端部146と第4の導電バー134の端部148と当接する。第2の螺合部材支持部380は、端部146,148と当接するとともに、螺合部材330によって締結されることで、電力量計本体ベース20に電気的に接続される。第2の螺合部材支持部380は、第2電流線312を端子146,148に係止するべく、螺合部材330を挿通する第2の挿通孔381を有する。
【0062】
第2の挿通孔381は、螺合部材330を挿通可能な径を有する。第2の挿通孔381の軸長方向は、計量部30の第1収納部210への収納の結果、端部146,148に設けられている螺合孔(図示しない)の軸長方向と一致する。
【0063】
計算表示部320は、ハウジング360に内包され、固定される。計算表示部320は、第1電流線311および第2電流線312から計測される電流量から積算電力量を計算して表示する。
【0064】
計算表示部320は、ハウジング360の頂面301側に設けられる。計算表示部320は、ハウジング360の頂面301側に設けられることで、計量部30を第1収納部210に収納している状態においても、積算電力量を視認可能に構成される。
【0065】
図7に示すように、螺合部材330は、複数(図例では4つ)のボルト等で構成される。この4つの螺合部材330のうち、2つの螺合部材330a,330aは、第1の螺合部材支持部370に支持され、他の2つの螺合部材330b,330bが第2の螺合部材支持部380に支持される。以下、第1の螺合部材支持部370に支持される螺合部材330aを「第1螺合部材」といい、第2の螺合部材支持部380に支持される螺合部材330bを「第2螺合部材」という。
【0066】
螺合部材330の長さLは、係止部340と第1の螺合部材支持部370または第2の螺合部材支持部380との間の距離Mよりも、長手方向に長い。したがって、螺合部材330は、第1の挿通孔371または第2の挿通孔381から抜ける方向(抜去方向)に移動して、螺合部材330係止部340と当接することで、それ以上の移動を規制される。
【0067】
第1螺合部材330a及び第2螺合部材330bは、頭部331と、螺合部材支持部370,380の挿通孔371,381に挿通可能な軸部332とを有する。
【0068】
頭部331は、第1の挿通孔371または第2の挿通孔381よりも大きい径を有する。また、頭部331は、螺合部材330を回転操作する工具を嵌合可能な係合凹部351を有する。頭部331は、各螺合部材330(330a,330b)が挿通孔371,381の軸長方向(軸心方向)に締められることで、第1の螺合部材支持部370または第2の螺合部材支持部380を端部142,146,148,152に係止する。逆に、頭部331は、螺合部材330が軸長方向に緩められることで、第1の挿通孔371または第2の挿通孔381のから抜ける方向に移動して、係止部340に当接する。
【0069】
係合凹部351は、工具と嵌合可能に構成されており、工具に合わせた形状を有する。例えば、工具が六角レンチの場合には、係合凹部351は、この工具の端部が嵌合可能な六角形状の穴として構成される。
【0070】
第1螺合部材330a及び第2螺合部材330bの軸部332は、第1の挿通孔371および第2の挿通孔381よりも小さい径を有する。これにより、軸部332は、第1の挿通孔371または第2の挿通孔381の軸長方向に自由に移動できる。軸部332は、各螺合部材330(330a,330b)が軸長方向に締められることで、導電バー131,133,134,136の端部142,146,148,152の螺合孔に螺入する。逆に、頭部331は、螺合部材330が軸長方向に緩められることで、第1の挿通孔371または第2の挿通孔381のから抜ける方向(係止部340に近づく方向)に移動する。頭部331が係止部340と当接する状態で、軸部332は、第1の挿通孔371または第2の挿通孔381に挿入されている状態で留まる。
【0071】
複数の係止部340,340,…は、頭部331と当接するべく、第1螺合部材支持部370及び第2螺合部材支持部380から所定の距離(M)をおいて第2ハウジング362の所定位置に設けられる。各係止部340は、頭部331と当接することで、螺合部材330の抜去方向へのそれ以上の移動を規制する。
【0072】
係止部340は、頭部331に当接する当接部341と、螺合部材330に対して回転操作するための工具(図示しない)を、螺合部材330にガイドするガイド部342とを有する。
【0073】
当接部341は、螺合部材支持部370,380の挿通孔371,381の軸長方向(軸心方向)に設けられる。当接部341は、ハウジング360から突出して設けられる。これにより、当接部341は、第1の螺合部材支持部370または第2の螺合部材支持部380と対向する当接面を有する。当接面は、螺合部材330の頭部331と当接することで、第1の挿通孔371または第2の挿通孔381に挿入されている螺合部材330の、第1の螺合部材支持部370または第2の螺合部材支持部380からの脱落を防止する。
【0074】
ガイド部342は、螺合部材330を回転操作させるための工具の先端を螺合部材330に向けてガイドする第1ガイド部343と、螺合部材330を回転操作するための工具の回転する方向に沿って湾曲して、工具と当接することで工具の回転操作をガイドする第2ガイド部344と、ハウジング360の長辺に対応する側面302から第2ガイド部344に向かって伸びる第3ガイド部345とを有する。
【0075】
第1ガイド部343は、ハウジング360の長辺に対応する側面302から突出して一対に構成される。各第1ガイド部343,343は、六角レンチ等の工具を挿通可能な幅をもって配置される。また、第1ガイド部343は、工具の移動方向が螺合部材支持部370,380の挿通孔371,381の軸心方向からずれた場合に、工具と当接する幅をもって配置される。これにより、第1ガイド部343は、計量部30の頂面301に沿う方向から挿入される工具の先端を、頭部331に係合させる。すなわち、第1ガイド部343は、頂面301に沿う方向から、工具を第1の挿通孔371および第2の挿通孔381の軸心方向に向けて移動させる。したがって、工具の移動方向が第1の挿通孔371または第2の挿通孔381の軸心方向から大きくずれない。万一、工具の移動方向が第1の挿通孔371または第2の挿通孔381の軸心方向からずれた場合、第1ガイド部343は、工具と当接するとともに、工具を第1の挿通孔371または第2の挿通孔381の軸心方向に向けることができる。
【0076】
第2ガイド部344は、ハウジング360の長辺に対応する側面302から突出して設けられる。第2ガイド部344は、工具の直径よりも所定分だけ大きい曲率半径をもつ湾曲面333を有する。湾曲面333の軸心は、第1の挿通孔371または第2の挿通孔381の軸心と軸長方向で一致する。これにより、螺合部材330に係合している工具が回転操作される場合に、第2ガイド部344は、第1の挿通孔371または第2の挿通孔381の軸長方向からずれない。万一、工具が第1の挿通孔371または第2の挿通孔381の軸長方向からずれた場合でも、湾曲面333は、工具と当接することで、第1の挿通孔371または第2の挿通孔381の軸心から大きくずれることを規制する。
【0077】
第3ガイド部345は、第1ガイド部343にガイドされて、第1の挿通孔371または第2の挿通孔381の軸長方向で移動する工具を、第2ガイド部344の湾曲面333に導く。第3ガイド部345は、ハウジング360の長辺に対応する側面302から第2ガイド部344の湾曲面に向かって伸びるガイド面346を有する。
【0078】
ガイド面346は、第1の挿通孔371または第2の挿通孔381の軸心方向で移動する工具と当接するべく、ハウジング360の長辺に対応する側面302に対して所定角度で傾斜する直線状の傾斜面である。ガイド面346は、第1の挿通孔371または第2の挿通孔381の軸心方向に移動する工具と当接することで、湾曲面333を介して螺合部材330に工具の先端を導くことを可能にする。なお、ガイド面346は、所定の曲率半径で湾曲する形状であってもよい。
【0079】
接続端子350は、ハウジング360の長辺に対応する側面302から突出して設けられる。接続端子350は、ハウジング360内部で、計算表示部320と電気的に接続される。接続端子350は、計量部30を第1収納部210に収納することで、電力量計本体ベース20の端子片170および第2の導電バー132の端部144と電気的に接続される。すなわち、接続端子350は、計量部30を第1収納部210に収納することで、端子片170および端部144と当接可能な程度に、ハウジング360から突出する。接続端子350は、端子片170から計算表示部320の電力を供給するとともに、第2の導電バー132を中性線として機能させる。
【0080】
ハウジング360は、第1の挿通孔371または第2の挿通孔381の軸長方向に平行な方向で電力量計本体ベース20に着装され、第1収納部210に一部を収納可能に構成される。ハウジング360は、2つのハウジング361,362に分離可能に構成される。以下、2つのハウジング361,362の一方を第1ハウジング361といい、他方を第2ハウジング362という。
【0081】
第1ハウジング361は、図9に示すように、平面視長方形状を有する。第1ハウジング361は、図9および図10に示すように、電力量計本体ベース20の爪部206と嵌合する一対の溝部363,363と、第1の螺合部材支持部370および第2の螺合部材支持部380と嵌合する第1の嵌合部364と、接続端子350と嵌合する第2の嵌合部365と、第1ハウジング361内部で第1電流線311および第2電流線312を支持する電流線支持部366と、第1ハウジング361と第2ハウジング362とを連結する第1の連結部材367と、一対の溝部363,363と平行な方向に延びる第1の連結孔334および第2の連結孔335とを有する。
【0082】
各溝部363,363は、第1ハウジング361の短辺に対応する側面368,369の中間位置に一対に設けられる。各溝部363,363は、第1の挿通孔371および第2の挿通孔381の軸長方向に沿って延びる。そして、溝部363の幅は、電力量計本体ベース20に設けられる一対の爪部208,208の幅よりも大きい。
【0083】
第1の嵌合部364は、第1ハウジング361の長辺に対応する側面400に設けられる。第1の嵌合部364は、この側面400のうち、第2ハウジング362と組み合わされる側の端部に設けられる。第1の嵌合部364は、螺合部材支持部370,380と嵌合して、螺合部材支持部370,380を第1ハウジング361の内部から突出させる。
【0084】
第2の嵌合部365は、第1ハウジング361の長辺に対応する側面400に設けられる。第2の嵌合部365は、この側面400のうち、第2ハウジング362と組み合わされる側の端部に設けられる。第2の嵌合部365は、接続端子350と嵌合して、第1ハウジング361の内部から突出させる。
【0085】
電流線支持部366は、第1ハウジング361内に設けられる。電流線支持部366は、第1電流線311および第2電流線312に係合可能に構成されている。電流線支持部366は、第1電流線嵌合部391で第1電流線311を係合し、第2電流線嵌合部392で第2電流線312を係合する。
【0086】
第1の連結部材367は、例えばタッピングネジ等により構成され、第1の連通孔334に挿通される。第1の連結部材367は、第1の連結孔334および後述の第2ハウジング362の第3連結孔336に螺入されて、第1ハウジング361の外面に係止されることで、第1ハウジング361および第2ハウジング362を連結して固定する。
【0087】
第1の連結孔334は、平面視長方形状の第1ハウジング361の1つの角部に設けられる。第2の連結孔335は、平面視長方形状の第1ハウジング361において、第1の連通孔334の対角線上にある角部に設けられる。
【0088】
第2ハウジング362は、図11に示すように、平面視長方形状を有する。第2ハウジング362は、図12に示すように、係止部340を一体に備えている。これにより、第2ハウジング362に設けられる係止部340は、第1ハウジング361から分離されることで、螺合部材330の抜去方向への移動の規制を解除する。すなわち、第2ハウジング362は、螺合部材330を螺合部材支持部370,380から取り外すことを可能にする。
【0089】
第2ハウジング362は、第1ハウジング361の一対の溝部363,363と対応する位置に一対の溝部394,394と、各溝部394,394の端部に設けられる一対の係止面395,395と、第2ハウジング362の長辺に対応する側面313に設けられる螺合部材支持部370,380に嵌合する第3の嵌合部396と、図12に示す計量部30の頂面301に設けられる窓部398と、第1ハウジング361および第2ハウジング362を連結する第2の連結部材399と、一対の溝部394,394と平行な方向に延びる第3の連結孔336および第4の連結孔337とを備える。
【0090】
溝部394,394は、第2ハウジング362の短辺に対応する側面407、408の中間位置に一対に設けられる。溝部394、394は、第1の挿通孔371および第2の挿通孔381の軸長方向に沿って延びる。そして、溝部394の幅は、電力量計本体ベース20に設けられる一対の爪部208,208の幅よりも大きい。
【0091】
一対の係止面395,395は、一対の溝部394,394において第2ハウジング362と係止される端部に設けられる。一対の係止面395,395は、電力量計本体ベース20の一対の爪部208,208と係合することで、計量部30を電力量計本体ベース20に固定する。
【0092】
第3の嵌合部396は、第2ハウジング362の長辺に対応する側面313のうち、第1ハウジング361と組み合わされる側の端部に設けられる。第3の嵌合部396は、第1の螺合部材支持部370および第2の螺合部材支持部380と嵌合して、第1の螺合部材支持部370および第2の螺合部材支持部380を第1ハウジング361の内部から突出させる。
【0093】
窓部398は、図11に示す第2ハウジング362の頂面301に設けられる。窓部398は、透明な部材で構成され、積算電力値をハウジング360の外部から視認可能に設けられている。また、窓部398は、計量パルスをハウジング360の外部から視認可能に設けられる。
【0094】
第2の連結部材399は、例えばタッピングネジ等により構成され、第4の連結孔337および第2の連結孔335に挿通される。この第2の連結部材399は、第4の連結孔337および第2の連結孔335に螺入されて、第2ハウジング362の外面に係止されることで、第1ハウジング361および第2ハウジング362を連結して固定する。
【0095】
第3の連結孔336は、平面視長方形状の第2ハウジング362の1つの角部に設けられる。第4の連結孔337は、平面視長方形状の第2ハウジング362において、第3の連結孔336の対角線上にある角部に設けられる。
【0096】
ここで、第1ハウジング361および第2ハウジング362を連結する方法を詳述する。第1ハウジング361および第2ハウジング362は、第1ハウジング361の溝部363、363の位置と、第2ハウジング362の溝部394、394の位置とを合わせて組み合わされる。また、第1ハウジング361および第2ハウジング362は、第1の嵌合部364および第3の嵌合部396を対向するようにして組み合わされる。これにより、第1の連結孔334と第3の連結孔336とが一致し、第2の連結孔335と第4の連結孔337とが一致する。
【0097】
第1の連結部材367は、第2ハウジング362から第1ハウジング361に向かう方向、すなわち、第1の連結孔334から第3の連結孔336へと螺入される。第1の連結部材367は、第2ハウジング362に係止されるまで螺入することで、第1の連結孔334および第3の連結孔336を一体に連結する。
【0098】
第2の連結部材399は、第1ハウジング361から第2ハウジング362に向かう方向、すなわち、第4の連結孔337から第2の連結孔335へと螺入される。第2の連結部材399は、第1ハウジング361に係止されるまで螺入されることで、第1の連結孔334および第3の連結孔336を一体に連結する。これにより、第1の連結部材367と第2の連結部材399は、ともに、第1ハウジング361および第2ハウジング362を一体に連結する。
【0099】
通信部40は、電力会社と積算電力量を通信するべく設けられる。また、通信部40は、電力会社からの信号に応じて、電力量計本体ベース20の第4の導電バー134および第5の導電バー135の間と、第6の導電バー136および第7の導電バー137間とを電気的に切断または接続する。
【0100】
封印カバー50は、電力量計本体ベース20と係合して、計量部30および通信部40への封印を施すべく設けられる。封印カバー50は、電力量計本体ベース20の仕切り壁201に係合する第1の封印カバー403と、電線接続部110を封印する第2の封印カバー405とを有する。
【0101】
第1の封印カバー403は、電力量計本体ベース20とで作られる空間内に、計量部30および通信部40を封印する。第1の封印カバー403は、電力量計本体ベース20と第1の封印カバー403とを係止する第1のカバー封印ネジ404を有する。第1のカバー封印ネジ404は、電力量計本体ベース20の固定部300に形成される係止孔231に螺合して、第1の封印カバー403を電力量計本体ベース20に固定する。
【0102】
第2の封印カバー405は、電力量計本体ベース20とで作られる空間内に、電線接続部110を封印する。第2の封印カバー405は、電力量計本体ベース20と第2の封印カバー405とを係止する第2のカバー封印ネジ406を有する。第2のカバー封印ネジ406は、電力量計本体ベース20の固定部300に形成される係止孔232に螺合して、第2の封印カバー405を電力量計本体ベース20に固定する。
【0103】
本願発明に係る電力量計の構成については以上の通りであり、次に、本実施形態に係る電力量計の作用について説明する。
【0104】
計量部30は、電力量計本体ベース20の接続部100を介して電線と接続される。具体的には、電線に接続されている1S端子および1L端子に対応する電線接続部110は、端子金具120、導電バー130、および第1電流線311を介して接続される。また、電線に接続されている3S端子および3L端子に対応する電線接続部110は、端子金具120、導電バー130、および第2電流線312を介して接続される。
【0105】
計量部30は、1S端子から1L端子を結ぶ回路と、3S端子から3L端子を結ぶ回路との電流値を取得して、積算電力を計算して表示する。なお、端子片170は、1S端子に対応する導電バー131の端部142および3S端子に対応する導電バー133の端部146から、計量部30に対して、動作電力を提供する。
【0106】
以上によって、電力量計10による積算電力量の計算、表示等を行うことができるようになる。
【0107】
また、本実施形態に係る電力量計10は、螺合部材支持部370,380に支持される螺合部材330(330a,330b)が抜去方向に移動したときに、計量部30に設けられる係止部340がこの螺合部材330の頭部331に当接して係止することによって、螺合部材330が螺合部材支持部370,380から脱落することが防止される。これによって、電力量計10のメンテナンス作業を行う際に、作業者は、螺合部材330の脱落やこれによる紛失を心配することなく、作業に専念でき、電力量計10は利便性の高いものになる。
【0108】
また、螺合部材支持部370,380が第1ハウジング361に設けられ、係止部340が第2ハウジング362に設けられることで、第1ハウジング361と第2ハウジング362とを分離したときに、螺合部材330と係止部340が離間することで、第1の螺合部材支持部370,380に支持される螺合部材330から係止部340が離間し、これによって、係止部340による螺合部材330の係止を解除することができる。これによって、計量部30を分解してメンテナンスする必要がある場合には、螺合部材330a,330bが邪魔にならずに、メンテナンス作業を確実かつ適切に行うことができる。
【0109】
また、螺合部材支持部370,380が、電力量を計量部30で計量するための回路を構成すべく、電線に電気的に接続される端子として兼用されることにより、計量部30の部品点数を可及的に減少させ、電力量計10の製造コストを低減することが可能になる。
【0110】
また、導電バー130の一端部が電線接続部110に接続され、導電バーの他端部が螺合部材330を介して螺合部材支持部370,380と接続されることから、電線接続部110と、端子としての第1の螺合部材支持部370および第2の螺合部材支持部380との間に導電バー130を介在させることにより、計量部30と電線とを離間した位置で接続することができるようになる。これによって、計量部30の大きさや形状の影響を受けることなく、電線を容易かつ確実に計量部30に接続することができる。
【0111】
また、係止部340が、螺合部材330を操作するための工具の所定の動作をガイドするガイド部342を有することから、ガイド部342が、螺合部材330に対して工具をガイドするので、螺合部材330の締緩作業を容易に行うことができるようになる。
【0112】
また、工具が係合する係合凹部351を有し、ガイド部342は、工具が螺合部材支持部370,380の係合凹部351に係合するように工具をガイドするガイド面346を有することから、ガイド面346によって工具を係合部340に向かって案内することで、工具を容易に螺合部材330係合させることができ、作業性を高めることができる。
【0113】
また、ガイド部342が、工具の回転の方向に沿って湾曲する湾曲面333を有することから、螺合部材を回転させるために工具を回転操作する際、工具が半径方向に移動したときに、この湾曲面に当接してその移動が規制される。これにより、作業者は、工具を適切かつ正確に回転させ螺合部材の締緩作業を行うことができるようになる。
【0114】
以上より、本実施形態係る電力量計10は、螺合部材支持部370,380から螺合部材330(330a,330b)が脱落することを防止できる。また、電力量計10は、工具を螺合部材330に容易にガイドすることができるので、螺合部材330の締緩作業を容易にして、計量部30の電力量計本体ベース20への着脱を容易にできる。
【0115】
なお、本発明に係る電力量計は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。また、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0116】
上記実施形態に係る係止部340がガイド部34を有し、ガイド部342が第1ガイド部343、第2ガイド部344、第3ガイド部345を有する例を示したが、これに限らず、係止部340が、これらの一部のみを有していてもよい。
【0117】
また、電力量計10において、ハウジング360は分離不能な構成であってもよい。これにより、螺合部材330a,330bは、第1の螺合部材支持部370および第2の螺合部材支持部380から決して脱落しないので、計量部30を電力量計本体ベース20に着脱する作業を、より容易にすることができる。
【0118】
また、第1の螺合部材支持部370および第2の螺合部材支持部380は、単に、計量部30を電力量計本体ベース20に係止するだけの構成を有していてもよい。この場合、計量部30は、第1の螺合部材支持部370および第2の螺合部材支持部380とは別途、第1電力線311および第2電力線312と、導電バー130とに電気的に接続する端子を有する。これにより、導電バー130の端部の位置に左右されずに、計量部30を電力量計本体ベース20に係止できる。したがって、計量部30には、自由度が増した形状を採用することができる。
【符号の説明】
【0119】
10…電力量計、20…電力量計本体ベース、30…計量部、110…電線接続部、131…第1の導電バー、132…第2の導電バー、133…第3の導電バー、134…第4の導電バー、135…第5の導電バー、136…第6の導電バー、137…第7の導電バー、330(330a,330b)…螺合部材(第1螺合部材、第2螺合部材)、331…螺合部材の頭部、333…湾曲面、340…係止部、342…ガイド部、346…ガイド面、351…係合凹部、361…第1ハウジング、362…第2ハウジング、370…第1の螺合部材支持部、371…第1の挿通孔、380…第2の螺合部材支持部、381…第2の挿通孔
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力量計に関し、詳しくは、計量部を電力量計本体ベースに固定する螺合部材の電力量計からの脱落を防止する電力量計に関する。
【背景技術】
【0002】
電力量計においては、一定期間ごとに、交換、点検改修、およびメンテナンスが行われている。電力量計の交換、点検改修、およびメンテナンスの作業性を上げることを目的として、電力量計の機能ごとにユニット化することが行われている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−181297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電力量計の各機能をユニット化する場合、各ユニットは、電力量計本体ベースに取り付けられる必要がある。ボルト等の螺合部材を利用して各ユニットが電力量計本体ベースに取り付けられる場合、各ユニットと電力量計本体ベースとを接続する螺合部材を締める必要がある。逆に、各ユニットを電力量計本体ベースから取り外す場合、螺合部材を緩める必要がある。
【0005】
ここで、螺合部材の締緩作業は、住居の壁面に垂直に取り付けられた電力量計本体ベースに対して行われるので、締緩作業は、他のユニットへの締緩工具の干渉や、作業スペースの狭さ等から困難である場合がある。また、螺合部材が螺合部材の支持部から脱落した場合、落下した螺合部材を拾って支持部に再度挿入する必要があるなど、作業が煩雑になりがちである。特に、落下した螺合部材が既に取り付けられたユニット内に入ってしまった場合等では、螺合部材を取り出す作業がさらに必要になる。
【0006】
本発明は、斯かる事情に鑑み、螺合部材の支持部から螺合部材が脱落することを防止する電力量計を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記の課題を解決するためのものであって、電力量計本体ベースと、該電力量計本体ベースに着脱自在に取り付けられるパッケージ化された計量部とを備えた電力量計であって、計量部は、該計量部を電力量計本体ベースに固定するための螺合部材を挿通する挿通孔を有する螺合部材支持部と、該螺合部材支持部から挿通孔の軸長方向に所定の距離をおいて配置され、抜去方向に移動した螺合部材の頭部に当接して係止することで、螺合部材のそれ以上の移動を規制し、螺合部材が螺合部材支持部から脱落するのを防止する係止部とを備えることを特徴とする。
【0008】
斯かる構成によれば、螺合部材支持部に支持される螺合部材が抜去方向に移動したときに、計量部に設けられる係止部がこの螺合部材の頭部に当接して係止することによって、螺合部材が螺合部材支持部から脱落することが防止される。これによって、電力量計のメンテナンス作業を行う際に、作業者は、螺合部材の脱落やこれによる紛失を心配することなく、作業に専念でき、電力量計は利便性の高いものになる。
【0009】
また、計量部は、第1および第2ハウジングを組み合わせることによりパッケージ化され、螺合部材支持部は、第1ハウジング側に設けられ、係止部は、第2ハウジング側に設けられ、第1および第2ハウジングを分離することにより、螺合部材から係止部が離間するように構成されてもよい。
【0010】
斯かる構成によれば、第1ハウジングと第2ハウジングが分離可能に構成されるとともに、螺合部材支持部が第1ハウジング側に設けられ、係止部が第2ハウジング側に設けられることで、第1ハウジングと第2ハウジングとを分離したときに、螺合部材と係止部が離間することで、螺合部材支持部に支持される螺合部材から係止部が離間し、これによって、係止部による螺合部材の係止を解除することができる。これによって、計量部を分解してメンテナンスする必要がある場合には、螺合部材が邪魔にならずに、メンテナンス作業を確実かつ適切に行うことができる。
【0011】
また、螺合部材支持部は、電力量を計量部で計量するための回路を構成すべく、電線に電気的に接続される端子として構成されることが望ましい。
【0012】
斯かる構成によれば、螺合部材支持部を、電力量を計量するための回路の端子として兼用することにより、計量部の部品点数を可及的に減少させ、電力量計の製造コストを低減することが可能になる。
【0013】
また、電力量計本体ベースは、電線が接続される電線接続部と、該電線接続部と螺合部材支持部とを電気的に接続する導電バーを備え、導電バーの一端部が電線接続部に接続され、導電バーの他端部が螺合部材を介して前記螺合部材支持部と接続されるように構成されることが望ましい。
【0014】
斯かる構成によれば、電線接続部と、端子としての螺合部材支持部との間に導電バーを介在させることにより、計量部と電線とを離間した位置で接続することができるようになる。これによって、計量部の大きさや形状の影響を受けることなく、電線を容易かつ確実に計量部に接続することができる。
【0015】
また、係止部は、螺合部材を操作するための工具の所定の動作をガイドするガイド部を有する構成を採用できる。
【0016】
斯かる構成によれば、ガイド部が、螺合部材に対して工具をガイドするので、螺合部材の締緩作業を容易に行うことができるようになる。
【0017】
また、螺合部材は、前記工具が係合する係合凹部を有し、ガイド部は、該工具が螺合部材の係合凹部に係合するように該工具をガイドするガイド面を有する構成を採用できる。
【0018】
斯かる構成によれば、ガイド面によって工具を係合凹部に向かって案内することで、工具を容易に螺合部材の係合凹部に係合させることができ、作業性を高めることができる。
【0019】
また、螺合部材は、前記工具が係合する係合凹部を有し、ガイド部は、前記工具を螺合部材の係合凹部に係合させて該螺合部材を回転させる動作を規制するように、該工具の回転の方向に沿って湾曲する湾曲面を有する構成を採用できる。
【0020】
斯かる構成によれば、螺合部材を回転させるために工具を回転操作する際、工具が半径方向に移動したときに、この湾曲面に当接してその移動が規制される。これにより、作業者は、工具を適切かつ正確に回転させ、螺合部材の締緩作業を行うことができるようになる。
【発明の効果】
【0021】
以上の如く、本発明に係る電力量計によれば、螺合部材支持部から螺合部材が脱落することを防止できるというすぐれた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係る電力量計の平面図を示す。
【図2】同実施形態に係る封印カバーを取り外した状態における電力量計の平面図を示す。
【図3】同実施形態に係る電力量計の電力量計本体ベースの平面図を示す。
【図4】同実施形態に係る電力量計の側面概略図を示す。
【図5】同実施形態に係る電力量計本体ベースの要部平面図を示す。
【図6】同実施形態に係る計量部の側面図を示す。
【図7】同実施形態に係る計量部の平面図を示す。
【図8】同実施形態に係る計量部の底面図を示す。
【図9】同実施形態に係る第1ハウジングの平面図を示す。
【図10】同実施形態に係る第1ハウジングの側面図を示す。
【図11】同実施形態に係る第2ハウジングの平面図を示す。
【図12】同実施形態に係る第2ハウジングの側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る電力量計における一実施形態について、図1〜図12を参酌して説明する。
【0024】
電力量計10は、電線に接続されることで、積算電力量を計算、表示、および通信するためのものである。電力量計10は、図1〜図4に示すように、住居の壁面に取り付けられる電力量計本体ベース20と、電力量計本体ベース20と接続されて電力量を計算および表示する計量部30と、PLC(Power Line Telecommunication)の通信アダプターまたは無線通信アダプターとして機能する通信部40と、電力量計本体ベース20、計量部30、および通信部40の不正操作を防止するための封印カバー50とを備える。
【0025】
電力量計本体ベース20は、電線と計量部30とを接続して、計量部30に電力を供給する。計量部30は、電力量計本体ベース20に接続された電路における電圧値および電流値を計測して、積算電力量を計算する。また、計量部30は、計算された積算電力量を表示するとともに、通信部40に対して送信する。通信部40は、送信された積算電力量を電力会社に対して送信する。
【0026】
電力量計本体ベース20は、長方形状を有する。電力量計本体ベース20は、計量部30および通信部40の一部を収納可能に形成されている。また、電力量計本体ベース20は、封印カバー50を係止して、計量部30および通信部40を封印可能に形成されている。
【0027】
電力量計本体ベース20は、電線と計量部30とを接続する接続部100と、計量部30、接続部100の一部、および通信部40の一部を収納する収納部200と、封印カバー50を固定するための固定部300とを有する。
【0028】
接続部100は、電線と接続される複数の電線接続部110,110,…と、電線接続部110のそれぞれに接続される複数の端子金具120,120,…と、端子金具120のそれぞれに接続される導電バー130と、一部の導電バー130同士を短絡する短絡バー160と、一部の導電バー130から計量部30の動作電力を供給する端子片170とを有する。
【0029】
複数の電線接続部110,110,…は、電力量計本体ベース20の長手方向の一方の端部に設けられる。各電線接続部110は、電力量計本体ベース20の短手方向に所定の間隔をおいて設けられる。本実施形態において、各電線接続部110は、1S端子、2S端子、3S端子、1L端子、2L端子、および3L端子として利用される。1S端子の電線接続部110から3S端子の電線接続部110は、電力会社側の電線に接続される。2S端子の電線接続部110は、中性線用である。1L端子の電線接続部110から3L端子の電線接続部110は、住居側の電線に接続される。2L端子の電線接続部110は、中性線用である。
【0030】
各端子金具120は、長板状に形成され、その長手方向を電力量計本体ベース20の長手方向に沿って配置される。各端子金具120は、その一端部が電線接続部110に接続され、その他端部が導電バー130に電気的に接続される。
【0031】
複数の導電バー130は、導電性の金属、例えば、真鋳や銅等で形成される。複数の導電バー130は、1S端子と計量部30とを電気的に接続する第1の導電バー131と、2S端子と計量部30とを電気的に接続する第2の導電バー132と、3S端子と計量部30とを電気的に接続する第3の導電バー133と、通信部40と計量部30とを電気的に接続する第4の導電バー134と、3L端子と通信部40とを電気的に接続する第5の導電バー135と、通信部40と計量部30とを電気的に接続する第6の導電バー136と、1L端子と通信部40とを電気的に接続する第7の導電バー137とを有する。
【0032】
第1の導電バー131は、長尺状の板形状に形成される。第1の導電バー131は、その長手方向を電力量計本体ベース20の長手方向に沿って配置される。第1の導電バー131は、電線から計量部30へ電力を供給するべく設けられる。第1の導電バー131は、1S端子に対応する端子金具120に接続される端部141と、計量部30に接続される端部142とを有する。
【0033】
第2の導電バー132は、略長尺状の板形状に形成される。第2の導電バー132は、その長手方向を電力量計本体ベース20の長手方向に沿って配置される。第2の導電バー132は、電線から計量部30への中性線用に設けられる。第2の導電バー132は、2S端子に対応する端子金具120に接続される端部143と、計量部30に接続される端部144とを有する。
【0034】
第3の導電バー133は、長尺状の板形状に形成される。第3の導電バー133は、その長手方向を電力量計本体ベース20の長手方向に沿って配置される。第3の導電バー133は、電線から計量部30へ電力を供給するべく設けられる。第3の導電バー133は、3S端子に対応する端子金具120に接続される端部145と、計量部30に接続される端部146とを有する。
【0035】
第4の導電バー134は、通信部40を介して、第5の導電バー135と電気的に接続されるべく設けられる。第4の導電バー134は、計量部30から住居へ電力を供給するべく設けられる。第4の導電バー134は、通信部40に接続される端部147と、計量部30に接続される端部148とを有する。
【0036】
第5の導電バー135は、第4の導電バー134から住居へ電力を供給するべく設けられる。第5の導電バー135は、3L端子に対応する端子金具120に接続される端部149と、通信部40に接続される端部150とを有する。
【0037】
第6の導電バー136は、通信部40を介して、第7の導電バー137と電気的に接続されるべく設けられる。第6の導電バー136は、計量部30から住居へ電力を供給するべく設けられる。第6の導電バー136は、通信部40に接続される端部151と、計量部30に接続される端部152とを有する。
【0038】
第7の導電バー137は、第6の導電バー136から住居へ電力を供給するべく設けられる。第7の導電バー137は、1L端子に対応する端子金具120に接続される端部153と、通信部40に接続される端部154とを有する。
【0039】
ここで、第1の導電バー131、第2の導電バー132、第3の導電バー133、第4の導電バー134、および第6の導電バー136の一方の端部142,144,146,148,152は、電力量計本体ベース20の近傍に沿う位置に配置される。すなわち、端部142,144,146,148,152は、電力量計本体ベース20の短手方向に沿って、所定の間隔をおいて配置される。また、端部142,144,146,148,152のそれぞれは、計量部30の一部と螺合する螺合孔(図示しない)を有する。
【0040】
短絡バー160は、中性線の2S端子に対応する端子金具120と、中性線の2L端子に対応する端子金具120とを短絡するべく設けられる。短絡バー160は、2S端子に対応する端子金具120の端部と、2L端子に対応する端子金具120の端部とを接続する。すなわち、短絡バー160は、2S端子に接続される第2の導電バー132の端部143とも接続される。短絡バー160は、3S端子の端子金具120および3L端子の端子金具120への干渉を避けることを目的として、U字形状を有する。
【0041】
端子片170は、第1の導電バー131の端部142と、第3の導電バー133の端部146とのそれぞれに一部を重ねて設けられる。端子片170は、電力量計本体ベース20の短手方向に、端部142および端部146よりも広い幅を有する。これにより、端子片170は、計量部30に対して第1の導電バー131および第3の導電バー133と並列な回路を形成する。すなわち、端子片170は、第1の導電バー131および第3の導電バー133とは別に、計量部30に動作電力を供給するための回路を形成する。端子片170は、一方が導電バー131,133の端部142,146に電気的に接続され、他方が計量部30に電気的に接続される2つの端子を有する。端子片170の端部は、計量部30の近傍に沿う位置に配置される。
【0042】
収納部200は、図4および図5に示すように、計量部30を収納する第1収納部210と、接続部100の一部および通信部40の一部を収納する第2収納部220とを有する。
【0043】
ここで、収納部200は、電力量計本体ベース20の外縁に沿うように設けられる環状の仕切り壁201と、電力量計本体ベース20の長手方向の中途で電力量計本体ベース20の短手方向に延びる仕切り壁202と、仕切り壁201、202で仕切られた一部の領域を覆うベースカバー203とで構成される。第1収納部210および第2収納部220は、仕切り壁202を介して隣接して形成される。
【0044】
仕切り壁201は、電力量計本体ベース20の底面21から突出して形成される。電力量計本体ベース20の底面21からの仕切り壁201の高さは、底面21からの仕切り壁202の高さよりも高い。
【0045】
仕切り壁202は、電力量計本体ベース20の底面21から突出して形成される。仕切り壁202は、この底面21側の端部に対向する端部に、第1の導電バー131の端部142、第3の導電バー133の端部146、第4の導電バー134の端部148、および第6の導電バー136の端部152のそれぞれと嵌合する複数のバー嵌合部204と、複数の端子片170,170のそれぞれと嵌合する端子片嵌合部205とを有する。第1収納部210および第2収納部220は、仕切り壁202を介して隣接して形成される。
【0046】
バー嵌合部204は、端部142,144,146,148,152と嵌合するべく、底面21側に窪む凹形状を有する。バー嵌合部204は、端部142,144,146,148,152の高さを揃えるべく、電力量計本体ベース20の底面21に対して等しい高さを有する。バー嵌合部204の一部は、端子片170の一部と嵌合可能な幅を有する。
【0047】
端子片嵌合部205は、端子片170と嵌合するべく、電力量計本体ベース20の底面21側に窪む凹形状を有する。端子片嵌合部205は、端子片170の底面21に対する高さを揃えるべく、底面21に対して等しい高さを有する。
【0048】
ベースカバー203は、一方の面で第2収納部220を覆うように所定の面積を有して構成される。ベースカバー203は、他方の面で通信部40の一部を係止するように構成される。具体的には、ベースカバー203は、他方の面に、通信部40を係止する爪部206を有する。爪部206は、通信部40の一部をベースカバー203の他方の面に当接させた状態で係止するように構成される。
【0049】
第1収納部210は、計量部30を適切な位置に収納するために、計量部30を電力量計本体ベース20に固定する爪をもつ一対の爪部208を有する。
【0050】
爪部208は、底面21から突出して設けられる。爪部208は、所定の間隔をおいて設けられ、自身の間に計量部30を収納可能に構成される。計量部30が第1収納部210に収納される場合、爪部208のそれぞれは、図2および図3に示すように、計量部30の所定の位置に係合して、計量部30を係止する。これにより、爪部208は、計量部30を第1収納部210に収納して固定する。
【0051】
第2収納部220は、電力量計本体ベース20の長手方向において、第1収納部210および電線接続部110の間に設けられる。第2収納部220は、接続部100の一部および通信部40の一部を収納する。第2収納部220は、接続部100の一部および通信部40の一部を収納している状態で、ベースカバー203により覆われる。
【0052】
固定部300は、電力量計本体ベース20の外縁から板状に外方に突出して設けられる。固定部300は、封印カバー50を係止するべく、係止孔231、232を有する。
【0053】
計量部30は、図6から図8に示すように、頂面301で、計算する積算電力量を表示可能に構成されている。計量部30は、第1収納部210に収納されることで、電力量計本体ベース20に電気的に接続され得る。
【0054】
計量部30は、第1の導電バー131および第6の導電バー136を介して1S端子および1L端子に電気的に接続され得る第1電流線311と、第3の導電バー133および第4の導電バー134を介して3S端子および3L端子に電気的に接続され得る第2電流線312と、第1電流線311および第2電流線312に電気的に接続されて、積算電力量を計算して表示する計算表示部320と、第1電流線311および第2電流線312の端部に設けられる螺合部材330と、螺合部材330の第1電流線311および第2電流線312から脱落するのを防止する複数の係止部340と、端子片170と電気的に接続し得る接続端子350と、第1電流線311、第2電流線312、計算表示部320、螺合部材330、係止部340、および接続端子350をパッケージ化するための平面視長方形状のハウジング360とを有する。
【0055】
第1電流線311は、第1の導電バー131および第6の導電バー136間の電流値を計算表示部320で計算するためのものである。第1電流線311は、第2電流線312との干渉防止を目的として、第2電流線312から所定の間隔を開けて設けられる。第1電流線311は、所定の長さを有する第1の線部338と、この第1の線部338の各端部に設けられるとともに、第1の導電バー131および第6の導電バー136と係合する第1の螺合部材支持部370とを有する。
【0056】
第1の線部338は、図3に示すように、第1の導電バー131と第6の導電バー136とを接続するために所定の長さでU字状に構成される。
【0057】
2つの第1の螺合部材支持部370,370は、端子である。2つの第1の螺合部材支持部370,370は、その一部が、ハウジング360の長辺に対応する側面302から突出して設けられる。第1の螺合部材支持部370は、計量部30の第1収納部210への収納の結果、第1の導電バー131の端部142と第6の導電バー136の端部152と当接する。第1の螺合部材支持部370は、端部142、152と当接することで、電力量計本体ベース20に電気的に接続される。第1の螺合部材支持部370は、第1電流線311を端部142,152に係止するべく、螺合部材330を挿通する第1の挿通孔371を有する。
【0058】
第1の挿通孔371は、螺合部材330を挿通可能な径を有する。第1の挿通孔371の軸長方向(軸心方向)は、計量部30の第1収納部210への収納の結果、端部146、148に設けられている螺合孔(図示しない)の軸長方向(軸心方向)と一致する。
【0059】
第2電流線312は、第3の導電バー133および第4の導電バー134間の電流値を計算表示部320で計算するためのものである。第2電流線312は、所定の長さを有する第2の線部339と、第2の線部339の各端部に設けられるとともに、第3の導電バー133および第4の導電バー134と係合する第2の螺合部材支持部380とを有する。
【0060】
第2の線部339は、第3の導電バー133と第4の導電バー134とを接続するために所定の長さでU字状に構成される。第2の線部339の長さは、第1の線部338の長さよりも短く設定されている。
【0061】
第2の螺合部材支持部380は、端子である。第2の螺合部材支持部380は、ハウジング360の長手方向側面302から突出して設けられる。第2の螺合部材支持部380は、計量部30の第1収納部210への収納の結果、第3の導電バー133の端部146と第4の導電バー134の端部148と当接する。第2の螺合部材支持部380は、端部146,148と当接するとともに、螺合部材330によって締結されることで、電力量計本体ベース20に電気的に接続される。第2の螺合部材支持部380は、第2電流線312を端子146,148に係止するべく、螺合部材330を挿通する第2の挿通孔381を有する。
【0062】
第2の挿通孔381は、螺合部材330を挿通可能な径を有する。第2の挿通孔381の軸長方向は、計量部30の第1収納部210への収納の結果、端部146,148に設けられている螺合孔(図示しない)の軸長方向と一致する。
【0063】
計算表示部320は、ハウジング360に内包され、固定される。計算表示部320は、第1電流線311および第2電流線312から計測される電流量から積算電力量を計算して表示する。
【0064】
計算表示部320は、ハウジング360の頂面301側に設けられる。計算表示部320は、ハウジング360の頂面301側に設けられることで、計量部30を第1収納部210に収納している状態においても、積算電力量を視認可能に構成される。
【0065】
図7に示すように、螺合部材330は、複数(図例では4つ)のボルト等で構成される。この4つの螺合部材330のうち、2つの螺合部材330a,330aは、第1の螺合部材支持部370に支持され、他の2つの螺合部材330b,330bが第2の螺合部材支持部380に支持される。以下、第1の螺合部材支持部370に支持される螺合部材330aを「第1螺合部材」といい、第2の螺合部材支持部380に支持される螺合部材330bを「第2螺合部材」という。
【0066】
螺合部材330の長さLは、係止部340と第1の螺合部材支持部370または第2の螺合部材支持部380との間の距離Mよりも、長手方向に長い。したがって、螺合部材330は、第1の挿通孔371または第2の挿通孔381から抜ける方向(抜去方向)に移動して、螺合部材330係止部340と当接することで、それ以上の移動を規制される。
【0067】
第1螺合部材330a及び第2螺合部材330bは、頭部331と、螺合部材支持部370,380の挿通孔371,381に挿通可能な軸部332とを有する。
【0068】
頭部331は、第1の挿通孔371または第2の挿通孔381よりも大きい径を有する。また、頭部331は、螺合部材330を回転操作する工具を嵌合可能な係合凹部351を有する。頭部331は、各螺合部材330(330a,330b)が挿通孔371,381の軸長方向(軸心方向)に締められることで、第1の螺合部材支持部370または第2の螺合部材支持部380を端部142,146,148,152に係止する。逆に、頭部331は、螺合部材330が軸長方向に緩められることで、第1の挿通孔371または第2の挿通孔381のから抜ける方向に移動して、係止部340に当接する。
【0069】
係合凹部351は、工具と嵌合可能に構成されており、工具に合わせた形状を有する。例えば、工具が六角レンチの場合には、係合凹部351は、この工具の端部が嵌合可能な六角形状の穴として構成される。
【0070】
第1螺合部材330a及び第2螺合部材330bの軸部332は、第1の挿通孔371および第2の挿通孔381よりも小さい径を有する。これにより、軸部332は、第1の挿通孔371または第2の挿通孔381の軸長方向に自由に移動できる。軸部332は、各螺合部材330(330a,330b)が軸長方向に締められることで、導電バー131,133,134,136の端部142,146,148,152の螺合孔に螺入する。逆に、頭部331は、螺合部材330が軸長方向に緩められることで、第1の挿通孔371または第2の挿通孔381のから抜ける方向(係止部340に近づく方向)に移動する。頭部331が係止部340と当接する状態で、軸部332は、第1の挿通孔371または第2の挿通孔381に挿入されている状態で留まる。
【0071】
複数の係止部340,340,…は、頭部331と当接するべく、第1螺合部材支持部370及び第2螺合部材支持部380から所定の距離(M)をおいて第2ハウジング362の所定位置に設けられる。各係止部340は、頭部331と当接することで、螺合部材330の抜去方向へのそれ以上の移動を規制する。
【0072】
係止部340は、頭部331に当接する当接部341と、螺合部材330に対して回転操作するための工具(図示しない)を、螺合部材330にガイドするガイド部342とを有する。
【0073】
当接部341は、螺合部材支持部370,380の挿通孔371,381の軸長方向(軸心方向)に設けられる。当接部341は、ハウジング360から突出して設けられる。これにより、当接部341は、第1の螺合部材支持部370または第2の螺合部材支持部380と対向する当接面を有する。当接面は、螺合部材330の頭部331と当接することで、第1の挿通孔371または第2の挿通孔381に挿入されている螺合部材330の、第1の螺合部材支持部370または第2の螺合部材支持部380からの脱落を防止する。
【0074】
ガイド部342は、螺合部材330を回転操作させるための工具の先端を螺合部材330に向けてガイドする第1ガイド部343と、螺合部材330を回転操作するための工具の回転する方向に沿って湾曲して、工具と当接することで工具の回転操作をガイドする第2ガイド部344と、ハウジング360の長辺に対応する側面302から第2ガイド部344に向かって伸びる第3ガイド部345とを有する。
【0075】
第1ガイド部343は、ハウジング360の長辺に対応する側面302から突出して一対に構成される。各第1ガイド部343,343は、六角レンチ等の工具を挿通可能な幅をもって配置される。また、第1ガイド部343は、工具の移動方向が螺合部材支持部370,380の挿通孔371,381の軸心方向からずれた場合に、工具と当接する幅をもって配置される。これにより、第1ガイド部343は、計量部30の頂面301に沿う方向から挿入される工具の先端を、頭部331に係合させる。すなわち、第1ガイド部343は、頂面301に沿う方向から、工具を第1の挿通孔371および第2の挿通孔381の軸心方向に向けて移動させる。したがって、工具の移動方向が第1の挿通孔371または第2の挿通孔381の軸心方向から大きくずれない。万一、工具の移動方向が第1の挿通孔371または第2の挿通孔381の軸心方向からずれた場合、第1ガイド部343は、工具と当接するとともに、工具を第1の挿通孔371または第2の挿通孔381の軸心方向に向けることができる。
【0076】
第2ガイド部344は、ハウジング360の長辺に対応する側面302から突出して設けられる。第2ガイド部344は、工具の直径よりも所定分だけ大きい曲率半径をもつ湾曲面333を有する。湾曲面333の軸心は、第1の挿通孔371または第2の挿通孔381の軸心と軸長方向で一致する。これにより、螺合部材330に係合している工具が回転操作される場合に、第2ガイド部344は、第1の挿通孔371または第2の挿通孔381の軸長方向からずれない。万一、工具が第1の挿通孔371または第2の挿通孔381の軸長方向からずれた場合でも、湾曲面333は、工具と当接することで、第1の挿通孔371または第2の挿通孔381の軸心から大きくずれることを規制する。
【0077】
第3ガイド部345は、第1ガイド部343にガイドされて、第1の挿通孔371または第2の挿通孔381の軸長方向で移動する工具を、第2ガイド部344の湾曲面333に導く。第3ガイド部345は、ハウジング360の長辺に対応する側面302から第2ガイド部344の湾曲面に向かって伸びるガイド面346を有する。
【0078】
ガイド面346は、第1の挿通孔371または第2の挿通孔381の軸心方向で移動する工具と当接するべく、ハウジング360の長辺に対応する側面302に対して所定角度で傾斜する直線状の傾斜面である。ガイド面346は、第1の挿通孔371または第2の挿通孔381の軸心方向に移動する工具と当接することで、湾曲面333を介して螺合部材330に工具の先端を導くことを可能にする。なお、ガイド面346は、所定の曲率半径で湾曲する形状であってもよい。
【0079】
接続端子350は、ハウジング360の長辺に対応する側面302から突出して設けられる。接続端子350は、ハウジング360内部で、計算表示部320と電気的に接続される。接続端子350は、計量部30を第1収納部210に収納することで、電力量計本体ベース20の端子片170および第2の導電バー132の端部144と電気的に接続される。すなわち、接続端子350は、計量部30を第1収納部210に収納することで、端子片170および端部144と当接可能な程度に、ハウジング360から突出する。接続端子350は、端子片170から計算表示部320の電力を供給するとともに、第2の導電バー132を中性線として機能させる。
【0080】
ハウジング360は、第1の挿通孔371または第2の挿通孔381の軸長方向に平行な方向で電力量計本体ベース20に着装され、第1収納部210に一部を収納可能に構成される。ハウジング360は、2つのハウジング361,362に分離可能に構成される。以下、2つのハウジング361,362の一方を第1ハウジング361といい、他方を第2ハウジング362という。
【0081】
第1ハウジング361は、図9に示すように、平面視長方形状を有する。第1ハウジング361は、図9および図10に示すように、電力量計本体ベース20の爪部206と嵌合する一対の溝部363,363と、第1の螺合部材支持部370および第2の螺合部材支持部380と嵌合する第1の嵌合部364と、接続端子350と嵌合する第2の嵌合部365と、第1ハウジング361内部で第1電流線311および第2電流線312を支持する電流線支持部366と、第1ハウジング361と第2ハウジング362とを連結する第1の連結部材367と、一対の溝部363,363と平行な方向に延びる第1の連結孔334および第2の連結孔335とを有する。
【0082】
各溝部363,363は、第1ハウジング361の短辺に対応する側面368,369の中間位置に一対に設けられる。各溝部363,363は、第1の挿通孔371および第2の挿通孔381の軸長方向に沿って延びる。そして、溝部363の幅は、電力量計本体ベース20に設けられる一対の爪部208,208の幅よりも大きい。
【0083】
第1の嵌合部364は、第1ハウジング361の長辺に対応する側面400に設けられる。第1の嵌合部364は、この側面400のうち、第2ハウジング362と組み合わされる側の端部に設けられる。第1の嵌合部364は、螺合部材支持部370,380と嵌合して、螺合部材支持部370,380を第1ハウジング361の内部から突出させる。
【0084】
第2の嵌合部365は、第1ハウジング361の長辺に対応する側面400に設けられる。第2の嵌合部365は、この側面400のうち、第2ハウジング362と組み合わされる側の端部に設けられる。第2の嵌合部365は、接続端子350と嵌合して、第1ハウジング361の内部から突出させる。
【0085】
電流線支持部366は、第1ハウジング361内に設けられる。電流線支持部366は、第1電流線311および第2電流線312に係合可能に構成されている。電流線支持部366は、第1電流線嵌合部391で第1電流線311を係合し、第2電流線嵌合部392で第2電流線312を係合する。
【0086】
第1の連結部材367は、例えばタッピングネジ等により構成され、第1の連通孔334に挿通される。第1の連結部材367は、第1の連結孔334および後述の第2ハウジング362の第3連結孔336に螺入されて、第1ハウジング361の外面に係止されることで、第1ハウジング361および第2ハウジング362を連結して固定する。
【0087】
第1の連結孔334は、平面視長方形状の第1ハウジング361の1つの角部に設けられる。第2の連結孔335は、平面視長方形状の第1ハウジング361において、第1の連通孔334の対角線上にある角部に設けられる。
【0088】
第2ハウジング362は、図11に示すように、平面視長方形状を有する。第2ハウジング362は、図12に示すように、係止部340を一体に備えている。これにより、第2ハウジング362に設けられる係止部340は、第1ハウジング361から分離されることで、螺合部材330の抜去方向への移動の規制を解除する。すなわち、第2ハウジング362は、螺合部材330を螺合部材支持部370,380から取り外すことを可能にする。
【0089】
第2ハウジング362は、第1ハウジング361の一対の溝部363,363と対応する位置に一対の溝部394,394と、各溝部394,394の端部に設けられる一対の係止面395,395と、第2ハウジング362の長辺に対応する側面313に設けられる螺合部材支持部370,380に嵌合する第3の嵌合部396と、図12に示す計量部30の頂面301に設けられる窓部398と、第1ハウジング361および第2ハウジング362を連結する第2の連結部材399と、一対の溝部394,394と平行な方向に延びる第3の連結孔336および第4の連結孔337とを備える。
【0090】
溝部394,394は、第2ハウジング362の短辺に対応する側面407、408の中間位置に一対に設けられる。溝部394、394は、第1の挿通孔371および第2の挿通孔381の軸長方向に沿って延びる。そして、溝部394の幅は、電力量計本体ベース20に設けられる一対の爪部208,208の幅よりも大きい。
【0091】
一対の係止面395,395は、一対の溝部394,394において第2ハウジング362と係止される端部に設けられる。一対の係止面395,395は、電力量計本体ベース20の一対の爪部208,208と係合することで、計量部30を電力量計本体ベース20に固定する。
【0092】
第3の嵌合部396は、第2ハウジング362の長辺に対応する側面313のうち、第1ハウジング361と組み合わされる側の端部に設けられる。第3の嵌合部396は、第1の螺合部材支持部370および第2の螺合部材支持部380と嵌合して、第1の螺合部材支持部370および第2の螺合部材支持部380を第1ハウジング361の内部から突出させる。
【0093】
窓部398は、図11に示す第2ハウジング362の頂面301に設けられる。窓部398は、透明な部材で構成され、積算電力値をハウジング360の外部から視認可能に設けられている。また、窓部398は、計量パルスをハウジング360の外部から視認可能に設けられる。
【0094】
第2の連結部材399は、例えばタッピングネジ等により構成され、第4の連結孔337および第2の連結孔335に挿通される。この第2の連結部材399は、第4の連結孔337および第2の連結孔335に螺入されて、第2ハウジング362の外面に係止されることで、第1ハウジング361および第2ハウジング362を連結して固定する。
【0095】
第3の連結孔336は、平面視長方形状の第2ハウジング362の1つの角部に設けられる。第4の連結孔337は、平面視長方形状の第2ハウジング362において、第3の連結孔336の対角線上にある角部に設けられる。
【0096】
ここで、第1ハウジング361および第2ハウジング362を連結する方法を詳述する。第1ハウジング361および第2ハウジング362は、第1ハウジング361の溝部363、363の位置と、第2ハウジング362の溝部394、394の位置とを合わせて組み合わされる。また、第1ハウジング361および第2ハウジング362は、第1の嵌合部364および第3の嵌合部396を対向するようにして組み合わされる。これにより、第1の連結孔334と第3の連結孔336とが一致し、第2の連結孔335と第4の連結孔337とが一致する。
【0097】
第1の連結部材367は、第2ハウジング362から第1ハウジング361に向かう方向、すなわち、第1の連結孔334から第3の連結孔336へと螺入される。第1の連結部材367は、第2ハウジング362に係止されるまで螺入することで、第1の連結孔334および第3の連結孔336を一体に連結する。
【0098】
第2の連結部材399は、第1ハウジング361から第2ハウジング362に向かう方向、すなわち、第4の連結孔337から第2の連結孔335へと螺入される。第2の連結部材399は、第1ハウジング361に係止されるまで螺入されることで、第1の連結孔334および第3の連結孔336を一体に連結する。これにより、第1の連結部材367と第2の連結部材399は、ともに、第1ハウジング361および第2ハウジング362を一体に連結する。
【0099】
通信部40は、電力会社と積算電力量を通信するべく設けられる。また、通信部40は、電力会社からの信号に応じて、電力量計本体ベース20の第4の導電バー134および第5の導電バー135の間と、第6の導電バー136および第7の導電バー137間とを電気的に切断または接続する。
【0100】
封印カバー50は、電力量計本体ベース20と係合して、計量部30および通信部40への封印を施すべく設けられる。封印カバー50は、電力量計本体ベース20の仕切り壁201に係合する第1の封印カバー403と、電線接続部110を封印する第2の封印カバー405とを有する。
【0101】
第1の封印カバー403は、電力量計本体ベース20とで作られる空間内に、計量部30および通信部40を封印する。第1の封印カバー403は、電力量計本体ベース20と第1の封印カバー403とを係止する第1のカバー封印ネジ404を有する。第1のカバー封印ネジ404は、電力量計本体ベース20の固定部300に形成される係止孔231に螺合して、第1の封印カバー403を電力量計本体ベース20に固定する。
【0102】
第2の封印カバー405は、電力量計本体ベース20とで作られる空間内に、電線接続部110を封印する。第2の封印カバー405は、電力量計本体ベース20と第2の封印カバー405とを係止する第2のカバー封印ネジ406を有する。第2のカバー封印ネジ406は、電力量計本体ベース20の固定部300に形成される係止孔232に螺合して、第2の封印カバー405を電力量計本体ベース20に固定する。
【0103】
本願発明に係る電力量計の構成については以上の通りであり、次に、本実施形態に係る電力量計の作用について説明する。
【0104】
計量部30は、電力量計本体ベース20の接続部100を介して電線と接続される。具体的には、電線に接続されている1S端子および1L端子に対応する電線接続部110は、端子金具120、導電バー130、および第1電流線311を介して接続される。また、電線に接続されている3S端子および3L端子に対応する電線接続部110は、端子金具120、導電バー130、および第2電流線312を介して接続される。
【0105】
計量部30は、1S端子から1L端子を結ぶ回路と、3S端子から3L端子を結ぶ回路との電流値を取得して、積算電力を計算して表示する。なお、端子片170は、1S端子に対応する導電バー131の端部142および3S端子に対応する導電バー133の端部146から、計量部30に対して、動作電力を提供する。
【0106】
以上によって、電力量計10による積算電力量の計算、表示等を行うことができるようになる。
【0107】
また、本実施形態に係る電力量計10は、螺合部材支持部370,380に支持される螺合部材330(330a,330b)が抜去方向に移動したときに、計量部30に設けられる係止部340がこの螺合部材330の頭部331に当接して係止することによって、螺合部材330が螺合部材支持部370,380から脱落することが防止される。これによって、電力量計10のメンテナンス作業を行う際に、作業者は、螺合部材330の脱落やこれによる紛失を心配することなく、作業に専念でき、電力量計10は利便性の高いものになる。
【0108】
また、螺合部材支持部370,380が第1ハウジング361に設けられ、係止部340が第2ハウジング362に設けられることで、第1ハウジング361と第2ハウジング362とを分離したときに、螺合部材330と係止部340が離間することで、第1の螺合部材支持部370,380に支持される螺合部材330から係止部340が離間し、これによって、係止部340による螺合部材330の係止を解除することができる。これによって、計量部30を分解してメンテナンスする必要がある場合には、螺合部材330a,330bが邪魔にならずに、メンテナンス作業を確実かつ適切に行うことができる。
【0109】
また、螺合部材支持部370,380が、電力量を計量部30で計量するための回路を構成すべく、電線に電気的に接続される端子として兼用されることにより、計量部30の部品点数を可及的に減少させ、電力量計10の製造コストを低減することが可能になる。
【0110】
また、導電バー130の一端部が電線接続部110に接続され、導電バーの他端部が螺合部材330を介して螺合部材支持部370,380と接続されることから、電線接続部110と、端子としての第1の螺合部材支持部370および第2の螺合部材支持部380との間に導電バー130を介在させることにより、計量部30と電線とを離間した位置で接続することができるようになる。これによって、計量部30の大きさや形状の影響を受けることなく、電線を容易かつ確実に計量部30に接続することができる。
【0111】
また、係止部340が、螺合部材330を操作するための工具の所定の動作をガイドするガイド部342を有することから、ガイド部342が、螺合部材330に対して工具をガイドするので、螺合部材330の締緩作業を容易に行うことができるようになる。
【0112】
また、工具が係合する係合凹部351を有し、ガイド部342は、工具が螺合部材支持部370,380の係合凹部351に係合するように工具をガイドするガイド面346を有することから、ガイド面346によって工具を係合部340に向かって案内することで、工具を容易に螺合部材330係合させることができ、作業性を高めることができる。
【0113】
また、ガイド部342が、工具の回転の方向に沿って湾曲する湾曲面333を有することから、螺合部材を回転させるために工具を回転操作する際、工具が半径方向に移動したときに、この湾曲面に当接してその移動が規制される。これにより、作業者は、工具を適切かつ正確に回転させ螺合部材の締緩作業を行うことができるようになる。
【0114】
以上より、本実施形態係る電力量計10は、螺合部材支持部370,380から螺合部材330(330a,330b)が脱落することを防止できる。また、電力量計10は、工具を螺合部材330に容易にガイドすることができるので、螺合部材330の締緩作業を容易にして、計量部30の電力量計本体ベース20への着脱を容易にできる。
【0115】
なお、本発明に係る電力量計は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。また、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0116】
上記実施形態に係る係止部340がガイド部34を有し、ガイド部342が第1ガイド部343、第2ガイド部344、第3ガイド部345を有する例を示したが、これに限らず、係止部340が、これらの一部のみを有していてもよい。
【0117】
また、電力量計10において、ハウジング360は分離不能な構成であってもよい。これにより、螺合部材330a,330bは、第1の螺合部材支持部370および第2の螺合部材支持部380から決して脱落しないので、計量部30を電力量計本体ベース20に着脱する作業を、より容易にすることができる。
【0118】
また、第1の螺合部材支持部370および第2の螺合部材支持部380は、単に、計量部30を電力量計本体ベース20に係止するだけの構成を有していてもよい。この場合、計量部30は、第1の螺合部材支持部370および第2の螺合部材支持部380とは別途、第1電力線311および第2電力線312と、導電バー130とに電気的に接続する端子を有する。これにより、導電バー130の端部の位置に左右されずに、計量部30を電力量計本体ベース20に係止できる。したがって、計量部30には、自由度が増した形状を採用することができる。
【符号の説明】
【0119】
10…電力量計、20…電力量計本体ベース、30…計量部、110…電線接続部、131…第1の導電バー、132…第2の導電バー、133…第3の導電バー、134…第4の導電バー、135…第5の導電バー、136…第6の導電バー、137…第7の導電バー、330(330a,330b)…螺合部材(第1螺合部材、第2螺合部材)、331…螺合部材の頭部、333…湾曲面、340…係止部、342…ガイド部、346…ガイド面、351…係合凹部、361…第1ハウジング、362…第2ハウジング、370…第1の螺合部材支持部、371…第1の挿通孔、380…第2の螺合部材支持部、381…第2の挿通孔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力量計本体ベースと、該電力量計本体ベースに着脱自在に取り付けられるパッケージ化された計量部とを備えた電力量計であって、
計量部は、該計量部を電力量計本体ベースに固定するための螺合部材を挿通する挿通孔を有する螺合部材支持部と、該螺合部材支持部から挿通孔の軸長方向に所定の距離をおいて配置され、抜去方向に移動した螺合部材の頭部に当接して係止することで、螺合部材のそれ以上の移動を規制し、螺合部材が螺合部材支持部から脱落するのを防止する係止部とを備えることを特徴とする電力量計。
【請求項2】
計量部は、第1および第2ハウジングを組み合わせることによりパッケージ化され、
螺合部材支持部は、第1ハウジング側に設けられ、係止部は、第2ハウジング側に設けられ、第1および第2ハウジングを分離することにより、螺合部材から係止部が離間するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の電力量計。
【請求項3】
螺合部材支持部は、電力量を計量部で計量するための回路を構成すべく、電線に電気的に接続される端子として構成されてなることを特徴とする請求項1または2に記載の電力量計。
【請求項4】
電力量計本体ベースは、電線が接続される電線接続部と、該電線接続部と螺合部材支持部とを電気的に接続する導電バーを備え、導電バーの一端部が電線接続部に接続され、導電バーの他端部が螺合部材を介して前記螺合部材支持部と接続されるように構成されてなることを特徴とする請求項3に記載の電力量計。
【請求項5】
係止部は、螺合部材を操作するための工具の所定の動作をガイドするガイド部を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電力量計。
【請求項6】
螺合部材は、前記工具が係合する係合凹部を有し、ガイド部は、該工具が螺合部材の係合凹部に係合するように該工具をガイドするガイド面を有することを特徴とする請求項5に記載の電力量計。
【請求項7】
螺合部材は、前記工具が係合する係合凹部を有し、ガイド部は、前記工具を螺合部材の係合凹部に係合させて該螺合部材を回転させる動作を規制するように、該工具の回転の方向に沿って湾曲する湾曲面を有することを特徴とする請求項5又は6に記載の電力量計。
【請求項1】
電力量計本体ベースと、該電力量計本体ベースに着脱自在に取り付けられるパッケージ化された計量部とを備えた電力量計であって、
計量部は、該計量部を電力量計本体ベースに固定するための螺合部材を挿通する挿通孔を有する螺合部材支持部と、該螺合部材支持部から挿通孔の軸長方向に所定の距離をおいて配置され、抜去方向に移動した螺合部材の頭部に当接して係止することで、螺合部材のそれ以上の移動を規制し、螺合部材が螺合部材支持部から脱落するのを防止する係止部とを備えることを特徴とする電力量計。
【請求項2】
計量部は、第1および第2ハウジングを組み合わせることによりパッケージ化され、
螺合部材支持部は、第1ハウジング側に設けられ、係止部は、第2ハウジング側に設けられ、第1および第2ハウジングを分離することにより、螺合部材から係止部が離間するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の電力量計。
【請求項3】
螺合部材支持部は、電力量を計量部で計量するための回路を構成すべく、電線に電気的に接続される端子として構成されてなることを特徴とする請求項1または2に記載の電力量計。
【請求項4】
電力量計本体ベースは、電線が接続される電線接続部と、該電線接続部と螺合部材支持部とを電気的に接続する導電バーを備え、導電バーの一端部が電線接続部に接続され、導電バーの他端部が螺合部材を介して前記螺合部材支持部と接続されるように構成されてなることを特徴とする請求項3に記載の電力量計。
【請求項5】
係止部は、螺合部材を操作するための工具の所定の動作をガイドするガイド部を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電力量計。
【請求項6】
螺合部材は、前記工具が係合する係合凹部を有し、ガイド部は、該工具が螺合部材の係合凹部に係合するように該工具をガイドするガイド面を有することを特徴とする請求項5に記載の電力量計。
【請求項7】
螺合部材は、前記工具が係合する係合凹部を有し、ガイド部は、前記工具を螺合部材の係合凹部に係合させて該螺合部材を回転させる動作を規制するように、該工具の回転の方向に沿って湾曲する湾曲面を有することを特徴とする請求項5又は6に記載の電力量計。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−202917(P2012−202917A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−69805(P2011−69805)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【出願人】(599151776)中国計器工業株式会社 (49)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【出願人】(599151776)中国計器工業株式会社 (49)
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