説明

電動昇降装置

【課題】本発明は、部品点数を削減でき構造簡単であるとともにロック棒を容易に加工できる電動昇降装置を得ることにある。
【解決手段】本体部1に背圧ばね35で下方に付勢される本体部側接点台21を上下動可能に取付ける。昇降部2を上昇位置に保持するロック手段が、本体部に固定した1本のロック棒12と、昇降部に取付けられロックばねで付勢される一対のロック爪44とを備える。ロック棒を、大径部14の上側にロック爪が引掛けられる第1段差17を設けて中径部15を連ねると共に中径部の上側に第2段差18を設けて小径部16を連ねて形成する。接点台21の中央部に段差18より小径で小径部16が貫通するロック棒通孔28を設ける。通孔28に小径部を通してロック棒12を本体部1に下向きに固定して、通孔28の孔縁が段差18に上側から引っ掛ったときに接点台21を位置決めすることを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、体育館等の天井側高所に設置される水銀灯照明器具等の電気機器をメンテナンス等のために昇降させる電動昇降装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来例に係る電動昇降装置の要部を示す図8及び図9中101は天井側高所に配置される本体部のベースであり、この下側には左右一対のストッパ手段102を介して複数の接点103aを有した本体部側接点台103が取付けられている。両ストッパ手段102は、ベース101から下向きに突設されて接点台103を貫通する軸102aと、この軸102aの下端にねじ止めされたワッシャ状のストッパ部材102bとからなる。接点台103にはベース101から下向きに突設された一対のガイド軸104が貫通されているとともに、これらのガイド軸104を個別に巻装して設けた背圧ばね105により本体部側接点台103は下方に付勢されている。接点台103がストッパ部材102に上側から当った高さ位置が下限高さ位置である。本体部側接点台103は、その下限高さ位置よりも下側には下がることがないとともに、この下限高さ位置から上側において上下動可能である。
【0003】ベース101の下面中央部には下向きに広がるラッパ状をなす導入ガイド106が取付けられている。導入ガイド106にはその内部に爪先部が入り込む一つのロック爪107が枢着され、この爪107はロックばね108により付勢されている。
【0004】図8及び図9中111は昇降部であり、これは前記本体部101側と昇降部111とにわたって引き回されて本体部101内の図示しない駆動機構により巻取り・巻き戻しされるワイヤロープ112を介してベース101に対して昇降される。この昇降により昇降部111の下側に連結される図示しない照明器具を床側に下ろして、ランプ交換等のメンテナンスをすることができる。昇降部111の上面部には昇降部側接点台113が設けられており、この昇降部113が有する複数の接点113aは、昇降部111が図9に示す上昇位置に上昇配置された際に前記接点103aに弾性的に当接して本体部101側から照明器具側への給電を可能とするようになっている。さらに、昇降部111の上面部にはこの昇降部111が上昇位置に上昇配置された際に前記ガイド軸104の先端部が入り込むガイド孔114が開けられている。
【0005】昇降部111の中央部には、その上面から垂直上方に突出する1本のロック棒115が取付けられている。この棒115の側面には第1溝部116とこの下側に連なるとともに第1溝部116よりも深い第2溝部117とが設けられている。このロック棒115と、導入ガイド106と、ロック爪107と、ロックばね108とは、ワイヤロープ112の巻取り・巻き戻しに伴って昇降部111を前記上昇位置に保持したり、この上昇位置からの昇降部111の下降を可能とするロック手段を構成している。
【0006】このロック手段は、昇降部111が上昇位置に配置された時に、図9に示されるようにロック爪107の爪先部が導入ガイド106内に挿入されたロック棒115の第1溝部116に引っ掛って昇降部111を機械的に支持(ロック)して、ワイヤロープ112に昇降部111及び照明器具の荷重が掛かることを防止する。そして、メンテナンス等において昇降部111を床側に下ろす際には、ワイヤローク112を初めに少し巻き取って第2溝部117にロック爪107の爪先部を位置させた後に、ワイヤロープ112を巻き戻すことにより、ロック爪107によるロック棒115の拘束を解除(ロック解除)できる。それにより、昇降部111及び照明器具を床側に下降させることができる。
【0007】前記のように1本のロック棒115とこれに係脱されるロック爪107とを主要部とするロック手段は、小形であるので、例えば高さ10m以下の高天井に設置される400W以下の比較的小形の照明器具を昇降させる電動昇降装置を小形化を図るのに適している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記ロック手段ではそのロック棒115の側面に第1、第2の溝部116、117を互いに連続して設ける必要があるが、これらの溝部116、117は、ロック棒115の外径加工とは別にフライス盤等を用いる溝加工により形成する必要があるので、加工性が悪い。しかも、前記構成の電動昇降装置では、昇降部111が下降したときに背圧ばね105により下方に付勢されている本体部側接点台103をその下限高さ位置に保持するためのストッパ手段102が、左右一対あって、かつ、夫々が複数の部品の組合わせて形成されているから、装置全体の部品点数が多く構造が複雑である。その上、背圧ばね105も左右一対あるから、装置全体の部品点数がさらに増えて構造が複雑である。
【0009】したがって、本発明が解決しようとする第1の課題は、部品点数を削減でき構造簡単であるとともにロック棒を容易に加工できる電動昇降装置を得ることにある。
【0010】本発明が解決しようとする第2の課題は、前記第1の課題を解決するにあたり、さらに部品点数を少なくできる電動昇降装置を得ることにある。
【0011】本発明が解決しようとする第3の課題は、前記第1又は第2の課題を解決しつつ、ワイヤロープの巻取り・巻き戻しのタイミングを正確に検知できる電動昇降装置を得ることにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、ワイヤロープを巻取り・巻き戻しする駆動機構を有して天井側高所に配置される本体部と、この本体部に設けられたストッパ手段により下限高さ位置を規制されるとともに、この下限高さ位置よりも上側において前記本体部に上下動可能に設けられた本体部側接点台と、前記本体部に設けられて前記本体部側接点台の上下動を案内する接点台ガイドと、前記本体部に設けられた前記本体部側接点台を前記下限高さ位置に向けて付勢する背圧ばねと、前記ワイヤロープを介して前記本体部に対して昇降される昇降部と、この昇降部に設けられて前記本体部側接点台にその下側から接離する昇降部側接点台と、ロックばねで付勢されるロック爪及びロック棒を有し、前記ワイヤロープの巻取り・巻き戻しに伴う前記ロック爪とロック棒との引っ掛りにより前記昇降部をその上昇位置に保持するとともに、前記引っ掛りの解除により前記上昇位置からの前記昇降部の下降を可能とするロック手段と、を具備する電動昇降装置を前提とする。
【0013】そして、前記第1の課題を解決するために、請求項1の発明は、前記前記ロック爪を複数用いてこれらを前記昇降部に取付けるとともに、前記ロック棒を一本とし、このロック棒を大径部の上側に前記ロック爪が引掛けられる第1段差を設けて中径部を連ねるとともにこの中径部の上側に前記ストッパ手段をなす第2段差を設けて小径部を連ねて形成し、前記本体部側接点台に前記第2段差より小径であって前記小径部が貫通するロック棒通孔を設け、この通孔に前記小径部を通して前記ロック棒を前記本体部側に下向きに固定したことを特徴とするものである。
【0014】この請求項1の発明において、ワイヤロープの巻取りにしたがい昇降部がこれを機械的にロックして支持すべき上昇位置に上昇されると、昇降部の一対のロック爪がロックばねに付勢力を蓄えさせながらロック棒の大径部で斜め下向きに押し開かれた後にロック棒の中径部に係合し、この状態でワイヤロープが巻き戻されて昇降部が一旦下げられるに伴って、一対のロック爪の先端部が大径部と中径部と境をなした第1段差に上側から引っ掛るので、この係合により昇降部を前記上昇位置に機械的に保持(ロック)する。このロック状態からワイヤロープが少し巻取られて昇降部が一旦上昇されると、一対のロック爪の爪先部がロック棒の小径部に対向するので、ロックばね付勢力で一対のロック爪は上側に回動して前記ロック状態を解除し、上下いずれの方向へも回動可能な姿勢となる。この後にワイヤロープが巻き戻されて昇降部が下降されるから、ロック棒の大径部及び中径部との接触にしたがい一対のロック爪をいずれも斜め上向きに回動させながら、昇降部はロック棒から外れて本体部の下方に降下できる。
【0015】以上のようなロック動作とその解除動作を行なうロック手段のロック棒は、それに大径部と中径部と小径部とを連ねて設けてなり、大径部と中径部との間の第1段差にロック爪が引っ掛ることによりロック状態を得、かつ、中径部に対して第2段差を設けて連なった小径部によりロック解除を可能としたので、こうした動作を実現するためにロック棒の側面に深さが異なる二つの溝を加工する必要がない。
【0016】又、前記ロック動作において昇降部側接点台は本体部内の本体部側接点台を背圧ばねの付勢力に抗して押上げるとともに、前記ロック解除時には本体部側接点台は背圧ばねの付勢力により押し下げられる。こうした本体部側接点台の上下動は接点台ガイドにより案内される。既述のように昇降部が下降して背圧ばねにより本体部側接点台が押し下げられた時に、この昇降部のロック棒通孔の孔縁はロック棒の中径部と小径部との境をなした第2段差に上側から引っ掛る。この引っ掛かりによりロック棒をストッパ手段として利用して本体部側接点台を下限高さ位置に保持できる。
【0017】前記第2の課題を解決するために、請求項1の発明に従属する請求項2の発明は、前記背圧ばねとして前記ロック棒の小径部を囲んで配設される単一のコイルばねを用いたことを特徴とするものである。この請求項2の発明においては、本体部側接点台を下方に付勢する背圧ばねを一つしか用いないので、部品点数をさらに削減できる。
【0018】前記第3の課題を解決するために、請求項1又は2の発明に従属する請求項3の発明は、前記接点台ガイドを少なくとも一組用いて、これらを前記ロック棒を中心とする点対称位置において前記本体部側接点台の側面に摺接可能に設けるとともに、前記側面の中央部に被検出凸部を突設し、この凸部を検知するセンサを前記本体部内に設けて、これら被検出凸部及びセンサにより前記本体部側接点台の高さ位置を検知する検知手段を形成したことを特徴とするものである。
【0019】この請求項3の発明は前記請求項1又は2の発明の作用に加えて、次の作用がある。すなわち、前記のように点対称位置に配置された接点台ガイドは、本体部側接点台が上下動する際に、本体部側接点台がその幅方向に傾くことを抑制しつつこの接点台の上下動を案内する。こうして幅方向への傾きが抑制される本体部側接点台の側面の中央部に突設された被検出凸部をセンサにより検出するので、既述のように上下動される本体部側接点台の高さ位置を検出精度を高めて、既述のロック動作及びその解除動作時におけるワイヤロープの巻取り・巻き戻し動作を行なわせることができる。
【0020】又、請求項3の発明を実施するにあたり、この発明に従属する請求項4の発明のように、前記センサを前記接点台ガイドに取付けるとよい。この場合には、本体部にセンサ取付け用の部品を格別に要しないので部品数の増加を招かないとともに、接点台ガイドを基準に、このガイドにより上下動を案内される本体部側接点台とセンサとの位置関係を容易かつ精度良く設定できる。
【0021】同様に、請求項3の発明を実施するにあたり、この発明又は請求項4の発明に従属する請求項5の発明のように、前記接点台ガイドの下端部に連結部を設け、前記ワイヤロープの巻き上げにより上昇する前記昇降部を前記本体部側接点台に対して導く導入ガイドを前記連結部に連結するとよい。この場合にも接点台ガイドを基準にした取付けにより導入ガイドを適正位置に容易に導くことができるから、昇降部が揺れながら上昇しても、この昇降部を導入ガイドによって適正な姿勢にしながら本体部側接点台方向に円滑に案内して、上昇位置でのロック動作を確実ならしめることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、図1〜図7を参照して本発明の第1の実施の形態を説明する。
【0023】図1及び図2等に示されるように電動昇降装置は、体育館などの屋内天井側高所に配置される金属製の本体部1と、この本体部1に対してその下側において本体部1に後述のロック手段を介して支持される上昇位置と床側の下降位置とにわたって昇降される昇降部2とを備えている。昇降部2の下面には図示しない電気機器例えば図示しないが400W以下の比較的小型な水銀灯照明器具が取付けられ、これは昇降部2とともに昇降される。
【0024】本体部1は、天井部への取付け用のハンドル3が取付けられた筐体4に、ワイヤロープ5を巻取り・巻き戻しする駆動機構6を内蔵して形成されている。筐体4は、図2及び図3に示されるベース4aと、これに連結されたカバー4bと、これらベース4aとカバー4bとがなした四角状筒体の両端開口を個別に閉鎖して取付けられた一対の端板4cとから形成されていて、そのカバー4bの底壁には孔7が開けられている。
【0025】図2に示されるように駆動機構6は、ベース4aに固定された正逆回転可能な電動モータ6aと、このモータ6aのモータ軸に接続された歯車減速機6bと、この減速機6bの出力軸に取付けられた巻取りドラム6cとを有している。巻取りドラム6cにはそれに巻き取られるワイヤロープ5の一端部が連結されている。ワイヤロープ5の他端は本体部1内の図示しないワイヤ固定部に固定され、又、ワイヤロープ5の中間部は孔7を通って本体部1の下側に引出されて昇降部2を後述のように支持している。なお、図2、図6、図7中8はワイヤロープを引き回すためのガイドローラである。
【0026】図2及び図3に示されるようにベース4aの上壁下面には板金製の一対のガイド体11が相離間してねじ止め等により固定されている。両ガイド体11は互いに平行であって上下方向に延びる一対の接点台ガイド11a、11bを有して略コの字形状に折り曲げられているとともに、これら両ガイド11a、11bの下端部には連結部11cが設けられている。連結部11cは両ガイド11a、11bの下端部を互いに遠ざかる方向に向けて直角に折り曲げた折り曲げ片により形成されている。
【0027】本発明において各ガイド11a、11bはベース4aから下方に切起こして一体に設けてもよいとともに、各ガイド11a、11bが独立部品であって夫々をベース4aに固定してもよい。ベース4aに対して各ガイド11a、11bが独立部品である場合に、本実施の形態のように両ガイド11a、11bをコの字状の連続させた一体部品であるガイド体11とすることは、部品点数及び組立て工数を削減できるとともに、相対向する両ガイド11a、11bの相互位置関係を適正に保持し易い点で優れている。
【0028】一方のガイド体11が有した一方の接点台ガイド11aと、他方のガイド体11が有した他方の接点台ガイド11bとは、後述のロック棒12を中心とする点対称位置に配置されているとともに、同様に、前記一方のガイド体11が有した他方の接点台ガイド11bと、前記他方のガイド体11が有した一方の接点台ガイド11aも、後述のロック棒12を中心とする点対称位置に配置されている。なお、本発明において、接点台ガイドは少なくとも前記点対称位置に配置される二本のガイド11a、11bがあればよいが、接点台ガイドを3本以上取分け二組み(4本)とすることは、後述の本体部側接点台21が水平面内を回ろうとする動きを防止できて、この接点台21を所定の姿勢に保持できる点で優れている。
【0029】前記一対のガイド体11間には1本の金属製ロック棒12が配置されている。このロック棒12は、ベース4aの中央部を貫通してロック棒12にねじ込まれるねじ13によりベース4aから下向きに突出して固定されている(図6及び図7参照)。図4等に示されるようにロック棒12は、その下部には最も下側位置の大径部14と、この上側に位置される中径部15と、この中径部15の上側に位置される小径部16とを有している。それにより、大径部14とこれよりも径が小さい中径部15との境には第1段差17が形成されるとともに、中径部15とこれよりも径が小さい小径部16との境には第2段差18が形成されており、したがって、ロック棒12は段付き円柱形状をなしている。前記連結部11cよりも下方に突出する大径部16の先端縁には面取りが施されている。
【0030】前記本体部1内には本体部側接点台21が上下動可能に設けられている。図4等に示されるように接点台21は、耐熱性の硬質合成樹脂を成形してなる平面視長方形状の接点台本体22の数箇所に接点23を取付けてなる。各接点23は接点台本体22の下方に露出されている。接点台本体22の長手方向両端部には前記ワイヤロープ5が貫通するロープ通孔24が夫々開けられている。
【0031】接点台本体22の幅方向両側一側面22aの長手方向中央部には、前記一対のガイド体11間に位置して第1、第2の被検出凸部25、26が一体に突設されている。これらの凸部25、26は上下方向に延びて互いに平行に設けられ、かつ、長さが異なっているとともに、この実施の形態では連続部27を介して互いの上端が連続されている。第1被検出凸部25は後述のロック動作中における本体部側接点台21の高さ位置を検出するために使用され、第2被検出凸部26はロック解除動作中における本体部側接点台21の高さ位置を検出するために使用される。
【0032】図4等に示されるように接点台本体22の中央部にはロック棒通孔28が開けられている。この通孔28の大きさ(径)は、ロック棒12の小径部16より大きく、かつ、中径部15より小さい。
【0033】前記構造の本体部側接点台21は、その両側面を前記ガイド体11の接点台ガイド11a、11bに夫々摺動可能に接するとともに、ロック棒通孔28にロック棒12の小径部16を貫通させて設けられている。そのため、接点台21は複数の接点台ガイド11a、11bに沿って上下動可能に設けられているとともに、本実施形態ではロック棒通孔28も小径部16に沿って摺動するようになっている。そして、ロック棒通孔28と中径部15との寸法関係により、通孔28の孔縁部がロック棒12の第2段差18に上側から引っ掛ることにより、下方へ脱落しないように規制されており、この規制位置、言い換えれば、第2段差18を下限高さ位置としてこれより上側において本体部側接点台21は上下動可能に設けられている。したがって、ロック棒12の第2段差18は本体部側接点台21のストッパ手段をなしている。
【0034】前記第1、第2の被検出凸部25、26は前記一対のガイド体11の相対向する縁11d(図3参照)を摺動するようになっている。それにより、両ガイド体11をストッパとして本体部側接点台21がその長手方向一端が他端よりも高くなるように長手方向に傾き動くことを抑制して、接点台21の上下動を円滑に行なわせ得るととに、後述の高さ位置の検出精度を向上できる点で優れている。
【0035】図4に示されるように接点台本体22の一側面22aに接する2本の接点台ガイド11a、11bには、第1センサとしての第1マイクロスイッチ31と第2センサとしての第2マイクロスイッチ32とが個別に取付けられている。上昇位置検知用の第1マイクロスイッチ31は、第1被検出凸部25側の接点台ガイド11aにねじ止めされているとともに、そのアクチュエータが第1被検出凸部25で押されたときに、オフ状態からオン状態に切換わるようになっている。ロック解除用の第2マイクロスイッチ32は前記第2被検出凸部26側の接点台ガイド11bにねじ止めされ、そのアクチュエータは第2被検出凸部26に弾性的に押付け保持されている。この押付け状態でスイッチ32はオンしているとともに、このスイッチ32は、そのアクチュエータの湾曲した先端部が第2被検出凸部26の上端及び下端に引っ掛ることによりオフする。これらのマイクロスイッチ31、32のオン・オフの切換わりにしたがって前記電動モータ6aの正逆回転が行われるようになっている。
【0036】前記本体部1内には本体部側接点台21を前記下限高さ位置に向けて付勢する背圧ばね35が設けられている。このばね35として単一のコイルばねが使用され、このばね35は図6、図7等に示されるようにロック棒12の小径部16を囲んでベース4aと本体部側接点台22との間に弾性変形した状態で挟設されている。本発明において背圧ばね35は複数用いても良いが、本実施形態のように単一とすることは、部品点数を少なくでき組立て工数も削減できる点で優れている。この背圧ばね35は図3に示されるように前記一対のガイド体11間に配置されている。
【0037】前記複数本の接点台ガイド11a、11bには、図2及び図3等に示されるように合成樹脂製の導入ガイド38が、このガイド38を下側から通って前記各連結部11cにねじ込まれるねじを介して連結されている。導入ガイド38は、前記昇降部2の外形形状に対応してこの昇降部2が嵌入可能な位置決め筒状部38aと、この下側に連続するスカート部38bと、このスカート部38bから前記筒状部38aに向けて昇降部2を円滑に導くためのガイド凸部38cとを有している。この導入ガイド38は図1に示されるように前記孔7を通って本体部1の下側に突出されている。なお、前記ワイヤロープ5の中間部は導入ガイド38の内側を通っている。
【0038】図1及び図5等に示されるように前記昇降部2の上面は昇降部側接点台41で形成され、この昇降部41には前記各接点23に対応する数の接点42が取付けられている。これら接点23、42の少なくとも一方は図示しないばねで付勢されており、その力によって対応する接点23、42同士が弾性的に接触状態を保持できるようになっている。
【0039】昇降部2の中央部にはこの昇降部2の上面に開放されるとともに前記ロック棒12の下部が上側から挿脱可能な溝2aが設けられている。この溝2a内に配置された一対の軸43の夫々には、ロック爪44が個別に回動可能に取付けられているとともに、ロックばね45が個別に取付けられている。各ロックばね45は、図6(A)に示されるようにロック爪44の爪先を互いに向かい合うように保持するとともに、この状態からロック爪44が回動された時にばね力を蓄えるようになっている。これら軸43、ロック爪44、ロックばね45、及び前記ロック棒12によってロック手段が形成されている。この手段により、ワイヤロープ5の巻取り・巻き戻しに伴い後述のように昇降部2を前記上昇位置に保持したり、前記上昇位置からの下降を可能とできるようになっている。
【0040】昇降部2内には一対のガイドローラ46が内蔵されており、これらガイドローラ46には前記ワイヤロープ5の中間部が引き回されている。それにより、ワイヤロープ5の中間部に吊持された昇降部2は、ワイヤロープ5の巻取り・巻き戻しに伴い昇降されるようになっている。
【0041】床側に設置された操作盤での操作にしたがい昇降部2は昇降される。次に、図6を用いて床側から天井側へ上昇する昇降部2を本体部1に機械的に支持するロック動作について説明する。
【0042】図6(A)は昇降部2がワイヤロープ5の巻取りにより本体部1の間近迄上昇された状態を示し、この状態では一対のロック爪44には負荷が作用せず、それらの爪先部は互いに向かい合っている。
【0043】この状態のまま昇降部2が上昇すると、この昇降部2は導入ガイド38により案内されて、その上部が導入ガイド38の位置決め筒状部38a内に導入される。そのため、昇降部2が上昇中に風の影響などで揺れていたり、ワイヤロープ5が多少ねじれ気味であったとしても、それらに拘らず確実に導入ガイド38で昇降部2を捕らえて、この昇降部2を適正な姿勢にして本体部1内に導入させることができる。
【0044】こうした昇降部2の上昇により、その昇降部側接点台41の接点42が本体部側接点台21の接点23に押し当るとともに、この状態を保ったまま昇降部2が本体部側接点台21を背圧ばね35の付勢力に抗して押上げ始める。この時、図6(B)に示されるようにロック棒12の下端部が昇降部2の溝2aに挿入されるから、一対のロック爪44がロック棒12の大径部14に押されて斜め下向きに回動されると同時に、各ロックばね45は捻られてばね力を蓄えロック爪44を元に戻す方向に付勢する。
【0045】引続いて昇降部2は引き上げられるから、図6(C)に示されるようにロック棒12の大径部14が一対のロック爪44間を下方に挿通するとともに、ロック棒12の中径部15が斜め下向きとなった一対のロック爪44間に挟まれるようになる。この場合、昇降部2により本体部側接点台21は押上げられているから、その第1被検出凸部25が第1マイクロスイッチ31のアクチュエータを押込んで、このスイッチ31がオフからオン状態となる。すなわち、こうして本体部側接点台21とともに昇降部2が上昇位置(ロック位置)に到達したことが、前記凸部25と前記スイッチ31とからなる検知手段により検知されるから、それにしたがって前記電動モータ6aが逆転動作されて、ワイヤロープ5が巻き戻される。なお、既述の本体部側接点台21の上昇に伴い、第1マイクロスイッチ31がオンとなる前に第2マイクロスイッチ32のアクチュエータが第2被検出凸部26に押されて、このスイッチ32はオフ状態からオン状態に切換わるとともに、このオン状態は第1マイクロスイッチ31がオンに切換わった状態でも保持される。
【0046】前記のようにしてロック位置に昇降部2が上昇したことが検知されてワイヤロープ5が巻き戻された状態は図6(D)に示されている。つまり、巻き戻しにより昇降部2が下降されるに伴い、それまでロック棒12の中径部15に爪先部を接していた斜め下向き姿勢の一対のロック爪44の高さ位置も下がるので、その爪先部がロック棒12の第1段差17に上側から引っ掛る。そうすると、その直後にワイヤローク5が緩むから、それが図示しないゆるみ検知機構で検出されることにより、駆動機構6の電動モータ6aの運転が停止される。したがって、前記引っ掛りにより昇降部2はロック手段を介して機械的に支持(ロック)されて、下方に脱落することなく前記上昇位置に保持されるから、このロック状態ではワイヤロープ5に昇降部2及びこれに支持された照明器具の重さが掛かることがない。
【0047】なお、既述のように図6(C)の状態から図6(D)の状態に昇降部2が下がる際、及びそれ以降のロック状態においては、背圧ばね35の付勢力により接点23、42の電気的接触状態が保持されるので、これらを介して本体部1から昇降部2を得て照明器具への通電を可能とでき、それにより照明器具を使用できる。
【0048】次に、図7を用いて天井側から床側へ昇降部2を下ろす動作について説明する。
【0049】図7(A)は前記図6(D)に示したロック状態である。この状態において、前記電動モータ6aが正転されワイヤロープ5が一旦巻き取られるので、まず、図7(B)のようになる。この状態は前記図6(C)に示した状態と同じである。そして、引続いて昇降部2とともに本体部側接点台21が押上げられることに伴い、図7(C)に示されるようにロック棒12の第1段差18より上側に一対のロック爪44が位置される。そうすると、一対のロック爪44はロックばね45のばね力により略水平な姿勢を保持するように上向きに回動されるから、前記ロック状態が解除されて、両爪44の爪先がロック棒12の小径部16に対向する。
【0050】この時点で第2マイクロスイッチ32のアクチュエータが第2被検出凸部26の下端を検出するから、このスイッチ32がオンからオフ状態となる。つまり、ロックが解除された状態が、前記凸部26及び前記スイッチ32からなる検知手段により検知される。
【0051】それにより、電動モータ6aが逆転されてワイヤロープ5が巻き戻されるとともに、昇降部2が下降される。この時、一対のロック爪44は、第2段差18に対しても、又、図7(D)に示されるように第1段差17に対しても当って斜め上向きに回動されるので、昇降部2の下降を妨げることがない。したがって、ワイヤロープ5の巻き戻しに伴い昇降部2を照明器具とともに床側に下ろすことができる。それに伴い、一対のロック爪44がロック棒12の大径部14の下方に外れると同時に、これらはロックばね45のばね力により図6(A)の状態に戻される。
【0052】こうして昇降部2が下降されると、背圧ばね35で下方に押されている本体部側接点台21も押し下げられるが、この接点台21は、そのロック棒通孔28の孔縁部がロック棒12の第2段差18にその上側から当接することにより、この第2段差18をストッパとして、第2段差18の高さ位置で規定される下限高さ位置より下がることを妨げられる。
【0053】以上説明したように前記構成の電動昇降装置においては、そのロック棒12の大径部14と中径部15との間の第1段差17に、昇降部2の一対のロック爪44を径方向両側から夫々引っ掛ることにより、昇降部2を本体部1に機械的にロックでき、かつ、中径部15に対して第2段差18を設けて連なった小径部14に一対のロック爪44を対向させることにより、昇降部2の本体部1に対するロック状態を解除できる。
【0054】したがって、こうした昇降部2に対するロック動作とその解除動作を実現するためにロック棒12の側面に深さが異なる二つの溝を加工する必要がなくなり、ロック棒12に対する加工としては単に外径の大きさが異なる部分を加工すればよい。そのため、ロック棒12を容易に加工できるものであり、それに伴いコストダウンを図ることができる。
【0055】又、既述のように昇降部2の下降時に背圧ばね35により本体部側接点台21が押し下げられた時に、この昇降部2のロック棒通孔28の孔縁がロック棒12の第2段差18に上側から引っ掛かって、昇降部2をその下限高さ位置に保持するので、ロック棒12をストッパ手段として利用できる。そのため、格別にストッパ手段をなすための部品を要することがなくなり、部品点数及び組立て工数を削減できてコストダウンを図り得るとともに、装置の構成を簡単にできる。
【0056】しかも、以上の昇降に伴う昇降部2の高さ位置の検知を行なうのに、本体部1内において昇降部2の動きに追従する本体部側接点台21の上下動を案内する接点台ガイド11a、11bにより、本体部側接点台21がその幅方向に傾くことを抑制できる。そして、このように幅方向の傾むきが抑制されて円滑に上下動する本体部側接点台21の側面21a中央部に突設された第1、第2の被検出凸部25、26を介して第1、第2のマイクロスイッチ31、32が、本体部側接点台21の高さ位置を検出する。したがって、昇降部2に追従して上下動される本体部側接点台21の高さ位置、ひいては昇降部2の高さ位置を検出する精度を高めることができ、それに伴って既述のロック動作及びその解除動作時におけるワイヤロープ5の巻取り・巻き戻し動作を正確に行なわせることができる。
【0057】その上、第1、第2のマイクロスイッチ31、32を接点台ガイド11a、11bに取付けたから、接点台ガイド11a、11bを基準に、これらのガイド11a,11bにより上下動を案内される本体部側接点台21とマイクロスイッチ31、32との位置関係を容易かつ精度良く設定できる。そのため、高さ位置の検出手段をコンパクトもまとめることができるだけではなく、既述のロック動作及びその解除動作時におけるワイヤロープ5の巻取り・巻き戻し動作を正確に行なわせることができる。
【0058】更に、既述のように第1、第2のマイクロスイッチ31、32を接点台ガイド11a、11bに取付けたから、本体部1にセンサ取付け用の部品を格別に要することがないとともに、これらガイド11a、11bの下端部の連結部11cに前記導入ガイド38をねじ止めしたから、本体部1に導入ガイド38を固定するための部品を格別に必要とすることがない。そのため、部品数の増加を招くことがなく、構成の簡素化を図ることができる。
【0059】
【発明の効果】本発明は、以上説明したような形態で実施され、以下に記載されるような効果を奏する。
【0060】請求項1に記載の発明によれば、昇降部を上昇位置に機械的に保持するロックとその解除動作を行なうロック手段は、そのロック棒の大径部と中径部との間の第1段差にロック爪が引っ掛ることによりロック状態を得、かつ、中径部に対して第2段差を設けて連なった小径部によりロック状態を解除できるので、ロック棒に対する加工としては単に外径の大きさが異なる部分を加工すればよく、従来のようにロック棒の側面に深さが異なる二つの溝を加工する必要がなくなり、ロック棒を容易に加工できる。しかも、本体部側接点台のロック棒通孔の孔縁がロック棒の第2段差に引っ掛ることで、本体部側接点台を下限高さ位置に保持するので、ロック棒をストッパ手段として利用でき、したがって、部品点数を削減でき構造を簡単にできる。
【0061】請求項1の発明に従属する請求項2に記載の発明によれば、請求項1の発明の効果に加えて、背圧ばねの使用数が最小であるので、より部品点数を削減でき構造を簡単にできる。
【0062】請求項1又は2の発明に従属する請求項3に記載の発明、この請求項3の発明に従属する請求項4に記載の発明、及び請求項3又は4の発明に従属する請求項5に記載の発明によれば、請求項1又は2の発明の効果に加えて、本体部側接点台をその幅方向への傾むきを抑制しながら本体部側接点台が上下動する際に最も動きが少ない側面の中央部に突設された被検出凸部をセンサにより検知して、上下動される本体部側接点台及び昇降部の高さ位置を検知するので、ロック動作及びその解除動作時におけるワイヤロープの巻取り・巻き戻しのタイミングを正確に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る電動昇降装置の構成を示す斜視図。
【図2】図1に示された電動昇降装置の構成をその本体部のカバーを取除いて示す斜視図。
【図3】図1に示された電動昇降装置の本体部側の構成を拡大して示す斜視図。
【図4】図1に示された本体部側の構成のうちロック棒と背圧ばねと本体部側接点台との相互関係を示す斜視図。
【図5】図1に示された電動昇降装置の昇降部の構成を示す斜視図。
【図6】(A)〜(D)は図1に示された電動昇降装置のロック手段のロック動作を順を追って示す略断面図。
【図7】(A)〜(D)は図1に示された電動昇降装置のロック手段のロック解除動作を順を追って示す略断面図。
【図8】従来例に係る電動昇降装置の要部の構成を示す斜視図。
【図9】従来例に係る電動昇降装置の要部の構成を一部断面して示す正面図。
【符号の説明】
1…本体部、
2…昇降部、
5…ワイヤロープ、
6…駆動機構、
11a、11b…接点台ガイド、
11c…連結部、
12…ロック棒(ロック手段)、
14…大径部、
15…中径部、
16…小径部、
17…第1段差、
18…第2段差、
21…本体部側接点台、
22a…本体部側接点台の側面、
25…第1被検出凸部、
26…第2被検出凸部、
28…ロック棒通孔、
31、32…マイクロスイッチ(センサ)、
35…背圧ばね、
38…導入ガイド、
41…昇降部側接点台、
43…軸(ロック手段)、
44…ロック爪(ロック手段)、
45…ロックばね(ロック手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】ワイヤロープを巻取り・巻き戻しする駆動機構を有して天井側高所に配置される本体部と、この本体部に設けられたストッパ手段により下限高さ位置を規制されるとともに、この下限高さ位置よりも上側において前記本体部に上下動可能に設けられた本体部側接点台と、前記本体部に設けられて前記本体部側接点台の上下動を案内する接点台ガイドと、前記本体部に設けられた前記本体部側接点台を前記下限高さ位置に向けて付勢する背圧ばねと、前記ワイヤロープを介して前記本体部に対して昇降される昇降部と、この昇降部に設けられて前記本体部側接点台にその下側から接離する昇降部側接点台と、ロックばねで付勢されるロック爪及びロック棒を有し、前記ワイヤロープの巻取り・巻き戻しに伴う前記ロック爪とロック棒との引っ掛りにより前記昇降部をその上昇位置に保持するとともに、前記引っ掛りの解除により前記上昇位置からの前記昇降部の下降を可能とするロック手段と、を具備する電動昇降装置において、前記前記ロック爪を複数用いてこれらを前記昇降部に取付けるとともに、前記ロック棒を一本とし、このロック棒を大径部の上側に前記ロック爪が引掛けられる第1段差を設けて中径部を連ねるとともにこの中径部の上側に前記ストッパ手段をなす第2段差を設けて小径部を連ねて形成し、前記本体部側接点台に前記第2段差より小径であって前記小径部が貫通するロック棒通孔を設け、この通孔に前記小径部を通して前記ロック棒を前記本体部側に下向きに固定したことを特徴とする電動昇降装置。
【請求項2】前記背圧ばねとして前記ロック棒の小径部を囲んで配設される単一のコイルばねを用いたことを特徴とする請求項1に記載の電動昇降装置。
【請求項3】前記接点台ガイドを少なくとも一組用いて、これらを前記ロック棒を中心とする点対称位置において前記本体部側接点台の側面に摺接可能に設けるとともに、前記側面の中央部に被検出凸部を突設し、この凸部を検知するセンサを前記本体部内に設けて、これら被検出凸部及びセンサにより前記本体部側接点台の高さ位置を検知する検知手段を形成したことを特徴とする前記請求項1又は2に記載の電動昇降装置。
【請求項4】前記センサを前記接点台ガイドに取付けたことを特徴とする請求項3に記載の電動昇降装置。
【請求項5】前記接点台ガイドの下端部に連結部を設け、前記ワイヤロープの巻き上げにより上昇する前記昇降部を前記本体部側接点台に対して導く導入ガイドを前記連結部に連結したことを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか1項に記載の電動昇降装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図7】
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