電子コンテンツの公開範囲制御システム
【課題】ユーザごとに設定された範囲において電子コンテンツの試聴を可能にするための電子コンテンツの公開範囲制御システムを提供する。
【解決手段】S40にて動画保存部5を参照し、試聴を要求された動画ID以外の動画について、購入者リストに当該購入者IDが保存されている動画IDを抽出する。S41にてキーワード保存部7を参照し、抽出された全ての動画IDに含まれるキーワードを抽出する。S42にてキーワード保存部7を参照し、抽出されたキーワードが、試聴を要求された動画IDのキーワードに保存されている場合、キーワード保存部7に保存されている部分IDを抽出する。S43にて、動画保存部5に保存されている開始位置を参照して抽出された部分を部分ID順に整列し、動画ファイルから当該部分を抽出してつなぎ合わせた動画ファイルを試聴コンテンツとして作成する。S44にて、作成した試聴コンテンツをユーザ端末に送信して終了する。
【解決手段】S40にて動画保存部5を参照し、試聴を要求された動画ID以外の動画について、購入者リストに当該購入者IDが保存されている動画IDを抽出する。S41にてキーワード保存部7を参照し、抽出された全ての動画IDに含まれるキーワードを抽出する。S42にてキーワード保存部7を参照し、抽出されたキーワードが、試聴を要求された動画IDのキーワードに保存されている場合、キーワード保存部7に保存されている部分IDを抽出する。S43にて、動画保存部5に保存されている開始位置を参照して抽出された部分を部分ID順に整列し、動画ファイルから当該部分を抽出してつなぎ合わせた動画ファイルを試聴コンテンツとして作成する。S44にて、作成した試聴コンテンツをユーザ端末に送信して終了する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークを介して公開する電子コンテンツの公開範囲を制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、Amazon(登録商標)やiTunes(登録商標)など、インターネット上で書籍や音楽、動画などの電子コンテンツを購入できるサービスが存在する。これらのサービスにおいて、ユーザは未購入のコンテンツの内容であっても、事前に閲覧・試聴する(以下、試聴と呼ぶ)ことができる。ユーザにとって試聴は、購入するかどうかの判断材料に有用であるというメリットがある。また、著作権者にとっては、そのコンテンツの魅力をユーザに伝え、購入意欲を増す事が期待できるというメリットがある。
【0003】
しかし、無料でコンテンツの大部分を公開してしまうと、ユーザはそのコンテンツを購入する動機が薄れるため、コンテンツの著作権者は小範囲の一部分のみを公開することが多い(書籍の目次や、音楽、動画の開始から数十秒など)。
【0004】
コンテンツの一部分を公開する先行技術としては、コンテンツの部分ごとにアクセス権を設定することや、コンテンツの一部分を隠してユーザに表示する技術が示されている(特許文献1、2参照)。
【0005】
また、Web上の掲示板で、管理者に承認された会員以外のユーザはその掲示板を閲覧することができないように非公開となっている場合がある。非公開のWeb掲示板においても、会員以外にその一部分を公開すること(試聴)は、ユーザが会員となるかどうかの判断材料として有用であり、また、管理者がその掲示板の魅力をユーザに伝えることで参加意欲を増し、会員を増加させることができるメリットがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−032652号公報
【特許文献2】特開2004−326642号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら従来のこうしたサービスにおいて、試聴のためのコンテンツの公開範囲は、著作権者などコンテンツの管理者が決定するため、すべてのユーザに対して同一となり、各ユーザの興味や過去の行動を考慮した適切な公開範囲を設定することができなかった。
【0008】
また、試聴のための公開範囲は一律に小範囲とならざるを得ず、試聴によって購入意欲や参加意欲を刺激するというメリットを得ることは難しかった。
【0009】
本発明の目的は、上記に鑑みてなされたものであり、ユーザごとに設定された範囲において電子コンテンツの試聴を可能にするための電子コンテンツの公開範囲制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために請求項1に記載の本発明は、ネットワークを介して複数のコンテンツを管理者が複数のユーザへ公開する範囲をそれぞれ制御するための電子コンテンツの公開範囲制御システムにおいて、複数の前記コンテンツを識別するためのコンテンツIDと、複数の前記ユーザを識別するためのユーザIDと、前記ユーザが自身の前記ユーザIDを入力してログインするためのログイン手段(例えば、図10に記載のステップS10に対応する。)と、前記コンテンツを複数の部分に分割するためのコンテンツ分割手段(例えば、図2に記載のステップS3に対応する。)と、前記分割された部分ごとに含まれる特徴語を抽出するための特徴語抽出手段(例えば、図8に記載のステップS31〜S34に対応する。)と、前記コンテンツIDごとに前記部分に分割された前記コンテンツと、前記部分に含まれる特徴語と、当該コンテンツの出力を許可する前記ユーザの前記ユーザIDと、を共に記憶するためのコンテンツ記憶手段(例えば、図7に記載の動画保存部5とキーワード保存部7とを合わせたものに対応する。)と、前記ユーザあるいは前記管理者が出力する前記コンテンツの前記コンテンツIDを含む出力要求を入力するための出力要求入力手段(例えば、図10に記載のステップS13に対応する。)と、前記出力要求に含まれる前記コンテンツIDに対して前記ログイン手段に入力された前記ユーザIDが出力を許可する前記ユーザとして前記コンテンツ記憶手段に記憶されていない場合には、当該ユーザIDが出力を許可するユーザとして記憶されている前記コンテンツIDを前記コンテンツ記憶手段から抽出し、前記抽出された前記コンテンツIDの各部分に含まれる前記特徴語を前記コンテンツ記憶手段から抽出し、前記抽出された前記特徴語と、前記出力要求に含まれる前記コンテンツIDの前記部分に含まれる前記特徴語とが一致する場合に、当該部分を出力するためのコンテンツ出力手段(例えば、図10に記載のステップS40〜S44に対応する。)と、を備える。
【0011】
また、請求項2に記載の本発明は、請求項1において、前記ログインした前記ユーザが前記コンテンツ記憶手段に記憶されている前記コンテンツを編集するための編集手段(例えば、図13に記載する掲示板サーバ12に対応する。)と、前記ユーザIDごとに、該ユーザが前記編集手段によって編集した前記コンテンツに含まれる前記特徴語を記憶するための貢献度記憶手段(例えば、図13に記載の参加者情報保存部15に対応する。)と、前記出力要求に含まれる前記コンテンツIDに対して前記ログイン手段に入力されたユーザIDが出力を許可するユーザとして前記コンテンツ記憶手段に記憶されていない場合には、当該ユーザIDに対して記憶されている前記特徴語を前記貢献度記憶手段から抽出し、前記抽出された前記特徴語と、前記出力要求に含まれる前記コンテンツIDの前記部分に含まれる前記特徴語とが一致する場合に、当該部分を出力するための前記コンテンツ出力手段と、を備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ユーザごとに設定された範囲において電子コンテンツの試聴を可能にするための電子コンテンツの公開範囲制御システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施の形態の構成図を示す。
【図2】動画保存部に新規に動画を保存する際の処理フローを示す。
【図3】動画保存部に保存されるデータ構造の一例を示す。
【図4】購入者情報保存部に保存されるデータ構造の一例を示す。
【図5】動画配信サーバが実行する処理フローを示す。
【図6】購入回数の算出方法の他の一例を示す。
【図7】本発明の第2の実施の形態の構成図を示す。
【図8】動画保存部に新規に動画を保存する際の処理フローを示す。
【図9】動画保存部に新規に動画を保存した際にキーワード保存部に作成されるデータの一例を示す。
【図10】本発明の第2の実施の形態の構成図に示した動画配信サーバの処理フローを示す。
【図11】書籍保存部に新規に書籍を保存する際の構成図を示す。
【図12】書籍保存部に保存されるデータ構造の一例を示す。
【図13】本発明の第4の実施の形態を説明するための構成図を示す。
【図14】記事保存部に保存されるデータ構造の一例を示す。
【図15】参加者情報保存部に保存されるデータ構造の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<第1の実施の形態>
図1に、本発明の第1の実施の形態の構成図を示す。図1には、インターネットやISDN網および携帯電話網等などの情報通信ネットワーク全般を含む情報ネットワーク4と、この情報ネットワーク4に接続された管理者端末1と、ユーザ端末2と、動画配信サーバ3と、この動画配信サーバ3に接続されて配信するコンテンツを保存している動画保存部5および購入者情報保存部6と、が示されている。なお、動画保存部5に保存されているコンテンツは著作権による保護がなされており、必要に応じて複製等の規制処理が施されていてもよい。
【0015】
また、購入者情報保存部6はコンテンツの購入者の購入に関する情報が保存されているが、取り扱うコンテンツの種類や独自の提供条件などがある場合には、たとえば購入者の年齢や性別などの個人情報も同時に保存してもよい。
【0016】
図2に示すフロー図は、図1に示した動画保存部5に新規に動画を保存する際の処理フローを示している。また、図3は、動画保存部5に保存されるデータ構造の一例を示している。図3では、動画を識別するための「動画ID」と、「動画ファイル名」、「購入者リスト」、「価格」、「動画時間」、「ビットレート」、「部分数」、が示されている。また、動画の各部分の開始位置を特定するための情報として、「部分ID0〜N」に対して、各部分の開始位置(秒数)が割り付けられている。動画保存部5は、本発明のコンテンツ記憶手段に対応する。また、図4は、購入者情報保存部6に保存されるデータ構造の一例を示している。図4では、動画を購入したユーザのユーザIDである購入者IDごとに、動画を購入した回数と、購入した代金の合計を保存している。
【0017】
まず、図2のS1において、管理者が管理者端末1を介して、動画ファイルを送信するとともに、その動画ファイルと価格と動画時間とビットレートも同時に、送信する。
【0018】
次に、S2において、受信した動画ファイルに動画ファイル名と動画IDを付与し、動画ファイルと動画IDと動画ファイル名と価格と動画時間とビットレートを動画保存部5に保存する。
【0019】
次に、S3において、動画ファイルを解析し、以下のa〜cのうちのいずれかの方法、または、組み合わせた方法によって部分を認識して分割する。S3は、本発明のコンテンツ分割手段に対応する。
【0020】
a.動画の一定時間(例えば、10秒)が経過するごとに部分として分割する
b.動画の音声部分の音量が一定のレベル(例えば、数dB)を下回るごとに部分として分割する
c.動画のカット点抽出を行い、動画が切り替わるごとに部分として分割する
なお、a.からc.の分割方法は一例であり、動画を複数の部分に分割できれば他の方法であってもよい。
【0021】
次に、S4において、分割した部分の総数を、動画保存部5の当該動画ID行の部分数として保存し、分割した各部分の開始時間を動画保存部5の各部分IDの列に保存し、終了する。
【0022】
次に、図1に示した動画配信サーバ3が実行する処理フローを、図5を参照して以下に説明する。
【0023】
まず、S10にて、ユーザがユーザ端末2を介して送信するログイン情報(ユーザID)を待つ。S10は、本発明のログイン手段に対応する。なお、ここでは、送信されたユーザIDの認証が成功したこととする。
次に、S11にてユーザがユーザ端末2を介して送信する未購入リスト表示要求を待つ。
【0024】
次に、S12にて未購入リスト要求表示を受信した場合、動画保存部5に保存されている動画のうち、当該ユーザIDが購入者リストに記載されていない動画の動画IDを一覧にしてユーザ端末2に送信する。なお、購入者リストに記載されているユーザIDを購入者IDという。
【0025】
次に、S13にて、ユーザがユーザ端末2に動画IDを入力して送信する購入要求、または、試聴要求を待つ。S13は、本発明の出力要求入力手段に対応する。
【0026】
次に、S14にて、購入要求を受信した場合、「新規購入」のフローへ進み、一方で試聴要求を受信した場合は「試聴」のフローへ処理が進む。
【0027】
まず、「新規購入」のフローについて、図5を参照して以下に説明する。
【0028】
S18にて、管理者端末1に購入要求を送信する。
【0029】
次に、S19にて、管理者が管理者端末1を介して送信する購入了承・購入拒否を待つ。このS19のステップにおいて、購入拒否を受信した場合、ユーザ端末に「購入不可」のメッセージを送信する。一方、購入承認を受信した場合、動画保存部5の購入者リストに、該当する購入者IDを追加する。また、購入者情報保存部6の当該購入者IDの購入回数を1回増加して更新し、購入代金合計に価格を足して更新し、ユーザ端末1に「購入完了」のメッセージを送信して終了する。なお、購入了承・購入拒否の判断を管理者が行わず、公知の技術であるクレジットカード決済技術等を用いて、システムが自動で判断する構成とすることも可能である。
【0030】
次に、「試聴時」のフローについて、図5を参照して説明する。
【0031】
まず、S15にて、購入者情報保存部6の当該購入者IDの各情報から、試聴可能な範囲を示す試聴量を以下のaまたはbのいずれかの方法、または、組み合わせた方法によって算出する。
【0032】
a.購入回数から算出する場合
試聴量(%)=DemoMAX(%)×購入回数(回)÷UserMAX(回)
b.購入代金合計から算出する場合
試聴量(%)=DemoMAX(%)×購入代金合計(円)÷UserMAX(円)
DemoMAXは、管理者が許可する試聴可能な最大の量を動画全体に対する割合で表した値であり、UserMAXは、その最大の量に達するに必要なユーザの購入回数、あるいは、購入代金合計を表した値であり、管理者が所望する値を予め決定し動画配信サーバ3に保存しておく。
【0033】
試聴量を算出する具体的な例を説明する。ここでは、上記a.の方法で算出することとし、DemoMAXが50%、UserMAXが10回と設定されていることとし、その上で、図4に示す購入者ID:U001のユーザが、図3に示す動画ID:D009を試聴する場合の試聴量を算出するときの例を説明する。
【0034】
図4を参照すると、購入者ID:U001のユーザは、購入回数が2回であるため、試聴量は、以下の式で算出され10%となる。
【0035】
試聴量=50%×2回÷10回=10%
DemoMAX、UserMAXは、動画IDごとに決定して、動画保存部5に保存しておく構成とすることもできる。また、上記a.とb.は一例であり、購入回数、または、購入代金合計、または、その両方から試聴量が算出できれば他の算出方法でもよい。
【0036】
購入回数は、以下のように算出することも可能である。まず、購入者情報保存部6に図6に示すような購入履歴情報を保存しておく。一定期間ごとにカウントする購入回数の最大値を設けることで、短期間に大量のコンテンツを購入したユーザに、多くの試聴量を与えることを避けることが可能となる。例えば、1日にカウントする最大購入回数を1回と制限すると、図6の購入履歴の場合、購入者ID:U001のユーザの購入回数は、3回となる。この構成により、短期間に大量のコンテンツを購入したユーザに、多くの試聴量を与えることを避けることが可能となる。
【0037】
また、同一コンテンツを複数回購入しても、購入回数は1回とカウントするという制限を設けることで、同一のコンテンツのみを複数回購入したユーザに、多くの試聴量を与えることを避けることが可能となる。例えば、図6の購入履歴の場合、購入者ID:U001のユーザの購入回数は、4回となる。
【0038】
また、現在の日時から一定期間前のみの購入履歴を用いて購入回数をカウントするという制限を設けることができる。例えば、1ヶ月前までの購入履歴のみをカウントすると制限し、現在の日付が2008年2月3日とすると、図6の購入履歴の場合、購入者ID:U001のユーザの購入回数は、2回となる。他に、購入代金合計にも上記と同様の制限を設けることが可能である。
【0039】
次に、図5のS16にて、算出した試聴量と、動画保存部5の当該動画IDの各情報とから、試聴可能な箇所を以下のa.〜c.のうちのいずれかの方法、または、組み合わせた方法によって決定し、試聴コンテンツを作成する。
【0040】
a.動画時間から決定する場合は、任意の開始位置から「当該動画の動画時間×試聴量」が経過した時点までの箇所を試聴コンテンツとする。
【0041】
b.部分から決定する場合は、任意の開始位置から部分を順に選択するか、または、任意の部分を選択するかのいずれかによって、選択した部分の合計時間が「当該動画の動画時間×試聴量」が超過するまでに選択された部分を試聴コンテンツとする。
【0042】
c.ビットレートから決定する場合は、動画の品質を「当該動画のビットレート×試聴量」に変換し、任意の開始位置から任意の終了位置までを試聴コンテンツとする。
【0043】
ここで、任意の開始位置、任意の終了位置、任意の部分は、管理者が所望する値を予め決定し動画配信サーバ3に保存しておく。これらの値は、動画IDごとに決定して、動画保存部5に保存しておく構成とすることもできる。また、上記a.〜c.は一例であり、動画時間、部分、ビットレートのいずれか、または、その組み合わせから試聴可能な箇所が決定できれば他の決定方法でもよい。
【0044】
ここで、試聴可能な箇所を決定する具体的な例を説明する。ここでは、上記b.の方法で決定するとし、動画の開始位置(0秒)から部分を順に選択していく方法を取ることとする。
【0045】
図4に示す購入者ID:U001のユーザが、図3に示す動画ID:D009を試聴する場合の試聴可能な箇所を決定する。このときの試聴量は、前述の算出例の通り、10%であるとする。
【0046】
図3を参照すると、動画ID:D009の動画が動画時間が500秒であり、動画の開始位置から、動画時間が50秒(500秒×10%)を超過するまで、部分を選択していくので、部分ID:0と部分ID:1が試聴可能な箇所として決定される。
【0047】
次にS17にて、作成した試聴コンテンツをユーザ端末に送信して終了する。
【0048】
上記のS15〜S17は、本発明のコンテンツ出力手段に対応する。
【0049】
以上説明した第1の実施の形態によれば、アクセス権の無いコンテンツをユーザが閲覧しようとしたときに、コンテンツを一部公開して試聴可能とする場合に、そのユーザが既にアクセス権を持つ他のコンテンツの量によって、試聴範囲を変動させることができる。
すなわち、過去に多く購入していれば、多くの範囲を試聴できるので、ユーザにとっては、過去にそのコンテンツ管理者に多くの貢献をしていれば、多くの部分を試聴できることになる。またコンテンツの管理者にとっては、過去の行動から今後の貢献が期待できるユーザに対してのみ試聴範囲を拡大することができる。
【0050】
<第2の実施の形態>
図7に、本発明の第2の実施の形態の構成図を示す。この図7には、管理者端末1と、情報ネットワーク4と、ユーザ端末2と、動画配信サーバ3と、動画保存部5と、キーワード保存部7と、が示されている。
【0051】
このような図7の構成において、動画保存部5(詳しくは図3に示す)に新規に動画を保存し、キーワード保存部7に当該動画のキーワードを保存する際の処理フローを図8に示し、作成されるデータの一例を図9に示す。なお、第2の実施の形態では、図3に示した動画保存部5と、これから図9に示すキーワード保存部7とを合わせたものが、本発明のコンテンツ記憶手段に対応する。
【0052】
まずS30において図2で示すS1〜S4までの処理を実行する。次にS31にて分割した各部分に対して、下記のa、bいずれかの方法、または、組み合わせた方法にて、テキストを抽出する。a.公知の技術である音声認識処理を動画の音声部分に対して実施し、動画内で発話されている内容をテキストに変換する。b.公知の技術であるテロップ認識処理を動画に対して実施し、動画内で表示されている字幕をテキストに変換する。
【0053】
次にS32にて、抽出されたテキストに対して、公知の技術である形態素解析処理を用い、単語列に分割する。
【0054】
次にS33にて、分割された単語列から不要な単語を除去し、当該部分のキーワードとする。不要な単語の除去方法には、例えば、以下のa、bいずれかの方法、または、組み合わせた方法による。
【0055】
a.名詞以外を除去する、助詞・助動詞を除去する、など品詞情報を利用する。
【0056】
b.公知の技術であるtf・idf法などの頻度情報を利用し、頻度スコアが一定値以下のものを除去する。
【0057】
次に、S34にて、分割した各部分に対して、下記のいずれかの方法、または、組み合わせた方法にて、人物名をキーワードとして抽出する。
【0058】
a.公知の技術である、音声からの話者認識処理を用いて、動画内で発話している人物名を特定し抽出する
b.公知の技術である、動画からの顔認識処理を用いて、動画内に表示されている人物名を特定し抽出する
S31〜S34は、本発明の特徴語抽出手段に対応する。抽出されたキーワードは、本発明の特徴語に対応する。
【0059】
次に、S35において、抽出されたキーワードごとに、キーワード保存部7の当該動画IDの行、当該キーワードの列の位置に、抽出した部分の部分IDを保存し、終了する。
【0060】
次に、図7に示した本発明の第2の実施の形態の構成図に示した動画配信サーバ3の処理フローを、図10を参照して説明する。新規購入時のフローは図5にて説明したとおりであるため、図10では省略している。以下では、試聴時のフローのみを説明する。
【0061】
図10に示す試聴時のフローとして、
まず、S10〜S13までのステップは図5にて説明した通りである。
【0062】
次に、S40にて、動画保存部5を参照し、試聴を要求された動画ID以外の動画について、購入者リストに当該購入者IDが保存されている動画IDを抽出する。
【0063】
次に、S41にて、キーワード保存部7を参照し、抽出された全ての動画IDに含まれるキーワードを抽出する。
【0064】
次に、S42にて、キーワード保存部7を参照し、抽出されたキーワードが、試聴を要求された動画IDのキーワードに保存されている場合、キーワード保存部7に保存されている部分IDを抽出する。
【0065】
次に、S43にて、動画保存部5に保存されている開始位置を参照して抽出された部分を部分ID順に整列し、動画ファイルから当該部分を抽出してつなぎ合わせた動画ファイルを試聴コンテンツとして作成する。
【0066】
次に、S44にて、作成した試聴コンテンツをユーザ端末に送信して終了する。
【0067】
第2の実施の形態では、上記のS40〜S44が、本発明のコンテンツ出力手段に対応する。
【0068】
ここで、試聴コンテンツを作成する具体的な例を説明する。図3に示す購入者ID:U001のユーザが動画ID:D009を試聴する場合の例で説明する。
【0069】
図3の動画保存部を参照すると、購入者ID:U001が購入者リストに保存されている動画は、動画ID:D001と動画ID:D002である(S40)。
【0070】
次に、図9のキーワード保存部を参照すると、動画ID:D001と動画ID:D002に出現したキーワードは、「ドイツ」「フランクフルト」「登山鉄道」「エベレスト」である(S41)。
【0071】
次に、図9のキーワード保存部を参照すると、動画ID:D009において、S41で抽出したキーワードが出現する部分は、部分ID:0、部分ID:20、部分ID:25である(S42)。
【0072】
そして、図3の動画保存部を参照し、S42で抽出した各部分の開始位置で動画を接続し、試聴コンテンツを作成する(S43)。
【0073】
なお、上記のフローで作成した試聴コンテンツが管理者の意図よりも多くの範囲を公開してしまう場合を考慮し、第1の実施の形態で説明した試聴量の範囲で作成する構成とすることや、部分にキーワードが複数含まれた場合にのみ、試聴コンテンツとする構成も可能である。
【0074】
以上説明した第2の実施の形態によれば、ユーザにとっては、第1の実施の形態と同等の効果に加えて、そのユーザの興味の範囲と合致した部分が試聴できる。また、コンテンツの管理者にとっては、第1の実施の形態と同等の効果に加えて、そのユーザの興味の範囲と合致した部分を試聴可能とし、より購入意欲を刺激することができる。
【0075】
<第3の実施の形態>
本発明の第3の実施の形態として、図11、図12を参照して書籍保存部に新規に書籍を保存する際の処理フローを説明する。
【0076】
第3の実施の形態の内容は、第1の実施の形態、及び、第2の実施の形態で説明した内容とほぼ同様であり、動画が書籍(テキスト情報)になった点のみが異なる。書籍販売サービス特有の処理について説明する。
【0077】
まず、基本構成としては図11に示すように、管理者端末1と、ユーザ端末2と、情報ネットワーク4と、書籍サーバ8と、書籍保存部9と、キーワード保存部10と、購入者情報保存部11と、を備えている。
【0078】
また、図12に示す書籍保存部9には、「書籍ID」、「書籍ファイル名」、「購入者リスト」、「価格」、「文書量」、「部分数」、がデータとして保存されており、さらに部分の開始位置情報として「部分ID0〜N」に対して、各部分の開始位置が割り付けられている。
【0079】
書籍保存部9では、書籍を部分に分割する際に取りうる手段として、ページごとに分割する、章や節ごとに分割する、段落ごとに分割する、句点ごとに文に分割する、読点ごとに文節に分割する、単語ごとに分割する、文字ごとに分割する、巻ごとに分割する等の方法がある。また、一定数のページ、一定数の章、一定数の節、一定数の段落、一定数の文、一定数の文節、一定数の文字、一定数の巻ごとに分割することも可能である。
【0080】
また、書籍保存部9の文書量、各部分の開始位置は、上記の各単位のいずれで保存してもよいが、例えば、書籍の最初からの文字数を保存する。
【0081】
また、キーワードを抽出する処理は、動画ファイルをテキストに変換した後の処理と同様である。
【0082】
第1の実施の形態の試聴時のフローにおいて、算出した試聴量と、書籍保存部9の当該書籍IDの各情報とから、試聴可能な箇所を以下のa、bのいずれかの方法、または、組み合わせた方法によって決定し、試聴コンテンツを作成する。(書籍にビットレートの概念は無いので除く)
a.文書量から決定する場合は、任意の開始位置から「当該書籍の文書量×試聴量」が経過した地点までの箇所を試聴コンテンツとする。
【0083】
b.部分から決定する場合は、任意の開始位置から部分を順に選択するか、または、任意の部分を選択するかのいずれかによって、選択した部分の合計文書量が「当該書籍の文書量×試聴量」を超過するまでに選択された部分を試聴コンテンツとする。
【0084】
第2の実施の形態の試聴時のフローにおいて、キーワードを元に試聴可能とする部分を抽出する方法は同じである。また、抽出された部分ID以外の箇所は、ユーザが試聴できないようにマスキングしたファイルを試聴コンテンツとして作成する。
【0085】
以上説明した本発明の第3の実施の形態によれば、書籍などテキストコンテンツにおいても、第1と第2の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0086】
<第4の実施の形態>
図13に示すのは、本発明の第4の実施の形態を説明するための構成図であって、Web掲示板における実施の一形態を示している。この図13には、管理者端末1と、情報ネットワーク4と、ユーザ端末2と、掲示板サーバ12と、記事保存部13と、キーワード保存部14と、参加者情報保存部15と、が示されている。
【0087】
会員制を取っているWeb掲示板では、共通の話題を持ったユーザの集合であるコミュニティが形成され、ユーザは管理者の承認によってコミュニティに参加することができる。ユーザ同志で情報の交換を行う掲示板がコミュニティ単位に設置され、ユーザが記事を投稿する。そのコミュニティに参加していないユーザには、掲示板の内容は公開されない。このような非公開のWeb掲示板に対して本発明を実施した例について、第1から第3の実施の形態で説明した内容と異なる点について説明する。
【0088】
まず、図14の記事保存部13に新規に記事を保存する際の処理フローとしては、記事の入力は、ユーザがユーザ端末2を介して行う。
【0089】
次に、コンテンツを分割する方法は、第3の実施の形態で述べた方法以外に、記事ごとに分割する方法がある。図14では、記事ごとに分割したとして、開始位置は省略している。
【0090】
次に、記事が投稿された場合、参加者情報保存部15の当該参加者IDの投稿記事数、投稿文字数を更新する。第3の実施の形態で述べた方法によってキーワードを抽出し、キーワードが出現した記事IDをキーワード保存部14に保存するとともに、参加者情報保存部15の当該キーワードの列に出現フラグ「1」を保存する(図15参照)。
【0091】
第4の実施の形態にあっては、記事が、本発明にコンテンツに対応する。また、参加者情報保存部15が、本発明の貢献度記憶手段に対応する。また、掲示板サーバ12は、記事を編集するためのものであり、すなわち、本発明の編集手段に相当する。
【0092】
図13に示す掲示板サーバ12から記事を配信する場合の処理フローを説明する。
【0093】
すでに説明した第1の実施の形態の試聴時のフローにおける試聴コンテンツの試聴量は、第4の実施の形態の構成おいては、参加者情報保存部15の参加コミュニティ数、投稿記事数、投稿文字数から算出することが可能である。参加コミュニティ数、投稿記事数、投稿文字数は、コンテンツを編集した量を示すものである。
【0094】
また、第2の実施の形態の試聴時のフローにおいて、キーワードが一致する部分を抽出する方法については、第2の実施の形態と同様とした場合、参加しているコミュニティの記事すべてが対象となる。一方で、参加者情報保存部15に保存されている参加者IDごとのキーワードを利用して、当該ユーザが投稿した記事のみを対象とすることもできる。以下にそのフローを説明する。
【0095】
まず、参加者情報保存部15を参照し、当該参加者IDに対して「1」が保存されているキーワードを抽出する。
【0096】
次に、キーワード保存部14を参照し、抽出したキーワードが、試聴を要求されたコンテンツIDに保存されている場合、出現した部分IDを抽出する。
【0097】
そして、抽出した部分は記事単位なので、抽出された記事を試聴コンテンツとする。
【0098】
以上説明した本発明の第4の実施の形態によれば、Web掲示板のようにユーザがコンテンツを編集(投稿)できる場合に、そのユーザが過去に編集(投稿)した量によって、試聴範囲を変動させることができる。すなわち、過去に多く投稿していれば、多くの範囲を試聴できることになり、ユーザとコンテンツ管理者の双方にとって、コンテンツの編集作業における貢献に対して、第1の実施の形態と同等の効果が得られる。
【0099】
なお、各実施の形態では、ユーザが試聴を所望するコンテンツを指定する構成を例にとったが、TV放送のCMのように、管理者側が試聴してもらいたいコンテンツを指定し、ユーザ端末に出力する構成を取ることも容易である。
【0100】
また、第1、第2の実施の形態では、動画配信サービスにおける例を示したが、楽曲や講演音声など音声ファイルを配信するサービスにおいても、同様の構成が可能である。
【0101】
以上説明した実施の形態によれば、ユーザごとに設定された範囲において電子コンテンツの試聴を可能に制御するための電子コンテンツの公開範囲制御システムを提供することができる。
【符号の説明】
【0102】
1 管理者端末
2 ユーザ端末
3 動画配信サーバ
4 インターネット(ネットワーク)
5 動画保存部
6 購入者情報保存部
7、10 キーワード保存部
8 書籍サーバ
9 書籍保存部
11 購入者情報保存部
12 掲示板サーバ
13 記事保存部
14 キーワード保存部
15 参加者情報保存部
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークを介して公開する電子コンテンツの公開範囲を制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、Amazon(登録商標)やiTunes(登録商標)など、インターネット上で書籍や音楽、動画などの電子コンテンツを購入できるサービスが存在する。これらのサービスにおいて、ユーザは未購入のコンテンツの内容であっても、事前に閲覧・試聴する(以下、試聴と呼ぶ)ことができる。ユーザにとって試聴は、購入するかどうかの判断材料に有用であるというメリットがある。また、著作権者にとっては、そのコンテンツの魅力をユーザに伝え、購入意欲を増す事が期待できるというメリットがある。
【0003】
しかし、無料でコンテンツの大部分を公開してしまうと、ユーザはそのコンテンツを購入する動機が薄れるため、コンテンツの著作権者は小範囲の一部分のみを公開することが多い(書籍の目次や、音楽、動画の開始から数十秒など)。
【0004】
コンテンツの一部分を公開する先行技術としては、コンテンツの部分ごとにアクセス権を設定することや、コンテンツの一部分を隠してユーザに表示する技術が示されている(特許文献1、2参照)。
【0005】
また、Web上の掲示板で、管理者に承認された会員以外のユーザはその掲示板を閲覧することができないように非公開となっている場合がある。非公開のWeb掲示板においても、会員以外にその一部分を公開すること(試聴)は、ユーザが会員となるかどうかの判断材料として有用であり、また、管理者がその掲示板の魅力をユーザに伝えることで参加意欲を増し、会員を増加させることができるメリットがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−032652号公報
【特許文献2】特開2004−326642号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら従来のこうしたサービスにおいて、試聴のためのコンテンツの公開範囲は、著作権者などコンテンツの管理者が決定するため、すべてのユーザに対して同一となり、各ユーザの興味や過去の行動を考慮した適切な公開範囲を設定することができなかった。
【0008】
また、試聴のための公開範囲は一律に小範囲とならざるを得ず、試聴によって購入意欲や参加意欲を刺激するというメリットを得ることは難しかった。
【0009】
本発明の目的は、上記に鑑みてなされたものであり、ユーザごとに設定された範囲において電子コンテンツの試聴を可能にするための電子コンテンツの公開範囲制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために請求項1に記載の本発明は、ネットワークを介して複数のコンテンツを管理者が複数のユーザへ公開する範囲をそれぞれ制御するための電子コンテンツの公開範囲制御システムにおいて、複数の前記コンテンツを識別するためのコンテンツIDと、複数の前記ユーザを識別するためのユーザIDと、前記ユーザが自身の前記ユーザIDを入力してログインするためのログイン手段(例えば、図10に記載のステップS10に対応する。)と、前記コンテンツを複数の部分に分割するためのコンテンツ分割手段(例えば、図2に記載のステップS3に対応する。)と、前記分割された部分ごとに含まれる特徴語を抽出するための特徴語抽出手段(例えば、図8に記載のステップS31〜S34に対応する。)と、前記コンテンツIDごとに前記部分に分割された前記コンテンツと、前記部分に含まれる特徴語と、当該コンテンツの出力を許可する前記ユーザの前記ユーザIDと、を共に記憶するためのコンテンツ記憶手段(例えば、図7に記載の動画保存部5とキーワード保存部7とを合わせたものに対応する。)と、前記ユーザあるいは前記管理者が出力する前記コンテンツの前記コンテンツIDを含む出力要求を入力するための出力要求入力手段(例えば、図10に記載のステップS13に対応する。)と、前記出力要求に含まれる前記コンテンツIDに対して前記ログイン手段に入力された前記ユーザIDが出力を許可する前記ユーザとして前記コンテンツ記憶手段に記憶されていない場合には、当該ユーザIDが出力を許可するユーザとして記憶されている前記コンテンツIDを前記コンテンツ記憶手段から抽出し、前記抽出された前記コンテンツIDの各部分に含まれる前記特徴語を前記コンテンツ記憶手段から抽出し、前記抽出された前記特徴語と、前記出力要求に含まれる前記コンテンツIDの前記部分に含まれる前記特徴語とが一致する場合に、当該部分を出力するためのコンテンツ出力手段(例えば、図10に記載のステップS40〜S44に対応する。)と、を備える。
【0011】
また、請求項2に記載の本発明は、請求項1において、前記ログインした前記ユーザが前記コンテンツ記憶手段に記憶されている前記コンテンツを編集するための編集手段(例えば、図13に記載する掲示板サーバ12に対応する。)と、前記ユーザIDごとに、該ユーザが前記編集手段によって編集した前記コンテンツに含まれる前記特徴語を記憶するための貢献度記憶手段(例えば、図13に記載の参加者情報保存部15に対応する。)と、前記出力要求に含まれる前記コンテンツIDに対して前記ログイン手段に入力されたユーザIDが出力を許可するユーザとして前記コンテンツ記憶手段に記憶されていない場合には、当該ユーザIDに対して記憶されている前記特徴語を前記貢献度記憶手段から抽出し、前記抽出された前記特徴語と、前記出力要求に含まれる前記コンテンツIDの前記部分に含まれる前記特徴語とが一致する場合に、当該部分を出力するための前記コンテンツ出力手段と、を備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ユーザごとに設定された範囲において電子コンテンツの試聴を可能にするための電子コンテンツの公開範囲制御システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施の形態の構成図を示す。
【図2】動画保存部に新規に動画を保存する際の処理フローを示す。
【図3】動画保存部に保存されるデータ構造の一例を示す。
【図4】購入者情報保存部に保存されるデータ構造の一例を示す。
【図5】動画配信サーバが実行する処理フローを示す。
【図6】購入回数の算出方法の他の一例を示す。
【図7】本発明の第2の実施の形態の構成図を示す。
【図8】動画保存部に新規に動画を保存する際の処理フローを示す。
【図9】動画保存部に新規に動画を保存した際にキーワード保存部に作成されるデータの一例を示す。
【図10】本発明の第2の実施の形態の構成図に示した動画配信サーバの処理フローを示す。
【図11】書籍保存部に新規に書籍を保存する際の構成図を示す。
【図12】書籍保存部に保存されるデータ構造の一例を示す。
【図13】本発明の第4の実施の形態を説明するための構成図を示す。
【図14】記事保存部に保存されるデータ構造の一例を示す。
【図15】参加者情報保存部に保存されるデータ構造の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<第1の実施の形態>
図1に、本発明の第1の実施の形態の構成図を示す。図1には、インターネットやISDN網および携帯電話網等などの情報通信ネットワーク全般を含む情報ネットワーク4と、この情報ネットワーク4に接続された管理者端末1と、ユーザ端末2と、動画配信サーバ3と、この動画配信サーバ3に接続されて配信するコンテンツを保存している動画保存部5および購入者情報保存部6と、が示されている。なお、動画保存部5に保存されているコンテンツは著作権による保護がなされており、必要に応じて複製等の規制処理が施されていてもよい。
【0015】
また、購入者情報保存部6はコンテンツの購入者の購入に関する情報が保存されているが、取り扱うコンテンツの種類や独自の提供条件などがある場合には、たとえば購入者の年齢や性別などの個人情報も同時に保存してもよい。
【0016】
図2に示すフロー図は、図1に示した動画保存部5に新規に動画を保存する際の処理フローを示している。また、図3は、動画保存部5に保存されるデータ構造の一例を示している。図3では、動画を識別するための「動画ID」と、「動画ファイル名」、「購入者リスト」、「価格」、「動画時間」、「ビットレート」、「部分数」、が示されている。また、動画の各部分の開始位置を特定するための情報として、「部分ID0〜N」に対して、各部分の開始位置(秒数)が割り付けられている。動画保存部5は、本発明のコンテンツ記憶手段に対応する。また、図4は、購入者情報保存部6に保存されるデータ構造の一例を示している。図4では、動画を購入したユーザのユーザIDである購入者IDごとに、動画を購入した回数と、購入した代金の合計を保存している。
【0017】
まず、図2のS1において、管理者が管理者端末1を介して、動画ファイルを送信するとともに、その動画ファイルと価格と動画時間とビットレートも同時に、送信する。
【0018】
次に、S2において、受信した動画ファイルに動画ファイル名と動画IDを付与し、動画ファイルと動画IDと動画ファイル名と価格と動画時間とビットレートを動画保存部5に保存する。
【0019】
次に、S3において、動画ファイルを解析し、以下のa〜cのうちのいずれかの方法、または、組み合わせた方法によって部分を認識して分割する。S3は、本発明のコンテンツ分割手段に対応する。
【0020】
a.動画の一定時間(例えば、10秒)が経過するごとに部分として分割する
b.動画の音声部分の音量が一定のレベル(例えば、数dB)を下回るごとに部分として分割する
c.動画のカット点抽出を行い、動画が切り替わるごとに部分として分割する
なお、a.からc.の分割方法は一例であり、動画を複数の部分に分割できれば他の方法であってもよい。
【0021】
次に、S4において、分割した部分の総数を、動画保存部5の当該動画ID行の部分数として保存し、分割した各部分の開始時間を動画保存部5の各部分IDの列に保存し、終了する。
【0022】
次に、図1に示した動画配信サーバ3が実行する処理フローを、図5を参照して以下に説明する。
【0023】
まず、S10にて、ユーザがユーザ端末2を介して送信するログイン情報(ユーザID)を待つ。S10は、本発明のログイン手段に対応する。なお、ここでは、送信されたユーザIDの認証が成功したこととする。
次に、S11にてユーザがユーザ端末2を介して送信する未購入リスト表示要求を待つ。
【0024】
次に、S12にて未購入リスト要求表示を受信した場合、動画保存部5に保存されている動画のうち、当該ユーザIDが購入者リストに記載されていない動画の動画IDを一覧にしてユーザ端末2に送信する。なお、購入者リストに記載されているユーザIDを購入者IDという。
【0025】
次に、S13にて、ユーザがユーザ端末2に動画IDを入力して送信する購入要求、または、試聴要求を待つ。S13は、本発明の出力要求入力手段に対応する。
【0026】
次に、S14にて、購入要求を受信した場合、「新規購入」のフローへ進み、一方で試聴要求を受信した場合は「試聴」のフローへ処理が進む。
【0027】
まず、「新規購入」のフローについて、図5を参照して以下に説明する。
【0028】
S18にて、管理者端末1に購入要求を送信する。
【0029】
次に、S19にて、管理者が管理者端末1を介して送信する購入了承・購入拒否を待つ。このS19のステップにおいて、購入拒否を受信した場合、ユーザ端末に「購入不可」のメッセージを送信する。一方、購入承認を受信した場合、動画保存部5の購入者リストに、該当する購入者IDを追加する。また、購入者情報保存部6の当該購入者IDの購入回数を1回増加して更新し、購入代金合計に価格を足して更新し、ユーザ端末1に「購入完了」のメッセージを送信して終了する。なお、購入了承・購入拒否の判断を管理者が行わず、公知の技術であるクレジットカード決済技術等を用いて、システムが自動で判断する構成とすることも可能である。
【0030】
次に、「試聴時」のフローについて、図5を参照して説明する。
【0031】
まず、S15にて、購入者情報保存部6の当該購入者IDの各情報から、試聴可能な範囲を示す試聴量を以下のaまたはbのいずれかの方法、または、組み合わせた方法によって算出する。
【0032】
a.購入回数から算出する場合
試聴量(%)=DemoMAX(%)×購入回数(回)÷UserMAX(回)
b.購入代金合計から算出する場合
試聴量(%)=DemoMAX(%)×購入代金合計(円)÷UserMAX(円)
DemoMAXは、管理者が許可する試聴可能な最大の量を動画全体に対する割合で表した値であり、UserMAXは、その最大の量に達するに必要なユーザの購入回数、あるいは、購入代金合計を表した値であり、管理者が所望する値を予め決定し動画配信サーバ3に保存しておく。
【0033】
試聴量を算出する具体的な例を説明する。ここでは、上記a.の方法で算出することとし、DemoMAXが50%、UserMAXが10回と設定されていることとし、その上で、図4に示す購入者ID:U001のユーザが、図3に示す動画ID:D009を試聴する場合の試聴量を算出するときの例を説明する。
【0034】
図4を参照すると、購入者ID:U001のユーザは、購入回数が2回であるため、試聴量は、以下の式で算出され10%となる。
【0035】
試聴量=50%×2回÷10回=10%
DemoMAX、UserMAXは、動画IDごとに決定して、動画保存部5に保存しておく構成とすることもできる。また、上記a.とb.は一例であり、購入回数、または、購入代金合計、または、その両方から試聴量が算出できれば他の算出方法でもよい。
【0036】
購入回数は、以下のように算出することも可能である。まず、購入者情報保存部6に図6に示すような購入履歴情報を保存しておく。一定期間ごとにカウントする購入回数の最大値を設けることで、短期間に大量のコンテンツを購入したユーザに、多くの試聴量を与えることを避けることが可能となる。例えば、1日にカウントする最大購入回数を1回と制限すると、図6の購入履歴の場合、購入者ID:U001のユーザの購入回数は、3回となる。この構成により、短期間に大量のコンテンツを購入したユーザに、多くの試聴量を与えることを避けることが可能となる。
【0037】
また、同一コンテンツを複数回購入しても、購入回数は1回とカウントするという制限を設けることで、同一のコンテンツのみを複数回購入したユーザに、多くの試聴量を与えることを避けることが可能となる。例えば、図6の購入履歴の場合、購入者ID:U001のユーザの購入回数は、4回となる。
【0038】
また、現在の日時から一定期間前のみの購入履歴を用いて購入回数をカウントするという制限を設けることができる。例えば、1ヶ月前までの購入履歴のみをカウントすると制限し、現在の日付が2008年2月3日とすると、図6の購入履歴の場合、購入者ID:U001のユーザの購入回数は、2回となる。他に、購入代金合計にも上記と同様の制限を設けることが可能である。
【0039】
次に、図5のS16にて、算出した試聴量と、動画保存部5の当該動画IDの各情報とから、試聴可能な箇所を以下のa.〜c.のうちのいずれかの方法、または、組み合わせた方法によって決定し、試聴コンテンツを作成する。
【0040】
a.動画時間から決定する場合は、任意の開始位置から「当該動画の動画時間×試聴量」が経過した時点までの箇所を試聴コンテンツとする。
【0041】
b.部分から決定する場合は、任意の開始位置から部分を順に選択するか、または、任意の部分を選択するかのいずれかによって、選択した部分の合計時間が「当該動画の動画時間×試聴量」が超過するまでに選択された部分を試聴コンテンツとする。
【0042】
c.ビットレートから決定する場合は、動画の品質を「当該動画のビットレート×試聴量」に変換し、任意の開始位置から任意の終了位置までを試聴コンテンツとする。
【0043】
ここで、任意の開始位置、任意の終了位置、任意の部分は、管理者が所望する値を予め決定し動画配信サーバ3に保存しておく。これらの値は、動画IDごとに決定して、動画保存部5に保存しておく構成とすることもできる。また、上記a.〜c.は一例であり、動画時間、部分、ビットレートのいずれか、または、その組み合わせから試聴可能な箇所が決定できれば他の決定方法でもよい。
【0044】
ここで、試聴可能な箇所を決定する具体的な例を説明する。ここでは、上記b.の方法で決定するとし、動画の開始位置(0秒)から部分を順に選択していく方法を取ることとする。
【0045】
図4に示す購入者ID:U001のユーザが、図3に示す動画ID:D009を試聴する場合の試聴可能な箇所を決定する。このときの試聴量は、前述の算出例の通り、10%であるとする。
【0046】
図3を参照すると、動画ID:D009の動画が動画時間が500秒であり、動画の開始位置から、動画時間が50秒(500秒×10%)を超過するまで、部分を選択していくので、部分ID:0と部分ID:1が試聴可能な箇所として決定される。
【0047】
次にS17にて、作成した試聴コンテンツをユーザ端末に送信して終了する。
【0048】
上記のS15〜S17は、本発明のコンテンツ出力手段に対応する。
【0049】
以上説明した第1の実施の形態によれば、アクセス権の無いコンテンツをユーザが閲覧しようとしたときに、コンテンツを一部公開して試聴可能とする場合に、そのユーザが既にアクセス権を持つ他のコンテンツの量によって、試聴範囲を変動させることができる。
すなわち、過去に多く購入していれば、多くの範囲を試聴できるので、ユーザにとっては、過去にそのコンテンツ管理者に多くの貢献をしていれば、多くの部分を試聴できることになる。またコンテンツの管理者にとっては、過去の行動から今後の貢献が期待できるユーザに対してのみ試聴範囲を拡大することができる。
【0050】
<第2の実施の形態>
図7に、本発明の第2の実施の形態の構成図を示す。この図7には、管理者端末1と、情報ネットワーク4と、ユーザ端末2と、動画配信サーバ3と、動画保存部5と、キーワード保存部7と、が示されている。
【0051】
このような図7の構成において、動画保存部5(詳しくは図3に示す)に新規に動画を保存し、キーワード保存部7に当該動画のキーワードを保存する際の処理フローを図8に示し、作成されるデータの一例を図9に示す。なお、第2の実施の形態では、図3に示した動画保存部5と、これから図9に示すキーワード保存部7とを合わせたものが、本発明のコンテンツ記憶手段に対応する。
【0052】
まずS30において図2で示すS1〜S4までの処理を実行する。次にS31にて分割した各部分に対して、下記のa、bいずれかの方法、または、組み合わせた方法にて、テキストを抽出する。a.公知の技術である音声認識処理を動画の音声部分に対して実施し、動画内で発話されている内容をテキストに変換する。b.公知の技術であるテロップ認識処理を動画に対して実施し、動画内で表示されている字幕をテキストに変換する。
【0053】
次にS32にて、抽出されたテキストに対して、公知の技術である形態素解析処理を用い、単語列に分割する。
【0054】
次にS33にて、分割された単語列から不要な単語を除去し、当該部分のキーワードとする。不要な単語の除去方法には、例えば、以下のa、bいずれかの方法、または、組み合わせた方法による。
【0055】
a.名詞以外を除去する、助詞・助動詞を除去する、など品詞情報を利用する。
【0056】
b.公知の技術であるtf・idf法などの頻度情報を利用し、頻度スコアが一定値以下のものを除去する。
【0057】
次に、S34にて、分割した各部分に対して、下記のいずれかの方法、または、組み合わせた方法にて、人物名をキーワードとして抽出する。
【0058】
a.公知の技術である、音声からの話者認識処理を用いて、動画内で発話している人物名を特定し抽出する
b.公知の技術である、動画からの顔認識処理を用いて、動画内に表示されている人物名を特定し抽出する
S31〜S34は、本発明の特徴語抽出手段に対応する。抽出されたキーワードは、本発明の特徴語に対応する。
【0059】
次に、S35において、抽出されたキーワードごとに、キーワード保存部7の当該動画IDの行、当該キーワードの列の位置に、抽出した部分の部分IDを保存し、終了する。
【0060】
次に、図7に示した本発明の第2の実施の形態の構成図に示した動画配信サーバ3の処理フローを、図10を参照して説明する。新規購入時のフローは図5にて説明したとおりであるため、図10では省略している。以下では、試聴時のフローのみを説明する。
【0061】
図10に示す試聴時のフローとして、
まず、S10〜S13までのステップは図5にて説明した通りである。
【0062】
次に、S40にて、動画保存部5を参照し、試聴を要求された動画ID以外の動画について、購入者リストに当該購入者IDが保存されている動画IDを抽出する。
【0063】
次に、S41にて、キーワード保存部7を参照し、抽出された全ての動画IDに含まれるキーワードを抽出する。
【0064】
次に、S42にて、キーワード保存部7を参照し、抽出されたキーワードが、試聴を要求された動画IDのキーワードに保存されている場合、キーワード保存部7に保存されている部分IDを抽出する。
【0065】
次に、S43にて、動画保存部5に保存されている開始位置を参照して抽出された部分を部分ID順に整列し、動画ファイルから当該部分を抽出してつなぎ合わせた動画ファイルを試聴コンテンツとして作成する。
【0066】
次に、S44にて、作成した試聴コンテンツをユーザ端末に送信して終了する。
【0067】
第2の実施の形態では、上記のS40〜S44が、本発明のコンテンツ出力手段に対応する。
【0068】
ここで、試聴コンテンツを作成する具体的な例を説明する。図3に示す購入者ID:U001のユーザが動画ID:D009を試聴する場合の例で説明する。
【0069】
図3の動画保存部を参照すると、購入者ID:U001が購入者リストに保存されている動画は、動画ID:D001と動画ID:D002である(S40)。
【0070】
次に、図9のキーワード保存部を参照すると、動画ID:D001と動画ID:D002に出現したキーワードは、「ドイツ」「フランクフルト」「登山鉄道」「エベレスト」である(S41)。
【0071】
次に、図9のキーワード保存部を参照すると、動画ID:D009において、S41で抽出したキーワードが出現する部分は、部分ID:0、部分ID:20、部分ID:25である(S42)。
【0072】
そして、図3の動画保存部を参照し、S42で抽出した各部分の開始位置で動画を接続し、試聴コンテンツを作成する(S43)。
【0073】
なお、上記のフローで作成した試聴コンテンツが管理者の意図よりも多くの範囲を公開してしまう場合を考慮し、第1の実施の形態で説明した試聴量の範囲で作成する構成とすることや、部分にキーワードが複数含まれた場合にのみ、試聴コンテンツとする構成も可能である。
【0074】
以上説明した第2の実施の形態によれば、ユーザにとっては、第1の実施の形態と同等の効果に加えて、そのユーザの興味の範囲と合致した部分が試聴できる。また、コンテンツの管理者にとっては、第1の実施の形態と同等の効果に加えて、そのユーザの興味の範囲と合致した部分を試聴可能とし、より購入意欲を刺激することができる。
【0075】
<第3の実施の形態>
本発明の第3の実施の形態として、図11、図12を参照して書籍保存部に新規に書籍を保存する際の処理フローを説明する。
【0076】
第3の実施の形態の内容は、第1の実施の形態、及び、第2の実施の形態で説明した内容とほぼ同様であり、動画が書籍(テキスト情報)になった点のみが異なる。書籍販売サービス特有の処理について説明する。
【0077】
まず、基本構成としては図11に示すように、管理者端末1と、ユーザ端末2と、情報ネットワーク4と、書籍サーバ8と、書籍保存部9と、キーワード保存部10と、購入者情報保存部11と、を備えている。
【0078】
また、図12に示す書籍保存部9には、「書籍ID」、「書籍ファイル名」、「購入者リスト」、「価格」、「文書量」、「部分数」、がデータとして保存されており、さらに部分の開始位置情報として「部分ID0〜N」に対して、各部分の開始位置が割り付けられている。
【0079】
書籍保存部9では、書籍を部分に分割する際に取りうる手段として、ページごとに分割する、章や節ごとに分割する、段落ごとに分割する、句点ごとに文に分割する、読点ごとに文節に分割する、単語ごとに分割する、文字ごとに分割する、巻ごとに分割する等の方法がある。また、一定数のページ、一定数の章、一定数の節、一定数の段落、一定数の文、一定数の文節、一定数の文字、一定数の巻ごとに分割することも可能である。
【0080】
また、書籍保存部9の文書量、各部分の開始位置は、上記の各単位のいずれで保存してもよいが、例えば、書籍の最初からの文字数を保存する。
【0081】
また、キーワードを抽出する処理は、動画ファイルをテキストに変換した後の処理と同様である。
【0082】
第1の実施の形態の試聴時のフローにおいて、算出した試聴量と、書籍保存部9の当該書籍IDの各情報とから、試聴可能な箇所を以下のa、bのいずれかの方法、または、組み合わせた方法によって決定し、試聴コンテンツを作成する。(書籍にビットレートの概念は無いので除く)
a.文書量から決定する場合は、任意の開始位置から「当該書籍の文書量×試聴量」が経過した地点までの箇所を試聴コンテンツとする。
【0083】
b.部分から決定する場合は、任意の開始位置から部分を順に選択するか、または、任意の部分を選択するかのいずれかによって、選択した部分の合計文書量が「当該書籍の文書量×試聴量」を超過するまでに選択された部分を試聴コンテンツとする。
【0084】
第2の実施の形態の試聴時のフローにおいて、キーワードを元に試聴可能とする部分を抽出する方法は同じである。また、抽出された部分ID以外の箇所は、ユーザが試聴できないようにマスキングしたファイルを試聴コンテンツとして作成する。
【0085】
以上説明した本発明の第3の実施の形態によれば、書籍などテキストコンテンツにおいても、第1と第2の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0086】
<第4の実施の形態>
図13に示すのは、本発明の第4の実施の形態を説明するための構成図であって、Web掲示板における実施の一形態を示している。この図13には、管理者端末1と、情報ネットワーク4と、ユーザ端末2と、掲示板サーバ12と、記事保存部13と、キーワード保存部14と、参加者情報保存部15と、が示されている。
【0087】
会員制を取っているWeb掲示板では、共通の話題を持ったユーザの集合であるコミュニティが形成され、ユーザは管理者の承認によってコミュニティに参加することができる。ユーザ同志で情報の交換を行う掲示板がコミュニティ単位に設置され、ユーザが記事を投稿する。そのコミュニティに参加していないユーザには、掲示板の内容は公開されない。このような非公開のWeb掲示板に対して本発明を実施した例について、第1から第3の実施の形態で説明した内容と異なる点について説明する。
【0088】
まず、図14の記事保存部13に新規に記事を保存する際の処理フローとしては、記事の入力は、ユーザがユーザ端末2を介して行う。
【0089】
次に、コンテンツを分割する方法は、第3の実施の形態で述べた方法以外に、記事ごとに分割する方法がある。図14では、記事ごとに分割したとして、開始位置は省略している。
【0090】
次に、記事が投稿された場合、参加者情報保存部15の当該参加者IDの投稿記事数、投稿文字数を更新する。第3の実施の形態で述べた方法によってキーワードを抽出し、キーワードが出現した記事IDをキーワード保存部14に保存するとともに、参加者情報保存部15の当該キーワードの列に出現フラグ「1」を保存する(図15参照)。
【0091】
第4の実施の形態にあっては、記事が、本発明にコンテンツに対応する。また、参加者情報保存部15が、本発明の貢献度記憶手段に対応する。また、掲示板サーバ12は、記事を編集するためのものであり、すなわち、本発明の編集手段に相当する。
【0092】
図13に示す掲示板サーバ12から記事を配信する場合の処理フローを説明する。
【0093】
すでに説明した第1の実施の形態の試聴時のフローにおける試聴コンテンツの試聴量は、第4の実施の形態の構成おいては、参加者情報保存部15の参加コミュニティ数、投稿記事数、投稿文字数から算出することが可能である。参加コミュニティ数、投稿記事数、投稿文字数は、コンテンツを編集した量を示すものである。
【0094】
また、第2の実施の形態の試聴時のフローにおいて、キーワードが一致する部分を抽出する方法については、第2の実施の形態と同様とした場合、参加しているコミュニティの記事すべてが対象となる。一方で、参加者情報保存部15に保存されている参加者IDごとのキーワードを利用して、当該ユーザが投稿した記事のみを対象とすることもできる。以下にそのフローを説明する。
【0095】
まず、参加者情報保存部15を参照し、当該参加者IDに対して「1」が保存されているキーワードを抽出する。
【0096】
次に、キーワード保存部14を参照し、抽出したキーワードが、試聴を要求されたコンテンツIDに保存されている場合、出現した部分IDを抽出する。
【0097】
そして、抽出した部分は記事単位なので、抽出された記事を試聴コンテンツとする。
【0098】
以上説明した本発明の第4の実施の形態によれば、Web掲示板のようにユーザがコンテンツを編集(投稿)できる場合に、そのユーザが過去に編集(投稿)した量によって、試聴範囲を変動させることができる。すなわち、過去に多く投稿していれば、多くの範囲を試聴できることになり、ユーザとコンテンツ管理者の双方にとって、コンテンツの編集作業における貢献に対して、第1の実施の形態と同等の効果が得られる。
【0099】
なお、各実施の形態では、ユーザが試聴を所望するコンテンツを指定する構成を例にとったが、TV放送のCMのように、管理者側が試聴してもらいたいコンテンツを指定し、ユーザ端末に出力する構成を取ることも容易である。
【0100】
また、第1、第2の実施の形態では、動画配信サービスにおける例を示したが、楽曲や講演音声など音声ファイルを配信するサービスにおいても、同様の構成が可能である。
【0101】
以上説明した実施の形態によれば、ユーザごとに設定された範囲において電子コンテンツの試聴を可能に制御するための電子コンテンツの公開範囲制御システムを提供することができる。
【符号の説明】
【0102】
1 管理者端末
2 ユーザ端末
3 動画配信サーバ
4 インターネット(ネットワーク)
5 動画保存部
6 購入者情報保存部
7、10 キーワード保存部
8 書籍サーバ
9 書籍保存部
11 購入者情報保存部
12 掲示板サーバ
13 記事保存部
14 キーワード保存部
15 参加者情報保存部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して複数のコンテンツを管理者が複数のユーザへ公開する範囲をそれぞれ制御するための電子コンテンツの公開範囲制御システムにおいて、
複数の前記コンテンツを識別するためのコンテンツIDと、
複数の前記ユーザを識別するためのユーザIDと、
前記ユーザが自身の前記ユーザIDを入力してログインするためのログイン手段と、
前記コンテンツを複数の部分に分割するためのコンテンツ分割手段と、
前記分割された部分ごとに含まれる特徴語を抽出するための特徴語抽出手段と、
前記コンテンツIDごとに前記部分に分割された前記コンテンツと、前記部分に含まれる特徴語と、当該コンテンツの出力を許可する前記ユーザの前記ユーザIDと、を共に記憶するためのコンテンツ記憶手段と、
前記ユーザあるいは前記管理者が出力する前記コンテンツの前記コンテンツIDを含む出力要求を入力するための出力要求入力手段と、
前記出力要求に含まれる前記コンテンツIDに対して前記ログイン手段に入力された前記ユーザIDが出力を許可する前記ユーザとして前記コンテンツ記憶手段に記憶されていない場合には、当該ユーザIDが出力を許可するユーザとして記憶されている前記コンテンツIDを前記コンテンツ記憶手段から抽出し、前記抽出された前記コンテンツIDの各部分に含まれる前記特徴語を前記コンテンツ記憶手段から抽出し、前記抽出された前記特徴語と、前記出力要求に含まれる前記コンテンツIDの前記部分に含まれる前記特徴語とが一致する場合に、当該部分を出力するためのコンテンツ出力手段と、
を備えることを特徴とする電子コンテンツの公開範囲制御システム。
【請求項2】
前記ログインした前記ユーザが前記コンテンツ記憶手段に記憶されている前記コンテンツを編集するための編集手段と、
前記ユーザIDごとに、該ユーザが前記編集手段によって編集した前記コンテンツに含まれる前記特徴語を記憶するための貢献度記憶手段と、
前記出力要求に含まれる前記コンテンツIDに対して前記ログイン手段に入力されたユーザIDが出力を許可するユーザとして前記コンテンツ記憶手段に記憶されていない場合には、当該ユーザIDに対して記憶されている前記特徴語を前記貢献度記憶手段から抽出し、前記抽出された前記特徴語と、前記出力要求に含まれる前記コンテンツIDの前記部分に含まれる前記特徴語とが一致する場合に、当該部分を出力するための前記コンテンツ出力手段と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の電子コンテンツの公開範囲制御システム。
【請求項1】
ネットワークを介して複数のコンテンツを管理者が複数のユーザへ公開する範囲をそれぞれ制御するための電子コンテンツの公開範囲制御システムにおいて、
複数の前記コンテンツを識別するためのコンテンツIDと、
複数の前記ユーザを識別するためのユーザIDと、
前記ユーザが自身の前記ユーザIDを入力してログインするためのログイン手段と、
前記コンテンツを複数の部分に分割するためのコンテンツ分割手段と、
前記分割された部分ごとに含まれる特徴語を抽出するための特徴語抽出手段と、
前記コンテンツIDごとに前記部分に分割された前記コンテンツと、前記部分に含まれる特徴語と、当該コンテンツの出力を許可する前記ユーザの前記ユーザIDと、を共に記憶するためのコンテンツ記憶手段と、
前記ユーザあるいは前記管理者が出力する前記コンテンツの前記コンテンツIDを含む出力要求を入力するための出力要求入力手段と、
前記出力要求に含まれる前記コンテンツIDに対して前記ログイン手段に入力された前記ユーザIDが出力を許可する前記ユーザとして前記コンテンツ記憶手段に記憶されていない場合には、当該ユーザIDが出力を許可するユーザとして記憶されている前記コンテンツIDを前記コンテンツ記憶手段から抽出し、前記抽出された前記コンテンツIDの各部分に含まれる前記特徴語を前記コンテンツ記憶手段から抽出し、前記抽出された前記特徴語と、前記出力要求に含まれる前記コンテンツIDの前記部分に含まれる前記特徴語とが一致する場合に、当該部分を出力するためのコンテンツ出力手段と、
を備えることを特徴とする電子コンテンツの公開範囲制御システム。
【請求項2】
前記ログインした前記ユーザが前記コンテンツ記憶手段に記憶されている前記コンテンツを編集するための編集手段と、
前記ユーザIDごとに、該ユーザが前記編集手段によって編集した前記コンテンツに含まれる前記特徴語を記憶するための貢献度記憶手段と、
前記出力要求に含まれる前記コンテンツIDに対して前記ログイン手段に入力されたユーザIDが出力を許可するユーザとして前記コンテンツ記憶手段に記憶されていない場合には、当該ユーザIDに対して記憶されている前記特徴語を前記貢献度記憶手段から抽出し、前記抽出された前記特徴語と、前記出力要求に含まれる前記コンテンツIDの前記部分に含まれる前記特徴語とが一致する場合に、当該部分を出力するための前記コンテンツ出力手段と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の電子コンテンツの公開範囲制御システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−164366(P2012−164366A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−127753(P2012−127753)
【出願日】平成24年6月5日(2012.6.5)
【分割の表示】特願2008−165832(P2008−165832)の分割
【原出願日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【出願人】(399041158)西日本電信電話株式会社 (215)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年6月5日(2012.6.5)
【分割の表示】特願2008−165832(P2008−165832)の分割
【原出願日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【出願人】(399041158)西日本電信電話株式会社 (215)
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