説明

電動車両用制御装置

【課題】ニュートラルレンジにおけるアクセル踏込を誤操作として警告する。
【解決手段】ハイブリッド制御装置1は、シフト位置認識部21と、警告制御部24とを備える。警告制御部24は、ナビゲーション制御装置16から得られる情報に基づいて車両が交差点で停車していることを判定する。シフト位置認識部21は、シフト入力器9からの信号に基づいてシフトレンジを認識する。さらに、警告制御部24は、アクセルセンサ6からの信号に基づいて、車両の利用者によってアクセルペダルが踏み込まれたことを検出する。警告制御部24は、車両が交差点に停車しているときに、シフトレンジが何らかの理由によってニュートラルレンジに切り替わり、さらに、利用者によってアクセルが踏み込まれると、メータ制御装置14および/またはナビゲーション制御装置16によって、視覚的および/または聴覚的な警告を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行用の電動機を備える車両のための電動車両用制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、電動車両が始動状態にあることを、キースイッチの振動によって知らせる装置を開示している。このような装置は、静かな電動車両に用いて好適である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−6437号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電動車両においては、エンジンが回転していない状態下で、電動機だけで走行を開始する場合がある。この場合、電動車両がニュートラル状態にあると、利用者は電動車両が走行できないことを体感できないまま、アクセル装置を操作するおそれがある。このような誤操作は、利用者に早期に知らせることが望ましい。
【0005】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、電動車両における特有の誤操作を利用者に認識させることができる電動車両用制御装置を提供することである。
【0006】
本発明の他の目的は、電動車両がニュートラルレンジにあるときに利用者がアクセル装置を操作したことを、利用者に確実に認識させることができる電動車両用制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記目的を達成するために以下の技術的手段を採用する。
【0008】
請求項1に記載の発明は、電動機(2)によって発進することができる車両が発進不能な状態にあることを判定する判定手段(7、8、16、160、171、9、21、172)と、車両の利用者による発進要求を検出する検出手段(6、173)と、車両が発進不能な状態にあり、かつ検出手段によって発進要求が検出されたことに応答して、警告を出力する警告制御手段(14−18、24、174、175、180)とを備えることを特徴とする。
【0009】
この構成によると、電動車両が発進できない状態にあるにもかかわらず、発進要求が検出されると、警告が出力される。電動車両においては、発進可能な状態であることを振動、騒音などによって体感することが困難である。しかし、この構成によると、上記誤操作を警告するから、利用者は誤操作を知ることができる。この結果、利用者に正規の操作を促すことができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、判定手段は、車両が停車していることを判定する停車判定手段(7、8、16、160、171)と、車両のシフトレンジがニュートラルレンジにあることを判定するシフト判定手段(9、21、172)とを備えることを特徴とする。この構成によると、電動車両が停車し、かつシフトレンジがニュートラルレンジにあるときに、電動車両が発進不能な状態にあることが判定される。
【0011】
請求項3に記載の発明は、検出手段(6、173)は、車両の利用者によるアクセル装置の操作を検出する手段であることを特徴とする。この構成によると、アクセル装置の操作に基づいて、利用者による発進要求が検出される。
【0012】
請求項4に記載の発明は、警告制御手段(24、174、175、180)は、車両が停車し、シフトレンジがニュートラルレンジにあり、かつアクセル装置が操作されると、警告を出力することを特徴とする。この構成によると、電動車両が停車し、シフトレンジがニュートラルレンジにあり、かつアクセル装置が操作されると、警告が出力される。
【0013】
請求項5に記載の発明は、停車判定手段(162)は、車両の速度が所定値を下回る状態が所定時間を上回って継続しているときに停車を判定する手段であることを特徴とする。この構成によると、車両が安定的な停車状態であるときに誤操作が検出される。
【0014】
請求項6に記載の発明は、停車判定手段(161)は、ナビゲーション制御装置(16)から得られる情報に基づいて、車両が交差点に位置しているときに停車を判定する手段であることを特徴とする。この構成によると、車両が再び発進する可能性が高い交差点において誤操作が検出される。
【0015】
請求項7に記載の発明は、シフト判定手段(172)は、停車判定手段によって車両の停車が判定されているときに、シフトレンジがニュートラルレンジに切り替わったことを判定する手段であることを特徴とする。この構成によると、停車中にシフトレンジがニュートラルレンジに切り替わった場合に、誤操作が検出される。
【0016】
請求項8に記載の発明は、警告制御手段(16、18、24、183)は、警告音を出力することを特徴とする。この構成によると、警告を音によって与えることができる。
【0017】
請求項9に記載の発明は、警告制御手段(16、18、24、183)は、車両内の音が大きくなるほど、警告音の音量を大きく調節することを特徴とする。この構成によると、車両内の音が大きくなるほど、警告音の音量が大きく調節されるから、利用者に確実に警告音を届けることができる。
【0018】
請求項10に記載の発明は、警告制御手段(16、18、24、183)は、警告音の音量を、ナビゲーション装置および/またはオーディオ装置の音量に応じて大きく調節することを特徴とする。この構成によると、ナビゲーション装置および/またはオーディオ装置の音があっても、利用者に警告音を届けることができる。
【0019】
請求項11に記載の発明は、警告制御手段(16、18、24、183)は、警告音の音量を、車両の窓の開閉に応じて調節することを特徴とする。この構成によると、窓が開いていることによって車外の音が進入するときにも、利用者に警告音を届けることができる。
【0020】
請求項12に記載の発明は、警告制御手段(16、18、24、183)は、警告音の音量を、車両に搭載された内燃機関の運転または停止に応じて調節することを特徴とする。この構成によると、電動車両に搭載された内燃機関の騒音があっても、利用者に警告音を届けることができる。
【0021】
請求項13に記載の発明は、警告制御手段(14、15、16、17、24、183)は、警告表示を出力することを特徴とする。この構成によると、警告を視覚的に与えることができる。
【0022】
請求項14に記載の発明は、警告制御手段(14、15)は、メータ装置に警告表示を出力することを特徴とする。この構成によると、利用者が視認しやすいメータ装置に警告表示を出力することができる。
【0023】
請求項15に記載の発明は、警告制御手段(14、15)は、文字により警告表示を出力することを特徴とする。この構成によると、誤操作を文字によって知らせることができる。
【0024】
請求項16に記載の発明は、警告制御手段(14、15)は、シフトレンジを表示するシフト表示器により警告表示を出力することを特徴とする。この構成によると、シフトレンジに関連する誤操作をシフト表示器によって知らせることができる。
【0025】
請求項17に記載の発明は、警告制御手段(14、15)は、シフト表示器の点滅により警告表示を出力することを特徴とする。この構成によると、シフト表示器の点滅によって誤操作を知らせることができる。
【0026】
請求項18に記載の発明は、警告制御手段(14、15)は、シフト表示器の表示色により警告表示を出力することを特徴とする。この構成によると、シフト表示器の表示色によって誤操作を知らせることができる。
【0027】
なお、特許請求の範囲および上記手段の項に記載した括弧内の符号は、ひとつの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明を適用した第1実施形態に係る電動車両のための制御システムを示すブロック図である。
【図2】第1実施形態の警告制御処理を示すフローチャートである。
【図3】第1実施形態の警告制御処理を示すフローチャートである。
【図4】第1実施形態の警告制御処理を示すフローチャートである。
【図5】第1実施形態の警告制御処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組合せが可能であることを明示している部分同士の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、明示してなくとも実施形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
【0030】
(第1実施形態)
図1には、本発明を適用した電動車両用制御装置1を含む電動車両のための制御システムが図示されている。車両は、少なくとも一時的に電動機から走行用の動力を供給する電動車両である。電動車両は、走行用動力源として機能する発電電動機(MG)2を備える。発電電動機2は、車両の駆動輪を駆動するとき電動機として機能する。発電電動機2は、車両の駆動輪に制動力を与えるとき、または車両に搭載された内燃機関によって回転駆動されるとき発電機として機能する。電動車両は、走行用動力源として発電電動機2のみを備えるいわゆる電気自動車、または、発電電動機2に加えて、走行用動力源として内燃機関も備えるいわゆるハイブリッド自動車である。
【0031】
電動車両は、発電電動機2を制御する駆動装置3を備える。駆動装置3は、電池およびインバータ回路を含む。電動車両には、車内に情報通信用の回線4が敷設されている。回線4は、例えば、LAN(Local Area Network)またはCAN(Controller Area Network)と呼ばれる通信システムによって提供される。
【0032】
電動車両は、駆動装置3に関連する制御を実行する制御システムを備える。制御システムは、ハイブリッド制御装置5を備える。ハイブリッド制御装置5は、駆動装置3を制御することにより、車両の走行状態を制御する。さらに、ハイブリッド制御装置5は、電動車両用制御装置1としての中心的な制御装置として構成されている。例えば、ハイブリッド制御装置5は、利用者による誤操作を利用者に対して警告する電動車両用の警告装置としての制御も実行する電動車両は、複数のセンサ機器を備える。センサ機器は、アクセルセンサ6、ブレーキセンサ7、車速センサ8、シフト入力器9、パーキングスイッチ11を備える。アクセルセンサ6は、車両の利用者が操作するアクセル装置の操作量を検出する。例えば、アクセルセンサ6は、利用者が操作するアクセルペダルの踏込量を検出する。ブレーキセンサは、車両の利用者が操作する制動装置の操作量を検出する。例えば、ブレーキセンサ7は、利用者が操作するブレーキペダルの踏込量を検出する。車速センサ8は、車両の走行速度を検出する。
【0033】
シフト入力器9は、利用者によって操作されるシフトレバー10を備える。シフトレバー10は、複数のシフト状態のいずれかひとつを選択するように操作可能である。例えば、シフトレバー10は、図示されるホームポジションから、図中に矢印によって図示されるように、下方向、横方向、横上方向、横下方向へ操作可能である。シフト入力器9は、複数のシフトレンジに対応する操作位置N、D、R、Bを備える。シフト入力器9は、利用者によるシフトレバー10の操作を検出し、シフトレバー10の操作位置、すなわち利用者が要求するシフト状態を示す信号を出力する。
【0034】
シフト位置Nは、ニュートラルレンジである。シフト入力器9が位置Nに操作されると、ハイブリッド制御装置5は、いわゆるニュートラルレンジの制御を実行する。駆動装置3は、動力源から駆動輪への動力伝達を遮断するように制御される。シフト位置Dは、ドライブレンジである。シフト入力器9が位置Dに操作されると、ハイブリッド制御装置5は、いわゆるドライブレンジの制御を実行する。駆動装置3は、動力源から駆動輪への動力伝達を許容し、車両が前進するように制御される。シフト位置Rは、リバースレンジである。シフト入力器9が位置Rに操作されると、ハイブリッド制御装置5は、いわゆるリバースレンジの制御を実行する。駆動装置3は、動力源から駆動輪への動力伝達を許容し、車両が後退するように制御される。シフト位置Bは、ブレーキレンジである。シフト入力器9が位置Rに操作されると、ハイブリッド制御装置5は、いわゆるブレーキレンジの制御を実行する。駆動装置3は、動力源と駆動輪とを連結することにより、駆動源が駆動輪に制動力を与えるように制御される。例えば、長い下り坂などで、制動装置への負担を減らすために利用される。
【0035】
パーキングスイッチ11は、利用者によって操作されるスイッチである。ハイブリッド制御装置5は、パーキングスイッチ11が操作されると、車両の駆動装置3を機械的に拘束し、車両の移動を禁止するパーキングロック制御を実行する。制御システムは、パーキング制御装置12を備える。パーキング制御装置12は、ハイブリッド制御装置5からの指令に応答して、パーキングロック装置13を制御する。パーキングロック装置13は、駆動装置3を機械的に拘束する装置である。パーキングロック装置13は、パーキング制御装置12からの指令に応答して、駆動装置3を拘束する拘束状態と、拘束を解除した解除状態とを切り替える。パーキング制御装置12は、パーキングスイッチ11に設けられたインジケータランプの点灯、消灯を制御することによって、パーキングロック装置13の作動状態を利用者に知らせる。
【0036】
電動車両は、車両の状態を利用者に知らせるための通知装置を備える。通知装置は、メータ制御装置14と、表示器15とを備える。メータ制御装置14は、回線4に接続されている。メータ制御装置14は、車両の走行速度、内燃機関の回転数、走行用バッテリの充電状態などの車両状態を回線4から入力する。メータ制御装置14は、車両状態が表示されるように表示器15を制御する。表示器15は、シフトレンジを表示するためのシフト表示器と、車両の特定の状態を警告するための警告用インジケータと、文字情報を表示するための文字表示器とを備える。表示器15は、シフト表示器と、警告用インジケータと、文字表示器との少なくともひとつを備えるように構成することができる。
【0037】
さらに、電動車両は、通知装置として、ナビゲーション制御装置16、液晶などの画像表示が可能なディスプレイ装置17、および、警告音および/または警告音声を発生することができるスピーカ18を備える。ナビゲーション制御装置16は、回線4に接続されている。ディスプレイ装置17は、記号等による警告表示、および/または文字による警告表示が可能である。表示器15、ディスプレイ17、および/またはスピーカ18は、ハイブリッド制御装置5からの要求に応答して視覚的、および/または聴覚的な警告を実行する。
【0038】
ナビゲーション制御装置16は、GPSなどと呼ばれる衛星航法または自律航法に基づいて自車の位置を検出する自車位置検出機能を備える。さらに、ナビゲーション制御装置16は、地図上における自車の位置を特定する地図上位置認識機能を備える。特に、ナビゲーション制御装置16は、自車の位置が、交差点など一時停止の可能性がある場所であるか否かを判定する機能を備える。さらに、ナビゲーション制御装置16は、回線4を介して、自車位置などを示す信号をハイブリッド制御装置5に送信することができる。ナビゲーション制御装置16は、オーディオ制御装置を兼ねており、車内におけるCDなどの記憶媒体からの音楽再生、またはラジオなどの放送の音量を制御可能に構成されている。
【0039】
複数の制御装置は、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体を備えるマイクロコンピュータによって提供される。記憶媒体は、コンピュータによって読み取り可能なプログラムを非一時的に格納している。記憶媒体は、半導体メモリまたは磁気ディスクによって提供されうる。プログラムは、制御装置によって実行されることによって、制御装置をこの明細書に記載される装置として機能させ、この明細書に記載される制御方法を実行するように制御装置を機能させる。制御装置が提供する手段は、所定の機能を達成する機能的ブロック、またはモジュールとも呼ぶことができる。
【0040】
ハイブリッド制御装置5は、シフト位置認識部21、駆動制御部22、パーキング制御部23、および警告制御部24を備える。シフト位置認識部21は、シフト入力器9からの信号に基づいて、現在のシフトレンジを認識し、特定する。駆動制御部22は、シフト位置認識部21によって認識されたシフトレンジに応じて、駆動装置3を制御する。パーキング制御部23は、パーキングスイッチ11からの信号に基づいて、パーキング制御装置12を制御する。警告制御部24は、利用者が実行した誤操作を検出し、誤操作があったことを利用者に対して通知する。警告制御部24は、車両が走行可能な状態ではないにもかかわらず、車両の走行を要求したことを誤操作として検出し、この検出に応答して警告を出力する警告制御手段を提供する。
【0041】
例えば、警告制御部24は、車両が再度走行を開始する可能性のある停車中であることと、シフト位置認識部21によってニュートラルレンジにあることが認識されるときに、電動車両が走行不能な状態であることを判定する。車両が停車中であることは、利用者が制動装置を作動させていることによって判定することができる。また、車両が停車中であることは、ナビゲーション制御装置16から与えられた情報によって車両が交差点に停車していることが示されていることによって判定することができる。さらに、シフトレンジがニュートラルレンジにあることは、シフト位置認識部21によって認識されている現在のシフトレンジがニュートラルレンジであることによって判定できる。また、シフト位置認識部21によってドライブレンジからニュートラルレンジへの切替が検出されたときに、シフトレンジがニュートラルレンジにあることを判定してもよい。具体的には、車両が停車中に、シフト位置認識部21によってドライブレンジまたはリバースレンジからニュートラルレンジへの切替が検出された場合に、車両が走行不能な状態であることを判定することができる。例えば、警告制御部24は、利用者がアクセル装置を操作した場合に、その利用者が車両の走行を要求したことを判定することができる。
【0042】
図2は、警告制御部24によって実行される処理150を示すフローチャートである。ステップ160では、車両の停止状態が判定される。ステップ170では、誤操作に対する警告が必要か否かを判定する。ステップ180では、視覚的、および/または聴覚的な警告を実行する。
【0043】
図3は、停止状態の判定処理160を示すフローチャートである。ステップ161では、ナビゲーション制御装置16から与えられた情報に基づいて車両が交差点に停車しているか否かを判定する。車両が交差点に停車しているとき、車両は、再度走行することを期待されている可能性が高いといえる。ステップ161は、ナビゲーション制御装置16から得られる情報に基づいて、車両が交差点に位置しているときに停車を判定する停車判定手段を提供する。車両が交差点で停車していると判定されると、ステップ164へ進む。車両が交差点で停車していない場合、ステップ162へ進む。
【0044】
ステップ162では、車速センサ8からの信号に基づいて、車両が一時停車状態であるか否かを判定する。ステップ162では、車速センサ8から得られた車速が0km/hである状態が所定時間以上継続したか否かを判定する。ステップ162は、車両の速度が所定値を下回る状態が所定時間を上回って継続しているときに停車を判定する停車判定手段を提供する。ステップ162の判定が肯定判定されるとステップ164へ進む。ステップ162の判定が否定判定されるとステップ163へ進む。
【0045】
ステップ163では、車両状態は停車状態ではないと決定する。ステップ164では、車両状態は停車中であると決定する。ステップ161とステップ162とを含む処理160は、車両が停車していることを判定する停車判定手段を提供する。
【0046】
図4は、警告判定処理170を示すフローチャートである。ステップ171では、処理160によって得られた車両状態が停車中か否かを判定する。ステップ171で肯定判定されるとステップ172へ進む。ステップ171で否定判定されるとステップ175へ進む。
【0047】
ステップ172では、シフト位置認識部21によって、ドライブレンジDまたはリバースレンジRからニュートラルレンジNへの切替が検出されたか否かを判定する。ここでは、ステップ171によって車両が停車中であると判定されている期間中に、何らかの理由によって、シフトレンジがニュートラルレンジNへ切換えられたことが検出される。ステップ172は、停車判定手段によって車両の停車が判定されているときに、シフトレンジがニュートラルレンジNに切り替わったことを判定するシフト判定手段を提供する。ステップ172は、車両のシフトレンジがニュートラルレンジNにあることを判定するシフト判定手段を提供している。ステップ171とステップ172とは、電動機2によって発進することができる車両が発進不能な状態にあることを判定する判定手段を提供している。ステップ172で肯定判定されるとステップ173へ進む。ステップ172で否定判定されるとステップ175へ進む。
【0048】
ステップ173では、利用者によってアクセル装置が操作されたか否かを判定する。具体的には、アクセルセンサ6からの信号に基づいて、アクセルペダルが踏み込まれたか否かを判定する。ステップ173は、車両の利用者による発進要求を検出する検出手段を提供している。ステップ173で肯定判定されるとステップ174へ進む。ステップ173で否定判定されるとステップ175へ進む。
【0049】
ステップ174では、警告要求を「あり」と決定する。ステップ175では、警告要求を「なし」と決定する。よって、車両が停車中であり、その停車中にシフトレンジがニュートラルレンジNに切替えられ、さらに、アクセルが踏み込まれた場合に、警告要求が「あり」に決定される。一方、いずれかの条件が満たされない場合、警告要求は「なし」に決定される。
【0050】
図5は、警告処理180を示すフローチャートである。ステップ181では、警告判定処理170により決定された警告要求が「あり」か否かを判定する。ステップ181で肯定判定されるとステップ182へ進む。ステップ181で否定判定されると処理を終了する。ステップ182とステップ183とは、利用者に視覚的および/または聴覚的な警告を与える警告出力部を提供する。視覚的および/または聴覚的な警告は、ハイブリッド制御装置5は以下に述べる特徴を実現するための機能部分、または手段を備えることができる。
【0051】
ステップ182では、視覚的な警告を出力する。ここでは、警告表示が出力される。視覚的な警告は、以下に述べる特徴の少なくともひとつをもつ態様によって実行することができる。複数の特徴は、同時に、または時間的にずらして実行することができる。
【0052】
1.警告表示は、メータ装置の表示器15によって実行することができる。利用者からの視認性に優れた位置に設置された表示器15を利用することにより、警告を利用者に正確に伝えることができる。
【0053】
2.警告表示は、警告用インジケータの点灯、または点滅によって実行することができる。
【0054】
3.警告表示は、シフト表示器の表示状態を変化させることによって実行することができる。例えば、シフト表示器の表示状態を点滅させることができる。具体的には、ニュートラルレンジNにあることを示すNの文字表示を、点滅させることができる。また、シフト表示器の表示色を変化させることができる。具体的には、Nの文字表示を、オレンジまたは赤色に変化させることができる。この構成によると、シフトレンジ、特にニュートラルレンジに関連する誤操作をシフト表示器によって知らせることができる。
【0055】
4.警告表示は、文字表示器によって実行することができる。例えば、文字表示器によって、誤操作の内容を表示することができる。
【0056】
5.警告表示は、ナビゲーション装置のディスプレイ装置17に表示することができる。例えば、ディスプレイ装置17に所定の記号を表示させることにより、または誤操作の内容を示す文字を表示することにより実行することができる。
【0057】
6.警告表示は、ステップ160−173によって警告要求が「あり」と決定されている期間だけ表示することができる。
【0058】
7.警告表示は、ステップ160−173によって警告要求が「あり」と決定されてから所定の時間だけ継続して表示することができる。
【0059】
ステップ183では、聴覚的な警告を出力する。ここでは、警告音が出力される。聴覚的な警告は、以下に述べる特徴の少なくともひとつをもつ態様によって実行することができる。複数の特徴は、同時に、または時間的にずらして実行することができる。
【0060】
1.警告音出力は、音声によって実行することができる。例えば、誤操作の内容を示す音声がスピーカ18から出力される。
【0061】
2.警告音出力は、ブザー音によって実行することができる。
【0062】
3.警告音の音量は、車両内の他の音が大きくなるほど、警告音の音量を大きく調節することができる。この構成によると、車両内の音が大きくなるほど、警告音の音量が大きく調節されるから、利用者に確実に警告音を届けることができる。車両内の音には、車両に搭載された機器、例えばナビゲーション装置および/またはオーディオ装置の音、窓から入ってくる車外の音、車両に搭載された内燃機関の音などが含まれる。さらに、警告音の音量は、車両内の他の音量よりも大きくなるように調節することができる。
【0063】
4.警告音の音量は、ナビゲーション装置および/またはオーディオ装置によって出力される音量よりも大きくなるように調節することができる。この構成によると、ナビゲーション装置および/またはオーディオ装置の音量に勝る警告音を提供することができる。
【0064】
5.警告音の音量は、車両の窓の開閉状態に応じて変化するように調節することができる。例えば、窓が開いていると、車外の騒音が入ってくるから、車両の窓が開いているときには、警告音の音量は、窓が閉じているときの警告音の音量より大きくなるように調節することができる。この構成によると、窓が開いていることによって車外の音が進入するときにも、車外の音に勝る警告音を提供することができる。
【0065】
6.警告音の音量は、内燃機関の騒音に応じて変化するように調節することができる。例えば、内燃機関が運転されているときは、内燃機関の騒音が車内にも漏れるから、内燃機関が運転されているときには、警告音の音量は、内燃機関が停止しているときの警告音の音量よりも大きくなるように調節することができる。この構成によると、電動車両に搭載された内燃機関の騒音に勝る警告音を提供することができる。
【0066】
以上に述べたように、この実施形態によると、電動車両が走行不能な状態にあるにもかかわらず、利用者が電動車両の発進を要求した場合、そのような誤操作を利用者に対して知らせることができる。
【0067】
(他の実施形態)
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能である。上記実施形態の構造は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこれらの記載の範囲に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むものである。
【0068】
例えば、制御装置が提供する手段と機能は、ソフトウェアのみ、ハードウェアのみ、あるいはそれらの組合せによって提供することができる。例えば、制御装置をアナログ回路によって構成してもよい。
【0069】
また、上記実施形態では、ナビゲーション制御装置16を備える電動車両に本発明を適用した。これに代えて、ナビゲーション制御装置16を備えない電動車両に本発明を適用してもよい。この場合、ステップ161の処理は実行されることなくステップ162が実行される。
【0070】
また、上記実施形態では、ステップ161またはステップ162のいずれか一方が肯定判定されると、停車中が決定される。これに代えて、ステップ161およびステップ162の両方が肯定判定された場合に、停車中を決定するように構成してもよい。この構成によると、車両が交差点において信号待ちのために停車しているときにのみ、停車中が判定される。この構成では、ステップ161によって車両が再度の発進が必要な場所にあるか否かを判定する手段が提供される。また、ステップ162によって車両が停車状態にあるか否かを判定する手段が提供される。この構成によると、駐車場における停車のように、再度の発進の可能性が低い場所において警告が出力されることが回避される。
【0071】
また、上記実施形態では、視覚的な警告と聴覚的な警告との両方を実行したが、それらの一方だけを実行してもよい。
【符号の説明】
【0072】
1 電動車両用制御装置、 2 発電電動機、 3 駆動装置、 4 回線、 5 ハイブリッド制御装置、 6 アクセルセンサ、 7 ブレーキセンサ、 8 車速センサ、 9 シフト入力器、 10 シフトレバー、11 パーキングスイッチ、12 パーキング制御装置、13 パーキングロック装置、14 メータ制御装置、15 表示器、16 ナビゲーション制御装置、17 ディスプレイ、18 スピーカ、21 シフト位置認識部、22 駆動制御部、23 パーキング制御部、24 警告制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動機(2)によって発進することができる車両が発進不能な状態にあることを判定する判定手段(7、8、16、160、171、9、21、172)と、
前記車両の利用者による発進要求を検出する検出手段(6、173)と、
前記車両が発進不能な状態にあり、かつ前記検出手段によって発進要求が検出されたことに応答して、警告を出力する警告制御手段(14−18、24、174、175、180)とを備えることを特徴とする電動車両用制御装置。
【請求項2】
前記判定手段は、
前記車両が停車していることを判定する停車判定手段(7、8、16、160、171)と、
前記車両のシフトレンジがニュートラルレンジにあることを判定するシフト判定手段(9、21、172)とを備えることを特徴とする請求項1に記載の電動車両用制御装置。
【請求項3】
前記検出手段(6、173)は、前記車両の利用者によるアクセル装置の操作を検出する手段であることを特徴とする請求項2に記載の電動車両用制御装置。
【請求項4】
前記警告制御手段(24、174、175、180)は、前記車両が停車し、前記シフトレンジがニュートラルレンジにあり、かつ前記アクセル装置が操作されると、警告を出力することを特徴とする請求項3に記載の電動車両用制御装置。
【請求項5】
前記停車判定手段(162)は、前記車両の速度が所定値を下回る状態が所定時間を上回って継続しているときに停車を判定する手段であることを特徴とする請求項2から請求項4のいずれかに記載の電動車両用制御装置。
【請求項6】
前記停車判定手段(161)は、ナビゲーション制御装置(16)から得られる情報に基づいて、前記車両が交差点に位置しているときに停車を判定する手段であることを特徴とする請求項2から請求項5のいずれかに記載の電動車両用制御装置。
【請求項7】
前記シフト判定手段(172)は、前記停車判定手段によって前記車両の停車が判定されているときに、前記シフトレンジが前記ニュートラルレンジに切り替わったことを判定する手段であることを特徴とする請求項2から請求項6のいずれかに記載の電動車両用制御装置。
【請求項8】
前記警告制御手段(16、18、24、183)は、警告音を出力することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の電動車両用制御装置。
【請求項9】
前記警告制御手段(16、18、24、183)は、前記車両内の音が大きくなるほど、前記警告音の音量を大きく調節することを特徴とする請求項8に記載の電動車両用制御装置。
【請求項10】
前記警告制御手段(16、18、24、183)は、前記警告音の音量を、ナビゲーション装置および/またはオーディオ装置の音量より大きく調節することを特徴とする請求項9に記載の電動車両用制御装置。
【請求項11】
前記警告制御手段(16、18、24、183)は、前記警告音の音量を、前記車両の窓の開閉に応じて調節することを特徴とする請求項9に記載の電動車両用制御装置。
【請求項12】
前記警告制御手段(16、18、24、183)は、前記警告音の音量を、前記車両に搭載された内燃機関の運転または停止に応じて調節することを特徴とする請求項9に記載の電動車両用制御装置。
【請求項13】
前記警告制御手段(14、15、16、17、24、183)は、警告表示を出力することを特徴とする請求項1から請求項12のいずれかに記載の電動車両用制御装置。
【請求項14】
前記警告制御手段(14、15)は、メータ装置に前記警告表示を出力することを特徴とする請求項13に記載の電動車両用制御装置。
【請求項15】
前記警告制御手段(14、15)は、文字により前記警告表示を出力することを特徴とする請求項13に記載の電動車両用制御装置。
【請求項16】
前記警告制御手段(14、15)は、シフトレンジを表示するシフト表示器により前記警告表示を出力することを特徴とする請求項13に記載の電動車両用制御装置。
【請求項17】
前記警告制御手段(14、15)は、前記シフト表示器の点滅により前記警告表示を出力することを特徴とする請求項16に記載の電動車両用制御装置。
【請求項18】
前記警告制御手段(14、15)は、前記シフト表示器の表示色により前記警告表示を出力することを特徴とする請求項16に記載の電動車両用制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−106441(P2013−106441A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−248992(P2011−248992)
【出願日】平成23年11月14日(2011.11.14)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】