説明

電子ローソク

【課題】ケース体に対する内部本体の着脱作業を容易化でき、ケース体と内部本体との係止部分の破損を抑制することのできる電子ローソクを提供する。
【解決手段】電子ローソク10は、上下方向に延び且つ上端側が開放された円筒状のケース体11と、ケース体11の上端からケース体11内に挿入されている円柱状の内部本体14と、ケース体11の上端よりも上方に突出するように内部本体14の上端に設けられた点灯部12とを有している。ケース体11の内周面には、径方向内側に向けて突出した突出部31が設けられており、内部本体14の外周面には、突出部31が入り込むことによりケース体11からの内部本体14の抜け出しを規制する周溝部32が設けられている。周溝部32の下側突条部には、その一部を切り欠いた通過部が設けられており、ケース体11に対して内部本体14が着脱される際に突出部31が通過部を通過する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ローソクに関する。
【背景技術】
【0002】
マッチ等で火を灯すローソクに代わるものとして電子ローソクが販売されている。電子ローソクは、例えば、円筒状のケース体と、そのケース体に挿入される円柱状の内部本体と、ケース体の上端より上方に突出するようにして内部本体に設けられ、通電により点灯可能な点灯部と、を備えている。この電子ローソクにおいては、点灯部を点灯させるための電池が内部本体に取り付けられており、内部本体をケース体から抜き取ることにより電池の取り替え作業を行うことができる。
【0003】
電子ローソクは、内部本体がケース体から意図せずに抜け出てしまうことを抑制できる係止構造を備えている。例えば、ケース体の内周面に凸部が形成され、内部本体の下側外周面に凸部が入り込む浅溝が形成されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−7411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、内部本体の浅溝にケース体の凸部を押し入れる係止構造では、内部本体をケース体から抜き差しする際に、内部本体の外周面において浅溝の下側部分をケース体の凸部が乗り越える程度の大きな力を加えることになる。これでは、内部本体の抜き差し時に大きな力が必要となって、内部本体の抜き差しを容易に行うことができない。しかも、そのような抜き差しを繰り返すことにより、係止部分が破損する可能性もある。
【0006】
本発明は、ケース体に対する内部本体の着脱作業を容易化でき、ケース体と内部本体との係止部分の破損を抑制することのできる電子ローソクを提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、第1の発明の電子ローソクは、上下方向に延び、少なくとも上端側が開放された円筒状のケース体と、前記ケース体の上端から前記ケース体内に挿入される円柱状の内部本体と、前記内部本体の上端に設けられて前記ケース体の上端よりも上方へ突出されるとともに、炎を模した形状に形成され、通電により点灯される点灯部と、を備えてなる電子ローソクであって、前記ケース体の内周面における周方向の一部に設けられ、径方向内側に向けて突出した突出部と、前記内部本体の外周面において周方向に延び、前記突出部が入り込むことにより前記ケース体に対する前記内部本体の脱落を抑制する周溝部と、前記周溝部を形成する当該周溝部の下側突条部の一部が切り欠かれた形状とされ、前記ケース体に対して前記内部本体を抜き差しする際に前記突出部が通過可能な通過部と、を備えていることを特徴とする。
【0008】
第1の発明によれば、内部本体がケース体に装着される際、ケース体の突出部は内部本体の通過部を通って周溝部に到達することが可能となり、その状態で内部本体が回転されることで突出部が周溝部に入り込み、突出部と下側突条部とが係止可能な状態となる。ここで、内部本体がケース体に対して着脱される際、突出部が下側突条部を乗り越えるほどの大きな力を加える必要がないため、内部本体の着脱作業を容易なものとすることができる。しかも、突出部が下側突条部を乗り越えなくても内部本体の着脱が可能となるため、突出部が下側突条部を繰り返し乗り越えることで破損したり変形したりするということがない。
【0009】
第2の発明では、前記周溝部には、前記内部本体の外周面における周方向の一部において該周溝部の底面から起立した第1起立部が設けられており、前記第1起立部は、前記周溝部に入り込んだ状態の前記突出部と当接することで、前記ケース体に対して前記内部本体が回転することを規制するものであり、前記内部本体の周方向において前記通過部の一端側に配置されている。
【0010】
第2の発明によれば、突出部が周溝部に入り込んだ状態にある場合に、内部本体の周方向において第1起立部を挟んで通過部とは反対側に突出部が存在していれば、突出部と下側突条部との係止解除に必要な内部本体の回転角度が極力大きく確保されていることになる。これにより、突出部が通過部を通じて周溝部から出てしまうことを抑制できる。つまり、内部本体がケース体から意図せずに脱落するということを抑制できる。
【0011】
第3の発明では、前記周溝部において前記第1起立部を挟んで前記通過部とは反対側には、前記周溝部の底面から起立した第2起立部が設けられており、前記第2起立部は、前記周溝部に入り込んだ状態の前記突出部と当接することで、前記ケース体に対して前記内部本体が回転することを規制するものであり、前記内部本体の径方向における高さ寸法が前記第1起立部よりも小さくされている。
【0012】
内部本体の周方向において通過部の一端に隣接して第1起立部が設けられている場合、第1起立部は、ケース体に対する内部本体の回転を周方向の一方において規制できるが、他方においては規制できない。この点、第3の発明によれば、作業者は突出部が第2起立部を乗り越えることができる程度の力で内部本体を回転させることにより、突出部を第1起立部と第2起立部との間に存在させることができる。突出部が第1起立部と第2起立部との間に存在している場合、内部本体の回転を周方向の一方においては第1起立部により規制し、他方においては第2起立部により規制できる。このため、第1起立部及び第2起立部により内部本体の回転を規制することで、突出部が通過部を通じて周溝部から出てしまうことをより確実に抑制できる。
【0013】
第4の発明は、前記通過部及び前記第1起立部は、それぞれ前記内部本体の中心を挟んで一対設けられていることを特徴とする。
【0014】
下側突条部に通過部が一対設けられている場合、通過部が1つの場合に比べて、内部本体がケース体に対して回転することで突出部が通過部を通じて周溝部から出やすくなると考えられる。そこで、第4の発明によれば、突出部が周溝部に入り込んだ状態にある場合に、第1起立部を挟んで通過部とは反対側に突出部が存在していれば、突出部が通過部を通じて周溝部から出るために必要な内部本体の回転角度が略180度に設定されていることになる。このため、突出部と通過部との位置合わせ作業を容易化できる一方で、突出部が通過部を通じて周溝部から出てしまうということを抑制できる。
【0015】
なお、通過部については、内部本体の中心を挟んで一対ではなくても、下側突条部において内部本体の周方向に並べて複数設けられていることが好ましい。この場合、突出部と通過部との位置合わせ作業を行う際にケース体に対して内部本体を回転させる角度を、通過部が1つしか設けられていない場合に比べて小さくすることができる。これにより、ケース体への内部本体の着脱に際して、突出部と通過部との位置合わせ作業を容易化できる。
【0016】
第5の発明では、前記下側突条部は、前記内部本体の下端に設けられており、前記内部本体は、合成樹脂材料により成形され且つそれぞれ半円柱状の一対の本体形成部材が重ね合わされることで円柱状とされており、前記通過部は、前記下側突条部において前記一対の本体形成部材の境界部に配置されている。
【0017】
第5の発明によれば、下側突条部が内部本体の下端に配置されているため、突出部をケース体の下端寄りに配置できる。これにより、内部本体をケース体に挿し入れる際に突出部が内部本体の外周面に引っ掛かるという不都合を回避できる。
【0018】
ここで、下側突条部が内部本体の下端に配置されている場合、本体形成部材において下側突条部の形成部分が通過部により複数に分割されていると、金型を用いた本体形成部材の成形に際して、金型に流し込まれた合成樹脂材料が下側突条部の形成部分に行き渡りにくくなることが懸念される。これに対して、第5の発明によれば、通過部が本体形成部材同士の境界部に配置されているため、下側突条部の形成部分を1つの部位とすることができる。これにより、金型を用いた下側突条部の成形に際して、下側突条部の形成部分に合成樹脂材料が行き渡りにくくなるということを抑制できる。
【0019】
第6の発明では、上面が下方に凹むことで形成された被挿入部に前記ケース体が上方から挿入された状態で該ケース体を支持する台座を備え、前記台座の下部には、リング状の重り部材が内蔵されており、前記重り部材は、該重り部材の貫通孔の軸線が上下に延びるように配置されている。
【0020】
第6の発明によれば、台座の下部周面に沿って重り部材が配置されているため、内部本体及びケース体が台座ごと倒れることを抑制できる。これにより、台座が倒れた拍子に内部本体がケース体から脱落するということを抑制できる。
【0021】
第7の発明は、前記重り部材はナットであることを特徴とする。第7の発明によれば、重り部材が市販のナットとされているため、台座が倒れにくい構成を低コストにて実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】電子ローソクの構成を示す図。
【図2】内部本体及び点灯部の構成を示す図。
【図3】ケース体の構成を示す図。
【図4】ケース体及び内部本体における突出部及び周溝部周辺の構成を示す図。
【図5】ケース体の突出部を内部本体の周溝部に入り込ませる手順を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を具体化した一実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態において電子ローソクは、マッチやライター等により芯に炎が灯されるローソクに代えて仏壇や神棚に供えられる。図1は電子ローソク10の構成を示す図であり、(a)に電子ローソク10の外観斜視図を示し、(b)に電子ローソク10の縦断面図を示す。なお、図1(b)の内部本体14は外観図を図示している。
【0024】
図1に示すように、電子ローソク10は、上下方向に延び且つローソクを模した円筒状のケース体11と、炎を模した点灯部12と、ケース体11を支持する台座13とを有している。ケース体11の上端及び下端はそれぞれ開放されており、ケース体11の内部空間にはその上端から円柱状の内部本体14が挿し入れられている。点灯部12は、内部本体14の上端に点灯部12が設けられており、内部本体14がケース体11内に挿し入れられた状態でケース体11の上端よりも上方に突出している。ケース体11、点灯部12、台座13及び内部本体14は合成樹脂材料により形成されている。
【0025】
台座13は、全体として略円錐台形状に形成されており、ケース体11が上方から挿し入れられている被挿入部21を有している。被挿入部21は、台座13の上面が下方に向けて凹むことで形成された凹部であり、その凹部は上方に向けて開放されている。
【0026】
台座13の下部には重り部材22が内蔵されており、その重り部材22により台座13が倒れにくくなっている。台座13には、台座13の下面が上方に向けて凹んだ重り収納部23が形成されており、重り収納部23の開放側は底板部24により塞がれている。重り部材22はリング状のナットであり、ネジ孔が上下方向に延びた状態で中心線を台座13の中心線と重ねるように重り収納部23に収納されている。この場合、重り部材22は台座13の下部周面に沿って延び且つ下部中央にはないため、重り部材22が下部中央だけにある場合に比べて台座13が倒れにくくなっている。なお、重り部材22は重り収納部23の天井面に対して接着材等により固定されている。
【0027】
点灯部12の内部にはLED等の光源が収納されており、光源が発光することで点灯部12が点灯する。内部本体14は、電池を装着可能な電池装着部27(図2参照)と、点灯部12を点灯又は消灯させるスイッチ28とを有している。電池装着部27は一側方に向けて開放されており、上下方向において内部本体14の中間位置に設けられている。スイッチ28は、内部本体14の下端面から下方に突出した状態で取り付けられており、内部本体14側に向けて押し込まれるたびに点灯部12に点灯と消灯とを繰り返し行わせる。
【0028】
ケース体11には、内部本体14を下方から支持する支持板部29が設けられている。支持板部29は、ケース体11の下端寄りの位置においてケース体11の径方向に延びており、その上側の板面に内部本体14が載置されている。この場合、内部本体14のスイッチ28が支持板部29の板面に当接しており、スイッチ28が内部本体14ごと支持板部29に向けて押し付けられることにより、スイッチ28のON/OFF操作が行われることになる。
【0029】
電子ローソク10においては、ケース体11の内周面に、径方向内側に向けて突出した突出部31が設けられ、内部本体14の外周面に、径方向内側に向けて凹んだ周溝部32が設けられており、突出部31が周溝部32内に入り込んだ状態となることで、ケース体11に対して内部本体14が上下方向にスライド移動することが規制されるようになっている。つまり、突出部31が周溝部32の下側の側面32aに当接することで、内部本体14がケース体11から抜け出ないようになっている。
【0030】
まず、内部本体14の構成について図2を参照しつつ簡単に説明する。図2は内部本体14及び点灯部12の構成を示す図であり、(a)に内部本体14及び点灯部12を電池装着部27とは反対側から見た外観図を示し、(b)に(a)のA−A断面図を示し、(c)に内部本体14の下部の斜視図を示す。
【0031】
図2において、内部本体14は、それぞれ略半円筒状に形成された一対の本体形成部材14aが組み合わされることで形成されており、それら本体形成部材14aの境界部は内部本体14において上下方向に延びている。ここで、内部本体14の周面部は、一対の本体形成部材14aにより形成されている。
【0032】
周溝部32は、内部本体14の外周面に沿って一周するように延びており、内部本体14の下部に配置されている。周溝部32は、内部本体14の下端から上端側に離間しており、周溝部32の下側の側面32aは、ケース体11の突出部31に当接することで内部本体14の上下方向への移動を規制する。ここで、周溝部32の下側突条部33は、周溝部32の下側の側面32aと内部本体14の下端面とを含んで、内部本体14の径方向において周溝部32の底面32bから起立した部分となっている。なお、周溝部32の上側突条部34は、上側の側面32aを含んで底面32bから起立した部分となっており、内部本体14の径方向において下側突条部33と上側突条部34との各高さ寸法は同じとされている。
【0033】
次に、ケース体11の構成について図3を参照しつつ簡単に説明する。図3はケース体11の構成を示す図であり、(a)にケース体11の縦断面図を示し、(b)に(a)のB−B断面図を示す。
【0034】
図3に示すように、ケース体11において、突出部31は支持板部29の上方に配置され、ケース体11の中心を挟んで一対設けられている。ケース体11の内部空間において支持板部29の下側空間には、栓部材35が設けられている。栓部材35はゴム等により円柱状に形成され、柔軟性を有しており、ケース体11の内部空間に対して下方から押し込まれた状態となっている。栓部材35の下面には、上下方向に延びる穴36が形成されている。この場合、市販のローソク立ての心棒を栓部材35の穴36に挿し入れることにより、電子ローソク10を市販のローソク立てに立てることが可能となる。
【0035】
なお、ケース体11にはその下端を塞ぐ底面部が設けられていてもよい。要は、ケース体11は少なくとも上端が開放された構成であればよい。この場合でも、ケース体11を台座13の被挿入部21に挿し入れて立設することはできる。
【0036】
続いて、ケース体11に対して内部本体14の上下方向への移動が規制される構成について、図2(a)、図4を参照しつつ説明する。図4は、ケース体11及び内部本体14における突出部31及び周溝部32周辺の構成を示す図であり、(a)に縦断面を示し、(b)に(a)のC−C断面図を示す。なお、(a)の内部本体14は側面を図示している。
【0037】
図4に示すように、内部本体14は、ケース体11の突出部31が内部本体14の周溝部32内に入り込んでいる状態でケース体11の支持板部29の上に載置されている。この場合、ケース体11の径方向において突出部31の突出寸法は、ケース体11の内周面と内部本体14の外周面との離間距離よりも大きく、且つケース体11の内周面と内部本体14の周溝部32の底面32bとの離間距離よりも小さくされている。なお、ケース体11と内部本体14との離間距離は、ケース体11の内径と内部本体14の外径との差の1/2となっている。
【0038】
ケース体11の突出部31は、内部本体14の下側突条部33を上下方向に乗り越えないようになっており、内部本体14の下側突条部33の上面(周溝部32の下側の側面32a)に当接することで、内部本体14がケース体11の上端側に移動することを規制する。
【0039】
周溝部32の上下方向の幅寸法は、スイッチ28のON/OFF操作のために内部本体14が上下方向に移動すること(周溝部32内を突出部31が上下方向に移動すること)が可能な大きさとされている。
【0040】
図4、図2(a)に示すように、内部本体14の下側突条部33には、ケース体11の突出部31が上下方向に通過可能な通過部41が設けられている。この場合、下側突条部33は、内部本体14の周方向において一部が通過部41により切り欠かれた状態となっている。通過部41においては、内部本体14の周方向における幅寸法がケース体11の突出部31の幅寸法より大きくされている。
【0041】
なお、通過部41は、内部本体14の周面部を下端から上方に向けて凹むように切り欠いており、それによって下側突条部33を切り欠いている。通過部41は、下側突条部33を越えて周溝部32の一部まで延びている。
【0042】
通過部41は、内部本体14の中心を挟んで一対設けられており、一対の本体形成部材14aの境界にそれぞれ配置されている。この場合、一対の本体形成部材14aの境界においてそれら本体形成部材14aの隣り合う隅角が通過部41により切り欠かれている。
【0043】
周溝部32には、底面32bから内部本体14の周方向外側に向けて起立した起立部45,46が設けられており、起立部45,46は周溝部32の上側及び下側の両側面32aに架け渡された状態で上下方向に延びている。起立部45,46は、周溝部32にケース体11の突出部31が入り込んだ状態において、ケース体11の突出部31と当接することで内部本体14がケース体11に対して回転することを規制することが可能となっている。
【0044】
起立部45,46のうち第1起立部45は、通過部41と同様に、内部本体14の中心を挟んで一対設けられており、内部本体14の周方向において通過部41の一端側にそれぞれ配置されている。第1起立部45は、下側突条部33と通過部41との境界に配置されており、下側突条部33の端部に接続されている。また、内部本体14の径方向において、周溝部32の底面32bからの第1起立部45の高さ寸法は下側突条部33と同じとされている。この場合、ケース体11の突出部31は、内部本体14の周方向において第1起立部45を乗り越えないようになっており、第1起立部45に当接することで内部本体14の回転を規制する。
【0045】
第2起立部46は、通過部41及び第1起立部45と同様に、内部本体14の中心を挟んで一対設けられており、それぞれ下側突条部33に接続されている。第2起立部46は、内部本体14の周方向において下側突条部33の中間位置に配置されており、第1起立部45を挟んで通過部41とは反対側にある。第2起立部46は第1起立部45から離間しており、その離間距離は、内部本体14の周方向においてケース体11の突出部31の幅寸法よりも大きくされている。内部本体14の径方向において、周溝部32の底面32bからの第2起立部46の高さ寸法は、第1起立部45よりも小さくされている。この場合、内部本体14をケース体11に対して回転させるような外力が加えられて内部本体14やケース体11などが僅かに変形することなどにより、ケース体11の突出部31は、内部本体14の周方向において第2起立部46を乗り越えることが可能となっている。
【0046】
下側突条部33において、通過部41を挟んで第1起立部45とは反対側の端部には、径方向外側の面が通過部41に向けて傾斜した傾斜部48が設けられている。傾斜部48は、内部本体14の径方向において周溝部32の底面32bに対する高さ寸法が通過部41に向けて徐々に小さくされており、通過部41側の端面の高さ寸法は、ケース体11の突出部31と内部本体14の周溝部32の底面32bとの離間距離と同じ又はそれより小さくなっている。
【0047】
ここで、内部本体14をケース体11内に挿し入れる場合の作業手順について図4(b)、図5を参照しつつ説明する。図5は、ケース体11の突出部31を内部本体14の周溝部32に入り込ませる手順を説明するための図である。なお、図5においては、内部本体14及びケース体11における周溝部32付近の横断面図を下方から見た図を示している。
【0048】
まず、内部本体14をケース体11に挿し入れ、内部本体14の下端面(下側突条部33の下面)をケース体11の突出部31の上面に当接させる。そして、その状態のまま、図5(a)に示すように、内部本体14をケース体11に対して回転させ、ケース体11の突出部31に対する内部本体14の通過部41の位置合わせを行う。ここで、通過部41が内部本体14の中心を挟んで一対設けられているため、内部本体14を最大でも略180度回転させれば位置合わせを行うことができる。
【0049】
図5(b)に示すように、通過部41と突出部31との位置合わせが行われた場合、突出部31が通過部41を上下方向に通過することで、内部本体14をケース体11に対してさらに下方に移動させることができる。この場合、突出部31は通過部41の直上にある。
【0050】
その後、第1起立部45が突出部31から遠ざかる向きに内部本体14を回転させることで、図5(c)に示すように、下側突条部33を突出部31と上下に重なる位置に移動させる。この場合、下側突条部33と突出部31とが係止状態となることで内部本体14の上方への移動が規制される。
【0051】
ここで、突出部31が通過部41を上下方向に通過しきれずに、突出部31の下端が通過部41内に入り込んだ状態にある場合でも、内部本体14を回転させると、突出部31が傾斜部48の径方向外側面に沿うようにして下側突条部33に対して相対的に下側突条部33の上側に移動することになる。つまり、傾斜部48の径方向外側面に突出部31が当接することで、下側突条部33が突出部31の下側に案内されることになる。
【0052】
なお、傾斜部48において周溝部32の底面32bに対する高さ寸法は、上端の方が下端より低くされていることが好ましい。この場合、突出部31は傾斜部48の径方向外側面に沿うようにして相対的に下側突条部33の上側に移動しやすくなる。つまり、下側突条部33が突出部31の下側に移動しやすくなる。
【0053】
下側突条部33が突出部31と上下に重なる位置に移動させた後、内部本体14をさらに回転させると第2起立部46が突出部31に当接するが、突出部31が第2起立部46を乗り越える程度の外力を加えて内部本体14を回転させ、図4(b)に示すように、第1起立部45と第2起立部46との間に突出部31を配置する。この状態では、内部本体14が周方向において一方に回転することが第1起立部45と突出部31との当接により規制され、他方に回転することが第2起立部46と突出部31との当接により規制される。この場合、内部本体14はケース体11に対して意図せずに回転しないようになっている。つまり、突出部31が周溝部32に入り込んだ状態が意図せずに解除されないようになっている。
【0054】
内部本体14をケース体11から引き抜く場合には、内部本体14を第2起立部46が突出部31を乗り越えるように外力を加えて回転させ、下側突条部33の上面に突出部31の下面を当接させたまま、突出部31に対する通過部41の位置合わせを行い、突出部31が通過部41を通過するように内部本体14を上方に移動させる。ここで、内部本体14の抜き出し時における突出部31と通過部41との位置合わせ作業は、内部本体14の挿入時における位置合わせ作業と同様に、内部本体14を少なくとも略180度回転させることにより位置合わせを行うことができる。
【0055】
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0056】
ケース体11の突出部31が内部本体14の周溝部32に入り込んでいることで内部本体14がケース体11から抜け出ないようになっている電子ローソク10において、周溝部32の下側突条部33に通過部41が設けられているため、突出部31を、下側突条部33を乗り越えさせなくても通過部41を通じて周溝部32に出入りさせることが可能となる。この場合、突出部31が下側突条部33を乗り越えるほどの大きな力を加える必要がないため、ケース体11に対する内部本体14の着脱作業を容易なものとすることができる。ここで、突出部31が通過部41を通らずに下側突条部33を乗り越える構成では、乗り越えに際して突出部31や下側突条部33が破損したり変形したりすることが懸念されるが、突出部31が通過部41を通過することにより、その懸念を解消できる。したがって、ケース体11に対する内部本体14の着脱作業を容易化でき、ケース体11と内部本体14との係止部分の破損を抑制することができる。
【0057】
通過部41は下側突条部33において一対設けられているため、突出部31を周溝部32に対して出し入れする場合に、内部本体14を最大でも略180度回転させれば通過部41と突出部31との位置合わせを行うことが可能となる。この場合、例えば通過部41が下側突条部33に1つしか設けられていない構成に比べて、位置合わせに必要な内部本体14の回転角度を小さくでき、ひいては位置合わせの作業を容易化できる。これに対して、通過部41が1つだけ設けられている構成では、位置合わせに際して内部本体14を最大略360度回転させる必要がある。
【0058】
ケース体11において突出部31が一対設けられているため、下側突条部33と突出部31との係止部分を内部本体14の外周側において2カ所確保できる。したがって、突出部31が下側突条部33に係止した状態で内部本体14がケース体11に対して傾くことを抑制できる。例えば、突出部31が1つだけ設けられている場合は、係止部分が1カ所となり、その係止部分が支点となって内部本体14がケース体11に対して傾くことが懸念される。
【0059】
下側突条部33の上側(内部本体14の周溝部32)において、ケース体11の突出部31が第1起立部45に当接することにより内部本体14の回転が規制される。この場合、突出部31が通過部41を挟んで第1起立部45とは反対側に存在していれば、突出部31と通過部41との位置合わせを行うために、内部本体14を略180度回転させる必要がある。このため、内部本体14が多少回転しても、突出部31が通過部41を通じて周溝部32から意図せずに出てしまうということを抑制できる。
【0060】
下側突条部33の上側において、ケース体11の突出部31が第2起立部46に当接することにより、第1起立部45とは反対側への内部本体14の回転が規制される。この場合、突出部31が第1起立部45と第2起立部46との間に存在していれば、突出部31が通過部41に近づく方向に内部本体14が回転することを第2起立部46により規制できる。このため、内部本体14が回転すること自体を規制することにより、突出部31が通過部41を通じて周溝部32から意図せずに出てしまうということをより確実に抑制できる。
【0061】
内部本体14がケース体11に装着される際、突出部31と通過部41との位置合わせが行われた後に、突出部31が通過部41を通過しきらずに通過部41内に入り込んだ状態のままで内部本体14が回転されると、突出部31は下側突条部33の傾斜部48の径方向外側面に沿うようにして下側突条部33の上側に案内される。このため、突出部31と通過部41との位置合わせを行った後にケース体11に対する内部本体14の挿し込み量が多少足りなくても、下側突条部33を突出部31の下側に移動させることができる。つまり、突出部31を通過部41から周溝部32に入り込ませる作業を容易化できる。
【0062】
下側突条部33(周溝部32)は内部本体14の下端に配置されているため、内部本体14がケース体11に挿し入れられる際にケース体11の突出部31は下側突条部33さえ上下に通過すればよい。このため、突出部31が内部本体14の電池装着部27等に引っ掛かって内部本体14をケース体11の内部に挿し入れることができないということを回避できる。
【0063】
通過部41は、内部本体14において一対の本体形成部材14aの境界を跨ぐように配置されているため、下側突条部33を形成する部分を本体形成部材14aにおいて1つの部位とすることができる。これにより、本体形成部材14aを金型にて成形する際に、下側突条部33の形成部分に合成樹脂材料が行き渡りにくくなるということを抑制できる。しかも、下側突条部33は本体形成部材14aの端部に配置されているため、合成樹脂材料が行き渡りにくくならないようにすることは特に効果的である。
【0064】
台座13の下部周面に沿って延びるように重り部材22が内蔵されているため、内部本体14及びケース体11が台座13ごと倒れることを抑制できる。これにより、台座13が倒れた拍子に突出部31が通過部41を通じて周溝部32から出てしまうことや、内部本体14がケース体11から抜け出ることを抑制できる。しかも、重り部材22は市販のナットとされているため、台座13が倒れにくい構成を低コストにて実現できる。
【0065】
(他の実施形態)
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。
【0066】
(1)下側突条部33の通過部41は、内部本体14の周方向において1つだけ設けられていてもよく、3つ以上設けられていてもよい。また、複数設けられている場合、隣り合う通過部41の離間距離は一定でなくてもよい。この場合、隣り合う通過部41の離間距離によって、突出部31と通過部41との位置合わせに要する内部本体14の回転角度が規定されるため、離間距離を小さくすることにより位置合わせ作業を容易化できる。さらに、第1起立部45は、全ての通過部41に対して設けられずに一部の通過部41に対して設けられていてもよい。
【0067】
(2)ケース体11の突出部31は1つだけ設けられていてもよい。また、下側突条部33において通過部41が複数設けられている場合、突出部31は少なくとも1つの通過部41に対応させて配置されていればよい。
【0068】
(3)内部本体14の径方向において下側突条部33の高さ寸法は、上側突条部34より小さくてもよく、大きくてもよい。要は、周溝部32に入り込んだ突出部31が下側突条部33に当接することでケース体11からの内部本体14の脱落が抑制される構成であればよい。
【0069】
(4)周溝部32は、内部本体14の下端部ではなく中間位置や上部に配置されていてもよい。この場合、突出部31も下側突条部33に合わせてケース体11の中間位置や上部に配置されていることになる。
【0070】
(5)第1起立部45は、内部本体14の周方向において通過部41から離間して配置されていてもよく、下側突条部33から上方に離間して配置されていてもよい。ただし、その離間距離は突出部31の高さ寸法より小さくされていることが好ましい。これにより、突出部31が第1起立部45に当接して内部本体14の回転が規制される構成を実現できる。また、内部本体14の径方向において第1起立部45の高さ寸法は、下側突条部33より小さくてもよく、大きくてもよい。
【0071】
(6)第2起立部46は、内部本体14の周方向において通過部41と第1起立部45との間のどこかに配置されていればよく、下側突条部33から上方に離間して配置されていてもよい。ただし、その離間距離は突出部31の高さ寸法より小さくされていることが好ましい。これにより、突出部31が第2起立部46に当接して内部本体14の回転が規制される構成を実現できる。また、内部本体14の径方向において第1起立部45の高さ寸法が上側突条部34より大きい場合、第2起立部46の高さ寸法も上側突条部34より大きくてもよい。
【0072】
(7)上記実施形態では、通過部41が内部本体14の周面部ごと下側突条部33を切り欠くように形成されているが、下側突条部33だけを切り欠くように形成されていてもよい。
【0073】
(8)通過部41は、内部本体14において一対の本体形成部材14aに跨らないように設けられていてもよい。この場合でも、通過部41は一対の本体形成部材14aの境界部に配置されていることが好ましい。これにより、金型を用いて本体形成部材14aを成形する際に合成樹脂材料が下側突条部33の形成部分に行き渡りにくくなるということを抑制できる。
【0074】
(9)重り部材22は、リング状に形成されていればナットでなくてもよい。要は、重り部材22が台座13の下部周面に沿って延びるように配置されていればよい。
【符号の説明】
【0075】
10…電子ローソク、11…ケース体、12…点灯部、13…台座、14…内部本体、21…被挿入部、22…重り部材、31…突出部、32…周溝部、32b…周溝部の底面、33…下側突条部、41…通過部、45…第1起立部、46…第2起立部、48…傾斜部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に延び、少なくとも上端側が開放された円筒状のケース体と、
前記ケース体の上端から前記ケース体内に挿入される円柱状の内部本体と、
前記内部本体の上端に設けられて前記ケース体の上端よりも上方へ突出されるとともに、炎を模した形状に形成され、通電により点灯される点灯部と、
を備えてなる電子ローソクであって、
前記ケース体の内周面における周方向の一部に設けられ、径方向内側に向けて突出した突出部と、
前記内部本体の外周面において周方向に延び、前記突出部が入り込むことにより前記ケース体に対する前記内部本体の脱落を抑制する周溝部と、
前記周溝部を形成する当該周溝部の下側突条部の一部が切り欠かれた形状とされ、前記ケース体に対して前記内部本体を抜き差しする際に前記突出部が通過可能な通過部と、
を備えていることを特徴とする電子ローソク。
【請求項2】
前記周溝部には、前記内部本体の外周面における周方向の一部において該周溝部の底面から起立した第1起立部が設けられており、
前記第1起立部は、前記周溝部に入り込んだ状態の前記突出部と当接することで、前記ケース体に対して前記内部本体が回転することを規制するものであり、前記内部本体の周方向において前記通過部の一端側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の電子ローソク。
【請求項3】
前記周溝部において前記第1起立部を挟んで前記通過部とは反対側には、前記周溝部の底面から起立した第2起立部が設けられており、
前記第2起立部は、前記周溝部に入り込んだ状態の前記突出部と当接することで、前記ケース体に対して前記内部本体が回転することを規制するものであり、前記内部本体の径方向における高さ寸法が前記第1起立部よりも小さくされていることを特徴とする請求項2に記載の電子ローソク。
【請求項4】
前記通過部及び前記第1起立部は、それぞれ前記内部本体の中心を挟んで一対設けられていることを特徴とする請求項2又は3に記載の電子ローソク。
【請求項5】
前記下側突条部は、前記内部本体の下端に設けられており、
前記内部本体は、合成樹脂材料により成形され且つそれぞれ半円柱状の一対の本体形成部材が重ね合わされることで円柱状とされており、
前記通過部は、前記下側突条部において前記一対の本体形成部材の境界部に配置されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電子ローソク。
【請求項6】
上面が下方に凹むことで形成された被挿入部に前記ケース体が上方から挿入された状態で該ケース体を支持する台座を備え、
前記台座の下部には、リング状の重り部材が内蔵されており、
前記重り部材は、該重り部材の貫通孔の軸線が上下に延びるように配置されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電子ローソク。
【請求項7】
前記重り部材はナットであることを特徴とする請求項6に記載の電子ローソク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−25883(P2013−25883A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−156587(P2011−156587)
【出願日】平成23年7月15日(2011.7.15)
【出願人】(398014676)山六産業株式会社 (2)
【Fターム(参考)】