説明

電動工具用ハンドル及びこれを用いた電動工具

【課題】作業者が確実に把持することのできる電動工具用ハンドル及びこれを用いた電動工具を提供する。
【解決手段】工具本体2の幅方向に延びる第1の把持部11と、第1の把持部11の長手方向に直交する方向に延びる第2の把持部12とを備えているので、工具本体2の上下方向及び左右方向の揺れを容易に抑制することができ、工具本体2の周面を直接手指で把持する場合に比べ、作業者が確実に把持することができる。これにより、例えば研削部材3が加工箇所の硬い部分に接触して反動が生じた場合でも、誤ってハンドル10を手から離すおそれがなく、電動工具1を使用する際の安全性を高めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば回転式のグラインダーやカッター等、作業者が手で把持して使用する電動工具に取り付けられる電動工具用ハンドル及びこれを用いた電動工具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の電動工具としては、作業者が手指で把持可能な大きさの工具本体と、工具本体の先端に取り付けられた円盤状の研削部材とを備え、工具本体内のモータで研削部材を回転させることにより、工具本体を持ちながら研削部材をコンクリート等の加工箇所に押し当てて研削作業を行うようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−66897号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記電動工具では、円筒状に形成された工具本体の周面を直接手指で把持するようになっているため、工具本体に対して手が滑りやすく、例えば研削部材が加工箇所の硬い部分に接触した際の反動により、誤って工具本体を手から離してしまうなど、工具本体を確実に把持することができないという問題点があった。
【0005】
本発明は前記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、作業者が確実に把持することのできる電動工具用ハンドル及びこれを用いた電動工具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は前記目的を達成するために、工具本体にハンドル取付用のネジ孔を有し、工具本体の先端側の回転部によって任意の加工対象物を加工する電動工具に取付可能な電動工具用ハンドルであって、前記工具本体の幅方向に延びる第1の把持部と、第1の把持部の長手方向に直交する方向に延びる第2の把持部とを備え、工具本体のネジ孔に螺合するボルトによって工具本体に取付可能に形成している。
【0007】
これにより、ハンドルが取り付けられた電動工具を使用する際は、一方の手で第1の把持部を把持し、他方の手で第2の把持部を把持する。その際、工具本体の幅方向に延びる第1の把持部と、第1の把持部の長手方向に直交する方向に延びる第2の把持部により、工具本体の上下方向及び左右方向の揺れを容易に抑制することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、工具本体の上下方向及び左右方向の揺れを容易に抑制することができるので、工具本体の周面を直接手指で把持する場合に比べ、作業者が確実に把持することができる。これにより、例えば電動工具の回転部が加工箇所の硬い部分に接触して反動が生じた場合でも、誤ってハンドルを手から離すおそれがなく、電動工具を使用する際の安全性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の電動工具用ハンドルを取り付けた電動工具の一実施形態を示す斜視図
【図2】電動工具及びハンドルの分解斜視図
【図3】使用状態を示す電動工具及びハンドルの平面図
【図4】第2の把持部の回動を示す電動工具及びハンドルの側面図
【図5】第2の把持部の位置を変えた電動工具及びハンドルの斜視図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態について、図1乃至図5を参照して説明する。
【0011】
同図に示す電動工具1は、円筒状に形成された工具本体2と、工具本体2の先端側に取り付けられた円盤状の研削部材3とを備えている。
【0012】
工具本体2は作業者が手指で把持可能な大きさに形成され、その内部には図示しないモータが内蔵されている。工具本体2の先端側には下方に延出する回転軸4が設けられ、回転軸4は工具本体2内のモータによって回転するようになっている。この場合、モータは電源ケーブル5から供給される電力によって駆動される。また、工具本体2の先端側の幅方向両側には、ハンドル取付用のネジ孔2aがそれぞれ設けられている。
【0013】
研削部材3は工具本体2の回転軸4に取り付けられ、工具本体2のモータによって回転するようになっている。また、研削部材3の後部は、工具本体2に取り付けられたカバー部材6によって覆われている。
【0014】
本実施形態の電動工具用ハンドル10は、工具本体2の幅方向に延びる第1の把持部11と、第1の把持部11の長手方向に直交する方向に延びる第2の把持部12とを備え、電動工具1に着脱可能に構成されている。
【0015】
第1の把持部11は帯状の金属部材を略コ字状に折り曲げてなり、その両端側には下方に向かって延びる延出部11aが形成されている。各延出部11aは上端側よりも下端側の間隔が狭くなるように斜めに形成され、その下端側にはネジ挿通用の孔11bがそれぞれ設けられている。
【0016】
第2の把持部12は帯状の金属部材を略L字状に折り曲げてなり、その一端側にはネジ挿通用の孔12aが設けられている。第2の把持部12は一端側よりも他端側が工具本体2から離れるように屈曲しており、その他端側にはグリップ12bが装着されている。また、第2の把持部12の他端側には半円形の鍔状のガード部12cが設けられ、ガード部12cはグリップ12bのやや手前(第2の把持部12の一端側)に工具本体2側に位置するように取り付けられている。
【0017】
前記ハンドル10を電動工具1に取り付ける場合は、図2に示すように、第1の把持部11の一方の延出部11aの孔11bと第2の把持部12の孔12aにボルト7を挿通し、工具本体2の一方のネジ孔2aに螺合することにより、第1の把持部11の一方の延出部11aと第2の把持部12が工具本体2に固定される。また、他のボルト7を第1の把持部11の他方の延出部11aの孔11bに挿通し、工具本体2の他方のネジ孔2aに螺合することにより、第1の把持部11の他方の延出部11aが工具本体2に固定される。この場合、第2の把持部12は工具本体2の長手方向に沿って延びる向きになるように固定される。
【0018】
以上のようにしてハンドル10が取り付けられた電動工具1を使用するときは、図3に示すように、一方の手で第1の把持部11を把持するとともに、他方の手で第2の把持部12を把持することにより、研削部材3をコンクリート等の加工箇所に押し当てて研削作業を行う。その際、工具本体2の幅方向に延びる第1の把持部11と、第1の把持部11の長手方向に直交する方向に延びる第2の把持部12により、工具本体2の上下方向及び左右方向の揺れを容易に抑制することができる。また、第2の把持部12のガード部12cにより、第2の把持部12の把持位置と電動工具1の回転部である研削部材3との間が遮られることから、振動や衝撃が生じても、第2の把持部12を把持する手指の研削部材3側への移動がガード部12cによって規制される。
【0019】
更に、図4に示すように一方のボルト7を緩めて第2の把持部12を回動することにより、工具本体2及び第1の把持部11に対する第2の把持部12の位置を任意に調節することができ、例えば図4に示すように第2の把持部12を工具本体2の長手方向に直交する向きになるように固定することも可能となる。
【0020】
このように、本実施形態の電動工具用ハンドル10によれば、工具本体2の幅方向に延びる第1の把持部11と、第1の把持部11の長手方向に直交する方向に延びる第2の把持部12とを備えているので、工具本体2の上下方向及び左右方向の揺れを容易に抑制することができ、工具本体2の周面を直接手指で把持する場合に比べ、作業者が確実に把持することができる。これにより、例えば研削部材3が加工箇所の硬い部分に接触して反動が生じた場合でも、誤ってハンドル10を手から離すおそれがなく、電動工具1を使用する際の安全性を高めることができる。
【0021】
更に、第2の把持部12を第1の把持部11と共通のボルト7及びネジ孔2aを用いて一体に取付けるようにしたので、工具本体2にハンドル取付用のネジ孔2aが二箇所しか設けられていなくとも、第1の把持部11及び第2の把持部12の両方を固定することができ、実用化に際して極めて有利である。
【0022】
また、第2の把持部12の一端を第1の把持部11に回動可能に連結したので、工具本体2及び第1の把持部11に対する第2の把持部12の位置を作業者の使いやすいように任意に調整することができ、作業性の向上を図ることができる。
【0023】
更に、第2の把持部12に、電動工具1の研削部材3への手指の移動を規制可能なガード部12cを設けたので、第2の把持部12を把持する手指が振動や衝撃により研削部材3側に移動することがなく、安全性の向上に極めて有利である。
【0024】
尚、前記実施形態では、研削部材3を用いた研削加工用の電動工具1を示したが、例えば円盤状のカッターを用いた切断用の電動工具等、他の種類の電動工具にも本発明のハンドルを用いることができる。
【符号の説明】
【0025】
1…電動工具、2…工具本体、10…ハンドル、11…第1の把持部、12…第2の把持部、12c…ガード部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
工具本体にハンドル取付用のネジ孔を有し、工具本体の先端側の回転部によって任意の加工対象物を加工する電動工具に取付可能な電動工具用ハンドルであって、
前記工具本体の幅方向に延びる第1の把持部と、第1の把持部の長手方向に直交する方向に延びる第2の把持部とを備え、
工具本体のネジ孔に螺合するボルトによって工具本体に取付可能に形成した
ことを特徴とする電動工具用ハンドル。
【請求項2】
前記第2の把持部の一端を第1の把持部に回動可能に連結した
ことを特徴とする請求項1記載の電動工具用ハンドル。
【請求項3】
前記第1及び第2の把持部の少なくとも一方に、電動工具の回転部側への手指の移動を規制可能なガード部を設けた
ことを特徴とする請求項1または2記載の電動工具用ハンドル。
【請求項4】
請求項1、2または3記載の電動工具用ハンドルを備えた
ことを特徴とする電動工具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−88255(P2011−88255A)
【公開日】平成23年5月6日(2011.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−244457(P2009−244457)
【出願日】平成21年10月23日(2009.10.23)
【出願人】(591199741)株式会社プロップ (26)