説明

電子ミシンの模様選択装置

【目的】 項目指定ダイヤルと選択確定キーの操作により模様選択を行うミシンにおいて、その選択操作を容易に行うようにする。
【構成】 模様表示装置に表示される表示内容によってカーソルの移動の制限を変化するように設定した。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子ミシンの模様選択装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、模様表示装置に表示された複数の選択項目の中の一つを指定する項目指定ダイヤルと、その指定された選択項目を選択する選択確定キーから構成される模様選択装置においては、前記項目指定ダイヤルの回動量と選択項目を指定する指示カーソルの移動量は一対一に対応し、スクロールするように構成されていた。つまり、表示装置に表示される複数の選択項目の最後の項目にカーソルが位置している場合において、更に項目指定ダイヤルを回動させると、カーソルは選択項目の先頭の位置に移動した。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、表示される選択項目の内容によっては、前述したようなカーソルの移動をさせない方が誤操作が防止できる場合がある。
【0004】本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、表示される選択項目の内容によっては、項目指定ダイヤルの回動量に関係なく、ある特定位置からはカーソルが移動しないようにして、選択項目を分かり易くした。
【0005】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するために本発明の模様選択装置は、表示される選択項目の内容によってカーソルの移動の制限を変えるように設定されている。
【0006】
【作用】上記の構成を有する本発明の模様選択装置は表示される選択項目の内容によってカーソルの移動の制限が変わる。
【0007】
【実施例】以下、本発明を具体化した一実施例を図面を参照して説明する。
【0008】図1は本発明の模様選択装置を装着したミシンの外観図であり、ミシン機枠1のの正面に液晶デイスプレイ3,項目指定ダイヤル7が配置され、前記項目指定ダイヤル7の中央部には選択確定キー9が設けられている。項目指定ダイヤル7の右方にはクリアキー11が設けられている。またスタート,ストップSW13は、ミシンの始動,停止を行うスイッチである。
【0009】次に図2を参照して項目指定ダイヤル部分の構成を説明する。
【0010】項目指定ダイヤル7はミシン正面のフロントカバー15の穴に対して回動可能に支持され、ネジ17によって固定されたダイヤル基板19によって軸方向には固定されている。また項目指定ダイヤル7の外周部には波状のカム面が設けられ、そのカム面に一方をフロントカバー15に固定された板バネ21が押圧されて係合している。このため項目指定ダイヤル7は一定の角度毎に係止して回転するようになっている。
【0011】また、項目指定ダイヤル7には接点板バネ23が固定され、ダイヤル基板19上のパターンにより、図3に示すような電気信号を出力する。
【0012】一方、選択確定キー9は項目指定ダイヤル7に軸方向に摺動可能に支持され、前記ダイヤル基板19との間に導電ゴム接点を有するゴム製のラバーキー25が設けられ、選択確定キー9が押下されていない時は、ゴムの弾性力によって、選択確定キー9は項目指定ダイヤル7に押圧された位置に保持される。
【0013】図3は前述したように、項目指定ダイヤル7を回転させた時の出力信号を示し、縦軸は信号のレベル,横軸は項目指定ダイヤル7の回転量を示す。
【0014】図中、OUT(出力信号)1の立ち下がりのエッジ時のOUT(出力信号)2のレベルがHかLかによって回転方向が判断され、Hレベルの時は右回転、Lレベルの時は左回転を判別する。
【0015】次に図4及び図5を参照して液晶表示される選択項目の表示内容とカーソルの移動との関係を説明する。
【0016】電源投入後の液晶画面には、模様縫いの分類毎に分けられた各模様郡の表示「実用模様」〜「英数字」と「調整」という項目が表示され、「実用模様」の位置にカーソルがある(1)。項目指定ダイヤル7を右方向に回転させて、カーソルを右方向に移動させ、「調整」の項目に移動させる(2)。(2)の画面において、項目指定ダイヤル7を1ノッチ分右回転させると、カーソルは先頭の項目である「実用模様」に移動する。逆に(1)の画面において項目指定ダイヤル7を1ノッチ分左回転させると、カーソルは最後の項目の「調整」に移動する。このように項目指定ダイヤル7の回転によりカーソルは表示されている複数の項目を順次移動する。
【0017】次に(2)の画面においても選択確定キー9を押下すると(3)に示すように「画面の濃淡」と「模様の調整」の画面が表示される。カーソルは左側の「画面の濃淡」の方にある。ここで「模様の調整」を選択したい時には項目指定ダイヤル7を右方向に回転させ、カーソルを移動させる(4)。この画面において項目指定ダイヤル7を更に右方向に回転させてもカーソルは右側の位置で停止している。逆に項目指定ダイヤル7を1ノッチ分左回転させると、カーソルは左側に移動する。同様にそれ以上項目指定ダイヤル7を左方向に回転させてもカーソルは左側の位置で停止している。
【0018】カーソルの移動の制限を前述したように設定しているのは以下の理由による。例えば(2)の画面において「調整」の位置から「実用模様」に移動させたい時に項目指定ダイヤル7を右回転させても移動しないように設定してあるとすると、項目指定ダイヤル7を左方向に4ノッチ分回転させなければならない。また(3)の画面においては「画面の濃淡」か「模様の調整」かのどちらかを選択するわけであるから(3)の画面からカーソルを右側に移動させたい時にはもし項目指定ダイヤルを1ノッチ分以上誤って回転させたとしてもカーソルは右側位置で停止していた方が操作ミスが妨げる。このように実際の選択操作を考慮すると選択項目が多数ある場合には、カーソルが順次移動した方が操作性が良いし、逆に選択項目が少ない場合には項目指定ダイヤル7の回転量によらず、停止していた方が誤操作が妨げる。
【0019】次に(4)の画面において、選択確定キー9を押下すると、(5)の画面になる。この画面においてテスト模様を縫製して模様調整を行う。この画面においても選択項目は左側のテスト模様の合い位置が交差している模様かそれとも右側の合い位置が開いている模様かの選択であるから、項目指定ダイヤル7を右方向に回転させてもカーソルは右側の位置で停止している(6)。
【0020】次に正しい模様が縫製されて(6)の画面から終了する場合は項目指定ダイヤル7を1ノッチ分左方向に回転させて「終了」にカーソルを移動させて選択確定キー9を押下げると、模様の調整の操作は終了し、調整前の(4)の画面に戻る(8)。
【0021】
【発明の効果】以上詳述したことから明かなように、本発明によれば、表示される選択項目の内容によって項目指定ダイヤルの回転量に関係なく、ある特定位置からはカーソルが移動しないようにしたので選択操作の操作性が良いと同時に誤操作を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ミシンの外観を示した図である。
【図2】項目指定ダイヤルを構成を示した図である。
【図3】項目指定ダイヤルを回転させた時の出力信号を示した図である。
【図4】選択項目の表示内容とカーソルの移動の制限の設定を示した図である。
【図5】選択項目の表示内容とカーソルの移動の制限の設定を示した図である。
【符号の説明】
3 液晶ディスプレイ
7 項目指定ダイヤル
9 選択確定キー

【特許請求の範囲】
【請求項1】 種々の模様縫いを実行できる縫製機能を備えて成るミシンにおいて、模様縫いの種類等の複数の選択項目を表示する表示装置と、回動操作可能に設けられ、回動操作に応じて前記表示装置に表示された複数の選択項目の中の所望の選択項目を指定する項目指定ダイヤルと、前記指定された選択項目を選択する選択確定キーとを備え、前記指定項目を表示する指示カーソルが表示装置に表示される選択項目の表示内容によっては項目指定ダイヤルの回動量に関係なく、ある特定位置からは移動しないことを特徴とする模様選択装置。

【図1】
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【図3】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開平6−79073
【公開日】平成6年(1994)3月22日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平4−233518
【出願日】平成4年(1992)9月1日
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)