説明

電動工具

【課題】ビット交換の作業性を向上でき、ビット紛失の心配がなく、安全性の高い電動工具を提供することを課題とする。
【解決手段】実施形態に係る電動工具は、工具本体内に収容されたビットを外側に押し出す押出部、押し出されたビットの後端近くを工具本体に固定する固定部、および固定部を回転駆動する駆動部を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、例えば、電動ドリルなどの電動工具に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電動工具として、孔開けドリルやプラスドライバーなどの工具の先端部分(ビット)を交換可能な電動ドリルが知られており、コードレスの電動ドリルも知られている。ビットを交換する場合、使用者は、工具箱に保管した複数のビットから使用するビットを選択して取り出し、電動ドリルの先端に取り付ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−90434号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このため、ビット交換作業に手間がかかり、作業効率が悪く、ビット紛失のおそれもあった。また、ビットを手で持って交換するため、使用者の指を傷付ける可能性があり、安全性に欠けていた。
【0005】
よって、ビット交換の作業性を向上でき、ビット紛失の心配がなく、安全性の高い電動工具の開発が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る電動工具は、工具本体内に収容されたビットを外側に押し出す押出部、押し出されたビットの後端近くを工具本体に固定する固定部、および固定部を回転駆動する駆動部を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、実施形態に係る電動ドリルの斜視図である。
【図2】図2は、図1の電動ドリルに組み込まれたビット収納ユニットおよび押出ロッドを示す概略図である。
【図3】図3は、図1の電動ドリルの内部構造を示す概略図である。
【図4】図4は、図1の電動ドリルの回路構成を示すブロック図である。
【図5】図5は、図3に対応して電動ドリルの未使用状態を示す概略図である。
【図6】図6は、図5の未使用状態からビットを押し出した状態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら実施形態について詳細に説明する。
図1には、実施形態に係る電動工具の一例として、電動ドリル100の外観斜視図を示してある。
【0009】
電動ドリル100は、使用者が把持するグリップ部101を一体に有する本体9(工具本体)、本体9の先端にプラスドライバーやドリルなどの工具の先端部分1(以下、ビット1と称する)を固定するためのキーレスチャック2(固定部)、本体9内に複数種類のビット1を収納配置したビット収納ユニット7(収納部)、ビット収納ユニット7に収納したビット1を押し出してキーレスチャック2を通して本体9の外部へ突出させるためのビット交換レバー8、10(押出部)、ビット1を固定したキーレスチャック2を回転および停止させてビット1を回転および停止させるためのトリガースイッチ16(スイッチ)、およびグリップ部101の図示下端側から本体9に対して着脱可能に取り付けられたバッテリー20を有する。バッテリー20は、リリースボタン22によって、グリップ部101に対して固定および固定解除される。
【0010】
キーレスチャック2は、スリーブ3を回転させることで開閉し、ビット1の後端近くを固定および固定解除する。本実施形態では、本体9内に収容したビット1を本体9の外へ押し出してキーレスチャック2に固定するため、キーレスチャック2は、ビット1を挿通可能な貫通構造を有する。これ以外の構造について、キーレスチャック2は、一般に広く知られているため、ここではその詳細な説明を省略する。
【0011】
ビット収納ユニット7は、図2にも示すように、いわゆる拳銃のリボルバーのような構造を有し、回転軸17を介して本体9の内部に回転可能に取り付けられている。より具体的には、ビット収納ユニット7は、回転軸17の周りに複数(本実施形態では6つ)の細長い円筒状のビット収納部18を備えており、回転の途中で各ビット収納部18がキーレスチャック2の中心にそれぞれ対向するように、本体9内で位置決めされて取り付けられている。
【0012】
一方、本体9には、回転する略円筒形のビット収納ユニット7の外周面を部分的に外部に露出するための矩形の開口部102が設けられている。開口部102を介して外部に露出するビット収納ユニット7の外周面には、キーレスチャック2に対向させたビット収納部18を特定するためのビット選択ダイヤル6が設けられており、外周面を指で弾いてビット収納ユニットを回転させることで、所望するビット収納部18(すなわち所望するビット1)をキーレスチャック2に対向させることができるようになっている。
【0013】
ビット交換レバー8、10は、ビット収納ユニット7の後方(図1で左方)から、キーレスチャック2に対向したビット収納部18内に挿通可能な押出ロッド8、およびこの押出ロッド8の後端(操作側の基端部)を図示上方にL字状に折り曲げた操作レバー10を有する。このビット交換レバー8、10は、キーレスチャック2に対向したビット収納部18内に押出ロッド8を挿通可能な位置に配置されている。そして、操作レバー10を使用者が操作することで、当該ビット収納部18内のビット1を押し出し可能となっている。本体9には、操作レバー10を本体外側に部分的に突出させて長手方向にスライド可能にしたスリット103が設けられている。
【0014】
また、上記押出ロッド8の先端には、ビット1の後端に当接して磁着せしめる磁着部分21が設けられている。この磁着部分21は、後述する励磁装置によって励磁および消磁される。つまり、ビット収納部18内に配置されたビット1の後端にこの磁着部分21を当接せしめた状態で励磁させると、ビット1が磁着部分21に磁着されると同時に磁化される。このため、図2に示すように、各ビット1の後端を押出ロッド8の先端に選択的に磁着せしめることができる。
【0015】
図3には、電動ドリル100の内部構造を概略的に示してある。
電動ドリル100の本体9内には、ビット1を固定した状態のキーレスチャック2を回転駆動させるためのモーター15(駆動部)が設けられて入る。
【0016】
モーター15の回転軸には、モーター用ギヤ14が取り付けられており、このモーター用ギヤ14には、シャフト12の一端に固設されたギヤ12aが歯合されている。シャフト12の他端には、ギヤ11が固設されており、このギヤ11には、ビット回転用大口径ギヤ5(以下、単に大口径ギヤ5と称する)が歯合されている。大口径ギヤ5には、ビット1を挿通可能な内径を有する円筒体31の基端部が同軸に固設されている。そして、この円筒体31の先端には、キーレスチャック2が同軸に固設されている。つまり、モーター15の回転駆動力は、上述した複数の部材14、12a、12、11、5、31、2を介して、キーレスチャック2に固定されたビット1に伝達されるようになっている。
【0017】
なお、円筒体31の基端部は、大口径ギヤ5を貫通して延びており、本体9に固設されたベアリング19によって回転可能に支持されている。つまり、このベアリング19は、大口径ギヤ5、円筒体31、およびキーレスチャック2を一体にした比較的イナーシャの大きい組立体が回転するとき、回転軸の一端(すなわち円筒体31の基端部)を支持することで、組立体の振れを防止する振れ止め金具として機能する。
【0018】
また、上述したように、ビット収納ユニット7は、各ビット収納部18がビット収納ユニット7の回転の途中で円筒体31の基端部に同軸に対向するように、その回転軸17を位置決めして取り付けられている。このため、ビット収納ユニット7の回転軸17は、キーレスチャック2の回転軸と平行且つオフセットしている。ビット交換レバーの押出ロッド8によってビット収納ユニット7のビット収納部18から押し出されたビット1は、円筒体31(すなわち、大口径ギヤ5)の内部を通ってキーレスチャック2を挿通され、本体9の外部に突出することになる。
【0019】
図4には、電動ドリル100の回路構成を説明するためのブロック図を示してある。
電動ドリル100の制御回路105は、電動ドリル100を駆動制御するための制御部110を有する。制御部110には、キーレスチャック2を回転させるためのモーター15、バッテリー20、トリガースイッチ回路4、および励磁回路120が接続されている。トリガースイッチ回路4には、トリガースイッチ16が接続されており、励磁回路120には、本体9の外面に設けられた励磁スイッチ13(図3)が接続されている。
【0020】
また、励磁回路120は、押出ロッド8の後端から導出された導線122を介して上述した磁着部分21に接続されている。磁着部分21の内部には、円筒状の鉄心211の周りにコイル212が巻回された電磁石210が収容配置されている。電磁石210のコイル212の両端から延びた導線122は、押出ロッド8の内部を通って後端から引き出されている。励磁回路120、励磁スイッチ13、および電磁石210は、励磁装置220として機能する。
【0021】
以下、主に、図3、図5、および図6を参照して、上述した電動ドリル100の使用方法について説明する。
なお、図3は、電動ドリル100を使用状態にした図を示し、図5は、ビット1を本体9内に収納した未使用状態を示し、図6は、ビット1を本体9の外に押し出した状態を示してある。
【0022】
電動ドリル100を図5に示す未使用状態から図3に示す使用状態にする場合、まず、使用者は、本体9の開口部102から外部に露出したビット収納ユニット7のビット選択ダイヤル6を回して使用するビット1を選択し、当該ビット1がキーレスチャック2に同軸に対向する回転位置にビット収納ユニット7を回転させて停止させる。この状態を図5に示す。
【0023】
この後、使用者は、キーレスチャック2が開いていることを確認して、ビット交換レバーの操作レバー10を先端方向(図3中左方向)にスライドさせて、選択したビット1の後端に押出ロッド8の先端を当接させ、この状態からさらに操作レバー10を先端方向にスライドさせることで、当該ビット1をビット収納ユニット7のビット収納部18から押し出す。
【0024】
このとき、使用者は、ビット交換レバーの押出ロッド8の先端が当該ビット1の後端に当接したところで、励磁スイッチ13をONにする。すると、制御部110は、励磁スイッチON信号をトリガーとして、励磁回路120を介して電磁石210に通電し、押出ロッド8の先端にある磁着部分21を励磁する。これにより、当該ビット1の後端が押出ロッド8の先端(すなわち磁着部分21)に磁着される。
【0025】
或いは、ビット交換レバーの押出ロッド8の先端が当該ビット1の後端に当接したとき、図示しないセンサーなどを介して、制御部110が、両者が当接したことを検知し、この時点で電磁石210に通電するよう、励磁回路120を制御するようにしても良い。この場合、使用者による励磁スイッチ13のON操作が不要となり、励磁スイッチ13自体も不要となる。
【0026】
ビット1が磁着部分21に磁着された後、使用者は、さらにビット交換レバーの操作レバー10を先端方向へスライドさせ、図6に示す位置までビット1を押し出す。ビット1を押し出す位置は、ビット1の後端がキーレスチャック2で固定される位置であり、図示しないストッパーなどにより、操作レバー10の移動をこの位置に規制することで、ビット1が適切な固定位置に位置決め配置されるようになっている。
【0027】
このように、磁着された状態のビット1が本体9の先端から押し出されると、使用者は、キーレスチャック2のスリーブ3を回転させてビット1の後端を固定する。ビット1の固定は、ビット1の後端を押出ロッド8の先端に磁着せしめた状態でなされるため、ビット1がぐらつくことがなく、固定作業を容易にできる。
【0028】
ビット1を固定した後、使用者は、励磁スイッチ13をOFFにして、磁着部分21を消磁させ、ビット1と押出ロッド8を分離可能な状態にする。さらにこの後、使用者は、ビット交換レバーの操作レバー10を逆方向(図6中右方向)にスライドさせ、押出ロッド8をビット収納ユニット7のビット収納部18から引き抜いて、図3に示す位置まで退避させる。この状態で、電動ドリル100が使用可能な状態となる。
【0029】
或いは、磁着せしめた状態のビット1をキーレスチャック2に固定した後、ビット交換レバーの操作レバー10が使用者によって後方へ僅かに引かれたことを図示しないセンサー等を介して制御部110が検知し、或いはキーレスチャック2でビット1を固定したことを図示しないセンサー等を介して制御部110が検知したことをトリガーとして、電磁石210への通電をOFFにするよう、制御部110が励磁回路120を制御するようにしても良い。
【0030】
図3の使用可能状態で、使用者によってトリガースイッチ16がONにされると、制御部110は、トリガースイッチ回路4から送信されるON信号に基づいて、モーター15を回転させ、ビット1を回転駆動する。また、制御部110は、トリガースイッチ16がOFFにされると、トリガースイッチ回路4から送信されるOFF信号に基づいて、モーター15を停止させてビット1の回転を停止させる。
【0031】
ビット1を回転させるとき、モーター15の駆動力が上述したようにキーレスチャック2に伝達されるが、図3の状態ではキーレスチャック2に固定されたビット1の後端が押出ロッド8の先端から離れているため、ビット交換レバー8、10に回転駆動力が伝達されることはない。しかし、例えば、図6に示す状態(すなわち、ビット1の後端が押出ロッド8の先端に磁着されたままの状態)のとき、間違ってトリガースイッチ16がONにされてしまうと、ビット1の回転力が磁着した押出ロッド8に伝達されてしまう。
【0032】
磁着部分21の磁着力が比較的弱い場合には、押出ロッド8の先端面とビット1の後端面との間で滑りを生じて、ビット1だけを回転させることもできるが、磁着力が比較的強い場合には、ビット1の後端面と押出ロッド8の先端面が磁着した状態のまま両者が一緒に回転しようとするため、最悪の場合、電動ドリル100が壊れてしまう。一方で、この磁着力は、ビット1の固定動作、および後述するビット1の収納動作のためには、できるだけ強くしておくことが望ましい。
【0033】
このため、本実施形態では、次のような対策を講じている。
つまり、制御部110では、励磁回路120を介して押出ロッド8の磁着部分21を励磁している状態のとき、トリガースイッチ回路4を介してスイッチON信号を受信しても、このスイッチの切り替え動作を無効にしてモーター15の回転を禁止するようにしている。これにより、ビット1を押出ロッド8に磁着している状態でモーター15が回転されることがなくなり、少なくとも押出ロッド8に回転駆動力が伝達されてしまうような不具合を防止することができ、電動ドリル100が破壊される危険性も無くなる。
【0034】
或いは別の対策として、本実施形態では、励磁回路120を介して押出ロッド8の磁着部分21を励磁している状態のとき、トリガースイッチ回路4を介してスイッチON信号を受信した場合、押出ロッドの先端にある磁着部分21を消磁するように、制御部110が、励磁回路120を制御するようにしている。これにより、例えば、図6に示すようにビット1を押出ロッド8に磁着せしめた状態でトリガースイッチ16がONにされても、ビット1だけを押出ロッド8と磁気的に分離して回転させることができ、押出ロッド8に強い回転駆動力が伝達されてしまう不具合を防止できる。
【0035】
或いは、さらに別の対策として、ビット交換レバー8、10が図3に示す退避位置に無い全ての場合において、トリガースイッチ16がONにされた場合に、制御部110がモーター15の回転を禁止するようにしても良い。この場合、制御部110は、図示しないセンサー等を用いて、ビット交換レバー8、10が図3の退避位置にないことを検知するだけで良い。
【0036】
また、上述した電気的な対策の代りに、機械的にトリガースイッチ16の操作を禁止するようにしても良い。この場合、例えば、ビット交換レバー8、10が図3の退避位置にない場合には、トリガースイッチ16の操作ができないようにする図示しないストッパーなどを設ければ良い。
【0037】
一方、電動ドリル100を図3に示す使用状態から図5に示す未使用状態にする場合、すなわち、使用していたビット1を本体9内に収納する場合、使用者は、まず、トリガースイッチ16がOFFにされていることを確認して、ビット交換レバーの操作レバー10を先端方向(図3で左方向)へスライドさせる。そして、ビット交換レバーの押出ロッド8の先端(すなわち磁着部分21)が、使用していたビット1の後端に当接した後、使用者は、励磁スイッチ13をONにして磁着部分21を励磁させ、押出ロッド8の先端をビット1の後端に磁着させる。
【0038】
或いは、この場合においても、制御部110が、図示しないセンサーなどを介して、ビット交換レバーのスライド位置を検知して、磁着部分21の先端がビット1の後端に当接するタイミングで、磁着部分21を励磁させるように、励磁回路120を制御するようにしても良い。押出ロッド8の先端にビット1の後端を磁着せしめた状態は、図6の状態である。
【0039】
この状態で、使用者は、キーレスチャック2を回転させてビット1の固定を解除し、ビット交換レバーの操作レバー10を図中右方向に引いて、ビット交換レバーに磁着せしめた状態のビット1を、図5に示す位置まで移動させる。この位置は、当該ビット1がビット収納ユニット7のビット収納部18に収納される位置である。移動中、ビット1の後端と押出ロッド8の先端が分離することのないように、磁着部分21によるビット1に対する磁着力、すなわち電磁石210の磁力は十分に強くすることが望ましい。
【0040】
そして、上記のように、当該ビット1をビット収納ユニット7内に収納した後、使用者は、励磁スイッチ13をOFFにして励磁部分21を消磁し、ビット1と押出ロッド8を分離可能な状態にする。或いは、この場合においても、ビット交換レバーが図5に示す位置まで後退させられたことを図示しないセンサーなどを介して制御部110で検知して、励磁部分21を消磁するように、励磁回路120を制御するようにしても良い。
【0041】
この状態で、ビット収納ユニット7が自由に回転可能な状態となり、この電動ドリル100を次に使用する際には、使用者は、ビット選択ダイヤル6を回して使用するビット1を選択することができる。
【0042】
以上述べた実施形態の電動ドリル100によれば、ビット1を本体9内部に収容した構造を持つことにより、ビット交換の作業性を向上でき、ビット紛失の心配がなく、安全性の高いビット交換が可能となる。
【0043】
なお、ここで説明した実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。また、この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。さらに、この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0044】
例えば、上述した実施形態では、電動ドリル100の使用時において、押出ロッド8をビット1から物理的および磁気的に分離させるようにしたが、押出ロッド8の先端にビット1の後端を磁着せしめた状態のまま電動ドリル100を動作させるようにしても良い。この場合、押出ロッド8がビット1と一緒に回転できるよう、例えば、押出ロッド8の後端近くに円環状のレールや溝を設けて、操作レバー10の基端部をこのレールや溝にスライド自在に取り付けるようにしても良い。或いは、このような回転構造として、ベアリングなどを用いても良い。
【0045】
このように、押出ロッド8の先端に磁着せしめた状態のビット1をそのまま回転可能とすることで、例えば、ネジなどをプラスドライバーの先端に磁着せしめた状態で作業することができ、作業性を向上させることができる。この場合、励磁の必要がないときには、励磁スイッチ13を手動でOFFにすることもでき、使用者によって自由な使い方ができる。
【0046】
また、上述した実施形態では、ビット1の交換について、本体9内に予め収納したビット1についてのみの説明になっているが、ビット収納部18内に収納可能な大きさのビットであれば、ビット収納ユニット7に対するビット1の交換も可能である。この場合、例えば、拳銃の弾をリボルバーに装填するときと同じように、ビット収納ユニット7を本体9から部分的に取り出して、ビット収納部18内のビット1を交換すれば良い。
【符号の説明】
【0047】
1…ビット、2…キーレスチャック、3…スリーブ、4…トリガースイッチ回路、6…ビット選択ダイヤル、7…ビット収納ユニット、8…押出ロッド、9…本体、10…操作レバー、13…励磁スイッチ、15…モーター、16…トリガースイッチ、17…回転軸、18…ビット収納部、20…バッテリー、21…磁着部分、100…電動ドリル、105…制御回路、110…制御部、120…励磁回路、210…電磁石、220…励磁装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
工具本体と、
この工具本体内に収容されたビットと、
上記工具本体の外側に突出して上記ビットを固定する固定部と、
上記固定部を通して上記ビットを上記工具本体内から押し出して上記固定部にセットする押出部と、
上記固定部を回転駆動する駆動部と、
を有する電動工具。
【請求項2】
上記工具本体内で上記ビットを複数収納した回転可能な収納部をさらに有し、
この収納部は、回転の途中で各ビットを上記固定部に対向させる請求項1の電動工具。
【請求項3】
上記押出部は、上記ビットの後端に当接する先端を有する押出ロッドを有し、
上記押出ロッドは、その先端を選択的に励磁する励磁装置を備えている請求項2の電動工具。
【請求項4】
上記駆動部を回転および停止させるためのスイッチと、
上記励磁装置が上記押出ロッドの先端を励磁している状態のとき、上記駆動部を回転できないように上記スイッチの切り替え動作を無効にする制御回路と、
をさらに有する請求項3の電動工具。
【請求項5】
上記駆動部を回転および停止させるためのスイッチと、
上記励磁装置が上記押出ロッドの先端を励磁している状態で、上記駆動部を回転させるべく上記スイッチが切り替えられた場合、上記押出ロッドの先端を消磁するよう上記励磁装置を制御する制御回路と、
をさらに有する請求項3の電動工具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−183607(P2012−183607A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−48178(P2011−48178)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】