説明

電子ペーパーへの画像記録装置及び画像記録方法

【課題】画質を向上させた電子ペーパーを提供する。
【解決手段】所定電位に帯電された帯電体30と、帯電体と対向する対向部材20と、着色帯電粒子を有し、着色帯電粒子が厚み方向に移動することにより画像を表示する電子ペーパー100を、搬送する搬送部材と、厚み方向に沿う電界を発生させ、着色帯電粒子を厚み方向に移動させることにより画像を電子ペーパー100に表示させる電圧印加部50と、電子ペーパー100の互いに異なる部位を該間に順次送り込み、画像を順次表示させる第一処理を電圧印加部50に実行させ、さらに搬送させて、該間を一旦抜けた部位を再度順次送り込み、再度順次表示させる第二処理を電圧印加部50に実行させるコントローラーとを備え、コントローラーは、第一処理の際に、電圧が一定値となるように対向部材20に印加される電圧を制御し、第二処理が実行される際に、電圧が時間とともに変動するように電圧を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ペーパーへの画像記録装置及び画像記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
着色帯電粒子を有し該着色帯電粒子が厚み方向に移動することにより画像を表示する電子ペーパーは既によく知られている。電子ペーパー画像記録装置は、電子ペーパーに電界をかけることによって電子ペーパーの着色帯電粒子の位置を制御する。これにより、電子ペーパーには画像が記録される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−251048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、電子ペーパーに記録される画像の画質が低い場合がある。
【0005】
本発明はかかる従来の課題に鑑みて成されたもので、電子ペーパーに記録される画像の画質を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための主たる発明は、
潜像を担持する像担持体と、
前記像担持体と対向する対向部材と、
着色帯電粒子を有し、前記着色帯電粒子が厚み方向に移動することにより画像を表示する電子ペーパーを、搬送する搬送部材と、
前記電子ペーパーが前記像担持体と前記対向部材との間に位置する際に、前記対向部材に電圧を印加することにより、前記間に前記厚み方向に沿う電界を発生させ、前記着色帯電粒子を前記厚み方向に移動させることにより前記潜像に対応する画像を前記電子ペーパーに表示させる電圧印加部と、
前記電子ペーパーを前記搬送部材に搬送させて、前記電子ペーパーの互いに異なる部位を前記間に順次送り込み、前記間に送り込まれた前記部位に前記潜像に対応する画像を順次表示させる第一処理を前記電圧印加部に実行させ、
前記電子ペーパーを前記搬送部材にさらに搬送させて、前記間を一旦抜けた前記部位を前記間に再度順次送り込み、前記間に送り込まれた前記部位に前記潜像に対応する画像を再度順次表示させる第二処理を前記電圧印加部に実行させるコントローラーと、を備え、
前記コントローラーは、前記第一処理が実行される際に、前記電圧の値が一定値となるように前記対向部材に印加される前記電圧を制御し、前記第二処理が実行される際に、前記電圧の値が時間とともに変動するように前記電圧を制御することを特徴とする電子ペーパーへの画像記録装置である。
【0007】
本発明の他の特徴は、本明細書、及び添付図面の記載により、明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】電子ペーパー100の構成を模式的に示す断面図である。
【図2】画像部位及び非画像部位における着色帯電粒子の様子を示した模式図である。
【図3】電子ペーパーへの画像記録装置1の概略断面図である。
【図4】図4Aは、感光体20と対向ローラー52の拡大図であり、図4Bはさらに感光体20と対向ローラー52の挟み込み部分の拡大図である。
【図5】電子ペーパーへの画像記録装置1のブロック図である。
【図6】第一感光体20aと第一対向ローラー52aとの軸間距離又は第二感光体20bと第二対向ローラー52bとの軸間距離と、圧接力及びニップ幅との関係を示す表である。
【図7】画像記録装置1が実行する画像を記録する処理フローを示すフロー図である。
【図8】図8Aは、電子ペーパー100が画像記録装置1内に搬送される前であって、電界がほとんどかかっていない場合の、着色帯電粒子の状態を示す図である。図8Bは、S705において白い画像が記録される電子ペーパー100の部位における着色帯電粒子の動きを示す図である。図8Cは、S705において画像が記録された後の電子ペーパー100の着色帯電粒子の状態を示す図である。図8Dは、無電界状態となった電子ペーパー100の着色帯電粒子の状態を示す図である。図8Eは、S711において白い画像が再び記録される電子ペーパー100の部位における着色帯電粒子の動きを示す図である。図8Fは、S711において画像が記録された後の電子ペーパー100の着色帯電粒子の状態を示す図である。
【図9】図9Aは、電子ペーパー100の白像部において画像が記録されるメカニズムを示す概念図であり、図9Bは、電子ペーパー100の黒画像部において画像が記録されるメカニズムを示す概念図である。
【図10A】第二対向ローラー52bに印加させる電圧についての時間と電圧の関係を示すグラフである。
【図10B】第二対向ローラー52bに印加させる電圧についての時間と電圧の関係を示すグラフである。
【図10C】第二対向ローラー52bに印加させる電圧についての時間と電圧の関係を示すグラフである。
【図10D】第二対向ローラー52bに印加させる電圧についての時間と電圧の関係を示すグラフである。
【図10E】第二対向ローラー52bに印加させる電圧についての時間と電圧の関係を示すグラフである。
【図10F】第二対向ローラー52bに印加させる電圧についての時間と電圧の関係を示すグラフである。
【図10G】第二対向ローラー52bに印加させる電圧についての時間と電圧の関係を示すグラフである。
【図10H】第二対向ローラー52bに印加させる電圧についての時間と電圧の関係を示すグラフである。
【図10I】第二対向ローラー52bに印加させる電圧についての時間と電圧の関係を示すグラフである。
【図11】図11Aは、第一処理が実行された後の電子ペーパー100の非画像部の状態を示すものであり、図11Bは、第一処理が実行された後の電子ペーパー100の画像部の状態を示すものである。
【図12】図12Aは、第一処理後であって第二処理直前の電子ペーパー100の非画像部の状態を示すものであり、図12Bは、第一処理後であって第二処理直前の電子ペーパー100の画像部の状態を示すものである。
【図13】図13Aは、第二処理が実行された後の電子ペーパー100の非画像部の状態を示すものであり、図13Bは第二処理が実行された後の電子ペーパー100の画像部の状態を示すものである。
【図14A】第二対向ローラー52bに印加させる電圧についての時間と電圧の関係を示すグラフである。
【図14B】第二対向ローラー52bに印加させる電圧についての時間と電圧の関係を示すグラフである。
【図14C】第二対向ローラー52bに印加させる電圧についての時間と電圧の関係を示すグラフである。
【図14D】第二対向ローラー52bに印加させる電圧についての時間と電圧の関係を示すグラフである。
【図14E】第二対向ローラー52bに印加させる電圧についての時間と電圧の関係を示すグラフである。
【図14F】第二対向ローラー52bに印加させる電圧についての時間と電圧の関係を示すグラフである。
【図14G】第二対向ローラー52bに印加させる電圧についての時間と電圧の関係を示すグラフである。
【図14H】第二対向ローラー52bに印加させる電圧についての時間と電圧の関係を示すグラフである。
【図14I】第二対向ローラー52bに印加させる電圧についての時間と電圧の関係を示すグラフである。
【図15A】第二対向ローラー52bに印加させる電圧についての時間と電圧の関係を示すグラフである。
【図15B】第二対向ローラー52bに印加させる電圧についての時間と電圧の関係を示すグラフである。
【図15C】第二対向ローラー52bに印加させる電圧についての時間と電圧の関係を示すグラフである。
【図15D】第二対向ローラー52bに印加させる電圧についての時間と電圧の関係を示すグラフである。
【図15E】第二対向ローラー52bに印加させる電圧についての時間と電圧の関係を示すグラフである。
【図15F】第二対向ローラー52bに印加させる電圧についての時間と電圧の関係を示すグラフである。
【図15G】第二対向ローラー52bに印加させる電圧についての時間と電圧の関係を示すグラフである。
【図15H】第二対向ローラー52bに印加させる電圧についての時間と電圧の関係を示すグラフである。
【図15I】第二対向ローラー52bに印加させる電圧についての時間と電圧の関係を示すグラフである。
【図16】画像記録装置4の構成を示す概略図である。
【図17】画像記録装置4が実行する画像を記録する処理フローを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書の記載、及び添付図面の記載により、少なくとも次のことが明らかとなる。
【0010】
即ち、潜像を担持する像担持体と、
前記像担持体と対向する対向部材と、
着色帯電粒子を有し、前記着色帯電粒子が厚み方向に移動することにより画像を表示する電子ペーパーを、搬送する搬送部材と、
前記電子ペーパーが前記像担持体と前記対向部材との間に位置する際に、前記対向部材に電圧を印加することにより、前記間に前記厚み方向に沿う電界を発生させ、前記着色帯電粒子を前記厚み方向に移動させることにより前記潜像に対応する画像を前記電子ペーパーに表示させる電圧印加部と、
前記電子ペーパーを前記搬送部材に搬送させて、前記電子ペーパーの互いに異なる部位を前記間に順次送り込み、前記間に送り込まれた前記部位に前記潜像に対応する画像を順次表示させる第一処理を前記電圧印加部に実行させ、
前記電子ペーパーを前記搬送部材にさらに搬送させて、前記間を一旦抜けた前記部位を前記間に再度順次送り込み、前記間に送り込まれた前記部位に前記潜像に対応する画像を再度順次表示させる第二処理を前記電圧印加部に実行させるコントローラーと、を備え、
前記コントローラーは、前記第一処理が実行される際に、前記電圧の値が一定値となるように前記対向部材に印加される前記電圧を制御し、前記第二処理が実行される際に、前記電圧の値が時間とともに変動するように前記電圧を制御することを特徴とする電子ペーパーへの画像記録装置である。
【0011】
このような電子ペーパーへの画像記録装置によれば、第一処理が実行された際には着色帯電粒子を厚み方向に移動させることにより電子ペーパー上に画像を表示させ、第二処理が実行された際には電界の強さを変動させることで不適切な位置に位置する着色帯電粒子を適切な位置に移動させ、電子ペーパー上により鮮明な画像を表示させることができる。これにより、電子ペーパーに記録される画像の画質を向上させることができる。
【0012】
かかる電子ペーパーへの画像記録装置であって、
前記像担持体は、第一電位で帯電される領域と前記第一電位より大きい第二電位で帯電される領域とを有することによって潜像を担持し、
前記コントローラーは、
前記第一処理が実行される際に、前記電圧の値が前記第一電位よりも大きく前記第二電位よりも小さい範囲で一定値となるように、前記対向部材に印加される前記電圧を制御し、
前記第二処理が実行される際に、前記電圧の値が、前記第一電位よりも大きく前記第二電位よりも小さい範囲で時間とともに変動するように前記電圧を制御する
ことを特徴とする電子ペーパーへの画像記録装置である。
このような電子ペーパーへの画像記録装置によれば、第二処理が実行された際に、電界の強さを変動させて着色帯電粒子にかかる厚み方向の力の方向は変えずに力の大きさを変化させることで、不適切な位置に位置する着色帯電粒子を適切な位置に移動させ、電子ペーパー上により鮮明な画像を表示させることができる。これにより、電子ペーパーに記録される画像の画質を向上させることができる。
【0013】
かかる電子ペーパーへの画像記録装置であって、
前記像担持体は、第一電位で帯電される領域と前記第一電位より大きい第二電位で帯電される領域とを有することによって潜像を担持し、
前記コントローラーは、
前記第一処理が実行される際に、前記電圧の値が前記第一電位よりも大きく前記第二電位よりも小さい範囲で一定値となるように、前記対向部材に印加される前記電圧を制御し、
前記第二処理が実行される際に、前記電圧の値を時間とともに変動させて、前記電圧の値が、最小値において前記第一電位よりも小さい値となり、最大値において前記第二電位よりも大きい値となるように、前記電圧を制御する
ことを特徴とする電子ペーパーへの画像記録装置である。
このような電子ペーパーへの画像記録装置によれば、第二処理が実行された際に、電界の強さを変動させて着色帯電粒子にかかる厚み方向の力の方向を変えつつ力の大きさを変化させることで、不適切な位置に位置する着色帯電粒子を適切な位置に移動させ、電子ペーパー上により鮮明な画像を表示させることができる。これにより、電子ペーパーに記録される画像の画質を向上させることができる。
【0014】
また、着色帯電粒子を有し、前記着色帯電粒子が厚み方向に移動することにより画像を表示する電子ペーパーを搬送部材に搬送させて、前記電子ペーパーの互いに異なる部位を、潜像を担持する像担持体と、前記像担持体と対向する対向部材との間に順次送り込み、
前記電子ペーパーが前記間に位置する際に、前記対向部材に電圧を印加し、前記間に前記厚み方向に沿う電界を発生させ、前記着色帯電粒子を前記厚み方向に移動させることにより前記潜像に対応する画像を前記電子ペーパーに表示させる電圧印加部に、前記電圧の値が一定値となるように前記対向部材に対して前記電圧を印加させつつ、前記間に送り込まれた前記部位に前記潜像に対応する画像を順次表示させる第一処理を、実行させることと、
前記電子ペーパーを前記搬送部材にさらに搬送させて、前記間を一旦抜けた前記部位を前記間に再度順次送り込み、
前記電子ペーパーが前記間に位置する際に、前記電圧印加部に、前記電圧の値が時間とともに変動するように前記対向部材に対して前記電圧を印加させつつ、前記間に送り込まれた前記部位に前記潜像に対応する画像を再度順次表示させる第二処理を前記電圧印加部に実行させることと、
を有することを特徴とする電子ペーパーへの画像記録方法である。
【0015】
このような電子ペーパーへの画像記録方法によれば、第一処理が実行された際には着色帯電粒子を厚み方向に移動させることにより電子ペーパー上に画像を表示させ、第二処理が実行された際には電界の強さを変動させることで不適切な位置に位置する着色帯電粒子を適切な位置に移動させ、電子ペーパー上により鮮明な画像を表示させることができる。これにより、電子ペーパーに記録される画像の画質を向上させることができる。
【0016】
===第1実施形態===
次に、電子ペーパー100に画像を記録する電子ペーパーへの画像記録装置1の構成例について、説明する。
以下では、電子ペーパーへの画像記録装置1の説明に先立って、先ず、電子ペーパー100の構成について説明する。そして、これに引き続いて、電子ペーパーへの画像記録装置1の構成について説明する。
【0017】
<<電子ペーパー100の構成>>
ここでは、電子ペーパー100の構成例について、図1及び図2を用いて説明する。図1は、電子ペーパー100の構成を模式的に示す断面図である。図2は、画像部位及び非画像部位における着色帯電粒子の様子を示した模式図である。
【0018】
電子ペーパー100は、着色帯電粒子を有し、該着色帯電粒子が厚み方向に移動することにより画像を表示するものである。すなわち、電子ペーパー100は、着色された電気泳動粒子の電気泳動を利用して画像の表示を行う。
【0019】
図1に示すように、本実施の形態に係る電子ペーパー100は、表示層103と、表示層103の上面に設けられた上側絶縁層141と、表示層103の下面に設けられた下側絶縁層142と、封止部107と、を備えている。
【0020】
電子ペーパー100では、上側絶縁層141が表示面121を構成しており、上側絶縁層141を介して表示層103が視認されることにより、画像を認識することができるようになっている。また、電子ペーパー100は、可撓性を有するもの、有さないもののいずれであってもよいが、本実施の形態に係る電子ペーパー100は、可撓性を有している。
【0021】
表示層103は、着色帯電粒子の一例としての正帯電白色粒子及び負帯電黒色粒子の収容部であるマイクロカプセル131とバインダ132とを有しており、複数のマイクロカプセル131がバインダ132で固定(保持)されることにより構成されている。また、複数のマイクロカプセル131は、上側絶縁層141と下側絶縁層142との間に、縦横に並列するように単層で(厚さ方向に重なることなく1個ずつ)配設されている。
【0022】
各マイクロカプセル131は、殻体であるカプセル本体133を有しており、その内部(内部空間)には、電気泳動分散液が充填(封入)されている。カプセル本体133内に充填された電気泳動分散液は、正帯電白色粒子と負帯電黒色粒子とを液相分散媒に分散(懸濁)してなるものである。正帯電白色粒子及び負帯電黒色粒子の液相分散媒への分散については、ペイントシェーカー法、ボールミル法、メディアミル法、超音波分散法、攪拌分散法等のうちの1種または2種以上を組み合わせて行なうことができる。
【0023】
正帯電白色粒子は、正に帯電する白色の電気泳動粒子であり、負帯電黒色粒子は、負に帯電する黒色の電気泳動粒子である。このように、正帯電白色粒子と負帯電黒色粒子とを用いることにより、電子ペーパー100における白黒表示が可能となる。なお、本実施の形態においては、負帯電黒色粒子の帯電量と比べて、正帯電白色粒子の帯電量が小さくなっている(正帯電白色粒子は微帯電している)。
【0024】
正帯電白色粒子及び負帯電黒色粒子には、それぞれ、電荷を有するものであれば、いかなるものをも用いることができ、特に限定はされないが、顔料粒子、樹脂粒子またはこれらの複合粒子のうちの少なくとも1種が好適に使用される。
【0025】
顔料粒子を構成する顔料としては、例えば、アニリンブラック、カーボンブラック、チタンブラック等の黒色顔料、酸化チタン、酸化アンチモン等の白色顔料等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。このうち、チタンブラックが負帯電黒色粒子として、酸化チタンが正帯電白色粒子として、好適に用いられる(本実施の形態においても、これらが用いられている)。
【0026】
また、樹脂粒子を構成する樹脂材料としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、尿素系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリスチレン、ポリエステル等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0027】
また、複合粒子としては、例えば、顔料粒子の表面を樹脂材料や他の顔料で被覆したもの、樹脂粒子の表面を顔料で被覆したもの、顔料と樹脂材料とを適当な組成比で混合した混合物で構成される粒子等が挙げられる。顔料粒子の表面を他の顔料で被覆した粒子としては、例えば、酸化チタン粒子の表面を、酸化珪素や酸化アルミニウムで被覆したものを例示することができる。
【0028】
正帯電白色粒子及び負帯電黒色粒子については、液相分散媒中での分散性を考慮した場合、より小さいものが好適に用いられる。具体的には、その平均粒径が、10〜500nm程度であるのが好ましく、20〜300nm程度であるのがより好ましい。正帯電白色粒子及び負帯電黒色粒子の平均粒径を前記範囲とすることにより、正帯電白色粒子と負帯電黒色粒子の凝集や、正帯電白色粒子や負帯電黒色粒子の沈降を防止することができ、正帯電白色粒子及び負帯電黒色粒子を液相分散媒中に分散させた状態を維持することができる。
【0029】
そして、このような正帯電白色粒子及び負帯電黒色粒子がマイクロカプセル131内で電子ペーパー100の厚み方向に移動することにより、画像が表示されることとなる。
【0030】
すなわち、詳細については後述するが、当該電子ペーパー100における画像を表示させたい部位(つまり、黒画像部)においては、負帯電黒色粒子が前記厚み方向における上側絶縁層141(表示面121)側に、正帯電白色粒子が下側絶縁層142側に、それぞれ移動し(図2の左図参照)、画像を表示させたくない部位(つまり、白画像部(白背景部))においては、正帯電白色粒子が前記厚み方向における上側絶縁層141(表示面121)側に、負帯電黒色粒子が下側絶縁層142側に、それぞれ移動するように(図2の右図参照)、粒子の移動が制御されることにより、電子ペーパー100における白黒表示が成される。そして、この粒子の移動制御は、前記電子ペーパーへの画像記録装置1が、前記厚み方向に沿う電界を発生させ、前者の部位においては電界の向きが下向き(上側絶縁層141から下側絶縁層142へ向かう向き)となり(図2の左図参照)、後者の部位においては電界の向きが上向き(下側絶縁層142から上側絶縁層141へ向かう向き)となるように(図2の右図参照)、電界の向きを制御することによって実現されることとなる。
【0031】
なお、正帯電白色粒子及び負帯電黒色粒子の比重は、それぞれ、液相分散媒の比重とほぼ等しくなるように設定されているのが好ましい。これにより、正帯電白色粒子及び負帯電黒色粒子は、電界の作用を受けた後においても、液相分散媒中において一定の位置に長時間滞留することができる。
【0032】
バインダ132は、例えば、上側絶縁層141と下側絶縁層142とを接合する目的、上側絶縁層141と下側絶縁層142との間に各マイクロカプセル131を固定する目的等により供給される。このバインダ132には、上側絶縁層141、下側絶縁層142およびカプセル本体133との親和性(密着性)に優れ、かつ、絶縁性に優れる樹脂材料が好適に使用される。
【0033】
表示層103を間に挟むように対向配置された上側絶縁層141及び下側絶縁層142は、それぞれ、絶縁性を有するシート状(平板状)の部材で構成されている。このような上側絶縁層141及び下側絶縁層142は、表示層103(マイクロカプセル131)を保護する機能を有している。
【0034】
上側絶縁層141は、表示面121を構成するために光透過性を有するもの、すなわち、実質的に透明(無色透明、有色透明または半透明)とされる。これにより、表示面121側から、表示層103の状態(各マイクロカプセル131中の正帯電白色粒子及び負帯電黒色粒子の状態)、すなわち電子ペーパー100に表示された画像(情報)を目視により認識することができる。一方、下側絶縁層142については、上側絶縁層141のような光透過性の有無は問わない(本実施の形態においては、下側絶縁層142は実質的に不透明となっている)。
【0035】
封止部107は、電子ペーパー100内への水分の浸入を防止して、電子ペーパー100の表示性能の劣化を抑えるためのものである。封止部107は、上側絶縁層141と下側絶縁層142との間に、それらの縁部に沿うようにして設けられている。そして、この封止部107により、表示層103が気密的に封止されている。
【0036】
<<画像記録装置1の構成>>
次に、電子ペーパーへの画像記録装置1の構成例について、図3〜図5を用いて説明する。図3は、電子ペーパーへの画像記録装置1の概略断面図である。図4Aは、感光体20と対向ローラー52の拡大図であり、図4Bはさらに感光体20と対向ローラー52の挟み込み部分の拡大図である。図5は、電子ペーパーへの画像記録装置1のブロック図である。
【0037】
本実施の形態に係る電子ペーパーへの画像記録装置1は、図3に示すように、第一ユニット5と第二ユニット6を有し、また、搬送部材の一例としての搬送ユニット60、及び、これらのユニット等を制御し電子ペーパーへの画像記録装置1としての動作を司るコントローラー80を有する。また、第一ユニット5及び第二ユニット6は、それぞれ、像担持体の一例としての感光体20と、帯電ユニット30と、露光ユニット40と、電界生成ユニット50(対向部材の一例としての対向ローラー52を含む)と、を有する。すなわち、第一ユニット5は、第一感光体20aと、第一帯電ユニット30aと、第一露光ユニット40aと、第一電界生成ユニット50aと、を備え、第二ユニット5は、第二感光体20bと、第二帯電ユニット30bと、第二露光ユニット40bと、第二電界生成ユニット50bと、を備える。
【0038】
感光体20は、金属製の円筒状の導電性基材と、その外周面に形成され静電気を保持するための樹脂製の感光層と、を有している。この感光体20は、中心軸を中心に回転可能であり、本実施の形態において、第一感光体20aと第二感光体20bは、それぞれ直径78mmであり、何れも図3中の矢印で示すように時計回りに回転する。
【0039】
帯電ユニット30は、感光体20を帯電させるためのものである。画像記録装置1には、第一感光体20a及び第二感光体20bにそれぞれ対応した第一帯電ローラー31a及び第二帯電ローラー31bが設けられる。本実施の形態においては、第一帯電ローラー31aが第一感光体20aを−500ボルトに帯電させ、第二帯電ローラー31bが第二感光体20bを−500ボルトに帯電させるようになっている。
【0040】
露光ユニット40は、レーザーを照射することによって帯電された感光体20上に潜像を形成するものである。画像記録装置1には、第一感光体20a、第二感光体20bにそれぞれ対応した2つの第一露光ユニット40a、第二露光ユニット40bが設けられる。この露光ユニット40は、半導体レーザー、ポリゴンミラー、F−θレンズ等を有しており、パーソナルコンピューター、ワードプロセッサ等の不図示のコンピューターから入力された画像信号に基づいて、変調されたレーザーを帯電された感光体20上に照射する。本実施の形態においては、潜像の画像部及び非画像部(背景部)のうち、画像部に相当する部分にレーザーが照射される(本項においては、電子ペーパー100における前記黒画像部に対応する感光体20上の部分を画像部と、前記白画像部(白背景部)に対応する感光体20上の部分を非画像部(背景部)と、それぞれ呼んでいる)。そして、感光体20上のレーザーが照射された部分の電位が−500ボルトから−50ボルトとなる。
【0041】
電界生成ユニット50は、電子ペーパー100の厚み方向に電界を発生させて、当該電子ペーパー100の正帯電白色粒子及び負帯電黒色粒子を厚み方向に移動させるためのものである。画像記録装置1には、第一感光体20a及び第二感光体20bにそれぞれ対応した2つの第一電界生成ユニット50a及び第二電界生成ユニット50bが設けられる。この第一電界生成ユニット50a及び第二電界生成ユニット50bは、それぞれ第一対向ローラー52a及び第二対向ローラー52bと電圧印加部54(図4A参照)とを備えている。
【0042】
第一対向ローラー52a及び第二対向ローラー52bは、第一感光体20a及び第二感光体20bにそれぞれ対向する回転可能なローラーであり、何れも直径が30mmである。第一対向ローラー52aは、電子ペーパー100が第一感光体20aと第一対向ローラー52aとの間に位置する際に、第一感光体20aと協働して電子ペーパー100を挟んで圧接させつつ(すなわち、第一感光体20aと第一対向ローラー52aとはニップ部にて電子ペーパー100を挟んで圧接している)、第一感光体20aの回転に伴ってその回転方向とは反対方向に回転する。同様に、第二対向ローラー52bは、電子ペーパー100が第二感光体20bと第二対向ローラー52bとの間に位置する際に、第二感光体20bと協働して電子ペーパー100を挟んで圧接させつつ、第二感光体20bの回転に伴ってその回転方向とは反対方向に回転する。
【0043】
感光体20と対向ローラー52との軸間距離は、感光体20の半径と対向ローラー52の半径の合計よりも短く設定される。具体的には、上述の通り感光体20の半径39mmと対向ローラー52の半径15mmとの合計は54mmであり、感光体20と対向ローラー52との軸間距離を53.3mmである。また、対向ローラー52の、電子ペーパー100を介して感光体20と接触する接触部分は、弾性体であって例えばゴム製である。つまり、対向ローラー52が感光体20と対向する部分では、対向ローラー52が感光体20の外周面に対応する形状に変形することによって、そこで挟み込まれる電子ペーパー100に対して圧接力を与える(図4B参照)。
【0044】
図6は、感光体20と対向ローラー52との軸間距離と、圧接力及びニップ幅との関係を示す表である。同図に示すように、感光体20と対向ローラー52との軸間距離は53.3mmであり、食い込みは0.7mm、ニップ幅5.0mm、圧接力48gf/cmである。
【0045】
電圧印加部54は、電子ペーパー100が前記間に位置する際に、第一対向ローラー52a及び第二対向ローラー52bに電圧を印加する(すなわち、第一対向ローラー52a及び第二対向ローラー52bは、被電圧印加部としての機能を有する)。そして、このことにより、第一感光体20aと第一対向ローラー52aとの間、及び第二感光体20bと第二対向ローラー52bとの間、にそれぞれ電子ペーパー100の厚み方向に沿う電界を発生させて、電子ペーパー100の正帯電白色粒子及び負帯電黒色粒子を厚み方向に移動させる。
【0046】
電圧印加部54は、正帯電白色粒子及び負帯電黒色粒子が移動して、前記潜像に対応する画像が電子ペーパー100に表示されるように電圧を印加する。
【0047】
搬送ユニット60は、電子ペーパー100を搬送するためのものである。この搬送ユニット60は、ペーパーカセット62と、ペーパーカセット62の上部に位置する給紙ローラー64と、給紙ローラー64から見て、感光体20側に位置する搬送ローラー66と、不図示の排紙ローラーと、を有している。給紙ローラー64は、ペーパーカセット62に収容されている電子ペーパー100を給紙するローラーである。搬送ローラー66は、給紙ローラー64によって給紙された電子ペーパー100を第一感光体20aと第一対向ローラー52aとの間及び第二感光体20bと第二対向ローラー52bとの間に搬送するローラーである。排紙ローラーは、画像が表示された電子ペーパー100を電子ペーパーへの画像記録装置1から排出するローラーである。これらのローラーは、不図示のモーターにより駆動される。
【0048】
コントローラー80は、電子ペーパーへの画像記録装置1の制御を行うための制御ユニット(制御部)である。コントローラー80は、インターフェイス部81と、CPU82と、メモリー83と、ユニット制御回路84と、を有する。
【0049】
インターフェイス部81は、外部装置であるコンピューターと電子ペーパーへの画像記録装置1との間でデータの送受信を行う。CPU82は、電子ペーパーへの画像記録装置1全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリー83は、CPU82のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものであり、RAM、EEPROM等の記憶素子を有する。CPU82は、メモリー83に格納されるプログラムに従って、ユニット制御回路84を介して各ユニットを制御する。
【0050】
<<画像記録装置1の動作>>
次に、画像記録装置1が電子ペーパー100に画像を記録する処理について説明する。
図7は、画像記録装置1が実行する画像を記録する処理フローを示すフロー図である。
【0051】
まず、画像記録装置1のコントローラー80は、外部コンピューターから印刷データを受信すると(S701)、第一帯電ローラー31aによって第一感光体20aを−500ボルトに帯電させる(S702)。そして、コントローラー80は、印刷データに基づいて−500ボルトに帯電された第一感光体20aに対して露光ユニット40aからレーザー光を照射させて、第一感光体20aに潜像を形成する(S703)。すなわち、露光ユニット40aには、レーザー光が照射されず−500ボルト(「第一電位」に相当)に帯電された部分と、レーザー光が照射されることにより−50ボルト(「第二電位」に相当)となる部分とが形成されることによって、潜像が形成される。
【0052】
また、コントローラー80は、ペーパーカセット62に収納されている電子ペーパー100を、給紙ローラー64によって給紙する(S704)。図8Aは、電子ペーパー100が画像記録装置1内に搬送される前であって、電界がほとんどかかっていない状態(以下、「無電界状態」)での、着色帯電粒子の状態を示す図である。
【0053】
そして、コントローラー80は、搬送ユニット60によって電子ペーパー100をその先端部位から末端部位まで順次、第一感光体20aと第一対向ローラー52aとの間に搬送させる(S705)。コントローラー80は、電圧印加部54によって第一対向ローラー52aに−200ボルトの電圧を印加することで、第一感光体20aと第一対向ローラー52aとの間に電界を発生させるとともに、その間に電子ペーパー100の先端部位から末端部位まで順次、挟み込ませて電界をかけ、第一感光体20aの潜像に対応する画像を電子ペーパー100の先端部位から末端部位まで順次、記録する(S706)。以上、S701からS706までのステップは、第一処理に相当する。
【0054】
ここで、S706において、電子ペーパー100に画像が記録されるメカニズムを説明する。図9Aは、電子ペーパー100の白画像部に画像が記録されるメカニズムを示す概念図であり、図9Bは、電子ペーパー100の黒画像部に画像が記録されるメカニズムを示す概念図である。図9Aに示すように、第一感光体20aの−500ボルトに帯電している部分と第一対向ローラー52aとの間には、第一対向ローラー52a(−200ボルトの印加電圧)から第一感光体20a(−500ボルトに帯電)に向けて電界が発生している。したがって、プラスに帯電された白色粒子は第一感光体20a側(上側絶縁層141側)に移動し、マイナスに帯電された黒色粒子は第一対向ローラー52a側(下側絶縁層142側)に移動する。すなわち、電子ペーパー100の表示面には白色粒子が集まっており白く見える。一方で、図9Bに示すように、第一感光体20aの−50ボルトに帯電している部分と第一対向ローラー52aとの間には、第一感光体20a(−50ボルトに帯電)から第一対向ローラー52a(−200ボルトに帯電)に向けて電界が発生している。したがって、プラスに帯電された白色粒子は第一対向ローラー52a側(下側絶縁層142側)に移動し、マイナスに帯電された黒色粒子は第一感光体20a側(上側絶縁層141側)に移動する。すなわち、電子ペーパー100の表示面には黒色粒子が集まっており黒く見える。このようにして、電子ペーパー100の表示面には黒く見える部分(黒画像部)と白く見える部分(白画像部)が形成され、すなわち第一感光体20aの潜像に対応する画像が記録される。
【0055】
図8Bは、S706において白画像部が記録される電子ペーパー100の部位における着色帯電粒子の動きを示す図である。同図に示すように、電子ペーパー100が第一感光体20aと第一対向ローラー52aとの間に位置すると、第一感光体20aと第一対向ローラー52aとの間の電界により着色帯電粒子がクーロン力を受けて電気泳動を開始する。また、図8Cは、S706において白画像部が記録された後の電子ペーパー100の着色帯電粒子の状態を示す図である。同図に示すように、電気泳動開始時に上側絶縁層141側にある負帯電黒色粒子のうちの一部は、第一対向ローラー52a側に電気泳動する際に正帯電白色粒子に取り囲まれ、クーロン力では抜け出せなくなりうる。この場合、一部の負帯電黒色粒子が上端側に残っている。
【0056】
さて、画像記録処理フローの説明を続ける。コントローラー80は、第一感光体20aと第一対向ローラー52aとを回転させて、第一感光体20aと第一対向ローラー52aとの間から電子ペーパー100を先端部位から末端部位まで順次排出し、電子ペーパー100の各部位に電界がほとんどかからない状態とする(S707)。すなわち、電子ペーパー100は、先端部位から末端部位まで順次、第一感光体20aと第一対向ローラー52aとの間から排出されることによって、電子ペーパー100には第一感光体20aと第一対向ローラー52aとの電位差による電界がほとんどかからない状態(すなわち、無電界状態)となる。図8Dは、無電界状態となった電子ペーパー100の着色帯電粒子の状態を示す図である。同図に示すように、無電界状態では、電界がほとんどかかっていないので、少なくとも電子ペーパー100内の白色帯電粒子と黒色帯電粒子とがこの電界の影響によっては大きくは移動しないものの、粒子間斥力により粒子が拡散し取り囲まれていた粒子も自由に動けるようになる。
【0057】
コントローラー80は、第二帯電ローラー31bによって第二感光体20bを−500ボルトに帯電させる(S708)。そして、コントローラー80は、印刷データに基づいて−500ボルトに帯電された第二感光体20bに対して露光ユニット40bからレーザー光を照射させて、第二感光体20bに潜像を形成する(S709)。すなわち、第二感光体20bには、レーザー光が照射されず−500ボルト(「第一電位」に相当)に帯電された部分と、レーザー光が照射されることにより−50ボルト(「第二電位」に相当)となる部分とが形成されることによって、潜像が形成される。
【0058】
また、コントローラー80は、搬送ユニット60によって電子ペーパー100をその先端部位から末端部位まで順次、第二感光体20bと第二対向ローラー52bとの間に搬送させる(S710)。コントローラー80は、電圧印加部54によって第二対向ローラー52bに時間とともに変動する電圧を印加させることで、第二感光体20bと第二対向ローラー52bとの間に電界を発生させるとともに、その間に電子ペーパー100の先端部位から末端部位まで順次、挟み込ませて電界をかけ、第二感光体20bの潜像に対応する画像を電子ペーパー100の先端部位から末端部位まで順次、記録する(S711)。
【0059】
ここで、第二対向ローラー52bに印加させる電圧は、−500ボルト(第一電位)よりも大きく、−50ボルト(第二電位)よりも小さい範囲であり、時間とともに変動する。具体的には、第二対向ローラー52bに印加される電圧は、直流電圧に交流電圧を重畳した電圧であり、この重畳した電圧の値は時間とともに変動する。なお、交流電圧とは、時間とともに周期的に大きさと向きが変化する電圧の意である。
【0060】
図10Aは、第二対向ローラー52bに印加させる電圧についての時間と電圧の関係を示すグラフである。第1実施形態においては、同図に示すように、印加される電圧を5ミリ秒間−150ボルトとし、次の5ミリ秒間は−400ボルトとし、10ミリ秒周期で矩形波状に電圧が変動するように制御を行う。なお、当該周期は、搬送ユニット60による電子ペーパー100の搬送により電子ペーパー100の部位がニップ部(ニップ幅は5.0mm)を通過し始めてから通過し終えるまでに必要な時間よりも、小さくなるような値に設定される。
【0061】
図8Eは、S711において非画像部が再び記録される電子ペーパー100の部位における着色帯電粒子の動きを示す図である。同図に示すように、電子ペーパー100が第二感光体20bと第二対向ローラー52bとの間に位置すると、S707で無電界状態に置かれて一度拡散していた着色帯電粒子は、第二感光体20bと第二対向ローラー52bとの間の電界により着色帯電粒子がクーロン力を受けて電気泳動を再び開始する。また、図8Fは、S711において画像が記録された後の電子ペーパー100の着色帯電粒子の状態を示す図である。同図に示すように、図8Dの状態において正帯電白色粒子に取り囲まれていた負帯電黒色粒子は、クーロン力によって脱出することで、正帯電白色粒子が上側絶縁層141側に集まり、負帯電黒色粒子が下側絶縁層142側に集まることで、適切に分離する。
【0062】
そして、コントローラー80は、第二感光体20bと第二対向ローラー52bとを回転させて、第二感光体20bと第二対向ローラー52bとの間から電子ペーパー100を先端部位から末端部位まで順次排出する(S712)。以上、S707からS712までのステップは、第二処理に相当する。
【0063】
<<画像記録装置の有用性>>
第1実施形態の電子ペーパーへの画像記録装置1によれば、電子ペーパー100を搬送ユニット60に搬送させて、電子ペーパー100の互いに異なる部位を第一感光体20aと第一対向ローラー52aとの間に順次送り込み、その間に送り込まれた電子ペーパー100の部位に第一感光体20aの潜像に対応する画像を順次表示させる第一処理を電圧印加部54に実行させ、電子ペーパー100を搬送ユニット60にさらに搬送させて、第一感光体20aと第一対向ローラー52aとの間を一旦抜けた電子ペーパー100の部位を第二感光体20bと第二対向ローラー52bとの間に再度順次送り込み、その間に送り込まれた部位に潜像に対応する画像を再度順次表示させる第二処理を電圧印加部54に実行させる。そして、電子ペーパーへの画像記録装置1によれば、第一処理が実行される際に、電圧の値が第一電位よりも大きく第二電位よりも小さい範囲で一定値となるように、第一対向ローラー52aに印加される電圧を制御し、第二処理が実行される際に、電圧の値が、第一電位よりも大きく第二電位よりも小さい範囲で時間とともに変動するように電圧を制御することから、第一処理が実行された際には着色帯電粒子を厚み方向に移動させることにより電子ペーパー上に画像を表示させ、第二処理が実行された際には電界の強さを変動させることで不適切な位置に位置する着色帯電粒子を適切な位置に移動させ、電子ペーパー上により鮮明な画像を表示させることができる。これにより、電子ペーパーに記録される画像の画質を向上させることができる。
【0064】
図11〜図13は、電子ペーパー100の負帯電黒色粒子及び正帯電白色粒子の様子を示す概念図である。図11Aは、第一処理が実行された後の電子ペーパー100の非画像部の状態を示すものであり、図11Bは、第一処理が実行された後の電子ペーパー100の画像部の状態を示すものである。図12Aは、第一処理後であって第二処理直前の電子ペーパー100の非画像部の状態を示すものであり、図12Bは、第一処理後であって第二処理直前の電子ペーパー100の画像部の状態を示すものである。図13Aは、第二処理が実行された後の電子ペーパー100の非画像部の状態を示すものであり、図13Bは第二処理が実行された後の電子ペーパー100の画像部の状態を示すものである。
【0065】
図11Aに示すように、電子ペーパー100の非画像部では、第一感光体20aと第一対向ローラー52aとにより電子ペーパー100に画像を記録すること(第一処理)で、正帯電白色粒子W1を上側絶縁層141側に移動させることができ、負帯電黒色粒子B1を下側絶縁層142側に移動させることができる。また、図11Bに示すように、電子ペーパー100の画像部では、同様に、負帯電黒色粒子B2を上側絶縁層141側に移動させることができ、正帯電白色粒子W2を下側絶縁層142側に移動させることができる。このようにして、電子ペーパー100の正帯電白色粒子及び負帯電黒色粒子を移動させることによって、電子ペーパー100に画像を記録することができる。
【0066】
しかし、図11Aに示すように、第一処理の際に、電子ペーパー100の非画像部において、一部の負帯電黒色粒子B3が正帯電白色粒子W3に行く手を塞ぐように妨害されてしまい、その負帯電黒色粒子が下側絶縁層142側に移動できずに上側絶縁層141側に留まってしまうことがある。ここで、一旦電子ペーパー100を第一感光体20aと第一対向ローラー52aとの間から抜けさせ電界がほとんどかからない状態(無電界状態)とすると、負帯電黒色粒子B3及び正帯電白色粒子W3は粒子間斥力によって、図12Aに示すように、負帯電黒色粒子B3及び正帯電白色粒子W3が相互に離間し、いわばほぐされた状態となることとなり、負帯電黒色粒子B3と負帯電黒色粒子B3を妨害していた正帯電白色粒子W3との間に隙間ができ、この妨害が解除される。
【0067】
同様に、図11Bに示すように、第一処理の際に、電子ペーパー100の画像部において、一部の正帯電白色粒子W4が負帯電黒色粒子B4に行く手を塞ぐように妨害されてしまい、その正帯電白色粒子が下側絶縁層142側に移動できずに上側絶縁層141側に留まってしまうことがある。しかし、図12Bに示すように、一旦無電界状態とすると、負帯電黒色粒子B3及び正帯電白色粒子W3は粒子間斥力によって、負帯電黒色粒子B3及び正帯電白色粒子W3はほぐされることとなり、正帯電白色粒子W3と正帯電白色粒子W3を妨害していた負帯電黒色粒子B3との間に隙間ができ、この妨害が解除される。
【0068】
この妨害が解除された後に、第二感光体20bと第二対向ローラー52bとの間の電界の大きさを変動させつつ、電子ペーパー100に画像を記録すること(第二処理)で、図13Aに示すように、非画像部において、妨害されていた負帯電黒色粒子B3を下側絶縁層142側に移動させることができる。すなわち、第二処理が実行された際には、電界の大きさを変化させることで、負帯電黒色粒子B3にクーロン力をかけることとそのクーロン力を弱めて着色帯電粒子相互に粒子間斥力を働かせることとを交互に繰返し、負帯電黒色粒子B3を確実に然るべき位置へと徐々に移動させることができる。すなわち、第二処理の際には、着色帯電粒子の移動と粒子間斥力によるほぐしとを交互に行うことで、着色帯電粒子を確実に然るべき位置に移動させることができる。このようにして、電子ペーパー100に記録される画像の画質を向上させることができる。
【0069】
画像部においても同様に、図13Bに示すように、妨害されていた正帯電白色粒子W4を下側絶縁層142側に、それぞれ移動させることができる。
【0070】
また、電子ペーパーへの画像記録装置1によれば、電圧印加部54は、電子ペーパー100が第一感光体20aと第一対向ローラー52aとの間に位置する際に第一電位(−500ボルト)よりも大きくて第二電位(−50ボルト)よりも小さい印加電圧(−200ボルト)を第一対向ローラー52aに印加し、また、電圧印加部54は、電子ペーパー100が第二感光体20bと第二対向ローラー52bとの間に位置する際に第一電位(−500ボルト)よりも大きくて第二電位(−50ボルト)よりも小さい範囲で時間とともに変動するように印加電圧を第二対向ローラー52bに印加することで、電子ペーパー100に記録される画像の画質を向上させることができる。すなわち、第二処理が実行された際に、電界の強さを変動させて着色帯電粒子にかかる厚み方向の力の方向は変えずに力の大きさを変化させることで、不適切な位置に位置する着色帯電粒子を適切な位置に移動させ、電子ペーパー上により鮮明な画像を表示させることができる。
【0071】
===第2実施形態===
以下の第2実施形態では、画像を表示する媒体である電子ペーパー100に画像を記録する画像記録装置2について説明する。
第2実施形態が、第1実施形態と異なる点は、第二処理を実行する際に第二対向ローラー52bに印加する電圧の変動のさせた方である。画像記録装置2の構成については、第1実施形態の画像記録装置1と同様である。
【0072】
図14Aは、S711において、第二対向ローラー52bに印加させる電圧についての時間と電圧の関係を示すグラフである。本実施の形態においては、同図に示すように、印加される電圧を5ミリ秒間−50ボルトとし、次の5ミリ秒間は−500ボルトとし、10ミリ秒周期で矩形波状に電圧が変動するように制御を行う。
【0073】
第二対向ローラー52bに印加される電圧が−50ボルトとなる間は、第二感光体20b上で−50ボルトとなっている部分(画像部)と第二対向ローラー52bとの間には電位差がなく、電界は生じない。したがって、この間は、粒子間斥力が働き、着色帯電粒子は相互に離間することとなる。また、第二感光体20b上で−500ボルトとなっている部分(非画像部)と第二対向ローラー52bとの間には電位差(450ボルト)があり電界が生じているので、クーロン力により、負帯電黒色粒子を第二対向ローラー52b側(下側絶縁層142側)に、正帯電白色粒子を第二感光体20b側(上側絶縁層141側)にそれぞれ移動させることができる。
【0074】
一方で、第二対向ローラー52bに印加される電圧が−500ボルトとなる間は、第二感光体20b上で−500ボルトとなっている部分(非画像部)と第二対向ローラー52bとの間には電位差がなく、電界は生じない。したがって、この間は、粒子間斥力が働き、着色帯電粒子は相互に離間することとなる。また、第二感光体20b上で−50ボルトとなっている部分(画像部)と第二対向ローラー52bとの間には電位差(450ボルト)があり電界が生じているので、クーロン力により、負帯電黒色粒子を第二感光体20b側(上側絶縁層141側)に、正帯電白色粒子を第二対向ローラー52b側(下側絶縁層142側)にそれぞれ移動させることができる。
【0075】
<<画像記録装置の有用性>>
電子ペーパーへの画像記録装置2によれば、第一処理が実行される際に、電圧の値が第一電位よりも大きく第二電位よりも小さい範囲で一定値となるように、対向部材に印加される電圧を制御し、第二処理が実行される際に、電圧の値を時間とともに変動させて、電圧の値が、最小値において第一電位以下であり最大値において第二電位以上であるように、電圧を制御することにより、電子ペーパーに記録される画像の画質を向上させることができる。すなわち、第一処理が実行された際には着色帯電粒子を厚み方向に移動させることにより電子ペーパー上に画像を表示させ、第二処理が実行された際には、着色帯電粒子にクーロン力と粒子間斥力とを交互に働かせることで、不適切な位置に位置する着色帯電粒子を適切な位置に移動させることができる。
【0076】
===第3実施形態===
以下の第3実施形態では、画像を表示する媒体である電子ペーパー100に画像を記録する画像記録装置3について説明する。
第3実施形態が、第1実施形態及び第2実施形態と異なる点は、第二処理を実行する際に第二対向ローラー52bに印加する電圧の変動のさせた方である。画像記録装置3の構成については、第1実施形態の画像記録装置1及び第2実施形態の画像記録装置2と同様である。
【0077】
図15Aは、S711において、第二対向ローラー52bに印加させる電圧についての時間と電圧の関係を示すグラフである。第3実施形態においては、同図に示すように、印加される電圧を、−30ボルトと−520ボルトとの間で、10ミリ秒周期で正弦波状に変動するように制御を行う。
【0078】
第二対向ローラー52bに印加される電圧が−50ボルトと−500ボルトとの間にあるときには、第二感光体20b上で−500ボルトとなっている部分(非画像部)と第二対向ローラー52bとの間には電界が生じているので、クーロン力により、負帯電黒色粒子を第二対向ローラー52b側(下側絶縁層142側)に、正帯電白色粒子を第二感光体20b側(上側絶縁層141側)にそれぞれ移動させることができる。また、第二感光体20b上で−50ボルトとなっている部分(画像部)と第二対向ローラー52bとの間には電界が生じているので、クーロン力により、負帯電黒色粒子を第二感光体20b側(上側絶縁層141側)に、正帯電白色粒子を第二対向ローラー52b側(下側絶縁層142側)にそれぞれ移動させることができる。
【0079】
ところで、短時間、第二対向ローラー52bに印加される電圧を−50ボルトよりも大きくすると、その間、第二感光体20b上で−50ボルトとなっている部分(画像部)と第二対向ローラー52bとの間の電界は反転する。これにより、第二感光体20b上で−50ボルトとなっている部分(画像部)と第二対向ローラー52bとの間にある正帯電白色粒子と負帯電黒色粒子とを短時間の間、然るべき方向とは逆の方向に移動させることができる。再び、第二対向ローラー52bに印加される電圧を−50ボルトと−500ボルトとの間とすると、上記の通り、正帯電白色粒子と負帯電黒色粒子とをそれぞれ然るべき方向へ移動させることができる。
【0080】
また、短時間、第二対向ローラー52bに印加される電圧を−500ボルトよりも小さくすると、その間、第二感光体20b上で−500ボルトとなっている部分(画像部)と第二対向ローラー52bとの間の電界は反転する。これにより、−500ボルトとなっている部分(画像部)と第二対向ローラー52bとの間にある正帯電白色粒子と負帯電黒色粒子とを短時間の間、然るべき方向とは逆の方向に移動させることができる。再び、第二対向ローラー52bに印加される電圧を−50ボルトと−500ボルトとの間とすると、上記の通り、正帯電白色粒子と負帯電黒色粒子とをそれぞれ然るべき方向へ移動させることができる。
【0081】
このように、コントローラー80は、基本的には、第二対向ローラー52bに印加される電圧を−50ボルトと−500ボルトとの間に制御しつつ、10ミリ秒の周期で、短時間の間、第二対向ローラー52bに印加される電圧を−50ボルトよりも大きくし、または第二対向ローラー52bに印加される電圧を−500ボルトよりも小さくする。
【0082】
<<画像記録装置の有用性>>
電子ペーパーへの画像記録装置2によれば、第一処理が実行される際に、電圧の値が第一電位よりも大きく第二電位よりも小さい範囲で一定値となるように、対向部材に印加される電圧を制御し、第二処理が実行される際に、電圧の値を時間とともに変動させて、電圧の値が、最小値において第一電位よりも小さい値となり、最大値において第二電位よりも大きい値となるように、電圧を制御することにより、電子ペーパーに記録される画像の画質を向上させることができる。すなわち、第二処理が実行された際に、電界の強さを変動させて着色帯電粒子にかかる厚み方向の力の方向を変えつつ力の大きさを変化させることで、不適切な位置に位置する着色帯電粒子を押したり引いたりしながら適切な位置に移動させることができる。
【0083】
===第4実施形態===
以下の第4実施形態では、画像を表示する媒体である電子ペーパー100に画像を記録する画像記録装置4について説明する。図16は、画像記録装置4の構成を示す概略図である。
【0084】
電子ペーパーへの画像記録装置4は、同図に示すように、画像記録装置1、2、3と同様に、感光体20の回転方向に沿って、帯電ユニット30、露光ユニット40、電界生成ユニット50を有し、さらに、搬送ユニット60、及び、これらのユニット等を制御し電子ペーパーへの画像記録装置4としての動作を司るコントローラー80を有する。
【0085】
第1〜第3実施形態の画像記録装置1〜3は、第一感光体20aと第二感光体20b、第一帯電ローラー31aと第二帯電ローラー31b、第一露光ユニット40aと第二露光ユニット40b、第一電界生成ユニット50aと第二電界生成ユニット50bというように、各ユニットはそれぞれ2つずつ備えていたが、第4実施形態の画像記録装置4は、図16に示すように、上記各ユニットをそれぞれ1つずつ備える。すなわち、画像記録装置1〜3では、感光体20と電界生成ユニット50とを2組備え、それぞれに1回ずつ送り込むことで重ねて画像を記録したが、画像記録装置4では、感光体20と対向ローラー52とを1組備え、同じ箇所に2回送り込むことで重ねて画像を記録する。
【0086】
画像記録装置4で用いる画像の記録媒体である電子ペーパー100は、画像記録装置1で用いる電子ペーパー100と同様の構成及び機能を有する。
【0087】
感光体20は、画像記録装置1の第一感光体20a又は第二感光体20bと同様の構成及び機能を有する。
【0088】
帯電ユニット30は、画像記録装置1の第一帯電ローラー31a又は第二帯電ローラー31bと同様のものである。なお、帯電ユニット30は、第一処理の際には、感光体20を−500ボルト(「第一電位」に相当)に帯電させる。また、帯電ユニット30は、第二処理の際にも、感光体20を−500ボルト(「第二電位」に相当)に帯電させる。
【0089】
露光ユニット40は、画像記録装置1の露光ユニット40a又は露光ユニット40bと同様の構成及び機能を有する。
【0090】
電界生成ユニット50は、対向ローラー52と電圧印加部54とを備え、画像記録装置1の電界生成ユニット50と同様の構成及び機能を有する。
【0091】
搬送ユニット60は、電子ペーパー100を搬送するためのものである。この搬送ユニット60は、ペーパーカセット62と、ペーパーカセット62の上部に位置する給紙ローラー64と、給紙ローラー64から見て、感光体20側に位置する搬送ローラー66と、不図示の誘導部と、不図示の排紙ローラーと、を有する。給紙ローラー64は、ペーパーカセット62に収容されている電子ペーパー100を給紙する。搬送ローラー66は、給紙ローラー64によって給紙された電子ペーパー100を感光体20と対向ローラー52との間に搬送する。そして、電界生成ユニット50によって第一処理を実行された電子ペーパー100を、誘導部は矢印Qに示す搬送方向に誘導し、搬送ローラー66は再び感光体20と対向ローラー52との間に搬送する。さらに、電界生成ユニット50によって第二処理を実行された電子ペーパー100を、誘導部は矢印Pに示す搬送方向に誘導し、排紙ローラーは画像記録装置4から排出する。
【0092】
コントローラー80は、画像記録装置1のコントローラー80と同様の構成及び機能を有する。
【0093】
<<画像記録装置4の動作>>
次に、画像記録装置4が電子ペーパー100に画像を記録する処理について説明する。
図17は、画像記録装置4が実行する画像を記録する処理フローを示すフロー図である。
【0094】
まず、画像記録装置4のコントローラー80は、外部装置であるコンピューターから印刷データを受信すると(S1701)、帯電ユニット30によって感光体20を−500ボルトに帯電させる(S1702)。そして、コントローラー80は、印刷データに基づいて−500ボルトに帯電された感光体20に対して露光ユニット40からレーザー光を照射させて、感光体20に潜像を形成する(S1703)。すなわち、露光ユニット40には、レーザー光が照射されず−500ボルト(「第一電位」に相当)に帯電された部分と、レーザー光が照射されることにより−50ボルト(「第二電位」に相当)となる部分とが形成されることによって、潜像が形成される。
【0095】
また、コントローラー80は、搬送ユニット60によって、ペーパーカセット62に収納されている電子ペーパー100を給紙し(S1704)、その先端部位から末端部位まで順次、感光体20と対向ローラー52との間に搬送させる(S1705)。コントローラー80は、電圧印加部54によって対向ローラー52に−200ボルトの電圧を印加することで、感光体20と対向ローラー52との間に電界を発生させるとともに、その間に電子ペーパー100の先端部位から末端部位まで順次、挟み込ませて電界をかけ、感光体20の潜像に対応する画像を電子ペーパー100の先端部位から末端部位まで順次、記録する(S1706)。以上、S1701からS1706までのステップは、第一処理に相当する。
【0096】
コントローラー80は、感光体20と対向ローラー52とを回転させて、感光体20と対向ローラー52との間から電子ペーパー100を先端部位から末端部位まで順次排出し、電子ペーパー100の各部位に電界がほとんどかからない状態とする(S1707)。すなわち、電子ペーパー100は、先端部位から末端部位まで順次、感光体20と対向ローラー52との間から排出されることによって、電子ペーパー100には感光体20と対向ローラー52との電位差による電界がほとんどかからない状態となる。なお、コントローラー80は、電子ペーパー100を搬送する際に、図16に示す矢印Q方向に電子ペーパー100を搬送するように誘導部を制御する。
【0097】
矢印Q方向に搬送された電子ペーパー100は、搬送ユニット60により再び感光体20と対向ローラー52との間を通過するように搬送される。
【0098】
コントローラー80は、帯電ユニット30によって感光体20を−500ボルトに帯電させる(S1708)。そして、コントローラー80は、印刷データに基づいて−500ボルトに帯電された感光体20に対して露光ユニット40からレーザー光を照射させて、感光体20に潜像を形成する(S1709)。すなわち、感光体20には、レーザー光が照射されず−500ボルトに帯電された部分と、レーザー光が照射されることにより−50ボルトとなる部分とが形成されることによって、潜像が形成される。
【0099】
また、コントローラー80は、搬送ユニット60によって電子ペーパー100をその先端部位から末端部位まで順次、感光体20と対向ローラー52との間に再び搬送させる(S1710)。コントローラー80は、電圧印加部54によって対向ローラー52に時間とともに変動する電圧を印加することで、感光体20と対向ローラー52との間に電界を発生させるとともに、その間に電子ペーパー100の先端部位から末端部位まで順次、挟み込ませて電界をかけ、感光体20の潜像に対応する画像を電子ペーパー100の先端部位から末端部位まで順次、記録する(S1711)。
【0100】
そして、コントローラー80は、感光体20と対向ローラー52とを回転させて、感光体20と対向ローラー52との間から電子ペーパー100を先端部位から末端部位まで順次排出する(S1712)。なお、コントローラー80は、電子ペーパー100を排出する際に、図16に示す矢印P方向に電子ペーパー100を搬送するように誘導部を制御する。矢印P方向に搬送された電子ペーパー100は、電子ペーパーへの画像記録装置4の外部に排出される。以上、S1707からS1712までのステップは、第二処理に相当する。
【0101】
<<画像記録装置の有用性>>
第4実施形態の電子ペーパーへの画像記録装置4によれば、電子ペーパー100を搬送ユニット60に搬送させて、電子ペーパー100の互いに異なる部位を感光体20と対向ローラー52との間に順次送り込み、その間に送り込まれた電子ペーパー100の部位に感光体20の潜像に対応する画像を順次表示させる第一処理を電圧印加部54に実行させ、電子ペーパー100を搬送ユニット60にさらに搬送させて、感光体20と対向ローラー52との間を一旦抜けた電子ペーパー100の部位を感光体20と対向ローラー52との間に再度順次送り込み、その間に送り込まれた部位に潜像に対応する画像を再度順次表示させる第二処理を電圧印加部54に実行させることにより、電子ペーパー100に記録される画像の画質を向上させることができる。すなわち、一組の感光体20と対向ローラー52とによって電子ペーパー100に重ねて画像を記録することによっても、第1〜第3実施形態と同様に、電子ペーパー100に記録される画像の画質を向上させることができる。
【0102】
===その他の実施の形態===
第1〜第4実施形態は、主として電子ペーパーへの画像記録装置について記載されるが、電子ペーパーへの画像記録方法等の開示も含まれる。また、第1〜第4実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。
【0103】
例えば、第一感光体20aが第一帯電ローラー31aによってプラスに帯電された場合には、レーザーが照射された領域はプラスの電荷を失って、電位が下がる。同様に、第二感光体20bが第二帯電ローラー31bによってプラスに帯電された場合には、レーザーが照射された領域はプラスの電荷を失って、電位が下がる。このようにして、第一感光体20a及び第二感光体20bに潜像が形成される。
【0104】
また、上記実施の形態においては、着色帯電粒子として正帯電白色粒子と負帯電黒色粒子を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。
【0105】
例えば、白色粒子が負帯電であり、黒色粒子が正帯電であってもよい。また、色については、白色、黒色に限定されるものではなく、双方の色が異なっていればどのような色であってもよい。例えば、赤色、青色、緑色などの有彩色や、金色、銀色等の金属光沢色から目的に合わせて適宜選択することができる。また、二色の粒子のうちの片方のみが帯電していて他方が帯電していない(無帯電である)場合(例えば、白色粒子が無帯電であるため、着色帯電粒子としては負帯電黒色粒子のみが存在する場合)であってもよく、このような場合にも本発明を適用できる。
【0106】
また、上記実施の形態においては、電子ペーパー100の上側絶縁層141が光透過性を有する(実質的に透明である)一方で、下側絶縁層142は光透過性を有さない(実質的に不透明である)こととしたが、これに限定されるものではない。例えば、上側絶縁層141と下側絶縁層142の双方が光透過性を有する(実質的に透明である)こととしてもよく、この場合には、上側絶縁層141と下側絶縁層142のいずれをも表示面121とすることが可能となる。
【0107】
また、図10B〜図10Iは、S711において第二対向ローラー52bに印加させる電圧についての時間と電圧の関係を示すグラフである。第1実施形態では、S711において、図10Aに示すような波形の電圧を第二対向ローラー52bに印加させることとした。しかし、電圧の波形は、これに限られず、例えば、図10B〜図10Iに示すような波形であってもよい。
【0108】
同様に、図14B〜図14Iは、S711において第二対向ローラー52bに印加させる電圧についての時間と電圧の関係を示すグラフである。第2実施形態では、S711において、図14Aに示すような矩形波状に変動する電圧を第二対向ローラー52bに印加させることとした。しかし、電圧の波形は、これに限られず、例えば、図14B〜図14Iに示すような波形(例えば、正弦波、三角波、鋸歯状波等)であってもよい。
【0109】
同様に、図15B〜図15Iは、S711において第二対向ローラー52bに印加させる電圧についての時間と電圧の関係を示すグラフである。第3実施形態では、S711において、図15Aに示すような正弦波状に変動する電圧を第二対向ローラー52bに印加させることとした。しかし、電圧の波形は、これに限られず、例えば、図15B〜図15Iに示すような波形(例えば、矩形波、三角波、鋸歯状波等)であってもよい。
【符号の説明】
【0110】
1、2、3、4 画像記録装置、
5 第一ユニット、
6 第二ユニット、
20 感光体、
20a 第一感光体、
20b 第二感光体、
30 帯電ユニット、
30a 第一帯電ユニット、
30b 第二帯電ユニット、
31a 第一帯電ローラー、
31b 第二帯電ローラー、
40 露光ユニット、
40a 第一露光ユニット、
40b 第二露光ユニット、
50 電界生成ユニット、
50a 第一電界生成ユニット、
50b 第二電界生成ユニット、
52 対向ローラー、
52a 第一対向ローラー、
52b 第二対向ローラー、
54 電圧印加部、
60 搬送ユニット、
62 ペーパーカセット、
64 給紙ローラー、
66 搬送ローラー、
80 コントローラー、
81 インターフェイス部、
82 CPU、
83 メモリー、
84 ユニット制御回路、
100 電子ペーパー、
103 表示層、
107 封止部、
121 表示面、
131 マイクロカプセル、
132 バインダ、
133 カプセル本体、
141 上側絶縁層、
142 下側絶縁層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
潜像を担持する像担持体と、
前記像担持体と対向する対向部材と、
着色帯電粒子を有し、前記着色帯電粒子が厚み方向に移動することにより画像を表示する電子ペーパーを、搬送する搬送部材と、
前記電子ペーパーが前記像担持体と前記対向部材との間に位置する際に、前記対向部材に電圧を印加することにより、前記間に前記厚み方向に沿う電界を発生させ、前記着色帯電粒子を前記厚み方向に移動させることにより前記潜像に対応する画像を前記電子ペーパーに表示させる電圧印加部と、
前記電子ペーパーを前記搬送部材に搬送させて、前記電子ペーパーの互いに異なる部位を前記間に順次送り込み、前記間に送り込まれた前記部位に前記潜像に対応する画像を順次表示させる第一処理を前記電圧印加部に実行させ、
前記電子ペーパーを前記搬送部材にさらに搬送させて、前記間を一旦抜けた前記部位を前記間に再度順次送り込み、前記間に送り込まれた前記部位に前記潜像に対応する画像を再度順次表示させる第二処理を前記電圧印加部に実行させるコントローラーと、を備え、
前記コントローラーは、前記第一処理が実行される際に、前記電圧の値が一定値となるように前記対向部材に印加される前記電圧を制御し、前記第二処理が実行される際に、前記電圧の値が時間とともに変動するように前記電圧を制御することを特徴とする電子ペーパーへの画像記録装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電子ペーパーへの画像記録装置であって、
前記像担持体は、第一電位で帯電される領域と前記第一電位より大きい第二電位で帯電される領域とを有することによって潜像を担持し、
前記コントローラーは、
前記第一処理が実行される際に、前記電圧の値が前記第一電位よりも大きく前記第二電位よりも小さい範囲で一定値となるように、前記対向部材に印加される前記電圧を制御し、
前記第二処理が実行される際に、前記電圧の値が、前記第一電位よりも大きく前記第二電位よりも小さい範囲で時間とともに変動するように前記電圧を制御する
ことを特徴とする電子ペーパーへの画像記録装置。
【請求項3】
請求項1に記載の電子ペーパーへの画像記録装置であって、
前記像担持体は、第一電位で帯電される領域と前記第一電位より大きい第二電位で帯電される領域とを有することによって潜像を担持し、
前記コントローラーは、
前記第一処理が実行される際に、前記電圧の値が前記第一電位よりも大きく前記第二電位よりも小さい範囲で一定値となるように、前記対向部材に印加される前記電圧を制御し、
前記第二処理が実行される際に、前記電圧の値を時間とともに変動させて、前記電圧の値が、最小値において前記第一電位よりも小さい値となり、最大値において前記第二電位よりも大きい値となるように、前記電圧を制御する
ことを特徴とする電子ペーパーへの画像記録装置。
【請求項4】
着色帯電粒子を有し、前記着色帯電粒子が厚み方向に移動することにより画像を表示する電子ペーパーを搬送部材に搬送させて、前記電子ペーパーの互いに異なる部位を、潜像を担持する像担持体と、前記像担持体と対向する対向部材との間に順次送り込み、
前記電子ペーパーが前記間に位置する際に、前記対向部材に電圧を印加し、前記間に前記厚み方向に沿う電界を発生させ、前記着色帯電粒子を前記厚み方向に移動させることにより前記潜像に対応する画像を前記電子ペーパーに表示させる電圧印加部に、前記電圧の値が一定値となるように前記対向部材に対して前記電圧を印加させつつ、前記間に送り込まれた前記部位に前記潜像に対応する画像を順次表示させる第一処理を、実行させることと、
前記電子ペーパーを前記搬送部材にさらに搬送させて、前記間を一旦抜けた前記部位を前記間に再度順次送り込み、
前記電子ペーパーが前記間に位置する際に、前記電圧印加部に、前記電圧の値が時間とともに変動するように前記対向部材に対して前記電圧を印加させつつ、前記間に送り込まれた前記部位に前記潜像に対応する画像を再度順次表示させる第二処理を前記電圧印加部に実行させることと、
を有することを特徴とする電子ペーパーへの画像記録方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図10E】
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【図10F】
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【図10G】
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【図10H】
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【図10I】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図14D】
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【図14E】
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【図14F】
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【図14G】
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【図14H】
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【図14I】
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【図15A】
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【図15B】
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【図15C】
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【図15D】
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【図15E】
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【図15F】
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【図15G】
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【図15H】
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【図15I】
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【図16】
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【図17】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−170189(P2011−170189A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−35050(P2010−35050)
【出願日】平成22年2月19日(2010.2.19)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】