説明

電動歯ブラシ

【課題】無理のない姿勢で歯を磨くことができ、かつ磨き残しを減らすことのできる電動歯ブラシを提供する。
【解決手段】歯磨き時に手に握られる胴体部11と、歯磨き時に口腔内に挿入され、その先端にブラシ21を有する口腔内挿入部であるブラシ部品20と、を備える電動歯ブラシ100において、ブラシ部品20は、先端から胴体部11側に向かうにつれてブラシ21の背面側に向かって傾斜するように構成され、かつその先端部は胴体部11における長手方向に垂直な断面形状の図心を結んでできる仮想線の延長線(一点鎖線T1)上付近に位置することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動歯ブラシに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電動により駆動される電動歯ブラシが知られている(特許文献1,2参照)。電動歯ブラシの場合、駆動源などの各種部品を内蔵することから、一般的に、普通の歯ブラシに比べて大型化する。すなわち、手で持つ部分が普通の歯ブラシに比べて長くなったり太くなったりするように構成される。そのため、普通の歯ブラシの場合に比べて、歯磨き時における手で握った部分から口の辺りまでの距離が長くなる。従って、電動歯ブラシを用いて歯を磨く場合には、普通の歯ブラシで歯を磨く場合と比べて、歯の全体を磨く間の腕の運動領域が広くなるのが一般的である。また、普通の歯ブラシの場合に比べて、歯磨き時において電動歯ブラシの胴体部をしっかりと握る必要がある。
【0003】
このように、電動歯ブラシは、普通の歯ブラシに比べて大型化するため、奥歯を磨く場合、特に奥歯の頬側の面を磨く場合に、肘を高く上げた状態でかつ胴体部をしっかり握った状態で歯を磨く必要が生じ、無理な姿勢になってしまう傾向がある。また、これに伴い、磨き残しが生じてしまい易いという問題もある。特に、ブラシを奥歯に当てた際に、ブラシ先端面と歯の並ぶ面が平行にならずにずれてしまい、ユーザは奥歯全体にブラシが適切に当っているような感覚がありながら、実際にはブラシが適切に当っていない箇所が生じて磨き残しが生じてしまうことがある。
【特許文献1】特開平10−192054号公報
【特許文献2】特表2007−503269号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、無理のない姿勢で歯を磨くことができ、かつ磨き残しを減らすことのできる電動歯ブラシを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
【0006】
すなわち、本発明の電動歯ブラシは、
歯磨き時に手に握られる胴体部と、
歯磨き時に口腔内に挿入され、その先端にブラシを有する口腔内挿入部と、を備える電動歯ブラシにおいて、
前記口腔内挿入部は、先端から胴体部側に向かうにつれてブラシの背面側に向かって傾斜するように構成され、かつその先端部は前記胴体部における長手方向に垂直な断面形状の図心を結んでできる仮想線の延長線上付近に位置することを特徴とする。
【0007】
本発明の電動歯ブラシによれば、歯磨き時に口腔内に挿入される口腔内挿入部が、先端から胴体部側に向かうにつれてブラシの背面側に向かって傾斜するように構成され、かつその先端部は前記胴体部における長手方向に垂直な断面形状の図心を結んでできる仮想線の延長線上付近に位置するように構成されている。そのため、胴体部と口腔内挿入部が真直ぐになるように構成された一般的な電動歯ブラシに比べて、特に磨き残しの生じ易い奥歯を磨く際の腕の運動領域が狭くなる。つまり、本発明の電動歯ブラシの場合には、奥歯を磨く際に、胴体部の移動領域は、口の正面前方の付近に集中する。そのため、肘を高く上げるなどの必要がなく、腕の運動領域が狭くて済む。従って、無理のない姿勢で歯磨き
を行うことができる。また、ブラシを奥歯に当てた際に、無理のない姿勢で、ブラシを奥歯全体に適切に当てることができる。これにより磨き残しを減らすことができる。
【0008】
前記胴体部の先端からブラシ側に向かうにつれてブラシの背面側に向かって傾斜するように構成され、かつ該胴体部と前記口腔内挿入部とを接続する接続部を備えるとよい。
【0009】
前記口腔内挿入部の内部に設けられる偏心軸と、
該偏心軸を回転させるモータと、
を備えるとよい。
【0010】
これにより、モータによって偏心軸を回転させることで、振動を発生させ、ブラシを振動させることができる。
【0011】
前記モータは、前記接続部の内部に設けられるとよい。
【0012】
これにより、モータの回転軸から偏心軸までの曲折(湾曲)した箇所を減らすことができ、駆動力の伝達効率の低下を抑制できる。
【0013】
前記モータの回転軸と前記偏心軸が、可撓性を有するロッドによって連結されているとよい。
【0014】
これにより、可撓性を有するロッドの長さを短くすることができ、駆動力の伝達効率を高めることができる。
【0015】
また、前記偏心軸自体が可撓性を有することも好適である。
【0016】
これにより、少ない部品点数で、駆動力を伝達させることができる。
【0017】
前記接続部におけるブラシ側の面の少なくとも一部を含む領域に、表示情報が変化する表示部が設けられているとよい。
【0018】
これにより、歯磨き中においても、表示部が視認可能となる。
【0019】
前記胴体部から接続部に亘る領域に、電動歯ブラシの動作を操作する複数のボタンを有する操作部が設けられており、
それぞれ異なる操作を行うボタンが前記胴体部と接続部に分かれて配置されているとよい。
【0020】
こうすることで、ユーザは操作するボタンを区別し易くなる。例えば、接続部側に電源を入れるためのボタンを配し、胴体部側に電源を切るためのボタンを配することで、電源をオン又はオフする際の操作をより簡単に行うことができる。
【0021】
なお、上記各構成は、可能な限り組み合わせて採用し得る。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、本発明によれば、歯を磨く際に、無理のない姿勢で歯を磨くことができ、かつ磨き残しを減らすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための最良の形態を、実施例に基づいて例
示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0024】
(実施例1)
図1〜図15を参照して、本発明の実施例1に係る電動歯ブラシについて説明する。
【0025】
<電動歯ブラシの外観構成>
図1〜図4を参照して、本発明の実施例1に係る電動歯ブラシの外観構成について説明する。図1は本発明の実施例1に係る電動歯ブラシの正面図である。図2は本発明の実施例1に係る電動歯ブラシの側面図である。図3は本発明の実施例1に係る電動歯ブラシの正面側から見た斜視図である。図4は本発明の実施例1に係る電動歯ブラシの背面側から見た斜視図である。
【0026】
本実施例に係る電動歯ブラシ100は、内部に駆動源を備えるケース10と、ケース10に対して着脱自在に設けられるブラシ部品20とを備えている。
【0027】
ブラシ部品20は歯磨き時に口腔内に挿入される部分であり、口腔内挿入部に相当する。また、ブラシ部品20の先端には、ブラシ21が設けられている。
【0028】
ケース10は、略円筒状の部分と、この略円筒状の先端部分16から折れ曲がって設けられた曲折部分とを備えている。そして、ケース10のうち略円筒状の部分は、歯磨き時に手で握られる部分である。以下、この略円筒状の歯磨き時に手で握られる部分を胴体部11と称する。また、ケース10のうち曲折部分は、胴体部11と口腔内挿入部であるブラシ部品20とを接続する部分である。以下、この曲折部分を接続部12と称する。
【0029】
この接続部12におけるブラシ21側の面の一部を含む領域に、表示部13が設けられている。この表示部13によって表示する情報は、充電中、歯磨き毎、あるいは歯磨き中に変化し得る情報である。表示する情報の例として、ブラシ21の駆動(本実施例の場合には、後述するように振動)態様が複数選択できるタイプの場合における選択モードや、電池残量や、歯磨き経過時間や、最適なブラシ角の実現状態を挙げることができる。
【0030】
また、本実施例においては、表示部13に隣接して、電源のオンオフを行うスイッチや各種モードの変更など、各種の設定を行うためのボタン群からなる操作部14が設けられている。本実施例においては、操作部14には、電源を入れるためのオンスイッチボタン14aと電源を切るためのオフスイッチボタン14bが設けられている。そして、オンスイッチボタン14aは、接続部12におけるブラシ21側の面に設けられている。また、オフスイッチボタン14bは、胴体部11におけるブラシ21側の面に設けられている。
【0031】
そして、本実施例に係る電動歯ブラシ100においては、上記の通り、胴体部11は略円筒状であり、胴体部11における長手方向に垂直な断面形状の図心を結んでできる仮想線は略直線となる。図2中、一点鎖線T1は、当該仮想線及びその延長線を含む線である。なお、接続部12も略円筒状であり、接続部12における長手方向に垂直な断面形状の図心を結んでできる仮想線も略直線となる。図2中、一点鎖線T3は、当該仮想線及びその延長線を含む線である。
【0032】
また、口腔内挿入部であるブラシ部品20のうちブラシ21を除く部分の形状は略円錐台である。この部分における長手方向に垂直な断面形状の図心を結んでできる仮想線も略直線となる。図2中、一点鎖線T2は、当該仮想線及びその延長線を含む線である。
【0033】
以上の一点鎖線T1,T2,T3の関係から分かるように、まず、ブラシ部品20は、先端から胴体部11側に向かうにつれてブラシ21の背面側に向かって傾斜するように構成されている。なお、本実施例においては、ブラシ部品20は、その後端が胴体部11よりも背面側に突出する位置まで伸びるように構成されている。また、ブラシ部品20の先端部は、胴体部11における長手方向に垂直な断面形状の図心を結んでできる仮想線の延長線(一点鎖線T1)上付近に位置する。
【0034】
また、接続部12は、胴体部11の先端からブラシ21側に向かうにつれてブラシ21の背面側に向かって傾斜するように構成される。
【0035】
<電動歯ブラシの内部構成>
図5を参照して、本発明の実施例1に係る電動歯ブラシの内部構成について説明する。図5は本発明の実施例1に係る電動歯ブラシの内部の主要構成を示す概略図(透視図)である。
【0036】
ケース10の内部には、電池(充電池)31と、駆動源となるモータ32と、各種電子部品や配線を具備する回路基板33,34が収納されている。ここで、電池31は胴体部11の内部に設けられ、モータ32は接続部12の内部に設けられている。
【0037】
また、ケース10の先端側には、一端側がケース10の内部で支持され、他端側がケース10の先端の開口部から突き出るように設けられたステム15が備えられている。上記のブラシ部品20は、このステム15を覆うように装着される。
【0038】
また、ケース10の先端側には、重心が軸心からずれた位置にある錘36を有する偏心軸35が設けられている。この偏心軸35は、ステム15の内部、つまり、口腔内挿入部であるブラシ部品20の内部に設けられる。また、偏心軸35に設けられた錘36は、ブラシ21の近傍に位置するように設けられている。
【0039】
そして、モータ32の回転軸と、この偏心軸35は、可撓性を有するロッド(以下、フレキシブルロッド37と称する)によって連結されている。なお、フレキシブルロッド37と偏心軸35は接続端子38によって接続されている。また、偏心軸35における錘36側の端部は、ステム15の先端に設けられた軸受によって支持されている。
【0040】
以上のように構成された電動歯ブラシ100の動作について説明する。操作部14に設けられたスイッチにより電源をオンにすると、モータ32の回転軸が回転し、この回転軸に固定されたフレキシブルロッド37を介して偏心軸35が回転する。上記の通り、偏心軸35には、その重心が軸心からずれた位置に設けられた錘36が設けられている。そのため、仮に、偏心軸35の先端を軸受によって支持させていない状態で偏心軸35を回転させると、偏心軸35は、偏心軸35自体が回転しながら、軸心の回りを旋回するように運動する。これにより、ステム15の先端の軸受によって偏心軸35を支持させた状態で偏心軸35を回転させると、偏心軸35の先端付近の外壁面が軸受の内壁面に対して短時間に多数回の衝突を繰り返すような動作を行わせることができる。
【0041】
このような動作を行わせることで、ステム15を振動させることができる。そして、このステム15を振動させることにより、その振動をステム15に固定されたブラシ部品20に伝えることができる。従って、ブラシ部品20の振動により、ブラシ21が振動するため、ブラシ21を歯に当てることで歯を磨くことができる。
【0042】
<本実施例の優れた点>
以上のように、本実施例に係る電動歯ブラシ100においては、歯磨き時に口腔内に挿
入される口腔内挿入部であるブラシ部品20が、先端から胴体部11側に向かうにつれてブラシ21の背面側に向かって傾斜するように構成され、かつその先端部は胴体部11における長手方向に垂直な断面形状の図心を結んでできる仮想線の延長線(一点鎖線T1)上付近に位置するように構成されている。
【0043】
従って、本実施例に係る電動歯ブラシ100によれば、胴体部と口腔内挿入部が真直ぐになるように構成された一般的な電動歯ブラシに比べて、無理のない姿勢で歯を磨くことができ、かつ磨き残しを減らすことができる。この点について、図6〜図15を参照して、更に詳しく説明する。
【0044】
図6及び図7はブラシ面を奥歯(図6は左奥歯、図7は右奥歯)に当てた際(適切に当てた際)における本発明の実施例1に係る電動歯ブラシと比較例に係る電動歯ブラシの位置を比較した図である。なお、比較例に係る電動歯ブラシ200は、胴体部と口腔内挿入部が真直ぐになるように構成された一般的な電動歯ブラシである。
【0045】
図6及び図7中、Hは歯の模型である。これら図6及び図7から分かるように、ブラシ面を奥歯に当てると、本実施例に係る電動歯ブラシ100の場合の方が、比較例に係る電動歯ブラシ200の場合に比べて、胴体部11は、内側(口の正面前方の付近)に位置する(図6中矢印A,図7中矢印B参照)。
【0046】
図8〜図11は本発明の実施例1に係る電動歯ブラシを用いて歯を磨いている様子を示す概略図である。なお、いずれの図も右手で電動歯ブラシ100を持って歯を磨いている様子を示している。そして、図8は左奥歯を磨いている際のユーザを斜め上方から見た図であり、図9は左奥歯を磨いている際のユーザを正面から見た図であり、図10は右奥歯を磨いている際のユーザを斜め上方から見た図であり、図11は右奥歯を磨いている際のユーザを正面から見た図である。
【0047】
これらの図から分かるように、本発明の実施例1に係る電動歯ブラシ100を用いて歯を磨く場合、特に、磨き残しの生じ易い奥歯を磨くときでも、肘を高く上げることなく、無理のない姿勢で歯を磨くことが可能となる(特に、図9及び図11中の矢印X参照)。
【0048】
これに対して、図12〜図15には比較例に係る電動歯ブラシ200を用いて歯を磨いている場合を示している。図12〜図15は比較例に係る電動歯ブラシを用いて歯を磨いている様子を示す概略図である。なお、いずれの図も右手で電動歯ブラシ200を持って歯を磨いている様子を示している。そして、図12は左奥歯を磨いている際のユーザを斜め上方から見た図であり、図13は左奥歯を磨いている際のユーザを正面から見た図であり、図14は右奥歯を磨いている際のユーザを斜め上方から見た図であり、図15は右奥歯を磨いている際のユーザを正面から見た図である。
【0049】
これらの図から分かるように、比較例に係る電動歯ブラシ200を用いて歯を磨く場合、特に、磨き残しの生じ易い奥歯を磨くとき、肘を高く上げた姿勢で歯を磨くことになる(特に図13及び図15の矢印Y参照)。従って、奥歯を磨く際に、無理な姿勢になってしまうことがある。
【0050】
そして、比較例に係る電動歯ブラシ200の場合、図6及び図7に示すような位置で電動歯ブラシ200を持った状態で歯を磨けば、ブラシは適切に奥歯に当るので問題はない。しかしながら、図6及び図7に示すような状態で電動歯ブラシ200を持つ場合、上記の通り、肘を高く上げて無理な姿勢になってしまう。そのため、実際には、図6及び図7に示す位置に電動歯ブラシ200が持たれていない状態で奥歯が磨かれる可能性が高い。すなわち、比較例に係る電動歯ブラシ200の場合でも、その胴体部を内側(口の正面前
方の付近)に位置するようにブラシを奥歯に押し当てることは可能である。この場合でも、ユーザは奥歯全体にブラシが適切に当っているような感覚が得られる。しかしながら、この場合には、ブラシ先端面と歯の並ぶ面がずれてしまう(平行ではなくなる)。従って、ブラシ先端が歯に全く当っていない箇所が生じたり、ブラシ先端が折れ曲がってブラシの途中(腹)の部分が歯に当ってしまったりしてしまう。これにより、磨き残しが生じてしまう。
【0051】
これに対して、本実施例に係る電動歯ブラシ100の場合には、無理のない、普通の姿勢でブラシ21を奥歯に当てると、ブラシ先端面と歯の並ぶ面が略平行になり、奥歯全体にブラシを適切に当てることができる。従って、磨き残しを減らすことができる。
【0052】
また、本実施例に係る電動歯ブラシ100においては、偏心軸35を利用してブラシ21を振動させるタイプのものでありながら、上記の通り、胴体部11と口腔内挿入部であるブラシ部品20が真直ぐになるように構成されていない。すなわち、本実施例に係る電動歯ブラシ100の場合には、胴体部11と接続部12との間、及び接続部12と口腔内挿入部であるブラシ部品20との間の2箇所で屈折する構成を採用している。このような構成を採用することは、駆動機構や駆動力の伝達効率の面においてはマイナス要因となる。
【0053】
しかしながら、本実施例1に係る電動歯ブラシ100においては、駆動源となるモータ32を、接続部12の内部に設ける構成を採用している。これにより、駆動源であるモータ32から偏心軸35に至るまでの間の屈折箇所を1箇所のみにすることができる。そして、この屈折箇所の辺りの短い区間のみ、フレキシブルロッド37が用いられている。
【0054】
以上のような構成により、モータ32の回転軸からブラシ21までの駆動力の伝達効率を、胴体部と口腔内挿入部が真直ぐになるように構成された一般的な電動歯ブラシに比べて低下してしまうことを抑制できる。
【0055】
また、駆動源となるモータ32が接続部12の内部に設けられるため、モータ32の振動が、手で握る胴体部11に伝わることを抑制できる。従って、歯磨きを行っている際の不快感を軽減できる。
【0056】
また、本実施例に係る電動歯ブラシ100においては、接続部12におけるブラシ21側の面の一部を含む領域に表示部13が設けられている。
【0057】
これにより、図6及び図7から分かるように、歯磨き中において、ユーザの顔に対して、向き合う位置に表示部13を位置させることができる。これにより、歯磨き中においても、表示部13が視認可能となる。
【0058】
更に、本実施例に係る電動歯ブラシ100においては、操作部14のうちオンスイッチボタン14aは接続部12に設けられ、オフスイッチボタン14bは胴体部11に設けられている。従って、ユーザはこれらのボタンを区別し易く、電源をオン又はオフする際の操作を簡単に行うことができる。
【0059】
(実施例2)
図16及び図17には、本発明の実施例2が示されている。本実施例2においては、胴体部と口腔内挿入部(ブラシ部品)とを接続する接続部が湾曲した構成で、偏心軸自体が可撓性を有する場合の構成を示す。その他の基本的な構成および作用については実施例1と同一なので、同一の構成部分については同一の符号を付して、その説明は適宜省略する。
【0060】
図16は本発明の実施例2に係る電動歯ブラシの側面図である。図17は本発明の実施例2に係る電動歯ブラシの内部の主要構成を示す概略図(透視図)である。
【0061】
本実施例に係る電動歯ブラシ100aにおいても、内部に駆動源を備えるケース10aと、ケース10aに対して着脱自在に設けられるブラシ部品20aとを備えている。
【0062】
ブラシ部品20aは歯磨き時に口腔内に挿入される部分であり、口腔内挿入部に相当する。また、ブラシ部品20aの先端には、ブラシ21aが設けられている。
【0063】
そして、本実施例におけるケース10aは、略円筒状の部分と、この略円筒状の先端部分16aから折れ曲がって設けられた湾曲部分とを備えている。そして、ケース10aのうち略円筒状の部分は、歯磨き時に手で握られる部分である。以下、この略円筒状の歯磨き時に手で握られる部分を胴体部11aと称する。また、ケース10aのうち湾曲部分は、胴体部11aと口腔内挿入部であるブラシ部品20aとを接続する部分である。以下、この湾曲部分を接続部12aと称する。この接続部12aにおけるブラシ21a側の面の一部を含む領域に、表示部13aが設けられている。また、本実施例においても、表示部13aに隣接して操作部17が設けられており、オンスイッチボタン17aは接続部12aに設けられ、オフスイッチボタン17bは胴体部11aに設けられている。
【0064】
そして、本実施例に係る電動歯ブラシ100aにおいても、上記の通り、胴体部11aは略円筒状であり、胴体部11aにおける長手方向に垂直な断面形状の図心を結んでできる仮想線は略直線となる。図16中、一点鎖線T1は、当該仮想線及びその延長線を含む線である。また、口腔内挿入部であるブラシ部品20aのうちブラシ21aを除く部分の形状は略円錐台である。この部分における長手方向に垂直な断面形状の図心を結んでできる仮想線も略直線となる。図16中、一点鎖線T2は、当該仮想線及びその延長線を含む線である。
【0065】
以上の一点鎖線T1,T2の関係から分かるように、まず、ブラシ部品20aは、先端から胴体部11a側に向かうにつれてブラシ21aの背面側に向かって傾斜するように構成されている。なお、本実施例においても、ブラシ部品20aは、その後端が胴体部11aよりも背面側に突出する位置まで伸びるように構成されている。また、ブラシ部品20aの先端部は、胴体部11aにおける長手方向に垂直な断面形状の図心を結んでできる仮想線の延長線(一点鎖線T1)上付近に位置する。
【0066】
また、本実施例においても、直線的か曲線的かで実施例1との違いはあるものの、接続部12aは、胴体部11aの先端からブラシ21a側に向かうにつれてブラシ21の背面側に向かって傾斜するように構成される。
【0067】
また、本実施例においても、ケース10aの先端側には、ブラシ部品20の内部に、重心が軸心からずれた位置にある錘36aを有する偏心軸35aが設けられている。
【0068】
そして、本実施例においては、偏心軸35a自体が可撓性を有している(つまりフレキシブルロッドによって構成されている)。また、モータ32の回転軸と、偏心軸35aが直接連結されている。
【0069】
以上の構成により、本実施例に係る電動歯ブラシ100aの場合にも、上記実施例1に係る電動歯ブラシ100の場合と同様の効果がある。ただし、本実施例に係る電動歯ブラシ100aの場合には、偏心軸35a自体が可撓性を有しており、フレキシブルロッドが設けられている区間が実施例1の場合に比べて長くなっている。そのため、駆動力の伝達
効率については、実施例1の場合に比べて劣ってしまう。しかしながら、偏心軸35a自体をフレキシブルロッドにより構成したことで、実施例1の場合に比べて部品点数を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】図1は本発明の実施例1に係る電動歯ブラシの正面図である。
【図2】図2は本発明の実施例1に係る電動歯ブラシの側面図である。
【図3】図3は本発明の実施例1に係る電動歯ブラシの正面側から見た斜視図である。
【図4】図4は本発明の実施例1に係る電動歯ブラシの背面側から見た斜視図である。
【図5】図5は本発明の実施例1に係る電動歯ブラシの内部の主要構成を示す概略図(透視図)である。
【図6】図6はブラシ面を左奥歯に当てた際(適切に当てた際)における本発明の実施例1に係る電動歯ブラシと比較例に係る電動歯ブラシの位置を比較した図である。
【図7】図7はブラシ面を右奥歯に当てた際(適切に当てた際)における本発明の実施例1に係る電動歯ブラシと比較例に係る電動歯ブラシの位置を比較した図である。
【図8】図8は本発明の実施例1に係る電動歯ブラシを用いて歯を磨いている様子を示す概略図である。
【図9】図9は本発明の実施例1に係る電動歯ブラシを用いて歯を磨いている様子を示す概略図である。
【図10】図10は本発明の実施例1に係る電動歯ブラシを用いて歯を磨いている様子を示す概略図である。
【図11】図11は本発明の実施例1に係る電動歯ブラシを用いて歯を磨いている様子を示す概略図である。
【図12】図12は比較例に係る電動歯ブラシを用いて歯を磨いている様子を示す概略図である。
【図13】図13は比較例に係る電動歯ブラシを用いて歯を磨いている様子を示す概略図である。
【図14】図14は比較例に係る電動歯ブラシを用いて歯を磨いている様子を示す概略図である。
【図15】図15は比較例に係る電動歯ブラシを用いて歯を磨いている様子を示す概略図である。
【図16】図16は本発明の実施例2に係る電動歯ブラシの側面図である。
【図17】図17は本発明の実施例2に係る電動歯ブラシの内部の主要構成を示す概略図(透視図)である。
【符号の説明】
【0071】
10,10a ケース
11,11a 胴体部
12,12a 接続部
13,13a 表示部
14 操作部
14a オンスイッチボタン
14b オフスイッチボタン
15 ステム
16,16a 先端部分
17 操作部
17a オンスイッチボタン
17b オフスイッチボタン
20,20a ブラシ部品
21,21a ブラシ
31 電池
32 モータ
33,34 回路基板
35,35a 偏心軸
36,36a 錘
37 フレキシブルロッド
38 接続端子
100,100a 電動歯ブラシ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯磨き時に手に握られる胴体部と、
歯磨き時に口腔内に挿入され、その先端にブラシを有する口腔内挿入部と、を備える電動歯ブラシにおいて、
前記口腔内挿入部は、先端から胴体部側に向かうにつれてブラシの背面側に向かって傾斜するように構成され、かつその先端部は前記胴体部における長手方向に垂直な断面形状の図心を結んでできる仮想線の延長線上付近に位置することを特徴とする電動歯ブラシ。
【請求項2】
前記胴体部の先端からブラシ側に向かうにつれてブラシの背面側に向かって傾斜するように構成され、かつ該胴体部と前記口腔内挿入部とを接続する接続部を備えることを特徴とする請求項1に記載の電動歯ブラシ。
【請求項3】
前記口腔内挿入部の内部に設けられる偏心軸と、
該偏心軸を回転させるモータと、
を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の電動歯ブラシ。
【請求項4】
前記モータは、前記接続部の内部に設けられることを特徴とする請求項3に記載の電動歯ブラシ。
【請求項5】
前記モータの回転軸と前記偏心軸が、可撓性を有するロッドによって連結されていることを特徴とする請求項4に記載の電動歯ブラシ。
【請求項6】
前記偏心軸自体が可撓性を有することを特徴とする請求項4に記載の電動歯ブラシ。
【請求項7】
前記接続部におけるブラシ側の面の少なくとも一部を含む領域に、表示情報が変化する表示部が設けられていることを特徴とする請求項2〜6のいずれか一つに記載の電動歯ブラシ。
【請求項8】
前記胴体部から接続部に亘る領域に、電動歯ブラシの動作を操作する複数のボタンを有する操作部が設けられており、
それぞれ異なる操作を行うボタンが前記胴体部と接続部に分かれて配置されていることを特徴とする請求項2〜7のいずれか一つに記載の電動歯ブラシ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公開番号】特開2009−268828(P2009−268828A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−123929(P2008−123929)
【出願日】平成20年5月9日(2008.5.9)
【出願人】(503246015)オムロンヘルスケア株式会社 (584)
【Fターム(参考)】