説明

電子写真感光体の塗膜剥離方法、電子写真感光体の塗膜剥離装置、電子写真感光体の再生基材、再生電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび画像形成装置

【課題】電子写真感光体に形成されている塗膜を簡便に剥離することができる電子写真感光体の塗膜剥離方法を提供する。
【解決手段】円筒状の基材とその上に形成された塗膜とを有する電子写真感光体をその軸を中心に相対的に回転させながら前記塗膜に剥離部材を押しつけることにより、前記塗膜の少なくとも一部を剥離する電子写真感光体の塗膜剥離方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真感光体の塗膜剥離方法、電子写真感光体の塗膜剥離装置、電子写真感光体の再生基材、再生電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子写真感光体として、材料選択の広さ、高生産性といった利点より有機光導電材料が広く利用されている。使用後に回収された電子写真感光体は通常、感光層に摩耗などがあり、再生処理を行わなければ再利用できない。有機材料を用いた感光体の場合、摩耗が著しく再生処理も困難である。
【0003】
従来の電子写真感光体の再生処理としては、感光体表面を簡易的に清掃し、表面層の一部を塗布するいわゆるリペア法もあるが、感光体の有機膜を高温で焼却する、レーザで溶融除去する、ブラスト法などで研磨・研削する、溶剤や酸・アルカリ処理する、あるいは剥離層を設けるなどの方法により有機膜を除去し、アルミニウムのような感光体基材のみを再利用するという方法が一般的である。
【0004】
しかしながら、上記感光体の再生処理後は、新規の感光体作製プロセスと同様のプロセスで感光体を作製する必要があり、また、感光体基材の再生処理がさらに必要な場合も多い。そのため、再生コストも大きくなり、回収された感光体は産業廃棄物として廃棄される場合も少なくない。また、近年の有機物の焼却に伴う有害物の発生、ごみの発生量の増大という環境問題が生じる可能性もある。
【0005】
また、従来、電子写真感光体に取り付けられているフランジは、一旦感光体に固設した後は廃棄まで外されることなくストッパ部材や接着剤で固定したまま廃棄されていた。そのため、フランジと感光体とでずれが生じないように強固な金属製のストッパ部材や強接着性の接着剤で固定されることが多い。ストッパ部材や接着剤を強引に引き剥がすことも可能であるが、感光体の内壁に傷が付く、フランジやストッパ部材が損傷して再利用できない、接着剤が残存するといった問題点がある。
【0006】
例えば、特許文献1〜5には、下引き層、電荷発生層、電荷輸送層、保護層からなる感光体を使用後、溶融、切削、溶剤による溶解などにより電荷発生層のみ除去することが記載されている。特許文献4には、電荷輸送層直下の層の構成を規定し、溶剤による溶解により電荷輸送層のみを除去することが記載されている。特許文献6には下引き層の構成を規定し、それより上部の層を溶解、切削、剥離により除去することが記載されている。特許文献7には、感光体の表面保護層の剥離方法として、粘着ロールを使用することが記載されている。さらに特許文献8,9には、ブラシを感光層表面に押しつけて感光層を除去する方法が記載されている。
【0007】
【特許文献1】特開平2−248957号公報
【特許文献2】特開平5−281757号公報
【特許文献3】特開2001−27814号公報
【特許文献4】特開2001−201883号公報
【特許文献5】特開2001−343760号公報
【特許文献6】特開平5−341537号公報
【特許文献7】特開2003−98693号公報
【特許文献8】特開2004−86003号公報
【特許文献9】特開平10−39520号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、電子写真感光体に形成されている塗膜を簡便に剥離することができる電子写真感光体の塗膜剥離方法、電子写真感光体の塗膜剥離装置、そのような方法で再生した電子写真感光体の再生基材、再生電子写真感光体、その再生電子写真感光体を用いたプロセスカートリッジおよび画像形成装置である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、円筒状の基材とその上に形成された塗膜とを有する電子写真感光体をその軸を中心に相対的に回転させながら前記塗膜に剥離部材を押しつけることにより、前記塗膜の少なくとも一部を剥離する電子写真感光体の塗膜剥離方法である。
【0010】
また、前記電子写真感光体の塗膜剥離方法において、前記電子写真感光体をその軸を中心に回転させながら前記塗膜に前記剥離部材を押しつけることが好ましい。
【0011】
また、前記電子写真感光体の塗膜剥離方法において、前記電子写真感光体にはフランジが装着され、前記フランジを外すことなく、前記塗膜の少なくとも一部を剥離することが好ましい。
【0012】
また、本発明は、円筒状の基材とその上に形成された塗膜とを有する電子写真感光体を把持する把持手段と、前記電子写真感光体の塗膜に押しつけることにより前記塗膜の少なくとも一部を剥離するための剥離部材と、前記電子写真感光体および前記剥離部材を相対的に回転させる回転手段と、前記剥離部材を前記電子写真感光体に押しつける押しつけ手段と、を備える電子写真感光体の塗膜剥離装置である。
【0013】
また、前記電子写真感光体の塗膜剥離装置において、前記回転手段は、前記電子写真感光体をその軸を中心に回転させることが好ましい。
【0014】
また、前記電子写真感光体の塗膜剥離装置において、前記電子写真感光体にはフランジが装着され、前記把持手段は前記フランジを外すことなく前記電子写真感光体を把持することが可能であることが好ましい。
【0015】
また、本発明は、円筒状の基材と、その上に反応硬化型物質および粒子を含んだ下引き層、電荷発生層、および電荷輸送層の順に形成された塗膜とを有する電子写真感光体が、前記電子写真感光体の塗膜剥離方法により、前記下引き層と前記電荷発生層との間で剥離された電子写真感光体の再生基材である。
【0016】
また、本発明は、円筒状の基材と、その上に下引き層、電荷発生層、電荷輸送層、および反応硬化型物質を含んだ保護層の順に形成された塗膜とを有する電子写真感光体が、前記電子写真感光体の塗膜剥離方法により、前記電荷輸送層と前記保護層との間で剥離された電子写真感光体の再生基材である。
【0017】
また、本発明は、前記再生基材を洗浄処理した後に、電荷発生層および電荷輸送層を、スプレ法、スパイラル法およびインクジェット法のうち少なくとも1つにより塗布してなるものである再生電子写真感光体である。
【0018】
また、本発明は、前記再生基材を洗浄処理した後に、保護層を、スプレ法、スパイラル法およびインクジェット法のうち少なくとも1つにより塗布してなるものである再生電子写真感光体である。
【0019】
また、本発明は、前記再生電子写真感光体と、帯電手段、潜像形成手段、現像手段、転写手段、定着手段、クリーニング手段のうちの少なくとも1つとを有し、画像形成装置から着脱可能であるプロセスカートリッジである。
【0020】
また、本発明は、前記再生電子写真感光体と、帯電手段、潜像形成手段、現像手段、転写手段、定着手段、クリーニング手段のうちの少なくとも1つとを有する画像形成装置である。
【発明の効果】
【0021】
本発明の請求項1によれば、本方法を用いない場合に比べて、電子写真感光体に形成されている塗膜を簡便に剥離することができる。
【0022】
本発明の請求項2によれば、本方法を用いない場合に比べて、電子写真感光体に形成されている塗膜をより簡便に剥離することができる。
【0023】
本発明の請求項3によれば、本方法を用いない場合に比べて、フランジが装着された電子写真感光体に形成されている塗膜を、フランジを外すことなく簡便に剥離することができる。
【0024】
本発明の請求項4によれば、本構成を有さない場合に比べて、電子写真感光体に形成されている塗膜を簡便に剥離することができる。
【0025】
本発明の請求項5によれば、本構成を有さない場合に比べて、電子写真感光体に形成されている塗膜をより簡便に剥離することができる。
【0026】
本発明の請求項6によれば、本構成を有さない場合に比べて、フランジが装着された電子写真感光体に形成されている塗膜を、フランジを外すことなく簡便に剥離することができる。
【0027】
本発明の請求項7によれば、本構成を有さない場合に比べて、電子写真感光体の再生基材を簡便に得ることができる。
【0028】
本発明の請求項8によれば、本構成を有さない場合に比べて、電子写真感光体の再生基材を簡便に得ることができる。
【0029】
本発明の請求項9によれば、本構成を有さない場合に比べて、再生電子写真感光体を簡便に得ることができる。
【0030】
本発明の請求項10によれば、本構成を有さない場合に比べて、再生電子写真感光体を簡便に得ることができる。
【0031】
本発明の請求項11によれば、本構成を有さない場合に比べて、再生電子写真感光体を備えるプロセスカートリッジを簡便に得ることができる。
【0032】
本発明の請求項12によれば、本構成を有さない場合に比べて、再生電子写真感光体を備える画像形成装置を簡便に得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
【0034】
本発明の実施形態に係る電子写真感光体の塗膜剥離装置の一例の概略構成を図1に示す。図1(a)は塗膜剥離装置1の正面図であり、図1(b)は側面図である。電子写真感光体の塗膜剥離装置1は、把持手段である把持部10と、回転手段であるモータ12と、剥離部材14と、押しつけ手段であるバネ16と、を備える。
【0035】
本実施形態に係る電子写真感光体の塗膜剥離方法では、従来全く行われてなく、かつ非常に簡単な手段により確実に塗膜の少なくとも一部を剥離、除去するものである。具体的には、図1の塗膜剥離装置1において、円筒状の基材とその上に形成された少なくとも1つの層を含む塗膜(例えば、下層20と上層22とを含む)とを有する電子写真感光体18が、把持部10により把持されている。ロール状の剥離部材14の中心軸が、円筒状の電子写真感光体18の中心軸と略平行になるように、配置されている。電子写真感光体18は、モータ12により電子写真感光体18の軸を中心に所定の回転速度で回転される。回転する電子写真感光体18の塗膜に、例えばプラスチック製のロール状の剥離部材14がバネ16により所定の押しつけ力で押しつけられ、剪断応力により塗膜間の接着力の弱い部分において下層20から上層22の少なくとも一部が剥離される。剥離部材14を押しつける場所は塗膜に接触すればよく特に制限はないが、通常は、まず塗膜の端部に剥離部材14を押しつけ、電子写真感光体18の軸方向に沿って所定の移動速度で剥離部材14を走査すればよい。
【0036】
このように、回転している電子写真感光体18の基材上の塗膜に剥離部材14を押しつけることにより、剪断応力により塗膜間の接着力の弱い部分において、有機溶剤などの溶剤や粘着材などの特殊部材を用いることなく塗膜の少なくとも一部を簡便に剥離することができる。剥離された塗膜は剥離中に気流を吹き付けることなどにより除去することが好ましい。
【0037】
詳細な剥離の機構は不明であるが、剥離部材14を塗膜に押しつけたことによる剪断応力より塗膜間の結合が断ち切られる、局所的な摩擦熱により塗膜の軟化や応力緩和により塗膜間の結合が切れやすくなる、およびこれらの複合的な作用などによるものと考えられる。特に、反応硬化型物質を硬化した層と感光層との間、例えば反応硬化型物質として硬化性材料を含み粒子が分散された下引き層と電荷発生層との間や、電荷輸送層と反応硬化型物質として硬化性材料を含む保護層との間で簡単に剥離できることがわかった。これは、反応硬化型物質により反応した硬化膜と感光層に含まれる熱可塑性樹脂との間には乾燥時のひずみ程度が異なることにより内部応力が残るため、また熱膨張率が異なることにより摩擦時に空間が生じやすいため、これらの間で剥離しやすいものと考えられる。
【0038】
このように剥離処理を行って再生基材を得て、再生基材に残った塗膜を必要に応じて洗浄処理、修復処理した後、再生基材に感光層を改めて塗布して再生電子写真感光体を作製することができる。
【0039】
このとき、電子写真感光体に通常装着されているフランジは、外さない方が製造上、環境上好ましい。したがって、図2に示すように、把持部10はフランジ24を外すことなく電子写真感光体18を把持することが可能であり、フランジ24を外すことなく、塗膜の少なくとも一部を剥離することが好ましい。
【0040】
フランジを公知の方法により外す場合は、電子写真感光体の再生は塗膜剥離後、浸漬塗布などにより必要な層を塗布することにより達成できる。一方、フランジを外さない場合は、塗膜剥離後、スプレ法、スパイラル法、インクジェット法などのフランジに塗布液の接触がない非接触塗布方法により必要な層を塗布することにより達成できる。また、フランジを外さない場合、加熱乾燥によるフランジの劣化、基材との接着外れなどの問題が考えられるため、遠赤外線などによる局所的な加熱乾燥や電子線硬化材料、UV硬化型樹脂などの使用による加熱乾燥ストレスの少ない、さらには加熱乾燥レスの感光層形成が好ましい。
【0041】
剥離部材14の形状としては、所定の押しつけ圧を塗膜に与えることができればよく特に制限はないが、ロール(円柱)状、ブレード(板)状などが挙げられるが、接触面積が大きい、摩擦熱が発生しやすい、下層20に傷をつけにくい、などの点から通常は、ロール状である。また、剥離した膜の速やかな除去などを目的として、ロール状の剥離部材14の塗膜と接触する面側に、図3に示すようにテーパをつけてもよい。
【0042】
剥離部材14の材質は、金属、プラスチックなど適宜使用可能であるが、残る下層20に傷を極力つけないようにするためにプラスチックが好ましい。プラスチックとしては、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ABS(アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン)樹脂、AS(アクリロニトリル/スチレン)樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート等の汎用ブレスチックや、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、フッ素樹脂等のエンジニアリングプラスチックや、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂等が挙げられ、適度な剛性を有し、剥離性能および耐久性に優れる点などからポリアセタールが好ましい。
【0043】
剥離部材14の外径は特に制限はないが、例えば、3mm以上から電子写真感光体の基材の外径の2倍程度までとすればよい。剥離部材14の加工性やハンドリングのしやすさなどから剥離部材14の外径は5mm以上が好ましい。剥離部材14の外径の上限は、押しつけ力を塗膜に効果的に伝えるために、電子写真感光体の外径よりも小さいことが好ましい。剥離部材14の塗膜と接触する側の面の幅は、押しつけ力や生産速度などから適宜決められる。
【0044】
剥離部材14は回転させなくてもよいし、剥離した膜の除去や偏摩耗を防止するために適度な回転速度で回転させてもよい。その回転方向は特に制限はないが、剥離効率が高いなどの点から、図1(b)に示すように、電子写真感光体18の回転方向と同じ方向であること、すなわち剥離部材14と電子写真感光体18との接触面で回転方向が逆方向になることが好ましい。なお、図1の例では、電子写真感光体18をその軸を中心に回転させながら剥離部材14を押しつけているが、電子写真感光体18と剥離部材14とを電子写真感光体18の軸を中心に相対的に回転させればよい。例えば、電子写真感光体18を回転させずに、ロール状の剥離部材14をその軸を中心に回転させて電子写真感光体18の周方向に移動させながら押しつけてもよい。通常は、装置構成が簡易となるなどの点より、電子写真感光体18をその軸を中心に回転させながら剥離部材14を押しつけることが好ましい。
【0045】
剥離部材14の押しつけ力は、残る下層20に傷を極力つけず、かつ効率よく塗膜の上層22を剥離、除去するように調整すればよい。剥離部材14の押しつけ力は、押しつけ手段により調整することができ、例えば、図1のように剥離部材14にバネ16などの弾性体を設けることにより実現することができるが、これに限らない。剥離部材14の単位長さ当たりの押しつけ力(力/幅)は、0.5N/mm以上50N/mm以下が好ましく、1N/mm以上30N/mm以下がより好ましい。剥離部材14の単位長さ当たりの押しつけ力が0.5N/mm未満であると、剥離効率が低下する場合があり、50N/mmを超えると、下層20に傷がつく場合がある。また、剥離部材14の押しつけ力を調整することにより、塗膜が複数の層を有する場合、各層間の密着性に応じて、剥離する界面を選択することができる。
【0046】
剥離部材14の回転速度は、残る下層20に傷を極力つけず、かつ効率よく塗膜の上層22を剥離、除去するように調整すればよい。剥離部材14の回転速度は、100rpm以上1500rpm以下が好ましく、120rpm以上1200rpm以下がより好ましい。剥離部材14の回転速度が100rpm未満であると、剥離性能が低下する場合があり、1500rpmを超えると、下層20に傷がつく場合がある。
【0047】
剥離部材14の電子写真感光体18の軸方向への移動速度は、残る下層20に傷を極力つけず、かつ効率よく塗膜の上層22を剥離、除去するように調整すればよい。剥離部材14の移動速度は、1mm/min以上1000mm/min以下が好ましく、10mm/min以上500mm/min以下がより好ましい。剥離部材14の移動速度が1mm/min未満であると、下層20に傷がつく場合があり、1000mm/minを超えると、部分的に剥離されない塗膜が残るおそれが生じる。
【0048】
回転手段としては、電子写真感光体18と剥離部材14とを相対的に回転させることができるものであればよく特に制限はない。
【0049】
押しつけ手段としては、電子写真感光体18の塗膜に剥離部材14を所定の押しつけ力で押しつけることができるものであればよく特に制限はないが、バネ16の他に、エアシリンダ等を用いることができる。
【0050】
図4に、本実施形態における電子写真感光体18の層構成の一例を示す。塗膜50は、は、下引き層52、および電荷発生物質を含む電荷発生層54と、電荷輸送物質を含む電荷輸送層56とを含む感光層58を有する。電荷発生層54と電荷輸送層56の積層順序は逆であってもよい。これらは、電荷発生物質と電荷輸送物質とを別個の層(電荷発生層、電荷輸送層)に含有させて積層した積層型感光体であるが、電荷発生物質と電荷輸送物質との双方を同一の層に含む単層型感光体であってもよく、好ましくは積層型感光体である。下引き層52と感光層58との間に中間層を有していてもよい。また、図5に示すように、感光層58の上に、保護層62を有していてもよい。再生処理後の電子写真感光体の構成、組成は、元の感光体の構成、組成と同じでも異なってもよい。
【0051】
円筒状基材60としては、通常、直径がφ10mm以上200mm以下、長さが250mm以上1000mm以下の円筒体が用いられる。また、円筒状基材60の材料としては、アルミニウム、ステンレス、ニッケルなどの金属材料、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ナイロン、ポリスチレン、フェノール樹脂などの高分子材料または硬質紙などの絶縁材料に導電物質を分散させて導電処理したもの、上記の絶縁材料に金属泊を積層したもの、上記の絶縁材料に金属の蒸着膜を形成したもの、などが挙げられ、通常はアルミニウムが用いられる。
【0052】
また、円筒状基材60は、陽極酸化処理、粗研削処理、ホーニング処理などの表面処理が施されたものであってもよい。このような表面処理により導電性基材の表面粗さを所定の範囲内(好ましくは算術平均粗さRaが0.05μm以上0.5μm以下、最大高さRmaxが0.5μm以上5μm以下)とすることによって、光の干渉を防止することができる。
【0053】
下引き層52は円筒状基材60の表面隠蔽と感光層58との密着性向上、感光層58の電荷保持機能などを持ち、例えば下記に記す材料、作製方法で形成される。下引き層52は、高分子化合物単体で構成されてもよいが、高分子化合物中に粒子を分散させたもの、高分子化合物と有機金属化合物との混合物など、さらに反応硬化型物質を含んで構成されてもよい。
【0054】
上記高分子化合物としては、ポリビニルブチラールなどのアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂などが挙げられる。
【0055】
上記高分子化合物中に分散させる粒子としては、例えば酸化亜鉛、酸化チタンなどの金属酸化物、シリコン樹脂、二酸化珪素などの珪素化合物、テフロン(登録商標)などのフッ素化合物が挙げられる。上記粒子の粒径は0.1μm以上3μm以下の範囲であることが好ましい。
【0056】
下引き層52は、例えば反応硬化型物質を含む高濃度粒子分散液を塗布して形成される。例えば、含有される粒子の比表面積が10m/g以上であり、粒子の質量濃度が20質量%以上50質量%以下であり、バインダ樹脂を含む固形分の質量濃度が30質量%以上70質量%以下であり、分散液の密度が1500kg/m以下であるような塗布液を浸漬塗布などにより形成される。本実施形態では、下引き層52が反応硬化型物質を含む場合、通常、この下引き層52より上層の塗膜が剥離される。
【0057】
下引き層52に含有させてもよい反応硬化型物質としては、例えば、フェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂などの硬化性材料などが挙げられる。
【0058】
下引き層形成用塗布液を調製するに際しては、高分子化合物を溶解した溶剤中に粒子を添加して分散処理を行う。粒子を高分子化合物中に分散させる方法としては、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、コロイドミル、ペイントシェーカーなどの方法を用いることができる。
【0059】
また、高分子化合物と混合させる有機金属化合物としては、シリコン、ジルコニウム、チタニウム、アルミニウム、マンガン原子などを含有する有機金属化合物などがある。これらの有機金属化合物は、単独で、あるいは複数種類の有機金属化合物の混合物として用いることができる。中でも、シリコン原子もしくはジルコニウム原子を含有する有機金属化合物は、残留電位が低く環境による電位変化が少なく、また繰り返し使用による電位の変化が少ないなど性能上優れている。
【0060】
シリコン原子を含有する有機金属化合物は特に限定されるものではないが、中でも特に好ましく用いられる有機金属化合物は、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシシラン)、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤である。
【0061】
ジルコニウム原子を含有する有機金属化合物の例として、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセト酢酸エチル、ジルコニウムトリエタノールアミン、アセチルアセトネートジルコニウムブトキシド、アセト酢酸エチルジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムオキサレート、ジルコニウムラクテート、ジルコニウムホスホネート、オクタン酸ジルコニウム、ナフテン酸ジルコニウム、ラウリン酸ジルコニウム、ステアリン酸ジルコニウム、イソステアリン酸ジルコニウム、メタクリレートジルコニウムブトキシド、ステアレートジルコニウムブトキシド、イソステアレートジルコニウムブトキシドなどが挙げられる。
【0062】
チタニウム原子を含有する有機金属化合物の例としては、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、チタンアセチルアセトネート、ポリチタンアセチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタンラクテートエチルエステル、チタントリエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステアレートなどが挙げられる。
【0063】
アルミニウム原子を含有する有機金属化合物の例としては、アルミニウムイソプロピレート、モノブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムブチレート、ジエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)などが挙げられる。
【0064】
下引き層52の厚さは、0.1μm以上30μm以下の範囲が好ましい。下引き層52が、高分子化合物中に金属酸化物などの粒子を分散させたもので構成されている場合には、その厚さは10μm以上30μm以下の範囲が好ましく、下引き層52が、高分子化合物単体または高分子化合物と有機金属化合物との混合物で構成されている場合には、その厚さは0.1μm以上10μm以下の範囲が好ましい。
【0065】
感光層58の電荷発生層54に含まれる電荷発生物質としては、ビスアゾ、トリスアゾなどのアゾ顔料、ジブロモアントアントロンなどの縮環芳香族顔料、ペリレン顔料、ピロロピロール顔料、フラトシアニン顔料など既知のもの全て使用することができるが、とくに金属および無金属フタロシアニン顔料が好ましい。その中でも、特開平5−263007号公報および特開平5−279591号公報に開示されたヒドロキシガリウムフタロシアニン、特開平5−98181号公報に開示されたクロロガリウムフタロシアニン、特開平5−140472号公報および特開平5−140473号公報に開示されたジクロロスズフタロシアニン、特開平4−189873号公報および特開平5−43813号公報に開示されたチタニルフタロシアニンが特に好ましい。
【0066】
電荷発生層54は、上記の電荷発生物質を適当な溶剤を用いてバインダ樹脂とともに基材上に塗布することにより形成される。バインダ樹脂は広範な絶縁性樹脂から選択でき、好ましい樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂などの絶縁性樹脂を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン、ポリシランなどの有機光導電性ポリマから選択することもできる。これらのバインダ樹脂は単独あるいは2種以上混合して用いることができる。
【0067】
電荷発生材料とバインダ樹脂の配合比は(質量比)は10:1以上1:10以下の範囲が好ましい。またこれらを分散させる方法としては、ボールミル分散法、アトライター分散法、サンドミル分散法などの通常の方法を用いることができるが、この時、分散によって電荷発生材料の結晶型が変化しない条件が必要とされる。分散の際、粒子を0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下、さらに好ましくは0.15μm以下の粒子径にすることが有効である。
【0068】
これらの分散に用いる溶剤としては、メタノール、エタノール、N−プロパノール、N−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸N−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、クロロベンゼン、トルエンなどの通常の有機溶剤を単独あるいは2種以上混合して用いることができる。また、本実施形態で用いる電荷発生層54の厚みは一般的には、0.1μm以上5μm以下、好ましくは0.2μm以上2μm以下の範囲が適当である。
【0069】
次いで、電荷輸送層56について説明する。電荷輸送層56は、電荷輸送材料とバインダ樹脂を含有して形成されるか、あるいは高分子電荷輸送材を含有して形成される。
【0070】
電荷輸送材料としては、p−ベンゾキノン、クロラニル、ブロマニル、アントラキノンなどのキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノンなどのフルオレノン系化合物、キサントン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノビニル系化合物、エチレン系化合物などの電子輸送性化合物、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物などの正孔輸送性化合物があげられる。これらの電荷輸送材料は単独または2種以上混合して用いることができるが、これらに限定されるものではない。
【0071】
電荷輸送層56に用いるバインダ樹脂は、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコン樹脂、シリコン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂や、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシラン、特開平8−176293号公報や特開平8−208820号公報に示されているポリエステル系高分子電荷輸送材など高分子電荷輸送材を用いることもできる。これらのバインダ樹脂は単独あるいは2種以上混合して用いることができる。
【0072】
電荷輸送材料とバインダ樹脂との配合比(質量比)は10:1以上1:5以下の範囲が好ましい。またこれらを分散させる方法としては、ボールミル分散法、アトライター分散法、サンドミル分散法などの通常の方法を用いることができる。
【0073】
これらの分散に用いられる溶剤としては、トルエン、キシレン、クロルベンゼンなどの芳香族炭化水素類、アセトン、2−ブタノンなどのケトン類、テトラヒドロフラン、エチルエーテルなどの環状もしくは直鎖状のエーテル類などの通常の有機溶剤を単独あるいは2種以上混合して用いることができる。電荷輸送層56の厚みは一般的には、5μm以上50μm以下、好ましくは10μm以上35μm以下の範囲が適当である。
【0074】
また、上記の塗工液を塗布する方法としては、ブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法などが挙げられるが、通常は浸漬コーティング法(浸漬塗布法)が用いられる。
【0075】
保護層62は反応硬化型物質として熱硬化材料などの硬化性材料を含む。例えば、少なくとも2種類の熱硬化性樹脂と、この少なくとも2種類の熱硬化性樹脂をともに溶解する溶剤を少なくとも1種含有する塗布液を浸漬塗布などにより塗布した後、加熱硬化処理することにより形成される。本実施形態では、保護層62が存在する場合、この保護層62が剥離される。
【0076】
次に、保護層形成用塗布液に含まれる反応硬化型物質としての硬化性材料の好ましい例について詳述する。保護層形成用塗布液は、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂およびイソシアネート樹脂のうち少なくとも1種を含むことが好ましく、耐磨耗性の点からは、フェノール樹脂が特に好ましい。フェノール樹脂としては、フェノール型、クレゾール型、キシレノール型、p−t−ブチルフェノール型、p−フェニルフェノール型、レゾルシノール型などのレゾール樹脂、ならびにノボラック樹脂が挙げられる。これらの樹脂を硬化させる方法としては特に限定されないが、加熱によるものや、放射線、電子線、光(例えば紫外線)等のエネルギ線を加えることで硬化させることができる。
【0077】
更に、保護層形成用塗布液は、フェノール樹脂の構成成分として、少なくともメチロール基を有するフェノール誘導体の1種以上と、電荷輸送成分として水酸基、カルボキシル基、アルコキシシリル基、エポキシ基、チオール基、アミノ基から選択される置換基を少なくとも1つ含有する電荷輸送材料の1種以上とを含むことが好ましい。
【0078】
メチロール基を有するフェノール誘導体としては、レゾルシン、ビスフェノールなど、フェノール、クレゾール、キシレノール、パラアルキルフェノール、パラフェニルフェノールなどの水酸基を1個含む置換フェノール類、カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノンなどの水酸基を2個含む置換フェノール類、ビスフェノールA、ビスフェノールZなどのビスフェノール類、ビフェノール類など、フェノール構造を有する化合物とホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド等を酸、あるいは、アルカリ触媒下で反応させ、モノメチロールフェノール類、ジメチロールフェノール類、トリメチロールフェノール類のモノマ、及びそれらの混合物、またはそれらをオリゴマ化されたもの、およびモノマとオリゴマの混合物を作製する。このうち、分子の構造単位の繰り返しが2以上20以下程度の比較的大きな分子がオリゴマ、それ以下のものがモノマである。この時用いられる酸触媒としては、硫酸、パラトルエンスルホン酸、リン酸などが用いられ、アルカリ触媒としては、NaOH、KOH、Ca(OH)等のアルカリ金属及びアルカリ土類金属の水酸化物やアミン系触媒が用いられる。アミン系触媒としては、アンモニア、ヘキサメチレンテトラミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等があるが、これらに限定されるものではない。塩基性触媒を使用した場合には、残留する触媒によりキャリアが著しくトラップされ、電子写真特性を悪化させる場合が多いため、酸で中和するか、シリカゲルなどの吸着剤や、イオン交換樹脂などと接触させることにより不活性化、あるいは、除去することが好ましい。
【0079】
<プロセスカートリッジ>
本実施形態に係るプロセスカートリッジは、像保持体として前記再生電子写真感光体と、像保持体の表面を帯電させる帯電手段、帯電した像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段、像保持体の表面に形成された潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段、像保持体の表面に形成されたトナー像を被転写体に転写する転写手段、被転写体に転写されたトナー像を定着する定着手段、転写後の像保持体表面を清掃するクリーニング手段のうちの少なくとも1つとを有する。
【0080】
本発明の実施形態に係るプロセスカートリッジの一例の概略構成を図6に示し、その構成について説明する。プロセスカートリッジ3は、静電潜像が形成される像保持体としての電子写真感光体18と、電子写真感光体18の表面を接触帯電する円筒状の帯電ロール70と、帯電ロール70に接触して帯電ロール70の表面を清掃するためクリーニングロール72と、電子写真感光体18の表面に形成された静電潜像にトナーを付着させてトナー像を形成する現像手段としての現像ロール74と、電子写真感光体18の表面に接触して、転写後に電子写真感光体18に残ったトナー等を清掃するクリーニング手段としてのクリーニングブレード76とが一体に支持されており、画像形成装置に着脱自在である。画像形成装置に装着されたときには電子写真感光体18の周囲に、帯電ロール70、レーザ光あるいは原稿の反射光等により電子写真感光体18の表面に静電潜像を形成する潜像形成手段としての露光装置78、現像ロール74、電子写真感光体18表面のトナー像を被転写体である記録紙82に転写処理する転写手段としての転写ロール80、クリーニングブレード76がこの順序で配置されるようになっている。なお、図6では、他の電子写真プロセスにおいて通常必要な機能ユニットは、その記載を省略してある。
【0081】
本実施形態に係るプロセスカートリッジ3の動作について説明する。
【0082】
まず、電子写真感光体18表面に接触された帯電ロール70に対して電圧を高圧電源(図示せず)から給電することによって、電子写真感光体18の表面を一様に高電位に帯電する。このとき電子写真感光体18および帯電ロール70は図6の矢印方向にそれぞれ回転する。帯電後、電子写真感光体18表面に露光装置78により画像情報に応じた画像光(露光)84が照射されると、照射された部分は電位が低下する。画像光84は画像の黒/白等に応じた光量の分布であるため、画像光84の照射によって電子写真感光体18表面に記録画像に対応する電位分布、すなわち静電潜像が形成される。静電潜像が形成された部分が、現像ロール74を通過すると、その電位の高低に応じてトナーが付着し、静電潜像を可視化したトナー像が形成される。トナー像が形成された部分に、所定のタイミングでレジストロール(図示せず)により記録紙82が搬送され、電子写真感光体18表面のトナー像と重なる。このトナー像が、転写ロール80によって記録紙82に転写された後、記録紙82は、電子写真感光体18から分離される。分離された記録紙82は搬送経路を通って搬送され、定着手段としての定着ユニット(図示せず)によって、加熱加圧定着されたあと、機外へ排出される。
【0083】
プロセスカートリッジ3に設けられた帯電ロール70にはクリーニングロール72が設置され、高圧電源からベアリング86に電圧が印加され、クリーニングロール72が帯電ロール70と電気的に同極性を有することで、異物をクリーニングロール72および帯電ロール70表面に蓄積させることなく移行でき、クリーニングブレード76で回収させることができるため、帯電部材に付着したトナー等の異物を長期にわたり、安定的に除去することができる。このため、長期にわたり帯電ロール70に汚れが蓄積することなく均一帯電性能において優れたものとなり安定した帯電性能が維持できる。
【0084】
露光装置78としては、特に制限はなく、例えば、電子写真感光体18表面に、半導体レーザ光、LED光、液晶シャッタ光等の光源を、所望の像様に露光できるレーザ光学系、LEDアレイなどの光学系機器等が挙げられる。
【0085】
現像手段は、電子写真感光体18上に形成された静電潜像を静電荷像現像用トナーを含む一成分現像剤あるいは二成分現像剤により現像してトナー像を形成する機能を有する。そのような現像装置としては、上述の機能を有している限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、トナー層が電子写真感光体18に接触する方式のものでも、接触しない方式のものでもよい。例えば、図6のように静電荷像現像用トナーを現像ロール74を用いて電子写真感光体18に付着させる機能を有する現像器、あるいはブラシ等を用いてトナーを電子写真感光体18に付着させる機能を有する現像器等、公知の現像器等が挙げられる。現像剤担時体には、通常直流電圧が使用されるが、更に交流電圧を重畳させて使用してもよい。
【0086】
転写手段としては、紙等に直接転写する方式のものでも、中間転写体を介して転写する方式のものでもよい。例えば、図6に示すような記録紙82の表面に記録紙82を介して直接接触して転写する導電性または半導電性のロール等を用いた転写ロール80および転写ロール押圧装置(図示せず)を用いることができる。また、記録紙82の裏側からトナーとは逆極性の電荷を記録紙82に与え、静電気力によりトナー像を記録紙82に転写するものを用いてもよい。転写ロール80には、電子写真感光体18に付与する転写電流として、直流電流を印加してもよいし、交流電流を重畳させて印加してもよい。転写ロール80は、帯電すべき画像領域幅、転写帯電器の形状、開口幅、プロセススピード(周速)等により、任意に設定することができる。また、低コスト化のため、転写ロール80として単層の発泡ロール等が好適に用いられる。
【0087】
定着手段としての定着ユニットとしては、記録紙82に転写されたトナー像を加熱、加圧あるいは加熱加圧により定着するものであれば特に制限はない。
【0088】
トナー像を転写する被転写体である記録紙82としては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンタ等に使用される普通紙、OHPシート等が挙げられる。定着後における画像表面の平滑性をさらに向上させるには、転写材の表面もできるだけ平滑であることが好ましく、例えば、普通紙の表面を樹脂等でコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙等を好適に使用することができる。
【0089】
<画像形成装置>
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体として前記再生電子写真感光体と、像保持体の表面を帯電させる帯電手段、帯電した像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段、像保持体の表面に形成された潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段、像保持体の表面に形成されたトナー像を被転写体に転写する転写手段、被転写体に転写されたトナー像を定着する定着手段、転写後の像保持体表面を清掃するクリーニング手段のうちの少なくとも1つとを有する。また、本実施形態に係る画像形成装置は、上記プロセスカートリッジを使用するものであってもよい。
【0090】
本実施形態に係る画像形成装置の一例の概略構成を図7に示し、その構成について説明する。画像形成装置5は、静電潜像が形成される像保持体としての電子写真感光体18と、電子写真感光体18の表面を接触帯電する円筒状の帯電ロール70と、帯電ロール70に接触して帯電ロール70の表面を清掃するためクリーニングロール72と、レーザ光あるいは原稿の反射光等により電子写真感光体18の表面に静電潜像を形成する潜像形成手段としての露光装置78と、電子写真感光体18の表面に形成された静電潜像にトナーを付着させてトナー像を形成する現像手段としての現像ロール74と、電子写真感光体18表面のトナー像を被転写体である記録紙82に転写処理する転写手段としての転写ロール80と、電子写真感光体18の表面に接触して、転写後に電子写真感光体18に残ったトナー等を清掃するクリーニング手段としてのクリーニングブレード76とを備える。画像形成装置5において、電子写真感光体18の周囲に、帯電ロール70、露光装置78、現像ロール74、転写ロール80、クリーニングブレード76がこの順序で配置されている。なお、図7では、他の電子写真プロセスにおいて通常必要な機能ユニットは、その記載を省略してある。画像形成装置5の各構成、画像形成時の動作は図6のプロセスカートリッジ3と同様である。
【0091】
本実施形態に係る帯電装置を用いた画像形成装置の帯電装置以外の構成については、これらに限らず従来から電子写真方式の画像形成装置の各構成として公知の構成が適用できる。すなわち、上記帯電装置以外の構成、例えば、潜像形成手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段、給紙手段、搬送手段、画像制御手段等について、必要に応じて従来公知のものが適宜採用される。これらの構成については、本実施形態において特に限定されるものではない。
【実施例】
【0092】
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0093】
(実施例1)
酸化亜鉛(体積平均粒子径70nm、テイカ社製試作品、比表面積値15m/g)100質量部をトルエン500質量部と撹拌混合し、シランカップリング剤(KBM603、信越化学社製)1.5質量部を添加し、2時間撹拌した。その後、トルエンを減圧蒸留にて留去し、120℃で3時間焼き付けを行い、シランカップリング剤表面処理酸化亜鉛を得た。
【0094】
前記表面処理を施した酸化亜鉛60質量部と反応硬化型物質である硬化剤ブロック化イソシアネート(スミジュール3175、住友バイエルンウレタン社製)15質量部と、ブチラール樹脂(BM−1、積水化学社製)15質量部とをメチルエチルケトン85質量部に溶解した溶液38質量部と、メチルエチルケトン25質量部とを混合し、1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて2時間の分散を行い、分散液を得た。得られた分散液に触媒としてジオクチルスズジラウレート0.005質量部を添加し、さらに濃度調整を行い60.5質量%の塗布用分散液を得た。
【0095】
この塗布用分散液を浸漬塗布循環機内で循環し、浸漬塗布槽に直径30mm、長さ404mmのアルミニウム基材14本を一度に浸漬後、毎分320mmの引き上げ速度にて塗布し、160℃、60分の乾燥硬化を行い、平均膜厚25μmの目視上均一な下引き層を得た。
【0096】
次に、下引き層上に感光層を形成した。まず、電荷発生物質としてのCuKα線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)が少なくとも7.3゜,16.0゜,24.9゜,28.0゜の位置に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン15質量部、結着樹脂としての塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体樹脂(VMCH、日本ユニカー社製)10質量部、n−酢酸ブチル300質量部を含む混合物を、1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間分散した。得られた分散液を電荷発生層用の塗布液として下引き層上に浸漬塗布し、乾燥して、厚みが0.2μmの電荷発生層を形成した。
【0097】
さらに、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1']ビフェニル−4,4'−ジアミン4質量部と、ビスフェノールZポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量4万)6質量部とをクロルベンゼン80質量部を加えて溶解した塗布液を用いて電荷発生層上に形成し、130℃、40分の乾燥を行うことにより膜厚20μmの電荷輸送層を形成し感光体を得た。この感光体の両端部にフランジを嵌合し、完成品とした。
【0098】
以上のようにして得られた電子写真感光体を、中間転写ベルトを備えた4色タンデム方式のフルカラー現像システムベンチモデル機に搭載し、以下の画質評価試験を実施したところ良好な画質が得られた。なお、このフルカラー現像システムベンチモデル機は、帯電、露光、現像、転写を行った後、除電無しで次の帯電を行うイレーズレス方式の電子写真装置である。帯電装置としてスコロトロン帯電器、露光装置として780nmの半導体レーザを使用した走査型レーザ出力装置、現像方式として2成分現像方式を採用している。
【0099】
その後、得られた積層型電子写真感光体を、フランジを外して図1のように塗膜剥離装置に組み付け、電子写真感光体を800rpmにて回転させた。この回転している電子写真感光体にポリアセタールから構成された外径20mm、幅7.2mmのロール状の剥離部材を単位長さ当たり48N/mmの力でバネにより電子写真感光体の基材端部から押しつけ、100mm/minの移動速度で感光体の軸方向に移動させた。
【0100】
移動中に剥離部材は回転させず、感光体および剥離部材の上部からエアガンにて接触箇所付近をブローすることにより剥離された塗膜を除去した。剥離は、下引き層と電荷発生層との間で生じた。その後、イソプロピルアルコールを用いて下引き層の表面を洗浄後、90℃で20分乾燥して、再生基材を得た。この再生基材を用いて、前に作製した時と同様の上記方法で感光層を形成して、再生電子写真感光体を得た。
【0101】
この塗膜が剥離された再生基材および再生処理された積層型電子写真感光体について、それぞれ以下の基準にて剥離品質および印刷画質を評価したところ、剥離残や剥離によるスクラッチキズも見られず、再生前と遜色ない画質が得られた。結果を表1に示す。
【0102】
<剥離品質>
剥離、洗浄後の剥離基材表面状態を目視観察し、以下の基準にて評価した。
「A」:スクラッチキズ(または剥離残)が認められなかった
「B」:スクラッチキズ(または剥離残)がわずかに認められたが、実用上問題のないレベルであった
「C」:スクラッチキズ(または剥離残)がはっきりと認められた
【0103】
<印刷画質>
上記のレーザプリンタを用い、20℃、50%RHの環境下で、初期にドラム1周分「G」の文字パターンを印字した後、1ドット1スペースの全面ハーフトーン画像及び全面白の画像(バックグラウンド画像)を出力して、その画像を目視で観察し、黒点およびスジ状のスクラッチキズ痕の発生状況を評価した。次に、約2mm幅の線を縦横7mmおきに印字した画像を2万枚出力した後、上記と同様にドラム1周分「G」の文字パターンを印字した後、1ドット1スペースの全面ハーフトーン画像およびバックグラウンド画像を出力して、黒点およびスクラッチキズ痕を評価した。
「A」:黒点(またはスクラッチキズ)が認められなかった
「B」:黒点(またはスクラッチキズ)がわずかに認められたが、実用上問題のないレベルであった
「C」:黒点(またはスクラッチキズ)がはっきりと認められた
【0104】
(実施例2)
下引き層として、基材表面の陽極酸化による酸化被膜とした以外は実施例1と同様の方法にて感光層を形成した。
【0105】
さらに、下記化合物(1)16質量部とメタノール16質量部とを100mLサンプル瓶中に注ぎ、イオン交換樹脂(アンバーリスト15、ローム・アンド・ハース社製)を1.6質量部加え、室温で約3時間撹拌した。次に、n−ブタノール35質量部と水8質量部を加え、室温で5分間撹拌し、素早くろ過した。この溶液に3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(BHT)0.3質量部を加え、室温で1時間撹拌した。この液に反応硬化型物質であるフェノール樹脂であるレゾール樹脂(群栄化学社製、レヂトップPL−4852)16質量部とシクロヘキサノン20質量部を加え、更に室温で1時間撹拌した。その後、5μmのメンブランフィルタでろ過し塗布液を得た。
【0106】
【化1】


化合物(1)
【0107】
この塗布液を、電荷輸送層上に浸漬塗布し、100℃で3時間加熱硬化処理を行い、厚み5.0μmの保護層を形成した。この感光体の両端部にフランジを嵌合し、完成品とした。
【0108】
以上のようにして得られた電子写真感光体を、フルカラー現像システムベンチモデル機に搭載し、実施例1と同様にして印刷画質を調べたところ、良好な画質が得られた。
【0109】
得られた積層型電子写真感光体を、フランジを外すことなく図2のように塗膜剥離装置に組み付け、300rpmにて回転させた。この回転している感光体に、ポリアセタールから構成された外径20mm、幅7.2mmのロール状の剥離部材を3N/mmの力でバネにより電子写真感光体の基材端部から押しつけ、30mm/minの移動速度で感光体の軸方向に移動させた。
【0110】
移動中に剥離部材は回転させず、感光体および剥離部材の上部からエアガンにて接触箇所付近をブローすることにより剥離された塗膜を除去した。剥離は、電荷輸送層と保護層との間で生じた。その後、イソプロピルアルコールを用いて電荷輸送層の表面を洗浄後、90℃で20分乾燥させて再生基材を得た。さらに、この再生基材を用いて、スパイラル塗布法により上記保護層用塗布液を成膜し、赤外加熱により100℃で3時間加熱硬化処理を行い、5.0μmの保護層を形成して、再生電子写真感光体を得た。
【0111】
この再生処理された積層型電子写真感光体について、再生前の電子写真感光体と同様に印刷画質を調べたところ、再生前と遜色ない画質が得られた。結果を表1に示す。
【0112】
(実施例3)
剥離部材を電子写真感光体と同じ方向に回転させ、剥離部材と電子写真感光体との接触面で回転方向が逆方向になるようにした以外は、実施例1と同様にして再生電子写真感光体を得た。実施例1と同様にして、塗膜が剥離された再生基材および再生処理された積層型電子写真感光体について、剥離品質および印刷画質を評価したところ、剥離残や剥離によるスクラッチキズも見られず、再生前と遜色ない画質が得られた。結果を表1に示す。
【0113】
(実施例4)
剥離部材の押しつけ力を60N/mmとした以外は実施例1と同様にして、再生電子写真感光体を得た。塗膜が剥離された再生基材および再生処理された積層型電子写真感光体について、剥離品質および印刷画質を評価したところ、わずかに剥離によるスクラッチキズが見られたが実用上問題無く、良好な印刷画像が得られた。結果を表1に示す。
【0114】
(実施例5)
剥離部材の押しつけ力を20N/mmとした以外は実施例1と同様にして、再生電子写真感光体を得た。塗膜が剥離された再生基材および再生処理された積層型電子写真感光体について、剥離品質および印刷画質を評価したところ、再生前と遜色ない画質が得られた。また、剥離残や剥離によるスクラッチキズも見られなかった。結果を表1に示す。
【0115】
(実施例6)
剥離部材の押しつけ力を1N/mmとした以外は実施例1と同様にして、再生電子写真感光体を得た。塗膜が剥離された再生基材および再生処理された積層型電子写真感光体について、剥離品質および印刷画質を評価したところ、わずかに剥離残が見られたが実用上問題無く、良好な印刷画像が得られた。結果を表1に示す。
【0116】
(比較例1)
実施例1の方法にて作製された再生前の電子写真感光体に、線径0.7mmのポリプロピレンからなるブラシ(幅10mm)を5N/mmの力でバネにより感光体に圧接させた以外は実施例1と同様の方法で剥離を試みた。その結果、下引き層には目視上明確な摺擦傷が残ってしまった。結果を表1に示す。
【0117】
(比較例2)
実施例2の方法にて作製された再生前の電子写真感光体に、線径0.2mmのポリプロピレンからなるブラシ(幅10mm)を0.5N/mmの力でバネにより感光体に圧接させた以外は実施例2と同様の方法で剥離を試みた。その結果、電荷輸送層には目視上明確な剥離残および実用上問題ない程度の摺擦傷が残ってしまった。結果を表1に示す。
【0118】
【表1】

【0119】
このように、実施例1〜6では、電子写真感光体に形成されている塗膜を簡便に剥離することができた。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】本発明の実施形態に係る塗膜剥離装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る塗膜剥離装置の他の例を示す概略構成図である。
【図3】本発明の実施形態に係る塗膜剥離装置の他の例を示す概略構成図である。
【図4】本発明の実施形態に係る電子写真感光体の層構成の一例を示す概略断面図である。
【図5】本発明の実施形態に係る電子写真感光体の層構成の他の例を示す概略断面図である。
【図6】本発明の実施形態に係るプロセスカートリッジの一例を示す概略構成図である。
【図7】本発明の実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0121】
1 塗膜剥離装置、3 プロセスカートリッジ、5 画像形成装置、10 把持部、12 モータ、14 剥離部材、16 バネ、18 電子写真感光体、20 下層、22 上層、24 フランジ、50 塗膜、52 下引き層、54 電荷発生層、56 電荷輸送層、58 感光層、60 円筒状基材、62 保護層、70 帯電ロール、72 クリーニングロール、74 現像ロール、76 クリーニングブレード、78 露光装置、80 転写ロール、82 記録紙、84 画像光、86 ベアリング。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状の基材とその上に形成された塗膜とを有する電子写真感光体をその軸を中心に相対的に回転させながら前記塗膜に剥離部材を押しつけることにより、前記塗膜の少なくとも一部を剥離することを特徴とする電子写真感光体の塗膜剥離方法。
【請求項2】
請求項1に記載の電子写真感光体の塗膜剥離方法であって、
前記電子写真感光体をその軸を中心に回転させながら前記塗膜に前記剥離部材を押しつけることを特徴とする電子写真感光体の塗膜剥離方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電子写真感光体の塗膜剥離方法であって、
前記電子写真感光体にはフランジが装着され、前記フランジを外すことなく、前記塗膜の少なくとも一部を剥離することを特徴とする電子写真感光体の塗膜剥離方法。
【請求項4】
円筒状の基材とその上に形成された塗膜とを有する電子写真感光体を把持する把持手段と、
前記電子写真感光体の塗膜に押しつけることにより前記塗膜の少なくとも一部を剥離するための剥離部材と、
前記電子写真感光体および前記剥離部材を相対的に回転させる回転手段と、
前記剥離部材を前記電子写真感光体に押しつける押しつけ手段と、
を備えることを特徴とする電子写真感光体の塗膜剥離装置。
【請求項5】
請求項4に記載の電子写真感光体の塗膜剥離装置であって、
前記回転手段は、前記電子写真感光体をその軸を中心に回転させることを特徴とする電子写真感光体の塗膜剥離装置。
【請求項6】
請求項4または5に記載の電子写真感光体の塗膜剥離装置であって、
前記電子写真感光体にはフランジが装着され、前記把持手段は前記フランジを外すことなく前記電子写真感光体を把持することが可能であることを特徴とする電子写真感光体の塗膜剥離装置。
【請求項7】
円筒状の基材と、その上に反応硬化型物質および粒子を含んだ下引き層、電荷発生層、および電荷輸送層の順に形成された塗膜とを有する電子写真感光体が、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子写真感光体の塗膜剥離方法により、前記下引き層と前記電荷発生層との間で剥離されたものであることを特徴とする電子写真感光体の再生基材。
【請求項8】
円筒状の基材と、その上に下引き層、電荷発生層、電荷輸送層、および反応硬化型物質を含んだ保護層の順に形成された塗膜とを有する電子写真感光体が、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子写真感光体の塗膜剥離方法により、前記電荷輸送層と前記保護層との間で剥離されたものであることを特徴とする電子写真感光体の再生基材。
【請求項9】
請求項7に記載の再生基材を洗浄処理した後に、電荷発生層および電荷輸送層を、スプレ法、スパイラル法およびインクジェット法のうち少なくとも1つにより塗布してなるものであることを特徴とする再生電子写真感光体。
【請求項10】
請求項8に記載の再生基材を洗浄処理した後に、保護層を、スプレ法、スパイラル法およびインクジェット法のうち少なくとも1つにより塗布してなるものであることを特徴とする再生電子写真感光体。
【請求項11】
請求項9または10に記載の再生電子写真感光体と、帯電手段、潜像形成手段、現像手段、転写手段、定着手段、クリーニング手段のうちの少なくとも1つとを有し、画像形成装置から着脱可能であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項12】
請求項9または10に記載の再生電子写真感光体と、帯電手段、潜像形成手段、現像手段、転写手段、定着手段、クリーニング手段のうちの少なくとも1つとを有することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−192584(P2009−192584A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−30224(P2008−30224)
【出願日】平成20年2月12日(2008.2.12)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】