説明

電動ステアリングロック装置

【課題】 ステアリングシャフト横に径方向に延びる大きな配設スペースを必要としない薄型化が可能な電動ステアリングロック装置を提供する。
【解決手段】 電動モータ23の駆動力によって回転し、回転軸33の延び方向に沿って変位するカム面34を備えたギア部材30と、ギア部材30の回転によるカム面34の変位に連動して回動することにより、ギア部材30の回転軸33の延び方向に沿って突出してステアリングシャフト1に係合するロック位置と、その係合が解除されるアンロック位置との間を移動可能なロック部材40と、を備えた構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等のステアリングをロックするための電動ステアリングロック装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の電動ステアリングロック装置は、ステアリング操作に伴って回動するステアリングシャフトの外周に係合凹部が設けられている。そして、この電動ステアリングロック装置は、運転者がキー等により自動車のエンジンの停止操作をすると、電動モータの駆動によってロック部材が進出し、係合凹部に係合する。これにより、ステアリングは、ステアリングシャフトの回動が規制されることによりロックされる。一方、電動ステアリングロック装置は、運転者がキー等によりエンジンの始動操作をすると、電動モータの駆動によってロック部材が後退し、係合凹部との係合が解除される。これにより、ステアリングは、ステアリングシャフトの回動規制が解除されることによりアンロックされる。なお、エンジンは、アンロック後に始動される。
【0003】
このような電動ステアリングロック装置が特許文献1に記載されている。この特許文献1の電動ステアリングロック装置は、電動モータの駆動力で回転するカムギアを備えている。このカムギアには、渦巻き形状をなすカム溝が設けられている。このカム溝には、ロック部材の係合ピンが係合されている。そして、ロック部材は 電動モータの駆動によりカム溝に沿って係合ピンが外周側に移動することにより進出する。また、ロック部材は、電動モータの駆動によりカム溝に沿って係合ピンが中心側に移動することにより後退する構成となっている。
【0004】
しかしながら、この電動ステアリングロック装置は、外形がロック部材の進退方向に沿って長く延びて形成されているため、ステアリングシャフトの横には、径方向に延びるように電動ステアリングロック装置を配設するための大きなスペースが必要になる。また、電動ステアリングロック装置は、その配置位置によっては衝突時に運転者の膝と干渉する恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2006−525170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来の問題に鑑みてなされたもので、ステアリングシャフトの横に径方向に延びる大きな配設スペースを必要としない薄型化が可能な電動ステアリングロック装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明の電動ステアリングロック装置は、電動モータの駆動力によって回転し、回転軸の延び方向に沿って変位するカム面を備えたギア部材と、該ギア部材の回転による前記カム面の変位に連動して回動することにより、前記ギア部材の回転軸の延び方向に沿って突出してステアリングシャフトに係合するロック位置と、その係合が解除されるアンロック位置との間を移動可能なロック部材とを備えた構成としている。
【0008】
この電動ステアリングロック装置では、ロック部材を、ギア部材の回転軸の延び方向に沿って突出させるため、ギア部材の径方向がステアリングシャフトの長手側に沿うように電動ステアリングロック装置をステアリングシャフトに対して配置できる。すなわち、ステアリングシャフトの径方向に対する電動ステアリングロック装置の薄型化が可能となる。その結果、ステアリングシャフトの外周部に径方向に延びる大きなスペースが不要となる。よって、電動ステアリングロック装置に運転者の膝が干渉することはない。
【0009】
この電動ステアリングロック装置では、前記ロック部材は、一端側に前記ギア部材のカム面と摺接する従動部と、他端側に前記ステアリングシャフトに係合するロック部と、中間部に回動軸となる軸部とを備え、前記ロック部材は、前記ギア部材のカム面によって直接、操作されることが好ましい。
【0010】
このようにすれば、少ない部品点数にて電動ステアリングロック装置を構成することが可能であり、製造コストを低減できる。
【0011】
また、前記ロック部材は、前記ギア部材の径方向に沿って延在するように配置することが好ましい。
【0012】
このようにすれば、ロック部材の長手側が、ギア部材の径方向に沿って配置されるため、電動ステアリングロック装置の全体の薄型化が可能となる。
【0013】
さらに、前記カム面を形成するカム部は、略円盤状をなす前記ギア部材のギア部の外周縁に沿う上面から前記ギア部材の回転軸の延び方向に沿って突出して設けられることが好ましい。
【0014】
このようにすれば、回転式のロック部材を作動させるギア部材を簡単に構成することが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の電動ステアリングロック装置では、ロック部材をギア部材の回転軸の延び方向に沿って突出させるため、ギア部材の径方向がステアリングシャフトの長手側に沿うように電動ステアリングロック装置をステアリングシャフトに対して配置できる。すなわち、ステアリングシャフトの径方向に対する電動ステアリングロック装置の薄型化が可能となる。その結果、ステアリングシャフトの外周部に径方向に延びる大きなスペースが不要となる。よって、電動ステアリングロック装置に運転者の膝が干渉することはない。そのため、運転者の足元のスペースを広く確保でき、車両が衝突したときの安全性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る実施形態の電動ステアリングロック装置を示す斜視図である。
【図2】ロック部材のロック状態を示す分解斜視図である。
【図3】カバーを除く組立状態を示す平面図である。
【図4】ロック部材のアンロック状態を示す分解斜視図である。
【図5】電動ステアリングロック装置の作動状態を示し、(A)はロック状態を示す断面図、(B)はアンロック状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0018】
図1は、本発明の実施形態に係る電動ステアリングロック装置(以下「ロック装置」と略する。)10を示す。このロック装置10は、車両の操舵を行う図示しないステアリングを上端に配設したステアリングシャフト1(図5に図示)の外周部に配設される。そして、このロック装置10は、運転者がキー等によりエンジンを始動操作すると、ステアリングを操舵可能にアンロックするとともに、エンジンを停止操作すると、ステアリングを操舵不可能にロック可能とする。
【0019】
まず、車両のステアリングシャフト1は、図5(A)に示すように、円柱状をなし、車室内において四角筒状をなすステアリングコラム2の内部に挿通されている。このステアリングコラム2には、ロック装置10の装着位置に貫通孔3が設けられている。また、ステアリングシャフト1には、貫通孔3の形成位置にステアリングシャフト1に対して相対的に移動しないようにカラー4が配設されている。カラー4は円筒形状をなし、その外周部に軸方向に延びる係合凹部5が周方向に所定間隔をもって設けられている。
【0020】
本実施形態のロック装置10は、ケース11およびカバー18からなる外装体の内部に、電動モータ23、ギア部材30、および、ロック部材40を配設したものである。
【0021】
ケース11は、図1および図3に示すように、一端開口の有底四角筒形状をなす。このケース11の底には、上方を開放したU字形状の溝を有する一対のロック部材軸支部12が設けられている。また、このケース11には、ギア部材30を回動可能に装着するための軸受部13が設けられている。さらに、このケース11には、軸受部13の近傍にモータ収納部14が設けられるとともに、該モータ収納部14と所定間隔をもってモータ軸支部15が設けられている。
【0022】
カバー18は、図1および図5(A)に示すように、ケース11の上端開口を閉塞する長方形状の平板からなる。カバー18の内面には、組付状態でロック部材軸支部12に対向する一対の押さえ部(図示せず)が突設されている。また、カバー18には、軸受部13と対向する位置に同様の軸受部19が設けられている。さらに、カバー18には、軸受部19とは反対側の端部に、後述するロック部材40のロック部43が外部に対して出没可能なロック部材挿通孔20が設けられている。ロック部材挿通孔20の外側縁部には、カバー18の上面(外面)から略四角筒状に突出し、ステアリングコラム2の貫通孔3内に嵌合する装着部21が設けられている。
【0023】
電動モータ23は、ギア部材30を介してロック部材40を作動させるための駆動手段である。この電動モータ23は、ケース11内に配設されている図示しない配線を介して電力を供給されて車両に搭載された図示しない制御回路により正逆回転される。電動モータ23は、電力が供給されると、その通電方向によって出力軸24がロック作動方向(正転)またはアンロック作動方向(逆転)に回転する。この出力軸24には、螺旋状の歯が形成されたウォーム25が配設されている。この電動モータ23は、図3に示すように、ケース11のモータ収納部14に収納され、出力軸24の先端がモータ軸支部15に回転可能に支持される。
【0024】
ギア部材30は、電動モータ23の駆動力によって回転するものである。このギア部材30は、図2、および、図5(A)に示すように、外周部にウォーム25の歯と噛み合うはす歯が形成された円盤状のギア部31と、該ギア部31の上面から突設されたカム部32とを備えている。ギア部31の軸心には回転軸33が貫通して固定されている。ギア部材30は、組付け状態において、この回転軸33の両端がケース11およびカバー18の軸受部13、19にそれぞれ軸支されることで、ケース11内で回転可能に軸支されている。
【0025】
カム部32は、ギア部31の外周縁に沿っておよそ270度近くにわたってギア部31の上面から略円筒状に突出して設けられている。カム部32の上面は、後述するロック部材40の従動部42と摺接するカム面34となっている。このカム面34は、ギア部材30の軸方向に直交する平面に対して鋭角をなす斜め方向に延伸して、螺旋の一部をなすように形成されている。すなわち、ロック部材40の従動部42と摺接するカム面34が、ギア部材30の回転によってギア部材30の回転軸33の延び方向に沿って変位するように形成されている。また、カム面34の両端には、ギア部材30の周方向に延びる非作動面35a、35bが設けられている。非作動面35aは、ギア部31の上面をもって構成されている。
【0026】
なお、本実施形態のギア部材30においては、カム面34を形成するカム部32を、略円盤状のギア部31の外周縁に沿う上面からギア部材30の回転軸33の延び方向に沿って略円筒状に突出して設けるようにしている。この構成によれば、ギア部材30の回転軸33からカム部32までの距離(半径)をより長くとることができる。すなわち、ギア部材30の周方向に沿ったカム部32のカム面34の長さを長く取ることができる。これにより、カム面34の変位量に対してカム面34の傾斜角をより小さくすることが可能となり、ロック部材40の従動部42とカム面34との摩擦を低減でき、従動部42およびカム面34の消耗を低減できる。また、カム部32がギア部材30から突出して設けられているため、カム部32を手指で摘んで、ギア部材30をケース11等に組み付けることが可能となり、組付け性も向上できる。
【0027】
ロック部材40は、ギア部材30のカム面34の軸方向への変位によって回動し、ロック部材40がステアリングシャフト1の係合凹部5に係合するロック位置、および、ステアリングシャフト1の係合凹部5と係合しないアンロック位置間を回転移動するものである。具体的には、ロック部材40は、図2、図3および図5(A)に示すように、略長板状であり、ロック部材40のおよそ中央には、両側面から突出する軸部41が設けられている。軸部41は、ケース11のロック部材軸支部12によって軸支され、図5(A)、(B)に示す位置で、回転自在に保持されている。また組付け状態においては、ケース11のロック部材軸支部12に対向するカバー18の押さえ部(図示せず)がロック部材40の軸部41の上面に当接して、軸部41がケース11のロック部材軸支部12から脱落することを阻止している。ロック部材40は、前記ギア部材30の径方向に沿って延在し、かつ、ギア部材30の接線方向に沿って延びて配設されている。また、ロック部材40の軸部41は、ギア部材30の回転軸33の軸線と平行な線に対しておよそ直交する方向に延びるように設定されている。すなわち、ロック部材40は、軸部41を回転中心とする回転移動によって、その両端がおよそギア部材30の軸線方向に沿って移動するように構成されている。
【0028】
ロック部材40には、ギア部材30側の一端部に、下向き(ギア部材30側)に突出する従動部42が設けられている。この従動部42は、ギア部材30のカム面34と摺接するものであり、その端面が略半円柱状に丸みを帯びて形成され、カム面34と従動部42との摺動抵抗が小さくなるように形成されている。
【0029】
ロック部材40の他端側には、上向き(ステアリングシャフト1側)に突出するロック部43が設けられている。ロック部43は、ロック部材40が軸部41を中心としてロック方向に回動すると、ギア部材30の回転軸33の延び方向に沿って突出し、ロック部材挿通孔20を貫通してステアリングシャフト1の係合凹部5に係合する。また、ロック部43は、ロック部材40が軸部41を中心としてアンロック方向に回動すると、ロック部材挿通孔20内に没入して係合凹部5との係合が解除される。ロック部材40は、付勢部材であるスプリング44によって、図2、および、図5(A)に示すロック位置へ回動するように付勢されている。スプリング44は、ロック部材40の一方の軸部41に装着された捻りコイルバネであり、一端がロック部材40の従動部42側の上面、および、他端がカバー18の内面に係止することで、ロック部材40のロック部43をロック位置へ向けて付勢するとともに、他端側の従動部42をギア部材30に向けて付勢している。
【0030】
前記構成のロック装置10は、四角筒状をなすステアリングコラム2の貫通孔3を有する壁面に配設される。この際、図5(A)に示すように、カバー18の上面から突出した装着部21を貫通孔3に挿通させる。これにより、直方体形状をなすロック装置10の上面が、ステアリングコラム2の壁面に沿って延びるように配設される。この状態では、ギア部材30の回転軸33がステアリングシャフト1の軸線を含む平面に対して略直交方向に延びるように位置する。すなわち、ロック装置10を、ステアリングシャフト1に対してギア部材の径方向がステアリングシャフト1の長手側に沿うように配置できるため、ステアリングシャフト1の径方向に対するロック装置10の薄型化が可能となる。
【0031】
また、本実施形態のロック装置10は、ロック部材40が、ギア部材30の径方向に沿って延在するように配置されているため、ロック装置10の全体の薄型化が可能である。
【0032】
さらに、本実施形態のロック装置10においては、ロック部材40を回転作動式としているため、ロック部材40のロック部43の上下方向の作動量および作動トルクは、従動部42から軸部41までの長さ、および、軸部41からロック部43までの長さ、をそれぞれ適宜調整することで変更が可能である。この場合、例えば、ロック部材40のロック部43の作動量を調整するためにロック部材40の全長を長く設定しても、本実施形態のロック装置10においては、ロック部材40がギア部材30の径方向に沿って延在するように配置されているため、ロック部材40はロック装置10のギア部材30の径方向に沿って延びるのみであり、ロック装置10がギア部材30の回転軸33方向に大型化することを抑制できる。すなわち、ステアリングシャフト1の径方向に対するロック装置10の薄型化を維持しつつ、設計の自由度を向上できる。
【0033】
次に、ロック装置10の作動について具体的に説明する。
【0034】
図2、および、図5(A)に示すロック状態で、電動モータ23に電力が供給されて電動モータ23が正転すると、ウォーム25を介してギア部材30が時計回りに回転する。ギア部材30が時計周りに回転すると、ロック部材40の従動部42は、カム部32における非作動面35aを摺接した後、カム面34を経て非作動面35bに至る。従動部42がカム部32の非作動面35aを摺接する際には、非作動面35aがギア部材30の回転軸33に対して直交する平面状をなすため、ギア部材30の回転軸33に沿った変位はない。そして、従動部42がカム面34に至ると、カム面34が徐々にギア部材30の回転軸33に沿ってステアリングシャフト1側に変位するため、従動部42は、カム面34に押圧されてギア部材30の回転軸33方向に沿ってステアリングシャフト1側に移動される。これにより、ロック部材40は、軸部41を中心としてスプリング44の付勢力に抗してアンロック位置に向けて回動する。その後、従動部42が非作動面35bに至ると、非作動面35bがギア部材30の回転軸33に対して直交する平面状をなすため、ロック部材40の従動部42は、ギア部材30の回転軸33方向に沿った変位が停止する。その結果、ロック部材40の回転作動も停止する。
【0035】
このようにしてロック部材40がアンロック位置に向けて回動すると、先端のロック部43は、ギア部材30の回転軸33の延び方向に略沿って移動するように、ロック部材挿通孔20内に没入する。その結果、図5(B)に示すように、ロック部43がステアリングシャフト1の係合凹部5から完全に離反(係合解除)し、アンロック状態となる。
【0036】
そして、電動モータ23への通電開始から所定時間経過すると、車両の制御回路からの電力の供給が停止され、電動モータ23が停止してギア部材30は、図4及び図5(B)に示すアンロック位置に停止する。なお、ギア部材30が何らかの理由によってアンロック位置を超えてさらに時計回りに回転してしまうと、ロック部材40の従動部42は非作動面35bから脱落し、従動部42が非作動面35aと摺接する位置まで移動可能となり、ロック部材40がロック作動する恐れがある。これを防止するため、非作動面35bの反時計回り方向側の端部に、ロック部材40の従動部42と係合してギア部材30の所定以上の回転を防ぐストッパ部を突設して設けるようにしてもよい。
【0037】
一方、図4、および、図5(B)に示すアンロック状態で、電動モータ23に電力が供給されて電動モータ23が逆転すると、ウォーム25を介してギア部材30が反時計回りに回転する。ギア部材30が反時計周りに回転すると、ロック部材40の従動部42は、カム部32における非作動面35bを摺接した後、カム面34を経て非作動面35aに至る。従動部42がカム部32の非作動面35bを摺接する際には、非作動面35aがギア部材30の回転軸33に対して直交する平面状をなすため、ギア部材30の回転軸33に沿った変位はない。そして、従動部42がカム面34に至ると、カム面34が徐々にギア部材30の回転軸33に沿ってギア部31側に変位するため、従動部42は、スプリング44の付勢力によってギア部材30側に移動される。これにより、ロック部材40は、軸部41を中心としてロック位置に向けて回動する。その後、従動部42が非作動面35aに至ると、非作動面35aがギア部材30の回転軸33に対して直交する平面状をなすため、ロック部材40の従動部42は、ギア部材30の回転軸33方向に沿った変位が停止する。その結果、ロック部材40の回転作動も停止する。
【0038】
このようにしてロック部材40がロック位置に向けて回動すると、先端のロック部43は、ギア部材30の回転軸33の延び方向に沿って移動するように、ロック部材挿通孔20から外部に向けて突出する。その結果、ロック部材40は、図5(A)に示すように、ロック部43と対応するステアリングシャフト1のカラー4の係合凹部5に係合し、ロック状態となる。
【0039】
そして、電動モータ23への通電開始から所定時間経過すると、車両の制御回路からの電力の供給が停止され、電動モータ23が停止してギア部材30は図2、および図5(A)に示すロック位置に停止する。このロック状態においては、スプリング44の付勢力によってロック部材40のロック部43がステアリングシャフト1側に向けて付勢された状態が維持されるため、ロック部材40のロック状態が維持される。
【0040】
このように、本発明のロック装置10は、ロック部材40をギア部材30の回転軸33の延び方向に沿って突出させ、ステアリングシャフト1に係合するように構成しているため、ギア部材の径方向がステアリングシャフトの長手側に沿うようにロック装置10をステアリングシャフト1に対して配置できる。すなわち、ステアリングシャフト1の径方向に対するロック装置10の薄型化が可能となる。その結果、ロック装置10を配設するために、ステアリングシャフト1の外周部に径方向に延びる大きなスペースが不要となる。よって、配設したロック装置10に運転者の膝が干渉することはない。
【0041】
また、本実施形態のロック装置10では、ギア部材30に設けたカム面34によって直接ロック部材40を作動させる構成としているため、少ない部品点数にてロック装置10を構成することが可能であり、製造コストを低減できる。
【符号の説明】
【0042】
1・・・ステアリングシャフト、10・・・電動ステアリングロック装置、23・・・電動モータ、30・・・ギア部材、33・・・回転軸、34・・・カム面、40・・・ロック部材、41・・・軸部、42・・・従動部、43・・・ロック部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動モータの駆動力によって回転し、回転軸の延び方向に沿って変位するカム面を備えたギア部材と、該ギア部材の回転による前記カム面の変位に連動して回動することにより、前記ギア部材の回転軸の延び方向に沿って突出してステアリングシャフトに係合するロック位置と、その係合が解除されるアンロック位置との間を移動可能なロック部材とを備えたことを特徴とする電動ステアリングロック装置。
【請求項2】
前記ロック部材は、一端側に前記ギア部材のカム面と摺接する従動部と、他端側に前記ステアリングシャフトに係合するロック部と、中間部に回動軸となる軸部とを備え、前記ロック部材は、前記ギア部材のカム面によって直接、操作されることを特徴とする請求項1に記載の電動ステアリングロック装置。
【請求項3】
前記ロック部材は、前記ギア部材の径方向に沿って延在するように配置されたことを特徴とする請求項1または2に記載の電動ステアリングロック装置。
【請求項4】
前記カム面を形成するカム部は、略円盤状をなす前記ギア部材のギア部の外周縁に沿う上面から前記ギア部材の回転軸の延び方向に沿って突出して設けられたことを特徴とする請求項1乃至3に記載の電動ステアリングロック装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−274712(P2010−274712A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−127245(P2009−127245)
【出願日】平成21年5月27日(2009.5.27)
【出願人】(000138462)株式会社ユーシン (241)