説明

電動機検修ライン用ターンテーブル装置

【課題】検修ラインの任意の場所での電動機の検修作業を1名で短時間に効率良く行うことがで、作業スペースも従来に比べ少なくすることができる電動機検修ライン用ターンテーブル装置を提供する。
【解決手段】べ一ス2に固定された上下移動用モータ3と、該上下移動用モータの回転によって上下に移動する上下移動スクリュー4と、該上下移動スクリューに保持された昇降台24と、該昇降台に回転可能に設けられたターンテーブル1とを有し、前記昇降台は下方に移動した状態では前記ターンテーブルの上面が搬送用パレット5より離れその下面よりも下方に位置し、前記搬送用パレットがコンベア17によって前記ターンテーブルの真上に移送された際、前記昇降台を上方に移動することによって前記搬送用パレットをコンベアチェーンより上方に持ち上げ、前記ターンテーブルと一緒に回転できるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重量物である車両用主電動機の新規な検査及び修理を行う新規な電動機検修ライン用ターンテーブル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、約1トンという重量物である車両用主電動機の検査及び修理を行う検修の際に、車両用主電動機を検修台又はコンベア上に設置し、作業員が電動機の周りを移動しながら検修を行う作業が行なわれている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来装置では以下のような問題点があった。
(1)作業員が移動する時間がかかり、検修作業全体の作業効率に影響を与えていた。
(2)作業をライン上で行う場合は、両側から最低2名の作業員が必要になる。
【0004】
従って、車両検修工場の集約化、人員削減等により検修作業効率向上が必須条件であり、従来装置を見直す必要があった。
【0005】
本発明の目的は、検修ラインの任意の場所での電動機の検修作業を1名で短時間に効率良く行うことができ、作業スペースも従来に比べ少なくすることができる電動機検修ライン用ターンテーブル装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は約1トンという重量物である車両用主電動機の検査及び修理(以下、検修作業という)を作業員が行う際に、1名の作業員が移動を少なくして容易に検修作業を行えるよう検修作業ライン上の所定の位置で電動機を回転させることができるようにしたものである。
【0007】
即ち、検修ラインの任意の場所に電動機を搭載したターンテーブルを手動で回転できる電動機検修ライン用ターンテーブル装置を設置すれば、1名の作業員でターンテーブル上の車両用主電動機を持ち上げ回転させることができので、作業員の移動を少なくして検修作業ができ、より効率的に短時間で作業を行うことができる。
【0008】
具体的には、本発明は、2本の平行配置されたコンベアチェーン上に載置されて搬送される搬送用パレットに搭載された電動機をコンベアによって移送し、該コンベアに沿った複数の位置で電動機を検査・修理作業を行う前記電動機の検修ラインに組み込まれる電動機検修ライン用ターンテーブル装置であって、べ一スに固定された上下移動用モータと、該上下移動用モータの回転によって上下に移動する上下移動スクリューと、該上下移動スクリューに保持された昇降台と、該昇降台に回転可能に設けられたターンテーブルとを有し、前記昇降台は下方に移動した状態では前記ターンテーブルの上面が前記搬送用パレットより離れその下面よりも下方に位置し、前記搬送用パレットが前記コンベアによって前記ターンテーブルの真上に移送された際、前記昇降台を上方に移動することによって前記搬送用パレットを前記コンベアチェーンより上方に持ち上げ、前記ターンテーブルと一緒に回転できるようにしたことを特徴とする。
【0009】
又、本発明は、前記搬送用パレットの中心位置に設けられたパレット穴に前記ターンテーブルの中心位置において上方に伸びた挿入ピンが挿入されること、又、前記ターンテーブルはその円周面に所定の間隔でテーブル凹部を有する円盤状であり、前記凹部にバネの力で押し当てられるカムフォロアを前記昇降台側に設け、前記ターンテーブルを回転方向での所定位置に停止させること、更に、前記昇降台は四角形状を有し、前記上下移動スクリューは前記昇降台の各隅に各1本有し、1本の前記チェーンの回転によって前記上下移動スクリューが同時に上下移動できることが好ましい。
【0010】
更に、本発明の電動機検修ライン用ターンテーブル装置は、前記上下移動用モータに設けられた第1チェーンスプロケットと、該第1チェーンスプロケットの回転を伝達するチェーンと、該チェーンの回転を伝達する第2チェーンスプロケットと、該第2チェーンスプロケットに一体に結合しその回転によって上下に移動する前記上下移動スクリューとを有し、前記ターンテーブルは手動で回転するようにするのが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、従来2〜3名で実施してきた検修ラインの任意の場所での電動機の検修作業を1名の作業員で短時間に効率良く行うことがで、作業スペースも従来に比べ少なくすることができる電動機検修ライン用ターンテーブル装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は検修ラインに設置した本発明に係る電動機検修ライン用ターンテーブル装置の構成を示す上面図である。電動機検修ライン用ターンテーブル装置は不使用時には検修ライン内部に格納されている。図1においては、検修ラインは本発明に係る電動機検修ライン用ターンテーブル装置の部分について示されているが、車両用電動機の各種検査及び修理に必要な項目に従って必要な長さを有し、その長さはコンベア17の長さに相当する。本実施例では、電動機検修ライン用ターンテーブル装置は1つの検修ラインに1台設けたものであるが、検修項目に応じて複数台設けることができる。
【0013】
本実施例では、検修作業ラインに沿って設けられた2本のコンベアチェーンを有するコンベア17によって車両用電動機(図示せず)が搬送用パレット5に搭載されて搬送される。検修作業ラインの所定の位置に搬送されてきた電動機は、搬送用パレット5に搭載したまま電動機検修ライン用ターンテーブル装置のターンテーブル1の真上に達した位置でコンベア17が停止し、停止される。
【0014】
本実施例の電動機検修ライン用ターンテーブル装置は、べ一ス2に固定された上下移動用モータ3と、上下移動用モータ3の回転によって上下に移動する上下移動スクリュー4と、上下移動スクリュー4に保持された昇降台24と、昇降台24に回転可能に設けられたターンテーブル1とを有し、昇降台24は電動機の検修作業待ちの下方に移動した状態ではターンテーブル1の上面が搬送用パレット5より離れており、その下面よりも下方に位置し、搬送用パレット5がコンベア17によってターンテーブル1の真上に移送された際、昇降台24を上方に移動することによって搬送用パレット5を上方のコンベアチェーンより上方に持ち上げ、ターンテーブル1と一緒に回転できるようにスラストボールベアリング20によって支持される構造を有する。
【0015】
ターンテーブル1の上昇によって電動機は、搬送用パレット5に搭載されたまま所定の高さに設定され、検修作業が行なわれる。ターンテーブル1の上昇に際しては、後述するターンテーブル固定用クサビ装置12によってターンテーブル1の回転を止めて上昇させる。ターンテーブル1が所定の高さに設定された後、作業が行われるが、その際にはターンテーブル固定用クサビ装置12による固定を解除することにより、ターンテーブル1が手動で回転することができる。その回転により電動機を所定の位置に回転移動させると共に、後述する円周位置決め機構9によって円周方向の所定の位置に固定して作業を行うことができる。作業の終了と共に、再び電動機を搬送用パレット5に搭載したままターンテーブルを下降させて、停止させたコンベア17上に戻し、再びコンベア17によって搬送用パレット5と共に電動機を次の検修作業に搬送される。
【0016】
又、ターンテーブル1は、円盤状であり、手動での回転によって所定の位置に回転させた後、円周位置決め機構9によって固定される。円周位置決め機構9は昇降台24に固定されている。ターンテーブル1の円周面にはテーブル凹部8が45度毎に8個設けられ、円周位置決め機構9がテーブル凹部8に当る位置でターンテーブル1の回転を停止させることができ、ターンテーブル1の回転位置を決める。
【0017】
円周位置決め機構9はターンテーブル1のテーブル凹部8に当る先端に車輪を有するカムフォロア10と、カムフォロア10をターンテーブル1に押さえつけるコイルバネ11とで構成される。カムフォロア10は支持板26に固定され、更に台27にターンテーブル1の半径方向に移動可能に設けられている。円周位置決め機構9の正面図は後述する図2及び3に示す通りである。ターンテーブル1は、その回転中はカムフォロア10が外側方向に移動してターンテーブル1を回転させることができる。又、ターンテーブル1は、カムフォロァ10の車輪がコイルバネ11によって常にターンテーブル1の半径方向の内側に働く力によって内側方向に移動してターンテーブル1の所定の位置に設けられたテーブル凹部8に嵌って、ターンテーブル1が回転しないように固定される。
【0018】
図2は、コンベアによって運ばれてきた検修すべき電動機が搬送用パレット5に搭載されて本発明の電動機検修ライン用手動ターンテーブル装置のターンテーブル1の真上に来た状態を示す正面図である。ターンテーブル1の中心にはその上方の伸びたパレット挿入ピン6が設けてあり、搬送パレット5の中心に設けてあるパレット穴7にパレット挿入ピン6を挿入することで回転中心を一致させることができる。従って、搬送パレット5とターンテーブル1とは回転中心が一致している。コンベア17は2本のコンベアチェーンが左右に設けられ、各1本のコンベアチェーンは上下でエンドレスに繋がっている。
【0019】
搬送用パレット5はコンベア17によって搬送され、その搬送に際して、搬送用パレット5の両側に設けられたコンベアガイドロール16による左右方向へのズレが生じないようにガイドされて搬送されると共に、検修すべき位置に設けられたセンサ15によって検修すべき位置が検知され、その検出によって所定の位置にコンベア17の停止と共に停止される。次に、検修のために電動機を本発明の電動機検修ライン用手動ターンテーブル装置によって検修位置に上昇される。
【0020】
図3は検修のために電動機を搬送用パレット5と共に本発明の電動機検修ライン用手動ターンテーブル装置によって検修位置に上昇した状態を示す正面図である。ターンテーブル1の上下動作時には後述するように、ターンテーブル1が回転しないように固定され、安全に上下できる構造を有する。又、ターンテーブル1は円周位置センサ14によってその円周方向の所定の位置にあることが示される。この上昇によってコンベア17は移動可能となり、他の搬送パレット5を移動させることができる。しかし、コンベア17はターンテーブル1の上下移動中は移動できないようにコントロールされる。
【0021】
図2に示すように、コンベア17によって搬送されてきた搬送パレット5はセンサ15によって検修すべき位置が検知され、コンベア17の停止によって所定の位置に停止する。その後、作業員が操作盤(図示せず)を操作することにより上下移動用モータ3を回転させ、後述する上下移動用モータ3の回転駆動と共にチェーン19の回転によって上下移動用スクリュー4を介してターンテーブル1を上昇させ、電動機を任意の高さにまで上昇させる。この上昇時には後述するようにターンテーブル固定用クサビ装置12によってターンテーブル1の回転が起こらないように固定される。又、作業が終了すれば、同様にターンテーブル固定用クサビ装置12によってターンテーブル1の回転が起こらないように固定されて、上昇と同様にターンテーブル1を下降して、電動機を搬送用パレット5と共にコンベア17上に戻し、次の検修作業に送られる。この下降に際してもコンベア17は停止される。
【0022】
図4は、ターンテーブルを上下移動させるチェーンスプロケット及びチェーンの構成を示す正面図である。ターンテーブル1は昇降台24に設けられたスラストボールベアリング20を介して手動で回転可能に設けられる。昇降台24は四角形状でその各隅に1本ずつの4本の上下移動用スクリュー4が固定されている。又、昇降台24は上下移動用モータ3の回転によりチェーン19を回転させ、その回転によって第1チェーンスプロケット18を回転させ、その回転によって上下移動用スクリュー4を上下に移動させることにより昇降台24を上下移動させる。第1チェーンスプロケット18及び4個の第2チェーンスプロケット28は1本のチェーン19で図4に示すように係合されており、チェーン19の回転によって同時に回転し、4本の上下移動用スクリュー4が同時に上下移動が行われる。上下移動用モータ3はベース2に固定されている。
【0023】
図5は、上下移動用スクリューと第2スプロケットとの関係を示す断面図である。上下移動用モータ3に設けられた第1チェーンスプロケット18と、その回転を伝達するチェーン19と、チェーン19の回転を伝達する4個の第2チェーンスプロケット28と、第2チェーンスプロケット28に一体に結合しその回転によって上下に移動する4本の上下移動スクリュー4と、上下移動スクリュー4に保持された昇降台24とを有する。第2チェーンスプロケット28はスプロケット支持台29にスラストボールベアリング20を介して回転可能に支持されている。第2チェーンスプロケット28は雌ネジが形成され、上下移動スクリュー4は雄ネジが形成されている。
【0024】
図6は、ターンテーブルの上下動作時にターンテーブルが回転しないように固定する固定機構を示す断面図である。ターンテーブル1の上下動作時は手動にてターンテーブル1が回転しないようにターンテーブル固定用クサビ装置12と、ターンテーブル1に設けられた固定金具22とによってターンテーブル1が固定される。ターンテーブル固定用クサビ装置12にはその左右に移動可能に設けられた突起25を有し、その突起25を固定金具22に設けられた貫通孔23に挿入することにより固定される。その固定によって、ターンテーブル1を固定し、安全に上下できる。ターンテーブル固定用クサビ装置12は昇降台24に固定されている。
【0025】
以上、本実施例によれば、従来2〜3名で実施してきた検修ラインの任意の場所での電動機の検修作業を1名の作業員により、短時間に効率良く行うことがで、作業スペースも従来に比べ少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】検修ラインに設置した本発明の電動機検修ライン用手動ターンテーブル装置の構成を示す上面図である。
【図2】電動機を搭載した搬送パレットが所定位置に搬送されて来た状態を示す本発明の電動機検修ライン用手動ターンテーブル装置近傍の正面図である。
【図3】図2において、本発明の電動機検修ライン用手動ターンテーブル装置によって電動機を搬送パレットと共にターンテーブルを上昇させた状態を示す正面図である。
【図4】ターンテーブルを上下移動させるチェーンスプロケット及びチェーンの構成図である。
【図5】上下移動用スクリューと第2スプロケットとの関係を示す断面図である。
【図6】ターンテーブルの上下動作時にターンテーブルを固定する固定機構を示す断面図である。
【符号の説明】
【0027】
1…ターンテーブル、2…ベ一ス、3…ターンテーブル上下移動用モータ、4…上下移動用スクリュー、5…搬送用パレット、6…パレット挿入ピン、7…パレット穴、8…テーブル凹部、9…円周位置きめ機構、10…カムフォロア、11…バネ、12…ターンテーブル固定用クサビ装置、13…搬送用パレットの回転時軌跡、14…円周位置センサ、15…センサー、16…コンベアガイドロール、17…コンベア、18…第1チェーンスプロケット、19…チェーン、20…スラストボールベアリング、21…コンベア台、22…固定金具、23…貫通孔、24…昇降台、25…突起、26…支持板、27…台、28…第2チェーンスプロケット、29…チェーンスプロケット支持台。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
2本の平行配置されたコンベアチェーン上に載置されて搬送される搬送用パレットに搭載された電動機をコンベアによって移送し、該コンベアに沿った複数の位置で電動機を検査・修理作業を行う前記電動機の検修ラインに組み込まれる電動機検修ライン用ターンテーブル装置であって、ベ一スに固定された上下移動用モータと、該上下移動用モータの回転によって上下に移動する上下移動スクリューと、該上下移動スクリューに保持された昇降台と、該昇降台に回転可能に設けられたターンテーブルとを有し、前記昇降台は下方に移動した状態では前記ターンテーブルの上面が前記搬送用パレットより離れその下面よりも下方に位置し、前記搬送用パレットが前記コンベアによって前記ターンテーブルの真上に移送された際、前記昇降台を上方に移動することによって前記搬送用パレットを前記コンベアチェーンより上方に持ち上げ、前記ターンテーブルと一緒に回転できるようにしたことを特徴とする電動機検修ライン用ターンテーブル装置。
【請求項2】
請求項1において、前記搬送用パレットの中心位置に設けられたパレット穴に前記ターンテーブルの中心位置において上方に伸びた挿入ピンが挿入されることを特徴とする電動機検修ライン用ターンテーブル装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記ターンテーブルはその円周面に所定の間隔でテーブル凹部を有する円盤状であり、前記凹部にバネの力で押し当てられるカムフォロアを前記昇降台側に設け、前記ターンテーブルを回転方向での所定位置に停止させることを特徴とする電動機検修ライン用ターンテーブル装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかにおいて、前記昇降台は四角形状を有し、前記上下移動スクリューは前記昇降台の各隅に各1本有し、1本の前記チェーンの回転によって前記上下移動スクリューが同時に上下移動できることを特徴とする電動機検修ライン用ターンテーブル装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−27753(P2006−27753A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−204858(P2004−204858)
【出願日】平成16年7月12日(2004.7.12)
【出願人】(000233044)株式会社日立エンジニアリングサービス (276)