説明

電動ステアリングロック装置

【課題】電動モータの交換時期を正確に把握することによってトラブルの発生を未然に防ぐことができる電動ステアリングロック装置を提供すること。
【解決手段】電動ステアリングロック装置において、ロック部材6(ロックボルト)がロック位置又はアンロック位置に移動した回数をカウントするカウンタ31と、該カウンタ31によってカウントされた移動回数を記憶する移動回数記憶手段33と、前記電動モータ14の耐久作動回数を記憶する耐久回数記憶手段34と、前記電動モータ14の交換時期を知らせる報知手段35を設け、CPU(制御手段)19は、移動回数記憶手段33に記憶された移動回数Xが耐久回数記憶手段34に記憶された第1の耐久回数Y1に到達すると第1の報知制御を行い、移動回数Xが第1の耐久回数Y1を超えて第2の耐久回数Y2に到達すると第1の報知制御とは異なる第2の報知制御を行うようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の駐車時にステアリングホイールの回動を電動でロックするための電動ステアリングロック装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、車両には盗難防止の目的で駐車時にステアリングホイールの回動を電動でロックするための電動ステアリングロック装置を備えたものがある。この電動ステアリングロック装置は、車両のステアリングシャフトに係合するロック位置とその係合が解除されるアンロック位置との間を移動可能なロック部材と、該ロック部材を移動させる電動モータと、該電動モータの出力軸の回転力を前記ロック部材の進退力に変換する駆動機構を備えている。
【0003】
斯かる電動ステアリングロック装置は、エンジン作動状態で運転者がエンジンスタートスイッチをOFF操作すると、これを検知した電動ステアリングロック装置の上位ユニットは、エンジンを停止させ、安全が確認されたことを条件に電動ステアリングロック装置に対してロック要求を行う。電動ステアリングロック装置は、このロック要求を受けると、電動モータを駆動し、該電動モータによってロック部材を移動させてステアリングシャフトに係合させることによってステアリングホイールの回動をロックする。
【0004】
一方、エンジン停止状態でドライバがエンジンスタートスイッチをON操作すると、これを検知した上位ユニットは、電動ステアリングロック装置に対してアンロック要求を行う。電動ステアリングロック装置は、このアンロック要求を受けると、電動モータを駆動し、該電動モータによってロック部材を移動させて該ロック部材のステアリングシャフトへの係合を解除し、ステアリングホイールをアンロックしてステアリング操作を可能とするものである。
【0005】
而して、斯かる電動ステアリングロック装置に関して特許文献1には、ロック部材を移動させる電動モータ等のアクチュエータの過熱を防ぐための技術が提案されている。具体的には、アクチュエータが作動する前の第1の初期カウンタ値に対して、アクチュエータが作動しているときカウンタ値を加算するとともに、アクチュエータが休止しているときカウンタ値を減算することによって得られるカウンタ値が休止カウンタ値に達したときにアクチュエータを強制的に休止させる制御手段を設ける構成が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−111230号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、電動ステアリングロック装置のロック部材を移動させる電動モータには限界耐久回数(ロック部材の限界移動回数)が存在し、電動モータが寿命に達してその作動が限界耐久回数を超えると該電動モータを交換する必要があるが、従来、電動モータの交換時期を正確に把握することは困難であった。寿命に達したために正常に作動しない電動モータを使用し続けると、ロック部材によるステアリングホイールのロックが解除されないためにエンジンを始動することができない等のトラブルが発生する可能性がある。
【0008】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的とする処は、電動モータの交換時期を正確に把握することによって該電動モータの交換を促し、耐久寿命に達した電動モータを使用し続けることによるトラブルの発生を未然に防ぐことができる電動ステアリングロック装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、
車両のステアリングシャフトに係合するロック位置とその係合が解除されるアンロック位置との間を移動可能なロック部材と、
該ロック部材を移動させる電動モータと、
該電動モータの出力軸の回転力を前記ロック部材の進退力に変換する駆動機構と、
前記ロック部材が前記ロック位置とアンロック位置に対応する位置にあることを検出する検出センサと、
該検出センサから検出信号に応じて前記電動モータを制御する制御手段と、
を備えた電動ステアリングロック装置において、
前記ロック部材が前記ロック位置又は前記アンロック位置に移動した回数をカウントするカウンタと、
該カウンタによってカウントされた移動回数を記憶する移動回数記憶手段と、
前記電動モータの耐久作動回数を記憶する耐久回数記憶手段と、
前記電動モータの交換時期を知らせる報知手段と、
を備え、前記制御手段は、前記移動回数記憶手段に記憶された移動回数が前記耐久回数記憶手段に記憶された第1の耐久回数に到達すると第1の報知制御を行い、移動回数が前記第1の耐久回数を超えて第2の耐久回数に到達すると前記第1の報知制御とは異なる第2の報知制御を行うよう構成したことを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記制御手段は、前記ロック部材が前記ロック位置又は前記アンロック位置に到達する時間をカウントするタイマ手段を備え、該タイマ手段によってカウントされた時間が所定時間を超えた場合には、前記カウンタによってカウントされる移動回数に所定数を加算した値を前記ロック部材の移動回数とすることを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記制御手段は、前記カウンタによってカウントされる移動回数が前記第1の耐久回数に到達すると前記報知手段により前記電動モータの交換時期を報知し、移動回数が前記第1の耐久回数を超えて前記第2の耐久回数に到達すると前記ロック部材の移動を停止するとともに、エンジン制御手段にエンジンの始動を規制する制御信号を送信することを特徴とする。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明において、前記制御手段は、前記移動回数記憶手段に記憶された移動回数が前記第2の耐久回数に到達すると前記エンジン制御手段に、2回以上のエンジン始動操作をしないと前記ロック部材のロックを解除せず、エンジンの始動を規制する制御信号を送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の発明によれば、ロック部材がロック位置又はアンロック位置に移動した回数をカウンタによってカウントし、そのカウントされたロック部材の移動回数(移動回数記憶手段に記憶された累積値)と耐久回数記憶手段に記憶された電動モータの第1の耐久回数及び第2の耐久回数(ロック部材の移動回数に換算した値)とを比較することによって電動モータの交換時期を正確に把握することができる。そして、電動モータの耐久作動回数として第1の耐久回数とこれよりも大きな第2の耐久回数を設定し、ロック部材の移動回数(累積値)に応じて報知手段による報知制御を段階的に変化させるようにしたため、電動モータが寿命に達する前にその交換を促し、耐久寿命に達した電動モータを使用し続けることによるトラブルの発生を未然に防ぐことができる。
【0014】
請求項2記載の発明によれば、ステアリングホイールのロック状態においてロック部材がステアリングシャフト側の係合溝に噛み込んだ状態(据え切り状態)等にあるためにロック部材に過負荷が掛かったような場合には、電動モータの消耗が正常時のそれよりも大きくなるとともに、ロック部材がアンロック位置に到達する時間が正常時のそれよりも長くなることに着目し、タイマ手段によってカウントされた時間が所定時間(正常時の時間)を超えた場合には、カウンタによってカウントされる移動回数に所定数(例えば5)を加算した値をロック部材の移動回数とするようにしたため、電動モータの消耗とロック部材の移動回数(累積値)とを同期させて電動モータの交換時期をより正確に把握することができる。
【0015】
請求項3記載の発明によれば、カウンタによってカウントされるロック部材の移動回数が第1の耐久回数に到達した時点で電動モータの交換時期を促すようにしたため、車検時等において電動モータの交換を適正に行うことができる。そして、ユーザーが第1の耐久回数を超えて電動モータを使用し続けた場合であっても、ロック部材の移動回数が第2の耐久回数に到達するとロック部材の移動を停止するとともに、エンジンの始動を規制するようにしたため、ロック部材によるステアリングホイールのロックが解除されないためにエンジンを始動することができない等のトラブルの発生を未然に防ぐことができる。
【0016】
請求項4記載の発明によれば、移動回数記憶手段に記憶された移動回数が第2の耐久回数に到達すると少なくとも2回のエンジン始動操作をしないとロック部材のロックを解除せず、エンジンを始動させることができないようにしたため、運転者はエンジンの始動操作のたびに電動モータの交換を促すインフォメーションを受けるとともに、毎回2回以上の始動操作をしなければエンジンを始動させることができないため、その煩わしさ故に運転者に電動モータの交換を決意させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る電動ステアリングロック装置のロック状態を示す縦断面図である。
【図2】本発明に係る電動ステアリングロック装置のアンロック状態を示す縦断面図である。
【図3】本発明に係る電動ステアリングロック装置の分解斜視図である。
【図4】本発明に係る電動ステアリングロック装置のバネ部材の斜視図である。
【図5】本発明に係る電動ステアリングロック装置のバネ部材の作用を説明する図である。
【図6】本発明に係る電動ステアリングロック装置の制御システム構成図である。
【図7】本発明に係る電動ステアリングロック装置の制御手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0019】
図1は本発明に係る電動ステアリングロック装置のロック状態を示す縦断面図、図2は同電動ステアリングロック装置のアンロック状態を示す縦断面図、図3は同電動ステアリングロック装置の分解斜視図、図4はバネ部材の斜視図、図5は同バネ部材の作用を説明する図である。
【0020】
本発明に係る電動ステアリングロック装置1は、電動によって不図示のステアリングシャフト(ステアリングホイール)の回動をロック/アンロックするものであって、そのハウジング2は、非磁性体の金属(例えば、マグネシウム合金)で構成されたケース3と該ケース3の下面開口部を覆う金属製のリッド4によって構成されている。
【0021】
上記ケース3は矩形ボックス状に成形されており、その上部には円弧状の凹部3aが形成され、この凹部3aには不図示のコラムチューブが嵌め込まれ、このコラムチューブはケース3に結着される不図示の円弧状のブラケットによってケース3に固定される。尚、図示しないが、コラムチューブ内には前記ステアリングシャフトが挿通しており、該ステアリングシャフトの上端にはステアリングホイールが結着され、ステアリングシャフトの下端はステアリングギヤボックスに連結されている。そして、運転者がステアリングホイールを回動操作すれば、その回転はステアリングシャフトを経てステアリングギヤボックスに伝達され、操舵機構が駆動されて左右一対の前輪が転舵されて所要の操舵がなされる。
【0022】
又、図3に示すように、ケース3の側部には矩形のコネクタ配設部3bが開口しており、このコネクタ配設部3bが形成された側面以外の他の3つの側面にはピン5が圧入される円孔状のピン孔3c(図3には2つのみ図示)が形成されている。
【0023】
他方、前記リッド4は矩形平板状に成形されており、その内面(上面)には3つのブロック状のピン留め部4Aと3つの円柱状のカバー押さえ部4B及び有底筒状のギヤ保持筒部4Cが一体に立設されている。ここで、3つのピン留め部4Aはケース3の前記ピン孔3cの位置に対応する箇所に形成されており、これらには前記ピン5が圧入される円孔状のピン挿通孔4a(図3には1つのみ図示)が形成されている。
【0024】
而して、リッド4は、図1及び図2に示すように、ケース3の下面開口部を下方から覆うようにケース3の下端部内周に嵌め込まれ、ケース3の側部に形成された3つの前記ピン孔3c(図3参照)に挿通するピン5を該リッド4に立設された3つのピン留め部4Aに形成されたピン挿通孔4aに圧入することによってケース3に固定される。
【0025】
ところで、ハウジング2には、図1及び図2に示すように、ロック部材収納部2Aと基板収納部2Bが形成されており、これらのロック部材収納部2Aと基板収納部2Bとは上下方向に延びる細長い連通部2Cによって互いに連通している。
【0026】
又、図1及び図2に示すように、上記ロック部材収納部2Aにはロック部材6が収納されており、このロック部材6は、下端部外周に雄ネジ部7aが刻設された略円筒状のドライバ7と、該ドライバ7内に上下動可能に収容されたプレート状のロックボルト8とで構成されている。ここで、ロックボルト8には上下方向に長い長孔8aが形成されており、ロックボルト8は長孔8aに横方向に挿通するピン9によってドライバ7に連結されている。尚、ピン9は、ドライバ7に横方向に貫設されたピン挿通孔7bに圧入によって挿通保持されている。
【0027】
そして、ロックボルト8は、ケース3に形成された矩形の挿通孔3d内に上下動可能に嵌合しており、これとドライバ7の隔壁7c間に縮装されたスプリング10によって常時上方に付勢され、通常はロックボルト8の長孔8aの下部がピン9に係合することによって該ロックボルト8はドライバ7と共に上下動する。
【0028】
又、ドライバ7の上部外周の相対向する箇所には水平に延びる係合部としてのアーム7Aと上下方向に長い回り止め部7Bが一体に形成されており、アーム7Aは、ハウジング2(ケース3)に形成された前記連通部2Cに上下動可能に収容され、回り止め部7Bは、ケース3に形成された係合溝3eに係合してドライバ7の回転を阻止する。そして、アーム7Aの先端部には横断面矩形の磁石収納部7dが形成されており、この磁石収納部7dには四角柱状の磁石11が圧入によって収納されている。
【0029】
更に、図1及び図2に示すように、ハウジング2内に形成された前記ロック部材収納部2Aには円筒状のギヤ部材12が回転可能に収容されており、該ギヤ部材12の下部外周はリッド4の内面(上面)に立設された前記ギヤ保持筒部4Cによって回転可能に保持されている。そして、このギヤ部材12の下部外周にはウォームギヤ12aが形成され、内周には雌ネジ部12bが形成されている。
【0030】
上記ギヤ部材12の内部には前記ドライバ7の下部が挿入されており、このドライバ7の下部外周に形成された前記雄ネジ部7aは、ギヤ部材12の内周に形成された前記雌ネジ部12bが噛合している。そして、リッド4のギヤ保持筒部4Cの中心部に形成された円柱状のスプリング受け4bとドライバ7の隔壁7cの間にはスプリング13が縮装されており、ロック部材6(ドライバ7とロックボルト8)はスプリング13によって常時上方に付勢されている。
【0031】
又、図1及び図2に示すように、ハウジング2に形成された前記ロック部材収納部2Aには電動モータ14が横置き状態で収納されており、この電動モータ14の出力軸14aには小径のウォーム15が形成され、このウォーム15はギヤ部材12の外周に形成された前記ウォームギヤ12aに噛合している。ここで、ウォーム15とウォームギヤ12aは、電動モータ14の出力軸14aの回転力をロック部材6の進退力に変換する駆動機構を構成している。
【0032】
一方、図1及び図2に示すように、ハウジング2に形成された前記基板収納部2Bには、その内面がロック部材6の作動方向と平行となるように基板16が収納されており、この基板16の内面上下のロック位置とアンロック位置に対応する位置には検出センサであるホール素子(LOCK_SW)17とホール素子(UNLOCK_SW)18がそれぞれ設けられており、これらのホール素子17,18と前記磁石11によって作動位置検出機構が構成され、この作動位置検出機構によって後述のようにロック部材6(ロックボルト8)の位置(ロック/アンロック位置)が検出される。
【0033】
ここで、上記作動位置検出機構を含む電動ステアリングロック装置1の制御システムの構成を図6に基づいて以下に説明する。
【0034】
図6は本発明に係る電動ステアリングロック装置1の制御システム構成図であり、図示のように前記ホール素子17,18は、電動モータ14を駆動制御する制御手段であるCPU19に電気的に接続されており、CPU19は、通信インターフェイス(通信I/F)20及び車両の通信ライン21及び通信インターフェイス(通信I/F)22,23を経て車両に搭載された上位ECU24とエンジンECU25に電気的に接続されている。尚、図3に示すように、基板16には通信インターフェイス20の機能を果たすコネクタ26が取り付けられており、このコネクタ26には、前記CPU19(図6参照)から延びる不図示の電気的接続線が接続され、ホール素子17,18は前述のようにCPU19に電気的に接続されている。
【0035】
ここで、ロック位置近傍に配されたホール素子17は、ロック部材6(アーム7A)に設けられた磁石11の中心がロック位置近傍の検知範囲に位置すると磁石11の磁力を検知して検知信号をCPU19に送信するため、CPU19はロックボルト8がロック位置に移動したものと判断する。又、アンロック位置近傍に配されたホール素子18は、ロック部材6(アーム7A)に設けられた磁石11の中心がアンロック位置近傍の検知範囲に位置すると磁石11の磁力を検知して検知信号をCPU19に送信するため、CPU19はロックボルト8がアンロックロック位置に移動したものと判断する。
【0036】
又、図6に示すように、車両に搭載されたバッテリ27には前記電動モータ(M)14がロックリレー28とアンロックリレー29を介して電気的に接続されており、ロックリレー28とアンロックリレー29はCPU19から送信されるロック信号とアンロック信号によってそれぞれ駆動される。ここで、図3に示すように、前記コネクタ26には上下2つのモータ給電端子30が突設されており、これらのモータ給電端子30は電動モータ14に接続されている。
【0037】
更に、図6に示すように、前記CPU19には、ロックボルト8がロック位置又はアンロック位置に移動した回数Xをカウントするカウンタ31と、ロックボルト8がロック位置からアンロック位置及びアンロック位置からロック位置へと移動する時間(移動時間)をカウントするタイマ手段32が内蔵されている。そして、CPU19には、前記カウンタ31によってカウントされたロックボルト8の移動回数Xを累積値として更新しながら記憶する移動回数記憶手段(不揮発性メモリ)33と、電動モータ14の耐久作動回数(寿命に達するまでの総作動回数)として第1の耐久回数Y1と第2の耐久回数Y2(>Y1)を記憶する耐久回数記憶手段(不揮発性メモリ)34と、ロックボルト8の移動回数Xが第1の耐久回数Y1,Y2に達するとそれぞれ異なる報知制御を行う報知手段35が接続されている。
【0038】
ここで、耐久回数記憶手段34に記憶されている第1の耐久回数Y1と第2の耐久回数Y2は、ロックボルト8の移動回数に換算した値であって、それぞれ次式で求められる。
【0039】
Y1=電動モータの第1の耐久回転数/ロックボルトの1回の移動回転数
Y2=電動モータの第2の耐久回転数/ロックボルトの1回の移動回転数
ところで、本実施の形態では、CPU19は、カウンタ31によってカウントされて移動回数記憶手段に記憶されるロックボルト8の移動回数(累積値)Xと耐久回数記憶手段34に記憶されている電動モータ14の第1の耐久回数Y1及び第2の耐久回数Y2とを比較し、ロックボルト8の移動回数Xが第1の耐久回数Y1に到達すると報知手段35により電動モータ14の交換時期を報知し、ロックボルト8の移動回数Xが第1の耐久回数Y1を超えて第2の耐久回数Y2に到達するとロックボルト8の移動を停止するとともに、エンジンECU25にエンジンの始動を規制する制御信号を送信するようにしている。
【0040】
又、CPU19は、タイマ手段32によってカウントされた時間が所定時間を超えた場合には、カウンタ31によってカウントされる移動回数に所定数を加算した値をロックボルト8の移動回数Xとするようにしている。
【0041】
ところで、本実施の形態では、図1及び図2に示すように、ハウジング2に形成された前記ロック部材収納部2Aと前記基板収納部2Bとを連通させる連通部2Cは、ドライバ7のアーム7Aに取り付けられた前記磁石11と基板収納部2Bに収納された前記基板16との対向空間を形成している。そして、ロック部材6と基板16との間の位置(アーム7Aの磁石収納部7dの開口部に対向して磁石11の磁石収納部7dからの脱落を阻止する位置)には樹脂製のカバー36が配設されており、このカバー36によって連通部2Cが閉塞されるとともに、磁石11の磁石収納部7dからの脱落が阻止されている。
【0042】
ここで、カバー36は、図3に示すように、水平なベース部36Aと該ベース部36Aから垂直に起立する遮蔽部36Bとで構成されており、ベース部36Aには前記ギヤ部材12との干渉を避けるための円弧状の切欠き36aが形成されるとともに、前記電動モータ14の出力軸14aの端部を押さえるための凸部36bが一体に形成されている。
【0043】
又、カバー36の遮蔽部36Bには、前記ドライバ7の水平なアーム7Aの上下動を許容する袋状の凹部36cが形成されており、この凹部36c内にアーム7Aの先端部及び該アーム7Aの磁石収納部7dに収納された磁石11が挿入されている。
【0044】
而して、カバー36は、遮蔽部36Bの両側端縁がケース3に相対向して形成された不図示の一対のカバー挿入溝に嵌め込まれ、ベース部36Aがリッド4に形成された前記カバー押さえ部4B上に載置されることによって、図1及び図2に示すようにロック部材6と基板16との間に配設されている。
【0045】
ところで、本実施の形態では、カバー36の凹部36c内にはバネ部材37が嵌合保持されている。このバネ部材37は、ステンレス等の非磁性材料によって構成され、図4に示すように、上方が開口する二股状(略U字状)に成形され、その高さ方向中間部には内方に向かって対向する山形の一対の係合凸部37aが形成されている。ここで、一対の係合凸部37aの間隔はドライバ7に形成された前記アーム7Aの幅寸法よりも小さく設定されている。
【0046】
次に、以上のように構成された電動ステアリングロック装置1の動作(ロック/アンロック動作)について説明する。
【0047】
不図示のエンジンが停止している状態では、図1に示すように、ロック部材6のロックボルト8は上限のロック位置にあって、その上端部がケース3のロックボルト挿通孔3dから凹部3aに突出して不図示のステアリングシャフトに係合している。この状態では、ステアリングシャフトの回動がロックしており、このロック状態においては不図示のステアリングホイールを回動操作することができず、これによって車両の盗難が防がれる。尚、このとき、アーム7Aに収容された磁石11は、基板16に設けられたホール素子17の近傍に位置しており、ホール素子17から送信される検知信号によってCPU19はロックボルト8がロック位置にあることを認識している。
【0048】
上記状態から運転者が不図示のエンジンスタートスイッチをON操作すると、エンジンECU25がこれを検知して電動ステアリングロック装置1に対してアンロック要求信号を送信する。すると、電動ステアリングロック装置1のCPU19は、アンロックリレー29に対してアンロック信号を出力する。すると、図6に示すアンロックリレー29は破線にて示す位置に切り替わり、ロックリレー28は実線位置にあるため、バッテリ27からの電流は図6に実線にて示す経路を流れて電動モータ14が起動される。
【0049】
上述のように電動モータ14が起動されると、その出力軸14aの回転はウォーム15とウォームギヤ12aによって減速されつつ方向が直角に変換されてギヤ部材12に伝達され、該ギヤ部材12が回転されるため、該ギヤ部材12の内周に刻設された雌ネジ部12bに螺合する雄ネジ部7aが形成されたドライバ7がスプリング13の付勢力に抗して下動する。このようにドライバ7が下動すると、該ドライバ7に一体に形成されたアーム7Aとピン9によってドライバ7に連結されたロックボルト8が下動する。
【0050】
上述のようにドライバ7のアーム7Aが下動する際、該アーム7Aがバネ部材37の係合突起37aに係合するためにアーム7Aにはその下動を規制する力が作用するが、この規制力(拘束力)は電動モータ14によってアーム7Aに付加される作動力よりも小さいため、アーム7Aは、バネ部材37をその係合凸部37aを押し開くように弾性変形させ、係合凸部37aを乗り越えて図5に実線にて示す位置から鎖線位置へと移動することができる。
【0051】
而して、上述のようにドライバ7のアーム7Aが下動してロックボルト8が図2に示すように下限のアンロック位置に達すると、該ロックボルト8の上端部がケース3のロックボルト挿通孔3dの内部に退避するため、ロックボルト8のステアリングシャフトへの係合が解除され、ステアリングシャフトのロックが解除されてアンロック状態となり、運転者によるステアリングホイールの回動操作が可能となる。このとき、ドライバ7のアーム7Aに設けられた磁石11の中心がアンロック位置近傍の検知範囲に達すると、前述のようにアンロック位置近傍に設けられたホール素子18は磁石11の磁力を検知して検知信号をCPU19に送信するため、マイコン19は、ロックボルト8がアンロック位置に移動したことを認識し、電動モータ14の駆動を停止するとともに、図6に示す通信I/F20及び通信ライン21を介して車体側のエンジンECU25にアンロック完了信号を送信する。この結果、図2に示すアンロック状態が維持され、車両の走行が可能となる。
【0052】
而して、図2に示すように、ロック部材6がアンロック位置にある状態においては、ドライバ7のアーム7Aがバネ部材37の係合凸部37aに係合するためにロック部材6のロック位置への移動が阻止され、バネ部材37を設けるだけの簡単な構成でロック部材6をアンロック位置に保持することができ、アンロック位置にあるロック部材6のロックボルト8が車両の走行時の振動等によって不意にロック位置へと移動してステアリングがロックするという不具合の発生が確実に防がれ、車両に高い安全性が確保される。
【0053】
そして、車両が停止し、運転者がエンジンスタートスイッチをOFF操作してエンジンを切ると、エンジンECU25がこれを検知して電動ステアリングロック装置1に対してロック要求信号を送信する。すると、電動ステアリングロック装置1のCPU19は、ロック信号を出力して図6に示すロックリレー28を破線位置に切り替え、アンロックリレー29は実線位置にあるため、バッテリ27からの電流は図6に破線にて示す経路を流れて電動モータ14が逆転起動されてその出力軸14aが逆転される。
【0054】
上述のように電動モータ14の出力軸14aが逆転されると、その回転はウォーム15とウォームギヤ12aを経てギヤ部材12に伝達され、該ギヤ部材12が逆転されるためにドライバ7が上動し、該ドライバ7に一体に形成されたアーム7Aとピン9によってドライバ7に連結されたロックボルト8が上動する。
【0055】
上述のようにドライバ7のアーム7Aが上動する際、該アーム7Aがバネ部材37の係合突起37aに係合するためにアーム7Aにはその上動を規制する力が作用するが、この規制力(拘束力)は電動モータ14によってアーム7Aに付加される作動力よりも小さい(作動力の方が規制力よりも大きい)ため、アーム7Aは、バネ部材37をその係合凸部37aがアーム7Aとの係合が解除される位置まで弾性変形させ、係合凸部37aを乗り越えて図5に鎖線にて示す位置から実線位置へと移動することができる。
【0056】
而して、上述のようにドライバ7のアーム7Aが上動して磁石11の中心がロック位置近傍の検知範囲に達すると、ロック位置近傍に設けられたホール素子17は磁石11の磁力を検知して検知信号をCPU19に送信するため、CPU19はロックボルト8がロック位置に移動したことを認識し、電動モータ14の駆動を停止するとともに、図6に示す通信I/F20と通信ライン21を介して車体側のエンジンECU25にロック完了信号を送信する。この結果、図1に示すようにロックボルト8の上端部がケース3の凹部3aから突出して不図示のステアリングシャフトに係合するため、ステアリングシャフトの回動がロックされるロック状態となり、駐車時における車両の盗難が防がれる。尚、ロックボルト8のステアリングシャフトの係合溝への係合が良好に行われない場合には、該ロックボルト8に形成された長孔8a内をピン9が相対移動することができる範囲でロックボルト8がスプリング10の付勢力に抗して下動するため、ロックボルト8に過大な負荷が作用することがない。
【0057】
ところで、本実施の形態では、前述のようにCPU19は、ロックボルト8の移動回数Xに基づいて電動モータ14の交換時期を報知するとともに、必要な場合にはロックボルト8の移動を停止するとともに、エンジンの始動を制限する制御を行うが、その制御手順を図7に示すフローチャートに基づいて以下に説明する。
【0058】
制御が開始されると(ステップS1)、移動回数記憶手段33からロックボルト8の前回までの移動回数(累積値)Xを読み出し(ステップS2)、耐久回数記憶手段34から電動モータ14の第1及び第2の耐久回数Y1,Y2を読み出す(ステップS3)。そして、ロックボルト8の移動回数Xが第1の耐久回数Y1よりも大きいか否かを判定し(ステップS4)、移動回数Xが第1の耐久回数Y1未満である場合(ステップS4での判定結果がNoである場合)には、電動モータ14は寿命に達していないために電動ステアリングロック装置1によるロック/アンロックの作動が開始される(ステップS5)。
【0059】
上述のように電動ステアリングロック装置1によるロック/アンロックの作動が開始されると、前述のようにロックボルト8がアンロックからロック位置又はロック位置からアンロック位置へと移動してステアリングホイールの回動がロック又はアンロックされるが、このときのロックボルト8の移動時間がタイマ手段32によってカウントされ、そのカウントされた時間が所定時間内であるか否か、つまりタイムオーバーか否かが判定される(ステップS6)。この判定はロックボルト8が移動している間中行われ、その間にロックボルトの移動が完了したか否かが判定され(ステップS7)、ロックボルト8の移動が所定時間内に完了した場合(ステップS6での判定結果がNoで、ステップS7での判定結果がYesである場合)には、ロックボルト8の作動回数Xに1が加算され、移動回数記憶手段33に記憶される移動回数Xが(X+1)に更新される(ステップS8)。
【0060】
他方、例えば、ロック状態においてステアリングシャフト側の係合溝にロックボルト8が噛み込んだ状態(据え切り状態)等にあるためにロックボルト8に過負荷が掛かったような場合には、電動モータ14の消耗が正常時のそれよりも大きくなるとともに、ロックボルト8がロック位置からアンロック位置に到達する時間が正常時のそれよりも長くなる。このため、本実施の形態では、タイマ手段32によってカウントされた時間が所定時間(正常時の時間)を超えたためにタイムオーバーが発生した場合(ステップS6での判定結果がYesである場合)には、カウンタ31によってカウントされる移動回数Xに所定数(本実施の形態では5)を加算した値(X+5)をロックボルト8の移動回数Xとするようにしている(ステップS9)。
【0061】
ところで、電動ステアリングロック装置1によるロック/アンロックが繰り返され、ロックボルト8の移動回数Xが第1の耐久回数Y1に到達すると(ステップS4での判定結果がYesである場合)、ロックボルト8の移動回数Xが第2の耐久回数Y2(>Y1)を超えたか否かが判定される(ステップS10)。ロックボルト8の移動回数Xが第1の耐久回数Y1を超えたが第2の耐久回数Y2に到達していない場合(ステップS10での判定結果がNoである場合)には、報知手段35によって電動モータ14の交換を促すワーニングを行う(ステップS11)。
【0062】
ここで、ワーニングは、車室内のインストルメントパネルに設けられた表示部に電動モータ14の交換を促す表示を行ったり、電動ステアリングロック装置1自体に外部表示用のワーニングランプを設け、このワーニングランプの点灯によって車検等の点検時に電動モータ14を交換すべきであることが分かるようにしても良い。或いは、エンジンの始動時に音声やブザー等によってワーニングを行っても良く、その方法は任意である。又、上位ECU24に故障記憶部を設け、カウンタ31によってカウントされるロックボルト8の移動回数XをCPU19から故障検知部に送信するようにしても良い。このように構成することによって、車検時等に電動ステアリングロック装置1を取り外すことなく、他の故障状態と共に電動モータ14の作動状態(耐久状態)を上位ECU24の検査時にチェックすることができる。尚、CPU19には記憶手段を設けず、カウンタ31によってカウントされるロック部材の移動回数Xを通信によって上位ECU24に随時送信するようにしても良い。
【0063】
そして、ロックボルト8の移動回数Xが第1の耐久回数Y1を超えて第2の耐久回数Y2に到達すると(ステップS10の判定結果がYesである場合)、ロックボルト8の移動を停止するとともに、エンジンECU25にエンジンの始動を規制する制御信号を送信する(ステップS12)。エンジンの始動を規制する具体的方法として、本実施の形態では、2回以上のエンジン始動操作をしないとロックボルト8のロックを解除せず、エンジンの始動が不可能となるような規制を行うようにした。尚、ロックボルト8の移動回数Xが第2の耐久回数Y2を超えると、エンジンの始動自体ができないようにして電動モータ14の交換をユーザーに強制するようにしても良い。又、所定期間(例えば、1箇月、半年、1年等)における作動回数から電動モータ14が寿命に達する時期を算出して第1及び第2の耐久回数Y1,Y2を設定するようにしても良い。
【0064】
以上のように、本実施の形態では、ロックボルト8がロック位置又はアンロック位置に移動した回数をカウンタ31によってカウントし、そのカウントされたロックボルト8の移動回数(移動回数記憶手段33に記憶された累積値)Xと耐久回数記憶手段34に記憶された電動モータ14の第1の耐久回数Y1及び第2の耐久回数Y2とを比較することによって電動モータ14の交換時期を正確に把握することができる。そして、電動モータ14の耐久作動回数として第1の耐久回数Y1とこれよりも大きな第2の耐久回数Y2を設定し、ロックボルト8の移動回数(累積値)Xに応じて報知手段35による報知制御を段階的に変化させるようにしたため、電動モータ14が寿命に達する前にその交換を促し、耐久寿命に達した電動モータ14を使用し続けることによるトラブルの発生を未然に防ぐことができる。
【0065】
本実施の形態では、カウンタ31によってカウントされるロックボルト8の移動回数Xが第1の耐久回数Y1に到達した時点で電動モータ14の交換時期を促すようにしたため、車検時等において電動モータ14の交換を適正に行うことができる。そして、ユーザーが第1の耐久回数Y1を超えて電動モータ14を使用し続けた場合であっても、ロックボルト8の移動回数Xが第2の耐久回数Y2に到達するとロックボルト8の移動を停止するとともに、エンジンの始動を規制するようにしたため、ロックボルト8によるステアリングホイールのロックが解除されないためにエンジンを始動することができない等のトラブルの発生を未然に防ぐことができる。特に、本実施の形態では、ロックボルト8の移動回数Xが第2の耐久回数に到達すると2回のエンジン始動操作をしないとロックボルト8のロックを解除せず、エンジンを始動させることができないようにしたため、運転者はエンジンの始動操作のたびに電動モータ14の交換を促すインフォメーションを受けるとともに、毎回2回の始動操作をしなければエンジンを始動させることができないため、その煩わしさ故に運転者に電動モータ14の交換を決意させることができる。
【0066】
又、本実施の形態では、ステアリングホイールのロック状態においてロックボルト8がステアリングシャフト側の係合溝に噛み込んだ状態(据え切り状態)等にあるためにロックボルト8に過負荷が掛かったような場合には、電動モータ14の消耗が正常時のそれよりも大きくなるとともに、ロックボルト8がアンロック位置に到達する時間が正常時のそれよりも長くなることに着目し、タイマ手段32によってカウントされた時間が所定時間(正常時の時間)を超えた場合には、カウンタ31によってカウントされる移動回数Xに所定数(例えば5)を加算した値(X+5)をロックボルト8の移動回数X(=X+5)とするようにしたため、電動モータ14の消耗とロックボルト8の移動回数(累積値)Xとを同期させて電動モータ14の交換時期をより正確に把握することができる。
【符号の説明】
【0067】
1 電動ステアリングロック装置
2 ハウジング
2A ハウジングのロック部材収納部
2B ハウジングの基板収納部
2C ハウジングの連通部
3 ケース
3a ケースの凹部
3b ケースのコネクタ配設部
3c ケースのピン孔
3d ケースのロックボルト挿通孔
3e ケースの係合溝
3f ケースの軸受凹部
3g ケースの基板保持溝
3h ケースのカバー挿入溝
4 リッド
4A リッドのピン留め部
4B リッドのカバー押さえ部
4C リッドのギヤ保持筒部
4a リッドのピン挿通孔
4b リッドのスプリング受け
5 ピン
6 ロック部材(可動部材)
7 ドライバ
7A ドライバのアーム
7B ドライバの回り止め部
7a ドライバの雄ネジ部
7b ドライバのピン挿通孔
7c ドライバの隔壁
7d アームの磁石収納部
8 ロックボルト
8a ロックボルトの長孔
9 ピン
10 スプリング
11 磁石
12 ギヤ部材
12a ウォームギヤ
12b ギヤ部材の雌ネジ部
13 スプリング
14 電動モータ
14a 電動モータの出力軸
15 ウォーム
16 基板
17,18 ホール素子(検出センサ)
19 CPU(制御手段)
20 通信インターフェイス(通信I/F)
21 車両の通信ライン
22,23 通信インターフェイス(通信I/F)
24 上位ECU
25 エンジンECU
26 コネクタ
27 バッテリ
28 ロックリレー
29 アンロックリレー
30 モータ給電端子
31 カウンタ
32 タイマ手段
33 移動回数記憶手段
34 耐久回数記憶手段
35 報知手段
36 カバー
36A カバーのベース部
36B カバーの遮蔽部
36a カバーの切欠き
36b カバーの凸部
36c カバーの凹部
37 バネ部材
37a バネ部材の係合凸部
X ロックボルトの移動回数
Y1 電動モータの第1の耐久回数
Y2 電動モータの第2の耐久回数


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のステアリングシャフトに係合するロック位置とその係合が解除されるアンロック位置との間を移動可能なロック部材と、
該ロック部材を移動させる電動モータと、
該電動モータの出力軸の回転力を前記ロック部材の進退力に変換する駆動機構と、
前記ロック部材が前記ロック位置とアンロック位置に対応する位置にあることを検出する検出センサと、
該検出センサから検出信号に応じて前記電動モータを制御する制御手段と、
を備えた電動ステアリングロック装置において、
前記ロック部材が前記ロック位置又は前記アンロック位置に移動した回数をカウントするカウンタと、
該カウンタによってカウントされた移動回数を記憶する移動回数記憶手段と、
前記電動モータの耐久作動回数を記憶する耐久回数記憶手段と、
前記電動モータの交換時期を知らせる報知手段と、
を備え、前記制御手段は、前記移動回数記憶手段に記憶された移動回数が前記耐久回数記憶手段に記憶された第1の耐久回数に到達すると第1の報知制御を行い、移動回数が前記第1の耐久回数を超えて第2の耐久回数に到達すると前記第1の報知制御とは異なる第2の報知制御を行うよう構成したことを特徴とする電動ステアリングロック装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記ロック部材が前記ロック位置又は前記アンロック位置に到達する時間をカウントするタイマ手段を備え、該タイマ手段によってカウントされた時間が所定時間を超えた場合には、前記カウンタによってカウントされる移動回数に所定数を加算した値を前記ロック部材の移動回数とすることを特徴とする請求項1記載の電動ステアリングロック装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記カウンタによってカウントされる移動回数が前記第1の耐久回数に到達すると前記報知手段により前記電動モータの交換時期を報知し、移動回数が前記第1の耐久回数を超えて前記第2の耐久回数に到達すると前記ロック部材の移動を停止するとともに、エンジン制御手段にエンジンの始動を規制する制御信号を送信することを特徴とする請求項1又は2記載の電動ステアリングロック装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記移動回数記憶手段に記憶された移動回数が前記第2の耐久回数に到達すると前記エンジン制御手段に、2回以上のエンジン始動操作をしないと前記ロック部材のロックを解除せず、エンジンの始動を規制する制御信号を送信することを特徴とする請求項3記載の電動ステアリングロック装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−56539(P2012−56539A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−204579(P2010−204579)
【出願日】平成22年9月13日(2010.9.13)
【出願人】(000138462)株式会社ユーシン (241)