説明

電動油圧バケット

【課題】可変容量ポンプを用いて、かつバケットの油圧ユニットベース径を小型化できるようにした電動油圧バケットを提供すること。
【解決手段】爪2を開閉操作する油圧ユニットとして、可変容量ポンプ5を用い、かつ可変容量ポンプ5の駆動用電動機6と可変容量ポンプ5とを上下位置に配設し、かつ可変容量ポンプ5と駆動用電動機6間を動力伝達機構7を介して接続するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動油圧バケットに関し、特に、可変容量ポンプを用いた電動油圧バケットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、都市ごみ焼却場等において、該焼却場に搬入される都市ごみや一般ごみは、一端ごみピット内に投入された後、該ごみピットからポリップ型電動油圧バケットにて所定量を掴持して焼却炉内に投入、焼却するようにしている。
このポリップ型電動油圧バケットは、一般には種々雑多な都市ごみを掴み易くするため、小型のバケットでは4本、大型のバケットでは8本の爪を備え、各爪を独立した油圧シリンダにて個別に開閉操作できるように構成し、これにより塵芥の形状に関わりなく、適確に効率よく荷役作業が行えるようにしている。
【0003】
ところで、このポリップ型電動油圧バケットは複数本の爪を個別に開閉操作できるよう、下部に複数本の爪を備えたバケットのバケットフレーム本体内に、爪開閉操作用のオイルタンクT、電動機Mにて駆動される油圧ポンプP、切替弁V、油圧シリンダ等からなる油圧ユニットを備えている。
従来のポリップ型電動油圧バケットにおける油圧ユニットAは、バケットの小型軽量化を図るため、図6〜図8に示すように、バケットフレーム本体内下部に配設したオイルタンクT上に油圧ポンプ駆動用の電動機Mを、そしてこの電動機にカップリングCを介して垂直に直結するようにして油圧ポンプPを、前記オイルタンク内に没するよう配設して構成している。
しかし、この方法ではバケットの油圧ユニットベースの小型化を図ることができても、油圧ポンプがオイルタンク内に没しているため、ポリップ型電動油圧バケットの組み立て後においては、爪による開閉速度、掴持力を調整するための油圧ポンプからの作動油の吐出量等を調節することができないという問題があった。
【0004】
また、油圧ポンプの吐出量を調節可能とした油圧装置としては、図9〜図10に示すように、可変容量ポンプを利用した油圧ユニットが提案されている。しかしながら、この可変容量ポンプの特性から鑑みて水平状態で使用しなければならないため、電動機Mと可変容量の油圧ポンプPとをカップリングCを介して水平に直結した構成となるため、図9に示すように、バケットのユニットベース径が従来よりも大きくなり、バケットフレーム本体が大きく、重量も増すという問題があり、バケットの小型軽量化には不利であり、かつ既存のポリップ型電動油圧バケットとの互換性がなく、経済的にも問題を有していた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来のポリップ型電動油圧バケットにおける油圧ユニットの有する問題点に鑑み、可変容量ポンプを用いて、かつバケットの油圧ユニットベース径を小型化できるようにした電動油圧バケットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の電動油圧バケットは、バケットを開閉操作する油圧ユニットとして、可変容量ポンプを用い、かつ該可変容量ポンプの駆動用電動機と可変容量ポンプとを上下位置に配設し、かつ可変容量ポンプと駆動用電動機間を動力伝達機構を介して接続するように構成したことを特徴とする。
ここで、「バケットを開閉操作する」には、ポリップ型電動油圧バケットの場合における複数本の爪を開閉操作することも含むものとする。
【0007】
この場合において、油圧ユニットをオイルタンク上に配設し、かつ上下2段の棚を有する油圧ユニット架台の上段棚に可変容量ポンプを、下段棚に駆動用電動機をそれぞれ配置するように構成することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の電動油圧バケットによれば、バケットを開閉操作する油圧ユニットとして、可変容量ポンプを用い、かつ該可変容量ポンプの駆動用電動機と可変容量ポンプとを上下位置に配設し、かつ可変容量ポンプと駆動用電動機間を動力伝達機構を介して接続するように構成することにより、小型化したバケットのユニットベースを用いて、水平位置で使用しなければならない可変容量ポンプを取り付けることができ、また、既設の電動油圧バケットの油圧ユニットを、可変容量ポンプを採用した油圧ユニットと簡易に交換することもできる。
【0009】
また、油圧ユニットをオイルタンク上に配設し、かつ上下2段の棚を有する油圧ユニット架台の上段棚に可変容量ポンプを、下段棚に駆動用電動機をそれぞれ配置するように構成することにより、上段に配設する可変容量ポンプの調節が迅速に、かつ簡易に行えるとともに、メンテナンスも容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の電動油圧バケットの実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0011】
図1〜図5に、本発明の電動油圧バケットの一実施例として、ポリップ型電動油圧バケットを示す。
ごみ焼却場等にて採用されるポリップ型電動油圧バケットBの外観を図1〜図3に示す。
このポリップ型電動油圧バケットBは、バケットフレーム本体Fの下部位置に配設される多角形の油圧ユニットベース1に、複数本の爪2をそれぞれ軸3を介して開閉可能に取り付け、かつバケットフレーム本体F内に収まるようにして爪開閉操作用の油圧ユニットAを配置して構成する。なお、各爪の開閉動作は各爪毎に配設される油圧シリンダ8にて行う。
【0012】
また、バケットフレーム本体Fの下方に配設される爪2は、図1に示すように、ごみ等の荷を掴持し易いような形状に形成されるとともに、ポリップ型電動油圧バケットBの大きさに応じた本数が定間隔に配置される。これは特に限定されるものではないが、例えば掴持量2m程度の小型では4本、掴持量30m程度の大型では8本配設され、各爪2は、油圧ユニットAからの作動油を開閉動作用の油圧シリンダ8に供給して個別に開閉動作するように構成される。
【0013】
油圧ユニットAは、図4〜図5に示すように、バケットフレーム本体F内に収納できる大きさと形状を有し、オイルタンク(図示省略)上に配設する油圧ユニット架台4に、上下2段の棚41、42を形成し、この上段の棚41に可変容量ポンプ5を、下段の棚42に駆動用電動機6をそれぞれ上下に対峙するようにして配置し、かつ可変容量ポンプ5と駆動用電動機6とを動力伝達機構7を介して接続するように構成する。
これにより、可変容量ポンプ5を水平状態にてバケットフレーム本体F内に取り付けられるので正常に作動させることができる。
この場合、油圧ユニット架台4及びこの油圧ユニット架台4に可変容量ポンプ5、駆動用電動機6を取り付けた際、その全体の大きさは、既設のポリップ型電動油圧バケットBのバケットフレーム本体F内に収まるようにして定めるものとする。
【0014】
また、動力伝達機構7は、特に限定されるものではなく、例えば、図示の実施例のように、可変容量ポンプ5及び駆動用電動機6の軸端にそれぞれプーリー71、72を配設し、この上下に対峙するプーリー71、72間にベルト73を張架して構成することができるほか、スプロケットホイールとチェンとの組み合わせ、或いは複数のギアの組み合わせなどにて構成することができる。
【0015】
なお、図示省略したが、油圧ユニット架台4の下方に配したオイルタンクと可変容量ポンプ5間及び該可変容量ポンプ5と油圧シリンダ8間をそれぞれ配管にて接続し、オイルタンクから油圧シリンダへ作動油の供給停止或いは作動油の戻しを切替弁にて選択的に切り替えて爪2の開閉動作を行うようにする。
【0016】
次に、この油圧ユニットの作用について説明する。
この油圧ユニットを、上下2段の棚41、42を形成した油圧ユニット架台4に、可変容量ポンプと駆動用電動機とを上下に分けて配置する。これにより、ユニットベースを小型化、バケットフレーム本体の小型軽量化することができ、さらには可変容量ポンプを常に水平にして、かつ上段側に可変容量ポンプを配設することができるので、ポリップ型電動油圧バケットを完全に組み立てた後、或いは使用状態においてもバケット外から簡易に可変容量ポンプの流量調整が可能となり、都市塵芥、一般塵芥などに応じて爪の把持力、把持速度を変更できるので幅広い塵芥の荷役作業に適するものとなる。
また、既存のポリップ型電動油圧バケットとの互換性もあるので、バケットフレーム本体を変更することなく容易に従来のポリップ型電動油圧バケットに可変容量ポンプを使用することができる。
【0017】
以上、本発明の電動油圧バケットを、ポリップ型電動油圧バケットの実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものであり、また、適用対象も、ポリップ型電動油圧バケットに限定されず、通常のバケットを備えた電動油圧バケットに適用できるものである。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明の電動油圧バケットは、可変容量ポンプを用いて、かつバケットの油圧ユニットベース径を小型化できるという特性を有していることから、ポリップ型電動油圧バケットに好適に用いることができるほか、通常のバケットを備えた電動油圧バケットにも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の電動油圧バケットの一実施例を示す正面図である。
【図2】同平面図である。
【図3】同爪の正面図である。
【図4】同油圧ユニットの正面図である。
【図5】同油圧ユニットの側面図である。
【図6】従来汎用されているポリップ型電動油圧バケットにおける油圧ユニットの説明図である。
【図7】図6の平面図である。
【図8】図6の正面図である。
【図9】可変容量ポンプを使用した従来の油圧ユニットの平面図である。
【図10】図9の正面図である。
【符号の説明】
【0020】
A 油圧ユニット
B ポリップ型電動油圧バケット
F バケットフレーム本体
1 油圧ユニットベース
2 爪(バケット)
3 軸
4 油圧ユニット架台
41 上段の棚
42 下段の棚
5 可変容量ポンプ
6 駆動用電動機
7 動力伝達機構
8 油圧シリンダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バケットを開閉操作する油圧ユニットとして、可変容量ポンプを用い、かつ該可変容量ポンプの駆動用電動機と可変容量ポンプとを上下位置に配設し、かつ可変容量ポンプと駆動用電動機間を動力伝達機構を介して接続するように構成したことを特徴とする電動油圧バケット。
【請求項2】
油圧ユニットをオイルタンク上に配設し、かつ上下2段の棚を有する油圧ユニット架台の上段棚に可変容量ポンプを、下段棚に駆動用電動機をそれぞれ配置するように構成したことを特徴とする請求項1記載の電動油圧バケット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−82016(P2008−82016A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−262819(P2006−262819)
【出願日】平成18年9月27日(2006.9.27)
【出願人】(000005452)株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)