説明

電子レンジ用食品パッケ―ジ

【課題】 加熱後にトレーの変形を防止すると共に、トレーの収納隅部に食品の油分等が溜ることがなく、破裂等を防止することを目的とする。
【解決手段】幅広凸縁部4aの長手方向に通気用凹溝部を形成して内側幅狭凸縁部と外側幅狭凸縁部15とを形成し、内側幅狭凸縁部の内壁部は、小分けトレー体の内側壁から内方に突出させて先端部が尖った2個の山形稜線凸部16を連接形成すると共に、通気用凹溝部を形成している内側幅狭凸縁部の外壁部をその突出した山形稜線凸部に添って形成して全体がM字形状となる内側幅狭凸縁部に形成すると共に、この通気用凹溝部のM字形状の最深部は小分けトレー体の内側壁とほぼ同一線上となるように形成し、通気用凹溝部を形成している外側幅狭凸縁部は、上周縁部の段差部5を切欠して外気と連通する幅狭の開口部を設けて高圧脱気部を形成した。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、トップシール付きのトレー体や小分けトレー体に食品を収容密閉してなる小分け食品収納体で、小分けトレー体は必要なだけ切り離すことができると共に、そのまま電子レンジに入れるだけで、温めたり調理したりできる等の多機能をもった電子レンジ用食品パッケージに関するもので、特にトレー体に形成した高圧脱気部を改良し、冷却に伴う負圧吸気作用も円滑にできるようにした電子レンジ用食品パッケージに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年の電子レンジの普及に伴って、電子レンジで温めたり調理したりして食する電子レンジ対応食品の開発が盛んである。それに伴って電子レンジ対応食品を包装するトレーや容器は、一般のトレーや容器が要求される運搬機能や保存機能だけでなく、電子レンジによる加熱、調理に対応する機能を備えることが要求されるようになり、各方面で工夫研究されている。
【0003】
それら従来例はいずれも実用性において十分に満足できるものではなかった。
本考案者は、その不満足の理由について検討した結果、開発されている目的や機能が単一であったり、単純であったり、経済的でなかったりなど、欠点があるため実用性に欠けるものであった。そのため出願人は先に当該食品包装体が、製造段階、流通段階、消費者の調理段階、更に調理後の喫食段階においても、それぞれ好ましい便利さを合わせもっているような多機能な電子レンジ用食品パッケージを開発した(実用新案登録第3052161号)。この電子レンジ用食品パッケージは、次のように構成されているものであった。図5は従来の電子レンジ用食品パッケージの一部切断した平面図で、図6は図5におけるB−B線の断面図である。
【0004】
図において、Cは耐熱性合成樹脂製の基板材を用い上面開口型であり、かつ周側壁を有するトレーであり、このトレーCは複数個互いに隣接するように形成されている。当該各トレーCの周側壁の上周縁Dを溶着用凸縁部Eとそれに続く段差部Fと低段縁部Gとで形成するとともに、当該各トレーCの外側位置にある上周縁DにはトレーC内の圧力が所定以上になったとき脱気する高圧脱気部Hが設られている。隣接するトレーCとトレーCとの間には低段縁部Gに連続する連結縁部が形成されているが、当該連結縁部の部分には、各トレーの上周縁に添って切り離し得るように整形用の切り欠きや切穴を穿ってなる小分けトレー体Iを形成しておき、当該小分けトレー体Iの各トレーC内に食品を収容したうえ、各トレーCの上周縁Dの溶着用凸縁部Eに耐熱性合成樹脂製のシールJを熱溶着して上面開口を密閉して複数の小分け食品収納体に形成されている。更に各小分け食品収納体の間の連結縁部に切り離し線を穿設して、人手の引き裂き力により各小分け食品収納体毎に切り離しできるように構成したものであった。
【0005】
また、上記の高圧脱気部Hは、各トレーCの外側位置にある周側壁の一部にトレーCの内側へ突出するリブKを形成し、その上周縁Dに先端部Laが尖った山形稜線凸縁Lを形成するとともに、当該山形稜線凸縁Lに添ってその外側位置に山形状凹溝Mと裾凸縁Nとを形成してある。また、当該山形状凹溝Mの左右両先端部が前記段差部Fにて外部に開口するように形成してあり、当該小分けトレー体Iの各トレー体の上周縁Dの溶着用凸縁部Eと、高圧脱気部Hの山形稜線凸縁Lと、裾凸縁Nとに耐熱性合成樹脂製のシールJを熱溶着して上面開口を密閉するとともに、高圧脱気部Hの山形状凹溝Mの上面を塞ぐようにしたものであった。
【0006】
【考案が解決しようとする課題】
従来の電子レンジ用食品パッケージの高圧脱気部Hは、加熱に伴って各トレーC内の圧力が高圧になった時には、熱溶着されているシールJが、図6に示すように膨張する。するとトレーCの内側に山形稜線凸縁Lの先端部Laが突出しているので、この尖った先端部Laに内圧が集中する。その結果、山形稜線凸縁Lの尖った先端部Laは幅が狭くなっているし、尖った三角形になっているので、内圧が所定以上に高くなると、周囲の溶着用凸縁部Eよりも、この山形稜線凸縁Lの尖った先端部Laが優先して剥れることとなる。すると、山形稜線凸縁Lと平行に形成されている山形状凹溝Mがすぐに露呈し、トレーC内と連通状態となり、内部の蒸気が山形状凹溝Mを通って矢印Pで示すように外部に脱気される。
この際、山形状凹溝Mは裾凸縁Nによって左右に分かれている上に、裾凸縁Nの部分がシールJで熱溶着されているので、高圧脱気部HのシールJがストレートに開放されてしまったり、不用意に破れてしまって、内部の液汁等がこぼれることがないものである。
【0007】
しかしながら、食品が収納されたトレーを電子レンジから出すと次第に冷えて高圧状態にあったトレー体の内圧が下がってくるが、当初に比較して高圧時に脱気した分だけ外部の圧力よりも低くなってくる。その場合、外部の大気圧が内部よりも高くなって連通している高圧脱気部Hから外気がトレー体内に入ろうとする。その際、高圧脱気部Hの外気の侵入経路は、矢印Pとは逆に左右に分かれている裾凸縁Nから山形稜線凸縁Lの先端部Laを通って侵入することとなるが、2か所の侵入口から1か所の先端部Laに外気が集中するため、外気の吸入作用がごく少なくなったり止まったりして困難となる。その結果、トレー体内が負圧になってトレー体Cの周側壁が変形してしまい商品価値を低下させるという課題を有していた。
【0008】
また、食品を収納するトレー体C自体の形状は、図6に示されるように食品収納体の座部角隅部Caが鋭角的に形成されていると、収納される食品の液汁や油分が溜ることが多くなる。すると、電子レンジに入れて加熱した液分に高周波が集中して加熱ムラを生じやすくなる。つまり、座部角隅部Caに溜っている液汁や油分だけの温度が高温となり、固体食品部は低温のままとなったり、トレー体の座部角隅部Caだけが加熱により変形したり、破裂したりするという課題を有していた。
【0009】
本考案は従来の電子レンジ用食品パッケージが電子レンジに入れて加熱した際に、トレー体内の圧力によってトレー体に形成されている高圧脱気部のシールが剥れて内部の蒸気が外部に脱気されるように構成されているが、加熱後にこのパッケージを電子レンジから出した際には、冷却されて逆にトレー内の圧力が低くなり外気がトレー内に侵入しようとする際のトレーの変形を防止する。また、トレー体の座部角隅部に食品の液体分が溜って固体分との間に加熱ムラが生じたり、電子レンジで加熱するとトレー体の変形や破裂等を防止することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
登録を受けようとする第1の考案は、耐熱性合成樹脂製の基板材を用いて上面に開口部を有し、かつ周側壁を有するトレー体を形成し、当該トレー体の開口部である上周縁部に蓋体となるシールを溶着して密閉することにより食品収納体となし、当該トレー体の上周縁部には食品収納体内の圧力が所定以上になったとき脱気する高圧脱気部を設けてなる電子レンジ用食品パッケージにおいて、 上記のトレー体の上周縁部を溶着用凸縁部とそれに連接される段差部と低段縁部とで形成し、この上周縁部の溶着用凸縁部の一部を幅広凸縁部に形成すると共に、該幅広凸縁部の長手方向に通気用凹溝部を形成して内側幅狭凸縁部と外側幅狭凸縁部とを形成し、 上記の内側幅狭凸縁部の内壁部は、トレー体の内側壁から内方に突出させて先端部が尖った2個の山形稜線凸部を連接形成すると共に、上記の通気用凹溝部を形成している内側幅狭凸縁部の外壁部は、その突出した山形稜線凸部に添って形成して全体がM字形状となる内側幅狭凸縁部に形成し、この通気用凹溝部のM字形状の最深部はトレー体の内側壁とほぼ同一線上となるように形成し、 上記の通気用凹溝部を形成している外側幅狭凸縁部は、上周縁部の段差部を切欠して外気と連通する幅狭の開口部を設けて高圧脱気部を形成し、 当該トレー体の溶着用周縁部と幅広凸縁部と内側幅狭凸縁部と外側幅狭凸縁部とに耐熱性合成樹脂性のシールを熱溶着して、トレー体の上面開口部と高圧脱気部の上面を塞ぐようにしたことを特徴とする電子レンジ用食品パッケージである。
【0011】
登録を受けようとする第2の考案は、耐熱性合成樹脂製の基板材を用いて上面に開口部を有し、かつ周側壁を有する小分けトレー体を複数個互いに隣接するように形成し、各小分けトレー体の開口部である上周縁部に蓋体となるシールを溶着して密閉することにより小分け食品収納体となし、必要に応じて各小分けトレー体を分離可能に形成すると共に、各小分けトレー体の上周縁部には小分け食品収納体内の圧力が所定以上になったとき脱気する高圧脱気部を設けてなる電子レンジ用食品パッケージにおいて、 上記の各小分けトレー体の上周縁部を溶着用凸縁部とそれに連接される段差部と低段縁部とで形成し、この上周縁部の溶着用凸縁部の一部を幅広凸縁部に形成すると共に、該幅広凸縁部の長手方向に通気用凹溝部を形成して内側幅狭凸縁部と外側幅狭凸縁部とを形成し、 上記の内側幅狭凸縁部の内壁部は、小分けトレー体の内側壁から内方に突出させて先端部が尖った2個の山形稜線凸部を連接形成すると共に、上記の通気用凹溝部を形成している内側幅狭凸縁部の外壁部は、その突出した山形稜線凸部に添って形成して全体がM字形状となる内側幅狭凸縁部に形成し、この通気用凹溝部のM字形状の最深部は小分けトレー体の内側壁とほぼ同一線上となるように形成し、 上記の通気用凹溝部を形成している外側幅狭凸縁部は、上周縁部の段差部を切欠して外気と連通する幅狭の開口部を設けて高圧脱気部を形成したうえ、 当該小分けトレー体の溶着用周縁部と幅広凸縁部と内側幅狭凸縁部と外側幅狭凸縁部とに耐熱性合成樹脂性のシールを熱溶着して、小分けトレー体の上面開口部と高圧脱気部の上面を塞ぐようにしたことを特徴とする電子レンジ用食品パッケージである。
【0012】
登録を受けようとする第3の考案は、前記第1及び第2の考案において、更に上記小分け食品収納体の収納角隅部を収納される食品の液汁や油分などが一部に溜ったり偏在したりすることがない曲面体に形成したことを特徴とする電子レンジ用食品パッケージである。
【0013】
【実施例】
以下、本考案を図示の実施例に基づいて詳細に説明すると、図1は本考案に係る電子レンジ用食品パッケージの小分けトレー体を示す平面図で、図2は同電子レンジ用食品パッケージの小分けトレー体を示す一部切欠した斜視図であり、図3は小分けトレー体の上周縁部に設けた高圧脱気部の脱気と吸気の状態を示す拡大した要部平面図であり、図4は図3におけるA−A線の拡大した断面図である。
【0014】
本考案に係る電子レンジ用食品パッケージは、図1,図2に示すように小分けトレー体1の上面にシートを溶着して、複数の小分け食品収納体21,21…となし、必要に応じて当該小分け食品収納体21毎に切り離せるようにしたものである。
【0015】
本考案を構成する小分けトレー体1は、図1,図2に示すように、耐熱性合成樹脂製の基板材を用いて上面開口型のトレー体2,2…を複数個互いに隣接するように形成し、その各トレー体2,2…の周側壁2aの上周縁部3に溶着用凸縁部4を形成するとともに、隣接するトレー体2とトレー体2との間に連結縁部8が形成されている。当該小分けトレー体1の材質は、ポリプロピレンその他の耐熱性合成樹脂製の基板材で形成されている。図示実施例の小分けトレー体1は、4個のトレー体を縦横2個づつ列設したものである。しかし、小分けトレー体1は、この実施例に限ることなく、3個のトレー体を列設したもの、6個のトレー体を列設したもの、その他であってもよい。また、図示の小分けトレー体1は、その平面視が四角形状に形成されているが、円形状やその他の形状であってもよい。
【0016】
当該小分けトレー体1の各トレー体2,2…の周側壁2aの上周縁部3は、図2及び図4に示すように、溶着用凸縁部4とそれに続く段差部5と低段縁部6とで構成する。これは、シートとの熱溶着部分と非熱溶着部分とを明確にすることにより、熱溶着を確実なものにすることと、後述する高圧脱気部7を形成することと、後で上面開口をシートで密閉するなどの加圧作業に耐えられるように上周縁部3を補強するためである。また、上周縁部3の溶着用凸縁部4の一部は、幅広凸縁部4aに形成されており、この幅広凸縁部4aに高圧脱気部7が設けられている。
【0017】
次に、図中8,8は、隣接するトレー体2とトレー体2との間にて低段縁部6に連続するように形成された連結縁部であり、当該連結縁部8,8の部分には、各トレー体2,2…の上周縁部3に添って切り離し得るように整形用の切り欠き9や切穴10が穿ってある。当該低段縁部6や連結縁部8は、溶着用凸縁部4より低い位置にあるので、シートが溶着されることがない。尚、図中11,11…は、各トレー体2,2…の周側壁2aに設けられているトレー体の内側へ突出するリブであり、各トレー体2,2…の周側壁を補強するためのものである。12は同様に周側壁2aに設けられているトレーの内側へ突出するリブであり、このリブ12は上周縁部3の幅広凸縁部4aに形成した高圧脱気部7を設けたトレー体の周側壁2aに形成されており、周側壁2aや上周縁部3の補強効果を有する。
【0018】
小分け食品収納体21の収納隅部2bは、収納される食品の液汁が一部に溜ったり偏在したりすることがない曲面体に形成されている。そのためにトレー体内の収納角隅部2bには食品の液汁や油分等が溜りにくくなり、電子レンジの加熱によってトレー体2の収納隅部2bが変形したり、あるいは破裂したりするという恐れがなくなるものである。
【0019】
また、図3は、本考案に係るトレー体2の上周縁部3に設けた高圧脱気部7の脱気と吸気の状態を示す拡大した要部平面図であり、図4は、図3のA−A線における高圧脱気部7の構成を示す要部拡大断面図である。
【0020】
当該各トレー体2,2…の外側位置にある上周縁部3,3…には、トレー体2,2…内の圧力が所定以上になったとき脱気する高圧脱気部7を設けてある。図2〜図4に示すように当該高圧脱気部7は、各トレー体2,2…の周側壁2aの上周縁部3に溶着用凸縁部4を形成し、その溶着用凸縁部4の一部を幅広凸縁部4aに形成して、更にこの幅広凸縁部4aの長手方向に通気用凹溝部13を形成することにより設けられている。すなわち、幅広凸縁部4aに通気用凹溝部13を形成して内側幅狭凸縁部14と外側幅狭凸縁部15とを形成して溶着用凸縁部4の一部を構成している。
【0021】
上記の内側幅狭凸縁部14の内壁部14aは、小分けトレー体の内側壁から内方に突出させて先端部が尖った2個の山形稜線凸部16,16を連接形成すると共に、上記の通気用凹溝部13を形成している内側幅狭凸縁部14の外壁部14bは、その突出した山形稜線凸部16,16に添って形成し、全体がM字形状となる内側幅狭凸縁部14に形成されている。そして、この通気用凹溝部13のM字形状の最深部13a,13aは、幅広凸縁部4aの内周縁となる小分けトレー体1の内側壁ほぼ同一線上となるように形成されている。
【0022】
また、上記の通気用凹溝部13を形成している外側幅狭凸縁部15は、上周縁部3の段差部5を切欠して外気と連通する幅狭の開口部17が形成されており、通気用凹溝部13は、この開口部17を介して外気と連通状態にある。すなわち、幅広凸縁部4aに設けた高圧脱気部7は、開口部17を形成した外側幅狭凸縁部15と、全体がM字形状となる2個の山形稜線凸部16,16を連接形成した内側幅狭凸縁部14と、これらによって形成される通気用凹溝部13によって構成されている。そして、この高圧脱気部7は、小分けトレー体1の溶着用周縁部4と幅広凸縁部4aと内側幅狭凸縁部14と外側幅狭凸縁部15とに耐熱性合成樹脂製のシールを熱溶着して、小分けトレー体1の上面開口部と通気用凹溝部13とを密閉すると共に、高圧脱気部7の山形稜線凸部16,16の上面を塞ぐように熱溶着される。
【0023】
当該高圧脱気部7は次のように作動する。図3に示すように、トレー体の中に食品を収容したうえ、トレー体2の上周縁部3に形成された溶着用凸縁部4と高圧脱気部7とに図示しないシールが溶着され、トレー体2内の上面開口が密閉した状態の小分け食品収納体をそのまま電子レンジにいれて加熱して使用される。
すると、トレー体2内の食品が加熱され、蒸気により密閉されたトレー体2の内圧が高まってシールが膨張する。するとトレー体の内側壁2cから内側へ突出している山形稜線凸部16,16の尖った先端部にまず内圧が集中して、その先端部の溶着部分が剥れようとする。しかるに、山形稜線凸部16,16の尖った先端部は、幅が狭くなっているし、尖った三角形になっているので、内圧が所定以上になると溶着用凸縁部4及び幅広凸縁部4aよりこの山形稜線凸部16,16の尖った先端部から優先的に順次剥れていく。すると、山形稜線凸部16,16の内側幅狭凸縁部14の外壁部14bである通気用凹溝部13のM字形状の最深部13a,13aは、幅広凸縁部4aの内周縁となる小分けトレー体1の内側壁2cとほぼ同一線上となるように形成されているので、通気用凹溝部13が露呈し、トレー体内と連通状態になり、内部の上記が通気用凹溝部13を通って外部に脱気される。この際、トレー体内の蒸気の脱気通路Xは、実線矢印で示したように2個の山形稜線凸部16,16の先端部が剥れるので、この2か所から通気用凹溝部3へと流れ、そのまま外側幅狭周縁部15に形成した1か所の開口部17を通って外部に脱気されることとなる。
【0024】
また、電子レンジで加熱後に小分け食品収納体を電子レンジから出すと、次第に冷えて、高圧状態にあったトレー体内の内圧も下がってくるが、当初に比較して高圧時に脱気した分だけ外部の大気圧が内部よりも高くなってくる。この時、高圧脱気部7は外気と連通状態にあるので、この高圧脱気部7の脱気通路Xが逆に吸気通路Yとなって外気が侵入してくる。すなわち、吸気通路Yは、点線矢印で示したように1か所の開口部17から通気用凹溝部13に侵入し、そこから該通気用凹溝部13の最深部13a,13aの二手方向に別れて、脱気の際に剥れている2個の山形稜線凸部16,16の先端部を通ってトレー体2内に侵入することとなる。
【0025】
そのために、従来の高圧脱気部の構成では、2か所の侵入口から1か所の先端部に外気が集中して侵入してしまい、外部の圧力とトレー体内の圧力が均等した一定圧力にならずに、トレー体の周側壁が変形してしまっていたが、本考案の高圧脱気部7の構成によれば、1か所の侵入口から2か所の先端部に外気が分散して侵入するので、外気の侵入圧力も2つに分散されるため、トレー体内の圧力に負荷が係ることがなく、トレー体が変形するのを防止することが可能となった。
【0026】
しかも、当該高圧脱気部7は、開口部17を形成した外側幅狭凸縁部15と、全体がM字形状となる2個の山形稜線凸部16,16を連接形成した内側幅狭凸縁部14と、これらによって形成される通気用凹溝部13によって構成されているので、複数の小分け食品収納体21,21…を単体に切り離しても複数連結したままになっていても、各小分け食品収納体21,21…毎に設けられている高圧脱気部7,7…により、そのまま電子レンジに入れて温めたり調理することができる。つまり本考案は、レンジ調理の常識だったラップもお皿も必要なく、またシールを開けることもなく、そのままレンジで温めるだけでよく、トレー体の内圧が高まると自然に蒸気が抜けると共に、トレー体の内圧が低くなると外気が自然に侵入してトレー体が変形することがない工夫をした食品包装体である。
【0027】
シールは、耐熱性合成樹脂製の薄膜材で形成されたシールで、小分けトレー体の上面の外輪郭形状に対応した形状に形成されている。更に、必要に応じて当該シールの表面で、各小分け食品収納体の上面開口に対応している部分に、賞味期限と調理時間が表示してある。シールの材質は、例えばナイロン、ポリエチレン、S−ジピール性ポリエチレンなどの積層体のシート材などが適当である。
【0028】
本考案では、当該小分けトレー体1の各トレー体2,2…内に食品を収容したうえ、当該各トレー体の上周縁部3の溶着用凸縁部4と、高圧脱気部7の内側幅狭凸縁部14と、外側幅狭凸縁部15とに耐熱性合成樹脂製のシールを熱溶着して上面開口を密閉するとともに、高圧脱気部7の山形稜線凸部16,16の上面と通気用凹溝部13を塞ぐようにして複数の小分け食品収納体21,21…となす。本考案にかかる当該小分けトレー体1を利用するのに好適な対象食品は、冷凍食品、固形物に粘度のあるタレ等がからまったもの(例えば酢豚、海老チリソース、八方菜やマカロニサラダ)及びある程度粘度のあるスープ類(例えばシチュー、カレーなど)などである。
【0029】
更に当該各小分け食品収納体21,21…の間の連結縁部8に切り離し線を穿設して、人手の引き裂き力により各小分け食品収納体21,21…毎に切り離しできるように構成する。従って、使う分だけ小分け食品収納体21,21…を切り離して、そのまま電子レンジに入れ手を汚さずに温めたり、調理したりでき、そのままお弁当にも小分け皿として入れることができる。また、残りは冷蔵庫に入れて保存することも出来る。
【0030】
また各小分け食品収納体21,21…の上面開口を密閉溶着しているシール部分に、必要に応じて賞味期限と調理時間などの表示をしておくことにより、残った小分け食品収納体21毎に、調理時や喫食時に賞味期限と調理時間を確認することが出来るので、便利である。
【0031】
【効果】
登録を受けようとする第1の考案は、叙上のように、耐熱性合成樹脂製の基板材を用いて上面に開口部を有し、かつ周側壁を有するトレー体を形成し、当該トレー体の開口部である上周縁部に蓋体となるシールを溶着して密閉することにより食品収納体となし、当該トレー体の上周縁部には食品収納体内の圧力が所定以上になったとき脱気する高圧脱気部を設けてなる電子レンジ用食品パッケージにおいて、 上記のトレー体の上周縁部を溶着用凸縁部とそれに連接される段差部と低段縁部とで形成し、この上周縁部の溶着用凸縁部の一部を幅広凸縁部に形成すると共に、該幅広凸縁部の長手方向に通気用凹溝部を形成して内側幅狭凸縁部と外側幅狭凸縁部とを形成し、 上記の内側幅狭凸縁部の内壁部は、トレー体の内側壁から内方に突出させて先端部が尖った2個の山形稜線凸部を連接形成すると共に、上記の通気用凹溝部を形成している内側幅狭凸縁部の外壁部は、その突出した山形稜線凸部に添って形成して全体がM字形状となる内側幅狭凸縁部に形成し、この通気用凹溝部のM字形状の最深部はトレー体の内側壁とほぼ同一線上となるように形成し、 上記の通気用凹溝部を形成している外側幅狭凸縁部は、上周縁部の段差部を切欠して外気と連通する幅狭の開口部を設けて高圧脱気部を形成し、 当該トレー体の溶着用周縁部と幅広凸縁部と内側幅狭凸縁部と外側幅狭凸縁部とに耐熱性合成樹脂性のシールを熱溶着して、トレー体の上面開口部と高圧脱気部の上面を塞ぐようにしたものである。
【0032】
したがって、電子レンジによる加熱後に食品が収納されたトレーを電子レンジから出した場合には、トレー体内の内圧が下がって外部の圧力よりも低くなっても、1か所の侵入口から2か所の先端部に外気が分散して侵入するので、外気の侵入圧力も2つに分散されるため、トレー体内の圧力に負荷が係ることがなく、トレー体が変形するのを防止する効果を有する。
【0033】
登録を受けようとする第2の考案は、耐熱性合成樹脂製の基板材を用いて上面に開口部を有し、かつ周側壁を有する小分けトレー体を複数個互いに隣接するように形成し、各小分けトレー体の開口部である上周縁部に蓋体となるシールを溶着して密閉することにより小分け食品収納体となし、必要に応じて各小分けトレー体を分離可能に形成すると共に、各小分けトレー体の上周縁部には小分け食品収納体内の圧力が所定以上になったとき脱気する高圧脱気部を設けてなる電子レンジ用食品パッケージにおいて、 上記の各小分けトレー体の上周縁部を溶着用凸縁部とそれに連接される段差部と低段縁部とで形成し、この上周縁部の溶着用凸縁部の一部を幅広凸縁部に形成すると共に、該幅広凸縁部の長手方向に通気用凹溝部を形成して内側幅狭凸縁部と外側幅狭凸縁部とを形成し、 上記の内側幅狭凸縁部の内壁部は、小分けトレー体の内側壁から内方に突出させて先端部が尖った2個の山形稜線凸部を連接形成すると共に、上記の通気用凹溝部を形成している内側幅狭凸縁部の外壁部は、その突出した山形稜線凸部に添って形成して全体がM字形状となる内側幅狭凸縁部に形成し、この通気用凹溝部のM字形状の最深部は小分けトレー体の内側壁とほぼ同一線上となるように形成し、 上記の通気用凹溝部を形成している外側幅狭凸縁部は、上周縁部の段差部を切欠して外気と連通する幅狭の開口部を設けて高圧脱気部を形成したうえ、 当該小分けトレー体の溶着用周縁部と幅広凸縁部と内側幅狭凸縁部と外側幅狭凸縁部とに耐熱性合成樹脂性のシールを熱溶着して、小分けトレー体の上面開口部と高圧脱気部の上面を塞ぐようにしたものである。
【0034】
したがって、各トレー体を同時に電子レンジで加熱することができると共に、小分けトレー体として個別に加熱したり保存したりすることができるものとなる。しかも形成されている高圧脱気部によって電子レンジによる加熱後に食品が収納された各トレーを電子レンジから出した場合には、各トレー体内の内圧が下がって外部の圧力よりも低くなっても、1か所の侵入口から2か所の先端部に外気が分散して侵入するので、外気の侵入圧力も2つに分散されるため、各トレー体内の圧力に負荷が係ることがなく、各トレー体が変形するのを防止する効果を有する。
【0035】
登録を受けようとする第3の考案は、上記第1の考案及び第2の考案の小分け食品収納体の収納角隅部を収納される食品の液汁や油分などが一部に溜ったり偏在したりすることがない曲面体に形成したもので、電子レンジに入れて加熱する場合には、固体食品部の加熱と共に、収納角隅部に液汁や油分等の液体分が溜ったり偏在することがないので、加熱ムラがなく、しかも高周波が集中することによってトレー体の収納角隅部が変形したり、破裂したりする恐れが無くなったものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本考案に係る電子レンジ用食品パッケージの小分けトレー体を示す平面図である。
【図2】 同電子レンジ用食品パッケージの小分けトレー体を示す一部切欠した斜視図である。
【図3】 小分けトレーの上周縁部に設けた高圧脱気部の脱気と吸気の状態を示す拡大した要部平面図である。
【図4】 図3におけるA−A線の拡大した断面図である。
【図5】 従来の電子レンジ用食品パッケージの一部切断した平面図で、高圧脱気部の脱気状態を示す。
【図6】 図5におけるB−B線の断面図である。
【符号の説明】
1…小分けトレー体
2…トレー体
2a…周側壁
2b…収納角隅部
2c…内側壁
3…上周縁部
4…溶着用凸縁部
4a…幅広凸縁部
5…段差部
6…低段縁部
7…高圧脱気部
8…連結縁部
9…切り欠き
10…切穴
11,12…リブ
13…通気用凹溝部
13a…最深部
14…内側幅狭凸縁部
14a…内壁部
14b…外壁部
15…外側幅狭凸縁部
16…山形稜線凸部
17…開口部
21…小分け食品収納体
X…脱気通路
Y…吸気通路

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 耐熱性合成樹脂製の基板材を用いて上面に開口部を有し、かつ周側壁を有するトレー体を形成し、当該トレー体の開口部である上周縁部に蓋体となるシールを溶着して密閉することにより食品収納体となし、当該トレー体の上周縁部には食品収納体内の圧力が所定以上になったとき脱気する高圧脱気部を設けてなる電子レンジ用食品パッケージにおいて、上記のトレー体の上周縁部を溶着用凸縁部とそれに連接される段差部と低段縁部とで形成し、この上周縁部の溶着用凸縁部の一部を幅広凸縁部に形成すると共に、該幅広凸縁部の長手方向に通気用凹溝部を形成して内側幅狭凸縁部と外側幅狭凸縁部とを形成し、上記の内側幅狭凸縁部の内壁部は、トレー体の内側壁から内方に突出させて先端部が尖った2個の山形稜線凸部を連接形成すると共に、上記の通気用凹溝部を形成している内側幅狭凸縁部の外壁部は、その突出した山形稜線凸部に添って形成して全体がM字形状となる内側幅狭凸縁部に形成し、この通気用凹溝部のM字形状の最深部はトレー体の内側壁とほぼ同一線上となるように形成し、上記の通気用凹溝部を形成している外側幅狭凸縁部は、上周縁部の段差部を切欠して外気と連通する幅狭の開口部を設けて高圧脱気部を形成し、当該トレー体の溶着用周縁部と幅広凸縁部と内側幅狭凸縁部と外側幅狭凸縁部とに耐熱性合成樹脂性のシールを熱溶着して、トレー体の上面開口部と高圧脱気部の上面を塞ぐようにしたことを特徴とする電子レンジ用食品パッケージ。
【請求項2】 耐熱性合成樹脂製の基板材を用いて上面に開口部を有し、かつ周側壁を有する小分けトレー体を複数個互いに隣接するように形成し、各小分けトレー体の開口部である上周縁部に蓋体となるシールを溶着して密閉することにより小分け食品収納体となし、必要に応じて各小分けトレー体を分離可能に形成すると共に、各小分けトレー体の上周縁部には小分け食品収納体内の圧力が所定以上になったとき脱気する高圧脱気部を設けてなる電子レンジ用食品パッケージにおいて、上記の各小分けトレー体の上周縁部を溶着用凸縁部とそれに連接される段差部と低段縁部とで形成し、この上周縁部の溶着用凸縁部の一部を幅広凸縁部に形成すると共に、該幅広凸縁部の長手方向に通気用凹溝部を形成して内側幅狭凸縁部と外側幅狭凸縁部とを形成し、上記の内側幅狭凸縁部の内壁部は、小分けトレー体の内側壁から内方に突出させて先端部が尖った2個の山形稜線凸部を連接形成すると共に、上記の通気用凹溝部を形成している内側幅狭凸縁部の外壁部は、その突出した山形稜線凸部に添って形成して全体がM字形状となる内側幅狭凸縁部に形成し、この通気用凹溝部のM字形状の最深部は小分けトレー体の内側壁とほぼ同一線上となるように形成し、上記の通気用凹溝部を形成している外側幅狭凸縁部は、上周縁部の段差部を切欠して外気と連通する幅狭の開口部を設けて高圧脱気部を形成したうえ、当該小分けトレー体の溶着用周縁部と幅広凸縁部と内側幅狭凸縁部と外側幅狭凸縁部とに耐熱性合成樹脂性のシールを熱溶着して、小分けトレー体の上面開口部と高圧脱気部の上面を塞ぐようにしたことを特徴とする電子レンジ用食品パッケージ。
【請求項3】 耐熱性合成樹脂製の基板材を用いて上面に開口部を有し、かつ周側壁を有する小分けトレー体を複数個互いに隣接するように形成し、各小分けトレー体の開口部である上周縁部に蓋体となるシールを溶着して密閉することにより小分け食品収納体となし、必要に応じて各小分けトレー体を分離可能に形成すると共に、各小分けトレー体の上周縁部には小分け食品収納体内の圧力が所定以上になったとき脱気する高圧脱気部を設けてなる電子レンジ用食品パッケージにおいて、上記の各小分けトレー体の上周縁部を溶着用凸縁部とそれに連接される段差部と低段縁部とで形成し、この上周縁部の溶着用凸縁部の一部を幅広凸縁部に形成すると共に、該幅広凸縁部の長手方向に通気用凹溝部を形成して内側幅狭凸縁部と外側幅狭凸縁部とを形成し、上記の内側幅狭凸縁部の内壁部は、小分けトレー体の内側壁から内方に突出させて先端部が尖った2個の山形稜線凸部を連接形成すると共に、上記の通気用凹溝部を形成している内側幅狭凸縁部の外壁部は、その突出した山形稜線凸部に添って形成して全体がM字形状となる内側幅狭凸縁部に形成すると共に、この通気用凹溝部のM字形状の最深部は小分けトレー体の内側壁とほぼ同一線上となるように形成し、上記の通気用凹溝部を形成している外側幅狭凸縁部は、上周縁部の段差部を切欠して外気と連通する幅狭の開口部を設けて高圧脱気部を形成し、更に上記小分け食品収納体の収納角隅部を収納される食品の液汁や油分などが一部に溜ったり偏在したりすることがない曲面体に形成したことを特徴とする電子レンジ用食品パッケージ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【登録番号】第3060599号
【登録日】平成11年(1999)6月16日
【発行日】平成11年(1999)9月7日
【考案の名称】電子レンジ用食品パッケ―ジ
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願平10−10385
【出願日】平成10年(1998)12月28日
【出願人】(000233620)株式会社ニチロ (34)