説明

電動歯ブラシ

【課題】電動歯ブラシの使用中に、誤って蓋を外すことを防止できる電動歯ブラシを提供すること。
【解決手段】電動歯ブラシ1は、電池収容部13において、電池30を収容する電池ケース131と、電池ケース131に固定されたケース係合部134と、ハンドル11の後端の開口に係合する略円筒形状の電池蓋135と、歯ブラシ本体10の後端に係合する電池蓋135の長手方向に直交する面に形成された底部において回転可能に設けられた把持部136aと、ケース係合部134と把持部136aが所定角度だけ回転することにより係合する蓋爪部136bと、を有する把持部材136と、電池蓋135の外周壁に配置され、ハンドル11の後端の開口に電池蓋135が係合したときに、ハンドル11の内壁に接するオーリング139と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動歯ブラシに関し、詳しくは、歯ブラシ本体と、歯ブラシ本体の長手方向における先端に着脱可能に取り付けられたブラシ部とを備える電動歯ブラシに関する。
【背景技術】
【0002】
電動歯ブラシは、歯ブラシ本体に収容されたモータに電池から電流を供給しブラシ部を駆動する。この電動歯ブラシは、歯ブラシ本体に着脱自在の蓋を設け、この蓋を外すことで電池を交換し、再び蓋を閉めて使用する。
ところで、電動歯ブラシは、洗面所などの水場で使用される。このため、電動歯ブラシは、歯ブラシ本体に水が侵入しないように、蓋を着脱する部分に防水性が必要である。
【0003】
そこで、特許文献1には、電池ケースカバーの防水シールリングの下に係止リングを設け、本体の側面に位置する係止リングの左面と右面にそれぞれ押圧部を設け、この押圧部の上端よりフックが延伸され、この係止リングのフックと本体内のフック孔とが係合する電動歯ブラシが記載されている。
この電動歯ブラシによれば、電池ケースカバーを取り外す時、係止リングの左面と右面に設けられた押圧部を押圧することにより、係止リングのフックと本体のフック孔との係合が解除され、電池ケースカバーを本体より引き離すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3095857号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の電動歯ブラシは、電池ケースカバーを本体から取り外すための押圧部が本体の側面に位置する係止リングの左面と右面に設けられている。電動歯ブラシの使用者は、本体を握って歯を磨く必要があるため、電動歯ブラシの使用中に、この本体の側面に位置する押圧部を誤って押圧し、電池ケースカバーが外れる結果、本体の内部に水が侵入する場合がある。
【0006】
本発明は、電動歯ブラシの使用中に、誤って蓋を外すことを防止できる電動歯ブラシを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) 歯ブラシ本体と、前記歯ブラシ本体の長手方向における先端に着脱可能に取り付けられたブラシ部とを備える電動歯ブラシにおいて、前記歯ブラシ本体は、前記先端とは反対側に位置する後端が開口した筒状のハンドルと、前記ハンドルに収容され、前記ブラシ部を回転運動させるモータ部と、電池を収容し前記モータ部に電流を供給する電池収容部と、を備え、前記電池収容部は、前記電池を収容する電池ケースと、前記電池ケースに固定されたケース係合部と、前記ハンドルの前記後端の開口に係合する略円筒形状の電池蓋と、前記歯ブラシ本体の前記後端に係合する前記電池蓋の前記長手方向に直交する面に形成された底部において回転可能に設けられた把持部と、前記ケース係合部と前記把持部が所定角度だけ回転することにより係合する蓋爪部と、を有する把持部材と、前記電池蓋の外周壁に配置され、前記ハンドルの前記後端の開口に前記電池蓋が係合したときに、前記ハンドルの内壁に接するオーリングと、を備えた電動歯ブラシ。
【0008】
(1)の発明によれば、電池収容部において、電池ケースは電池を収容し、ケース係合部は電池ケースに固定され、略円筒形状の電池蓋はハンドルの後端の開口に係合し、把持部材は、歯ブラシ本体の後端に係合する電池蓋の長手方向に直交する面に形成された底部において回転可能に設けられた把持部と、ケース係合部と把持部が所定角度だけ回転することにより係合する蓋爪部と、を有する。
これにより、電池を交換する等の理由により、電池蓋をハンドルの開口から離す場合は、歯ブラシ本体の底部の把持部を回転させる。これにより、回転した把持部に伴い蓋爪部も回転し、蓋爪部とケース係合部との係合が解除され、把持部を把持して電池蓋をハンドルの開口から引き抜くことで、電池蓋をハンドルの開口から離すことができる。
ここで、通常、電動歯ブラシの使用者は、ハンドルの側面を握って歯を磨く。よって、電動歯ブラシの使用者は、電動歯ブラシの使用中に、ハンドルの側面に触れることはあっても、ハンドルの底部に触れることはない。よって、電動歯ブラシの使用者が電動歯ブラシの使用中に、歯ブラシ本体の底部の把持部に触れることや、ましてや底部の把持部を回転させてしまうことはない。
したがって、電動歯ブラシの使用中に、誤って蓋を外すことを防止できる電動歯ブラシを提供できる。
【0009】
(2) 前記モータ部及び前記電池収容部に接続されモータ部の動作を制御する基板を、更に、備え、前記基板は、第1の期間であるブラッシング区間と第2の期間であるインターバル区間とのそれぞれの区間において、所定の強さの電流を所定のタイミングでモータ部に供給し、前記ブラッシング区間における前記モータ部に供給する電流の強さがそれぞれ異なる複数のモードのいずれかで前記モータ部の動作を制御する(1)に記載の電動歯ブラシ。
【0010】
(2)の発明によれば、基板は、第1の期間であるブラッシング区間と第2の期間であるインターバル区間とのそれぞれの区間において、所定の強さの電流を所定のタイミングでモータ部に供給する。これにより、ブラッシング区間とインターバル区間とでブラシ部を回転運動の強さを異ならせることができる。
よって、電動歯ブラシの使用者は、ブラシ部における回転運動の強さの変化により、ブラッシング区間からインターバル区間に移行したことを知ることができる。
また、基板は、ブラッシング区間におけるモータ部に供給する電流の強さがそれぞれ異なる複数のモードのいずれかでモータ部の動作を制御する。これにより、ブラッシング区間におけるブラシ部を回転運動の強さを異ならせることができる。
したがって、磨く歯の部位に応じた強さで歯磨きを行い、この歯磨きを終了するタイミングを知らせることで、適切な歯磨きを可能とする電動歯ブラシを提供できる。
【0011】
(3) 前記モータ部は、その先端に前記ブラシ部が取り付けられるシャフトと、前記シャフトを駆動する駆動部と、前記シャフトが前後方向において貫通し、前記駆動部を収容するモータカバーと、を備え、前記シャフトは、その先端側に、軸方向と直交する方向に突出する過回転防止突起を有し、前記モータカバーは、前記シャフトの前記過回転防止突起が形成された位置に、前記シャフトに外部から所定の角度以上に回転させる力が加わった場合に、前記過回転防止突起が当接する過回転防止爪を有する(1)又は(2)に記載の電動歯ブラシ。
【0012】
(3)の発明によれば、シャフトは、その先端側に、軸方向と直交する方向に突出する過回転防止突起を有し、モータカバーは、シャフトの過回転防止突起が形成された位置に、シャフトに外部から所定の角度以上に回転させる力が加わった場合に、過回転防止突起が当接する過回転防止爪を有する。
これにより、使用者の使用の仕方によって、シャフトに所定の角度以上に回転させる力が加わった場合に、シャフトの過回転防止突起がモータカバーの過回転防止爪に当接するので、シャフトが所定の角度以上に回転するのを防止できる。
したがって、シャフトに所定の角度以上に回転させる力が加わったことに起因して破損するのを防止できる電動歯ブラシを提供できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、電動歯ブラシの使用中に、誤って蓋を外すことを防止できる電動歯ブラシを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係る電動歯ブラシの正面図である。
【図2】前記実施形態に係る歯ブラシ本体の分解斜視図である。
【図3】前記実施形態に係るモータ部の分解斜視図である。
【図4】前記実施形態に係るモータ部の上面図である。
【図5】図4におけるモータ部のDD’断面を示す図である。(a)は、シャフトが左回りに回転した場合の図である。(b)は、シャフトが右回りに回転した場合の図である。
【図6】図5に示したシャフトの動作を模式的に示した図である。(a)は、シャフトが回転していない状態を示す図である。(b)は、シャフトが左回りに回転した場合の図である。(c)は、シャフトが右回りに回転した場合の図である。
【図7】図1におけるAA’断面を示す図である。
【図8】前記実施形態に係る電動歯ブラシのブロック図である。
【図9】前記実施形態に係る基板の制御を示すフローチャートである。
【図10】前記実施形態に係る基板のモータ部に電流を供給するタイミングを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る電動歯ブラシ1を示す正面図である。
電動歯ブラシ1は、歯ブラシ本体10と、歯ブラシ本体10の長手方向における先端に着脱可能に取り付けられたブラシ部20と、を備え、歯ブラシ本体10によりブラシ部20を往復回転運動をさせる。
図2は、歯ブラシ本体10の分解斜視図である。
歯ブラシ本体10は、電動歯ブラシ1のボディであり、後端(図2中B側)が開口した筒状のハンドル11と、ハンドル11に収容されるモータ部12と、電池30を収容しモータ部12に電流を供給する電池収容部13と、モータ部12及び電池収容部13に接続されモータ部12の動作を制御する基板14と、を備える。
【0016】
図3は、モータ部12の分解斜視図である。
モータ部12は、モータカバー120と、モータカバー120を前後方向(図3中F,B方向)に貫通するシャフト121と、シャフト121を前後(図3中F,B)において支持するシャフト支持部122F,122Bと、シャフト121に埋め込まれた2つのマグネット124と、シャフト121においてマグネット124を挟むように取り付けられた2つのプレート125と、シャフト121のプレート125が取り付けられた部分を囲う様に配置されるステータ126と、ステータ126を保持するコイルベース127と、ステータ126を挟んでコイルベース127に取り付けられるコイルカバー128と、図3中の矢印C方向において、ステータ126、コイルベース127及びコイルカバー128とを一体として、これらに巻き回される巻線(図示無し)と、シャフト121の後端(図3中B側端部)に取り付けられる調整部129と、を備える。マグネット124、プレート125、ステータ126、コイルベース127、コイルカバー128及び巻線は、シャフト121を駆動する駆動部である。
【0017】
モータカバー120は、その内部に、シャフト121のマグネット124及びプレート125が取り付けられた部分、ステータ126、コイルベース127、コイルカバー128、巻線(図示無し)及び調整部129を収容する。
シャフト121は、棒状体に形成され、その先端(図3中F側端部)にブラシ部20(図2参照)が取り付けられ、その後端(図3中B側端部)にネジ山が形成され後述する調整部129のナット129bと螺合する。また、シャフト121には、その中間部分にマグネット124が埋め込まれる孔が、軸方向(図3中FB方向)に沿って2つ形成されている。
【0018】
シャフト支持部122Fは、シャフト121の先端側(図3中F側)をベアリング123Fを介して、回転自在に支持する。シャフト支持部122Bは、シャフト121の後端側(図3中B側)をベアリング123Bを介して、回転自在に支持する。
【0019】
2つのマグネット124は、永久磁石で形成され、シャフト121に軸方向(図3中FB方向)に沿って形成された2つの孔にそれぞれ埋め込まれている。
2つのプレート125は、平面視略矩形状の磁性体で形成され、シャフト121に埋め込まれた2つのマグネット124を軸方向(図3中FB方向)に直交する方向から挟み、シャフト121に取り付けられている。
【0020】
ステータ126は、断面形状が略コの字状の磁性体で形成され、その内部にシャフト121のマグネット124及びプレート125が取り付けられた部分が配置される。
コイルベース127及びコイルカバー128は、ステータ126を互いに挟んで固定する。これにより、コイルベース127、コイルカバー128及びステータ126は、一体となって、巻線(図示無し)が巻き回されている。
巻線は、その両端部が基板14に接続されている。
【0021】
以上の構成により、巻線に電流が供給されると、この巻線及びステータ126に磁性が発生し、ステータ126の内部において、ステータ126とシャフト121に埋め込まれたマグネット124とが互いに反発又は吸引する。基板14が巻線に供給する電流を流す方向を交互に替えることで、ステータ126とシャフト121のマグネット124が埋め込まれた部分とは互いに反発及び吸引を繰り返し、シャフト121が往復回転運動し、シャフト121の先端に取り付けられたブラシ部20が往復回転運動する。
【0022】
調整部129は、調整部129をシャフト支持部122Bに固定する調整部支持部129aと、シャフト121の後端(図3中B側端部)に形成されたネジ山と螺合するナット129bと、シャフト121の後端が貫通し、シャフト支持部122Bとナット129bとの間に設けられる螺旋バネ129cと、を備える。調整部129は、螺旋バネ129cによりシャフト121をその回転方向に付勢することで、シャフト121の回転する力を調整する。
【0023】
図4は、モータ部12の上面図である。
図5は、図4におけるモータ部12のDD’断面を示す図である。(a)は、シャフト121が左回りに回転した場合の図である。(b)は、シャフト121が右回りに回転した場合の図である。
シャフト121は、その先端側(図4中F側)に、軸方向(図4中FB方向)と直交する方向(図4中LR方向)に突出する過回転防止突起121R,121Lを有する。
過回転防止突起121Rは、シャフト121の軸心から右側(図4中R側)に突出し、過回転防止突起121Lは、シャフト121の軸心から左側(図4中L側)に突出する。
モータカバー120は、シャフト121の過回転防止突起121R,121Lが形成された位置に、シャフト121が所定の角度以上回転した場合に、過回転防止突起121R,121Lが当接する過回転防止爪120R,120Lを有する。
【0024】
図6は、図5に示したシャフト121の動作を模式的に示した図である。(a)は、シャフト121が回転していない状態を示す図である。(b)は、シャフト121が左回りに回転した場合の図である。(c)は、シャフト121が右回りに回転した場合の図である。
図6(a)に示すように、シャフト121が回転していない状態では、過回転防止突起121Rと過回転防止爪120R、過回転防止突起121Lと過回転防止爪120Lは、いずれも当接していない。また、図6(a)に示す点線は、基板14(図2参照)の制御によりシャフト121が右側又は左側に回転した状態を示す。このように、シャフト121は、基板14(図2参照)の制御により回転している場合には、過回転防止突起121R及び過回転防止突起121Lが、過回転防止爪120R及び過回転防止爪120Lと当接することはない。
【0025】
しかしながら、ブラシ部20(図1参照)を介してシャフト121に所定の範囲以上に回転させる力が外部から加わった場合には、シャフト121は、さらに回転してしまう。図6(b)及び(c)は、このような場合のシャフト121の動作を示す図である。
図6(b)に示すように、シャフト121は、左側に所定の範囲以上に回転させる力が外部から加わった場合、過回転防止突起121Lが過回転防止爪120Lと当接する。
図6(c)に示すように、シャフト121は、右側に所定の範囲以上に回転させる力が外部から加わった場合、過回転防止突起121Rが過回転防止爪120Rと当接する。
このように、シャフト121に所定の範囲以上に回転させる力が外部から加わったとしても、過回転防止突起121Rが過回転防止爪120Rに又は過回転防止突起121Lが過回転防止爪120Lに当接し、所定の範囲以上にシャフト121が回転するのを防止できる。
【0026】
図2に戻って、電池収容部13について説明する。
電池収容部13は、電池30を2本収容する電池ケース131と、2本の電池30の電極と基板14とを接続する電池接点132と、2本の電池の電極を互いに接続する電池接点133と、電池ケース131に固定されたケース係合部134と、ハンドル11の後端(図2中B側)の開口に係合する略円筒形状の電池蓋135と、歯ブラシ本体10の後端(図2中B側)に係合する電池蓋135の長手方向(図2中FB方向)に直交する面に形成された底部において回転可能に設けられた把持部136aと、把持部136aの先端側(図2中F側)にスクリューネジ138によって固定され、ケース係合部134と把持部136aが所定角度だけ回転することにより係合する蓋爪部136bと、を有する把持部材136と、電池蓋135の外周壁に配置され、ハンドル11の後端の開口に電池蓋135が係合したときに、ハンドル11の内壁に接することで、ハンドル11の内部に水が侵入するのを防止する弾性体であるオーリング139と、を備える。
【0027】
図7は、図1におけるAA’断面を示す図である。
図7を用いて、ハンドル11の開口に電池蓋135が係合した状態について説明する。
図7に示すように、ハンドル11の開口に電池蓋135が係合した状態では、電池蓋135の外壁に設けられたオーリング139が、ハンドル11の内壁に接した状態であり、ハンドル11の内部に水が侵入することはない。
このとき、電池蓋135の把持部136aに設けられた蓋爪部136bは、電池ケース131に固定されたケース係合部134と係合している。
そして、例えば、電池30を交換する等の理由により、電池蓋135をハンドル11の開口から離す場合は、把持部136aを回転させる。これにより、回転した把持部136aに伴い蓋爪部136bも回転し、蓋爪部136bとケース係合部134との係合が解除され、把持部136aを把持して電池蓋135をハンドル11の開口から引き抜くことで、電池蓋135をハンドル11の開口から離すことができる。
【0028】
図2に戻って、基板14について説明する。
基板14は、電池収容部13に収容された電池30より供給された電流を、その強さを調整し、所定のタイミングでモータ部12に供給する。
図8は、電動歯ブラシ1のブロック図である。
電動歯ブラシ1は、基板14に電池収容部13及びモータ部12が電気的に接続されている。
基板14は、マイクロプロセッサ140と、共振器141と、スイッチ142と、を備え。マイクロプロセッサ140は、スイッチ142から送信される使用者の操作に応じた電源のオン及びオフや後述するモードの切り替え信号に応じて、共振器141により発生した250Hzの周波数で、電池収容部13から得た電流をモータ部12に供給する。
【0029】
図9は、基板14の制御を示すフローチャートである。
基板14は、所定の強さの電流を所定のタイミングで供給し、モータ部12(図2参照)を駆動させ、ブラシ部20を3000rpmの回転数で往復回転運動させる。
基板14は、スイッチ142より電源をオンにする信号を受信すると、ステップS1において、ブラッシング区間駆動制御を行う。この処理において、基板14は、後述するモードに応じた強さの電流をモータ部12に供給する。ステップS2では、30秒経過したか否かを判断する。この処理において、基板14は、30秒経過したと判断した場合にはステップS3に処理を移す。ステップS3では、インターバル区間駆動制御を行う。この処理において、基板14は、後述するモードに応じた強さの電流をモータ部12に供給する。ステップS4では、3秒経過したか否かを判断する。この処理において、基板14は、3秒経過したと判断した場合にはステップS1に処理を移す。また、基板14は、スイッチ142より、電源をオフにする信号を受信すると、モータ部12への電流の供給を停止する。
【0030】
図10は、基板14のモータ部12に電流を供給するタイミングを説明する図である。
図10に示すように、基板14は、30秒間のブラッシング区間と3秒間のインターバル区間とのそれぞれの区間において、所定の強さの電流を所定のタイミングでモータ部12に供給し、ブラッシング区間とインターバル区間とを交互に繰り返す。
また、基板14は、モータ部12に供給する電流の強さと供給するタイミングが異なる3つのモードを有する。このモードには、Hモード、Sモード、Mモードの3つのモードがあり、使用者のスイッチ142の操作に応じて切り替えることが可能である。基板14(図8参照)は、スイッチ142から送信されたHモード、Sモード又はMモードのいずれかを示す信号に基づき、モータ部12への電流の供給を制御する。
【0031】
Hモードは、ブラッシング区間において所定の強さの電流(以降、Hモード電流と称する)を連続してモータ部12に供給し、インターバル区間においてHモード電流を0.15秒、Hモード電流の略60%の強さの電流(以降、Sモード電流と称する)を0.1秒、これらの電流を交互にモータ部12に供給する。
Sモードは、ブラッシング区間においてSモード電流を連続してモータ部12に供給し、インターバル区間においてHモード電流を0.15秒、Sモード電流を0.1秒、これらの電流を交互にモータ部12に供給する。
Mモードは、ブラッシング区間においてHモード電流を0.15秒、Sモード電流を0.2秒、これらの電流を交互にモータ部12に供給し、インターバル区間においてHモード電流を0.15秒、Sモード電流を0.1秒、これらの電流を交互にモータ部12に供給する。
【0032】
上記実施形態によれば、電動歯ブラシ1は、以下の作用効果を奏する。
電池収容部13において、電池ケース131は電池30を収容し、ケース係合部134は電池ケース131に固定され、略円筒形状の電池蓋135はハンドル11の後端の開口に係合し、把持部材136は、歯ブラシ本体10の後端に係合する電池蓋135の長手方向に直交する面に形成された底部において回転可能に設けられた把持部136aと、ケース係合部134と把持部136aが所定角度だけ回転することにより係合する蓋爪部136bと、を有する。
これにより、電池30を交換する等の理由により、電池蓋135をハンドル11の開口から離す場合は、歯ブラシ本体10の底部の把持部136aを回転させる。これにより、回転した把持部136aに伴い蓋爪部136bも回転し、蓋爪部136bとケース係合部134との係合が解除され、把持部136aを把持して電池蓋135をハンドル11の開口から引き抜くことで、電池蓋135をハンドル11の開口から離すことができる。
ここで、通常、電動歯ブラシの使用者は、ハンドルの側面を握って歯を磨く。よって、電動歯ブラシの使用者は、電動歯ブラシの使用中に、ハンドルの側面に触れることはあっても、ハンドルの底部に触れることはない。よって、電動歯ブラシの使用者が電動歯ブラシの使用中に、歯ブラシ本体の底部の把持部に触れることや、ましてや底部の把持部を回転させてしまうことはない。
したがって、電動歯ブラシの使用中に、誤って蓋を外すことを防止できる電動歯ブラシを提供できる。
【0033】
また、上記実施形態によれば、基板14は、第1の期間であるブラッシング区間と第2の期間であるインターバル区間とのそれぞれの区間において、所定の強さの電流を所定のタイミングでモータ部12に供給する。これにより、ブラッシング区間とインターバル区間とでブラシ部を回転運動の強さを異ならせることができる。
よって、電動歯ブラシ1の使用者は、ブラシ部20を回転運動の強さの変化により、ブラッシング区間からインターバル区間に移行したことを知ることができる。
また、基板14は、ブラッシング区間におけるモータ部12に供給する電流の強さがそれぞれ異なる複数のモードのいずれかでモータ部12の動作を制御する。これにより、ブラッシング区間におけるブラシ部を回転運動の強さを異ならせることができる。
したがって、磨く歯の部位に応じた強さで歯磨きを行い、この歯磨きを終了するタイミングを知らせることで、適切な歯磨きを可能とする電動歯ブラシを提供できる。
【0034】
また、上記実施形態によれば、シャフト121は、その先端側に、軸方向と直交する方向に突出する過回転防止突起121R,121Lを有し、モータカバー120は、シャフト121の過回転防止突起121R,121Lが形成された位置に、シャフト121に外部から所定の角度以上に回転させる力が加わった場合に、過回転防止突起121R,121Lが当接する過回転防止爪120R,120Lを有する。
これにより、使用者の使用の仕方によって、シャフト121に所定の角度以上に回転させる力が加わった場合に、シャフト121の過回転防止突起121R,121Lがモータカバー120の過回転防止爪120R,120Lに当接するので、シャフト121が所定の角度以上に回転するのを防止できる。
したがって、シャフトに所定の角度以上に回転させる力が加わったことに起因して破損するのを防止する電動歯ブラシを提供できる。
【0035】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0036】
1 電動歯ブラシ
10 歯ブラシ本体
11 ハンドル
13 電池収容部
131 電池ケース
134 ケース係合部
135 電池蓋
136 把持部
137 蓋爪部
139 オーリング
20 ブラシ部
30 電池

【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯ブラシ本体と、前記歯ブラシ本体の長手方向における先端に着脱可能に取り付けられたブラシ部とを備える電動歯ブラシにおいて、
前記歯ブラシ本体は、前記先端とは反対側に位置する後端が開口した筒状のハンドルと、前記ハンドルに収容され、前記ブラシ部を回転運動させるモータ部と、電池を収容し前記モータ部に電流を供給する電池収容部と、を備え、
前記電池収容部は、
前記電池を収容する電池ケースと、
前記電池ケースに固定されたケース係合部と、
前記ハンドルの前記後端の開口に係合する略円筒形状の電池蓋と、
前記歯ブラシ本体の前記後端に係合する前記電池蓋の前記長手方向に直交する面に形成された底部において回転可能に設けられた把持部と、前記ケース係合部と前記把持部が所定角度だけ回転することにより係合する蓋爪部と、を有する把持部材と、
前記電池蓋の外周壁に配置され、前記ハンドルの前記後端の開口に前記電池蓋が係合したときに、前記ハンドルの内壁に接するオーリングと、を備えた電動歯ブラシ。
【請求項2】
前記モータ部及び前記電池収容部に接続されモータ部の動作を制御する基板を、更に、備え、
前記基板は、第1の期間であるブラッシング区間と第2の期間であるインターバル区間とのそれぞれの区間において、所定の強さの電流を所定のタイミングでモータ部に供給し、
前記ブラッシング区間における前記モータ部に供給する電流の強さがそれぞれ異なる複数のモードのいずれかで前記モータ部の動作を制御する請求項1に記載の電動歯ブラシ。
【請求項3】
前記モータ部は、
その先端に前記ブラシ部が取り付けられるシャフトと、
前記シャフトを駆動する駆動部と、
前記シャフトが前後方向において貫通し、前記駆動部を収容するモータカバーと、を備え、
前記シャフトは、その先端側に、軸方向と直交する方向に突出する過回転防止突起を有し、
前記モータカバーは、前記シャフトの前記過回転防止突起が形成された位置に、前記シャフトに外部から所定の角度以上に回転させる力が加わった場合に、前記過回転防止突起が当接する過回転防止爪を有する請求項1又は2に記載の電動歯ブラシ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−165954(P2012−165954A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−31044(P2011−31044)
【出願日】平成23年2月16日(2011.2.16)
【出願人】(511041709)リースンテック有限公司 (2)
【出願人】(509017745)有限会社イーグルジャパン (3)
【Fターム(参考)】