説明

電動歯ブラシ

【課題】電動歯ブラシの歯垢除去力および施療感のさらなる向上を図るための技術を提供する。
【解決手段】電動歯ブラシは、駆動源と、ブラシを有する振動部材と、前記駆動源の出力を前記振動部材の振動に変換する伝達機構と、前記駆動源の出力を制御する制御手段と、を備える。前記振動部材は、前記ブラシが第1の方向に共振する第1共振点と、前記ブラシが第2の方向に共振する第2共振点と、を有しており、前記制御手段は、前記第1の方向の共振が生じるように前記駆動源の出力を制御する第1の動作モードと、前記第2の方向の共振が生じるように前記駆動源の出力を制御する第2の動作モードと、を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動歯ブラシに関する。
【背景技術】
【0002】
高速に振動するブラシを歯面にあてることによって歯磨き(歯垢除去)を行うタイプの電動歯ブラシが知られている。このタイプの電動歯ブラシでは、歯垢除去力の向上や施療感の向上をねらって様々な駆動機構や駆動方法が提案されている。
【0003】
特許文献1には、磁気駆動方式の電動歯ブラシにおいて、ブラシが設けられたレバーアームを共振振動数にほぼ等しい振動数で左右に振動させる構成が開示されている。特許文献2には、歯ブラシの共振振動数から0〜5Hz程度ずれた振動数を中心として駆動振動数を変化させることで、5〜30%の範囲でブラシヘッドの振幅を周期的に変化させる構成が開示されている。また特許文献3には、歯磨き圧の検知結果に基づいてモータの回転数を変えることでブラシの振動数を制御する構成が開示されている。
【特許文献1】特表平6−510675号公報
【特許文献2】特表2007−514397号公報
【特許文献3】特開平7−116027号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、電動歯ブラシの歯垢除去力および施療感のさらなる向上を図るための技術を提供することである。
【0005】
また本発明のさらなる目的は、構成の複雑化、コスト増、消費電力の増大を招くことなく、電動歯ブラシの歯垢除去力および施療感のさらなる向上を図るための技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明は、以下の構成を採用する。
【0007】
本発明に係る電動歯ブラシは、駆動源と、ブラシを有する振動部材と、前記駆動源の出力を前記振動部材の振動に変換する運動伝達機構と、前記駆動源の出力を制御する制御手段と、を備える。前記振動部材は、前記ブラシが第1の方向に共振する第1共振点と、前記ブラシが第2の方向に共振する第2共振点と、を有しており、前記制御手段は、前記第1の方向の共振が生じるように前記駆動源の出力を制御する第1の動作モードと、前記第2の方向の共振が生じるように前記駆動源の出力を制御する第2の動作モードと、を有している。
【0008】
第1の動作モードでは、制御手段は、前記振動部材の振動数が前記第1共振点またはその近傍になるように前記駆動源の出力を制御する。同様に、第2の動作モードでは、制御手段は、前記振動部材の振動数が前記第2共振点またはその近傍になるように前記駆動源の出力を制御する。
【0009】
上記第1、第2の動作モードのように共振を利用する動作モード(以下、「共振動作モード」という。)では、共振を利用しない動作モード(以下、「通常動作モード」という。)よりも、ブラシの振幅が大きくなるため、歯垢除去力および施療感の向上を図ることができる。しかも共振方向の異なる複数の共振動作モードを利用できるため、たとえば施
療部位に応じて刷掃方法(刷掃方向)を切り替えるなどすれば、より高い歯垢除去効果が得られる。
【0010】
また、本発明では複数の共振動作モードを駆動源の出力制御だけで実現しているので、駆動系や伝達系に特殊な機構や部品が必要ない。よって、電動歯ブラシの構成の複雑化やコスト増を招くことがない。さらに、共振現象を利用しているので、通常動作モードと同等の消費電力で振幅の増大(歯垢除去力の向上)を図ることができ、効率的である。
【0011】
ここで、前記制御手段は、前記第1の動作モードと前記第2の動作モードとを繰り返してもよい。刷掃方向が自動的に切り替わるので、単一方向の刷掃に比べて優れた歯垢除去効果を実現できる。
【0012】
前記第1の方向は、ブラシ面に対して平行な方向であり、前記第2の方向は、前記ブラシ面に対して垂直な方向であることが好ましい。ここで「ブラシ面」とは、ブラシの繊維と直交し、かつ、繊維の先端部分に位置する仮想的な面をいう。第1の方向の共振では、ブラシの毛先が施療部に対し平行な方向に小刻みに動くので、歯周ポケットの刷掃に高い効果が得られ、第2の方向の共振では、ブラシの毛先が施療部に対し垂直な方向に小刻みに動くので、歯間部や歯周ポケットや歯面の刷掃に高い効果が得られると期待できる。
【0013】
前記第1共振点は、前記運動伝達機構に依存する特性であり、前記第2共振点は、前記ブラシに依存する特性であることが好ましい。
【0014】
前記制御手段が、前記ブラシに作用する負荷を検知し、検知された負荷に応じて前記駆動源の出力を調整することが好ましい。ブラシに作用する負荷に依存して、振動部材の振動特性が変動するからである。
【0015】
前記運動伝達機構が前記振動部材に内包されており、前記振動部材が弾性部材を介して電動歯ブラシ本体に取り付けられていることが好ましい。この構成によると、運動伝達機構が振動部材に内包されていることからブラシ近傍が効率的に振動する一方で、弾性部材の介在によって振動部材の振動が電動歯ブラシ本体に伝わりにくくなるので使用感の向上を図ることができる。
【0016】
前記駆動源がモータであり、前記運動伝達機構が前記モータの回転軸に連結された偏心軸であり、前記振動部材が、前記偏心軸の軸受を有するステムを備えることが好ましい。このような駆動原理の電動歯ブラシでは、振動部材(ブラシ)が回転軸に垂直な面内を2次元的に振動する。そして、その振動面内の略直交する2方向においてそれぞれ共振が現れる。この2方向を上記第1、第2の方向として利用できる。
【0017】
なお、上記手段および処理の各々は可能な限り互いに組み合わせて本発明を構成することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、電動歯ブラシの歯垢除去力および施療感のさらなる向上を図ることができる。また、本発明は、構成の複雑化、コスト増、消費電力の増大を招かない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。
【0020】
(第1実施形態)
<電動歯ブラシの構成>
図1、図2、図3を参照して、電動歯ブラシの構成を説明する。図1は電動歯ブラシの外観を示す斜視図であり、図2は電動歯ブラシの内部構成を示す断面図であり、図3はブロック図である。
【0021】
電動歯ブラシは、駆動源であるモータ10を内蔵する電動歯ブラシ本体1(以下、単に「本体1」という。)と、ブラシ210を有する振動部材2とを備えている。本体1は、概ね円筒形状を呈しており、歯を磨く際に使用者が手で握るためのハンドル部を兼ねている。
【0022】
本体1には、電源のオン/オフおよび動作モードの切り替えを行うためのスイッチSが設けられている。また本体1の内部には、駆動源であるモータ10、モータ10の回転数を制御するための駆動回路12、2.4V電源である充電池13、充電用のコイル14などが設けられている。充電池13を充電する際には、充電器(不図示)に本体1を載置するだけで、電磁誘導により非接触で充電可能である。駆動回路12は、図3に示すように、CPU(中央演算処理装置)120、プログラムや各種設定値を記憶するメモリ121、タイマ122などを有している。
【0023】
振動部材2は、本体1側に固定されているステム部20と、このステム部20に装着されるブラシ部品21とを備える。ブラシ部品21の先端にはブラシ210が植毛されている。ブラシ部品21は消耗部品ゆえ、新品に交換できるよう、ステム部20に対して着脱自在な構成となっている。
【0024】
ステム部20は、樹脂材からなるステム200およびホルダ201と、エラストマからなる弾性部材202とから構成される。この弾性部材202は、インサート成形によりステム200およびホルダ201に一体成形されることが好ましい。弾性部材202は、ステム200とホルダ201の間に介在しており、ホルダ201に設けられた複数の貫通孔からそれぞれ突出する複数(たとえば3個)の突起部202Aを備えている。ステム部20は、本体1の外ケースに対して、弾性部材202の3個の突起部202Aによる3点接触により位置決めされる。このように、本実施形態の振動部材2は、弾性部材202を介して本体1に取り付けられている。
【0025】
ステム200は、先端(ブラシ側の端部)が閉じた筒状の部材であり、筒の内部の先端に軸受203を有している。モータ10の回転軸11に連結された偏心軸30の先端が、ステム200の軸受203に挿入される。この偏心軸30は、軸受203の近傍に重り300を有しており、偏心軸30の重心はその回転中心からずれている。なお、偏心軸30の先端と軸受203の間には微小なクリアランスが設けられている。
【0026】
<電動歯ブラシの基本動作>
電動歯ブラシの基本動作について説明する。
【0027】
電源オンの状態になると、CPU120がパルス幅変調信号(PWM信号)をモータ10に供給し、モータ10の回転軸11を回転させる。回転軸11の回転に伴って偏心軸30も回転するが、偏心軸30は重心がずれているために回転中心の回りに旋回するような運動を行う。よって、偏心軸30の先端が軸受203の内壁に対して衝突を繰り返し、ステム200とそれに装着されたブラシ部品21とを高速に振動させることとなる。つまり、偏心軸30は、モータ10の出力(回転)を振動部材2の振動に変換する運動伝達機構(運動変換機構)の役割を担っている。本体1を手で持ち、高速に振動するブラシ210を歯に当てることで、歯垢を除去することができる。なお、CPU120はタイマ122を用いて継続動作時間を監視しており、所定時間(たとえば2分間)が経過したら自動的にブラシの振動を停止させる。
【0028】
本実施形態の電動歯ブラシでは、運動伝達機構である偏心軸30が振動部材2に内包され、特に重り300がブラシ210の近傍に配置されている。よって、ブラシ210の部分を効率的に振動させることができる。その一方で、振動部材2(ステム部20)が弾性部材202を介して本体1に取り付けられているので、振動部材2の振動が本体1に伝わり難くなっている。よって、歯を磨く際の本体1および手の振動を低減でき、使用感の向上を図ることができる。
【0029】
<振動特性の説明>
本実施形態の電動歯ブラシでは、上述のように、偏心軸30の旋回運動を利用してブラシ210の振動を発生させている。このような駆動原理の場合、ブラシ210はモータの回転軸に垂直な面内を2次元的に振動し得る。図4は、ブラシの振動の軌道を模式的に示している(X軸:モータ回転軸、Y軸:回転軸に対して垂直で且つブラシ面に対して平行な方向、Z軸:ブラシ面に対して垂直な方向)。図示の例ではブラシ210がYZ平面を楕円状の軌道40で振動している。ブラシ面とは、ブラシの繊維と直交し、かつ、繊維の先端部分に位置する仮想的な面のことをいう。
【0030】
本発明者らは、振動数(モータ回転数)を変化させながらブラシの振動を観察し分析することによって、この電動歯ブラシが図5に示すような振動特性を有することを見出した。なお、図5は、ブラシに対してZ軸方向に100gの負荷を与えた状態における、振動数と振幅の関係を示している。横軸は振動数[Hz]であり、縦軸は振幅[mm]であり、実線のグラフはY軸方向(横方向)の振幅を表し、破線のグラフはZ軸方向(縦方向)の振幅を表している。
【0031】
図5のグラフから分かるように、本実施形態の電動歯ブラシは少なくとも2つの共振点(共振振動数)を有しており、各共振点における共振方向は異なっている。具体的には、振動数が低い側の共振点(第1共振点:約100Hz)ではブラシ面に平行な共振方向であるY軸方向の共振が発生し、振動数が高い側の共振点(第2共振点:約200Hz)ではブラシ面に垂直な共振方向であるZ軸方向の共振が発生する。
【0032】
方向の異なる複数の共振が出現する理由は、電動歯ブラシの構造やその駆動原理に依るところが大きいと考えられる。本発明者らは、偏心軸やブラシの構成を変更しながら実験を繰り返すことで、第1共振点が主に運動伝達機構に依存する特性であり、第2共振点が主にブラシに依存する特性であるとの知見を得ている。言い換えれば、運動伝達機構の構造や形状(簡単には偏心軸の重りの位置、大きさ、重量など)を変更することで第1共振点の振動数や振幅を調整でき、また、ブラシの構造や形状を変更することで第2共振点の振動数や振幅を調整できることが分かった。
【0033】
<動作モードの説明>
本実施形態の電動歯ブラシは駆動振動数の異なる複数の動作モードを有している。電源オフの状態からスイッチSを押すたびに動作モードが順番に切り替わり、一巡するとオフ状態に戻る。図3に示すようにメモリ121には各動作モードに対応した設定値が予め格納されている。この設定値は各動作モードの駆動振動数に対応するパラメータであり、その具体的な数値は図5のような実験結果に基づき決定される。
【0034】
動作モードが切り替えられると、CPU120はメモリ121から該当する設定値を読み込み、その値に従ってPWM信号のデューティ比を決定する。デューティ比が大きくなるとモータ10の回転数が高くなり、結果的にブラシ210の振動数も高くなる。このように、本実施形態では、駆動回路12が、モータ10の出力(回転数)およびブラシ210の振動数を制御する制御手段の役割を担っている。
【0035】
では、図5および図6A〜図6Cを参照しながら、各動作モードの特徴を説明する。図6A〜図6Cは各動作モードにおけるPWM信号の波形の一例を示している。
【0036】
(1)第1共振動作モード
第1共振動作モードは、第1共振点を利用する動作モードである。駆動振動数は第1共振点(約100Hz)またはその近傍に設定される。図6Aは第1共振動作モードのPWM信号(デューティ比:約50%)を示している。第1共振動作モードでは、通常動作モードよりもブラシ210のY軸方向(横方向)の振幅が増大し、歯垢除去力および施療感を高めることができる。特に、第1共振動作モードでは、ブラシ210の毛先が施療部に対し平行な方向に小刻みに動くので、歯周ポケットの刷掃に高い効果が得られるものと思われる。
【0037】
(2)第2共振動作モード
第2共振動作モードは、第2共振点を利用する動作モードである。駆動振動数は第2共振点(約200Hz)またはその近傍に設定される。図6Bは第2共振動作モードのPWM信号(デューティ比:約80%)を示している。第2共振動作モードでは、通常動作モードよりもブラシ210のZ軸方向(縦方向)の振幅が増大し、歯垢除去力および施療感を高めることができる。特に、第2共振動作モードでは、ブラシ210の毛先が施療部に対し垂直な方向に小刻みに動くので、歯間部や歯周ポケットや歯面の刷掃に高い効果が得られるものと思われる。
【0038】
(3)通常動作モード
通常動作モードは、共振を利用しない動作モードである。駆動振動数は第1共振点と第2共振点の間(たとえば150Hz)に設定される。なお、120Hz、140Hz、160Hz、180Hzのように多段階の通常動作モードを設け、スイッチSで切り替えられるようにしてもよい。また、第1共振点よりも低い振動数や第2共振点よりも高い振動数の通常動作モードを設けることも好ましい。
【0039】
(4)共振切替動作モード
共振切替動作モードは、第1共振動作モードと第2共振動作モードとを交互に繰り返す動作モードである。具体的には、図6Cに示すように、一定の時間間隔(たとえば約0.2秒間隔)で2つの動作モードを切り替える。このように刷掃方向を自動的に切り替えることで、ブラシの毛先が施療部に対して様々な角度から当たるため、単一方向の刷掃に比べてより優れた歯垢除去効果を実現できる。
【0040】
以上述べたように本実施形態によれば、歯垢除去力および施療感の向上を図ることができる。しかも共振方向の異なる複数の共振動作モードを利用できるため、たとえば施療部位に応じて刷掃方法(刷掃方向)を切り替えるなどすれば、より高い歯垢除去効果が得られる。また、複数の共振動作モードをモータの回転数制御だけで実現しているので、駆動系や伝達系に特殊な機構や部品が必要ない。よって、電動歯ブラシの構成の複雑化やコスト増を招くことがない。さらに、共振現象を利用しているので、通常動作モードと同等の消費電力で振幅の増大(歯垢除去力の向上)を図ることができ、効率的である。
【0041】
(第2実施形態)
上記第1実施形態では、各動作モードで単一の設定値を用いている。しかし、図7に示すように、ブラシに作用する負荷が変わると、ブラシの振動特性が変動し、共振点の位置が変わってしまう。図7は負荷250gの場合の振動特性を示しているが、第1共振点は110Hzあたりに、第2共振点は250Hzあたりに現れており、負荷100gの場合(図5)に比べて、いずれの共振点も大きくなっていることが分かる。そこで、第2実施
形態では、ブラシに作用する負荷を検知し、負荷の大きさに応じてモータの回転数を調整する。
【0042】
図8は、第2実施形態の電動歯ブラシのブロック図である。第1実施形態と異なる点は、電流検知回路123が設けられていることと、メモリ121の中に負荷の大きさに対応して複数の設定値が格納されていることである。
【0043】
電流検知回路123は、モータ10の電流値を検知する回路である。ブラシを歯面に強く押し当てるほどブラシに作用する負荷が大きくなる。そしてブラシに作用する負荷が増大すると、モータ10の負荷も増大し、モータ10に流れる電流値が増大する。よって、CPU120は、電流検知回路123の検知結果に基づいてブラシ210に作用する負荷の大きさを推定することができる。
【0044】
メモリ121には、動作モード別に、負荷70g〜250gの範囲に対応する設定値が格納されている。本実施形態では、負荷70g、100g、・・・、250gのように予め決められた負荷の値(代表値)に対応する設定値が用意されている。CPU120は、ブラシに作用している負荷の値に基づいて、これらの設定値の中から最適なものを選択するか、あるいは、これらの設定値を補間することにより適切な値を算出する。なお、設定値を負荷の大きさの関数で表現できる場合には、その関数を表すパラメータをメモリに格納することも好ましい。
【0045】
このような構成により、ブラシに作用する負荷の大きさに応じてモータの回転数を適宜調整することで、負荷に依存する共振点のズレをカバーし、共振現象を正確に再現できるようになる。
【0046】
(変形例)
上述した実施形態の構成は本発明の一具体例を例示したものにすぎない。本発明の範囲は上記実施形態に限られるものではなく、その技術思想の範囲内で種々の変形が可能である。
【0047】
たとえば、上記実施形態では第1共振点と第2共振点の2つの共振点のみを利用しているが、3つまたはそれ以上の共振点を利用してもよい。すなわち、振動部材が共振点を複数有しており、制御手段が共振動作モードを複数有していれば、本発明の技術思想に含まれる。
【0048】
また、上記実施形態の共振切替動作モードでは、第1共振動作モードと第2共振動作モードを交互に切り替えたが、切替態様はこれに限らない。たとえば、2つの共振動作モードの間に通常動作モードを挟んだ切替態様や、それら複数の動作モードをランダムに切り替える切替態様も好ましい。また切替間隔も適宜変更してかまわない。また、切替態様や切替間隔の異なる複数種類の共振切替動作モードが設けられていることも好ましい。また、第1共振動作モードや第2共振動作モードのような1つの共振点のみを利用する動作モードを無くして、共振切替モードのように複数の共振点を利用する動作モードだけにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】図1は、電動歯ブラシの外観を示す斜視図である。
【図2】図2は、電動歯ブラシの内部構成を示す断面図である。
【図3】図3は、第1実施形態のブロック図である。
【図4】図4は、ブラシの振動を模式的に示す図である。
【図5】図5は、負荷100gの場合の共振点を示すグラフである。
【図6】図6A〜図6Cは、各動作モードでのPWM信号の波形を示す図である。
【図7】図7は、負荷250gの場合の共振点を示すグラフである。
【図8】図8は、第2実施形態のブロック図である。
【符号の説明】
【0050】
1 電動歯ブラシ本体
10 モータ
11 回転軸
12 駆動回路
121 メモリ
122 タイマ
123 電流検知回路
13 充電池
14 コイル
2 振動部材
20 ステム部
200 ステム
201 ホルダ
202 弾性部材
202A 突起部
203 軸受
21 ブラシ部品
210 ブラシ
30 偏心軸
300 重り
40 軌道
S スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源と、
ブラシを有する振動部材と、
前記駆動源の出力を前記振動部材の振動に変換する運動伝達機構と、
前記駆動源の出力を制御する制御手段と、を備え、
前記振動部材は、前記ブラシが第1の方向に共振する第1共振点と、前記ブラシが第2の方向に共振する第2共振点と、を有しており、
前記制御手段は、前記第1の方向の共振が生じるように前記駆動源の出力を制御する第1の動作モードと、前記第2の方向の共振が生じるように前記駆動源の出力を制御する第2の動作モードと、を有している
電動歯ブラシ。
【請求項2】
前記制御手段は、前記第1の動作モードと前記第2の動作モードとを繰り返す
請求項1に記載の電動歯ブラシ。
【請求項3】
前記第1の方向は、ブラシ面に対して平行な方向であり、
前記第2の方向は、前記ブラシ面に対して垂直な方向である
請求項1または2に記載の電動歯ブラシ。
【請求項4】
前記第1共振点は、前記運動伝達機構に依存する特性であり、
前記第2共振点は、前記ブラシに依存する特性である
請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の電動歯ブラシ。
【請求項5】
前記制御手段が、前記ブラシに作用する負荷を検知し、検知された負荷に応じて前記駆動源の出力を調整する
請求項1〜4のうちいずれか1項に記載の電動歯ブラシ。
【請求項6】
前記運動伝達機構が前記振動部材に内包されており、
前記振動部材が弾性部材を介して電動歯ブラシ本体に取り付けられている
請求項1〜5のうちいずれか1項に記載の電動歯ブラシ。
【請求項7】
前記駆動源がモータであり、
前記運動伝達機構が前記モータの回転軸に連結された偏心軸であり、
前記振動部材が、前記偏心軸の軸受を有するステムを備える
請求項1〜6のうちいずれか1項に記載の電動歯ブラシ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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