説明

電子レンジ加熱用容器

【課題】食品を電子レンジのマイクロ波により加熱したり焦げ目を付けたりして加熱調理するためのシートを用いた電子レンジ加熱用容器の改良に関する。
【解決手段】内面に発熱体を設けたブランクを折り曲げて筒状に組立てられる容器であって、該容器に脚部を形成して容器底面を中空に保持すると共に、該容器の底面に食材のドリップを流下させ、又は不要な蒸気を排出するための穴を設け、容器組立時に掛止部が上下に平行に重ならないように交差して掛け止めらたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、食品を電子レンジのマイクロ波により加熱したり焦げ目を付けたりして加熱調理するためのシートを用いた容器(サセプター台紙)の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
電子レンジから発生するマイクロ波により発熱する発熱体(サセプター)を使用し、食品を焼成することによって電子レンジ加熱では困難とされる焼き目やクリスピーな(カリッとした)食感を食品に発生させる技術は知られており、現在まで、ピザやフライドポテト,唐揚げ,焼き魚や切り身用などに利用されている(実開平1−82829号公報、特開2006−75617号公報、特開2008−62990号公報など)。
【0003】
しかし、上記のような構成では、以下の問題点がある。
(1)加熱後の食材、特に魚の切り身が底面側の台紙の発熱体に付着しやすく、底面側の発熱体から魚を持ち上げると身崩れを起こしやすい。魚が西京漬や粕漬などの場合は特に顕著になる。
(2)切り身などの食材から出たドリップが発熱体上に残り、加熱により固化するため、食材と発熱体との付着の促進、風味の劣化の発生の要因になる。
(3)底面側の台紙の発熱体が、電子レンジ底面に接しており、ターンテーブル式の電子レンジの場合、上方からマイクロ波が照射されるため、底面側の発熱体にマイクロ波が十分に当たらず、発熱しにくい。
(4)切り身によっては、トレーに置いた時の高さ方向の厚みや横方向の幅が異なったり、部位によっては、脂ののりも異なってくる。このため、加熱される切り身部分の体積の差、脂の含有量の差により、焼き上がりにムラが発生する。
(5)台紙による容器組立形状を拘束するロック機構として、一方の台紙の外縁中央にコ字状の切欠を形成し、他方の台紙の外縁で切欠に対応する個所に一対の切込線を入れ前記切欠に掛止められる掛止片を形成しており、中央一か所で掛止められるため、加熱により特に強く反る魚身の場合、反りによって加熱体の端を持ち上げてしまい、加熱効果が落ちる。また加熱後の魚の見た目も悪くなる。
(6)電子レンジの機種によってマイクロ波の照射方向、集中するポイントが異なり、発熱体の部分部分で強弱が生まれるため、電子レンジの違いや容器の置き場所により焼き目に差が発生する。
そこで、本出願人は、食材を収納した容器の底面側の発熱体にもマイクロ波があたるようにすると共に、食材から滴下するドリップを容器の外へ排出させ、また容器内の不要な蒸気を排出することができる電子レンジ加熱用容器を提供するため、特願2010−273071を提案した。
本出願人は、更に、鋭意研究の結果、容器内部の温度の加熱を最適に行えるようにした電子レンジ加熱用容器の発明を創案するに至った。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−40031号公報
【特許文献2】特開2001−19062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明の主たる課題は、食材を収納した容器の底面側の発熱体にもマイクロ波があたるようにすると共に、食材から滴下するドリップを容器の外へ排出させ、また容器内の温度を過加熱させることなく適切に行いながら不要な蒸気、熱を排出することができる電子レンジ加熱用容器を提供することにある。
この発明の別の課題は、容器内の食材に対して部分的に加熱の調整が行えるようにした電子レンジ加熱用容器を提供することにある。
この発明の更に別の課題は、容器の側方の立面の一方又は双方を折り曲げて容器の高さを低く調整することができる電子レンジ加熱用容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、上記課題を解決するために、請求項1の発明では、
内面に発熱体を設けたブランクを折り曲げて筒状に組立てられる容器であって、
該容器の底面に脚部を形成して容器を中空に保持すると共に、
該容器の底面に食材のドリップを流下させ、又は不要な蒸気、熱を排出するための穴を設け、
前記ブランクを筒状に組み立てる際に、ブランクの両端の端縁部に設けた一対の掛止手段が掛止片部と該掛止片部を掛止める掛止受部とからなっており、前記掛止片部と掛止受部とが上下に平行に重ならないように交差して掛け止められることを特徴とする。
請求項2の発明では、
前記ブランクが、天面形成部と、一方の立面形成部と、底面形成部と、他方の立面形成部とをそれぞれ折曲線を介して連接してなり、
底面形成部に、突片形状の切抜線を形成し、該切抜線で囲まれた部分を脚部形成片とし、該脚部形成片を底面形成部から折り曲げて脚部とすると共に、折り曲げられた脚部形成片により開口した箇所を穴としてなり、
掛止手段が、天面形成部の端縁部と組立時に天面形成部の先端と掛止められる他方の立面形成部の端縁部とのいずれか一方に形成された掛止片部と、いずれか他方に形成されて前記掛止片部を交差した状態で掛止可能な凹部又は孔からなる掛止受部とからなっていることを特徴とする。
また、請求項3の発明では、
前記天面形成部に排熱孔を設けたことを特徴とする。
また、請求項4の発明では、
前記掛止手段の凹部又は孔が天面形成部に形成されており、該凹部又は孔の内側の辺が内方に向かって湾曲する円弧形状に形成されていることを特徴とする。
また、請求項5の発明では、
前記排熱孔形成部が、天面形成部と該天面形成部と連設する一方の立面形成部との間の折曲線に両端が接し中間部分が天面形成部側に突出して、容器組立時に開口する第1排熱孔形成部と、天面形成部の中途位置に形成された第2排熱孔形成部とからなることを特徴とする。
請求項6の発明では、
前記発熱体が、ブランクの原紙の上に部分的にアルミ箔層を配置し、その上にアルミ蒸着層とPET層とを積層してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
この発明は、以下のような特有の効果を奏することができる。
(1)容器に脚部を付け、容器の底面を中空に保持すると共に容器の底面に穴を開けたことにより、容器底面と電子レンジ底面の間に形成された隙間にマイクロ波が入り、前記穴から容器内にも入り込むので、ターンテーブル式の電子レンジでも底面側の発熱体に直接マイクロ波が当たり、発熱させることができる。
また、容器底面の穴から魚の切り身や肉などの焼くことでドリップの出る食材のドリップを落下させて、切り身と発熱体との付着や風味の劣化を防ぐことができ、更に余分な蒸気を排出させて、焼き目の発生を促進することができる。
更に、掛止部が上下に平行に重ならないように交差して掛け止められるので、重なった面の過加熱を防止し、適切に加熱することができる
(2)底面形成部に脚部形成片を設けることで、脚部形成片を折り曲げるだけで脚部と穴とを同時に形成することができる。
また、一対の掛止手段を掛止片部と凹部又は孔の組合せとして、簡単な構成により交差状に掛止めることができる。
(3)天面形成部に、排熱孔を設けることで容器内で過加熱となっても上方へ放熱することができる。
(4)掛止手段の凹部を円弧形状とすることで、掛止片部の掛止が容易となり、掛止後には排熱孔の1つとして用いることができる。
(5)天面形成部に排熱孔形成部を設けることで、容器に組み立てると同時に排熱孔を容易に形成することができる。
(6)排熱孔が排熱孔形成部からなっており、容器組立時に開口する第1排熱孔形成部と、第2排熱孔形成部とからなっており、第2排熱孔形成部は、組立後に適宜に全部又は一部を開口してもよいし、開口せずに一定以上の加熱時に変形して開口するものでもよく、適切な放熱を図ることができる。
(7)発熱体にアルミ箔の構成を加えることで、アルミ箔によるアンテナ効果を利用してマイクロ波を制御することにより、発熱体を均一に発熱させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】電子レンジ加熱用容器の展開図である。
【図2】(a)は電子レンジ加熱用容器の組立状態を示す斜視図、(b)は底面から見た斜視図である。
【図3】食品の収納を示す天面を開けた状態の斜視図である。
【図4】側面図である。
【図5】電子レンジ加熱用容器の発熱体の構造を示す断面図で(a)はPET/アルミ蒸着層を用いた構造、(b)はPET/アルミ箔を用いた構造、(c)はPET/アルミ蒸着層/アルミ箔を用いた構造を示す断面図である
【図6】異なる実施例の電子レンジ加熱用容器の展開図である。
【図7】(a)は切取りガイド線を設けた部分平面図、(b)は穴を拡げた状態の底面から見た部分斜視図である。
【図8】ガイド線に沿って立面を折り曲げた状態の説明図であり(a)は折曲げ前の断面図、(b)は一方、(c)は双方を折り曲げた状態の断面図である。
【図9】別の実施例を示す電子レンジ加熱用容器の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、この発明の電子レンジ加熱用容器の好適実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0010】
本実施例の電子レンジ加熱用容器1は、図1〜図4に示すように、内面に発熱体11を設けた1枚のブランク2を折り曲げて角筒状に組立てられる容器であって、前記ブランク2は、略矩形のシートからなり、天面形成部3と、一方の立面形成部4と、底面形成部5と、他方の立面形成部6とを、それぞれ折曲線L1〜L3を介して連接した構成からなっている。
【0011】
本実施例で、容器1は、図2に示したように断面矩形の角筒状(箱形)の場合を例示したが、断面形状は上記実施例に限定されず、任意の多角形状、円形・楕円形状、半円形・半楕円形状などであってもよい。
【0012】
[天面形成部]
天面形成部3は略長方形状からなっており、長手方向の端縁側にブランク2の折り曲げ姿勢を拘束する掛止手段の一方、図示例では掛止受部30が、1又は複数(図示例では2つ)設けられている。
掛止受部30は、天面形成部3の端縁部に沿って穿設された略円弧状の凹部からなっているが、凹部の開口側を塞いで後述の掛止片部40を下から挿入可能なほぼ同形状とした孔であってもよい。
【0013】
該掛止受部30は、先端の開口部から内側(天面形成部3の中央)に向かって切り欠かれており、その両側の辺の中途位置に開口幅を狭めるように突出する一対の突部31が形成されており、該突部31の奧側の裾野部分に掛止用のスリット32が形成されている。
そして、前記スリット32間を結ぶように内側に湾曲する円弧状の辺33が形成されている。
【0014】
また、天面形成部3には、排熱孔が設けられている。
前記掛止受部30も平板状の掛止片部40を掛け止めた後に円弧状の辺33で囲まれた排熱孔として機能しうるが、本実施例では更に第1排熱孔形成部7と、第2排熱孔形成部12とが形成されている。
【0015】
[第1排熱孔形成部]
第1排熱孔形成部7は、天面形成部3と該天面形成部3と連設する立面形成部4との間の折曲線L1に両端が接し中間部分が天面形成部3側に突片状、図示例では略円弧状に形成された切抜線9からなっている。
従って、容器組立時に、天面形成部3を立面形成部4に対して折曲線L1に沿って直角に折り曲げることで第1排熱孔形成部7は切抜線9で囲まれた部分が立面14と一連に延びる略円弧状の突片17(後述の脚部形成片8と同様の突片)となって天面13に対して直交し、天板13上に排熱孔7aを開口することができる(図2参照)。
【0016】
[第2排熱孔形成部]
第2排熱孔形成部12は、天面形成部3の中途位置に形成された切抜線からなっており、図示例では、円弧状等の突片状の切抜線12aと、該突片状の切抜線の両端間を結ぶ線で、前記円弧状の切抜線の両端と離間した位置に両端が設けられた切抜線12bとからなっており、図示例では略半円状に形成されている(図2参照)が、この発明では、無端状に連続せずに1又は複数個所に非切断部を有するものであればよく、その全体形状は特に限定されない。なお、切抜線12aは、角がなく、湾曲している方が好ましい。
【0017】
第2排熱孔形成部12は、図示例の場合、天面形成部3の長手方向の中央を通る中心線に対して、円弧状の切抜線が中心線を向くように左右対称に配置したが、この配置は特に限定されず、任意の向きに配置してもよい。
また、長手方向に一列に並べたが、複数列やジグザグ状、散点状などの適宜配置にしてもよい。
第2排熱孔形成部12は、容器組立後に適宜に全部又は一部を切り抜いたり折り曲げて開口してもよいが、開口せずにそのままとしておいてもよい。
あらかじめ開口しておかない場合には、容器の内部がある一定以上の過加熱状態になると第2排熱孔形成部12が(PETの収縮や原紙の反りに起因する)容器の反り、第2排熱孔形成部12の部位の収縮に伴い、変形して自動的に開口し、放熱することができる。
【0018】
[一方の立面形成部]
一方の立面形成部4は幅狭な長方形状で、図示例では天面形成部3に対して長手方向の両端が短く設定されて、第1の折曲線L1を介して前記天面形成部3と連設されている。
ここで第1の折曲線L1は、点線状の切目(全切り線又は半切り線)からなっているが、切目でなくても折り曲げのガイドとなるものであればよい。
図示例で立面形成部4は、組立時の高さ方向の中間位置に前記第1の折曲線L1と平行に厚み調整折り線G2が設けられている。
厚み調整折り線G2は1本設けられているが、複数本を平行に設けて、適宜に折り曲げ用のガイド線を選択し折曲げ高さを調整しうるようにしてもよい。
【0019】
[底面形成部]
底面形成部5は、一方の縁部が第2の折曲線L2を介して前記立面形成部4と連設されており、他方の縁部が第3の折曲線L3を介して他方の立面形成部6と連設されている。
底面形成部5は、前記天面形成部3と対峙するように天面形成部3と同じ略矩形状からなっている。
ここで、底面形成部5の長手方向の長さは天板形成部3と同じであるが、短手方向の長さは、天面形成部3の第1の折曲線L1から掛止用のスリット32までの長さに対応している。
【0020】
[脚部形成片]
そして、前記第2の折曲線L2と接するように脚部形成片8が複数(図示例では4つ)形成され、同様に第3の折曲線L3と接するように脚部形成片8が複数(図示例では4つ)形成されている。
即ち、底面形成部5の左右の縁部側には脚部形成片8を囲むように略円弧状の切抜線9が形成されており、該切抜線9は中央側に向かって塞がり両端が開放されている。
【0021】
そして、切抜線9の開放された端部間には第2又は第3の折曲線L2、L3は形成されず、その外側に形成される。
上記構成は前記第1排熱孔形成部7の切抜線と同様である。
脚部形成片8は突片であればよくその形状は特に限定されないが、脚部18となった際に電子レンジの室内で起立しうるよう脚部18の先端が同一面上に揃うように形成されていればよい。
また、脚部形成片8は平面形状に限らず、折り曲げてもよい。
【0022】
前記底面形成部5に形成された左右一対の脚部形成片8は、折曲線L2、L3を介さず立面形成部4、6と一連となっている。
これにより、前記折曲線L2、L3に沿って立面形成部4、6と底面形成部5とを折り曲げると、脚部形成片8は底面形成部5と共に折れ曲がらずに立面形成部4、6の延長上に延びて容器の底面に対して直角となる一対の脚部18となる(図2(b)参照)。
【0023】
そして、該脚部形成片8が抜けた個所は底面15に形成される穴10'となる。
前記底面形成部5には、前記穴10'とは別に複数の穴10(10個)が縦横に略等間隔に配置されている(図2(b)参照)。
本実施例では、穴10は予め穿設されているが、穴の配置に沿って穴の形状に沿った点線状の切抜線を形成しておき、必要な個所の切抜線を切り取って穴10を開口するようにしてよい(図示せず)。
【0024】
[他方の立面形成部]
他方の立面形成部6は一方の立面形成部4と同じ形状で、第3の折曲線L3を介して前記底面形成部5と連設されている。
ここで第3の折曲線L3は、点線状の切目からなっているが、切目でなくても折り曲げのガイドとなるものであればよい。
上記他方の立面形成部6は、前記一方の立面形成部4と同様に、組立時の高さ方向の中間位置に前記第3の折曲線L3と平行に、1又は複数本(図示例では1本)の厚み調整折り線G3が設けられている。
この発明では、厚み調整折り線G2、G3はいずれも設けなくてもよいし、設ける場合もいずれか一方だけでもよい。また、厚み調整折り線G2、G3は、スリットでも、押し罫でも、ミシン目でもよい。
【0025】
[掛止片部]
他方の立面形成部6には、ブランク2の折り曲げ姿勢を拘束する掛止手段の他方、本実施例では掛止片部40が前記他方の立面形成部6の端縁部に一体に連接して外方へ延びている。
該掛止片部40は、図示例の場合、先端41が幅広で基端42となる他方の立面形成部6の端縁部側が幅狭となる略梯形状からなっている。
【0026】
本実施例では、掛止片部40は掛止受部30に対応して左右に2つ設けられている。
これにより、底面形成部5の両端の第2折曲線L2及び第3折曲線L3に沿って、それぞれ立面形成部4及び6を直角に折り曲げて直立させ、更に第1折曲線L1に沿って天面形成部3を直角に折り曲げて水平にし、直立した掛止片部40を水平の掛止受部40内で円弧状に辺33に向かって押し込み、力を解放すると掛止片部40が平面状に復帰すると共に、その左右の幅狭な基部42がスリット32に嵌合し、交差した状態で掛け止められてロックされ、容器1が箱形姿勢に組み立てられる。
【0027】
[発熱体]
発熱体11は、マイクロ波によって発熱する別体の発熱シートを、ブランク2の内面の一部又は全部に貼り付ける構成、またはブランク2の内面の一部又は全部にマイクロ波によって発熱する発熱層を積層形成するものでもよい。
例えばブランク2の上下に対向する面(天面形成部3と底面形成部5と)に発熱体11を設ける構成や、ブランク2の内面全域に形成するなど適宜に形成することができる。立面14、16に発熱体11を設けることによって、食品の側面(特に皮面)もカリッと焼くことができる。
【0028】
図5に一例を示す発熱体11は、ブランク2の原紙2a上に積層された構造を示す。
図5(a)では、原紙2aの上にアルミ蒸着層11aが積層され、その上にPET層11bが積層され、マイクロ波を透過させて発熱させる構造からなっている。
図5(b)では、原紙2aの上に過加熱を防ぐセグメント状のアルミ箔層11cを配置し、その上にPET層11bが積層されて、加熱を抑制しながら加熱する構造からなっている(特開2006−75617号参照)。
図5(c)では、原紙2aの上にセグメント状のアルミ箔層11cを配置し、その上にアルミ蒸着層11aとPET層11bとを積層して、発熱と均一加熱を同時に実現する構成からなっている。基層は、原紙に限定されず、樹脂でもよい。
この発明では発熱体11の構造については上記実施例に限定されず、公知の発熱体を用いることができる。
【0029】
[組立方法]
図2に示すように、ブランク2の天面形成部3と底面形成部5とが上下に平行となる天面13と底面15となり、一対の立面形成部4,6が略垂直に立ち上がって立面14、16となるように、折曲線L1〜L3を折り曲げて、角筒形状とする。
この折り曲げに伴って、底面15に形成された脚部形成片8が脚部18となって底面15を中空に保持する。
同様に、天板13に形成された第1排熱孔形成部7が突片となって起立し、切り抜かれた開口が排熱孔7aとなる。
【0030】
また、前述のように天面13の掛止受部30に、立面16の掛止片部40を嵌め込むと交差状に掛止められて、容器1を箱形姿勢にロックすることができる。
これにより掛止手段の掛止片部40と掛止受部30とが二重に重なり合うことがないので、過加熱を防止することができる。
また、食材の厚みに応じて、立面14、16の厚み調整折り線G2、G3を外向きに折り曲げることで、容器1の高さを低く設定することができる。
【0031】
また、一方の立面のガイド線だけを折り曲げれば、天面13が傾斜面となり、厚い部分と薄い部分とからなる食材であってもほぼ均等に加熱することができる(図8参照)。
【実施例2】
【0032】
図6に示す電子レンジ加熱用容器1は、掛止受部30と掛止片部40をそれぞれ1つ設けた場合の異なる実施例を示す。
ここで、掛止受部30と掛止片部40とはロック強度を高めるために長さを長くしている。
その他の構成は前記実施例1と同様であるので、同一構成には同一符号を付して、説明を省略する。
【実施例3】
【0033】
図7に示す電子レンジ加熱用容器1は、底面形成部5に形成された多数の穴10群において、所定の穴10と穴10との間を繋ぎ、開口面積の大きな開口を形成することができる切取ガイド線G4が形成されている。加熱されやすい部分に接する底面に、より大きな開口を形成することにより、接触面積が減り、さらに周りの発熱体自体も減るため、過加熱を防ぎ、均一な焦げ目をつけることができる。
従って、広い穴が必要な場合には、前記穴10と穴10との間の切取ガイド線G4に沿って底面形成部5を切り取ることができ、所望の広さの開口20を形成することができる。
図示例で切取ガイド線G4はコ字状に延びる点線状の切目からなっており、該切目に沿って切り離し底面形成部5に対して直角に折り曲げることで、脚部18を形成し、同時に脚部18が抜けた切取ガイド線G4に囲まれた個所が穴10'となる。
その他の構成は前記実施例1又は2と同様であるので、その説明を省略する。
【実施例4】
【0034】
図9に示す電子レンジ加熱用容器1は、前記実施例の掛止手段とは逆に、天板13の端縁部に掛止片部40'を突設し、立面16に掛止受部30'を設けている。
これによっても、掛止片部40'と掛止受部30'とは二重に重なり合うことがない。
また、排熱孔形成部12'は、予め穿設された開口12'を示す。
排熱孔形成部7'は、組立後に全部又は任意の突片17を折り曲げて開口7a'を形成するようにしてもよい。
【0035】
また、天面と底面をひっくり返し、上記排熱孔形成部7'12'は、図2(b)に示す底面15の穴10や10'に代えて用いることもできる(図示せず)。
この場合、折り曲げられた突片17は脚部18として利用することができる。 さらに、立面形成部の端縁部を脚部18として利用することもできる。
【0036】
本実施例では、脚部18は、1つの穴10'に対して外側に1つ設けたが、1つの穴10'の左右に一対に設けてもよい。
また、脚部の形状は電子レンジの室内で起立しうる形状であればよく、脚部18の先端が同一面上に揃うようになっていればどのような形状でもよい。
【0037】
その他、この発明は上記実施例に限定されるものではなく、この発明の要旨を変更しない範囲で種々設計変更しうる。
【符号の説明】
【0038】
1 電子レンジ加熱用容器
2 ブランク
3 天面形成部
4 一方の立面形成部
5 底面形成部
6 他方の立面形成部
7 第1排熱孔形成部
7a 排熱孔
8 脚部形成片
9 切抜線
10 穴
11 発熱体
12 第2排熱孔形成部
12a 排熱孔
13 天面
14 立面
15 底面
16 立面
17 突片凸片
18 脚部
30 掛止受部
32 スリット
33 円弧状の辺
40 掛止片部
L1〜L3 第1〜第3の折曲線
G2、G3 厚み調整折り線
G4 切取ガイド線


【特許請求の範囲】
【請求項1】
内面に発熱体を設けたブランクを折り曲げて筒状に組立てられる容器であって、
該容器の底面に脚部を形成して容器を中空に保持すると共に、
該容器の底面に食材のドリップを流下させ、又は不要な蒸気、熱を排出するための穴を設け、
前記ブランクを筒状に組み立てる際に、ブランクの両端の端縁部に設けた一対の掛止部が上下に平行に重ならないように交差して掛け止められる掛止手段を設けてなることを特徴とする電子レンジ加熱用容器。
【請求項2】
ブランクが、天面形成部と、一方の立面形成部と、底面形成部と、他方の立面形成部とをそれぞれ折曲線を介して連接してなり、
底面形成部に、突片形状の切抜線を形成し、該切抜線で囲まれた部分を脚部形成片とし、該脚部形成片を底面形成部から折り曲げて脚部とすると共に、折り曲げられた脚部形成片により開口した箇所を穴としてなり、
掛止手段が、天面形成部の端縁部と組立時に天面形成部の先端と掛止められる他方の立面形成部の端縁部とのいずれか一方に形成された掛止片部と、いずれか他方に形成されて前記掛止片部を交差した状態で掛止可能な凹部又は孔とからなっていることを特徴とする請求項1に記載の電子レンジ加熱用容器。
【請求項3】
天面形成部に、排熱孔を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の電子レンジ加熱用容器。
【請求項4】
掛止手段の凹部又は孔が天面形成部に形成されており、該凹部又は孔の内側の辺が内方に向かって湾曲する円弧形状に形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の電子レンジ加熱用容器。
【請求項5】
排熱孔形成部が、天面形成部と該天面形成部と連設する一方の立面形成部との間の折曲線に両端が接し中間部分が天面形成部側に突出して、容器組立時に開口する第1排熱孔形成部と、天面形成部の中途位置に形成された第2排熱孔形成部とからなることを特徴とする請求項3に記載の電子レンジ加熱用容器。
【請求項6】
発熱体が、ブランクの原紙の上に部分的にアルミ箔層を配置し、その上にアルミ蒸着層とPET層とを積層してなることを特徴とする請求項1に記載の電子レンジ加熱用容器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−218769(P2012−218769A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−85847(P2011−85847)
【出願日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(000223193)東罐興業株式会社 (90)