説明

電子写真感光体及び電子写真装置

【課題】複写機、プリンタ装置の小型化、高速化に伴い、感光体の小径化、周速の早いプロセスに対応できる感光体であって、且つ、長波長域において高感度であり、繰り返し使用しても電気特性の劣化がなく、しかも安定性が高い電子写真感光体を提供する。
【解決手段】導電性支持体上に電荷発生剤と電荷輸送剤と結着樹脂とを有する感光層を有する電子写真感光体において、電荷発生剤が下記一般式(I)で表わされる非対称ジスアゾ顔料を含有し、かつ電荷輸送剤が特定構造のトリフェニルアミン化合物を含有し、かつ該結着樹脂に対する該電荷輸送剤の重量比が0.3〜2.0である。


(式中、R1、R2は置換または無置換のアルキル基、アルコキシ基、アリール基、複素環基を表わす。但し、R1、R2は同時に同じでない。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定のジスアゾ顔料を電荷発生剤として含有し、特定のトリフェニルアミン化合物を電荷輸送剤として含有し、該結着樹脂に対する電荷輸送剤の比率が適切な範囲である電子写真感光体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子写真方式を採用するノンインパクトプリンタの露光光源としては半導体レーザーやLED等長波長の光源が主に使用されている。さらにまた、複写機、プリンタ装置の小型化、高速化に伴い、感光体の小径化、周速の早いプロセスが採用されてきている。そのため、電子写真感光体は長波長域に感度を有する電荷発生剤を使用するのが一般的である。従来、このような材料としてフタロシアニン系顔料がよく用いられている。このフタロシアニン系顔料はその結晶型によって感度が異なることはよく知られている。また、近年の省電力化に伴い、プリンタ等電子写真装置の露光光源の出力を抑えるために電子写真感光体には高感度化の要求が高まっている。
【0003】
フタロシアニン系顔料のなかで780nm付近の長波長域に高い感度を有するものとしてはオキシチタニウムフタロシアニンが挙げられる。その中でも27.2°に最大回折ピークを示すものが高感度であるとされている。しかしながら、高速のプロセスで用いると、繰り返し使用後の感光体の電位特性が劣化し、得られる画像にカブリ、黒スジ及び濃度ムラなどが生じてしまう。また、オキシチタニウムフタロシアニンのもつ高感度特性により、電荷の発生量が比較的多いため、通常では高応答性などの利点を有するものの、高速プロセスに用いた場合は、感光層中に電荷が残留し、感光体上にメモリーとなって残り、次工程の電子写真プロセスでメモリー現象として画像に現われてしまうものと考えられる。更に、低温低湿から高温高湿までの環境条件に対して感光層中の電荷が残留してしまうといったマイナス要素を有している。最近では波長650nm付近に感度を有するアゾ顔料が注目されている。しかし、電荷輸送剤の電荷輸送能力との関係もあり、両者の組み合わせが重要である(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
そこで、長波長域の感度が高く、高速で繰り返し使用しても電子写真特性、特に初期電位と繰り返し使用後の電位の再現性が安定している電子写真感光体が求められている。また、高い電荷発生効率を有する電荷発生剤を用いても、電荷輸送剤との相性が悪いと充分な感度を得ることができないだけでなく、高温高湿から低温低湿までさまざま使用環境においても高品質の画像が得られない。電荷発生剤と電荷輸送剤との相性は、さまざまな視点から研究されているが、明確に見出されてはいないのが現状である。(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開2000−147807号公報
【特許文献2】特開昭60−175052号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、複写機、プリンタ装置の小型化、高速化に伴い、感光体の小径化、周速の早いプロセスに対応できる感光体であって、且つ、長波長域において高感度であり、繰り返し使用しても電気特性の劣化がなく、しかも安定性が高い電子写真感光体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、電荷発生剤として特定の非対称ジスアゾ顔料を用い、電荷輸送剤として特定のトリフェニルアミン化合物を用いた電子写真感光体が、前記従来の技術の問題点を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、上記課題は、以下の本発明によって解決される。
(1)「導電性支持体上に少なくとも電荷発生剤と電荷輸送剤と結着樹脂とを有する感光層を有する電子写真感光体において、前記電荷発生剤が下記一般式(I)で表わされる非対称ジスアゾ顔料を含有し、かつ前記電荷輸送剤が下記一般式(IX)で表わされるトリフェニルアミン化合物を含有し、該結着樹脂に対する電荷輸送剤の比率が0.3〜2.0であることを特徴とする電子写真感光体;
【0008】
【化1】

(式中、R1、R2は置換または無置換のアルキル基、アルコキシ基、アリール基、複素環基を表わす。但し、R1、R2は同時に同じでない。)
【0009】
【化2】

(式中、R3〜R5は、各々独立に水素、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数6〜12の置換若しくは無置換のアリール基を表わす。)」、
(2)「前記電荷輸送剤が下記一般式(IXa)で表わされる化合物を含有することを特徴とする前記第(1)項に記載の電子写真感光体;
【0010】
【化3】

」、
(3)「前記電荷輸送剤が下記一般式(IXb)で表わされる化合物を含有することを特徴とする前記第(1)項に記載の電子写真感光体;
【0011】
【化4】

」、
(4)「前記電荷輸送剤が下記一般式(IXc)で表わされる化合物を含有することを特徴とする前記第(1)項に記載の電子写真感光体;
【0012】
【化5】

」、
(5)「前記電荷輸送剤が下記一般式(IXd)で表わされる化合物を含有することを特徴とする前記第(1)項に記載の電子写真感光体;
【0013】
【化6】

(6)「前記電荷輸送剤が一般式(IXa),一般式(IXb),一般式(IXc),一般式(IXd)で表される電荷輸送剤のうち2種類を含有することを特徴とする前記第(1)項に記載の電子写真感光体」、
(7)「導電性支持体上に少なくとも電荷発生層と電荷輸送層からなる感光層を有することを特徴とする前記第(1)項に記載の電子写真感光体」、
(8)「前記電荷輸送層がベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含有することを特徴とする前記第(1)項に記載の電子写真感光体」、
(9)「前記電荷輸送層がアミン系酸化防止剤を含有することを特徴とする前記第(1)項に記載の電子写真感光体」、
(10)「少なくとも帯電手段、画像露光手段、現像手段、転写手段及び前記第(1)項乃至第(9)項の何れかに記載の電子写真感光体を具備することを特徴とする電子写真装置」、
(11)「少なくとも帯電手段、画像露光手段、現像手段、転写手段及び前記第(1)項乃至第(9)項の何れかに記載の電子写真感光体を具備し、画像露光手段としてLD或いはLEDを使用することにより感光体上に静電潜像の書き込みが行なわれることを特徴とするデジタル方式の電子写真装置」、
(12)「複数の電子写真感光体、帯電手段、現像手段、転写手段を有するタンデム型であることを特徴とする前記第(10)項又は第(11)項に記載の電子写真装置」、
(13)「電子写真感光体上に現像されたトナー画像を中間転写体上に一次転写したのち、該中間転写体上のトナー画像を記録材上に二次転写する中間転写手段を有し、複数色のトナー画像を中間転写体上に順次重ね合わせてカラー画像を形成し、該カラー画像を記録材上に一括で二次転写することを特徴とする前記第(10)項又は第(11)項に記載の電子写真装置」、
(14)「帯電手段、露光手段、現像手段、クリーニング手段、転写手段の少なくとも一つと前記第(1)項乃至第(9)項の何れかに記載の電子写真感光体とを具備することを特徴とする電子写真装置用プロセスカートリッジ」。
【発明の効果】
【0014】
後述の実施例と比較例の特性差からみてもわかるように、本発明の電子写真感光体は、繰り返し安定性を有し、高い市場要求に応えられるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明に係る電子写真感光体の好ましい実施の形態を図面に沿って説明する。図1は本発明の電子写真感光体の構成例を示す断面図である。導電性支持体(1)上に、少なくとも電荷発生剤が含有される電荷発生層(2)が形成され、その上に少なくとも電荷輸送剤が含有される電荷輸送層(3)が形成される機能分離型電子写真感光体が適用されるものである。この場合、電荷発生層と電荷輸送層とにより感光層(4)が形成される。
【0016】
電荷発生層の形成方法としては、各種の方法を使用することができるが、例えば本発明のジスアゾ顔料を電荷発生剤として用い、バインダー樹脂とともに適当な溶媒により分散もしくは溶解した塗布液を、所定の下地となる支持体上に塗布し、必要に応じて乾燥させて形成することができる。
【0017】
電荷輸送層は、少なくとも後述する電荷輸送剤を有するものであり、この電荷輸送層は、例えば、その下地となる電荷発生層上に電荷輸送剤をバインダー樹脂を用いて結着することにより形成することができる。
【0018】
電荷輸送層の形成方法としては、各種の方法を使用することができるが、通常の場合、電荷輸送剤をバインダー樹脂とともに適当な溶媒により分散もしくは溶解した塗布液を、下地となる電荷発生層上に塗布し、乾燥させる方法を用いることができる。
【0019】
また、電荷発生層と電荷輸送層を上下逆に積層させた逆積層型電子写真感光体等についても適用することができる。さらに、電荷発生剤と電荷輸送剤とを同一層に含有する単層型電子写真感光体にも適用できる。また、必要に応じて導電性支持体と電荷発生層の間に中間層を設けても良いし、感光層上に保護層を設けても良い。
【0020】
本発明に用いることができる導電性支持体としては、アルミニウム、真鍮、ステンレス鋼、ニッケル、クロム、チタン、金、銀、銅、錫、白金、モリブデン、インジウム等の金属単体やそれらの合金の加工体が挙げられる。形状は、シ−ト状、フイルム状、ベルト状等フレキシブルな形状であればいずれのものでもよく、そして、無端、有端を問わない。また、導電性支持体の直径は、60mm以下、好ましくは30mm以下のものが特に有効である。
【0021】
この中でも、JIS3000系、JIS5000系、JIS6000系等のアルミニウム合金が用いられ、EI(Extrusion Ironing)法、ED(Extrusion Drawing)法、DI(Drawing Ironing)法、II(Impact Ironing)法等一般的な方法により成形を行なった導電性支持体が好ましく、更に、その導電性支持体の表面に、ダイヤモンドバイト等による表面切削加工や研磨、陽極酸化処理等の表面処理、またはこれらの加工、処理を行なわない無切削管などいずれのものでもよい。
【0022】
また、基体として樹脂を用いる場合、樹脂中に金属粉や導電性カーボン等の導電剤を含有させたり、基体形成用樹脂として導電性樹脂を用いることもできる。
【0023】
さらに、基体にガラスを用いる場合、その表面に酸化錫、酸化インジウム、ヨウ化アルミニウムで被覆し、導電性を持たせてもよい。
【0024】
また、支持体上に中間層を形成してもよい。この中間層は接着向上機能、アルミニウム管からの流れ込み電流を防止するバリヤー機能、アルミニウム管表面の欠陥被覆機能等をもつ。この中間層には、ポリエチレン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアミド樹脂、ナイロン樹脂、アルキド樹脂、メラミン樹脂等の各種樹脂を用いることができる。これらの樹脂層は、単独の樹脂で構成してもよく、2種以上の樹脂を混合して構成してもよい。また、層中に金属化合物、カーボン、シリカ、樹脂粉末等を分散させることもできる。さらに、特性改善のために各種顔料、電子受容性物質や電子供与性物質等を含有させることもできる。
【0025】
これらの中間層は感光層と同様に適当な溶媒、分散、塗工法を用いて形成することができる。中間層の膜厚は、0.1μm〜50μm、好ましくは0.5μm〜20μmが適当である。
【0026】
電荷発生剤としては、本発明の一般式(I)に示す非対称ジスアゾ顔料が用いられる。使用される非対称ジスアゾ顔料の具体例を表1に示す。R1、R2は同時に同じでない。
【0027】
【表1】

【0028】
感光層中には、適切な光感度波長や増感作用を得るために、本発明のジスアゾ顔料とともに、本発明以外のアゾ顔料、例えば、モノアゾ顔料、ビスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、ポリアゾ顔料、インジゴ顔料、スレン顔料、トルイジン顔料、ピラゾリン顔料、ペリレン顔料、キナクリドン顔料、ピリリウム塩等を用いることができる。その他、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料等を混合させることもできる。これらは、感度の相性が良い点で望ましい。
【0029】
感光層を形成するためのバインダー樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、スチレン樹脂、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、塩化ビニル樹脂、塩素化ポリエーテル、塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、フラン樹脂、ニトリル樹脂、アルキッド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアリレート樹脂、ジアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアリルスルホン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエーテル樹脂、フェノール樹脂、EVA(エチレン・酢酸ビニル)樹脂、ACS(アクリロニトリル・塩素化ポリエチレン・スチレン)樹脂、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)樹脂及びエポキシアリレート等の樹脂がある。
【0030】
それらは単体で用いてもよいが、2種以上混合して使用することも可能である。分子量の異なった樹脂を混合して用いた場合には、硬度や耐摩耗性を改善できて好ましい。
【0031】
なお、感光層が電荷発生層と電荷輸送層とからなる場合には、前記樹脂はどちらの層にも適用できる。
【0032】
結着樹脂の量は、電荷発生剤100重量部に対し、10〜500重量部、好ましくは25〜300重量部が適当である。
【0033】
電荷発生層の膜厚は、0.01〜5μm、好ましくは0.1〜2μmである。
【0034】
塗布液の塗工法としては、浸漬塗工法、スプレーコート、リングコート、バーコートスピナーコート等の方法を用いることができる。
【0035】
塗布液に使用する溶剤には、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、ブタノール等のアルコール類、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン等の飽和脂肪族炭化水素、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン等の塩素系炭化水素、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、メトキシエタノール等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル等のエステル類、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサン、あるいはアニソール等のエーテル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等がある。特にその中でも、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、あるいはハロゲン化炭化水素系溶媒が好ましく、これらは単独、あるいは2種以上の混合溶媒として用いることができる。
【0036】
本発明の電子写真感光体には、電荷輸送剤として下記一般式(IX)で表わされる化合物が含有される。
【0037】
【化7】

(式中、R3〜R5は、各々独立に水素、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数6〜12の置換若しくは無置換のアリール基を表わす。)
【0038】
上記電荷輸送剤は、本発明のジスアゾ顔料との相性がよく、耐環境性に強い電子写真感光体を提供できるものである。
【0039】
前記一般式(IX)に示す化合物において、特に下記一般式(IXa)〜(IXd)で表わされる化合物からなる群から選ばれた電荷輸送剤が本発明のジスアゾとの相性がよく好ましい。
【0040】
以下、具体的化合物を示すがこれらに限定されるものではない。
【0041】
【化8】

【0042】
【化9】

【0043】
【化10】

【0044】
【化11】

【0045】
また、電荷輸送剤として一般式(IXa)〜(IXd)で表される電荷輸送剤を2種類混合して使用することも有用である。
【0046】
この場合、電荷輸送層中の一般式(IX)で表わされる化合物の含有量は、結着樹脂1重量部に対し、0.3〜2.0重量部とすることが好ましい。この化合物の含有量が0.3重量部より少ないと、残留電位が上昇するなど電気特性が悪化する。他方、2.0重量部より多いと、耐摩耗性等の機械特性が低下する。
【0047】
さらに、一般式(IX)で表わされる化合物と他の電荷輸送剤とを混合して用いることもできる。この場合、一般式(IX)の化合物と他の化合物の含有比率は、(IX):他の化合物=50:50〜95:5、好ましくは70:30〜95:5の範囲がよい。
【0048】
他の電荷輸送剤としては、ポリビニルカルバゾール、ハロゲン化ポリビニルカルバゾール、ポリビニルピレン、ポリビニルインドロキノキサリン、ポリビニルベンゾチオフェン、ポリビニルアントラセン、ポリビニルアクリジン、ポリビニルピラゾリン、ポリアセチレン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリイソチアナフテン、ポリアニリン、ポリジアセチレン、ポリヘプタジイエン、ポリピリジンジイル、ポリキノリン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェロセニレン、ポリペリナフチレン、ポリフタロシアニン等の導電性高分子化合物を用いることができる。
また、低分子化合物として、トリニトロフルオレノン、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、キノン、ジフェノキノン、ナフトキノン、アントラキノン及びこれらの誘導体、アントラセン、ピレン、フェナントレン等の多環芳香族化合物、インドール、カルバゾール、イミダゾール等の含窒素複素環化合物、フルオレノン、フルオレン、オキサジアゾール、オキサゾール、ピラゾリン、ヒドラゾン、トリフェニルメタン、トリフェニルアミン、エナミン、スチルベン等を使用することができる。
また、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリル酸等の高分子化合物にLiイオン等の金属イオンをドープした高分子固体電解質等も用いることができる。
さらに、テトラチアフルバレン−テトラシアノキノジメタンで代表される電子供与性化合物と電子受容性化合物で形成された有機電荷輸送錯体等も用いることができ、これらを1種だけ添加して又は2種以上の化合物を混合して添加して、所望の感光体特性を得ることができる。
【0049】
本発明の電子写真感光体を製造するための塗布液には、特性を損なわない範囲で、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ラジカル捕捉剤、軟化剤、硬化剤、架橋剤等を添加して、感光体の特性、耐久性、機械特性の向上を図ることができる。特に、酸化防止剤は感光体の耐久性向上に寄与し有用である。
その中でも該感光層にアミン系酸化防止剤が好ましく、例えば、N−フェニル−1−ナフチルアミン、N−フェニル−N′−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N−ジエチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N′−エチル−2−メチル−p−フェニレンジアミン、N−エチル−N−ヒドロキシエチル−p−フェニレンジアミン、アルキル化ジフェニルアミン、N,N′−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N,N′−ジアリル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−1,3−ジメチルブチル−p−フェニレンジアミン、4,4′−ジオクチル−ジフェニルアミン、4,4′−ジオクチル−ジフェニルアミン、6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、N−フェニル−β−ナフチルアミン、N,N′−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン等を挙げることができる。
【0050】
フェノール系酸化防止剤は、2.6−ジ−tert−ブチルフェノール、2.6−ジ−tert−4−メトキシフェノール、2−tert−ブチル−4−メトキシフェノール、2.4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、2.6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、ブチル化ヒドロキシアニソール、プロピオン酸ステアリル−β−(3.5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)、α−トコフェロール、β−トコフェロール、n−オクタデシル−3−(3’−5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等のモノフェノール系、2.2’−メチレンビス(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、4.4’−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4.4’−チオビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、1.1.3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1.3.5−トリメチル−2.4.6−トリス(3.5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス〔メチレン−3(3.5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン等のポリフェノール系等が好ましい。酸化防止剤は、1種若しくは2種以上を同時に感光層中に含有することができる。
【0051】
紫外線吸収剤は、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3.5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3.5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3.5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3.5−ジ−tert−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系、サリチル酸フェニル、サリチル酸−p−tert−ブチルフェニル、サリチル酸−p−オクチルフェニル等のサリチル酸系が好ましく、特にベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が好ましい。紫外線吸収剤は、1種若しくは2種以上を同時に感光層に含有することができる。
【0052】
本発明の電子写真感光体に添加されるフェノール系酸化防止剤の添加量は、結着樹脂に対して3〜20重量%の範囲であることが好ましい。一方、紫外線吸収剤の添加量は、結着樹脂に対して3〜30重量%とすることが好ましい。
【0053】
加えて、感光層の上に、ポリビニルホルマール樹脂、ポリカーボネート樹脂、フッ素樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂等の有機薄膜や、シランカップリング剤の加水分解物で形成されるシロキサン構造体から成る薄膜を成膜して表面保護層を設けてもよく、その場合には、感光体の耐久性が向上するので好ましい。この表面保護層は、耐久性向上以外の他の機能を向上させるために設けてもよい。保護層の膜厚は、0.1〜20μmが適当である。
【0054】
本発明の電子写真感光体が搭載される電子写真装置としては、少なくとも帯電、露光、転写工程など通常用いられる方法を有する。詳細には帯電方式はブラシ、ローラーなどの接触式、スコロトロン、コロトロン等の非接触式の、いずれの方式でもよく、正負いずれの帯電電荷でもよい。露光方式は、LED,LD等いずれでもよい。現像方式は、2成分、1成分、磁性/非磁性いずれでもよい。転写方式もローラー、ベルト等いずれでもよい。クリーニング方式はブレードクリーニング、ブラシクリーニング、帯電部や現像部をクリーニング工程として兼用してもよい。また、クリーニング工程や除電工程を省略した方式でもよい。
【0055】
次に、本発明の電子写真装置について説明する。図2は、本発明の電子写真装置の概略構成図である。(11)は感光体であって、それと接触して帯電部材(12)が設けられている。帯電部材(12)には、電源(13)から電圧が供給されるようになっている。感光体の周囲には、露光装置(14)、現像装置(15)、転写装置(16)、クリーニング装置(17)、除電装置(18)および定着装置(19)がある。
【実施例】
【0056】
以下、本発明に係る電子写真感光体の実施例を実験例、比較例とともに詳細に説明する。
<実施例1>
【0057】
直径30mmの無切削アルミニウムからなる円筒ドラム上に、アルキド樹脂(ベッコライトM−6401−50大日本インキ化学工業社製)とアミノ樹脂(スーパーベッカミンG−821−60大日本インキ化学工業社製)を65:35の割合で混合し、さらに前記混合樹脂と酸化チタン(CR−EL石原産業社製)を1:3の割合とし、メチルエチルケトンに溶解して塗布液として、1.5μmの膜厚で形成した。
【0058】
次に、下記ジスアゾ顔料式(Ia)粉末30gをガラスビーズとメチルエチルケトン500mlにポリビニルブチラール樹脂(BH−5積水化学工業社製)10gを溶解した液を加え、サンドミル分散機で20時間分散し、得られた分散液をろ過してガラスビーズを取り去り、電荷発生層用塗布液を作成した。これを前記下引層上に浸漬塗工し乾燥して、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
【0059】
【化12】

【0060】
次にバインダー樹脂としてポリカーボネート樹脂(Z500三菱ガス化学社製)と、電荷輸送剤として、式(IXa)で表わされる化合物と、芳香族アミン系酸化防止剤としてN−フェニル−1−ナフチルアミン、紫外線吸収剤として2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾールとを、重量比1.0:1.0:0.05:0.05で用意し、クロロホルムに溶解し、電荷輸送層用塗工液を調製した。電荷発生層を形成した基体を該電荷輸送層用塗工液に浸漬塗工し、120℃で60分乾燥し膜厚25.0μmの電荷輸送層を形成し、電子写真感光体を作製した。
【0061】
<実施例2>
実施例1で用いた電荷輸送剤に代えて、式(IXb)で表わされる電荷輸送剤に代えた以外は、他は実施例1と同様にして電子写真感光体を作成した。
【0062】
<実施例3>
実施例1で用いた電荷輸送剤に代えて、式(IXc)で表わされる電荷輸送剤に代えた以外は、他は実施例1と同様にして電子写真感光体を作成した。
【0063】
<実施例4>
実施例1で用いた電荷輸送剤に代えて、式(IXd)で表わされる電荷輸送剤に代えた以外は、他は実施例1と同様にして電子写真感光体を作成した。
【0064】
<実施例5>
実施例1で用いた電荷輸送剤に代えて、式(IXa)で表される電荷輸送剤と式(IXb)で表される電荷輸送剤の混合比が0.8:0.2の電荷輸送剤に代えた以外は、他は実施例1と同様にして電子写真感光体を作成した。
【0065】
<実施例6>
実施例1で用いた電荷輸送剤に代えて、式(IXa)で表される電荷輸送剤と式(IXb)で表される電荷輸送剤の混合比が0.5:0.5の電荷輸送剤に代えた以外は、他は実施例1と同様にして電子写真感光体を作成した。
【0066】
<実施例7>
実施例1で用いた電荷輸送剤に代えて、式(IXc)で表される電荷輸送剤と式(IXd)で表される電荷輸送剤の混合比が0.8:0.2の電荷輸送剤に代えた以外は、他は実施例1と同様にして電子写真感光体を作成した。
【0067】
<実施例8>
実施例1で用いた電荷輸送剤に代えて、式(IXc)で表される電荷輸送剤と式(IXd)で表される電荷輸送剤の混合比が0.5:0.5の電荷輸送剤に代えた以外は、他は実施例1と同様にして電子写真感光体を作成した。
【0068】
<実施例9>
実施例1で用いたジスアゾ顔料に代えて、下記式(Ib)で表わされるジスアゾ顔料に代えた以外は、他は実施例1と同様にして電子写真感光体を作成した。
【0069】
【化13】

【0070】
<実施例10>
実施例1で用いたジスアゾ顔料に代えて、下記式(Ic)で表わされるジスアゾ顔料に代えた以外は、他は実施例1と同様にして電子写真感光体を作成した。
【0071】
【化14】

【0072】
<実施例11>
実施例1で用いた芳香族アミン系酸化防止剤としてN−フェニル−1−ナフチルアミンを除いた以外は、他は実施例1と同様にして電子写真感光体を作成した。
【0073】
<実施例12>
実施例1において、ポリカーボネート樹脂(Z500三菱ガス化学社製)と、電荷輸送剤として、式(IXa)で表わされる化合物と、芳香族アミン系酸化防止剤としてN−フェニル−1−ナフチルアミン、紫外線吸収剤として2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾールとを、重量比1.0:0.3:0.015:0.015で用意した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作成した。
【0074】
<実施例13>
実施例1において、ポリカーボネート樹脂(Z500三菱ガス化学社製)と、電荷輸送剤として、式(IXa)で表わされる化合物と、芳香族アミン系酸化防止剤としてN−フェニル−1−ナフチルアミン、紫外線吸収剤として2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾールとを、重量比1.0:2.0:0.10:0.10で用意した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作成した。
【0075】
<比較例1>
実施例1で用いられた電荷発生剤に代えて、下記式(A)で表わされるジスアゾ顔料を用い、他は実施例1と同様にして電子写真感光体を作成した。
【0076】
【化15】

【0077】
<比較例2>
実施例1で用いられた電荷発生剤に代えて、図3で表わされるX線回折ブラック角2θ(±0.2°)27.2°に最大ピークを有するY型オキシチタニウムフタロシアニンを用い、他は実施例1と同様にして電子写真感光体を作成した。
【0078】
<比較例3>
実施例1で用いられた電荷輸送剤に代えて、下記式(B)で表わされる電荷輸送剤を用い、他は実施例1と同様にして電子写真感光体を作成した。
【0079】
【化16】

【0080】
<比較例4>
実施例1で用いられた電荷輸送剤に代えて、下記式(C)で表わされる電荷輸送剤を用い、他は実施例1と同様にして電子写真感光体を作成した。
【0081】
【化17】

【0082】
<比較例5>
実施例1で用いられた電荷輸送剤に代えて、下記式(D)で表わされる電荷輸送剤を用い、他は実施例1と同様にして電子写真感光体を作成した。
【0083】
【化18】

【0084】
<比較例6>
実施例1において、ポリカーボネート樹脂(Z500三菱ガス化学社製)と、電荷輸送剤として、式(IXa)で表わされる化合物と、芳香族アミン系酸化防止剤としてN−フェニル−1−ナフチルアミン、紫外線吸収剤として2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾールとを、重量比1.0:0.2:0.01:0.01で用意した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作成した。
【0085】
<比較例7>
実施例1において、ポリカーボネート樹脂(Z500三菱ガス化学社製)と、電荷輸送剤として、式(IXa)で表わされる化合物と、芳香族アミン系酸化防止剤としてN−フェニル−1−ナフチルアミン、紫外線吸収剤として2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾールとを、重量比1.0:2.5:0.125:0.125で用意した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作成した。
【0086】
感光体評価
<簡易測定器での電気特性評価>
実施例1〜7及び比較例1〜5で作製した機能分離型感光体に、感光ドラム評価装置(ダイナミックモード測定)を使用し、以下の条件で電子写真特性を評価した。
【0087】
電子写真感光体評価装置(山梨電子工業社製)を用い、実施例、比較例で作製された電子写真感光体を温度23℃、湿度50%の環境下で、スコロトロン方式で感光体の表面電位が−700Vになるように放電電流を調節し、電子写真感光体を帯電させ、波長650nmの半導体レーザーで照射した際、露光エネルギー量で感光体の表面電位が1/2(−350V)に減衰調整した。また、残留露光電位を1.0μJ/cm2の露光エネルギー量で感光体残留電位(VL)とした。
【0088】
上記電子写真感光体を帯電、露光、除電を1サイクルとして繰り返し1万サイクル実施した。その1サイクル後と、1万サイクル後の感光体の表面電位(V0)、感度電位(VH)、残留電位(VL)をそれぞれ測定した。除電は波長660nmのLED(20μW)を用いた。電子写真感光体のドラム回転数は150rpmとし、レーザー光照射してから電位を測定するまでの時間(露光位置から測定位置までの移動時間)は0.06秒であった。結果を表2に示す。
【0089】
<印刷画像評価>
<濃度評価>
実施例1〜7、比較例1〜5で作製した電子写真感光体をカラー複写機(リコー社製:IPSIO CX655)に搭載して、温度23℃、湿度50%の常温環境で、1枚目の印刷後と1万枚印刷後の印刷画像上の画像濃度差をマクベス濃度計で測定した。ハーフトーン(全面灰色地)画像とベタ(全面黒地)画像を印刷し、ハーフトーン画像では0.6〜0.7が基準値とし、ベタ画像では1.3〜1.4が基準値とし、いずれも数値が低いほど濃度が薄いことを示す。以上の結果を表3に示す。
【0090】
<メモリー評価>
実施例1〜7、比較例1〜5で作製した電子写真感光体をカラー複写機(リコー社製:IPSIO CX400)に搭載して、温度23℃、湿度50%の常温環境で、1万枚印刷し、画像上のメモリー(残像)有無を目視評価した。5段階評価でメモリーが全くみられないものをランク5、薄く見られる程度のものをランク3、はっきり見られるものをランク1とした。結果を表3に示す。
【0091】
【表2】

【0092】
【表3】

【0093】
表2及び表3から明らかなように、実施例1〜9は、本願発明の電荷発生剤と電荷輸送輸送剤との組み合わせにより、E1/2=感度電位、残留電位、1万サイクル後の帯電電位、残留電位も大きな変化がなく、感光体特性として良好なものであった。また、芳香族アミン系酸化防止剤と組み合わせた実施例1〜6は繰り返しサイクル疲労に強く、1万サイクル後の表面電位(V0)は低下が5V以内で良好であった。実施例5,6は感度不足はあるが、画像濃度上問題がなく実用範囲である。さらに実施例7は、表面電位(V0)は多少落ち込むものの残留電位(VL)は大きな変化がないので実用上問題ない範囲で使用できる。
これに対し、比較例1は感度不足であり、中間調の濃度不良が発生した。比較例2は画像メモリーが発生した。比較例3〜5は残留電位が高く、濃度不足で1万サイクル後は画像メモリーの悪化した。比較例6は残留電位、帯電電位とも高く、濃度不足をきたす。比較例7は、膜強度低下により、感光体にキズが発生し、画像もキズ状になった。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の電子写真感光体の断面図を示す。
【図2】本発明の電子写真装置の概略構成図を示す。
【図3】比較例2で用いるY型オキシチタニウムフタロシアニンのX線回折図を示す。
【符号の説明】
【0095】
1 導電性支持体
2 電荷発生層
3 電荷輸送層
4 感光層
11 感光体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性支持体上に少なくとも電荷発生剤と電荷輸送剤と結着樹脂とを有する感光層を有する電子写真感光体において、前記電荷発生剤が下記一般式(I)で表わされる非対称ジスアゾ顔料を含有し、かつ前記電荷輸送剤が下記一般式(IX)で表わされるトリフェニルアミン化合物を含有し、かつ該結着樹脂に対する該電荷輸送剤の重量比が0.3〜2.0であることを特徴とする電子写真感光体。
【化1】

(式中、R、Rは置換または無置換のアルキル基、アルコキシ基、アリール基、複素環基を表わす。但し、R、Rは同時に同じでない。)
【化2】

(式中、R〜Rは、各々独立に水素、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数6〜12の置換若しくは無置換のアリール基を表わす。)
【請求項2】
前記電荷輸送剤が下記一般式(IXa)で表わされる化合物を含有することを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
【化3】

【請求項3】
前記電荷輸送剤が下記一般式(IXb)で表わされる化合物を含有することを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
【化4】

【請求項4】
前記電荷輸送剤が下記一般式(IXc)で表わされる化合物を含有することを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
【化5】

【請求項5】
前記電荷輸送剤が下記一般式(IXd)で表わされる化合物を含有することを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
【化6】

【請求項6】
請求項2乃至5の何れかに記載の電荷輸送剤の何れか2種類を含有することを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
【請求項7】
導電性支持体上に少なくとも電荷発生層と電荷輸送層からなる感光層を有することを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
【請求項8】
前記電荷輸送層がベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含有することを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
【請求項9】
前記電荷輸送層がアミン系酸化防止剤を含有することを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
【請求項10】
少なくとも帯電手段、画像露光手段、現像手段、転写手段及び請求項1乃至9の何れかに記載の電子写真感光体を具備することを特徴とする電子写真装置。
【請求項11】
少なくとも帯電手段、画像露光手段、現像手段、転写手段及び請求項1乃至9の何れかに記載の電子写真感光体を具備し、画像露光手段としてLD或いはLEDを使用することにより感光体上に静電潜像の書き込みが行なわれることを特徴とするデジタル方式の電子写真装置。
【請求項12】
複数の電子写真感光体、帯電手段、現像手段、転写手段を有するタンデム型であることを特徴とする請求項10又は11に記載の電子写真装置。
【請求項13】
電子写真感光体上に現像されたトナー画像を中間転写体上に一次転写したのち、該中間転写体上のトナー画像を記録材上に二次転写する中間転写手段を有し、複数色のトナー画像を中間転写体上に順次重ね合わせてカラー画像を形成し、該カラー画像を記録材上に一括で二次転写することを特徴とする請求項10又は11に記載の電子写真装置。
【請求項14】
帯電手段、露光手段、現像手段、クリーニング手段、転写手段の少なくとも一つと請求項1乃至9の何れかに記載の電子写真感光体とを具備することを特徴とする電子写真装置用プロセスカートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−107923(P2010−107923A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−301914(P2008−301914)
【出願日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【出願人】(000180128)山梨電子工業株式会社 (30)
【Fターム(参考)】