説明

電子写真感光体、並びに画像形成方法、画像形成装置、及びプロセスカートリッジ

【課題】露光部電位の上昇を引き起こすことなく、帯電性低下、地汚れ、及び帯電不良を抑制することが長期に亘って可能な画像形成方法、画像形成装置、及び画像形成装置用プロセスカートリッジを提供すること。
【解決手段】導電性支持体と、中間層と、感光層と、を有し、前記中間層は、非晶質酸化物を含み、該非晶質酸化物の表面抵抗率が1.0×10Ω/cm以下であり、前記導電性支持体上に、前記中間層、前記感光層の順で積層されてなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機やレーザープリンター及び普通ファクシミリ等の電子写真方式の画像形成装置に用いられる電子写真感光体、並びに該電子写真感光体を用いた画像形成装置用プロセスカートリッジ、画像形成装置、及び画像形成方法に関する。
特に本発明は、電子写真感光体を長期間使用した場合であっても露光部電位の上昇を引き起こすことなく、帯電性低下、地汚れ、及び帯電不良を抑制することが可能な電子写真感光体、並びにそれを用いた画像形成方法、画像形成装置、及び画像形成装置用プロセスカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、オフィスの省スペース化、ビジネスオポチュニティの拡大等の観点から、電子写真方式の画像形成装置に対して、高速化、小型化、カラー化、さらには、高画質化、易メンテナンス性が望まれている。これらは、電子写真感光体(以下、単に感光体とも称する。)の特性の向上、耐久性の向上等が関係していることから、電子写真感光体の開発により解決すべき問題と位置付けられている。易メンテナンス性の向上の観点からは、電子写真感光体の交換頻度の低減が挙げられる。これは、電子写真感光体由来の主力画像欠陥を、長期に亘って可能な限り少なくすることであり、電子写真感光体の長寿命化に他ならない。また、長期に亘る出力画像の高画質化にも関連するため、近年、電子写真感光体の長寿命化に関する開発が多く報告されている。
【0003】
電子写真感光体の長寿命化を達成するためには、画像形成プロセスから電子写真感光体が受ける種々のハザードに対する耐久性の向上が重要となる。ここで言うところのハザードとしては、大きくは機械的ハザードと、静電ハザードとの二種類が挙げられる。
【0004】
機械的ハザードの一例としては、画像形成プロセスの転写後に電子写真感光体上に残留するトナーを除去(所謂トナークリーニングプロセス)する手段の一つであるブレードクリーニング由来のものが挙げられる。ブレードクリーニングとは、感光体上に弾性部材(所謂クリーニングブレード)を当接することにより、強制的に電子写真感光体上からトナーを除去する手段であり、少ないスペースで大きなトナー除去能力を有するため、電子写真装置の小型化には非常に有効である。しかしながらその一方で、ブレードクリーニングでは電子写真感光体に直接弾性部材を当接し、摺擦させるため、電子写真感光体への機械的なストレスが非常に大きく、感光体の最表面に配置された層が摩耗し易いと言ったデメリットが指摘されている。このため、ブレードクリーニング方式を適用した電子写真装置においては、電子写真感光体の摩耗が長寿命化に対する問題となることが多く、この問題に対しては、高硬度保護層を積層する技術が提案されている(特許文献1〜5参照)。
【0005】
次に、静電ハザードについて説明する。通常の画像形成プロセスにおいては、電子写真感光体表面に電荷を付与し、所定の電位まで帯電した後に、電子写真感光体への露光によって感光体を経由して表面に付与した電荷を除去する。この際に電子写真感光体の各層(例えば表面層・電荷発生層・電荷輸送層・中間層)を電荷が通過することによって、電子写真感光体に静電ストレスが負荷される。現在、広く普及している電子写真感光体は、有機材料からなるものが大部分を占めており、繰り返し帯電、除電を繰り返すような現在の電子写真プロセスにおいては、電子写真感光体を構成する有機材料が静電ハザードによって徐々に変質し、層中での電荷トラップの発生や、帯電性の変化等に挙げられるような電子写真特性の低下が生じる。特に、帯電性の低下は、出力画像の画質への影響が大きく、画像濃度の低下、地汚れ、連続出力時の画像の均質性等の重大な問題を引き起こすことが知られている。
【0006】
感光体の帯電性低下に対しては種々の低下要因が挙げられている。例えば、画像形成プロセスにおける帯電プロセスで発生した放電生成物が感光体へ影響を与えること(特許文献6〜8参照)が指摘されている。この放電生成物によって電荷輸送層や表面層のバルクの導電性が上昇するため、電子写真感光体の帯電性低下が引き起こされる。かかる放電生成物の問題に対しては、電荷輸送層や表面層に酸化防止剤を添加することによって帯電性低下を抑制する技術が公開されている(特許文献8参照)。また、帯電プロセスとして放電生成物の発生が少ない帯電技術が公開されている(特許文献6、7参照)。この帯電技術を画像形成プロセスにおける帯電プロセスに適用することによって、放電生成物によって引き起こされる電子写真感光体の帯電性低下を抑制することが可能である。
【0007】
また、帯電性低下の別の要因として、中間層の劣化が考えられる。現在広く用いられている中間層は、有機樹脂からなるバインダー中に無機微粒子を分散させた形態をとるものであり、導電性支持体から感光層への電荷注入阻止機能と、感光層で発生した電荷の導電性支持体への電荷輸送機能とを有することが好ましいとされている。
【0008】
導電性支持体から感光層への電荷注入阻止機能が不充分な場合、例えば、電子写真感光体を帯電させる際に、感光体の帯電極性と逆極性の電荷が導電性支持体から感光層に注入し、感光体表面の電荷を消去し易くなるため、所望の帯電を得難いと言った問題が発生する。
また、感光層で発生した電荷の導電性支持体への電荷輸送機能が不充分な場合、例えば、電荷発生効率の低下による露光部電位上昇や、中間層中の電荷トラップによる帯電不良が発生し易い。さらに、非常に長時間に亘って感光体を使用した場合、感光体が帯電し難くなる現象が見られるようになるが、この現象については前述の中間層近傍における電荷蓄積が一因と推測することができる。
【0009】
このことから、上記電荷注入阻止機能と電荷輸送機能との二つの機能の両立及び維持に関する種々の技術が開発されているが、これらの機能は相反則の関係を取り易く、両機能の両立及び維持は非常に難しい。例えば、中間層の構成層として高絶縁層を適用することによって電荷注入阻止機能の向上を達成する技術が公開されている(特許文献9・10参照)。この技術を電子写真感光体に用いた場合、感光体の帯電性低下に由来して発現する地汚れなどの画像欠陥は極めて少なくなり、繰り返し使用によっても極めて良好な出力画像を維持することが報告されている。しかしながら、中間層の担うべきもう一つの機能である、電荷発生材料から導電性支持体への電荷輸送機能は不充分となり、露光部電位上昇や中間層近傍における電荷蓄積による帯電不良や、画像欠陥などが顕在化し易い。
【0010】
また、例えば、電子写真感光体表面を負帯電させる画像形成プロセスにおいて、その電子写真感光体の中間層に電子輸送材料を配合する技術が公開されている(特許文献11参照)。かかる技術によれば、感光体表面の逆極性の電荷(この場合は正電荷)が導電性支持体から感光層に注入され難いと共に、電荷発生層で発生した負電荷を導電性支持体へ輸送することが可能となり、上述した中間層に求められる二つの機能のいずれも充足する中間層が得られる。この中間層を電子写真感光体に適用した場合、初期的には非常に良好な電子写真特性を示す。しかしながら特許文献11にかかる技術では、繰り返しの静電ハザードによって中間層を構成する有機材料が劣化し易いこと、さらに電子輸送材料が大気中の酸素の影響を受けることによって深いトラップ順位を形成し易い(電荷トラップを形成し易い)ことなどの理由から、繰り返しの静電ハザードによって電子写真特性の低下が生じることが問題となっている。これに加えてさらに、優れた電子移動特性を示す電子輸送材料が少ないことも問題となっている。
【0011】
【特許文献1】特開平5−181299号公報
【特許文献2】特開2002−6526号公報
【特許文献3】特開2002−82465号公報
【特許文献4】特開2000−284514号公報
【特許文献5】特開2001−194813号公報
【特許文献6】特開平9−26685公報
【特許文献7】特開2002−229241公報
【特許文献8】特開2006−99028公報
【特許文献9】特開平3−45962号公報
【特許文献10】特開平7−281463号公報
【特許文献11】特開2006−259141号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
このように、電子写真感光体の長寿命化を達成するためには、電子写真感光体が画像形成において各プロセスから受ける種々のハザードに対する耐久性を付与することが重要となる。そして、本発明はこれらの種々のハザードのうち、静電ハザードに対する耐久性に着目したものである。
【0013】
即ち本発明は、以上の従来技術における問題に鑑みてなされたものであり、露光部電位の上昇を引き起こすことなく、帯電性低下、地汚れ、及び帯電不良を抑制することが長期に亘って可能な電子写真感光体、並びにそれを用いた画像形成方法、画像形成装置、及び画像形成装置用プロセスカートリッジを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、少なくとも導電性支持体と、中間層と、感光層と、を有し、前記中間層は、非晶質酸化物を含み、該非晶質酸化物の表面抵抗率が1.0×10Ω/cm以下であり、前記導電性支持体上に、前記中間層、前記感光層の順で積層されてなることで上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0015】
即ち、上記課題を解決するために本発明に係る電子写真感光体、並びにそれを用いた画像形成方法、画像形成装置、及び画像形成装置用プロセスカートリッジは、具体的には下記(1)〜(10)に記載の技術的特徴を有する。
【0016】
(1):導電性支持体と、中間層と、感光層と、を有し、前記中間層は、非晶質酸化物を含み、該非晶質酸化物の表面抵抗率が1.0×10Ω/cm以下であり、前記導電性支持体上に、前記中間層、前記感光層の順で積層されてなることを特徴とする電子写真感光体である。
【0017】
(2):前記非晶質酸化物は、インジウム、亜鉛、及びガリウムを含むことを特徴とする上記(1)に記載の電子写真感光体である。
【0018】
(3):前記中間層の膜厚が、0.1μm以上0.9μm以下であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の電子写真感光体である。
【0019】
(4):前記導電性支持体は、表面粗さRzが0.6μm以上であることを特徴とする上記(1)乃至(3)のいずれか1項に記載の電子写真感光体である。
【0020】
(5):前記感光層は、電荷発生層及び電荷輸送層からなることを特徴とする上記(1)乃至(4)のいずれか1項に記載の電子写真感光体である。
【0021】
(6):前記感光層は、フタロシアニン顔料を含むことを特徴とする上記(1)乃至(5)のいずれか1項に記載の電子写真感光体である。
【0022】
(7):電子写真感光体を帯電させる帯電プロセスと、該帯電プロセスによって帯電させられた前記電子写真感光体表面に静電潜像を形成する潜像形成プロセスと、該潜像形成プロセスによって形成された前記静電潜像の画像部にトナーを付着させて顕像を形成する現像プロセスと、該現像プロセスによって形成された前記顕像を被転写体に転写する転写プロセスと、を繰り返し行う画像形成方法において、前記電子写真感光体は、上記(1)乃至(6)のいずれか1項に記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成方法である。
【0023】
(8):電子写真感光体と、該電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、該帯電手段によって帯電させられた前記電子写真感光体表面に静電潜像を形成する潜像形成手段と、該潜像形成手段によって形成された前記静電潜像の画像部にトナーを付着させて顕像を形成する現像手段と、該現像手段によって形成された前記顕像を被転写体に転写する転写手段と、を備える画像形成装置において、前記電子写真感光体は、上記(1)乃至(6)のいずれか1項に記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成装置である。
【0024】
(9):電子写真感光体と、該電子写真感光体を帯電させる帯電手段、該帯電手段によって帯電させられた前記電子写真感光体表面に静電潜像を形成する潜像形成手段、及び、該潜像形成手段によって形成された前記静電潜像の画像部にトナーを付着させて顕像を形成する現像手段、から選ばれる1以上の手段と、を備え、画像形成装置に脱着自在である画像形成装置用プロセスカートリッジにおいて、前記電子写真感光体は、上記(1)乃至(6)のいずれか1項に記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成装置用プロセスカートリッジである。
【0025】
(10):上記(9)に記載の画像形成装置用プロセスカートリッジを、脱着自在に備えたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、露光部電位の上昇を引き起こすことなく、帯電性低下、地汚れ、及び帯電不良を抑制することが長期に亘って可能な画像形成方法、画像形成装置、及び画像形成装置用プロセスカートリッジを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
〔電子写真感光体〕
本発明に係る電子写真感光体は導電性支持体と、中間層と、感光層と、を有し、前記中間層は、非晶質酸化物を含み、該非晶質酸化物の表面抵抗率が1.0×10Ω/cm以下であり、前記導電性支持体上に、前記中間層、前記感光層の順で積層されてなることを特徴とする。
【0028】
先ず、本発明に係る電子写真感光体について機能的な側面から詳細に説明する。
本発明に係る電子写真感光体では、中間層が、導電性支持体から感光層への不要な電荷(感光体の帯電極性と逆極性の電荷)の注入を抑制する機能(電荷注入阻止機能)と、感光層で形成された電荷のうち感光体の帯電極性と同極性の電荷を輸送する機能(電荷輸送機能)と、を兼ね備えてなる。
例えば、画像形成プロセスとして感光体を負帯電させる必要がある場合には、中間層としては導電性支持体から感光層への正孔注入阻止機能(ホールブロッキング性)と、感光層から導電性支持体への電子輸送機能(エレクトロン輸送性)とを兼ね備える必要がある。また、長寿命電子写真感光体を獲得するためには上記した2つの機能が繰り返しの静電ハザードによっても変化しないことが重要となる。
【0029】
《電子写真感光体の構成》
次に、本発明に係る電子写真感光体の構成について具体例を挙げてさらに詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であるから技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は以下の説明において本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0030】
本発明に係る電子写真感光体の構成は、少なくとも導電性支持体と、中間層と、感光層と、を有し、前記導電性支持体上に、前記中間層、前記感光層の順で積層されてなる。ここで、感光層は電荷発生機能と電荷輸送機能とを有していれば、単層構造であっても良く、電荷発生層及び電荷輸送層を含む多層構造であっても良い。
また、前述の機械的ハザード耐久性向上を目的として感光層上にさらに耐摩耗表面層を積層して設けても良い。この表面層としては熱架橋型表面層、電離性放射線架橋型表面層、粒子分散型表面層などが例示される。
【0031】
図1は本発明に係る電子写真感光体の一実施の形態である感光層36が単層型である構成の一例を示す概略図である。
この例では、導電性支持体31上に中間層32が設けられ、さらにその上に電荷発生物質と電荷輸送物質とを主成分とする感光層36が設けられている。
【0032】
図2は本発明に係る電子写真感光体のその他の実施の形態である感光層36が積層型である構成の一例を示す概略図であり、図3は本発明に係る電子写真感光体のその他の実施の形態である感光層36が積層型である構成のその他の例を示す概略図である。
これらの例では、導電性支持体31上に中間層32が積層され、該中間層32上に電荷発生機能を担う電荷発生層33と、電荷輸送機能を担う電荷輸送層34とを分離して積層した態様のものである。尚、電荷発生層と電荷輸送層との積層順番は図2及び図3に示すとおり特に限定されることはなく、用途に応じて使い分けることが可能である。しかしながら、多くの電荷発生材料は化学的安定性に乏しく、電子写真方式の画像形成プロセスにおける帯電器周辺での放電生成物のような酸性ガスに曝されると電荷発生効率の低下などを引き起こす。このため、電荷発生層33の上に電荷輸送層34を積層することが好ましい。
さらに、各層について詳細に説明する。
【0033】
<中間層>
先ず、本発明に係る電子写真感光体において特徴となる中間層の詳細について説明する。
本発明に係る電子写真感光体では、中間層は、非晶質酸化物を含み、該非晶質酸化物の表面抵抗率が1.0×10Ω/cm以下である。
【0034】
中間層が上述したホールブロッキング性を有するためには、中間層のイオン化ポテンシャルもしくは電子充満帯における仕事関数が導電性支持体のフェルミ順位よりも大きいこと、また中間層自身の正孔輸送性が極めて小さいことが必要とされる。このようなホールブロッキング性を有し、中間層の材料として好適なものとしては、n型を示す半導体材料が挙げられる。また、仕事関数の観点からは比較的バンドギャップが大きいものも挙げることができる。
【0035】
一方、中間層が上述した感光層で発生した電子を導電性支持体に輸送する(エレクトロン輸送性を有する)ためには、中間層の電子親和力よりも感光層の電子親和力が小さいこと、中間層が電子輸送性を有することが必要とされる。
このようなエレクトロン輸送性を有し、中間層の材料として好適なものとしては、電子輸送性構造を有する有機材料をバインダー中に分散させることによって形成した電子輸送層や、n型を示す無機半導体などが例示される。また、エレクトロン輸送性が静電ハザードによって変動し難い材料としては、後者に示したようなn型の無機半導体材料が好ましいものとして挙げられる。さらに電子写真感光体に代表されるような比較的大面積のデバイス内における電気特性の面内ばらつきを考慮した場合には、非晶質材料であることが好ましい。
【0036】
そこで本発明における中間層は、非晶質酸化物を含んでなり、さらには非晶質酸化物のみからなることが好ましい。ここで、非晶質酸化物とは原子配列が不規則な固体状態の酸化物を示す。
この非晶質酸化物は高温の流動状態にある酸化物を急冷することによって得られるガラス酸化物半導体と、スパッタリングなどの手法によって比較的低温で形成される非晶質の酸化物とに大別することができる。導電性支持体の耐熱性等を考慮した場合、後者で挙げたような非晶質酸化物を選択することが好ましい。
【0037】
本発明において中間層に適用する非晶質酸化物は特に限定されないが、例えば、インジウム酸化物やインジウム、亜鉛、スズのうち少なくとも2元素を含む酸化物、インジウム、亜鉛、ガリウムのうち、2元素または3元素全てを含む酸化物などが例示される。このうち、インジウム、亜鉛、ガリウムの3元素からなる非晶質酸化物が電子写真感光体の中間層に含まれるものとして好適である。
【0038】
《非晶質酸化物の製膜方法》
非晶質酸化物の導電性支持体上への成膜方法に関しては一般に用いられている無機材料の成膜方法であれば特に限定されない。一般の成膜方法は、大別して気相成長法、液相成長法、固相成長法に分けられる。気相成長法はさらに物理的気相成長法(PVD)と化学的気相成長法(CVD)とに分類され、物理的気相成長法としては、例えば真空蒸着、電子ビーム蒸着、レーザーアブレーション法、レーザーアブレーションMBE、MOMBE、反応性蒸着、イオンプレーティング、クラスタイオンビーム法、グロー放電スパッタリング、イオンビームスパッタリング、反応性スパッタリングなどが挙げられる。液相成長法としては、例えば熱CVD法、MOCVD、RFプラズマCVD、ECRプラズマCVD、光CVD、レーザーCVDなどが挙げられる。液相法としては、例えばLPE法、電気メッキ法、無電界メッキ法やコーティング法などが挙げられる。固相法としては、例えばSPE、再結晶法、グラフォエピタキシ、LB法、ゾルゲル法などが挙げられる。
【0039】
これらの製膜方法のうち、電子写真感光体のような比較的大面積領域に均質な膜を製膜するためには物理的気相成長法が広く適用されており、物理的気相成長法の中でも、非晶質酸化物の細かい組成制御が必要である場合にはレーザーアブレーション法が、量産性が必要である場合には各種スパッタリング法が好適である。
【0040】
《非晶質酸化物の製膜条件》
次に、非晶質酸化物の製膜条件について、特にスパッタリング法に関する製膜条件について詳述する。
【0041】
−基板の洗浄−
均質な電気特性を示す非晶質酸化物を得るためには非晶質酸化物を製膜する基板、本発明においては導電性支持体の洗浄は非常に重要となる。清浄な導電性支持体の表面としては、少なくとも導電性支持体(例えばアルミニウム)以外の汚染物質が存在しないことが理想的ではあるが、その状態を達成することは非常に困難である。そこで、必要とされる表面汚染物質量や実験で使用する装置の性能等に応じて、一般に提案されている洗浄手法を適用して、所望の導電性支持体表面を得ると良い。洗浄手法としては、例えば、湿式洗浄法、スパッタエッチング法、高温サーマルエッチング法、低温サーマルエッチング法、電子線照射エッチング法、シンクロトロン放射光照射エッチング法、レーザー光照射エッチング法などが例示される。
【0042】
−ターゲット−
非晶質酸化物を導電性支持体上にスパッタリング法で形成するに当たっては、一般に形成した非晶質酸化物の構成元素を含有する多結晶焼結体を用いる。多結晶焼結体に用いる元素としては、成膜する非晶質酸化物の構成元素によって適宜選択すると良い。
また、インジウム、亜鉛、ガリウムからなる非晶質酸化物を得るためには、少なくともインジウム、亜鉛、ガリウムを含有する多結晶焼結体を用いる必要がある。この多結晶焼結体は一般に知られているターゲット作製方法によって作製することができる。作製方法の一例としては、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化ガリウムの各粉体を所望の配合比率で配合し、均質になるまでエタノールを用いて湿式混合した後に焼結をすることで得ることが可能である。
また、非晶質酸化物の導電性制御を目的として、予めターゲットに所望の不純物を配合しても良い。ドープする金属は特に制限はないが、例えば、Li、Na、Mn、Ni、Pd、Cu、Cd、C、N、P、Ti、Zr、V、Ru、Ge、Sn、Fなどが例示される。
【0043】
−製膜圧力−
スパッタリング法においては、製膜時にターゲット上で電界印加によってプラズマを発生させる。このため、スパッタリング法を用いた場合には真空チャンバーなどを用いて減圧雰囲気を形成する必要がある。製膜時の減圧が不充分な場合にはプラズマの形成ができない、若しくはプラズマが不安定なため、形成した膜が不均一になることから注意を要する。減圧雰囲気は製膜方法、装置、条件や、所望の膜質などから適宜選択すると良い。
【0044】
−流入ガス種−
スパッタリング法においては、減圧雰囲気中に不活性ガスと酸素ガスとの混合ガスを流入させながらプラズマを形成することによって、対向電極に配置された基板(本発明における導電性支持体)上に非晶質酸化物を形成することができる。ここで用いられる不活性ガスとしては、一般に用いられるものであれば特に限定されず、例えば第18属元素に代表されるようなヘリウム、アルゴンや、その他窒素ガスに代表されるガスが例示される。また、前記不純物を添加するために不活性ガス、酸素に加えて1種類以上のガスを併用しても良い。
【0045】
−酸素分圧−
一般の酸化物半導体は不純物をドープすることなく、酸化物半導体中の酸素量(酸素欠損量)で導電性の制御ができるという特徴を有しており、本発明における非晶質酸化物も同様の性質を有する。かかる性質は非晶質酸化物の導電性制御が、製膜時の酸素流通量(酸素分圧)のみで制御できることを示しており、後述する抵抗率の制御も一般に製膜時の酸素分圧を制御することで行うことができることから重要な製膜条件となる。
製膜時に流通する酸素ガスの割合は、装置や後述するその他の条件によっても異なるが、一般に流通する全ガス流量に対して0.05vol%以上20vol%以下、好ましくは0.1vol%以上15vol%以下が好ましい。20vol%を上回る場合は形成される非晶質酸化物のキャリア濃度が低くなりすぎることによって、電子伝導度が極めて低くなるため好ましくない。
【0046】
−ターゲット/基板間距離−
ターゲット/基板間距離を変更することによって前述の非晶質酸化物中の酸素量(酸素欠損量)が変化することが知られている。一般にターゲット/基板間距離を大きくした場合、酸素欠損量が低下し形成した非晶質酸化物が高抵抗体になる。一方で、ターゲット/基板間距離を小さくした場合には、ターゲット表面のプラズマによって基板温度が上昇することによる膜質への影響、またプラズマ自身の非晶質酸化物への影響などによって均質膜の作製が困難になる場合があるため注意を要する。ターゲット/基板間距離に関しては製膜方法、装置、その他の製膜条件によって異なるため、所望の電気特性が得られるターゲット/基板距離を選択すると良い。
【0047】
−基板温度−
スパッタリング法においてはターゲット表面の放電によって基板の温度が上昇し易い。基板温度の上昇によって、膜の電気特性、緻密性、構造等へ影響があることが知られているため、基板の冷却やターゲット/基板間距離を大きくするなどの方法によって基板温度の制御をすることが好ましい。また、スパッタ中の基板温度の過温を防止するために冷却ジャケット等を設けても良い。
【0048】
《非晶質酸化物の膜質》
本発明においては、非晶質酸化物の膜質等にも注意が必要であり、これを好ましいものとすることで中間膜としての望ましい特性、ひいては電子写真感光体としての望ましい特性が得られる。
例えば、本発明においては中間層が均質な非晶質膜であることが重要となる。導電性支持体上に形成した膜が非晶質であることを確認する方法としては、一般にはX線回折法による結晶構造解析によって判定される。その他、電子回折法、中性子回折法などの構造解析手法や、形成膜の断面をTEMなどの微細構造観察手段を用いた手法を用いて判定しても良い。
また、電子写真特性に影響を及ぼす非晶質酸化物の特徴としては、膜の組成および組成分布が重要となる。非晶質酸化物の組成解析方法としては、一般に元素解析方法として用いられている手法が適用できるが、例えば、蛍光X線分析、X線光電子分光法、オージェ電子分光法、エネルギー分散型X線分光法などの物質の構成元素解析手法が例示される。
【0049】
《非晶質酸化物の電気特性》
本発明においては、中間層に用いる非晶質酸化物の表面抵抗率を1.0×10Ω/cm以下とすることによって、静電ハザードに対する耐久性の高い優れた電子写真感光体を得ることができる。この理由に関しては現時点では不明な点が多いが、本発明のような非晶質酸化物を中間層に用いる場合、該中間層の表面抵抗率が高い場合には感光層と中間層の相互作用が生じ易くなり、両層間で電荷トラップが生じやすくなること、また、感光層/中間層間に電荷蓄積が生じ易いことが想定される。これらのことによって、長時間の静電ハザードを負荷した場合に感光体中に不要な電荷が蓄積され、帯電性低下や画像欠陥が生じると考えられる。それに対して、低表面抵抗の非晶質酸化物を中間層に適用した場合には感光層中の不要な電荷が少なくなることによって、帯電性低下や画像欠陥が生じ難くなるものと考えられる。発明者らの検証によると、非晶質酸化物の表面抵抗率を1.0×10Ω/cm以下とした場合に静電ハザード負荷前後での帯電性の変化は小さいのに対して、1.0×10Ω/cmより大きい場合には静電ハザード負荷前後での帯電性変化が大きく、特に1.0×10Ω/cmより大きい場合には帯電性低下とともに残留電位の上昇も確認された。
【0050】
非晶質酸化物の表面抵抗率としては1.0×10Ω/cm以下が好ましく、より好ましくは1.0×10Ω/cm以下である。
非晶質酸化物の表面抵抗の測定方法としては、一般に用いられる表面抵抗率測定手法を用いることができる。具体的には表面抵抗率が10Ω/cm以下の低抵抗体に関してはJIS K 7194などに記載されている定電流印加方式が例示される。また表面抵抗率が10Ω/cm以上の高抵抗対に関してはJIS K 6911等に記載されている定電圧印加・漏洩電流測定方式が例示される。また、その他一般に知られている四探針法や四端子法、二端子法などの手法によっても測定しても良い。
【0051】
さらに、前述の非晶質酸化物の表面抵抗率以外の電気特性も、電子写真感光体の電気特性を大きく左右するため、所望の電子写真感光体の電気特性を得るためには中間層に適用する非晶質酸化物の電気特性を適宜選択する必要がある。非晶質酸化物のその他の電気特性として代表的に挙げられるものを以下に示す。
【0052】
−キャリア濃度−
前述の通り、非晶質酸化物は不純物金属などをドープすることなく、製膜時の酸素流通量によって、その膜中の酸素欠損量(所謂キャリア濃度)をコントロールすることが可能である。また、適宜不純物をドープすることによりキャリア濃度を調整することも可能である。このキャリア濃度の定量方法としては、一般にHall効果を利用した手法が挙げられる。
【0053】
−バンドギャップ−
本発明において、非晶質酸化物のバンドギャップも電子写真感光体の特性、特に導電性支持体からのホールブロッキング性に関連があると考えられるため、良好なものとなるようにバンドギャップ(正確には非晶質酸化物の充満帯における仕事関数)を適宜選択することが好ましい。
【0054】
バンドギャップの測定方法としては、電気化学的測定手法や光化学的測定手法などが挙げられ、例えば、光化学的測定手法の一つであるTaucプロットを用いたバンドギャップエネルギー測定法が例示できる。また一般に、半導体の長波長側の光学吸収端の近傍の比較的吸収の大きい領域において、吸収係数α、光エネルギーhν(但し、hはプランク常数であり、νは波数である。)及びバンドキャップエネルギーE0の間には、下記式が成り立つと考えられている。
【0055】
αhν=B(hν−E0)(但し、Bは定数である。)
【0056】
従って、吸収スペクトルを測定し、(αhν)1/2に対してhνをプロット(所謂Taucプロット)し、直線区間を外挿したα=0におけるhνの値がバンドギャップエネルギーとなる。
バンドギャップは、前述の方法を用いても測定しても良いし、電気化学的・光化学的に同義の特性値が得られる場合は、特に限定されず、種々の測定方法を用いても良い。
【0057】
《非晶質酸化物の膜厚》
さらに、中間層に用いる非晶質酸化物の膜厚も電子写真感光体の電気特性に影響を与えると考えられる。
現在、露光プロセスにおいて広く用いられている光源は可干渉性の高いレーザー光であるため、入射レーザー光と導電性支持体等からの反射光との干渉によってモアレが生じ易く、これを抑制することを目的として、導電性支持体の表面は任意の凹凸を有する場合が多い。また、導電性支持体と中間層の物理的接触を補償することを目的として、導電性支持体の表面は任意の凹凸を有する場合が多い。
このような場合において、中間層の膜厚が小さい場合には導電性支持体の表面凹凸のために膜厚偏差が大きくなり、部分的な帯電不良が生じる恐れがある。また、非晶質酸化物を中間層に用いる場合、膜厚が大きすぎると膜深度方向での組成ばらつきが大きくなることによって電気特性の位置によるばらつきが生じるため好ましくない。さらに、膜厚が大きすぎると製膜に要する時間が長くなるために、製膜にかかるコストが非常に大きくなり現実的ではない。
【0058】
そこで、本発明において中間層の膜厚は、0.05μm以上1.5μm以下であることが好ましく、0.1μm以上、0.9μm以下であることがより好ましい。中間層が0.05μm未満の場合には導電性支持体表面を均一に被覆することが困難となり、中間層を設けた効果が充分発揮できなくなるため好ましくない。また中間層が1.5μmを上回る場合には製膜コストが高くなりすぎること、導電性支持体近傍と感光層近傍とで中間層の電気特性が異なる恐れがあることなどから好ましくない。
【0059】
<感光層(積層型感光層)>
次に、中間層の上に積層される感光層について説明する。ここではまず、電荷発生層及び電荷輸送層を含む積層型感光層を説明し、次いで電荷発生機能と電荷輸送機能とを併せ持つ単層型感光層を説明する。
【0060】
《電荷発生層》
電荷発生層は、電荷発生機能を有する電荷発生物質を主成分とする層で、必要に応じてバインダー樹脂を併用することもできる。電荷発生物質としては、無機系材料と有機系材料を用いることができる。
【0061】
無機系材料には、結晶セレン、アモルファス・セレン、セレン−テルル、セレン−テルル−ハロゲン、セレン−ヒ素化合物や、アモルファス・シリコン等が挙げられる。アモルファス・シリコンにおいては、ダングリングボンドを水素原子、ハロゲン原子でターミネートしたものや、ホウ素原子、リン原子等をドープしたものが良好に用いられる。
【0062】
一方、有機系材料としては、公知の材料を用いることができる。例えば、金属フタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料、トリアリールアミン骨格を有するアゾ顔料、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系または多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタン及びトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノン及びナフトキノン系顔料、シアニン及びアゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料などが挙げられる。本発明においては、上記列挙した電荷発生物質のうち、特にフタロシアニン顔料を適用することで、優れた電子写真感光体特性が長時間に亘って維持されることが確認されており、好適である。フタロシアニン顔料が好ましい理由についてはよくわかっていないが、前記非晶質酸化物と相互作用を起こしにくいことが一因と考えられる。
【0063】
本発明で用いられるフタロシアニン顔料としては、前述の通り、無金属フタロシアニンまたは金属フタロシアニンが挙げられ、モーザーおよびトーマスの「フタロシアニン化合物」(ラインホールド社、1963)等に記載されている合成法、及び他の適当な方法によって得られるものを使用する。
【0064】
金属フタロシアニンの一例としては、銅、銀、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、インジウム、ナトリウム、リチウム、チタン、錫、鉛、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルトなどを中心金属に持つものが挙げられる。また、フタロシアニンの中心核には前記金属原子の代わりに、三価以上の原子価を有するハロゲン化金属が存在していても良い。尚、フタロシアニンは各種結晶形が知られているが、α型、β型、Y型、ε型、τ型、X型などの結晶形、及び非晶形など公知のものが使用できる。
【0065】
さらに本発明に用いるフタロシアニン顔料としては、下記一般式(A)に示すように中心金属にチタンを有するチタニルフタロシアニン(以下TiOPc)が特に感度が高く優れた特性を示しており、より望ましい。
【0066】
【化1】

【0067】
式中、X1、X2、X3、X4は各々独立に各種ハロゲン原子を表わし、n、m、l、kは各々独立に0〜4の数字を表わす。
【0068】
ここで用いるチタニルフタロシアニンとしてはCuKαの特性X線(波長1.514Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニンが電子写真感光体の高感度化および非晶質酸化物からなる中間層との組み合わせによっても長時間に亘って安定した感光体特性を発現することができ、非常に有効である。
【0069】
また感光体の高感度化の観点からは用いるフタロシアニン顔料の粒径を小さくすることが望ましい。この理由としては、電荷発生材料粒子内部で生成された光キャリアの多くは粒子表面までの移動距離が短くなるため、粒子表面のキャリア発生サイトに到達する前に失活する可能性が低くなること(光キャリア発生効率の増加)、さらには粒子の小粒径化に伴い表面積の増加が起こり、顔料粒子表面を取り巻く電荷輸送物質との接触量の増加に基づく光キャリア注入効率が増加する。これらの作用によって、小粒径フタロシアニン顔料をもちいることにより、光感度を増加させることが可能となると考えられる。
【0070】
ここでフタロシアニン顔料の平均粒径としては好ましくは0.6μm以下、より好ましくは0.4μm以下が好適である。顔料の平均粒子径測定方法としては遠心分離法、レーザー回折法、動的光散乱法、電気的検知体法などの公知のものが挙げられる。ここでは特別な記載のない限り、超遠心式自動粒度分布測定装置:CAPA−700(堀場製作所製)により測定された体積平均粒子径であり、累積分布の50%に相当する粒子径(Median系)として算出されたものである。
【0071】
電荷発生層に必要に応じて用いられるバインダー樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミド、ポリビニルベンザール、ポリエステル、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリフェニレンオキシド、ポリビニルピリジン、セルロース系樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。これらのバインダー樹脂は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。バインダー樹脂の量は、電荷発生物質100重量部に対し0〜500重量部、好ましくは10〜300重量部が適当である。バインダー樹脂の添加は、分散前あるいは分散後のどちらでも構わない。
【0072】
電荷発生層を形成する方法には、真空薄膜作製法と溶液分散系からのキャスティング法とが大きく挙げられる。前者の方法には、真空蒸着法、グロー放電分解法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、CVD法等が用いられ、上述した無機系材料、有機系材料が良好に形成できる。また、後者のキャスティング法によって電荷発生層を設けるには、上述した無機系もしくは有機系電荷発生物質を必要ならばバインダー樹脂と共にテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、アニソール、キシレン、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、酢酸ブチル等の溶媒を用いてボールミル、アトライター、サンドミル、ビーズミル等により分散し、分散液を適度に希釈して塗布することにより形成できる。また、必要に応じて、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のレベリング剤を添加することができる。塗布は、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコート法などを用いて行なうことができる。
【0073】
以上のようにして設けられる電荷発生層の膜厚は、0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.05〜2μmである。
【0074】
《電荷輸送層》
電荷輸送層は、電荷輸送機能を有する層で、電荷輸送物質及びバインダー樹脂を主成分とする層である。
電荷輸送物質とは例えばトリアリールアミン、ヒドラゾン、ピラゾリン、カルバゾールなどの正孔輸送性構造、例えば縮合多環キノン、ジフェノキノン、シアノ基やニトロ基を有する電子吸引性芳香族環などの電子輸送構造をする化合物、即ち、電子輸送物質や正孔輸送物質を指す。
【0075】
電子輸送物質としては、例えばクロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ジフェノキノン誘導体などの電子受容性物質が挙げられる。これらの電子輸送物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
【0076】
正孔輸送物質としては、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリルエチルグルタメートおよびその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物およびその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、ポリシラン、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジェン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体等、その他公知の材料が挙げられる。これらの正孔輸送物質は単独、または2種以上混合して用いられる。
【0077】
これらの材料を用いて電荷輸送層を形成する場合には、後述するバインダー中に分散して用いられる。電荷輸送物質は電荷輸送層全重量に対して20〜80重量%が良く、より好ましくは30〜70重量%である。
【0078】
また、後述するバインダー樹脂の機能と電荷輸送物質の機能を併せ持った高分子電荷輸送物質を用いても良い。高分子電荷輸送物質を含有する電荷輸送層は、前述の機械的ハザードに対する耐久性を有しており、静電ハザードに対する耐久性を有する前記中間層と併用することで、電子写真感光体の寿命を飛躍的に延ばすことが可能となる。
【0079】
高分子電荷輸送物質としては、公知の材料が使用できるが、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエーテルの中から選ばれる少なくとも一つの重合体であることが好ましい。特に、トリアリールアミン構造を主鎖および/または側鎖に含むポリカーボネートが好ましい。中でも、下記式(3)〜(12)で表される高分子電荷輸送物質が良好に用いられる。
【0080】
【化2】

【0081】
式(3)中、R1,R2,R3はそれぞれ独立して置換もしくは無置換のアルキル基又はハロゲン原子、R4は水素原子又は置換もしくは無置換のアルキル基、R5,R6は置換もしくは無置換のアリール基、o,p,qはそれぞれ独立して0〜4の整数、k,jは組成を表し、0.1≦k≦1、0≦j≦0.9、nは繰り返し単位数を表し5〜5000の整数である。Xは脂肪族の2価基、環状脂肪族の2価基、または下記一般式(I)又は(II)で表される2価基を表す。
【0082】
【化3】

【0083】
一般式(I)中、R101,R102は各々独立して置換もしくは無置換のアルキル基、アリール基またはハロゲン原子を表す。l、mは0〜4の整数、Yは単結合、炭素原子数1〜12の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキレン基、−O−,−S−,−SO−,−SO2−,−CO−,又は−CO−O−Z−O−CO−(式中Zは脂肪族の2価基を表す。)を表す。ここで、R101とR102は、それぞれ同一でもあっても別異であってもよい。
【0084】
【化4】

【0085】
一般式(II)中、aは1〜20の整数、bは1〜2000の整数、R103、R104は置換または無置換のアルキル基又はアリール基を表す。ここで、R103とR104は、それぞれ同一でもあっても別異であってもよい。
【0086】
【化5】

【0087】
式(4)中、R7,R8は置換もしくは無置換のアリール基、Ar1,Ar2,Ar3は同一又は異なるアリレン基を表す。X,k,jおよびnは、式(3)の場合と同じである。
【0088】
【化6】

【0089】
式(5)中、R9,R10は置換もしくは無置換のアリール基、Ar4,Ar5,Ar6は同一又は異なるアリレン基を表す。X,k,jおよびnは、式(3)の場合と同じである。
【0090】
【化7】

【0091】
式(6)中、R11,R12は置換もしくは無置換のアリール基、Ar7,Ar8,Ar9は同一又は異なるアリレン基、pは1〜5の整数を表す。X,k,jおよびnは、式(3)の場合と同じである。
【0092】
【化8】

【0093】
式(7)中、R13,R14は置換もしくは無置換のアリール基、Ar10,Ar11,Ar12は同一又は異なるアリレン基、X1,X2は置換もしくは無置換のエチレン基、又は置換もしくは無置換のビニレン基を表す。X,k,jおよびnは、式(3)の場合と同じである。
【0094】
【化9】

【0095】
式(8)中、R15,R16,R17,R18は置換もしくは無置換のアリール基、Ar13,Ar14,Ar15,Ar16は同一又は異なるアリレン基、Y1,Y2,Y3は単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、又はビニレン基を表し同一であっても異なってもよい。X,k,jおよびnは、式(3)の場合と同じである。
【0096】
【化10】

【0097】
式(9)中、R19,R20は水素原子、又は置換もしくは無置換のアリール基を表し,R19とR20は環を形成していてもよい。Ar17,Ar18,Ar19は同一、又は異なるアリレン基を表す。X,k,jおよびnは、式(3)の場合と同じである。
【0098】
【化11】

【0099】
式(10)中、R21は置換もしくは無置換のアリール基、Ar20,Ar21,Ar22,Ar23は同一又は異なるアリレン基を表す。X,k,jおよびnは、式(3)の場合と同じである。
【0100】
【化12】

【0101】
式(11)中、R22,R23,R24,R25は置換もしくは無置換のアリール基、Ar24,Ar25,Ar26,Ar27,Ar28は同一又は異なるアリレン基を表す。X,k,jおよびnは、式(3)の場合と同じである。
【0102】
【化13】

【0103】
式(12)中、R26,R27は置換もしくは無置換のアリール基、Ar29,Ar30,Ar31は同一又は異なるアリレン基を表す。X,k,jおよびnは、式(3)の場合と同じである。
【0104】
これらの高分子電荷輸送物質は単独で用いても良いし、二種類以上の高分子電荷輸送物質を併用しても良い。
【0105】
バインダー樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性または熱硬化性樹脂等が挙げられる。また、バインダー樹脂として、電荷輸送機能を有する高分子電荷輸送物質、例えば、アリールアミン骨格やベンジジン骨格やヒドラゾン骨格やカルバゾール骨格やスチルベン骨格やピラゾリン骨格等を有するポリカーボネート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリシロキサン、アクリル樹脂等の高分子材料やポリシラン骨格を有する高分子材料等を用いることも可能であり、有用である。
【0106】
電荷輸送物質の量はバインダー樹脂100重量部に対し、20〜300重量部、好ましくは40〜150重量部が適当である。但し、高分子電荷輸送物質を用いる場合は、単独で使用しても良いし、バインダー樹脂と併用しても良い。
【0107】
《製膜方法》
電荷輸送層の構成成分はいずれも常温常圧下で固体であるものが多いため、塗工液作製においては各構成成分と親和性の高い溶媒を用いる。ここで用いられる溶剤としては、通常用いられるものであれば特に限定されない。例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール系、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系、テトラヒドロフラン、ジオキサン、プロピルエーテルなどのエーテル系、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼンなどのハロゲン系、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、セロソルブアセテートなどのセロソルブ系などが挙げられる。これらの溶媒は単独または2種以上を混合して用いても良い。
【0108】
電荷輸送層形成の際に用いる塗工方法としては、一般に用いられている塗工方法であれば特に限定されず、塗工液の粘性、所望とする電荷輸送層の膜厚などによって適宜塗工方法を選択すると良い。例えば、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコート法などが例示される。
【0109】
また、必要により可塑剤、レベリング剤を添加することもできる。電荷輸送層に用いられる可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等の一般の樹脂の可塑剤として使用されているものがそのまま使用でき、その使用量は、バインダー樹脂100重量部に対して0〜30重量部程度が適当である。電荷輸送層に併用できるレベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいはオリゴマーが使用され、その使用量は、バインダー樹脂100重量部に対して0〜1重量部程度が適当である。
【0110】
電荷輸送層の膜厚は解像度・応答性の点から、40μm以下とすることが好ましく、30μm以下がより好ましい。下限値に関しては、使用するシステム(特に帯電電位等)に異なるが、5μm以上が好ましい。
【0111】
上述した方法によって形成した電荷輸送層は、電子写真特性や膜粘性の観点から、何らかの手段を用いて加熱を行い、上述のような溶媒を膜中から取り除く必要がある。熱エネルギーとしては、空気、窒素などの気体、蒸気、あるいは各種熱媒体、赤外線、電磁波を用いることができ、塗工面側あるいは導電性支持体側から加熱することによって行われる。加熱温度は100℃以上、170℃以下が好ましい。100℃未満の場合は、膜中の有機溶媒を充分取り除くことができず、電子写真特性の低下や摩耗耐久性低下が生じることが確認されている。一方、170℃より高い温度で処理した場合、表面にゆず肌状の欠陥や亀裂が生じたり、隣接層との界面で剥離が生じたりることがある。また、感光層中の揮発性成分が外部に霧散するなどした場合には、所望の電気特性を得られなくなるなどのことがあるため好ましくない。
【0112】
<感光層(単層型感光層)>
単層型構造の感光層は電荷発生機能と電荷輸送機能とを同時に有する層である。単層型感光層は電荷発生物質および電荷輸送物質並びにバインダー樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを塗布、乾燥することによって形成できる。また、必要により可塑剤やレベリング剤、酸化防止剤等を添加することもできる。
【0113】
バインダー樹脂としては先に電荷輸送層で挙げたバインダー樹脂のほかに、電荷発生層で挙げたバインダー樹脂を混合して用いてもよい。もちろん、先に挙げた高分子電荷輸送物質も良好に使用できる。バインダー樹脂100重量部に対する電荷発生物質の量は5〜40重量部が好ましく、電荷輸送物質の量は0〜190重量部が好ましく、さらに好ましくは50〜150重量部である。感光層は、電荷発生物質、バインダー樹脂を電荷輸送物質とともにテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロエタン、シクロヘキサン等の溶媒を用いて分散機等で分散した塗工液を、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコートなどで塗工して形成できる。感光層の膜厚は、5〜25μm程度が適当である。
【0114】
<その他の層>
また、本発明に係る電子写真感光体には、上述した表面層、感光層、電荷発生層、電荷輸送層、中間層以外の層を設けても良く、例えば、下引き層、光遮蔽層等の公知のものを設けても良い。
《添加材料》
さらに本発明においては、耐環境性の改善のため、とりわけ、感度低下、残留電位の上昇を防止する目的で、表面層、感光層、電荷発生層、電荷輸送層、下引き層、中間層、光遮蔽層等の各層に酸化防止剤を添加することができる。
本発明に用いることができる酸化防止剤として、下記のものが挙げられる。
【0115】
<フェノール系化合物>
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2′−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4′−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4′−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3′−ビス(4′−ヒドロキシ−3′−t−ブチルフェニル)ブチリックアッシド]クリコ−ルエステル、トコフェロール類など。
【0116】
<パラフェニレンジアミン類>
N−フェニル−N′−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N′−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N′−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N′−ジメチル−N,N′−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミンなど。
【0117】
<ハイドロキノン類>
2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノンなど。
【0118】
<有機硫黄化合物類>
ジラウリル−3,3′−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3′−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3′−チオジプロピオネートなど。
【0119】
<有機燐化合物類>
トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィンなど。
【0120】
これら化合物は、ゴム、プラスチック、油脂類などの酸化防止剤として知られており、市販品を容易に入手できる。
【0121】
本発明において酸化防止剤を用いる際の添加量は、添加する層の総重量に対して0.01〜10重量%が好ましい。
【0122】
《導電性支持体》
導電性支持体としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物を蒸着またはスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいはアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板およびそれらを押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理を施した管などを使用することができる。また、特開昭52−36016号公報に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導電性支持体として用いることができる。
【0123】
この他、上記支持体上に導電性粉体を適当なバインダー樹脂に分散して塗工したものについても、本発明における導電性支持体として用いることができる。この導電性粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、及び、アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などの金属粉、及び、導電性酸化スズ、ITOなどの金属酸化物粉体などが挙げられる。また、同時に用いられるバインダー樹脂には、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などの熱可塑性、熱架橋性樹脂または光架橋性樹脂が挙げられる。このような導電性層は、これらの導電性粉体とバインダー樹脂を適当な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエンなどに分散して塗布することにより設けることができる。
【0124】
さらに、適当な円筒基体上にポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、ポリテトラフロロエチレン系フッ素樹脂などの素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブによって導電性層を設けてなるものも、本発明における導電性支持体として良好に用いることができる。
【0125】
ところで、後述するように、電子写真プロセスにおける潜像形成には可干渉性の高いレーザーを用いることがある。前述の通り、導電性支持体には金属材料からなることが多く、その多くは表面反射率が高いと考えられる。この導電性支持体上に前記非晶質酸化物を適用して電子写真感光体を作製した場合、書き込み光と、導電性支持体からの反射光とで干渉が生じ、画像欠陥(モアレ)が発生することが懸念される。このため、導電性支持体の反射率が高い場合には、導電性支持体の表面に凹凸を施して反射率を低下させることが好ましい。また、素管上に潜在的に存在する突起等も感光層を積層する際に、画像欠陥の原因となってしまう場合があった。これを適切な表面粗さに粗面化することによって突起のない平滑な導電性支持体表面を提供することができる。
【0126】
表面凹凸としてはJIS B0601−1982に示される手法で測定した算術十点平均表面粗さ(Rz)を代表特性値として用いた。測定方法は、サーフコム1400D(東京精密製)を用い、表面粗さRzを評価長さ2.5mm、基準長さ0.5mmに対し測定した。測定箇所は軸方向のドラムの両端から80mmとドラム中央の3点、周方向90度の4通り、合計12点を測定しその平均値をドラムの表面粗さRzとした。Rz値としては0.6μm以上であることが好ましい。これよりもRzが小さい場合には書き込み光によるモアレが発生しやすいため好ましくない。また、Rzが大きい場合であっても、使用上大きな問題とはならないが、Rzが大きすぎる場合には中間層を均一に形成することが困難となるため注意が必要である。この観点からは導電性支持体のRzは3.0μm以下であることが好ましい。
【0127】
粗面化の方法としては、ホーニング加工等やセンタレス研磨があげられる。ホーニング加工は安価で表面粗さ調製が容易であることから好ましく使用される。ホーニング加工には乾式及び湿式での処理方法があるがいずれを用いてもよい。湿式(液体)ホーニング加工は、水等の液体に粉末状の研磨剤(砥粒)を懸濁させ、高速度で導電性支持体の表面に吹き付けて粗面化する方法であり、表面粗さは吹き付け圧力、速度、研磨剤の量、種類、形状、大きさ、硬度、比重または懸濁濃度等により制御することができる。同様に、乾式ホーニング加工は、研磨剤をエアにより、高速度で導電性支持体表面に吹き付けて粗面化する方法であり、湿式ホーニング加工と同じように表面粗さを制御することができる。これら湿式または乾式ホーニング加工に用いる研磨剤としては、炭化ケイ素、アルミナ、ジルコニア、ステンレス、鉄、ガラスビーズ及びプラスチックショット等の粒子が挙げられる。
【0128】
しかし、乾式サンドブラストや不定形アルミナ砥粒を用いた液体ホーニングでは、砥粒が導電性支持体表面に突き刺さることがあり、電子写真感光体を作製した時に反転現像系における白画像上の黒ポチ、正転現像系における黒画像上の白抜けとして現れてしまうことがある。ガラスビーズを用いた液体ホーニングでは、ガラスがすぐに割れて導電性支持体表面に突き刺さることや、粗さのコントロールが難しいことが問題となる。そのため、研磨剤として球状アルミナ砥粒やステンレス砥粒等を用いた液体ホーニング加工にて、導電性支持体を粗面化した後、下引き層及び感光層を形成して、電子写真感光体を作製するのが一般的である。また、導電性支持体の粗面化処理においては、処理時間、砥粒使用量、エネルギー使用量、及び、粗面化後の導電性支持体における残留砥粒除去の簡便性等の観点から、干渉縞防止機能を満たす範囲内において極力処理条件をマイルドにし、Rzを小さく抑えることが望ましい。
【0129】
〔画像形成装置、画像形成装置用プロセスカートリッジ〕
本発明に係る画像形成装置は、前記電子写真感光体と、該電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、該帯電手段によって帯電させられた前記電子写真感光体表面に静電潜像を形成する潜像形成手段と、該潜像形成手段によって形成された前記静電潜像の画像部にトナーを付着させて顕像を形成する現像手段と、該現像手段によって形成された前記顕像を被転写体に転写する転写手段と、を備えてなる。
次に、図面に基づいて本発明の画像形成装置及び画像形成装置用プロセスカートリッジを詳しく説明する。
【0130】
本発明の画像形成装置とは、前記電子写真感光体を用いたものであって、例えば少なくとも感光体に帯電、画像露光、現像の過程を経た後、画像保持体(転写紙)へのトナー画像の転写、定着及び感光体表面のクリーニングというプロセスよりなるものである。
場合により、静電潜像を直接転写体に転写し現像する画像形成装置では、感光体に配した上記プロセスを必ずしも有するものではない。
【0131】
図4は、画像形成装置の一例を示す概略図である。電子写真感光体(1)を平均的に帯電させる手段(帯電手段)として、帯電チャージャ(3)が用いられる。この帯電手段としては、コロトロンデバイス、スコロトロンデバイス、固体放電素子、針電極デバイス、ローラー帯電デバイス、導電性ブラシデバイス等が用いられ、公知の方式が使用可能である。
【0132】
次に、均一に帯電された感光体(1)上に静電潜像を形成するために潜像形成手段である画像露光部(5)が用いられる。この光源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの発光物全般を用いることができる。そして、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。
【0133】
次に、感光体(1)上に形成された静電潜像を可視化するために現像手段である現像ユニット(6)が用いられる。現像方式としては、乾式トナーを用いた一成分現像法、二成分現像法、湿式トナーを用いた湿式現像法がある。感光体に正(負)帯電を施し、画像露光を行なうと、感光体表面上には正(負)の静電潜像が形成される。これを負(正)極性のトナー(検電微粒子)で現像すれば、ポジ画像が得られるし、また正(負)極性のトナーで現像すれば、ネガ画像が得られる。
【0134】
次に、感光体上で可視化されたトナー像を転写手段である転写体(9)上に転写するために転写チャージャ(10)が用いられる。また、転写をより良好に行なうために転写前チャージャ(7)を用いてもよい。これらの転写手段としては、転写チャージャ、バイアスローラーを用いる静電転写方式、粘着転写法、圧力転写法等の機械転写方式、磁気転写方式が利用可能である。静電転写方式としては、前記帯電手段が利用可能である。尚、転写体(9)は搬送手段の一部である一対の搬送ローラ(8)により転写部に搬送される。
【0135】
次に、転写体(9)を感光体(1)より分離する手段として分離チャージャ(11)、分離爪(12)が用いられる。その他分離手段としては、静電吸着誘導分離、側端ベルト分離、先端グリップ搬送、曲率分離等が用いられる。分離チャージャ(11)としては、前記帯電手段が利用可能である。
【0136】
次に、転写後感光体上に残されたトナーをクリーニングするためにファーブラシ(14)、クリーニングブレード(15)が用いられる。また、クリーニングをより効率的に行なうためにクリーニング前チャージャ(13)を用いてもよい。その他クリーニング手段としては、ウェブ方式、マグネットブラシ方式等があるが、それぞれ単独又は複数の方式を一緒に用いてもよい。
【0137】
次に、必要に応じて感光体上の潜像を取り除く目的で除電手段が用いられる。除電手段としては除電ランプ(2)、除電チャージャが用いられ、それぞれ前記露光光源、帯電手段が利用できる。
【0138】
その他、感光体に近接していない原稿読み取り、給紙、定着、排紙等のプロセスは公知のものが使用できる。
【0139】
本発明は、このような画像形成手段に本発明に係る電子写真感光体を用いる画像形成方法及び画像形成装置である。
【0140】
この画像形成手段は、複写装置、ファクシミリ、プリンタ内に固定して組み込まれていてもよいが、プロセスカートリッジの形態でそれら装置内に組み込まれ、着脱自在としたものであってもよい。
即ち、本発明に係る画像形成装置用プロセスカートリッジは、前記電子写真感光体と、該電子写真感光体を帯電させる帯電手段、該帯電手段によって帯電させられた前記電子写真感光体表面に静電潜像を形成する潜像形成手段、及び、該潜像形成手段によって形成された前記静電潜像の画像部にトナーを付着させて顕像を形成する現像手段、から選ばれる1以上の手段と、を備え、画像形成装置に脱着自在であることを特徴とする。
そして、本発明に係る画像形成装置は、前記画像形成装置用プロセスカートリッジを、脱着自在に備えてなる構成であっても良い。
【0141】
図5は本発明に係る画像形成装置用プロセスカートリッジの構成の一例を示す概略図である。
画像形成装置用プロセスカートリッジとは、電子写真感光体(101)を内蔵し、他に帯電手段(102)、現像手段(104)、転写手段(106)、露光手段(103)の少なくとも一つを具備し、さらに、クリーニング手段(107)、除電手段(図示せず)を具備してもよく、画像形成装置本体に着脱可能とした装置(部品)である。
【0142】
図5に例示される装置による画像形成プロセスについて示すと、感光体(101)は、矢印方向に回転しながら、帯電手段(102)による帯電、露光手段(103)による露光により、その表面に露光像に対応する静電潜像が形成され、この静電潜像は、現像手段(104)でトナー現像され、該トナー現像は転写手段(106)により、転写体(105)に転写され、プリントアウトされる。次いで、像転写後の感光体表面は、クリーニング手段(107)によりクリーニングされ、さらに除電手段(図示せず)により除電されて、再び以上の操作を繰り返すものである。
【実施例】
【0143】
<実施例1>
《電子写真感光体の作製方法》
導電性支持体として表面粗さRzが0.9μm、直径が30mm、長さ360mmのアルミニウムシリンダーを準備し、シリンダーを回転させながら成膜できるように改良したRFスパッタ装置を用いて中間層を形成した。前述の通り、スパッタ中の基板温度の過温を防止するためにシリンダー内部に冷却ジャケットを設けた。また、インジウム、亜鉛、ガリウムを含有する多結晶焼結体からなる150mm×400mmターゲットを用いて、インジウム、亜鉛、ガリウムからなる非晶質酸化物膜(以下In−Ga−ZnO)を中間層として形成した。中間層製膜条件は以下の通りとした。
【0144】
〔中間層製膜条件〕
・導電性支持体冷却温度 : 30℃
・出力 : 11.2W/cm
・ターゲット−基板距離 : 50mm
・背圧 : 5.0×10−6torr以下
・製膜圧力 : 3.0×10−3torr
・不活性ガス : アルゴン
・酸素分圧 : 不活性ガスと酸素ガスの総流量に対して2vol%
【0145】
前記中間層製膜条件によって0.5μmのIn−Ga−ZnOを中間層として形成した。膜厚の測定はエリプソメーターにより実施した。
【0146】
次に、下記組成の電荷発生層用塗工液、電荷輸送層用塗工液を順次塗布、乾燥することにより、0.3μmの電荷発生層、20μmの電荷輸送層を形成し、導電性支持体/中間層/電荷発生層/電荷輸送層からなる電子写真感光体を得た。
【0147】
〔電荷発生層用塗工液組成〕
・図6のX線回折パターンを有するチタニルフタロシアニン 8部
(平均粒子径 0.31μm)
・ポリビニルブチラール(XYHL、UCC製) 5部
・メチルエチルケトン 80部
【0148】
〔電荷輸送層用塗工液組成〕
・ビスフェノールZポリカーボネート 10部
(パンライトTS−2050、帝人化成製)
・下記構造式(1)の低分子電荷輸送物質 7部
・テトラヒドロフラン 100部
・1%シリコーンオイルのテトラヒドロフラン溶液 1部
(KF50−100CS、信越化学工業製)
【0149】
【化14】

【0150】
<実施例2>
実施例1の中間層の製膜条件の内、酸素分圧を不活性ガスと酸素ガスの総流量に対して1vol%となるように変更して中間層を形成した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
【0151】
<実施例3>
実施例1の中間層の製膜条件の内、酸素分圧を不活性ガスと酸素ガスの総流量に対して0.5vol%となるように変更して中間層を形成した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
【0152】
<実施例4〜6>
実施例1〜3で用いた電荷発生層用塗工液組成を下記組成のものに変更した以外は、実施例1〜3と同様にして電子写真感光体を作製した。
【0153】
〔電荷発生層用塗工液組成〕
・下記構造式(2)のビスアゾ顔料 2.5部
・ポリビニルブチラール(XYHL、UCC製) 0.5部
・シクロヘキサノン 200部
・メチルエチルケトン 80部
【0154】
【化15】

【0155】
<実施例7〜9>
実施例1〜3で用いた電荷輸送層用塗工液組成を下記組成のものに変更した以外は、実施例1〜3と同様にして電子写真感光体を作製した。
【0156】
〔表面層用塗工液組成〕
・下記構造式(3)の高分子電荷輸送物質 10部
(分子量 Mw 130000)
・テトラヒドロフラン 100部
・1%シリコーンオイルのテトラヒドロフラン溶液 1部
(KF50−100CS、信越化学工業製)
【0157】
【化16】

【0158】
<実施例10〜11>
実施例2および5で得た導電性支持体/中間層/電荷発生層/電荷輸送層からなる電子写真感光体上に、以下に示した組成の表面層用塗工液をスプレー塗工により5μmの厚みになるように塗布し、その後150℃30分の乾燥を行うことによって導電性支持体/中間層/電荷発生層/電荷輸送層/表面層からなる電子写真感光体を得た。
【0159】
〔表面層用塗工液組成〕
・ビスフェノールZポリカーボネート 4部
(パンライトTS−2050、帝人化成社製)
・上記構造式(2)の低分子電荷輸送物質 3部
・アルミナ微粒子 3部
(AA03、住友化学社製)
・テトラヒドロフラン 170部
・シクロヘキサノン 50部
【0160】
<実施例12〜13>
実施例2および5で得た導電性支持体/中間層/電荷発生層/電荷輸送層からなる電子写真感光体上に、以下に示した組成の表面層用塗工液をスプレー塗工により5μmの厚みになるように塗布し、その後メタルハライドランプを用いて、照度:900mW/cm、照射時間:20秒の条件で光照射を行うことで表面層を架橋させ、130℃30分の乾燥を行うことによって、導電性支持体/中間層/電荷発生層/電荷輸送層/表面層からなる電子写真感光体を得た。
【0161】
〔表面層用塗工液組成〕
・下記構造式(4)のラジカル重合性モノマー 95重量部
トリメチロールプロパントリアクリレート
(TMPTA,東京化成社製)
・下記構造式(5)の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物 95重量部
・光重合開始剤 10重量部
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン
(イルガキュアI−184,チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
・テトラヒドロフラン 1200重量部
【0162】
【化17】

【0163】
【化18】

【0164】
<実施例14>
実施例2の中間層膜厚を0.05μm(実施例2の製膜条件で製膜し、製膜時間のみを実施例2の10分の1にして作製)とした以外は実施例2と同様にして電子写真感光体を作製した。
【0165】
<実施例15>
実施例2の中間層膜厚を0.15μm(実施例2の製膜条件で製膜し、製膜時間のみを実施例2の10分の3にして作製)とした以外は実施例2と同様にして電子写真感光体を作製した。
【0166】
<実施例16>
実施例2の中間層膜厚を0.8μm(実施例2の製膜条件で製膜し、製膜時間のみを実施例2の1.6倍にして作製)とした以外は実施例2と同様にして電子写真感光体を作製した。
【0167】
<実施例17>
実施例2の中間層膜厚を1.0μm(実施例2の製膜条件で製膜し、製膜時間のみを実施例2の2倍にして作製)とした以外は実施例2と同様にして電子写真感光体を作製した。
【0168】
<実施例18>
実施例2の導電性支持体の表面粗さRzを0.2μmとした以外は実施例2と同様にして電子写真感光体を作製した。
【0169】
<実施例19>
実施例1の中間層作製方法のうち、インジウム、亜鉛、ガリウムを含有する多結晶焼結体の組成比を以下のものを用いた以外は実施例2と同様にして電子写真感光体を作製した。
In:Ga:Zn=1:1.5:1
【0170】
<実施例20>
実施例1の中間層作製方法のうち、インジウム、亜鉛、ガリウムを含有する多結晶焼結体の組成比を以下のものを用いた以外は実施例2と同様にして電子写真感光体を作製した。
In:Ga:Zn=1:0.75:1
【0171】
<実施例21>
実施例1の中間層作製方法のうち、ターゲットとしてインジウム、ガリウムを含有する多結晶焼結体(組成比 In:Ga=1:1)を用い、酸素分圧を不活性ガスと酸素ガスの総流量に対して1.5vol%となるように変更した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
【0172】
<実施例22>
実施例1の中間層作製方法のうち、ターゲットとしてインジウム、亜鉛を含有する多結晶焼結体(組成比 In:Zn=1:1)を用い、酸素分圧を不活性ガスと酸素ガスの総流量に対して1.5vol%となるように変更した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
【0173】
<比較例1〜3>
実施例1,4,7で使用した表面粗さRzが0.9μm、直径が30mm、長さ360mmのアルミニウムシリンダーに、実施例1,4,7で用いた電荷発生層用塗工液、電荷輸送層用塗工液を順次塗布、乾燥することにより、0.3μmの電荷発生層、20μmの電荷輸送層を形成し、導電性支持体/電荷輸送層/電荷発生層からなる電子写真感光体を得た。
【0174】
<比較例4〜6>
実施例1,4,7で使用した表面粗さRzが0.9μm、直径が30mm、長さ360mmのアルミニウムシリンダーに、下記組成の中間層用塗工液および実施例1,4,7で用いた電荷発生層用塗工液、電荷輸送層用塗工液を順次塗布、乾燥することにより、3.5μmの中間層、0.3μmの電荷発生層、20μmの電荷輸送層を形成し、導電性支持体/中間層/電荷輸送層/電荷発生層からなる電子写真感光体を得た。
【0175】
〔中間層用塗工液組成〕
・アルキッド樹脂 6部
(ベッコゾール1307−60−EL、大日本インキ化学工業製)
・メラミン樹脂 4部
(スーパーベッカミン G−821−60、大日本インキ化学工業製)
・酸化チタン 40部
・メチルエチルケトン 50部
【0176】
<比較例7>
実施例1の中間層の製膜条件の内、酸素分圧を不活性ガスと酸素ガスの総流量に対して2.5vol%となるように変更して中間層を形成した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
【0177】
<比較例8>
実施例1の中間層の製膜条件の内、酸素分圧を不活性ガスと酸素ガスの総流量に対して3.0vol%となるように変更して中間層を形成した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
【0178】
<比較例9>
実施例1の中間層の製膜条件の内、酸素分圧を不活性ガスと酸素ガスの総流量に対して5.0vol%となるように変更して中間層を形成した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
【0179】
<比較例10>
実施例1の中間層の製膜条件の内、酸素分圧を不活性ガスと酸素ガスの総流量に対して7.0vol%となるように変更して中間層を形成した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
【0180】
<比較例11〜14>
実施例19〜22の中間層の製膜条件の内、酸素分圧を不活性ガスと酸素ガスの総流量に対して3.0vol%となるように変更して中間層を形成した以外は実施例19〜22と同様にして電子写真感光体を作製した。
【0181】
<比較例15>
実施例1の中間層を、実施例1に記載の改造RFスパッタ装置を用いて、下記の中間層製膜条件で作製した酸化スズとした以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
【0182】
〔中間層製膜条件〕
・ターゲット : 酸化スズからなる多結晶焼結体
・導電性支持体冷却温度 : 30℃
・RFパワー : 11.2W/cm
・ターゲット−基板距離 : 50mm
・背圧 : 5.0×10−6torr以下
・製膜圧力 : 3.0×10−3torr
・不活性ガス : アルゴン
・酸素分圧 : 不活性ガスと酸素ガスの総量に対して5vol%
【0183】
<比較例16>
比較例15の中間層の製膜条件の内、酸素分圧を不活性ガスと酸素ガスの総流量に対して3.0vol%となるように変更して中間層を形成した以外は比較例15と同様にして電子写真感光体を作製した。
【0184】
実施例1〜22および比較例1〜16で用いた中間層に関して、組成分析、表面抵抗率、構造解析を実施した。
【0185】
《非晶質酸化物の構造解析》
実施例で作製した中間層が非晶質酸化物であることをX線回折法による結晶構造解析によって評価した。
【0186】
〔X線回折 評価方法〕
・評価装置 : X線回折装置 X’ Part Pro (フィリップス社製)
・X線発生源 : Cu(封入管)
・フィルター : なし
・スキャン軸 : 2θ/θ
・測定角範囲 : 10°〜100°
【0187】
実施例1で作製した中間層の測定結果を図7に示す。
この結果から明らかなように実施例1で示した方法で作製した中間層は非晶質酸化物であった。他の実施例2〜22および比較例1〜14に関しても同様に非晶質酸化物であることが確認された。一方で、結晶性酸化物として知られている酸化スズに関して同様の評価を実施した結果、比較例15〜16で作製したものはいずれも結晶性酸化物であった。
【0188】
《非晶質酸化物の組成》
本実施例・比較例で作製した中間層のうち、多元系酸化物(実施例1〜22および比較例1〜14)について、その組成比率を蛍光X線分析法を用いて評価した。また、実施例1〜18、比較例7〜10の製膜方法で作成した非晶質酸化物に関して、非晶質酸化物の深度方向の組成プロファイルをオージェ電子分光法を用いて評価した。
【0189】
〔蛍光X線法 評価方法〕
・測定装置 : 波長分散型蛍光X線分析装置 RIX3000 (理学電機社製)
・X線管球 : Rh
・出力 : 50kV
・電流 : 50mA
【0190】
上記評価方法での蛍光X線法による評価から、本実施例で得られた非晶質酸化物は下記の組成比を示す非晶質酸化物であった。
【0191】
(組成比)
実施例1〜18 : In:Zn:Ga = 100:112:117
実施例19 : In:Zn:Ga = 100:108:137
実施例20 : In:Zn:Ga = 100:110:105
実施例21 : In:Ga =100:125
実施例22 : In:Zn = 100:111
【0192】
〔オージェ電子分光法 評価方法〕
・測定装置 : FE−SAM680 (ファイ社製)
・加速電圧 : 10kV
・電流量 : 10nA
・スパッタエッチング条件 : Arイオン/加速電圧1kV
【0193】
上記評価方法でのオージェ電子分光法による測定の測定結果を図8に示す。
この結果から各構成元素(インジウム、亜鉛、ガリウム、酸素)の深度方向のばらつきはほとんどなく、極めて均質な非晶質酸化物であった。
【0194】
《非晶質酸化物の表面抵抗率》
実施例・比較例で作製した中間層の表面抵抗率は、以下に記載する方法で測定した。
基板を導電性支持体に代えて無アルカリガラス(コーニング#1737)とし、その他の条件は各実施例・比較例に準じて製膜を実施し、得られた中間層を測定に供した。表面抵抗率測定に際しては、無アルカリガラス上に形成した非晶質酸化物上に25μmギャップ、10mm長のAu電極を蒸着により作製し、電極間にバイアスを印加した際の中間層の通過電流を測定する方法で行った。本表面抵抗率測定を場所を変更して10回実施し、その平均値を算出した。各実施例・比較例で用いた中間層の表面抵抗率を下記表1に示す。
【0195】
【表1】

【0196】
次に、実施例1〜22および比較例1〜16の電子写真感光体を用いて、以下の試験を実施した。
《静電疲労後の静電特性評価・画像評価》
リコー製Imagio Neo 271の感光体ユニットから帯電ユニットを除く部材(クリーニングブレード等)を取り除いたユニットをランニング試験に用いた。実施例、比較例で作製した感光体を取り付けた改造感光体ユニットをImagio Neo 271改造機にセットし、通紙を行わず帯電、現像のみを繰り返し実施できるようにした。帯電条件としては、帯電ローラーを用い、直流電圧に交流電圧を重畳させた交番電圧を印加し、交流電圧のピークツーピーク電圧Vppは約1.9[kV]、周波数fは約900[Hz]、直流電圧は−800[V]、電子写真感光体の回転速度は125mm/secに設定した。現像条件としては、電荷発生材料としてフタロシアニン顔料を用いた実施例1〜3,7〜10,12、14〜22および比較例1,3〜4,6〜16については780nmのLDを用い、電荷発生材料としてジスアゾ顔料を用いたその他の実施例・比較例については655nmのLDを用いた。また、書き込みパターンを100%書き込みパターン(全ベタ)とした。本条件で10万枚のランニング(5%テストパターン/帯電−露光電位差750V/電子写真感光体静電容量110pF/cmyと仮定して計算)と同等の静電疲労を電子写真感光体に負荷するためには、約2時間のランニングによって達成できることが通過電荷量計算から示される。本評価ではランニング10万枚相当の静電疲労試験を上述の改造機を用いて実施し、以下に示す評価機を用いて画像評価を実施した。
【0197】
画像評価には、静電疲労試験時と同様に、電荷発生材料としてフタロシアニン顔料を用いた実施例1〜3,7〜10,12、14〜22および比較例1,3〜4,6〜16については780nmのLDを組み付けたリコー社製IPSiO ColorCX9000改造機を用い、電荷発生材料としてジスアゾ顔料を用いたその他の実施例・比較例については655nmのLDを組み付けたIPSiO ColorCX9000改造機を用いた。また、いずれの装置においても、画像出力時の初期空転プロセスをなくすように設定を変更した。トナーとしてはImagioトナータイプ27を用い、用紙としてはNBSリコー社製MyPaper(A4サイズ)を用いた。スタート時の感光体表面電位は−800Vとし、前記静電疲労前後における機内電位(暗部電位および露光部電位)の評価を行った。機内電位の定量方法としては、連続5枚の100%書込画像を出力し、5枚目画像書込直前の感光体表面電位を暗部電位とし、5枚目の画像書込時の電位を露光部電位とした。また、本発明の目的でもある長期間使用後の電子写真感光体の帯電性低下改善効果を確認するために、1枚目画像書込直前の感光体表面電位および2枚目画像書込直前の感光体表面電位を測定し、帯電電位の差を算出した。出力画像としては、は全面白地出力およびハーフトーン出力を5枚連続で行い、地汚れおよび濃度ムラ発現の確認により画像評価を実施した。機内電位の測定結果を表2および表3に示し、画像評価結果は表2に併せて示す。
【0198】
【表2】

【0199】
【表3】

【0200】
表2の結果から、実施例で得られた電子写真感光体は比較例で得られた電子写真感光体はいずれと比較していずれも静電疲労試験前後でも帯電性、光減衰性ともに大きな変化は見られなかった。特に電荷発生材料としてフタロシアニン系材料を用いた実施例に関してはその安定性は比較的高いことがわかる。一方で中間層を有しない比較例1〜3では露光部電位に大きな差は見られないが、暗部電位の低下が大きく顕れており、静電疲労に対する耐久性に乏しいことがわかる。粒子分散型の中間層を有する比較例4〜6に関しては静電疲労による暗部電位の低下、露光部電位の上昇のいずれも大きく顕れており、本発明の実施例1〜22の電子写真感光体と比較して静電安定性に乏しいことがわかった。また、非晶質酸化物を用いた場合であっても、その表面抵抗が1.0×105W/cmより大きい場合(比較例7〜14)は組成、組成比にかかわらず、実施例と比較して静電安定性に乏しいことがわかる。特に非晶質酸化物の表面抵抗が1.6×109W/cmにのぼる比較例10に関しては静電疲労後の暗部電位および露光部電位ともに比較例1〜6の中間層を設けない場合や従来の中間層を設けた場合と比較して大きな変化となっており、非晶質酸化物を中間層と用いる場合にはその表面抵抗調整が重要であることを裏付ける結果となった。中間層として結晶性酸化物である酸化スズを用いた場合には使用初期の段階から帯電安定性に乏しく、数枚の出力の後に帯電電位が100Vを下回る結果となったため、前記静電疲労試験の実施を断念した。
【0201】
画像に関しては、実施例で得られた電子写真感光体は電荷発生材料としてジスアゾ系材料を用いた場合には静電疲労後に若干の地汚れが発生することがあったが、フタロシアニン系材料を用いた場合には静電疲労前後で良好な画像が出力された。一方で比較例1〜3に関しては初期から、比較例4〜6に関しては静電疲労後に地汚れが多数発生しており、この結果からも静電安定性に乏しいことが明らかとなった。一方、非晶質酸化物を用いた電子写真感光体であっても、その非晶質酸化物の表面抵抗が大きい場合には静電疲労後数枚の出力画像に地汚れの発生が確認され、比較例1〜6よりも静電安定性は高いものの、実施例ほどの安定性は得られていないことが明らかとなった。
【0202】
次に表3に示した帯電性評価の結果から、実施例で得られた感光体はいずれも、静電疲労後1枚目から十分な帯電電位を獲得することができており、1枚目出力時の暗部電位と2枚目出力時の暗部電位とに差がほとんどないことがわかる。一方で、比較例1〜14の電子写真感光体はいずれも1枚目出力時の暗部電位と2枚目出力時の暗部電位とに大きな差が生じていることがわかる。特に表面抵抗の大きな非晶質酸化物を用いた場合は、暗部電位差がその表面抵抗に依存していることがわかる。
【0203】
さらに、実施例1〜22および比較例7〜14の中間層表面抵抗率と静電疲労後の暗部電位差との関係を図9に示す。図9を見ても明らかなように低表面抵抗率の中間層を用いた実施例については1枚目暗部電位と2枚目暗部電位との差が小さいのに対して、比較例は中間層の表面抵抗率が大きくなるに従って前記電位差が大きくなることが明らかである。比較例の結果から直線近似曲線(図示)を得、その直線のX切片(即ち前記電位差を0とするための中間層の表面抵抗率)を算出したところ、1.03×10Ω/cmであったことから、中間層として非晶質酸化物を用いた場合であって、高い静電安定性を有する電子写真感光体を得るためには、その中間層の表面抵抗率が1.0×10Ω/cm以下であることが必要と推定することができる。
【0204】
以上の結果から、本実施例に示した電子写真感光体は、静電的な負荷に対してもその特性変動が小さく、帯電性・光減衰性ともに初期の状態を維持したまま、長期に亘って画像品質に関わる欠陥が少ない電子写真感光体となることが判明した。
【図面の簡単な説明】
【0205】
【図1】本発明に係る電子写真感光体の一実施の形態である感光層が単層型である構成の一例を示す概略図である。
【図2】本発明に係る電子写真感光体のその他の実施の形態である感光層が積層型である構成の一例を示す概略図である
【図3】本発明に係る電子写真感光体のその他の実施の形態である感光層が積層型である構成のその他の例を示す概略図である。
【図4】本発明に係る画像形成装置の構成の一例を示す概略図である。
【図5】本発明に係る画像形成装置用プロセスカートリッジの構成の一例を示す概略図である。
【図6】実施例に用いたチタニルフタロシアニンのX線回折パターンを示すグラフである。
【図7】実施例1で作製した中間層のX線回折の測定結果を示すグラフである。
【図8】実施例で作成した中間層のオージェ電子分光法による測定の測定結果を示すグラフである。
【図9】実施例1〜22および比較例7〜14の中間層表面抵抗率と静電疲労後の暗部電位差との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0206】
1 電子写真感光体
2 除電ランプ
3 帯電チャージャ
5 画像露光部
6 現像ユニット
7 転写前チャージャ
8 搬送ローラ
9 被転写体(記録媒体)
10 転写チャージャ
11 分離チャージャ
12 分離爪
13 クリーニング前チャージャ
14 ファーブラシ
15 クリーニングブレード
31 導電性支持体
32 中間層
33 電荷発生層
34 電荷輸送層
36 (単層型または積層型)感光層
101 電子写真感光体
102 帯電手段
103 露光手段
104 現像手段
105 被転写体(記録媒体)
106 転写手段
107 クリーニング手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性支持体と、中間層と、感光層と、を有し、
前記中間層は、非晶質酸化物を含み、
該非晶質酸化物の表面抵抗率が1.0×10Ω/cm以下であり、
前記導電性支持体上に、前記中間層、前記感光層の順で積層されてなることを特徴とする電子写真感光体。
【請求項2】
前記非晶質酸化物は、インジウム、亜鉛、及びガリウムを含むことを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
【請求項3】
前記中間層の膜厚が、0.1μm以上0.9μm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の電子写真感光体。
【請求項4】
前記導電性支持体は、表面粗さRzが0.6μm以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
【請求項5】
前記感光層は、電荷発生層及び電荷輸送層からなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
【請求項6】
前記感光層は、フタロシアニン顔料を含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
【請求項7】
電子写真感光体を帯電させる帯電プロセスと、該帯電プロセスによって帯電させられた前記電子写真感光体表面に静電潜像を形成する潜像形成プロセスと、該潜像形成プロセスによって形成された前記静電潜像の画像部にトナーを付着させて顕像を形成する現像プロセスと、該現像プロセスによって形成された前記顕像を被転写体に転写する転写プロセスと、を繰り返し行う画像形成方法において、
前記電子写真感光体は、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成方法。
【請求項8】
電子写真感光体と、該電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、該帯電手段によって帯電させられた前記電子写真感光体表面に静電潜像を形成する潜像形成手段と、該潜像形成手段によって形成された前記静電潜像の画像部にトナーを付着させて顕像を形成する現像手段と、該現像手段によって形成された前記顕像を被転写体に転写する転写手段と、を備える画像形成装置において、
前記電子写真感光体は、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
電子写真感光体と、
該電子写真感光体を帯電させる帯電手段、該帯電手段によって帯電させられた前記電子写真感光体表面に静電潜像を形成する潜像形成手段、及び、該潜像形成手段によって形成された前記静電潜像の画像部にトナーを付着させて顕像を形成する現像手段、から選ばれる1以上の手段と、を備え、
画像形成装置に脱着自在である画像形成装置用プロセスカートリッジにおいて、
前記電子写真感光体は、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成装置用プロセスカートリッジ。
【請求項10】
請求項9に記載の画像形成装置用プロセスカートリッジを、脱着自在に備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−139853(P2010−139853A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−317042(P2008−317042)
【出願日】平成20年12月12日(2008.12.12)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】