説明

電子トリートメント装置

本発明の電子トリートメント装置は、ケーシングに設けられたイオン導入用のヘッド部及びグリップ電極と、ヘッド部に負の直流電圧と負の交番電圧(パルス電圧)とを重畳させて印加するイオン導入電圧供給回路等とを備えている。つまり、この装置によれば、高いイオン導入効果が得られ、化粧水や美容液などの有効成分を皮膚の奥深くへ浸透させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
この発明は、例えば皮膚(肌)等の施術部位の状態を改善するための電子的なトリートメントを行う電子トリートメント装置に関する。
【背景技術】
従来、電子的美容法としてイオン導入法が利用されている。
イオン導入法は、化粧水や美容液に含まれる水溶性の有効成分を、肌に微弱電流を通電しつつ浸透させることで、美容液や化粧水による美容効果を効率良く得るためのものである。
この種の先行技術としては、イオン電極に直流の交番電圧を供給して皮膚に有効成分を導入しつつ同電極を超音波振動させることで、有効成分の皮膚への導入を皮膚トラブルを起こすことなく短時間に行えるようにした技術がある(例えば特開2001−259045号公報参照)。
また、皮膚に対しての総合的な美容技術としては、クレンジングの段階と、マッサージの段階と、栄養供給の段階と、リフティングの段階との4つの段階で順に電流を供給しこれに赤外線と振動を併用する技術なども知られている(例えば、特開2000−210385号公報参照)。
すなわち、この後者の特許文献の技術は、クレンジングの段階において、約2〜10Hzの周波数の正のガルバニック電流と連続的な正のガルバニック電流とを繰り返し供給する。また、マッサージの段階では、約2〜10Hzの周波数を有する正負のガルバニック電流を供給する。栄養供給の段階では、約2〜10Hzの周波数の負のガルバニック電流と連続的な負のガルバニック電流とを繰り返して供給する。さらに、リフティングの段階では、約0.5〜5Hzの周波数が正負に可変する交番電流を供給する。
ここで、上述した前者の特許文献の技術は、皮膚のトラブルを起こさないことを前提にしていることから、皮膚のうち主に表皮に対するケアを目的としたものであるといえる。
また、後者の特許文献の技術は、電極への電流供給の仕方をさまざまに変えることで皮膚の総合的な美容を行えるものの、特に皮膚への栄養供給を行うためのイオン導入の技術については、負の交番電流と負の連続的な電流を繰り返して供給するものである。
すなわち、後者の特許文献の技術は、2つのパターンの電流を時間的にずらして供給するため、各パターンの電流供給の瞬間をとらえた場合、この際得られるイオンの導入力が十分であるとは言えず、前者の技術と同様、皮膚の奥深への有効成分の浸透効果を期待することができない。
【発明の開示】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、皮膚の奥深くへ有効成分を浸透させることのできる電子トリートメント装置の提供を目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の電子トリートメント装置は、ケーシングと、前記ケーシングに設けられ、皮膚へイオン導入を行うための電極部と、前記電極部に、負の直流電圧と負の交番電圧とを重畳させて印加する電圧供給手段とを具備することを特徴としている。
また、本発明の電子トリートメント装置は、前記電圧供給手段が、前記電極部に、正の直流電圧と正の交番電圧とを重畳させて印加することを特徴としている。
さらに、本発明の電子トリートメント装置は、前記電圧供給手段が、前記電極部に、負の直流電圧と正負に交番する交番電圧とを重畳させて印加することを特徴としている。
また、本発明の電子トリートメント装置は、ケーシングと、前記ケーシングに設けられ、皮膚へイオン導入を行うための電極部と、前記電極部に正の直流電圧と正の交番電圧とを重畳させて印加する第1電圧供給手段と、前記電極部に正負に交番する交番電圧を印加する第2電圧供給手段と、前記電極部に負の直流電圧と負の交番電圧とを重畳させて印加する第3電圧供給手段と、これら第1乃至第3電圧供給手段をいずれか一つ選択あるいは順に動作させるための切替手段とを具備することを特徴としている。
さらに、本発明の電子トリートメント装置は、前記電極部と皮膚との間に水溶性の有効成分を含む媒体が介在されることを特徴としている。
また、本発明の電子トリートメント装置は、前記電極部が、皮膚表面に接触させるように前記ケーシングから突出させて設けたイオン導入電極であって、前記ケーシングの握り部分に配置されたグリップ電極と、前記グリップ電極と皮膚との非接触を検出して報知を行う報知手段とをさらに具備することを特徴としている。
ここで、上記グリップ電極は、前記ケーシングの握り部分の例えば背面(イオン導入電極が配置される面に対する裏側面)や側面に配置すること等が例示される。
すなわち、本発明は、電極部に対しそれぞれ異なる電圧を印加する例えば第1〜第3電圧供給手段を、いずれか一つ選択あるいは一つずつを順に動作させること等が可能なので、肌のトリートメントを効果的に行うことができる。
また、本発明は、特にイオン導入時においては、電極部に、負の直流電圧と負の交番電圧とを重畳させて印加するので、負の直流電圧印加によって、媒体に含浸させた有効成分を皮膚の広い範囲に浸透させると共に、これに重畳させた負の交番電圧によって有効成分を皮膚の奥深まで浸透させることができる。
【図面の簡単な説明】
図1Aは、本発明の一つの実施の形態である電子トリートメント装置の正面図である。
図1Bは、図1Aに示した電子トリートメント装置の裏面図(背面図)である。
図2は、図1Aに示した電子トリートメント装置の側面図である。
図3は、図1Aに示した電子トリートメント装置の機能ブロック図である。
図4は、図1Aに示した電子トリートメント装置のヘッド部へ付与されるプラスモード時の印加電圧を示す波形図である。
図5は、図1Aに示した電子トリートメント装置のヘッド部へ付与されるマッサージモード時の印加電圧を示す波形図である。
図6は、図1Aに示した電子トリートメント装置のヘッド部へ付与されるマイナスモード時の印加電圧を示す波形図である。
図7は、イオン導入モードにおける皮膚への有効成分の浸透原理を示す図である。
図8は、図4〜図6に示したモードと異なる他のトリートメントモード時におけるヘッド部への印加電圧を示す波形図である。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明を添付の図面に従ってより詳細に説明する。
図1Aは、本発明を実施する一つの形態である電子トリートメント装置を示す正面図、図1Bは、この電子トリートメント装置の裏面図(背面図)、図2は、この電子トリートメント装置の側面図、図3は、この電子トリートメント装置の機能ブロック図である。
図1A、図1Bに示すように、本実施形態の電子トリートメント装置1は、ユーザが自身で美肌トリートメントを行えるハンディタイプの美容装置である。この電子トリートメント装置1は、例えば円柱を径方向に扁平させた形状で装置本体の外郭を形成するケーシング(筺体)11と、イオン導入電極としてのヘッド部12と、電池収容ケース13とを有している。ヘッド部12は、ケーシング11の一端部から当該ケーシング11の長手方向とほぼ直交する方向に突出させて設けられている。また、ヘッド部12は、トリートメント対象の皮膚(施術部位)に面で当接するように平坦な先端部を持つ円錐台形状に形成されている。
電池収容ケース13は、この装置の電源である電池をケーシング11内に収容するためのケースである。なお、電子トリートメント装置1の給電手段としては、AC(交流)アダプタや充電池等を利用してもよい。ケーシング11の背面には、電源/モードスイッチ14、電源/モード表示用LED15、強さ切替スイッチ16、強さ表示用LED17、グリップ電極18などが配置されている。
電源/モードスイッチ14は、主電源のオン/オフ(ON/OFF)、トリートメントモードの切り替えをユーザが行うためのスイッチである。この電源/モードスイッチ14は、例えば1秒以上の長押しで電源をオン/オフする電源スイッチ、及び0.5秒以下の短押しでモード切替スイッチとして動作するマルチファンクションスイッチである。強さ切替スイッチ16は、個々のトリートメントの時間・レベル(強さ)をユーザが選択するためのスイッチである。電源/モード表示用LED15は、主電源がオンされたときに点灯し、オフされたときに消灯する。この電源/モード表示用LED15は、トリートメントモードの切り替え操作により赤、黄、緑などに発光色が変化する。強さ表示用LED17は、大、中、小などの3段階にレベル分けされたマークに該当する部位のものが点灯する。つまり、これらLED15,17は、各トリートメントモードを選択時において、各種ステータスの表示や、ユーザによる選択・設定内容の表示を行う表示手段である。
図2に示すように、ケーシング11の側面には、グリップ電極18が設けられている。ケーシング11内には、ヘッド部12とグリップ電極18間をプラス(正)電位および/またはマイナス(負)電位に維持するよう直流電圧を供給、あるいはプラス・マイナス(正負)に交番する交流電圧を供給する制御系28(図3参照)が実装されたプリント基板(図示せず)などが収容されている。
図3に示すように、制御系28は、制御部21、操作入力部22、報知部23、マッサージ電圧供給回路24、イオン導入電圧供給回路25、クレンジング電圧供給回路26、切替回路27などを有している。
制御部21は、この電子トリートメント装置の全体的な制御や各種演算を実行するプロセッサ、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)を内蔵する。ROMには実行される制御や演算のためのプログラムや各種パラメータなどのソフトウェアが格納されており、プロセッサはこのROMからソフトウェアを読み込み、命令文を解釈し、RAMのメモリ空間を用いて命令を実行する。この制御部21のソフトウェアの一機能として、トリートメントを自動的に終了させるためのタイマー機能が備えられている。このタイマー機能において設定操作を行うことでトリートメントモードの時間を変更できる。デフォルトでは、例えば5分程度に設定されている。
操作入力部22は、ケーシング11に設けられた電源/モードスイッチ14、強さ切替スイッチ16の操作の状態を監視してその監視結果であるユーザからの入力命令を制御部21に通知する。切替回路27および制御部21は、ユーザによる電源/モードスイッチ14のモード切替え操作に応じて、ケーシング11における電極部(ヘッド部12、グリップ電極18)とマッサージ電圧供給回路24、クレンジング電圧供給回路26、イオン導入電圧供給回路25との接続状態を切り替えると共に、接続状態を切り替えた一つの電圧供給回路を選択、あるいは電圧供給回路を一つずつ順に動作させるための切替手段である。
報知部23は、上記LED15,17などの表示手段とユーザに対する警報および案内を行うブザー(図示せず)音声通知手段などである。ユーザに対する警報例としては、例えばユーザがグリップ電極18から手を離したときに警告音を発する。また、ユーザに対する案内例としては、例えばイオン導入時にブザー音を発することでトリートメントの合図を行うことである。
なお、報知部23は、グリップ電極18にユーザの皮膚が接触しているか否か、つまり皮膚とグリップ電極18との非接触を検知できるように、グリップ電極18が皮膚に接触したときに生じる例えば微弱な交流電圧を検出する回路等で構成される。なお、報知部23は、接点式の他、静電容量や抵抗等のインピーダンス変化を検知するものや、圧電素子によって圧力変化を検知するものであってもよい。
クレンジング電圧供給回路26は、制御部21による制御の下、ヘッド部12側をプラス(正極)、グリップ電極18をマイナス(負極)として、ヘッド部12に正の直流電圧と正の交番電圧とを重畳させて印加する第1電圧供給手段として機能する。
マッサージ電圧供給回路24は、制御部21による制御の下、電極部(ヘッド部12とグリップ電極18)に正負に交番する交番電圧(交流パルス電圧)を印加する第2電圧供給手段である。
イオン導入電圧供給回路25は、制御部21による制御の下、ヘッド部12側をマイナス(負極)、グリップ電極18をプラス(正極)として、電極部(ヘッド部12とグリップ電極18)にイオン導入のための電圧を印加する第3電圧印加手段として機能する。
電子トリートメント装置1によるイオン導入は、皮膚の施術部位、例えば顔面などの肌に化粧水や美容液をつけ、その上からヘッド部12を押し当てて電圧印加、つまりヘッド部12をマイナス電位としグリップ電極18をプラス電位とする電圧差を発生させることで行われる。これにより、化粧水や美容液を介して皮膚に微弱な電流を流し、化粧水や美容液に含まれるイオン化された水溶性の有効成分を、皮膚(肌)に効率的に浸透させることができる。有効成分とは、例えばビタミンC、Eなどである。
イオン導入電圧の供給方法としては、連続直流電圧供給、パルス直流電圧供給、パルス脱分極直流電圧供給、交流電圧供給(交番電圧供給)などがある。
この他、本装置のマイナスモードにおいては、マイナス直流電圧とマイナス直流パルス電圧との重畳供給をヘッド部12に対して行うものとする。また、プラスモードにおいては、ヘッド部12に対しプラス直流電圧とプラス直流パルス電圧との重畳供給を行い、マッサージモードにおいては、ヘッド部12に対しプラス・マイナスの交流電圧供給などを行う。
マイナスモードにおけるマイナス直流電圧とマイナス直流パルス電圧との重畳供給方法は、ヘッド部12に対しマイナス(負)の直流電圧を連続的に印加し(一定電圧を印加し)つつ、このマイナス(負)側で交番する直流のパルス電圧を重畳して供給する方法である。パルス電圧は、例えば50Hz等の周波数で0Vと−8Vを交番する矩形波である。上記パルス電圧の周波数は、例えば1〜200Hzの範囲内にあることが好ましい。
ユーザは、ケーシング11上の強さ切替スイッチ16の操作によってイオン導入のレベル、すなわち、グリップ電極18とヘッド部12間に加える電圧を、大、中、小の3段階に調整することができる。例えば−8Vから−36Vの間で3段階にレベルを調整できるようになっている。ここで、例えば−8Vから−36Vの間でのレベル調整を5段階、7段階といったように3段階を超える複数の段階で調整を行えるようにしてもよい。
以下、この電子トリートメント装置の動作を説明する。
まず、プラスモードについて説明する。
この場合、電源/モード切替スイッチ14を長押しして電源をオンし、動作モードをプラスモードに切り替えると、制御部21は、切替回路27を制御して、クレンジング電圧供給回路26を電極部(ヘッド部12およびグリップ電極18)に接続すると共に、電源/モード表示用LED15を緑色に発光させる。
このプラスモードの状態では、ヘッド部12がプラス、グリップ電極18がマイナスとされ、図4に示すように、ヘッド部12は、プラスの直流電圧S1に周波数50Hzのプラスのパルス電圧S2が重畳して印加された状態になる。
このプラスモードの状態で、ケーシング11を持ったままヘッド部12を施術部位に当接させると、プラスの直流電圧S1の印加により、肌の広い範囲の汚れがヘッド部12に吸着される。また、この直流電圧S1と重畳されたパルス電圧S2の刺激によって、肌の奥深くの汚れがたたき出される。つまり、直流電圧S1とパルス電圧S2との相乗効果で、マイナスに帯電した汚れ成分が肌の奥深くからたたき出されてヘッド部12に吸着されるので、肌のクレンジングを効率的に行える。また、このモードでトリートメントを行うことにより毛穴が引き締まり肌のきめを整える効果等が得られる。
続いて、マッサージモードについて説明する。
本装置の電源をオンした状態で、電源/モード切替スイッチ14を短押しして、動作モードをマッサージモードに切り替えると、制御部21は、切替回路27を制御して、マッサージ電圧供給回路24を電極部(ヘッド部12およびグリップ電極18)に接続すると共に、電源/モード表示用LED15を黄色に発光させる。
このマッサージモードの状態では、図5に示すように、電極部(ヘッド部12とグリップ電極18)にプラス・マイナスに交番する例えば周波数50Hzと周波数10Hzの交流パルス電圧S3が交互に印加され、電極部(ヘッド部12とグリップ電極18)の極性が、プラスとマイナスに瞬時に変化する状態になる。
このマッサージモードの状態で、ケーシング11を持ったままヘッド部12を施術部位に当接すると、皮膚の中のイオンが上下に動くようになり、肌が活性化されるので、肌に有効成分が導入しやすい状態になる。
周波数10Hzの交流パルス電圧では、肌の組織を深く活性化し、周波数50Hzの交流パルス電圧では、肌の組織を広く活性化する。このような低周波の刺激によって、筋肉をほぐし、毛穴を開きやすくできる。
続いて、マイナスモードについて説明する。
本装置の電源をオンした状態で、動作モードをマイナスモードに切り替えると、制御部21は、切替回路27を制御して、イオン導入電圧供給回路25を電極部(ヘッド部12およびグリップ電極18)に接続すると共に、電源/モード表示用LED15を赤色に発光させる。
このマイナスモードの状態では、報知部23からブザー音が発音されて、トリートメントの合図が行われる。また、ヘッド部12がマイナス、グリップ電極18がプラスとされ、図6に示すように、ヘッド部12は、マイナスの直流電圧S4に周波数50Hzのマイナスのパルス電圧S5が重畳して印加された状態になる。
このマイナスモードの状態で、図7に示すように、顔面などの皮膚表面H1の施術部位に、化粧水あるいは美容液などの美容処理剤を染み込ませた(含浸させた)コットン30(媒体)をあてがい、ユーザがケーシング11を手で持ってヘッド部12をコットン30の上に押し当てる。これにより、マイナスの直流電圧S4の印加によってマイナスイオンが発生しコットン30の化粧水あるいは美容液の有効成分が、矢印K1に示すように皮膚(表皮H2)の広い範囲に浸透する。また、マイナスイオンの作用によって毛穴が開く。ここで、イオン導入(電圧の印加)が正しく行われていることをユーザが把握できるように、ケーシング11を持つ手がグリップ電極18から離れると、これを報知部23が検知して警報音を発生させる。
さらに、このマイナスの直流電圧S4に重畳されたマイナスのパルス電圧S5の電気的な刺激(反発力)によって、化粧水あるいは美容液の有効成分が、矢印K2に示すように皮膚の奥深く(真皮H3)へたたき込まれる。
なお、上記コットン等を用いずに、水溶性の有効成分を含む溶液、つまり化粧水や美容液を、例えば顔面などの肌面に塗布した後、上述したマイナスモード(イオン導入)を行うようにしてもよい。
ここで、上記コットン30に染み込ませる美容処理剤としては、具体的には各種のビタミンやセラミド、またコラーゲン(コラーゲンビーズなどを含む)や美白剤のような美容成分、各種化粧品として用いられている化粧成分、紫外線吸収(もしくは反射)剤(日焼け抑制)、保湿剤、油分補給剤、炎症抑制剤のような皮膚保護成分などを含むもの、また場合によっては洗顔成分などを含むものが用いられる。これら各成分は1種または2種以上の混合物として使用することができる。さらに、これら美容処理剤の主目的成分に加えて、抗炎症作用や抗酸化作用などを有する成分を配合したり、また香料や顔料などを副成分として添加してもよい。
美容処理剤の主目的成分としてのビタミンには、ビタミンA油(ビタミンAパルミテート)、ビタミンE油(d1−α−トコフェロール)、ビタミンC(テトラ2−ヘキシルデカン酸アスコルビル)などが効果的に用いられる。例えば、ビタミンAは角質化した皮膚をやわらげ、また肥厚した皮膚や毛孔壁を柔軟にして、ニキビなどのできやすい油漏性角化肌の解消などに効果を発揮する。ビタミンEは細胞の若さを保つ働きを有し、肌荒れ、しわなどの原因となるターンオーバーの改善などに効果を発揮し、さらにシミの原因となる褐色の色素の沈着が抑制される。ビタミンCはシミ、ソバカスの発生原因となるメラニン色素の形成を阻害すると共に、シミの要因となる活性酸素を阻害する抗酸化作用を有する。また、バイオ技術で作られたセラミドは、肌の保湿機能を高めるなどの効果を有する。
このようにこの実施形態の電子トリートメント装置1によれば、マッサージ電圧供給回路24、クレンジング電圧供給回路26、イオン導入電圧供給回路25を設け、これらの回路を切り替えてマッサージモード、プラスモード、マイナスモードなどの3つの動作モードのトリートメントを行うことで、肌のトリートメントを効果的に行うことができる。
また、マイナスモードでは、マイナスの直流電圧S4とマイナスのパルス電圧S5とを重畳させてヘッド部12に印加することで、マイナスの直流電圧S4による有効成分の広範囲な浸透と、マイナスのパルス電圧S5による有効成分のたたき込みとを同時に行うので、皮膚の奥深くにまで有効成分を浸透させることができる。
さらに、電子トリートメント装置1によれば、ケーシング11を持つ手がグリップ電極18から離れると、警報ブザー音が発せられるので、本装置が正しく操作されているか否かをユーザが把握することが可能となる。また、イオン導入時には、トリートメントの開始がブザー音により合図されるので、ユーザが、装置の動作状況を把握することができる。
以上、本発明を上記実施の形態により具体的に説明したが、本発明はこの実施形態にのみ限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
上記実施形態では、クレンジング、マッサージ、イオン導入の各動作モードについて説明したが、この他、この装置には、「引き締めモード」と「きめ・しわモード」などが用意されている。
「引き締めモード」は、周波数が1Hz〜10Hz程度のパルスに周波数が10Hz〜50Hz程度のパルスを重畳した複合波が電極部に印加される。一方、「きめ・しわモード」は、周波数が1Hz〜10Hz程度のパルスに周波数が20Hz〜100Hz程度のパルスを重畳した複合波がヘッド部12及びグリップ電極18に印加される。
上記実施形態において、強さに関しては3段階としたが、6段階、10段階など、さらに細かく分けてもよい。
また、3つある動作モードのうち、いくつかのモードを連続的に利用することで、トリートメント効果をさらに高めることができる。例えばマッサージモードからマイナスモードへ連続的に行うことで、皮膚の毛穴が開き、有効成分が浸透しやすくなった状態でイオン導入できるので、肌に有効成分をより有効に浸透させることができる。
上記実施形態では、ヘッド部12の皮膚への接触面が平坦面で形成されていたが、トリートメント対象の皮膚面の形状等を考慮し、ヘッド部12の接触面の形状を曲率を持つ球面形状等で形成してもよい。また、コットン30をヘッド部12に貼り付けてから、肌にこれを当てるようにしてもよい。
また、上記実施形態のプラスモード、マイナスモード等では、プラスの直流電圧にプラスのパルス電圧を重畳したり、マイナスの直流電圧にマイナスのパルス電圧を重畳してヘッド部12に印加するものであったが、例えば、図8に示すように、マイナスの直流電圧S6に、プラス・マイナスに交番する交流パルス電圧S7を重畳してヘッド部12に印加するトリートメントモードを追加してもよい。
さらに、プラスの直流電圧や0Vの直流電圧に、プラス・マイナスに交番する交流パルス電圧を重畳してヘッド部12に印加するトリートメントモードを追加してもよい。また、例えば、ヘッド部12の先端部分に、上記コットン30等を保持させる機構を追加して電子トリートメント装置1を構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
以上説明したように、本発明は、美顔等のトリートメントにのみならず、首筋、手足等、身体のあらゆる肌面をトリートメントすることができる。

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングと、
前記ケーシングに設けられ、皮膚へイオン導入を行うための電極部と、
前記電極部に、負の直流電圧と負の交番電圧とを重畳させて印加する電圧供給手段と
を具備することを特徴とする電子トリートメント装置。
【請求項2】
前記電圧供給手段は、さらに、前記電極部に、正の直流電圧と正の交番電圧とを重畳させて印加することを特徴とする請求項1記載の電子トリートメント装置。
【請求項3】
前記電極部と皮膚との間に、水溶性の有効成分を含む溶液又は前記溶液が含浸された媒体が介在されることを特徴とする請求項1記載の電子トリートメント装置。
【請求項4】
前記電極部は、皮膚表面に接触させるように前記ケーシングから突出させて設けたイオン導入電極であって、
前記ケーシングの握り部分に配置されたグリップ電極と、
前記グリップ電極と皮膚との非接触を検出して報知を行う報知手段と
をさらに具備することを特徴とする請求項1記載の電子トリートメント装置。
【請求項5】
前記電圧供給手段は、さらに、前記電極部に、負の直流電圧と正負に交番する交番電圧とを重畳させて印加することを特徴とする請求項1記載の電子トリートメント装置。
【請求項6】
ケーシングと、
前記ケーシングに設けられ、皮膚へイオン導入を行うための電極部と、
前記電極部に正の直流電圧と正の交番電圧とを重畳させて印加する第1電圧供給手段と、
前記電極部に正負に交番する交番電圧を印加する第2電圧供給手段と、
前記電極部に負の直流電圧と負の交番電圧とを重畳させて印加する第3電圧供給手段と、
これら第1乃至第3電圧供給手段をいずれか一つ選択あるいは順に動作させるための切替手段と
を具備することを特徴とする電子トリートメント装置。
【請求項7】
前記電極部と皮膚との間に、水溶性の有効成分を含む溶液又は前記溶液が含浸された媒体が介在されることを特徴とする請求項6記載の電子トリートメント装置。
【請求項8】
前記電極部は、皮膚表面に接触させるように前記ケーシングから突出させて設けたイオン導入電極であって、
前記ケーシングの握り部分に配置されたグリップ電極と、
前記グリップ電極と皮膚との非接触を検出して報知を行う報知手段と
をさらに具備することを特徴とする請求項6記載の電子トリートメント装置。

【国際公開番号】WO2004/047915
【国際公開日】平成16年6月10日(2004.6.10)
【発行日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−554973(P2004−554973)
【国際出願番号】PCT/JP2003/014400
【国際出願日】平成15年11月12日(2003.11.12)
【出願人】(000114628)ヤーマン株式会社 (31)
【Fターム(参考)】