説明

電動歯ブラシ

【課題】歯の擦掃性能に優れ、磨き勝手のよい電動歯ブラシを提供する。
【解決手段】この電動歯ブラシ1は、振動源としてのモータを収容する本体ケース2と、この本体ケース2の先端部に取り付けられてブラシ毛52が植設される歯ブラシ5と、本体ケース2の先端部とは反対側の端部である基端部に取り付けられる把持部ケース4とを含む。本体ケース2の前側の前壁部において把持部ケース4と直接的に対向する部分の長さを長さPとし、本体ケース2の後側の後壁部において把持部ケース4と直接的に対向する部分の長さを長さQとしたとき、長さQが長さPよりも小さい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動歯ブラシに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、歯ブラシにおいて、モータにて偏心分銅を回転させることによって同モータを振動させその振動を歯ブラシの歯ブラシ毛に伝えて手磨きに対して歯垢除去性能を向上させた電動歯ブラシが種々提案されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
また、近年、口腔衛生に対する意識が高まり、お昼磨きといった勤め先での歯磨きや、旅行先での歯磨きが行われるようになっている。これにともない、家庭内だけでなく、勤め先や、旅行先等で歯を磨く場合にも、歯垢除去性能に優れた電動歯ブラシの使用が多くなってきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−168554号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、電動歯ブラシは、偏心分銅付きのモータからなる振動発生装置や、その振動発生装置を駆動させるための電池等を装備しなければならず、その分サイズが大きくなり、バック、ポーチ、ポケットに入れて持ち運ぶには嵩張り不便であった。
【0006】
そのため、電動歯ブラシは、歯の擦掃性能を落とすことなく小型で携帯性に優れた電動歯ブラシが求められている。
しかしながら、携帯性を追求し電動歯ブラシをより小型化にすると、小さくなった把持部にモータの振動がより強く伝わり、持つ手に強い振動を感じ磨き勝手が悪かった。そこで、モータの振動を小さくすることも考えられるが、歯の擦掃性能が落ちるためモータの振動を落としたくない。
【0007】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、その目的は、歯の擦掃性能に優れ、磨き勝手のよい電動歯ブラシを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記目的を達成するための手段について記載する。
・本発明の電動歯ブラシは、振動源としてのモータを収容する本体ケースと、この本体ケースの先端部に取り付けられてブラシ毛が植設される歯ブラシと、前記本体ケースの先端部とは反対側の端部である基端部に取り付けられる把持部ケースとを含む電動歯ブラシにおいて、前記モータの回転軸および前記ブラシ毛を含みかつ前記モータの回転軸と平行な断面を側断面とし、前記側断面において前記把持部ケースの中心軸に対して前記ブラシ毛の先端部が含まれる側を前側とし、前記側断面において前記把持部ケースの中心軸に対して前記前側とは反対側を後側とし、前記側断面において前記本体ケースの前側の壁部を前壁部とし、前記側断面において前記本体ケースの後側の壁部を後壁部とし、前記前壁部において前記把持部ケースと直接的に対向する部分の長さを長さPとし、前記後壁部において前記把持部ケースと直接的に対向する部分の長さを長さQとしたとき、前記長さQが前記長さPよりも小さいことを特徴とする。
【0009】
・この電動歯ブラシにおいては、前記把持部ケースの中心軸よりも後側に前記モータの回転軸が設けられることが好ましい。
・この電動歯ブラシにおいては、前記側断面において前記歯ブラシの前側の外面を前面とし、前記側断面において前記歯ブラシの後側の外面を後面とし、前記歯ブラシの端部のうちの前記ブラシ毛側の端部を先端部とし、前記歯ブラシの端部のうちの前記本体ケース側の端部を基端部とし、前記歯ブラシにおいて前記基端部から前記先端部までにわたる前記歯ブラシの前面の長さを長さVとし、前記歯ブラシにおいて前記基端部から前記先端部までにわたる前記歯ブラシの後面の長さを長さWとしたとき、前記長さWが前記長さVよりも小さいことが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、歯の擦掃性能に優れ、磨き勝手のよい電動歯ブラシにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1実施形態の電動歯ブラシを説明するための電動歯ブラシの側面図。
【図2】同じく歯ブラシを着脱した状態を示す電動歯ブラシの側面図。
【図3】同じくキャップを装着した状態を示す電動歯ブラシの側面図。
【図4】同じくキャップを装着した状態を示す電動歯ブラシの正面図。
【図5】同じく電動歯ブラシの側断面図。
【図6】同じく電動歯ブラシの一部拡大側断面図。
【図7】電動歯ブラシの別例を説明するための電動歯ブラシの側断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を具体化した第1実施形態を図面に従って説明する。
電動歯ブラシ1は、図1に示すように、本体ケース2と、本体ケース2の基端側に外嵌される把持部ケース4と、本体ケース2の先端側に外嵌される歯ブラシ5、図3に示すように、歯ブラシ5を装着した本体ケース2に外嵌されるキャップ6を有している。
【0013】
本体ケース2は、図5、図6に示すように、アウターケース10とインナーケース20を有している。アウターケース10は、インナーケース20を収容し、インナーケース20は、歯ブラシ5に振動を付与するための電気部品が収容されるようになっている。
【0014】
図5および図6に基づいて、電動歯ブラシ1に関する用語を以下のように定義する。
(A)モータMの回転軸および歯ブラシ5のブラシ毛52を含みかつモータMの回転軸と平行な断面を側断面とする。
(B)側断面において把持部ケース4の中心軸に対して歯ブラシ5のブラシ毛52の先端部が含まれる側を前側とする。また、側断面において把持部ケース4の中心軸に対して前側とは反対側を後側とする。
(C)把持部ケース4の中心軸に沿う方向においてアウターケース10のうちの歯ブラシ5と把持部ケース4との間に位置する部位をケース中間部とする。また、側断面においてケース中間部およびブラシ取付軸筒11のそれぞれの前側の壁部を前壁部とする。また、側断面においてアウターケース10およびインナーケース20および歯ブラシ5のそれぞれの後側の壁部を後壁部とする。
(D)側断面において歯ブラシ5の前壁部の外面を前面とする。また、側断面において歯ブラシ5の後壁部の外面を後面51aとする。
(E)歯ブラシ5の端部のうちのブラシ毛52側を先端部とする。また、歯ブラシ5の端部のうちの先端部とは反対側の端部を基端部とする。
【0015】
図5および図6に示すように、アウターケース10は、ABS樹脂よりなる面取りした有蓋四角筒状のケースであって、その上側部を縮径してブラシ取付軸筒11を形成している。有蓋四角筒状のブラシ取付軸筒11には、先端部の開口部分を閉塞する頂壁が設けられている。ブラシ取付軸筒11の円筒状の空間S1(図6参照)は、アウターケース10の四角筒状の空間S2(図6参照)と連通している。また、ブラシ取付軸筒11は、図2に示すように、その中心軸線C1がアウターケース10の中心軸線に対してアウターケース10の後面10a側に偏倚するよう、アウターケース10の上面に形成されている。
【0016】
ブラシ取付軸筒11は、歯ブラシ5の基端部側の開口部から歯ブラシ5内に挿入される。ケース中間部において、歯ブラシ5側の端部にはブラシ取付軸筒11が連続して設けられる。ケース中間部の前壁部がブラシ取付軸筒11の前壁部に対して前側に設けられることにより、ケース中間部とブラシ取付軸筒11との境界部分に段差部分が形成される。歯ブラシ5の基端部の下端面53が段差部分の端面と対向するように歯ブラシ5が本体ケース2に取り付けられている。
【0017】
側断面において、モータMの前側にはインナーケース20の前壁部が設けられている。このインナーケース20の前壁部の前側にはアウターケース10の前壁部が設けられている。このアウターケース10の前壁部の前側には歯ブラシ5の前壁部が設けられている。
【0018】
アウターケース10の前面10bには、貫通口12が貫通形成され、その貫通口12は可撓性のスイッチ部材13にて閉塞されている。スイッチ部材13は、エラストマー樹脂よりなり、貫通口12の開口縁に対して融着させている。従って、指で外部から貫通口12を閉塞したスイッチ部材13を空間S2内に向かって押し込むことができる。
【0019】
アウターケース10の空間S1,S2には、インナーケース20が収容されている。インナーケース20は、ABS樹脂よりなり、略中央位置に面取りした四角筒状の胴部21が形成されている。胴部21の外形は、アウターケース10の内周面と同一形状であって、胴部21は、その略上半分がアウターケース10の空間S2に内装されるようになっている。
【0020】
胴部21の下部には、有底筒体を半割して後側が開放してなる電池収容部22が延出形成されている。電池収容部22は、胴部21の略上半分がアウターケース10の空間S2に内装されたとき、アウターケース10の下側から下方に向かって露出するようになっている。電池収容部22は、その底部に陽極端子金具23が設けられ、上部に胴部21から延びる陰極端子バネ24が設けられている。そして、電池収容部22に、単4形の電池Bが収容されると、電池Bは陽極端子金具23及び陰極端子バネ24と電気的に接続された状態で電池収容部22内に収容保持される。
【0021】
胴部21の上側には、基板固定部25が延出形成されている。基板固定部25は、胴部21の略上半分がアウターケース10の空間S2に内装されたとき、アウターケース10に設けたスイッチ部材13と相対向する位置に配置されるようになっている。基板固定部25は、プリント配線基板26が固設されている。プリント配線基板26には、陽極端子金具23及び陰極端子バネ24と電気的に接続されているスイッチSWが実装されている。そして、プリント配線基板26に実装されたスイッチSWは、アウターケース10に設けたスイッチ部材13と相対向する位置に実装されている。従って、スイッチ部材13を指で押すと、スイッチSWは押し込まれたスイッチ部材13にてオン・オフ動作する。
【0022】
基板固定部25の上側には、有蓋筒体を半割して後側が開放してなるモータ収容部27が延出形成されている。モータ収容部27は、胴部21がアウターケース10の空間S2に内装されたとき、ブラシ取付軸筒11の空間S1に内装されるようになっている。モータ収容部27がブラシ取付軸筒11の空間S1に内装されたとき、モータ収容部27の外周面は、ブラシ取付軸筒11の内周面と密着するようになっている。
【0023】
図5および図6に示すように、モータ収容部27には、モータMが収容される。モータ収容部27に収容されたモータMは、モータ収容部27がブラシ取付軸筒11の空間S1に内装されたとき、モータ収容部27から開放された部分の外周面がスペーサ28を介してブラシ取付軸筒11の内周面と当接するようになっている。モータMの回転軸は把持部ケース4の中心軸よりも後側に設けられている。また、モータ収容部27の上面から空間S1内に突出している。回転軸の突出している部分に偏心分銅29が固着されている。
【0024】
モータMの前側の外面は、インナーケース20の前壁部と直接的に接触している。
図5および図6に示すように、モータMの後側の外面とインナーケース20の後壁部との間には、スペーサ28が設けられている。スペーサ28は、アウターケース10の後壁部およびモータMのそれぞれに直接的に接触している。
【0025】
側断面において、モータMの前側にはインナーケース20の前壁部が設けられている。また、インナーケース20の前壁部の前側にはアウターケースの10の前壁部が設けられている。また、アウターケース10の前壁部の前側には歯ブラシ5の前壁部が設けられている。また、モータMの後側にはスペーサ28が設けられている。また、スペーサ28の後側にはアウターケース10の後壁部が設けられている。また、アウターケース10の後側には歯ブラシ5の後壁部が取り付けられている。
【0026】
インナーケース20の前壁部にはスイッチSWが設けられている。スイッチSWは、インナーケース20において、把持部ケース4の中心軸に対してスペーサ28が設けられている部位とは反対側の部位に設けられている。
【0027】
モータMは、プリント配線基板26に実装されたスイッチSWをオンさせると、電池Bの電圧が印加されて回転する。モータMが回転すると、回転軸に固着した偏心分銅29が回転軸を回転中心に偏心回転し、その偏心回転により回転軸が振られてモータ収容部27に収容保持されたモータM自身が振動する。そして、このモータMの振動は、モータ収容部27を介して、同モータ収容部27と密接しているブラシ取付軸筒11に伝搬されることになる。
【0028】
インナーケース20の胴部21の外周面は、アウターケース10に内装される上半分が、アウターケース10に内装されない下半分より縮径されている。これによって、インナーケース20のモータ収容部27をアウターケース10の上半分の空間S1及びインナーケース20の基板固定部25を空間S2に内装したとき、胴部21の下半分の外周面がアウターケース10の内周面に係合し、インナーケース20のそれ以上の進入を規制するようになっている。つまり、インナーケース20は、胴部21の上半分がアウターケース10に内装され、胴部21の下半分及び電池収容部22がアウターケース10から露出することになる。
【0029】
胴部21の上半分の外周面には上側環状溝30が形成され、上側環状溝30には第2の弾性部材としてのシールリングR1が嵌着されている。シールリングR1は、ゴム製のOリングよりなり、上側環状溝30に嵌着した状態でその外側部分が胴部21の外周面より突出するようになっている。従って、インナーケース20(胴部21)がアウターケース10に内装されるとき、上側環状溝30のシールリングR1がアウターケース10の内周面にて弾性変形して、インナーケース20(胴部21)とアウターケース10との間を、水密かつ弾性支持している。
【0030】
図5および図6に示すように、アウターケース10の基端部の端面と把持部ケース4の先端部の端面は互いに対向している。胴部21の下半分の外周面には下側環状溝31が形成され、下側環状溝31には弾性部材としての弾性リングR2が嵌着されている。弾性リングR2は、弾性を有した合成樹脂製のリングであって、本実施形態では、シール材として利用されるゴム製のOリングを使用している。弾性リングR2は、下側環状溝31に嵌着した状態でその外側部分が胴部21の外周面より突出するようになっている。
【0031】
このように形成された本体ケース2は、下側に把持部ケース4が装着され、上側に歯ブラシ5が装着される。
把持部ケース4は、ABS樹脂よりなる面取りした有底四角筒状のケースであって、その内部空間に上部開口部から本体ケース2を構成するインナーケース20の電池収容部22が装着される。把持部ケース4の上部開口部の内周面形状は、胴部21の下半分の外周面形状と同一形状であって、胴部21の下半分が把持部ケース4に内装されるようになっている。
【0032】
このとき、アウターケース10は、把持部ケース4に内装されず、アウターケース10の開口部端面15は、把持部ケース4の開口部端面41と当接するようになっている。把持部ケース4の外径は、アウターケース10の外径よりも大きく形成されている。従って、アウターケース10の開口部端面15と把持部ケース4の開口部端面41とを合わせたとき、把持部ケース4の外周面が、アウターケース10の外周面より外方に突出する。そして、外側に露出した把持部ケース4の開口部端面41は段差面41aとなる。
【0033】
図5および図6に示すように、把持部ケース4の先端部の内周面とインナーケース20の外面との間には、弾性リングR2が設けられている。インナーケース20(胴部21)が把持部ケース4に内装されるとき、下側環状溝31の弾性リングR2が把持部ケース4の上部開口部内面にて弾性変形して、インナーケース20(胴部21)と把持部ケース4との間を、水密かつ弾性支持している。そして、本体ケース2を把持部ケース4に装着することによって、把持部ケース4によって電動歯ブラシ1の把持部が形成されるとともに、電池収容部22に収容保持された電池Bは把持部ケース4によって密閉収納される。
【0034】
インナーケース20の前壁部において把持部ケース4と直接的に対向する部分の長さを長さPとし、インナーケース20の後壁部において把持部ケース4と直接的に対向する部分の長さを長さQとしたとき、長さQが長さPよりも小さい。
【0035】
本体ケース2の上側に装着される歯ブラシ5は、保持部51を有し、その保持部51の先端部にブラシ毛52が植設されている。保持部51は、その基端の外形がアウターケース10の外形と同一形状であって、その基端の下端面53には、嵌着孔54が形成されている。嵌着孔54は、アウターケース10に形成したブラシ取付軸筒11が着脱自在に圧入嵌着される。嵌着孔54の内周面は、ブラシ取付軸筒11が嵌着された時、ブラシ取付軸筒11の外周面が密着される。従って、モータ収容部27を介してブラシ取付軸筒11に伝搬されるモータMの振動は、歯ブラシ5の保持部51を介して先端部のブラシ毛52に伝搬される。
【0036】
保持部51は、その基端から先端部に向かって細くなるように形成されている。詳述すると、保持部51の前面が後面51a側に、また、左右両側面が互いに近づくように形成されている。つまり、保持部51の先端部は、その先端部後面51aがブラシ取付軸筒11の中心軸線C1より後側であってアウターケース10の後面10aより前側に位置するように配置され、植設したブラシ毛52の毛先が、アウターケース10の前面10bよりはみ出さないようにしている。また、保持部51の先端部を後方位置に配置されるように、保持部51の前面を後面51a側に後退させたので、歯を磨く時、保持部51の前面が張り出していることにより、歯がその張り出し部分に当たって磨き難くなるのを防止している。
【0037】
側断面において、本体ケース2の前壁部の厚さを厚さX1とし、歯ブラシ5の前壁部の厚さを厚さY1とする。また側断面において、本体ケース2の後壁部の厚さを厚さX2とし、歯ブラシ5の後壁部の厚さを厚さY2とする。
【0038】
図5および図6に示すように、歯ブラシ5の基端部の端面およびこの端面に対応する本体ケース2の部位において、厚さX1と厚さY1とを合わせた厚さが厚さX2と厚さY2とを合わせた厚さよりも大きい。
【0039】
歯ブラシ5において、その基端部から先端部にまでにわたる前面の長さを長さVとし、基端部から先端部までにわたる後面51aの長さを長さWとしたとき、長さWが長さVよりも小さい。また、歯ブラシ5の前壁部においてモータMと対応する部位には肉抜き部が設けられている。
【0040】
さらに、ブラシ取付軸筒11内に、振動源のモータMを収納し、そのブラシ取付軸筒11に歯ブラシ5の保持部51を圧入嵌着したので、ブラシ取付軸筒11の長さ分(ブラシ取付軸筒11と保持部51の重合分)、保持部51の先端を本体ケース2側に近づける(縮める)ことができる。その結果、電動歯ブラシ1の全長を短くでき、ポーチやポケットに入りやすく携帯性に優れたものとなる。
【0041】
図5および図6に示すように、本体ケース2に装着された歯ブラシ5は、キャップ6にて収納される。キャップ6は、ABS樹脂よりなる面取りした有蓋四角筒状のケースであって、本体ケース2への取り付けおよび本体ケース2からの取り外しが可能である。本体ケース2にキャップ6が取り付けられたとき、歯ブラシ5の基端部の外周は、キャップ6により覆われている。
【0042】
キャップ6はその内部空間に下部開口部から歯ブラシ5及び本体ケース2が挿入される。キャップ6の下部開口部の内周面形状は、本体ケース2の外周面形状と同一形状であって、キャップ6の下端面61は、キャップ6を本体ケース2に装着したとき、把持部ケース4の開口部端面41(段差面41a)に当接し、それ以上の進入を規制するようになっている。
【0043】
また、キャップ6の外形は、把持部ケース4の外形と同一形状であって、キャップ6を本体ケース2に装着したとき、図3、図4に示すように、キャップ6の外周面と把持部ケース4の外周面とが面一になるようにしている。これによって、電動歯ブラシ1の外周面は、平滑な面となり、電動歯ブラシ1をポーチやポケットに収納したとき、周囲のものを引っ掛けたり、逆にキャップ6が外れたりする虞がない。
【0044】
さらに、キャップ6を本体ケース2に装着したとき、本体ケース2に設けたスイッチ部材13はキャップ6に内包される。そのため、電動歯ブラシ1をポーチやポケットに収納したとき、スイッチ部材13が誤ってオン操作されることはない。
【0045】
次に、上記のように構成した電動歯ブラシ1に効果について以下に述べる。
(1)本実施形態によれば、本体ケース2の先端に歯ブラシ5(保持部51)を着脱可能に取着するブラシ取付軸を筒状のブラシ取付軸筒11にし、そのブラシ取付軸筒11内の空間S1に振動を発生する偏心分銅29を取着したモータMを配置した。従って、ブラシ取付軸筒11の長さ分、歯ブラシ5の先端を本体ケース2側に近づけることができる。その結果、電動歯ブラシ1は、その全長を短くでき、ポーチやポケットに入りやすく携帯性に優れたものとなる。
【0046】
(2)本実施形態によれば、振動を発生する偏心分銅29を取着したモータMを内側に配置したブラシ取付軸筒11に歯ブラシ5(保持部51)を取着した。従って、歯ブラシ5の先端部に植設したブラシ毛52を、モータMにより近づけることができた。その結果、モータMの振動が減衰し難く、効率よくブラシ毛52に伝わるので、歯の擦掃性能をより向上させることができる。
【0047】
(3)本実施形態によれば、ブラシ取付軸筒11内に配置された振動を発生するモータMは、手で持ち固定される把持部ケース4からより遠い位置に位置するので、歯ブラシ5先端部の動きを大きくすることができ、歯の擦掃性能にさらに向上させることができる。
【0048】
(4)本実施形態によれば、ブラシ取付軸筒11を、本体ケース2の後面10a側に偏倚して、ブラシ毛52を保持する保持部51の基端部の前面を後面51a側に後退させるようにした。そして、歯ブラシ5に保持部51を、基端から先端部に向かって細く、しかも、保持部51の前面が後面51a側に近づくように形成した。その結果、歯を磨く時、歯ブラシ5の保持部51が前面に張り出さなくなり、歯がその張り出し部分に当たって磨き難くなることはない。
【0049】
(5)本実施形態によれば、本体ケース2を、ブラシ取付軸筒11を有したアウターケース10と、一端にモータMを収容するモータ収容部27を、他端に電池Bを収容する電池収容部22を有するインナーケース20とから構成した。従って、インナーケース20をアウターケース10に収容するだけで、モータMを収容した状態でモータ収容部27をアウターケース10のブラシ取付軸筒11内に圧入嵌着でき、モータMのブラシ取付軸筒11への組み付けが容易となる。
【0050】
(6)本実施形態によれば、本体ケース2、即ち、インナーケース20の胴部21と把持部ケース4の間に弾性リングR2を介在させた。そして、インナーケース20(胴部21)を把持部ケース4に内装したとき、弾性リングR2が把持部ケース4の上部開口部内面にて弾性変形して、インナーケース20と把持部ケース4との間を、水密かつ弾性支持するようにした。
【0051】
従って、インナーケース20のモータ収容部27に収容されたモータMの振動が弾性リングR2にて把持部ケース4に伝わり難くなり、歯ブラシ5側に集中して伝わる。その結果、歯の擦掃性能にさらに向上させることができるとともに、把持部ケース4を把持する手への振動が低減され快適に歯を磨くことができる。
【0052】
しかも、弾性リングR2はシール性を有しているため、水洗いしたとき、把持部ケース4とインナーケース20の間を通って本体ケース2内への水の進入を防止することができる。
【0053】
(7)本実施形態によれば、本体ケース2のアウターケース10とインナーケース20の胴部21の間にシールリングR1を介在させた。電動歯ブラシ1を水洗いしたとき、アウターケース10とインナーケース20の間を通って本体ケース2内への水の進入を防止することができる。
【0054】
しかも、インナーケース20のモータ収容部27に収容されたモータMの振動がシールリングR1にてアウターケース10に伝わり難くなり、歯ブラシ5側に集中して伝わる。その結果、歯の擦掃性能にさらに向上させることができるとともに、アウターケース10を把持する手への振動が低減され快適に歯を磨くことができる。
【0055】
(8)本実施形態によれば、本体ケース2に装着された歯ブラシ5は、不使用時にはキャップ6にて収納されるようにした。電動歯ブラシ1を携帯する際。歯ブラシ5(ブラシ毛52)は周囲のものに触れることなくなることから、歯ブラシ5が汚れたり、ポーチやポケット等を汚したりせず衛生が保たれるとともに、ブラシ毛52を変形させず保護でき、高い擦掃性能を維持することができる。また、スイッチ部材13が周囲のものによって誤操作されることはない。
【0056】
しかも、キャップ6の外形は、本体ケース2に装着したとき、キャップ6の外周面と把持部ケース4の外周面とが面一になるようにした。これによって、電動歯ブラシ1の外周面は、平滑な面となり、電動歯ブラシ1をポーチやポケットに収納したとき、周囲のものを引っ掛けたり、逆にキャップ6が外れたりするのを防止することができる。
【0057】
尚、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、本体ケース2をアウターケース10とインナーケース20の2つの部材で形成した。これを、アウターケース10とインナーケース20を一体にした本体ケース2にして実施してもよい。このようにすることによって、部品点数の削減、シールリングR1の削減を図ることができる。
【0058】
・上記実施形態では、インナーケース20の胴部21と把持部ケース4の間に弾性リングR2を介在させた。これを、リング状のものではなく、周方向に所定の間隔をおいて、弾性部材を配置して実施してもよい。
【0059】
・上記実施形態では、インナーケース20の胴部21と把持部ケース4の間に介在させた弾性リングR2は、弾性及び水に対するシール性を有するOリングを使用した。これを、弾性のみで、水に対するシール性を有さない弾性部材を使用して実施してもよい。
【0060】
・上記実施形態では、把持部ケース4と本体ケース2のインナーケース20との間に、弾性リングR2を介在させた。これを、図7に示すように、本体ケース2のアウターケース10の下側部分を把持部ケース4に挿入し、その把持部ケース4とアウターケース10との間に弾性リングR2に相当する弾性部材R3を介在させてもよい。
【符号の説明】
【0061】
1…電動歯ブラシ、2…本体ケース、4…把持部ケース、5…歯ブラシ、51a…後面、52…ブラシ毛、M…モータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動源としてのモータを収容する本体ケースと、この本体ケースの先端部に取り付けられてブラシ毛が植設される歯ブラシと、前記本体ケースの先端部とは反対側の端部である基端部に取り付けられる把持部ケースとを含む電動歯ブラシにおいて、
前記モータの回転軸および前記ブラシ毛を含みかつ前記モータの回転軸と平行な断面を側断面とし、前記側断面において前記把持部ケースの中心軸に対して前記ブラシ毛の先端部が含まれる側を前側とし、前記側断面において前記把持部ケースの中心軸に対して前記前側とは反対側を後側とし、前記側断面において前記本体ケースの前側の壁部を前壁部とし、前記側断面において前記本体ケースの後側の壁部を後壁部とし、前記前壁部において前記把持部ケースと直接的に対向する部分の長さを長さPとし、前記後壁部において前記把持部ケースと直接的に対向する部分の長さを長さQとしたとき、前記長さQが前記長さPよりも小さい
ことを特徴とする電動歯ブラシ。
【請求項2】
請求項1に記載の電動歯ブラシにおいて、
前記把持部ケースの中心軸よりも後側に前記モータの回転軸が設けられる
ことを特徴とする電動歯ブラシ。
【請求項3】
請求項2に記載の電動歯ブラシにおいて、
前記側断面において前記歯ブラシの前側の外面を前面とし、前記側断面において前記歯ブラシの後側の外面を後面とし、前記歯ブラシの端部のうちの前記ブラシ毛側の端部を先端部とし、前記歯ブラシの端部のうちの前記本体ケース側の端部を基端部とし、前記歯ブラシにおいて前記基端部から前記先端部までにわたる前記歯ブラシの前面の長さを長さVとし、前記歯ブラシにおいて前記基端部から前記先端部までにわたる前記歯ブラシの後面の長さを長さWとしたとき、前記長さWが前記長さVよりも小さい
ことを特徴とする電動歯ブラシ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−136147(P2011−136147A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−214277(P2010−214277)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【分割の表示】特願2009−294635(P2009−294635)の分割
【原出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】