説明

電子写真感光体

【構成】 導電性支持体上に少なくとも感光層を設けてなる電子写真感光体において、該感光層にトリアリールアミン骨格を側鎖にもつポリカーボネート樹脂を含有する。
【効果】 上記ポリカーボネート樹脂は電荷移動作用をもち且つ機械的強度が高いため、本感光体は高感度で且つ高耐久性のものである。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電気特性及び耐摩耗性に優れた、高感度で高耐久性の電子写真感光体に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、有機感光体(OPC)が複写機、プリンターに多く使用されている。これらのOPCの多くは、電荷発生層(CGL)、電荷移動層(CTL)を順次積層した構成である。CTLは低分子移動材(CTM)をバインダー樹脂中に、ある濃度で溶かし、フィルムにしている。CTMの添加はバインダー樹脂本来の機械的強度を低下させ、CTLフィルムは脆く、引張り強度の低い膜となる。この機械的強度低下が、感光体の摩耗、傷、剥離、クラックなどの原因となる。
【0003】一方、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン、M.Stolkaらが(J.Polym.Sci.VOL21.969)に提案した重合体、Japan Hard Copy’89 P.67に記載のヒドラゾンのビニル重合体、米国特許4,801,517号、同4,937,165号、同4,959,288号、同5,030,532号、同5,034,296号、同5,080,989号各明細書、特開昭64−9964号、特開平3−221522号、特開平2−304456号、特開平4−11627号、特開平4−175337号、特開平4−183719号、特開平4−31404号、特開平4−133065号各公報、などCTMの高分子量化が試みられているが、実用化には至っていない。また、M.A.AbkowitzらはPHYSICALREVIEW B VOL46、6705に、低分子CTMをバインダー樹脂に分散したものと比較し、高分子CTMはドリフト移動度が一桁低いことを報告している。従って感度、残留電位などの点で充分でないことが考えられる。また、低分子CTMをバインダー樹脂中に分散し、その後バインダー樹脂を硬化することが提案されているが、CTM濃度が30〜50%と高いため、硬化反応が充分でなく、樹脂間からCTMが脱落して摩耗し問題の解決には至っていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は上記従来技術の実情に鑑みてなされたものであって、CTMのポリカーボネート化により耐摩耗性を向上し、且つ感度劣化のない高分子CTMとし、高感度、高耐久な電子写真感光体を提供することを、その目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、導電性支持体上に少なくとも感光層を設けてなる電子写真感光体において、該感光層に下記一般式化1で示されるポリカーボネート樹脂を含有してなることを特徴とする電子写真感光体が提供される。
【化1】


〔式中、R1〜R3、Ar1、Ar2及びnはそれぞれ以下のものを表わす。
1:水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、又は置換若しくは未置換のアリール基、R2、R3:水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、置換若しくは未置換のアリール基、又はハロゲン原子、Ar1、Ar2:置換若しくは未置換のアリール基、n:5〜10,000の整数。〕
【0006】また、本発明によれば、導電性支持体上に少なくとも感光層を設けてなる電子写真感光体において、該感光層に前記一般式化1で示される化合物のモノマー単位と下記一般式化2で示されるヒドロキシ化合物との共重合体を含有してなることを特徴とする電子写真感光体が提供される。
【化2】


〔式中、A、R4及びR5はそれぞれ以下のものを表わす。
A:単結合、直鎖状、分岐状若しくは環状の炭化水素基、置換若しくは未置換のアリレン基、オキシド基、スルフィド基、スルホキシド基、スルホン基、又はケトン基、R4、R5:水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、置換若しくは未置換のアリール基、又はハロゲン原子。〕
【0007】即ち、本発明は、支持体上に少なくとも感光層を設けてなる電子写真感光体において、感光層中にトリアリールアミン骨格を側鎖にもつ前記一般式化1で示されるポリカーボネート樹脂又はその共重合体を含有してなるものであるが、該ポリカーボネート樹脂は電荷移動作用をもち且つ機械的強度が高いため、本感光体は高感度で且つ高耐久なものとなる。
【0008】以下、本発明を更に詳しく説明する。本発明の電子写真感光体は、感光層中に下記一般式化1で示される化合物を含有するものであるが、該化合物は電荷キャリアのホッピングサイトであるトリアリールアミン骨格を側鎖にもつ電荷キャリア移動性ポリカーボネート化合物である。
【0009】
【化1】


〔式中、R1〜R3、Ar1、Ar2及びnはそれぞれ以下のものを表わす。
1:水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、又は置換若しくは未置換のアリール基、R2、R3:水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、置換若しくは未置換のアリール基、又はハロゲン原子、Ar1、Ar2:置換若しくは未置換のアリール基、n:5〜10,000の整数。〕
【0010】このポリカーボネート化合物の代表的合成法は、下記スキーム1〜3で示される。
【表1】


【0011】即ち、スキーム1の合成ルートでは、先ずフェノールとニトロアセトフェノンを塩化水素ガス下反応させ、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−(ニトロフェニル)エタンを得る。その後、ヒドロキシ基をよう化メチルでメチル化し、そのメチル体をパラジュウム炭素と水素でニトロ基を接触還元しアミノ体を得る。アミノ体はヨードアリール体とウルマン反応し、ジアリールアミノ体を得る。次いで、ジアリールアミノ体をシリル化合物、あるいはナトリウムチオエチラートなどで脱メチル化してヒドロキシ体にした後、ヒドロキシ体をホスゲンと界面重合することにより、あるいは炭酸ジエステルとのエステル交換法により、ポリカーボネートが得られる。
【0012】なお、N置換基がそれぞれ違う場合は、スキーム2の合成になる。
【表2】


【0013】また、別のルートとして、スキーム3からも合成できる。
【表3】


【0014】前記化1で示される化合物のビスフェノールモノマーは、アルカリ水溶液下ホスゲンガスを作用させ界面重合法でポリマー化、又は炭酸ジエステルとのエステル交換法でポリマー化される。前記一般式化1で示される化合物について、詳しく説明する。
【0015】前記一般式化1において、R1〜R3及びAr1、Ar2の具体例として、若しくはそれらの置換基として、以下のものを挙げることができる。
(1)ハロゲン原子:フッ素、塩素、臭素、ヨウ素(2)アルキル基、好ましくは、C1〜C12とりわけC1〜C9、更に好ましくはC1〜C4の直鎖又は分岐鎖のアルキル基であり、これらのアルキル基は更にフッ素原子、シアノ基、フェニル基又はハロゲン原子、C1〜C4のアルキル基で、置換されたフェニル基を含有してもよい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、トリフルオロメチル基、2−シアノエチル基、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基、4−フェニルベンジル基等が挙げられる。
(3)アリール基:フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ピレニル基、フルオレニル基、アズレニル基、トリフェニレル基、クリセニル基、アントリル基等が挙げられ、上記(1)〜(2)で定義した置換基を有してもよい。
【0016】前記一般式化1で示される化合物ノモノマー単位と共重合されるものとしては、まず下記一般式化2で示されるヒドロキシ化合物が挙げられる。
【化2】


〔式中、A、R4及びR5はそれぞれ以下のものを表わす。
A:単結合、直鎖状、分岐状若しくは環状の炭化水素基、置換若しくは未置換のアリレン基、オキシド基、スルフィド基、スルホキシド基、スルホン基、又はケトン基、R4、R5:水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、置換若しくは未置換のアリール基、又はハロゲン原子。〕
【0017】具体的には、以下に示すビス(ヒドロキシフェニル)アルカン、ビス(ヒドロキシフェニル)シクロアルカンなどが挙げられる。2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(3−ヒドロキシフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−クロル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、4,4’−ジヒドロキシトリフェニルメタン。
【0018】また、その他には、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルチオエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフォン、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、及びJ.Appl.Poly.Sci.Vol.39 2083、Angew.Chem.Int.Ed.Engl.30(1991)1598などに記載されるビスフェノール化合物が挙げられる。
【0019】以下、前記一般式化1で示される化合物のモノマーの具体例を、表4に示す。
【0020】
【表4−(1)】


【0021】
【表4−(2)】


【0022】
【表4−(3)】


【0023】本発明においては、前記一般式化1で示される単重合体の他に、前記一般式化1で示される化合物のモノマーと前記一般式化2で示されるモノマーとの共重合体でもよい。この場合の共重合比率、モノマー種、モノマーの数、分子量は電気特性、フィルム物性、溶解性、溶液特性などから決定され、共重合はランダム、ブロック、交互べつに限定されない。共重合モノマーの具体例を表5に示すが、本発明は表5記載のものに限定されるものでない。
【0024】
【表5−(1)】


【0025】
【表5−(2)】


【0026】電子写真感光体は、■導電性支持体上にCGL、CTLを順次積層した負帯電型、■導電性支持体上にCTL、CGLを順次積層した正帯電型、■導電性支持体上に、バインダー樹脂中にCGM、CTMを分散させた感光層を設けた単層正帯電型、■上記■のCTL上に保護層を設けた負帯電型等の層構成がとられるが、本発明はいずれの層構成の場合にも適用される。即ち、前記のポリカーボネート樹脂を、前記■の場合はCTLに、前記■の場合はCGLに、前記■の場合は感光層に、前記■の場合は保護層に、それぞれ含有させることによって、高感度で高耐久な感光体が得られる。以下、それぞれの場合について、詳しく説明する。
【0027】■負帯電型感光体の場合は、CGLはCGMを、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系、酢酸エチルなどのエステル系、ジクロルエタン、クロルベンゼンなどのハロゲン系、トルエン、キシレンなどの芳香族等の溶媒中で、ボールミル、ビーズミル、振動ミル等で粉砕、分散し平均粒径0.3μm以下にすることが好ましい。この際バインダー樹脂を添加してもよく、樹脂種としては、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、セルロース誘導体、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、アクリルポリオール等が挙げられる。また、分散液中にバインダー樹脂を含有しない場合は、導電性支持体からの電荷注入防止の為中間層を設ける。中間層用バインダー樹脂としては、ポリアミド、ポリアクリルアニリド、カゼイン、塩ビ/酢ビ/マレイン酸共重合体、フェノール樹脂等が挙げられる。電荷発生層の塗工法は、浸漬法、スプレー法、ロール法などの従来公知の方法が適用される。膜厚は0.05〜5μmで、好ましくは0.05〜1μmである。CTLは前記塗工法で塗工して、膜厚15〜50μmのCTLを設ける。また、低分子CTMを併用する場合は、前記一般式化1で示される単重合体ポリカーボネート、及びそれと前記一般式化2で示される共重合体ポリカーボネート10重量部に対して、0.5〜5重量部添加する。
【0028】■正帯電型感光体の場合は、表層にCGLがある為、前記一般式化1あるいはそれと前記一般式化2で示されるポリカーボネート樹脂はCGLに含有される。CGMを共重合体と共に粉砕、分散あるいはCGM粉砕、分散後共重合体を添加し、15〜50μmのCTL上に前記塗工方法で0.5〜10μmの電荷発生層を設ける。この時の前記一般式化1、化2のポリカーボネート樹脂:CGMの比率は、10:2〜30重量比が好ましい。このCGLには添加剤としてポリエチレングリコールなどのポリエーテル化合物、クラウンエーテルなどの環状エーテル化合物、トリデシルホスファイトなどの亜リン酸エステル化合物を含有させることができ、これら添加剤は耐刷時の帯電劣化防止をするもので、電荷発生剤:添加剤=10:0.1〜5重量比の添加が好ましい。CTLは、低分子CTMをバインダー樹脂として、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレートとスチレンの共重合体、ポリスチレン、テレフタル酸あるいはイソフタル酸とジオール体から誘導されるポリエステル、ポリカーボネート、エポキシ樹脂、ポリウレタンなどに分散したもの、あるいは本発明のポリカーボネートでもよい。
【0029】■導電性支持体上にCGMと前記一般式化1あるいはそれと前記一般式化2とで示されるポリカーボネート樹脂とからなる感光層を設けた単層正帯電型感光体においても、前記一般式化1、化2のポリカーボネート樹脂:CGM=10:1〜10重量比で感光層が形成され、上記帯電劣化防止添加剤を添加することができる。
【0030】■前記一般式化1、化2のポリカーボネート樹脂は保護層にも使用でき、■の従来の低分子CTMをバインダー樹脂に分散したCTL上に保護層として0.5〜10μmの膜厚で設ける。
【0031】CGLは、電荷発生材(CGM)単独、あるいはCGMとバインダー樹脂とから形成される。CGMとしては、例えば、C.I.No.59300バットオレンジ3などの縮合多環キノン化合物、C.I.No.38001などのペリレン化合物、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−95033号公報に記載)、スチルベン骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−138229号公報に記載)、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−132547号公報に記載)、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−21728号公報に記載)、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−12742号公報に記載)、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−22834号公報に記載)、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−17733号公報に記載)、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−2129号公報に記載)、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−17734号公報に記載)、カルバゾール骨格を有するトリスアゾ顔料(特開昭57−195767、同57−195768号各公報に記載)、アントラキノン骨格を有するアゾ顔料(特開昭57−202545号公報に記載)、スクエリアム染料、金属あるいは無金属フタロシアニン、セレン、セレン合金、a−シリコンなどが使用できる。
【0032】前記バインダー樹脂中に低分子CTMとして、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体(特開昭52−139065号、同52−139066号各公報に記載)、イミダゾール誘導体、トリフェニルアミン誘導体(特開平3−285960号公報に記載)、ベンジジン誘導体(特公昭58−32372号公報に記載)、α−フェニルスチルベン誘導体(特開昭57−73075号公報に記載)、ヒドラゾン誘導体(特開昭55−154955号、同55−156954号、同55−52063号、同56−81850号などの公報に記載)、トリフェニルメタン誘導体(特公昭51−10983号公報に記載)、アントラセン誘導体(特開昭51−94829号公報に記載)、スチリル誘導体(特開昭56−29245号、同58−198043号各公報に記載)、カルバゾール誘導体(特開昭58−58552号公報に記載)、ピレン誘導体(特開平2−94812号公報に記載)などのCTMを併用することができる。
【0033】本発明の電子写真感光体は、導電性支持体上に少なくとも感光層を設けた構成を有する。導電性支持体としては、アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス等の電気伝導性の金属及び合金並びにガラス、セラミック等の無機絶縁性物質及びポリエステル、ポリイミド、フェノール樹脂、ナイロン樹脂、紙等の有機絶縁性物質の表面を、真空蒸着、スパッタリング、吹付塗装等の方法によって、アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス、カーボンブラック、酸化錫、酸化インジウム、酸化アンチモン、導電性酸化チタン等の電気導電性物質を被覆して導電処理を行ったドラム状、シート状及びプレート状のもの等が挙げられる。
【0034】次に、本発明で使用される前記ポリカーボネート化合物の製造例を示す。
【0035】製造例1<1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−(4−ニトロフェニル)エタンの合成>p−ニトロアセトフェノン165.15g(1mol)とフェノール470.55g(5mol)を1リットル三角フラスコに取リ、室温にて塩化水素ガスを5時間吹き込み、2週間放置した。黄色の結晶が析出し、それを80℃の水2リットルで2回洗浄し、茶色のオイルを得る。それをトルエン500mlで洗い、晶析した黄色結晶物266gを得る。それをトルエン800mlで加熱処理濾過し、244gを得る。m.p179.5〜180.5℃、I.R:OH3400cm-1、NO21340cm-1
C:71.60%(Cal.71.62)、H:4.95%(Cal5.12)、N:3.81%(Cal.4.18)
【0036】<1,1−ビス(4−メトキシフェニル)−1−(4−ニトロフェニル)エタンの合成>上記ニトロ体100g(0.3mol)、アセトン1リットル、水酸化ナトリウム29.8g(0.75mol)を3リットル三径フラスコに取り1時間還流、黄色物が析出し、その後ヨウ化メチル105.8g(0.75mol)を2時間滴下し、4時間還流反応した。反応溶液は室温に冷却し水2リットル中に注ぎ、トルエン2リットルで抽出し、減圧下トルエンを溜去し茶色のオイルを得る。それにエタノール700mlを加え加熱、放冷し結晶化させ、クリーム色結晶を得る。それをエタノール1.4リットルで再結晶し、白色針状晶m.p.87.5〜88.5℃、74.5g、収率68.8%を得た。I.R:OCH32850、1250cm-1
【0037】<1,1−ビス(4−メトキシフェニル)−1−(4−アミノフェニル)エタンの合成>ニトロ体70g(0.19mol)、テトラヒドロフラン200ml、5%パラジウム炭素3.5gを三角フラスコに取り、水素13.65リットルで還元した。反応後テトラヒドロフランを減圧下溜去し白色固形物64.2gを得た。
m.p.134.5〜136℃、I.R:NH23380、3480cm-1
【0038】<1,1−ビス(4−メトキシフェニル)−1−(N,N−ジ−p−トリル−4−アミノフェニル)エタンの合成>上記アミノ体57.5g(0.172mol)、p−ヨードトルエン150g(0.69mol)、炭酸カリウム95.3g(0.69mol)、銅粉11g(0.172mol)を500ml四径フラスコに取り、窒素気流下235℃で7時間反応し、その後冷却、炭酸カリウム、銅粉を瀘別、瀘液をオイルバスで減圧下ヨードトルエンを溜去し褐色オイル状物を得る。それをエタノール3リットルで加熱、急冷放置し薄黄土色の析出物62g(m.p144.5〜147.5℃)を得る。1部エタノールから再結晶し、白色針状晶を得た。m.p147〜148.5℃、C:84.2%(cal.84.16)、H:6.67%(cal.6.88)、N:2.85%(cal.2.73)、I.R:C−N1320cm-1
【0039】<1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−(N,N−ジ−p−トリル−4−アミノフェニル)エタンの合成>上記ジトリルアミノ体71g(0.139mol)、ナトリウムチオエチラート30.4g(0.36mol)、N,N−ジメチルホルムアミド800mlを加熱還流10時間行ない、その後水2リットル中に注ぎ塩酸で酸性にしてオイル状物を得て、水で洗い黄色固体を得る。乾燥後トルエンで2回再結晶し、薄灰色の結晶39.5g(m.p192〜194.5℃)を得た。
C:84.42%(cal.84.08)、H:6.50%(cal.6.45)、N:2.86%(cal.2.88)、I.R OH3400cm-1
【0040】製造例2<1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−(4−ヨードフェニル)エタンの合成>p−ヨードアセトフェノン100g(0.4mol)、フェノール191.2g(2mol)を三角フラスコに取り、塩化水素ガスを5時間吹き込み2週間室温で放置し、反応溶液を80℃の水500mlで4回洗浄し褐色オイルを得る。それをシリカゲル、展開溶媒トルエン:酢酸エチル=(4:1)volでクロマト処理して着色成分を除き、トルエンから再結晶して薄黄土色の結晶(m.p108〜109.5℃)102.6g(60.6%)を得た。
【0041】<1,1−ビス(4−メトキシフェニル)−1−(4−ヨードフェニル)エタンの合成>上記ヒドロキシ体100g(0.24mol)、水酸化ナトリウム24.02g(0.6mol)、アセトン1リットルを2リットル四径フラスコに取り、1時間加熱還流すると白色物が析出し、それにヨウ化メチル85.3g(0.6mol)を1時間で滴下し、4時間反応して、減圧下アセトンを500ml溜去して水1.2リットルに注ぎ、析出物を瀘別し水500mlで洗浄後、乾燥しエタノール:トルエン=1400:300ccから再結晶して、m.p164〜164.5℃の結晶76.5g(71.7%)を得た。
C:59.51%(cal.59.46)、H:4.82%(cal.4.77)。
【0042】<1,1−ビス(4−メトキシフェニル)−1−(N,N−ジ−p−トリル−4−アミノフェニル)エタンの合成>上記メトキシ体70g(0.157mol)、4,4’−ジトリルアミン37.3g(0.19mol)、炭酸カリウム26.1g(0.19mol)、銅粉10g(0.16mol)、ニトロベンゼン280mlを四径フラスコに取り8時間生成する水を除去しながら還流反応する。室温に冷却後セライトを引いた濾過器で濾過し、瀘液をオイルバスで加熱、減圧下ニトロベンゼンを留去し、残溜物をメタノール200mlで洗浄し、シリカゲル/展開溶媒トルエン:n−ヘキサン=5:1volでクロマト分離して目的物を得る。m.p146〜148℃、−44.5g(55%)。
【0043】製造例3<1,1−ビス(4−メトキシフェニル)−1−(p−アセトアミドフェニル)エタンの合成>製造例1の1,1−ビス(4−メトキシフェニル)−1−(4−アミノフェニル)エタン274g(0.822mol)、トルエン1.6リットルに加熱溶解し、室温にもどし懸濁にし、攪拌下無水酢酸100.7gを1時間で滴下する。滴下中反応液は発熱し反応物は溶解する。その後3時間反応し、反応液を減圧下濃縮し析出物を瀘別、トルエンで洗浄した。m.p151〜152.5℃、250.4g(81.1%)、I.R −NHCO− 3250、1660cm-1、C:76.97%(Cal76.76)、H:6.58%(Cal6.72)、N:3.71%(Cal3.73)。
【0044】<1,1−ビス(4−メトキシフェニル)−1−〔4−(p−トリルアミノ)フェニル〕エタンの合成>上記アセチル体250.4g(0.667mol)、p−ブロムトルエン456.3g(2.67mol)、炭酸カリウム110.6g(0.8mol)、銅粉42.4gを四径フラスコに取り、187℃で還流、攪拌12時間反応した。反応後炭酸カリウム、銅粉をセライトを用いて濾過し、瀘液を減圧下p−ブロムトルエンを留去し、得られたガラス状物をジオキサン580mlに溶解し、濃塩酸250gを加え88℃で5時間反応した。反応液を水1.7リットルに注ぎ灰色析出物を得る。それをエタノール4リットルで再結晶した。m.p123〜125℃、186g(65.8%)。I.R −NH−3400cm-1
【0045】<1,1−ビス(4−メトキシフェニル)−1−〔N−(ビフェニル−4−イル)−N−(p−トリル)−4−アミノフェニル〕エタンの合成>上記トリルアミノ体86.9g(0.205mol)、4−ヨードビフェニル224.1g(0.8mol)、炭酸カリウム66.3g(0.48mol)、銅粉12.7gを四径フラスコに取り、185℃で36時間反応した。反応後トルエンを加え反応物を取り出し、トルエンを減圧下留出し渇色残物をn−ヘキサンで熱抽出し、得られた黄色物280gをシリカゲルと溶離液トルエン:シクロヘキサン=1:1volの混合溶媒でクロマト分離し108.5gの目的物を得た。
【0046】<1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−〔N−(ビフェニル−4−イル)−N−(p−トリル)−4−アミノフェニル〕エタンの合成>上記メトキシ体91.2g(0.158mol)、ナトリウムチオエチラート66.6g(0.79mol)、DMF800mlを四径フラスコに取り、120〜130℃で8時間反応した。反応後反応液を3リットルの水に注ぎ、濃塩酸80mlで酸性化した。白色の析出物を瀘別、水1.5リットルで数回洗浄し、乾燥後トルエンで再結晶した。その後シリカゲルと溶離液トルエン:酢酸エチル=3:1volでクロマト分離して目的物を得た。
【0047】製造例4温度計、攪拌機及び滴下漏斗を設けた反応器にイオン交換水220部及び48%水酸化ナトリウム水溶液46.1部を入れ、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−(N,N−ジ−p−トリル−4−アミノフェニル)エタン60.5部及びハイドロサルファイト0.04部を溶解した後塩化メチレン104部を加え、攪拌下15〜20℃でホスゲン14.8部を25分を要して吹込んだ。ホスゲン吹込み終了後4−(p−ヒドロキシフェニル)−N,N−ジ−p−トリルアニリン0.4部を塩化メチレン20部に溶解して添加し、乳化後トリエチルアミン0.04部を添加して28〜33℃で約2時間攪拌して反応を終了した。反応終了後生成物を塩化メチレンで希釈して水洗した後、塩酸酸性にして水洗し、水相の導電率がイオン交換水と殆ど同じになったところで塩化メチレンを蒸発して無色のポリマー61部を得た。このポリマーの比粘度が0.688、ガラス転移温度が199℃であった。
【0048】
【実施例】以下本発明を実施例により説明するが、これにより本発明の態様が限定されるものではない。部はいずれも重量基準である。
【0049】実施例180φmm、340mmストロークのアルミシリンダーにポリアミド樹脂、(CM−8000:東レ社製)をスプレー塗工、乾燥して0.3μmの中間層を設けた。この上に下記式化5で示される構造のアゾ顔料をシクロヘキサノンで粉砕分散した分散液をスプレー塗工、乾燥して0.2μmのCGLを設けた。
【化3】


【0050】次いで、製造例4で得られたポリカーボネート樹脂10部、トルエン80部、シクロヘキサノン40部の溶液をスプレー塗工、120℃で20分間乾燥し、膜厚23μmのCTLを設け、本発明の感光体を作成した。
【0051】実施例2〜19実施例1と同様に中間層、CGLを設けた上に表4に示したポリカーボネート樹脂10部、トルエン80部、シクロヘキサノン40部の溶液をスプレー法で塗工し、120℃、20分間乾燥して膜厚23μmのCTLを設け、本発明の感光体を作成した。なお、実施例No.と表4のポリカーボネート化合物No.は同一である。
【0052】比較例1実施例1と同様に中間層、CGLを設けた上に、下記CTL液を浸漬法で塗工し、120℃、20分間乾燥して23μmのCTLを設け、比較用の感光体を作成した。
〔CTL液〕
ポリカーボネート樹脂(C−1400:帝人化成社製) 100部
【化4】


ジクロルメタン 800部
【0053】比較例2実施例1と同様に中間層、CGLを設けた上に下記CTL液を浸漬法で塗工し、120℃、20分乾燥して23μmのCTLを設け、比較用の感光体を作成した。
〔CTL液〕
ポリカーボネート樹脂(ユーピロンPCZ 100部 三菱瓦斯化学社製)
前記式化4で示される化合物 90部 ジクロルメタン 800部
【0054】実施例1〜19及び比較例1〜2で得た感光体を、特開昭60−100167号公報で示されている装置に装着し、1000rpmに回転させ、暗中負の6KVの電圧を放電し、20秒間印加した時の電位Vmを求め、またその後放電をやめ20秒間暗減衰させその時の電位V0を測定した。更にタングステン光を26Luxの光量、スリット巾6mmで20秒間照射してV0から半減する量E1/2、1/10になる量をE1/10として感度を求めた。また、20秒間の電位をVrとした。その結果を表6に示す。また、これら感光体を(株)リコー製FT−4820に装着し、10万枚の耐久試験を行なった。その結果を表7に示した。なお、初期暗部電位(VD)を800V、明部電位(VL)を80Vに設定した。
【0055】
【表6−(1)】


【0056】
【表6−(2)】


【0057】
【表7】


【0058】上記表7から、実施例1〜19の感光体は、CTLの摩耗による画像劣化が生じないものであることが判る。それに対して比較例の感光体は、摩耗による画像劣化が発生した。
【0059】実施例2080φ、340mmストロークのアルミシリンダーに下記CTL液を浸漬法で塗工し120℃、20分間乾燥し、20μmのCTLを設けた。
〔CTL液〕
ポリカーボネート樹脂(C−1400 100部 帝人化成社製)
【化5】


ジクロルメタン 1000部
【0060】次いで、下記CGL液をスプレー法で塗工し130℃、60分間乾燥して3μmのCGLを設け、次いで水銀ランプ120W/CM、距離8cm、速度1m/minでCGLを硬化させた。〔CGL液〕
前記式化3で示される化合物 22部 ポリエチレングリコールモノステアリル 2部 (イオネット400MS 三洋化成社製)
シクロヘキサン 440部をボールミルで72時間粉砕、分散後400部のメチルエチルケトン、表4のNo.18のポリカーボネート樹脂20部の溶液を加え再度3時間分散し、シクロヘキサノン:メチルエチルケトン=1:1重量比の混合溶液1000部でレットダウンし塗工液とした。
【0061】実施例21実施例20と同様にしてCTLを設けた上に、次いで下記CGL液をスプレー法で塗工し、130℃、60分間乾燥して5μmのCGLを設け、本発明の感光体を作成した。
〔CGL液〕
ジブロムアントアントロン(ICI社製) 40部 ポリエチレングリコールモノステアリル 2部 シクロヘキサン 460部をボールミルで48時間粉砕、分散し、400部のメチルエチルケトンを加え再度3時間分散後、表4のNo.6のポリカーボネート40部、シクロヘキサノン500部、メチルエチルケトン500部の溶液でレットダウンしてCGL塗工液を得た。
【0062】実施例22〜23実施例20と同様にしてCTLを設けた上に、下記表8のCGL液を塗工し感光体を得た。
【表8】


【0063】比較例3実施例20と同様にしてCTLを設けた上に、実施例20のアゾ顔料22部、ポリエチレングリコールモノステアリル2部、シクロヘキサノン440部を72時間分散後、再度シクロヘキサノン600部を加え3時間分散した。この分散液をシクロヘキサノン1000部でレッドダウンしてCGL分散液を得た。一方、下記処方液を調合しCGL分散液1000部を加えCGL塗工液とし、実施例20と同様のCTL上にスプレー法で塗工、乾燥し3μmのCGLを設けた。
【0064】
前記式化5で示される化合物 50部 ポリカーボネート樹脂 100部 (C−1400 帝人化成社製)
テトラヒドロフラン 2000部
【0065】以上実施例20〜23、及び比較例3の感光体を(株)リコー製FT−6550に装着し、暗部電位(VD)800V、明部電位(VL)80Vに設定し、2万枚の耐久試験を行なった。その結果、実施例は初期、2万枚も鮮明な画像であったが、比較例は白スジ、黒スジが多数発生した。
【0066】実施例24下記塗工液をスプレー法で80φ、340mmストロークのアルミシリンダーに塗工、140℃で30分間乾燥して膜厚30μmの単層感光体を得た。
【化6】


ポリエチレングリコールモノステアリル 3部 (イオネット400MS 三井化成社製)
シクロヘキサノン 440部をボールミルで72時間粉砕、分散後400部のメチルエチルケトン400部を加え再度3時間分散した。No.30のポリカーボネート50部、シクロヘキサノン500部の溶液でレットダウンしてCGL塗工液とした。
【0067】比較例4下記塗工液をスプレー法で80φ、340mmストロークのアルミシリンダーに塗工、140℃で30分間乾燥して膜厚30μmの単層感光体を得た。
前記式化6で示される化合物 30部 ポリエチレングリコールモノステアリル 3部 (イオネット400MS 三井化成社製)
シクロヘキサノン 440部をボールミルで72時間粉砕、分散後、400部のメチルエチルケトン400部を加え、再度3時間分散した。
【0068】ポリカーボネート(PCZ 帝人化成社製)50部、下記CTM50部、シクロヘキサノン500部の溶液でレットダウンしてCGL塗工液とした。
【化7】


【0069】実施例25〜27及び比較例5〜6以下表9に示すバインダー樹脂、電荷発生材を、実施例24と同様にして塗工液を調合、塗工して30μmの単層感光体を設けた。
【0070】
【表9−(1)】


【0071】
【表9−(2)】


【0072】上記感光体を前記と同様の装置に装着し、正の6Kvの電圧を印加したほかは同様の測定をした。結果を表10に示した。
【0073】
【表10】


【0074】これら感光体を(株)リコー製FT−6550に装着し、暗部電位(VD)800V、明部電位(VL)80Vに設定し、5万枚に耐久試験を行なった結果、実施例の感光体は摩耗、傷による異常画像は認められず鮮明なものであった。しかし比較例の感光体は、耐久後の画像は白スジ、黒スジ、黒ポチが発生したものであった。
【0075】実施例28比較例1の感光体を準備し、その感光体CTL上にNo.32のポリカーボネートの5%シクロヘキサノン溶液をスプレー法で塗工して、130℃で40分間乾燥して4μmのオーバーコート層を設けた。この感光体を実施例1と同様に(株)リコー製FT−4820に装着して10万枚の耐久試験を行なったところ、初期、及び10万枚の画像共に鮮明であった。この様に本発明のポリカーボネートは、オーバーコートに使用されても電気特性、耐摩耗性がよく高画質の得られる感光体である。
【0076】以上の実施例、比較例から、トリアリールアミン構造をもつポリカーボネートは電荷移動作用をもち、機械的強度が高いもので、感光体の高感度化及び高耐久をもたらすものであることが判る。また、これらトリアリールアミン構造をもつポリカーボネートは、アイソパーG、アイソパーH、アイソパーLなどのパラフィン溶媒をキャリアとした湿式現像方式の電子写真感光体としても、低分子CTMの溶出がないため使用でき、実施例27の単層感光体をセーヴィン社製9350の湿式電子写真プロセスで5千枚の複写試験でなんら損傷のないものであった。
【0077】実施例29〜32及び比較例7〜80.2mm厚のアルミ板上にポリビニルブチラール(XYHL UCC社製)のテトラヒドロフラン溶液で0.5μmの接着層を設けた。表5の共重体No33、34、35、36の13%ジクロルメタン溶液を調製し、これを上記接着層上にブレード塗工し、130℃、30分間乾燥して25μmの樹脂層を設けた。この樹脂膜を東洋精機社製ロータリーアブレーションテスターで摩耗輪CS−10を用いて1500回転、摩耗させた。比較例7〜8は、前記比較例1及び2のCTL液を上記ポリビニルブチラール上に塗工し、乾燥して25μmの膜を得、それを摩耗テストに供した。それらの結果を表11に示す。
【0078】
【表11】


表11から、本発明の高分子移動材は耐摩耗性がよく、電子写真感光体の耐久性化をもたらすものであることが判る。
【0079】
【発明の効果】本発明の電子写真感光体は、前記一般式化1で示されるポリカーボネート樹脂又はそれと前記一般式化2で示されるヒドロキシ化合物との共重合体を含有する感光層を設けたものであるが、このようなトリアリールアミン骨格を側鎖に有するポリカーボネートは電荷移動作用をもち、機械的度でが高いので、本感光体は高感度で且つ高耐久性を有するものとなる。また、これらトリアリールアミン骨格をもつポリカーボネートは、アイソパーG、アイソパーH、アイソパーLなどのパラフィン溶媒をキャリアとした湿式現像方式の電子写真感光体としても、低分子CTMの溶出がないため、長期間使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 導電性支持体上に少なくとも感光層を設けてなる電子写真感光体において、該感光層に下記一般式化1で示されるポリカーボネート樹脂を含有してなることを特徴とする電子写真感光体。
【化1】


〔式中、R1〜R3、Ar1、Ar2及びnはそれぞれ以下のものを表わす。
1:水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、又は置換若しくは未置換のアリール基、R2、R3:水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、置換若しくは未置換のアリール基、又はハロゲン原子、Ar1、Ar2:置換若しくは未置換のアリール基、n:5〜10,000の整数。〕
【請求項2】 導電性支持体上に少なくとも感光層を設けてなる電子写真感光体において、該感光層に前記一般式化1で示される化合物のモノマー単位と下記一般式化2で示されるヒドロキシ化合物との共重合体を含有してなることを特徴とする電子写真感光体。
【化2】


〔式中、A、R4及びR5はそれぞれ以下のものを表わす。
A:単結合、直鎖状、分岐状若しくは環状の炭化水素基、置換若しくは未置換のアリレン基、オキシド基、スルフィド基、スルホキシド基、スルホン基、又はケトン基、R4、R5:水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、置換若しくは未置換のアリール基、又はハロゲン原子。〕

【公開番号】特開平7−325409
【公開日】平成7年(1995)12月12日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平6−180969
【出願日】平成6年(1994)7月8日
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【出願人】(000215888)帝人化成株式会社 (504)