説明

電子メール機能付端末およびコンピュータプログラム

【課題】 電子メールの内容を聞取る際の違和感を十分に解消する。
【解決手段】 携帯電話機1は、個人を識別する電話番号や電子メールアドレスと、個人が発する音声の特徴を表す音声プロファイルとが対応したアドレス帳をメモリ8に記憶する。携帯電話機1は、電子メールの発信元の電子メールアドレスがアドレス帳に記憶されており、その電子メールアドレスに対応する音声プロファイルがアドレス帳に記憶されていると、その該当する音声プロファイルを読出し、その読出された音声プロファイルに基づいた音声を生成し、電子メールの内容を当該生成された音声により出力する。電子メールの内容が電子メールの発信者本人の特徴を有する音声で読上げられることになり、電子メールの内容を聞取る際の違和感を十分に解消することができる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子メールの内容を音声により出力可能に構成された電子メール機能付端末および前記電子メール機能付端末にて実行されるコンピュータプログラムに関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】従来より、電子メール機能を有する携帯電話機が供されており、近年では、電子メールの内容を音声により出力することによって、電子メールの内容を読上げることが考えられている。その一つとして、特開2000−339137号公報には、性別や年令などの個人情報を記憶することを利用し、電子メールの内容を当該電子メールの発信元の性別や年令などに相応しい音声により出力するものが記載されている。このものによれば、電子メールの発信元が例えば20歳代の女性であれば、電子メールの受信元では、電子メールの内容が20歳代の女性の音声で読上げられることになり、電子メールの内容を聞取る際の違和感を解消することができる。
【0003】しかしながら、特開2000−339137号公報に記載されているものでは、電子メールの発信元を性別や年令などに基づいて判定する構成であるので、電子メールの内容が電子メールの発信者本人の音声で読上げられることはなく、電子メールの内容を聞取る際の違和感を十分に解消するまでには至っていない。
【0004】本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、電子メールの受信元で、電子メールの内容を聞取る際の違和感を十分に解消することができ、それによって、使い勝手を高めることができる電子メール機能付端末およびコンピュータプログラムを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載した電子メール機能付端末によれば、記憶手段は、個人を識別する個人識別情報と、個人が発する音声の特徴を表す音声プロファイルとを対応して記憶しており、制御手段は、電子メールの発信元が記憶手段に記憶されている個人識別情報により識別され、且つ、その電子メールの発信元に対応する音声プロファイルが記憶手段に記憶されていると、その該当する音声プロファイルを記憶手段から読出し、その読出された音声プロファイルに基づいた音声を音声生成手段により生成させ、電子メールの内容を音声生成手段により生成された音声により音声出力手段から出力させるように構成した。
【0006】したがって、電子メールの受信元では、電子メールの発信元が個人識別情報により識別され、その電子メールの発信元に対応する音声プロファイルが記憶されていると、電子メールの内容が電子メールの発信者本人の特徴を有する音声で読上げられることになり、これによって、電子メールの内容を聞取る際の違和感を十分に解消することができ、使い勝手を高めることができる。
【0007】請求項2に記載した電子メール機能付端末によれば、制御手段は、通話相手から送話音声として送信された音声が受話音声受信手段により受話音声として受信されると、その受信された音声を解析し、その解析された結果に基づいて通話相手の音声プロファイルを生成し、その生成された音声プロファイルを記憶手段に記憶させるように構成したので、通常の通話が行われる過程で音声プロファイルを生成して記憶することができ、音声プロファイルを生成して記憶するために何らかの特別な作業を行う必要がなく、使い勝手をより高めることができる。
【0008】請求項3に記載した電子メール機能付端末によれば、制御手段は、通話相手から送話音声として送信された音声が受話音声受信手段により受話音声として受信されると、通話相手が記憶手段に記憶されている個人識別情報により識別されたときに、その受信された音声を解析し、その解析された結果に基づいて通話相手の音声プロファイルを生成し、その生成された音声プロファイルを記憶手段に記憶させるように構成したので、電子メールを頻繁に発信する発信元を識別する個人識別情報を記憶させておくことによって、その電子メールを頻繁に発信する通話相手の音声プロファイルを生成して記憶することができる。
【0009】請求項4に記載した電子メール機能付端末によれば、制御手段は、受話音声受信手段により受信された音声を解析したときに、その通話相手の音声プロファイルを記憶手段に既に記憶させていると、その記憶手段に既に記憶されている音声プロファイルに、その今回に解析された結果を加味して新たな音声プロファイルを生成し、その新たに生成された音声プロファイルを記憶手段に記憶させるように構成したので、通話回数が多くなるほど、その通話相手が発する音声の特徴を適切に表した音声プロファイルを生成して記憶することができ、電子メールの内容を聞取る際の違和感をより十分に解消することができる。
【0010】請求項5に記載した電子メール機能付端末によれば、制御手段は、電子メールの内容を音声生成手段により生成された音声により出力させるか否かを問う表示メッセージを表示手段に表示させ、ユーザの操作が操作受付手段により受付られると、その電子メールの内容を音声生成手段により生成された音声により音声出力手段から出力させる旨を許可または禁止するように構成した。
【0011】したがって、電子メールの内容が読上げられても周囲に何ら迷惑を与えてしまう虞がない状況では、音声の出力を許可する操作を行うことによって、電子メールの内容を読上げさせることができ、一方、例えば電車内など電子メールの内容が読上げられると周囲に迷惑を与えてしまう虞がある状況では、音声の出力を禁止する操作を行うことによって、電子メールの内容が読上げられることを未然に回避することができ、周囲に迷惑を与えてしまうことを未然に回避することができる。
【0012】請求項6に記載した電子メール機能付端末によれば、制御手段は、電子メールの内容を音声生成手段により生成された音声により出力させるか否かを問う音声ガイダンスを音声ガイダンス出力手段から出力させ、ユーザが発した音声が音声入力手段により入力されると、その電子メールの内容を音声生成手段により生成された音声により音声出力手段から出力させる旨を許可または禁止するように構成した。
【0013】したがって、電子メールの内容が読上げられても周囲に何ら迷惑を与えてしまう虞がない状況では、音声の出力を許可する音声を発することによって、電子メールの内容を読上げさせることができ、一方、例えば電車内など電子メールの内容が読上げられると周囲に迷惑を与えてしまう虞がある状況では、音声の出力を禁止する音声を発することによって、電子メールの内容が読上げられることを未然に回避することができ、周囲に迷惑を与えてしまうことを未然に回避することができる。特に、この場合は、何らかの操作を行うのではなく、何らかの音声を発することによって、音声の出力を許可するか禁止するかを選択することができるので、例えば自動車を運転しているときなどに有効である。
【0014】請求項7に記載したコンピュータプログラムによれば、当該コンピュータプログラムを電子メール機能付端末にインストールして実行すると、電子メールの発信元を個人識別情報により識別させる手順と、電子メールの発信元が個人識別情報により識別されたときに、その発信元に対応する音声プロファイルが記憶されているか否かを判定させる手順と、その発信元に対応する音声プロファイルが記憶されていると判定されたときに、該当する音声プロファイルを読出させる手順と、その読出された音声プロファイルに基づいた音声を生成させる手順と、電子メールの内容を当該生成された音声により出力させる手順とを実行するようになるので、上記した請求項1に記載したものと同様の作用効果を得ることができる。
【0015】すなわち、電子メールの受信元では、電子メールの発信元が個人識別情報により識別され、その電子メールの発信元に対応する音声プロファイルが記憶されていると、電子メールの内容が電子メールの発信者本人の特徴を有する音声で読上げられることになり、これによって、電子メールの内容を聞取る際の違和感を十分に解消することができ、使い勝手を高めることができる。
【0016】請求項8に記載したコンピュータプログラムによれば、当該コンピュータプログラムを電子メール機能付端末にインストールして実行すると、通話相手から送話音声として送信されて受話音声として受信された音声を解析させる手順と、その解析された結果に基づいて通話相手の音声プロファイルを生成させる手順と、その生成された音声プロファイルを記憶させる手順とを実行するようになるので、上記した請求項2に記載したものと同様の作用効果を得ることができる。
【0017】すなわち、通常の通話が行われる過程で音声プロファイルを生成して記憶することができ、音声プロファイルを生成して記憶するために何らかの特別な作業を行う必要がなく、使い勝手をより高めることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】(第1実施例)以下、本発明の電子メール機能付端末を、電子メール機能を有する携帯電話機に適用した第1実施例について、図1ないし図7を参照して説明する。まず、図1は、携帯電話機の機能ブロック図を示している。携帯電話機1は、マイクロコンピュータを主体としてなるCPU(Central Processing Unit )2(本発明でいう制御手段)に、通信網(携帯電話網や固定電話網を含む)との間の通信処理を行う通信部3(本発明でいう受話音声受信手段)と、ユーザが発した音声を送話音声として入力するマイクロホン4と、通話相手が発した音声を受話音声として出力するスピーカ5と、「電源」キー、「通話開始」キー、「通話終了」キー、「0」〜「9」の「数字」キーなどの多数のキーを配列してなるキーパッド6(本発明でいう操作受付手段)と、日付・時刻、電話番号および電子メールの内容などを表示する液晶ディスプレイ7(本発明でいう表示手段)と、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)からなるメモリ8(本発明でいう記憶手段)と、音声を生成する音声生成部9(本発明でいう音声生成手段)とが接続されて構成されている。
【0019】メモリ8は、図2に示すように、アドレス帳(電話帳)機能として、電話番号、電子メールアドレス、名前、住所および音声プロファイルの各構成要素を1件分とする複数件(例えば200件)の個人情報を記憶(登録)可能に構成されている。ここで、音声プロファイルとは、個人が発する音声の特徴を表す指標であり、周波数の高低、速度、アクセントおよび訛りなどが所定のアルゴリズムに基づいて数値化されたデータ群である。
【0020】具体的には、図2では、「音声プロファイルA」は、電話番号「NNNNNNNNN01」の電話機を使用して通話するユーザが発する音声の特徴を表す指標であり、また、「音声プロファイルC」は、電話番号「NNNNNNNNN03 」の電話機を使用して通話するユーザが発する音声の特徴を表す指標であり、さらに、「音声プロファイルD」は、電話番号「NNNNNNNNN04 」の電話機を使用して通話するユーザが発する音声の特徴を表す指標である。尚、この場合、電話番号および電子メールアドレスが本発明でいう個人識別情報に相当する。また、図2中、電話番号を表している「N 」や電子メールアドレスを表している「x 」は、使用が許可されている任意の数字や英字が相当する。
【0021】音声生成部9は、メモリ8に記憶されている音声プロファイルに基づいた音声、つまり、個人が発する音声の特徴を表す音声を生成する。そして、CPU2は、制御プログラム(本発明でいうコンピュータプログラム)を実行することによって、以下に示す処理を行う。尚、CPU2は、タイマ機能を有している。
【0022】次に、上記した構成の作用について、図3ないし図7を参照して説明する。尚、以下の説明においては、(1)音声プロファイルを生成して記憶する処理(2)音声プロファイルに基づいた音声を出力する処理の各々について、順次説明する。
【0023】(1)音声プロファイルを生成して記憶する処理最初に、音声プロファイルを生成して記憶する処理について、図3に示すフローチャートを参照して説明する。CPU2は、通話が開始された旨を検出すると(ステップS1にて「YES」)、通信網から通話相手の電話番号が通知されたか否かを判定する(ステップS2)。ここで、CPU2は、通信網から通話相手の電話番号が通知された旨を検出すると(ステップS2にて「YES」)、メモリ8に記憶されているアドレス帳を検索し(ステップS3)、通信網から通知された通話相手の電話番号と、アドレス帳に記憶されている電話番号とが一致しているか否かを判定する(ステップS4)。そして、CPU2は、通信網から通知された通話相手の電話番号と、アドレス帳に記憶されている電話番号とが一致している旨を検出すると(ステップS4にて「YES」)、通話相手から送話音声として送信されて通信部3により受話音声として受信された音声を所定のアルゴリズムに基づいて解析する(ステップS5)。
【0024】次いで、CPU2は、通話相手から受信された音声の解析を終了すると、通信網から通知された通話相手の電話番号に対応する音声プロファイルがアドレス帳に記憶されているか否かを判定する(ステップS6)。ここで、CPU2は、通信網から通知された通話相手の電話番号に対応する音声プロファイルがアドレス帳に記憶されていない旨を検出すると(ステップS6にて「NO」)、通話相手の音声が解析された結果に基づいて音声プロファイルを生成し(ステップS7)、その生成された音声プロファイルをメモリ8に記憶させる(ステップS8)。
【0025】具体的には、CPU2は、図2に示すように、例えば電話番号が「NNNNNNNNN02 」に対応する音声プロファイルがアドレス帳に記憶されていない状態で、通話相手の電話番号が「NNNNNNNNN02 」であると仮定すると、その電話番号が「NNNNNNNNN02 」である通話相手の音声を解析し、その解析された結果に基づいて「音声プロファイルB」という音声プロファイルを生成し、図4R>4に示すように、その生成された「音声プロファイルB」をメモリ8に記憶させる。
【0026】これに対して、CPU2は、通信網から通知された通話相手の電話番号に対応する音声プロファイルがアドレス帳に既に記憶されている旨を検出すると(ステップS6にて「YES」)、そのアドレス帳に既に記憶されている音声プロファイルに、今回に解析された結果を加味して(平均化して)新たな音声プロファイルを生成し(ステップS9)、その新たに生成された音声プロファイルをメモリ8に記憶させる(ステップS8)。
【0027】具体的には、CPU2は、図2に示すように、例えば電話番号が「NNNNNNNNN03 」に対応する音声プロファイルとして「音声プロファイルC」がアドレス帳に記憶されている状態で、通話相手の電話番号が「NNNNNNNNN03 」であると仮定すると、その電話番号が「NNNNNNNNN03 」である通話相手の音声を解析し、アドレス帳に既に記憶されている「音声プロファイルC」に、今回に解析された結果を加味して新たな「音声プロファイルC´」という音声プロファイルを生成し、図5に示すように、その新たに生成された「音声プロファイルC´」をメモリ8に記憶させる。
【0028】このような制御によって、携帯電話機1では、通常の通話が行われる過程で、通話相手の電話番号をアドレス帳に記憶していると、その通話相手の音声の特徴を表す音声プロファイルを記憶することが可能となる。
【0029】(2)音声プロファイルに基づいた音声を出力する処理次に、音声プロファイルに基づいた音声を出力する処理について、図6に示すフローチャートを参照して説明する。CPU2は、ユーザによる電子メールを読出す操作がキーパッド6により受付られた旨を検出すると(ステップS11にて「YES」)、その読出された電子メールの発信元の領域を参照し、電子メールの発信元の電子メールアドレスを取得する(ステップS12)。そして、CPU2は、メモリ8に記憶されているアドレス帳を検索し(ステップS13)、電子メールの発信元の電子メールアドレスと、アドレス帳に記憶されている電子メールアドレスとが一致しているか否かを判定する(ステップS14)。
【0030】ここで、CPU2は、電子メールの発信元の電子メールアドレスと、アドレス帳に記憶されている電子メールアドレスとが一致している旨を検出すると(ステップS14にて「YES」)、電子メールの発信元の電子メールアドレスに対応する音声プロファイルが記憶されているか否かを判定する(ステップS15)。そして、CPU2は、電子メールの発信元の電子メールアドレスに対応する音声プロファイルが記憶されている旨を検出すると(ステップ15にて「YES」)、図7に示すように、電子メールの内容の読上げを行うか否かを問う表示メッセージ(例えば「電子メールを読上げますか?」)を液晶ディスプレイ9に表示させ(ステップS16)、所定時間(例えば10秒)を計時するタイマをスタートさせる(ステップS17)。
【0031】次いで、CPU2は、タイマがタイムアップするよりも前に、ユーザによる電子メールの内容の読上げを許可する操作(ここでは、「1」キーの操作)がキーパッド6により受付られた旨を検出すると(ステップS18にて「YES」)、メモリ8から該当する音声プロファイルを読出し(ステップS19)、その読出された音声プロファイルに基づいた音声を音声生成部9により生成させる(ステップS20)。そして、CPU2は、先に読出された電子メールの内容を当該生成された音声によりスピーカ5から出力させる(ステップS21)。
【0032】具体的には、CPU2は、図2に示すように、例えば電子メールアドレスが「xxxxd@xx.xx.xx」に対応する音声プロファイルとして「音声プロファイルD」がアドレス帳に記憶されている状態で、発信元の電子メールアドレスが「xxxxd@xx.xx.xx」である電子メールが読出されたと仮定すると、メモリ8から「音声プロファイルD」を読出し、その読出された「音声プロファイルD」に基づいた音声を音声生成部9により生成させる。そして、CPU2は、先に読出された電子メールアドレスが「xxxxd@xx.xx.xx」である電子メールの内容を「音声プロファイルD」に基づいて生成された音声によりスピーカ5から出力させる。
【0033】これに対して、CPU2は、タイマがタイムアップするよりも前に、ユーザによる電子メールの内容の読上げを禁止する操作(ここでは、「3」キーの操作)がキーパッド6により受付られた旨を検出すると(ステップS22にて「YES」)、または、いずれかの操作がキーパッド6により受付られるよりも前に、タイマがタイムアップした旨を検出すると(ステップS23にて「YES」)、これ以降、先に読出された電子メールの内容を音声によりスピーカ5から出力させることはない。
【0034】このような制御によって、携帯電話機1では、電子メールを読出し、その読出された電子メールの発信元の電子メールアドレスをアドレス帳に記憶しており、その電子メールの発信元の電子メールアドレスに対応する音声プロファイルをアドレス帳に記憶していると、その音声プロファイルに基づいた音声を生成し、その読出された電子メールの内容を当該生成された音声、つまり、電子メールの発信元の音声の特徴を表す音声により出力することが可能となる。
【0035】ところで、以上に説明した構成において、携帯電話機1では、電子メールの内容をスピーカ5から音声により出力すると同時に、電子メールの内容を液晶ディスプレイ7に表示しても良い。また、電子メールの内容の読上げを禁止する操作が受付られたことをトリガとして、電子メールの内容を液晶ディスプレイ7に表示しても良い。また、電子メールの内容の読上げを許可する操作が受付られると、電子メールの内容を液晶ディスプレイ7に表示しないようにしても良い。
【0036】さらに、電子メールの内容として、電子メールの本文のみを読上げるようにしても良いし、電子メールの発信元、受信日時或いはタイトルなどをも読上げるようにして良く、それらが選択可能であっても良い。
【0037】以上に説明したように第1実施例によれば、携帯電話機1において、個人を識別する電話番号や電子メールアドレスと、個人が発する音声の特徴を表す音声プロファイルとを対応してアドレス帳に記憶し、電子メールの発信元の電子メールアドレスがアドレス帳により識別され、その電子メールアドレスに対応する音声プロファイルがアドレス帳に記憶されていると、その該当する音声プロファイルを読出し、その読出された音声プロファイルに基づいた音声を生成し、電子メールの内容を当該生成された音声により出力するように構成したので、電子メールの内容が電子メールの発信者本人の特徴を有する音声で読上げられることになり、これによって、電子メールの内容を聞取る際の違和感を十分に解消することができ、使い勝手を高めることができる。
【0038】また、携帯電話機1において、通話を開始すると、通話相手の電話番号がアドレス帳に記憶されていると、その受信された音声を解析し、その解析された結果に基づいて通話相手の音声プロファイルを生成し、その生成された音声プロファイルを記憶するように構成したので、通常の通話が行われる過程で音声プロファイルを生成して記憶することができ、音声プロファイルを生成して記憶するために何らかの特別な作業を行う必要がなく、使い勝手をより高めることができる。また、電子メールを頻繁に発信する発信元の電話番号をアドレス帳に記憶させておくことによって、その電子メールを頻繁に発信する通話相手の音声プロファイルを生成して記憶することができる。
【0039】また、携帯電話機1において、通話相手から受信された音声を解析したときに、その通話相手の音声プロファイルを既に記憶していると、その既に記憶されている音声プロファイルに、その今回に解析された結果を加味して新たな音声プロファイルを生成し、その新たに生成された音声プロファイルを記憶するように構成したので、通話回数が多くなるほど、その通話相手が発する音声の特徴を適切に表した音声プロファイルを生成して記憶することができ、電子メールの内容を聞取る際の違和感をより十分に解消することができる。
【0040】さらに、携帯電話機1において、電子メールの内容の読上げを行うか否かを問う表示メッセージを表示し、ユーザの操作に応じて、その電子メールの内容を読上げる旨を許可または禁止するように構成したので、電子メールの内容が読上げられても周囲に何ら迷惑を与えてしまう虞がない状況では、電子メールの内容の読上げを許可する操作を行うことによって、電子メールの内容を読上げさせることができ、一方、例えば電車内など電子メールの内容が読上げられると周囲に迷惑を与えてしまう虞がある状況では、電子メールの内容の読上げを禁止する操作を行うことによって、電子メールの内容が読上げられることを未然に回避することができ、周囲に迷惑を与えてしまうことを未然に回避することができる。
【0041】(第2実施例)次に、本発明の電子メール機能付端末を、電子メール機能を有する自動車電話機に適用した第2実施例について、図8および図9を参照して説明する。尚、ここでは、上記した第1実施例に記載したものと同一部分については、説明を省略する。
【0042】まず、図8は、自動車電話機の機能ブロック図を示している。自動車電話機11は、ハンドセット(受話器)12と、ハンドセット12が着脱可能なクレードル(電話機本体)13と、通信網との間の通信処理を行う無線機14(本発明でいう受話音声受信手段)とを備えて構成されている。
【0043】ハンドセット12は、マイクロコンピュータを主体としてなるCPU15(本発明でいう制御手段)に、通話制御部16と、キーパッド17と、液晶ディスプレイ18と、メモリ19(本発明でいう記憶手段)と、音声を生成する音声生成部20(本発明でいう音声生成手段)と、クレードル13に装着されているか否かを機械的に検出する検出スイッチ21とが接続されて構成されている。
【0044】この場合、CPU15は、ユーザがハンドセット通話を行うべくハンドセット12を持ち、ハンドセット12がクレードル13に装着されていない旨を検出スイッチ21により検出すると、通話制御部16の音声経路を無線機14とハンドセット用マイクロホン22(本発明でいう音声入力手段)およびハンドセット用スピーカ23(本発明でいう音声出力手段、音声ガイダンス出力手段)とが接続するように切替える。一方、CPU15は、ユーザがハンズフリー通話を行うべくハンドセット12をクレードル13に置き、ハンドセット12がクレードル13に装着されている旨を検出スイッチ21により検出すると、通話制御部16の音声経路を無線機14とハンズフリー用マイクロホン24(本発明でいう音声入力手段)およびハンズフリー用スピーカ25(本発明でいう音声出力手段、音声ガイダンス出力手段)とが接続するように切替える。尚、ハンズフリー用マイクロホン24は、車内にあって運転者が発する音声を集音するのに適した位置に取付けられ、ハンズフリー用スピーカ25は、クレードル13に組込まれている。
【0045】メモリ19は、上記した第1実施例で説明したメモリ8と同様にして、アドレス帳機能として、電話番号、電子メールアドレス、名前、住所および音声プロファイルの各構成要素を1件分とする複数件の個人情報を記憶可能に構成されており、音声生成部20は、上記した第1実施例で説明した音声生成部9と同様の機能を有している。また、クレードル13は、無線機14との間の音声やデータの転送を制御する無線機インタフェース部26を備えて構成されている。そして、CPU15は、制御プログラムを実行することによって、以下に示す処理を行う。
【0046】次に、上記した構成の作用について、図9を参照して説明する。尚、ここでは、ハンドセット12がクレードル13に装着されている場合を前提として説明する。この第2実施例では、CPU15は、「(1)音声プロファイルを生成して記憶する処理」については、上記した第1実施例に記載したものと同様の処理を行い、「(2)音声プロファイルに基づいた音声を出力する処理」については、上記した第1実施例に記載したものとは異なって、電子メールの内容の読上げを行うか否かを問う表示メッセージを表示させることに代わって、電子メールの内容の読上げを行うか否かを問う音声ガイダンス(例えば「ヨ」、「ミ」、「ア」、「ゲ」、「マ」、「ス」、「カ」)をハンズフリー用スピーカ25から出力させ(ステップS31)、所定時間(例えば10秒)を計時するタイマをスタートさせる(ステップS17)。
【0047】そして、CPU15は、タイマがタイムアップするよりも前に、ユーザが電子メールの内容の読上げを許可する音声(例えば「ヨ」、「ミ」、「ア」、「ゲ」、「マ」、「ス」)を発し、その発せられた音声がハンズフリー用マイクロホン24により入力された旨を検出すると(ステップS32にて「YES」)、メモリ19から該当する音声プロファイルを読出し(ステップS19)、その読出された音声プロファイルに基づいた音声を音声生成部20により生成させる(ステップS20)、そして、CPU15は、先に読出された電子メールの内容を当該生成された音声によりハンズフリー用スピーカ25から出力させる(ステップS21)。
【0048】これに対して、CPU15は、タイマがタイムアップするよりも前に、ユーザが電子メールの内容の読上げを禁止する音声(例えば「ヨ」、「ミ」、「ア」、「ゲ」、「マ」、「セ」、「ン」)を発し、その発せられた音声がハンズフリー用マイクロホン24により入力された旨を検出すると(ステップS33にて「YES」)、または、いずれかの音声がハンズフリー用マイクロホン24により入力されるよりも前に、タイマがタイムアップした旨を検出すると(ステップS23にて「YES」)、これ以降、先に読出された電子メールの内容を音声によりハンズフリー用スピーカ25から出力させることはない。
【0049】尚、以上は、ハンドセット12がクレードル13に装着されている場合を前提として説明したものであるが、ハンドセット12がクレードル13に装着されていない場合には、電子メールの内容の読上げを行うか否かを問う音声ガイダンスがハンドセット用スピーカ23から出力されることになり、電子メールの内容の読上げを許可または禁止する音声がハンドセット用マイクロホン22により入力されることになる。
【0050】以上に説明したように第2実施例によれば、自動車電話機11において、電子メールの内容の読上げを行うか否かを問う音声ガイダンスを出力し、ユーザが発した音声に応じて、その電子メールの内容を読上げる旨を許可または禁止するように構成したので、電子メールの内容が読上げられても周囲に何ら迷惑を与えてしまう虞がない状況では、電子メールの内容の読上げを許可する音声を発することによって、電子メールの内容を読上げさせることができ、一方、例えば電車内など電子メールの内容が読上げられると周囲に迷惑を与えてしまう虞がある状況では、電子メールの内容の読上げを禁止する音声を発することによって、電子メールの内容が読上げられることを未然に回避することができ、周囲に迷惑を与えてしまうことを未然に回避することができる。
【0051】特に、この場合は、上記した第1実施例に記載したものとは異なって、何らかの操作を行うのではなく、何らかの音声を発することによって、音声プロファイルに基づいて生成された音声の出力を許可するか禁止するかを選択することができるので、このような自動車電話機11に有効である。
【0052】(その他の実施例)本発明は、上記した実施例にのみ限定されるものでなく、次のように変形または拡張することができる。電子メール機能付端末は、携帯電話機や自動車電話機などの電話機に限らず、電子メール機能を有する携帯情報端末などの他のものであっても良い。音声プロファイルに基づいて生成された音声を出力するスピーカと、通話相手が発した音声を受話音声として出力するスピーカとを別体に設ける構成であっても良い。
【0053】通話相手を識別するための個人識別情報として電話番号を利用したり、電子メールの発信元を識別するための個人識別情報として電子メールアドレスを利用したりする構成に限らず、通話相手や電子メールの発信元を識別するのに他の情報を利用する構成であっても良い。電子メールの内容の読上げを行うか否かを問う表示メッセージを表示すると同時に、電子メールの内容の読上げを行うか否かを問う音声ガイダンスを出力する構成であっても良く、それらを選択可能な構成であっても良い。また、表示メッセージの表示形式や音声ガイダンスの出力形式は、他のものであっても良い。携帯電話機と自動車電話機との間でアドレス帳を転送可能であれば、例えば携帯電話機が通話したときに音声プロファイルを記憶し、携帯電話機から自動車電話機に音声プロファイルを転送し、自動車電話機が電子メールを読出したときに携帯電話機にて記憶された音声プロファイルに基づいた音声を出力する構成であっても良い。
【0054】CPUが実行する制御プログラムは、最初(例えば製品化の段階)からCPU内部に搭載されているものに限らず、例えば特定のサーバから通信網を通じてダウンロードされたり、カードなどの記録媒体から転送され、インストールされるものであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示す機能ブロック図
【図2】アドレス帳の構成を概略的に示す図
【図3】音声プロファイルを生成して記憶する処理を表すフローチャート
【図4】図2相当図
【図5】図2相当図
【図6】音声プロファイルに基づいた音声を出力する処理を表すフローチャート
【図7】表示の一例を示す図
【図8】本発明の第2実施例を示す機能ブロック図
【図9】図6相当図
【符号の説明】
図面中、1は携帯電話機(電子メール機能付端末)、2はCPU(制御手段)、3は通信部(受話音声受信手段)、6はキーパッド(操作受付手段)、7は液晶ディスプレイ(表示手段)、8はメモリ(記憶手段)、9は音声生成部(音声生成手段)、11は自動車電話機(電子メール機能付端末)、14は無線機(受話音声受信手段)、20は音声生成部(音声生成手段)、22はハンドセット用マイクロホン(音声入力手段)、23はハンドセット用スピーカ(音声出力手段、音声ガイダンス出力手段)、24はハンズフリー用マイクロホン(音声入力手段)、25はハンズフリー用スピーカ(音声出力手段、音声ガイダンス出力手段)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 電子メールの内容を音声により音声出力手段から出力可能な制御手段を備えた電子メール機能付端末であって、個人を識別する個人識別情報と、個人が発する音声の特徴を表す音声プロファイルとを対応して記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶されている音声プロファイルに基づいた音声を生成する音声生成手段とを備え、前記制御手段は、電子メールの発信元が前記記憶手段に記憶されている個人識別情報により識別され、且つ、その電子メールの発信元に対応する音声プロファイルが前記記憶手段に記憶されているときには、その該当する音声プロファイルを前記記憶手段から読出し、その読出された音声プロファイルに基づいた音声を前記音声生成手段により生成させ、電子メールの内容を前記音声生成手段により生成された音声により前記音声出力手段から出力させることを特徴とする電子メール機能付端末。
【請求項2】 請求項1記載の電子メール機能付端末において、通話相手から送話音声として送信された音声を受話音声として受信する受話音声受信手段を備え、前記制御手段は、前記受話音声受信手段により受信された音声を解析し、その解析された結果に基づいて通話相手の音声プロファイルを生成し、その生成された音声プロファイルを前記記憶手段に記憶させることを特徴とする電子メール機能付端末。
【請求項3】 請求項2記載の電子メール機能付端末において、前記制御手段は、通話相手が前記記憶手段に記憶されている個人識別情報により識別されたときに、前記受話音声受信手段により受信された音声を解析し、その解析された結果に基づいて通話相手の音声プロファイルを生成し、その生成された音声プロファイルを前記記憶手段に記憶させることを特徴とする電子メール機能付端末。
【請求項4】 請求項2または3記載の電子メール機能付端末において、前記制御手段は、前記受話音声受信手段により受信された音声を解析したときに、その通話相手の音声プロファイルを前記記憶手段に既に記憶させているときには、前記記憶手段に既に記憶されている音声プロファイルに、その今回に解析された結果を加味して新たな音声プロファイルを生成し、その新たに生成された音声プロファイルを前記記憶手段に記憶させることを特徴とする電子メール機能付端末。
【請求項5】 請求項1ないし4のいずれかに記載の電子メール機能付端末において、表示メッセージを表示する表示手段と、ユーザの操作を受付ける操作受付手段とを備え、前記制御手段は、電子メールの内容を前記音声生成手段により生成された音声により前記音声出力手段から出力させるか否かを問う表示メッセージを前記表示手段に表示させ、ユーザの操作が前記操作受付手段により受付られたときに、電子メールの内容を前記音声生成手段により生成された音声により前記音声出力手段から出力させる旨を許可または禁止することを特徴とする電子メール機能付端末。
【請求項6】 請求項1ないし4のいずれかに記載の電子メール機能付端末において、音声ガイダンスを出力する音声ガイダンス出力手段と、ユーザが発した音声を入力する音声入力手段とを備え、前記制御手段は、電子メールの内容を前記音声生成手段により生成された音声により前記音声出力手段から出力させるか否かを問う音声ガイダンスを前記音声ガイダンス出力手段から出力させ、ユーザが発した音声が前記音声入力手段により入力されたときに、電子メールの内容を前記音声生成手段により生成された音声により前記音声出力手段から出力させる旨を許可または禁止することを特徴とする電子メール機能付端末。
【請求項7】 電子メール機能付端末にて実行されるコンピュータプログラムであって、電子メールの発信元を個人識別情報により識別させる手順と、電子メールの発信元が個人識別情報により識別されたときに、その発信元に対応する音声プロファイルが記憶されているか否かを判定させる手順と、その発信元に対応する音声プロファイルが記憶されていると判定されたときに、該当する音声プロファイルを読出させる手順と、その読出された音声プロファイルに基づいた音声を生成させる手順と、電子メールの内容を当該生成された音声により出力させる手順とを実行させるためのコンピュータプログラム。
【請求項8】 請求項7記載のコンピュータプログラムにおいて、通話相手から送話音声として送信されて受話音声として受信された音声を解析させる手順と、その解析された結果に基づいて通話相手の音声プロファイルを生成させる手順と、その生成された音声プロファイルを記憶させる手順とを実行させるためのコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2003−233385(P2003−233385A)
【公開日】平成15年8月22日(2003.8.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−32299(P2002−32299)
【出願日】平成14年2月8日(2002.2.8)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】