説明

電子写真用ラミネートフィルム、並びに、これを用いた情報記録媒体及び情報記録媒体製造方法

【課題】ラミネート面側に画像が記録された電子写真用ラミネートフィルムとカード用コア基材シート情報記録媒体の非ラミネート面でのディンプル模様のような空気溜り痕を発生を抑制することができるラミネートフィルムを提供する。
【解決手段】基材の片面に設けられたラミネート層と、もう一方の片面に設けられた非ラミネート層とを有する電子写真用ラミネートフィルムにおいて、 前記非ラミネート層が、少なくとも樹脂と微粒子とを含有し、且つ、下式(1)〜下式(3)を満たすことを特徴とする電子写真用ラミネートフィルム。・式(1) 1.5≦R≦5・式(2) 0.1≦t<R・式(3) 7/R≦n〔Rは微粒子の体積平均粒子径、tは前記非ラミネート層の膜厚、nは前記非ラミネート層中に含まれる前記微粒子の前記基材平面方向個数(個/(100μm)2)を表す。〕

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式で印字した画像記録体を利用して、容易に情報記録媒体を作製するための電子写真用ラミネートフィルム、並びに、これを用いた情報記録媒体および情報記録媒体製造方法に関し、より詳細には、顔写真入りキャッシュカードや社員証、学生証、個人会員証、居住証、各種運転免許証、各種資格取得証明等の非接触式または接触式個人情報画像情報入り情報記録媒体、RFIDタグさらに医療現場などで用いる本人照合用画像シートや画像表示板、表示ラベルなどに用いることができる電子写真用ラミネートフィルム、並びに、これを用いた情報記録媒体及び情報記録媒体製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像形成技術の発達に伴って、凹版印刷、凸版印刷、平版印刷、グラビヤ印刷及びスクリーン印刷などの様々な印刷法により、同一品質の画像を、大量かつ安価に形成する手段が知られている。そして、このような印刷法は、ICカード、磁気カード、光カード、あるいはこれらが組み合わさったカードなど、所定の情報を納め、外部装置と接触または非接触に交信可能な情報記録媒体の作製にも多く用いられている。
【0003】
しかしながら、例えば上記スクリーン印刷は、印刷しようとする画像の数に応じた印刷版が多数必要であり、カラー印刷の場合には、さらにその色の数だけ印刷版が必要となる。そのため、これら印刷方法は、個人の識別情報(顔写真、氏名、住所、生年月日、各種免許証など)に個々に対応するには不向きである。
【0004】
上記問題点に対して、現在もっとも主流となっている画像形成手段は、インクリボン等を用いた昇華型や溶融型の熱転写方式を採用したプリンタ等による画像形成方法である。しかし、これらは個人の識別情報を容易に印字することはできるが、印刷速度を上げると解像度が低下し、解像度を上げると印刷速度が低下するという問題を依然抱えている。
【0005】
これに対して、電子写真方式による画像形成(印刷)は、像担持体表面を一様に帯電させ、画像信号に応じて露光し、露光部分と非露光部分との電位差による静電潜像を形成させ、その後、前記帯電と反対(あるいは同一)の極性を持つトナーと呼ばれる色粉(画像形成材料)により静電潜像を現像することにより、前記像担持体表面に可視画像(トナー画像)を形成するプロセスを経て行われる。カラー画像の場合は、この工程を複数回繰り返すこと、あるいは画像形成器を複数並配置することによりカラーの可視画像を形成し、これらを画像記録体に転写、定着(固定化:主に熱による色粉の溶融と冷却による固化)することによりカラー画像が形成される。
【0006】
上述のように、電子写真方式では、像担持体表面の静電潜像を画像信号により電気的に形成するため、同じ画像を何度でも形成できるだけでなく、異なる画像に対しても容易に対応可能である。また、像担持体表面に形成されたトナー画像は、ほぼ完全に画像記録体表面に転移させることができ、像担持体表面にわずかに残存するトナー画像も、樹脂ブレードやブラシ等により容易に除去することができるため、多品種少量生産に向けた印刷物を容易に作製することが可能である。
【0007】
また、上記トナーは、通常、熱溶融性樹脂及び顔料、並びに場合によっては帯電制御剤などの添加剤を溶融混合し、この混練物を粉砕、微粒子化して形成される。さらに、前記電子写真方式における静電潜像は、上記微粒子化されたトナーに比べてかなり高い解像度を持っており、前記スクリーン印刷やインクリボンの熱転写方式の解像度と比べても十分な解像度が期待できる。
【0008】
カラー画像についても、カラートナーとしてシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの四原色を用い、これらを混合することにより、理論的に印刷と同様の色を再現できる。また、上記カラートナーでは、トナー樹脂と顔料とを比較的自由に配合できるため、トナーによる画像隠蔽性を増加させることは容易である。
【0009】
屋外での使用を想定した情報記録媒体の耐熱性、及び耐光性については、これまでほとんど検討されていないが、特に運転免許証等を車中の直射日光に当たる場所に置いておくと、色材として染料を用いている熱転写型の画像は退色してしまう。しかし、電子写真方式により形成されたカラー画像では、前記カラートナー中に、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各々の色に対応した耐光性に優れた顔料が使用されており、電子写真方式により形成された画像の耐光性は十分優れているものと考えられる。同様に、耐熱性のトナーを選択すれば、情報記録媒体に形成された画像の耐熱性も、屋外で使用できる程度になるものと考えられる。
【0010】
一方、現在もっとも多く使用されている各種カードの基材(コア)はポリ塩化ビニル(Polyvinyl Chloride、以下「PVC」あるいは「塩ビ」という場合がある)シートであり、その理由は印刷適性に優れ、エンボス加工適性(文字等の凹凸処理)にも優れ、他の代替樹脂に比べ低価格であるためである。
【0011】
近年、PVCについては焼却処理によってダイオキシンを発生するとして環境に対する負のイメージが付いてしまっているものの、現在では適切な焼却方法や焼却炉の進化によって有毒ガスの発生は抑制できるとされている。原料となるPVC樹脂は約6割が塩から成っており、他の樹脂より石油含有率が低いという点では環境負荷が少ないとの考えもあり、またリサイクル性に優れており、クレジットカードにおけるマテリアルリサイクルも進んでいる。
【0012】
エンボス加工を行わないことを前提にした場合は、従来から有るような二軸延伸PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムなどが使用できる。しかし、従来からのカードの機能を継続させるため、エンボス加工は欠かせない場合が多く、現在は、PVCシートの他に、比較的低温で軟化するABS樹脂フィルムやポリオレフィン樹脂フィルム、PETGと呼ばれる変性PET樹脂フィルムや、変性PET樹脂フィルムとPETフィルム、アモルファスPET樹脂フィルムあるいはポリカーボネート樹脂フィルムとの一体成形フィルム等が用いられるようになってきた。
【0013】
上記各種カードの基材を用いて従来からのカードを作製する方法としては、大判サイズの基材にカードデザインを他面付け印刷した後、カード厚みとなるよう基材を積層して金属板で挟み、これを十数組み重ねた積層体の状態で大気圧下で一度に熱プレス、冷却し、カードサイズに打ち抜く方法が一般的である。
この方法では、基材を多段に積層した積層体の中央部にも一様に熱を伝えると共に、基材間に残留する空気を追い出すために、熱プレスには数十分の時間を要し、冷却にも同程度の時間を要する。
【0014】
一方、前述の電子写真装置を使用して、各種カードの印字を行った例としては以下のものが挙げられる。
例えば、画像の定着性と耐久性の向上、及び、偽造や変造の防止を目的に、ポリエチレンナフタレートまたはポリエチレンテレフタレートを含有する透明シートにポリエステル系のホットシール性の接着剤層を設け、この面に認証識別用の画像情報を鏡像で印字し、アクリル基材と前記鏡像とが接触する向きに貼り合わせる(透明シートが保護シートにもなる)方法(特許文献1参照)が提案されている。
【0015】
しかし、上記接着層を設けた透明シートにおいては、電子写真用としては定着性と搬送性とについて考慮がなされているが、転写性については特に何の工夫もされていない単なる絶縁シートであるため、電子写真装置で画質不良を招く場合がある。また、ラミネート手段の速度や圧力等の具体的な記載もないため、画像を透明シートに印字できたとしても、ラミネートする際にシート間に空気が残存する場合があり、気泡の影響が残って画像品質を悪化させる場合がある。
【0016】
また、別の例としては、画像の良好な形成と偽造防止を目的に、光透過性シートに個人識別情報を鏡像で印字し、ICメモリを有した基材上の接着層と前記鏡像とが接触する向きに貼り合わせる(光透過性シートが保護シートにもなる)方法(特許文献2参照)が提案されている。
【0017】
しかし、上記光透過性のラミネートシート(及び基材)においては、少なくとも一部が2軸延伸ポリエステルフィルム、又はABS、又はポリエステルからなるフィルム/2軸延伸ポリエステルフィルムであることが好ましいが、塩化ビニルでもよい、と記載されているだけで特に何の工夫もされていない単なる絶縁シートであるため、電子写真装置で搬送不良や画質不良となる場合がある。また、ラミネート手段の速度や圧力等の具体的な記載もないため、画像を光透過性シートに印字できたとしても、ラミネートする際にシート間に空気が残存する場合があり、気泡の影響が残って画像品質を悪化させる場合がある。
【0018】
また、別の例としては、各種個人情報の他に、不可視バーコードを厚さ250μmの塩化ビニルシートや厚さ280μmのポリエステルシートに電子写真法で印字し、それぞれ印字面に厚さ250μmの塩化ビニルオーバーフィルム、厚さ100μmのポリエステルビニルオーバーフィルムで挟み、熱プレス機でラミネートする方法(特許文献3参照)が提案されている。
【0019】
しかし、上記塩化ビニルシートやポリエステルシートにおいては、特に何の工夫もされていない単なる絶縁シートであるため、電子写真装置で搬送不良や画質不良となる場合がある。また、熱プレス機の温度、圧力、時間等の具体的な記載もないため、画像をシートに印字できたとしても、ラミネートする際に上記シートとオーバーフィルム間及び、上記オーバーフィルムと熱プレス機のプレス部間に空気が残存する場合があり、気泡の影響が残って画像品質や仕上がり光沢品位を悪化させる場合がある。
【0020】
また、別の例としては、基材の非ラミネート面のギラツキを抑制するために、結着剤(ポリエステル樹脂等)とフィラー(微粒子=マット剤)とを含み、厚さが0.01〜20μm(より好ましくは0.1〜5μm)の範囲で、フィラーの体積平均粒径が0.1〜10μm(より好ましくは1〜5μm)の範囲で、フィラーと結着剤との質量比(フィラー:結着剤)が0.3:1〜3:1の範囲である光沢制御層を基材の非ラミネート面側に設けた電子写真用ラミネートフィルム(特許文献4参照)や、この電子写真用ラミネートフィルムとほぼ同様の光沢制御層を設けた画像記録体(電子写真用ラミネートフィルム)及びそれを用いた画像表示体(特許文献5参照)が提案されている。
【0021】
上記の電子写真用ラミネートフィルムにおいては、非ラミネート層を予めマット処理しておき、これにより電子写真用ラミネートフィルムとコア基材とをラミネートした後の非ラミネート面の表面光沢度を制御する。しかし、この電子写真用ラミネートフィルムとコア基材とをラミネートする際に、電子写真用ラミネートフィルムと熱プレス機のプレス部間に空気が残存し、気泡の影響が残って光沢品位を悪化させる場合がある。
このように、従来の電子写真用ラミネートフィルムを用いた場合には、ラミネート時に、積層された部材と部材との間に空気が残存し、光沢や画質を劣化させる場合があった。
【特許文献1】特開平10−86562号公報
【特許文献2】特開平11−334265号公報
【特許文献3】特開2001−92255号公報
【特許文献4】特開2004−12575号公報
【特許文献5】特開2004−20950号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
しかしながら、このような問題は、上述したようにカードを構成する基材を積層した積層体を熱プレスする際に数十分程度の十分な時間をかけて熱プレスすれば解決できる場合が多い。一方、このような時間を要する熱プレスは生産性を著しく低下させる。それゆえ、生産性の点からは、熱プレスはできるだけ短時間で完了することが好ましい。
従って、積層体の厚みが薄い方が、熱が積層体の中央部にまで速やかに伝達するために、生産性を向上させることが容易であるように考えられる。しかし、実際には基材間に残留する空気を十分に追い出すのに要する時間が、積層体の厚みによらずほとんど変わらないため、積層体の厚みを薄くして熱プレスしても生産性を向上させることはできない。
また、熱プレス時間を無理に短くすると、基材間に残留する空気が十分に抜けきる前にラミネートが完了するため、基材間に気泡が残ってしまう。さらに、熱プレスに利用する金属板と接していた基材の最表面にも空気が残っていた窪み痕(ゴルフボール表面のようなディンプル模様)が出てしまい、特にカードの仕上がり光沢品位が著しく損なわれてしまう。
【0023】
本発明は、上記問題点を解決することを課題とする。すなわち、本発明は、大気圧近傍下でラミネート面側に画像が記録された電子写真用ラミネートフィルムとカード用コア基材シートとを短時間でラミネートして情報記録媒体を製造する場合において、非ラミネート面でのディンプル模様のような空気溜り痕の発生を抑制することができる電子写真用ラミネートフィルム、並びに、これを用いた仕上がり画質(特に光沢品位)に優れ、生産性にも優れた情報記録媒体及び情報記録媒体製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
上記課題は以下の本発明により達成される。すなわち、本発明は、
<1>
基材と、該基材の片面に設けられたラミネート層と、前記基材のもう一方の片面に設けられた非ラミネート層とを有する電子写真用ラミネートフィルムにおいて、
前記非ラミネート層が、少なくとも樹脂と微粒子とを含有し、且つ、下式(1)〜下式(3)を満たすことを特徴とする電子写真用ラミネートフィルムである。
・式(1) 1.5≦R≦5
・式(2) 0.1≦t<R
・式(3) 7/R≦n
〔但し、式(1)〜式(3)中、Rは前記微粒子の体積平均粒子径(μm)、tは前記非ラミネート層の膜厚、nは前記非ラミネート層中に含まれる前記微粒子の前記基材平面方向10000平方μm当たりの個数(個/(100μm)2)を表す。〕
【0025】
<2>
下式(4)を満たすことを特徴とする<1>に記載の電子写真用ラミネートフィルムである。
・式(4) R−t>0.4
〔但し、式(4)中、Rは前記微粒子の体積平均粒子径(μm)、tは前記非ラミネート層の膜厚を表す。〕
【0026】
<3>
前記基材の前記ラミネート層が設けられる側の面が、離型性を有することを特徴とする<1>に記載の電子写真用ラミネートフィルムである。
【0027】
<4>
前記基材の前記ラミネート層が設けられる側の面に、離型性を有する材料が含まれ、前記離型性を有する材料が、シラン系組成物を含む縮合物樹脂、および、該シラン系組成物を含む縮合物樹脂とコロイダルシリカ分散液との混合物からなる材料から選択されるいずれか1種の材料であることを特徴とする<3>に記載の電子写真用ラミネートフィルムである。
【0028】
<5>
前記基材がポリエチレンテレフタレート樹脂を主成分として含むことを特徴とする<1>に記載の電子写真用ラミネートフィルムである。
【0029】
<6>
前記基材が、テレフタル酸及び1,4−シクロヘキサンジメタノール成分を少なくとも共重合させたポリエステル樹脂を含むことを特徴とする<5>に記載の電子写真用ラミネートフィルムである。
【0030】
<7>
前記非ラミネート層に、機能性制御手段が設けられ、該機能性制御手段が、耐光性、抗菌性、難燃性、離型性、及び、帯電性を制御する機能から選択される少なくとも1つの機能を有することを特徴とする<1>に記載の電子写真用ラミネートフィルムである。
【0031】
<8>
カード用コア基材シートと、該カード用コア基材シートの少なくとも片面に接合され、前記カード用コア基材側の面にトナー画像が記録形成されたラミネート層とを含み、
基材と、該基材の片面に設けられた前記ラミネート層と、前記基材のもう一方の片面に設けられた非ラミネート層とを有し、前記ラミネート層表面に電子写真法を利用して前記トナー画像が記録形成された画像記録体の前記ラミネート層側の面と、前記カード用コア基材シートの少なくとも片面とを加熱圧着によりラミネートするラミネート工程を少なくとも経て製造される情報記録媒体において、
前記非ラミネート層が、少なくとも樹脂と微粒子とを含有し、且つ、下式(5)〜下式(7)を満たすことを特徴とする情報記録媒体である。
・式(5) 1.5≦R≦5
・式(6) 0.1≦t<R
・式(7) 7/R≦n
〔但し、式(5)〜式(7)中、Rは前記微粒子の体積平均粒子径(μm)、tは前記非ラミネート層の膜厚、nは前記非ラミネート層中に含まれる前記微粒子の前記基材平面方向10000平方μm当たりの個数(個/(100μm)2)を表す。〕
【0032】
<9>
前記情報記録媒体が、前記カード用コア基材シートと、該カード用コア基材シートの少なくとも片面に接合された前記画像記録体とを含むことを特徴とする<8>に記載の情報記録媒体である。
【0033】
<10>
前記基材の前記ラミネート層が形成される面が離型性を有し、
前記ラミネート工程と、該ラミネート工程を経て得られ、前記カード用コア基材シートと該カード用コア基材シートの少なくとも片面に接合された前記画像記録体とを含む積層体を、前記基材と前記ラミネート層との界面で剥離する剥離工程と、を経て作製されることを特徴とする<8>に記載の情報記録媒体である。
【0034】
<11>
前記電子写真用ラミネートフィルムが透明であり、前記ラミネート層表面に形成される前記トナー画像が鏡像で記録形成されることを特徴とする<8>に記載の情報記録媒体である。
【0035】
<12>
前記カード用コア基材シートが、電気的手段、磁気的手段、光学的手段から選択される少なくとも1つの手段を利用することにより情報の読み出しおよび/または書き込みが可能な情報チップを含むことを特徴とする<8>に記載の情報記録媒体である。
【0036】
<13>
基材と、該基材の片面に設けられたラミネート層と、前記基材のもう一方の片面に設けられた非ラミネート層とを有する電子写真用ラミネートフィルムの前記ラミネート層表面に電子写真法を利用してトナー画像が記録形成された画像記録体の前記ラミネート層側の面と、カード用コア基材シートの少なくとも片面とを加熱圧着によりラミネートするラミネート工程を少なくとも経て、情報記録媒体を製造する情報記録媒体製造方法において、
前記非ラミネート層が、少なくとも樹脂と微粒子とを含有し、且つ、下式(8)〜下式(10)を満たすことを特徴とする情報記録媒体の製造方法である。
・式(8) 1.5≦R≦5
・式(9) 0.1≦t<R
・式(10) 7/R≦n
〔但し、式(8)〜式(10)中、Rは前記微粒子の体積平均粒子径(μm)、tは前記非ラミネート層の膜厚、nは前記非ラミネート層中に含まれる前記微粒子の前記基材平面方向10000平方μm当たりの個数(個/(100μm)2)を表す。〕
【0037】
<14>
前記情報記録媒体が、前記カード用コア基材シートと、該前記カード用コア基材シートの少なくとも片面に接合された前記画像記録体とを含むことを特徴とする<13>に記載の情報記録媒体製造方法である。
【0038】
<15>
前記基材の前記ラミネート層が形成される面が離型性を有し、
前記ラミネート工程と、該ラミネート工程を経て得られ、前記カード用コア基材シートと該前記カード用コア基材シートの少なくとも片面に接合された前記画像記録体とを含む積層体を、前記基材と前記ラミネート層との界面で剥離する剥離工程と、を経て、
前記カード用コア基材シートと、該カード用コア基材シートの少なくとも片面に接合され、前記カード用コア基材側の面に前記トナー画像が記録形成されたラミネート層とを含む情報記録媒体を製造することを特徴とする<13>に記載の情報記録媒体製造方法である。
【0039】
<16>
前記加熱圧着に要する時間が5分以下であることを特徴とする<13>に記載の情報記録媒体製造方法である。
【0040】
<17>
前記カード用コア基材シートの、画像記録体の前記ラミネート層側の面とラミネートされる面に接着層が設けられていることを特徴とする<13>に記載の情報記録媒体製造方法。
【0041】
<18>
前記加熱圧着が、大気圧下で行われることを特徴とする<14>に記載の情報記録媒体製造方法である。
【発明の効果】
【0042】
以上に説明したように本発明によれば、大気圧近傍下でラミネート面側に画像が記録された電子写真用ラミネートフィルムとカード用コア基材シートとを短時間でラミネートして情報記録媒体を製造する場合において、非ラミネート面でのディンプル模様のような空気溜り痕を発生を抑制することができる電子写真用ラミネートフィルム、並びに、これを用いた仕上がり画質(特に光沢品位)に優れ、生産性にも優れた情報記録媒体及び情報記録媒体製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
(電子写真用ラミネートフィルム)
本発明の電子写真用ラミネートフィルムは、基材と、該基材の片面に設けられたラミネート層と、前記基材のもう一方の片面に設けられた非ラミネート層とを有する電子写真用ラミネートフィルムにおいて、前記非ラミネート層が、少なくとも樹脂と微粒子とを含有し、且つ、下式(1)〜下式(3)を満たすことを特徴とする。
・式(1) 1.5≦R≦5
・式(2) 0.1≦t<R
・式(3) 7/R≦n
〔但し、式(1)〜式(3)中、Rは前記微粒子の体積平均粒子径(μm)、tは前記非ラミネート層の膜厚、nは前記非ラミネート層中に含まれる前記微粒子の前記基材平面方向10000平方μm当たりの個数(個/(100μm)2)を表す。〕
【0044】
従って、本発明によれば、大気圧近傍下(なお、大気圧近傍とは10000〜101325Pa範囲を意味する)でラミネート面側に画像が記録された電子写真用ラミネートフィルム(画像記録体)とカード用コア基材シートとを短時間でラミネートして情報記録媒体を製造する場合において、非ラミネート面でのディンプル模様のような空気溜り痕を発生を抑制することができる電子写真用ラミネートフィルムを提供することができる。さらに、本発明の電子写真用ラミネートフィルムを用いて作製された情報記録媒体は仕上がり画質(特に光沢品位)に優れ、この情報記録媒体の製造に際しては、ラミネート時の加熱圧着処理が従来よりも短時間で済むため生産性にも優れる。
【0045】
このような効果は、大気圧近傍下でラミネートする場合において、非ラミネート層とそれに接触するラミネート装置側の金属等からなる板材(以下、「熱プレス板」と称す)との界面から空気を短時間で効率的に逃がすことができるため、空気の溜り痕の発生が抑制されるためであると考えられる。
すなわち、式(1)〜(3)に示されるように、所定の大きさを持つ微粒子の一部が、非ラミネート層の平面に対して凸部を形成すると共に、この凸部が所定の密度で存在するため、ラミネート時に非ラミネート層表面と熱プレス板とが接触した際に、非ラミネート層の凸部が形成されていない領域表面と熱プレス板とが接触して空気が閉じ込められにくく、両者の間に存在する空気が加熱圧着の過程で容易に外部へと逃げることができるためであると推定される。
また、非ラミネート面のディンプル模様のような空気溜り痕の発生を抑制することができるため、結果的に非ラミネート面を高光沢に仕上げることもでき、75°鏡面光沢度で40%を超える光沢度を得ることも容易である。
加えて、非ラミネート層の微粒子は、非ラミネート層表面とこの層に対向接触する面との間の滑りを良くする作用もあるため、電子写真方式の記録装置での良好な搬送性を確保することが可能である。
【0046】
なお、光沢制御を目的として、非ラミネート層に微粒子(いわゆるマット剤)を配した電子写真用ラミネートフィルムとしては、特許文献4,5に示されるような電子写真用ラミネートフィルムが挙げられる。この電子写真用ラミネートフィルムでも、非ラミネート層に微粒子を配しているため本発明と同様の効果が期待できるが、この電子写真用ラミネートフィルムを短時間でラミネート処理した場合には、非ラミネート面でのディンプル模様のような空気溜り痕が発生してしまう。これは以下の理由によるものであると考えられる。
【0047】
まず、上記の電子写真用ラミネートフィルムにおいて、微粒子は、非ラミネート層表面を粗して非ラミネート面のギラツキを抑制(75°鏡面光沢度で約40%以下に抑制)するために用いられる。このため、本発明の電子写真用ラミネートフィルムの非ラミネート層と比べると、従来の電子写真用ラミネートフィルムの非ラミネート層には、その表面に光の乱反射を引き起こすために周期的・連続的で密な凹凸が形成されるように微粒子が添加される。すなわち、本発明の電子写真用ラミネートフィルムと比べると、微粒子の粒径の点ではより小さく、また、単位面積当たりの微粒子の存在密度という点ではより大きいことが求められる。
それゆえ、ラミネート時に非ラミネート層表面と熱プレス板とが接触した際に、本発明の電子写真用ラミネートフィルムと比べた場合、点接触よりも面接触の傾向がより強くなる。このため、非ラミネート層表面と熱プレス板との間に空気が閉じ込められ易く、短時間では両者の間に存在する空気が加熱圧着の過程で容易に外部へと逃げることが困難である。
【0048】
以下、本発明の電子写真用ラミネートフィルムの構成材料や構成についてより詳細に説明する。
<(電子写真用ラミネートフィルム用)基材>
基材としては、公知の樹脂を利用した樹脂フィルムが利用できるが、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂を主成分として含むものを用いることが好ましい。また、基材はPET樹脂単体から構成されていてもよいが、エチレングリコール、テレフタル酸及び1,4−シクロヘキサンジメタノール成分を少なくとも共重合させたポリエステル樹脂(以下、「PETG樹脂」と略す場合がある)がさらに含まれていてもよい。この場合、基材の少なくとも片面にPET樹脂が含まれ、もう片方の面にPETG樹脂が含まれていることが好ましい。
基材がPET樹脂を含む層とPETG樹脂を含む層とから構成される場合、ラミネート層は、基材のPETG樹脂を含む層側の面に設けることが好ましい。これにより電子写真用ラミネートフィルムを作製するに際して基材のPETG樹脂を含む側の表面にラミネート層形成用の塗工液を塗布してラミネート層を形成する場合に、塗工液中に含まれる樹脂と基材表面との相溶性が良好となる。従って、基材のPETG樹脂を含む表面と、この基材表面に接して設けられたラミネート層とが強固に接着し、剥離を防止することができる。また、仮に剥離したとしても、界面部分できれいに剥離することができない。このため、本発明の電子写真用ラミネートフィルムとカード用コア基材シートを用いて情報記録媒体とした場合に、偽造を確実に防止することができる。
【0049】
また、PETG樹脂はラミネート層等の形成に用いる塗工液との相溶性に優れるのみならず、基材として用いることができる樹脂の中でも既存の装置を利用して電子写真用ラミネートフィルムやこれを用いた情報記録媒体の作製が容易である。加えて、従来、基材を構成する材料として用いられていた樹脂と比べると、日光や蛍光灯など、ラミネートフィルムを用いて作製された情報記録媒体が通常の使用環境下で曝される光に対して黄ばみにくく、耐光性にも優れている。
なお、PETG樹脂は、少なくともエチレングリコール、テレフタル酸及び1,4−シクロヘキサンジメタノール成分を少なくとも共重合させたものであればよく、他の成分を含んでいてもよい。
【0050】
また、基材の片方の面が離型性を有していてもよい。この場合、基材の片方の面に離型性を有する材料が含まれる。離型性を有する材料としては、シリコーン系ハードコート材料が利用でき、具体的には、シラン系組成物を含む縮合物樹脂や、該シラン系組成物を含む縮合物樹脂とコロイダルシリカ分散液との混合物からなる材料が含まれていてもよい。なお、このような片方の面が離型性を有する基材を用いる場合には、この基材の離型性を有する面にラミネート層を形成することが好ましい。
一方、基材と、基材の表面に設けられるラミネート層や非ラミネート層との接着性を向上させるために、基材の少なくとも一方の面に接着性・粘着性を有する有機樹脂が含まれていてもよい。
【0051】
<非ラミネート層>
非ラミネート層は、樹脂と微粒子とを含むものであれば特に限定されず、この他にも必要に応じて、帯電制御剤等の種々の添加剤を加えることもできる。なお、非ラミネート層を構成する樹脂としては特に限定されないがポリエステル樹脂を用いることが好ましい。
なお、基材がPET樹脂を含むものである場合、非ラミネート層は基材のPET樹脂が含まれる側の面に形成されることが好ましい。
以下、非ラミネート層を構成する樹脂(ポリエステル樹脂)および微粒子について説明する。
【0052】
−ポリエステル樹脂−
本発明においては、非ラミネート層を構成する樹脂として、特にポリエステル樹脂が好ましく用いられ、ポリエステル樹脂とその他の樹脂とを組み合わせて利用することもできる。
本発明の電子写真用ラミネートフィルムの非ラミネート層に用いられるポリエステル樹脂は、通常2個以上のカルボキシル基を有する多価塩基酸成分とグリコール成分とを縮合反応させて得られた飽和ポリエステル樹脂を用いることが好ましい。
【0053】
上記多価塩基酸としては、二価塩基酸の芳香族ジカルボン酸類を用いることができ、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、1,5−ナフタル酸などが用いられる。また、p−オキシ安息香酸、p−(ヒドロキシエトキシ)安息香酸などの芳香族オキシカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸などのトリ及びテトラ芳香族カルボン酸も併用できる。
脂肪族ジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸などが挙げられる。脂環族ジカルボン酸としては1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸とその無水物などが挙げられる。
【0054】
また、重合性不飽和二重結合を有するジカルボン酸類も用いることができ、例えば、α、β−不飽和ジカルボン酸類としてフマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、不飽和二重結合を含有する脂環族ジカルボン酸として2,5−ノボルネンジカルボン酸無水物、テトラヒドロ無水フタル酸など用いることができる。この内最も好ましいのは、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、及び2,5−ノボルネンジカルボン酸無水物である。
さらにヒドロキシピバリン酸、γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン等のヒドロキシカルボン酸類も必要に応じて使用できる。
以上の成分は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。
【0055】
一方、グリコール成分は、炭素数2〜10の脂肪族グリコール類、炭素数6〜12の脂環族グリコール類、エーテル結合含有グリコール類、から選択される少なくとも1種を用いることができる。
炭素数2〜10の脂肪族グリコール類としては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−エチル−2−ブチルプロパンジオール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステル、ジメチロールヘプタン等を挙げることができる。
【0056】
炭素数6〜12の脂環族グリコール類としては、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメチロール等を挙げることができる。
エーテル結合含有グリコール類としては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、さらにビスフェノール類の芳香環に結合した2つの水酸基にエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドをそれぞれ1〜数モル付加して得られるグリコール類、たとえば2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン等を挙げることができる。ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールも必要に応じて使用できる。
【0057】
有機ジイソシアネート化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、3,3−ジメトキシ−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、1,3−ジイソシアネート−メチルシクロヘキサン、1,4−ジイソシアネート−メチルシクロヘキサン、4,4’−ジイソシアネートジシクロヘキシルメタン、イソホロンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、2,4−ナフタレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、4,4’−ジイソシアネートジフェニルエーテル、1,5−ナフタレンジイソシアネート等が挙げられる。これらの内好ましいのは、ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート及びジフェニルメタンジイソシアネートである。
【0058】
鎖延長剤としては、たとえばエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、トリシクロデカンジメチロール、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。中でもより好ましいのは、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール及びビスフェノールAエチレンオキサイド付加物である。
【0059】
上記ポリエステル樹脂は、公知の方法、たとえば溶剤中で20〜150℃の反応温度でアミン類、有機スズ化合物等の触媒の存在下で、あるいは無触媒下で合成することができる。このとき使用できる溶剤としては、たとえばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類などが挙げられる。
【0060】
これらポリエステル樹脂は単独もしくは2種以上混合して用いてもよい。さらにまた、さらに接着性を改善したり、ブロッキング性などを改善するために、従来の公知の樹脂を必要に応じて混合して、非ラミネート層を構成する樹脂材料として用いることもできる。
【0061】
また、非ラミネート層中に含まれる全樹脂成分に対するポリエステル樹脂の含有量は特に限定されないが、20〜100質量%の範囲内であることが好ましく、50〜100質量%の範囲内であることがより好ましい。
非ラミネート層中に含まれるポリエステル樹脂の含有量が20質量%よりも小さい場合には、容易且つ強固に接着ラミネートすることが困難になる場合がある。
【0062】
−微粒子−
本発明の電子写真用ラミネートフィルムの非ラミネート層には、体積平均粒子径が1.5μm以上5μm以下の微粒子が含まれる。この微粒子は、非ラミネート層の少なくとも表面近傍に含まれていることが好ましい。
【0063】
なお、非ラミネート層に含まれる微粒子は、非ラミネート層表面の平面よりもやや外側に露出し、且つ、非ラミネート層表面から脱落しないように非ラミネート層に固定されていることが好ましい。このような状態で非ラミネート層の表面に存在する微粒子によって、電子写真用ラミネートフィルム表面(非ラミネート層側の面)の摩擦係数を低くすることができるため、電子写真方式の記録装置内での電子写真用ラミネートフィルムの搬送性を向上させることができる。
また、非ラミネート層表面の平面よりもわずかに外側に凸部を形成する微粒子が存在することによって、大気圧近傍下でカード用コア基材シート(以下、「コア基材」と称す場合がある)とラミネートする時に、電子写真用ラミネートフィルム表面(非ラミネート層側表面)と、熱プレス板表面との間の空気を短時間で効率的に逃がすことができるため、画像記録体の表面に空気溜りのディンプル(へこみ)痕が付くことを抑制・防止することができる。
【0064】
このような目的を達成する上で微粒子の大きさは、体積平均粒子径で1.5〜5μmの範囲であることが必要であり、2〜3μmの範囲であることがより好ましい。なお、微粒子の体積平均粒子径は、基本的にこの微粒子を含む非ラミネート層の厚みを超えるように選択されるものであり、非ラミネート層表面に微粒子の一部分が露出した形で固定され易くなるように選択することが好ましい。
【0065】
更に、上述のような目的で利用される微粒子の基材平面方向における存在密度は、体積平均粒子径(直径)をRとすると、基材平面方向100平方μm当たり7/R個以上であることが必要である。
微粒子の個数が7/R個より少ないと、熱プレス板表面との間の空気を逃がす効果が不十分となり、電子写真用ラミネートフィルムの非ラミネート層表面に空気溜りのディンプル(へこみ)痕が付いてしまう。
なお、このような観点から微粒子の個数は1.5個以上であることが好ましいが、大きすぎると、上記の空気を逃がす効果は十分であるが、微粒子どうしが凝集して脱落し易くなったり、非ラミネート層表面が白っぽくなってしまう場合があるため、35/R個以下であることが好ましい。
この場合、ラミネート層表面にトナー画像が記録された電子写真用ラミネートフィルム(画像記録体)を、ラミネート層が設けられた面を介してコア基材とラミネートして得られた情報記録媒体(後述する第1の態様の情報記録媒体)では、トナー画像を非ラミネート層側の面から見ると、画像が濁って見えるようになってしまう。
【0066】
ここで、非ラミネート層の厚みは、ラミネート時の非ラミネート層と熱プレス板との界面に存在する空気の逃げ道を確保する観点から少なくとも微粒子の体積平均粒子径Rを超えず、且つ、0.1μm以上であることが必要である。
なお、非ラミネート層の厚みをこのような範囲とすることにより、加熱圧着に利用する熱プレス板が鏡面板ではなくマット板である場合に際にも、マット板の表面形状が非ラミネート層表面に転写されて光沢が低下し過ぎるのを防ぐことができるというメリットもある。
【0067】
非ラミネート層の厚みが0.1μm未満の場合には、微粒子どうしが凝集してラミネート時の空気を逃がす効果が、非ラミネート層と熱プレス板との界面で不均一になるため、局所的にディンプル模様のような空気溜り痕が発生してしまう。また、微粒子を非ラミネート層に安定して保持することが困難になるため、微粒子の脱落が発生してしまう場合がある。加えて、非ラミネート層表面が白っぽくなるため、ラミネート層表面にトナー画像が記録された電子写真用ラミネートフィルム(画像記録体)を、ラミネート層が設けられた面を介してコア基材とラミネートして得られた情報記録媒体では、トナー画像を非ラミネート層側の面から見ると、画像が濁って見えるようになってしまう。
一方、非ラミネート層の厚みが微粒子の体積平均粒子径R以上の場合には、非ラミネート層中により多くの微粒子が完全に埋没してしまう傾向にあるためラミネート時の空気の逃げ道が確保できなくなり、ディンプル模様のような空気溜り痕が発生してしまう。
【0068】
また、式(2)に示されるように微粒子の体積平均粒子径から非ラミネート層の厚みを引いた値(R−t)は0を超えることが必要であるが、ラミネート時の非ラミネート層と熱プレス板との界面に存在する空気の逃げ道をより十分に確保するという観点からは、R−tは0.4μm以上であることが好ましく、1μm以上であることがより好ましく、4.9μm(すなわちRの上限値5μmから、tの下限値0.1μmを引いた値)に近いほど好ましい。
但し、R−tの値が大きすぎる場合には、微粒子が非ラミネート層から脱落しやすくなる場合があるので、このような観点からは3μm以下であることが好ましい。
【0069】
なお、本発明に用いられる微粒子の体積平均粒径及び粒径分布指標は、コールターカウンターTA−II(ベックマン−コールター社製)を用い、電解液はISOTON−II(ベックマン−コールター社製)を使用して測定することができる。
測定法としては、分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの5%水溶液2ml中に、測定試料を0.5〜50mg加え、これを前記電解液100〜150ml中に添加した。この測定試料を懸濁させた電解液を超音波分散器で約1分間分散処理を行い、前記コールターカウンターTA−II型により、アパーチャー径が60μmのアパーチャーを用いて、粒径が0.5〜10μmの範囲の粒子の粒度分布を測定した。
ここで、測定された粒度分布を、分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、体積について小径側から累積分布を描き、累積50%となる粒径(D50v)を体積平均粒径として求めた。
【0070】
本発明に用いられる微粒子の材料としては、特に限定されないが、有機樹脂粒子から構成されるものの場合、具体的には、スチレン、ビニルスチレン、クロロスチレン等のスチレン類;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等のモノオレフィン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のα−不飽和脂肪酸モノカルボン酸のエステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;イソプレン、2−クロロブタジエン等のジエン系モノマーの1種以上を重合させて得られる単独重合体あるいは共重合体を例示することができる。
【0071】
これらの中で、スチレン類、α−不飽和脂肪酸モノカルボン酸のエステル類等が好ましい。熱溶融性樹脂を微粒子として使用し、ラミネート層を形成(塗工)する場合には、これら微粒子を構成する樹脂成分を溶解しない溶媒を含むラミネート層形成用塗工液を用いることができる。また、微粒子は、これら熱溶融性樹脂に架橋剤などを添加して、架橋構造を持たせた熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、電子線硬化樹脂などを利用して作製されたものであることがより好ましい。
【0072】
また、微粒子が無機微粒子から構成される場合、具体的な例示物としては、マイカ、タルク、シリカ、炭酸カルシウム、亜鉛華、ハロサイトクレー、カオリン、塩酸性炭酸マグネシウム、石英粉、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、アルミナなどが挙げられる。なお、前記微粒子の形状としては、球状粒子が好ましく用いられる。
【0073】
上記のように、電子写真用ラミネートフィルムの搬送性を良好とするため、微粒子により電子写真用ラミネートフィルム表面の摩擦を低減する必要があるが、実際の使用上、電子写真用ラミネートフィルムの非ラミネート層側の面の静止摩擦係数は、0.2〜1の範囲であることが好ましく、0.3〜0.65の範囲であることがより好ましい。
【0074】
非ラミネート層中における微粒子と樹脂成分との質量比(微粒子:樹脂成分)は、樹脂成分1部に対する微粒子の配合量が0.01〜0.3部の範囲内であることが好ましく、0.05〜0.1部の範囲であることがより好ましい。
樹脂成分1部に対する微粒子の配合量が上記範囲内にある場合には、非ラミネート層が透明な情報記録媒体(層構成が後述する第1の態様の情報記録媒体)においては、非ラミネート層側から観察される画像の品質が安定且つ高品質を保つことができる。
一方、樹脂成分1部に対する微粒子の配合量が上記範囲よりも少ない場合は、タック性が発現し電子写真用ラミネートフィルムを重ねて保管しておいた場合に、フィルム同士が接着してしまう場合がある。また、上記範囲よりも多い場合は、ラミネート後の電子写真用ラミネートフィルムの非ラミネート層の膜強度が十分に確保できない場合がある。
【0075】
−機能性制御手段−
なお、非ラミネート層には機能性制御手段を付加することができる。これにより、本発明の電子写真用ラミネートフィルムを用いて作製された情報記録媒体に各種機能を付与させることも可能である。なお、機能性制御手段としては、耐光性、抗菌性、難燃性、離型性、あるいは、帯電性を制御する機能の少なくともいずれか1つを有していてもよい。具体的には非ラミネート層に公知の紫外線吸収剤、抗菌剤、難燃剤、離型剤、帯電制御剤を添加することにより上述の機能を得ることができる。
【0076】
<ラミネート層>
本発明の電子写真用ラミネートフィルムのラミネート層は、画像受像層の機能も兼ねるものであり、コア基材とのラミネートにより情報記録媒体を作製する前に、このラミネート層表面に電子写真法によりトナー画像が記録形成される。
また、ラミネート層は非ラミネート層と同様に、樹脂と微粒子とを必ず含むものであれば良く、この他にも必要に応じて、帯電制御剤等の種々の添加剤を加えることもできる。なお、ラミネート層を構成する樹脂としては特に限定されないがポリエステル樹脂を用いることが好ましい。
以下、ラミネート層を構成する樹脂(ポリエステル樹脂)および微粒子について説明する。
【0077】
−ポリエステル樹脂−
本発明においては、ラミネート層を構成する樹脂として、特にポリエステル樹脂が好ましく用いられ、ポリエステル樹脂とその他の樹脂とを組み合わせて利用することもできる。
本発明の電子写真用ラミネートフィルムのラミネート層に用いられるポリエステル樹脂は、非ラミネート層に用いられるポリエステル樹脂と同様に、通常2個以上のカルボキシル基を有する多価塩基酸成分とグリコール成分とを縮合反応させて得られた飽和ポリエステル樹脂を用いることが好ましい。
【0078】
−微粒子−
本発明の電子写真用ラミネートフィルムのラミネート層には、体積平均粒子径R’が5μm以上20μm以下の微粒子が含まれ、この微粒子の体積平均粒子径R’は10μm以上15μm以下であることがより好ましい。また、この微粒子は、ラミネート層の少なくとも表面近傍に含まれていることが好ましい。
【0079】
ここで、ラミネート層の厚みは、微粒子保持のための接着性、搬送性や、タック防止性の確保ために少なくとも微粒子の体積平均粒子径R’を超えないことが好ましく、1μm以上10μm以下の範囲であることがより好ましい。
【0080】
(情報記録媒体およびその製造方法)
次に、本発明の電子写真用ラミネートフィルムを用いた情報記録媒体およびその製造方法について説明する。
本発明の情報記録媒体は、本発明の電子写真用ラミネートフィルムのラミネート層表面に電子写真法によりトナー画像を記録形成した画像記録体のラミネート層側の面と、カード用コア基材シートの少なくとも片面とを加熱圧着によりラミネートするラミネート工程を少なくとも経て作製されるものであれば特に限定されないが、具体的には以下の構成を有するものであることが好ましい。
すなわち、本発明の情報記録媒体は、カード用コア基材シートと、このカード用コア基材シートの少なくとも片面に接合された画像記録体とを含む構成(第1の態様)、あるいは、カード用コア基材シートと、このカード用コア基材シートの少なくとも片面に接合され、前記カード用コア基材側の面にトナー画像が記録形成されたラミネート層とを含む構成(第2の態様)を有することが好ましい。
【0081】
なお、第1の態様の情報記録媒体は、上述のラミネート工程を経て得ることができるが、第2の態様の情報記録媒体は、(電子写真用ラミネートフィルムを構成する)基材としてラミネート層が形成される面が離型性を有するものを用い、ラミネート工程と、このラミネート工程を経て得られ、カード用コア基材シートとこのカード用コア基材シートの少なくとも片面に接合された画像記録体とを含む積層体を、基材とラミネート層との界面で剥離する剥離工程とを経て得ることができる。
以下、第1および第2の態様の情報記録媒体を製造する際の各工程についてより詳細に説明する
【0082】
−画像の形成−
まず、ラミネート工程を実施する前に、ラミネート層表面に電子写真法を利用してトナー画像を記録形成する。
電子写真方式による電子写真用ラミネートフィルムへのトナー画像の形成は以下のように行われる。まず、感光体(像担持体)の表面に均一に電荷を与え帯電させた後、その表面に、得られた画像情報を露光し、露光に対応した静電潜像を形成する。次に、感光体表面の静電潜像に現像器から画像形成材料であるトナーを供給することで、静電潜像がトナーによって可視化現像される(トナー画像が形成される)。さらに、形成されたトナー画像を、電子写真用ラミネートフィルムのラミネート層が形成された面に転写し、最後に熱や圧力などによりトナー画像がラミネート層表面に定着されて、電子写真用ラミネートフィルム表面に定着されたトナー画像が形成される。
なお、定着処理を省いて、未印刷ラミネートフィルム表面に未定着トナー画像を転写しただけであってもよい。この場合は、ラミネート時の加熱処理時の温度を、トナーの定着も可能なように設定すればよい。
【0083】
電子写真用ラミネートフィルム表面に設けられるラミネート層の表面には、トナーとの接着性がよい材料が用いられるため、トナーが溶融し、粘性が生じる温度以下で十分にラミネート層表面に定着することができる。
【0084】
このため、電子写真用ラミネートフィルム表面に形成されたトナー画像の定着を、このラミネートフィルム表面(画像形成面)の温度が、トナーの溶融温度以下となるようにして行うことが好ましい。通常のトナーの溶融温度を考慮すると、電子写真用ラミネートフィルムの表面温度が130℃以下となるようにして行うことが好ましく、110℃以下となるようにして行うことがより好ましい。
【0085】
また本発明の電子写真用ラミネートフィルムは、画像形成面(ラミネート層が設けられた側の面)をラミネート面とするため、未印刷状態の電子写真用ラミネートフィルムのラミネート層表面に形成されるトナー画像は反転画像(鏡像画像)となるように記録形成されることが特に好ましい。従って、感光体表面に静電潜像を形成する際には、上記感光体表面に露光される画像情報としては鏡像の情報が提供されることが好ましい。
【0086】
−ラミネート工程−
画像記録体のラミネート層側の面とコア基材とを加熱圧着によりラミネートする工程(ラミネート工程)は、大気圧近傍下において、1対の押し当て板材(熱プレス板)の間に、コア基材と画像記録体とを重ね合わせた積層体を配置した後に、この積層体を前記1対の押し当て板材を介して加熱しながらプレスするヒートプレス法(以下、「板材プレス法」と略す場合がある)を利用する従来公知の各種ラミネート技法、並びにラミネート装置が用いられることが特に好ましい。
【0087】
しかし、本発明の情報記録媒体の作製においては、ラミネートフィルムとコア基材とを重ね合わせた積層体を、例えば、1対のロール間を加熱しながら挿通させるようなヒートプレス法(以下、「ロールプレス法」と略す場合がある)を利用することもできる。なお、ロールプレス法では、空気を一方向に押し出しながらラミネートするため、板材プレス法と比べると、ロール表面と非ラミネート層との界面の空気が逃げやすく、ラミネート後に非ラミネート面にディンプル模様のような空気溜り痕が発生し難い。しかし、ロール径が大きい場合や、より高速でロールを回転させてラミネートするような場合には、従来の電子写真用ラミネートフィルムでは空気溜り痕が発生しやすくなるため、このような場合に本発明の電子写真用ラミネートフィルムを用いることは極めて有効である。
【0088】
また、板材プレスに際しては、通常、熱プレス板と画像記録体の非ラミネート層側の面との界面への気泡の混入を防ぐために減圧下で行う必要がある。しかし、本発明の情報記録媒体の作製に際しては、本発明の電子写真用ラミネートフィルムを用いているため、大気圧近傍下で板材プレス法を利用してラミネートしても非ラミネート層側の面と熱プレス板との間の空気を効率的に逃がし、表面に空気溜り痕が無い情報記録媒体を作製することができる。なお、ラミネート時の圧力調整が何ら不要であるという点では、ラミネート工程は大気圧下で実施することが最も好ましい。
しかしながら、ラミネート工程は、大気圧近傍を下回る減圧環境下や、上述したような板材プレス法、ロールプレス法以外のラミネート方法を利用して実施することも勿論可能である。
【0089】
さらに、板材プレス法を利用したラミネート処理に際しては、従来の電子写真用ラミネートフィルムを用いる場合、基材間の空気を外部へと十分に逃がすために加熱圧着には数十分を要したが、本発明では、基材間の空気を外部へと速やかに逃がすことができる。このため、加熱圧着に要する時間は、トナー画像が形成された電子写真用ラミネートフィルムとコア基材との積層体全体に十分に熱が伝達し終えるまでの時間が確保できればよい。それゆえ、大気圧下でのラミネートを実施しても、本発明の電子写真用ラミネートフィルムを用いれば加熱圧着に要する時間を5分以下とすることができ、30秒程度、さらには20秒程度まで短縮することも可能である。それゆえ、本発明の電子写真用ラミネートフィルムを用いれば、情報記録媒体の生産性を大幅に向上させることができる。
【0090】
−剥離工程−
第2の態様の情報記録媒体を作製する場合には、ラミネート工程の後に、剥離工程を実施する。なお、電子写真用ラミネートフィルムとしては、基材のラミネート層が形成される面が剥離性を有するものを用いる必要がある。剥離は、ラミネート工程を経て得られた積層体のラミネート層と基材との界面を物理的に剥離することにより行う。
なお、上述したようなディンプル模様のような空気溜り痕は、非ラミネート層の表面に直接形成されるため、従来の電子写真用ラミネートフィルムを用いて非ラミネート層を有さない第2の態様の情報記録媒体を作製しても、基材および非ラミネート層は剥離されるため空気溜り痕は発生しないと考えられる。しかしながら、一般的に電子写真用ラミネートフィルムを構成する非ラミネート層や基材の厚みは薄いため、実際には非ラミネート層の表面に形成された空気溜り痕(凹凸)が、ラミネート層の基材側の面の凹凸として反映されることになる。
しかし、本発明の電子写真用ラミネートフィルムを用いて作製された第2の態様の情報記録媒体では、空気溜り痕が非ラミネート層の表面にほとんど形成されることはないため、非ラミネート層や基材の厚みが極めて薄くても情報記録媒体のラミネート層側の面には、非ラミネート層の空気溜り痕に起因する凹凸の発生を抑制することができる。
また、このような剥離工程を経て作製される第2の態様の情報記録媒体は、第1の態様の情報記録媒体と異なり、情報記録媒体のラミネート層が設けられた面の光沢性が基材表面の平滑度によって決定されるため、表面の平滑性に優れた基材を用いれば、極めてすぐれた光沢面を容易に得ることができる。
【0091】
−カード用コア基材シート−
本発明の情報記録媒体に用いるカード用コア基材シートとしては、情報記録媒体としたときの電子写真用ラミネートフィルム(ラミネート層表面)に形成されたトナー画像が見えやすいよう不透明であることが好ましく、白色化したプラスチックフィルムが代表的に使用されるが、使用目的によっては透明なプラスチックフィルムであっても構わない。なお、コア基材が不透明である場合は、第1の態様の情報記録媒体においては、電子写真用ラミネートフィルムを構成するラミネート層、基材および非ラミネート層が透明である必要があり、第2の態様の情報記録媒体にいては電子写真用ラミネートフィルムを構成するラミネート層が少なくとも透明である必要がある。
【0092】
本発明においては、コア基材用樹脂としては、PETGやポリ塩化ビニル(PVC)等が用いられる。また、コア基材用樹脂としてPETにPETGの層を設けたものを用いることもできる。さらに、コア基材の表面には、トナー画像が形成された電子写真用ラミネートフィルムとの接着性を向上させるために、接着層が設けられていることが好ましい。接着層を構成する材料としては公知の粘着性を有する材料が利用できるが、ポリエステル樹脂を用いることが好ましい。
【0093】
コア基材を白色化する方法としては、白色顔料、例えば、酸化珪素、酸化チタン、酸化カルシウム等の金属酸化物微粒子、有機の白色顔料、ポリマー粒子等をPETGや、PVCのフィルム中に混入させる方法が使用できる。また、PETGやPVCフィルム表面にサンドブラスタ処理やエンボス加工等を施すことにより、PETGやPVCフィルムの表面を凹凸にし、その凹凸による光の散乱によりコア基材であるPETGやPVCフィルムを白色化することもできる。
【0094】
本発明に用いられるカード用コア基材シートとしては、厚さ50〜5000μmの範囲のプラスチックからなるPETGや、PVCフィルムを用いることが好ましく、厚さ100〜1000μmの範囲のPETGや、PVCフィルムを用いることがより好ましい。
【0095】
また本発明においては、コア基材の内部又は表面に、少なくとも電気的手段、磁気的手段、及び光学的手段から選択される1以上の手段を利用することにより情報の読み出しや書き込みが可能な情報チップが配置されていることが好ましい。
【0096】
情報チップとしては、何らかの識別機能を有する情報を有しており、電気的手段、磁気的手段、光学的手段から選択される少なくとも1つの手段を利用することにより読み出し可能であれば特に限定されない。この情報チップは、情報の読み出し専用であってもよいが、必要に応じて情報の読み出しと書き込み(「書き換え」も含む)との両方が可能なものを用いてもよい。また、このような情報チップの具体例としては、例えば情報記録媒体がICカードとして用いられるときのICチップ(半導体回路)が挙げられる。
【0097】
なお、情報記録媒体の情報源として情報チップを用いる場合に形成されるトナー画像は、その一部あるいは全体が何らかの識別機能を有する情報を有するか否かは特に限定されない。
【0098】
一方、情報チップが有する情報は、識別可能なものであれば特に限定されないが、可変情報を含むものであってもよい。
なお、当該可変情報とは、同一の規格や基準で作製される複数の情報記録媒体において、個々の情報記録媒体の有する情報が異なることを意味する。
例えば、トナー画像が可変情報を含む場合、可変情報に対応した部分のトナー画像は、情報記録媒体毎に異なるトナー画像とすることができる。
【0099】
さらに、上記の可変情報は個人情報を含むものであってもよい。この場合、本発明の情報記録媒体は、キャッシュカードや社員証、学生証、個人会員証、居住証、各種運転免許証、各種資格取得証明などに適用可能であり、このような用途に使用される場合、個人情報としては、例えば、顔写真、本人照合用画像情報、氏名、住所、生年月日等挙やこれらの組合せが挙げられる。
【0100】
コア基材中に半導体回路等の情報チップを内蔵させる方法としては、前記半導体回路が固定されたインレットと呼ばれるシートを、コア基材を構成するシート材料間に挟み、熱プレスによって熱融着一体化させる方法が一般的に好ましく用いられる。また、上記インレットシートなしに直接、半導体回路を配置し、同様に熱融着一体化させる方法も可能である。
【0101】
カード用コア基材シート中に半導体回路を内蔵させる方法としては、前記半導体回路が固定されたインレットと呼ばれるシートを、コア基材を構成するシート材料間に挟み、熱プレスによって熱融着一体化させる方法が一般的に好ましく用いられる。また、前記インレットシートなしに直接、半導体回路を配置し、同様に熱融着一体化させる方法も可能である。
【0102】
その他、前記熱融着によらず、ホットメルト等の接着剤を用いて、前記コア基材を構成するシートどうしを貼り合わせ、同様に、半導体回路を内蔵させることも可能であるが、これらに限られるものではなく、例えば、ICカードに半導体回路を内蔵させる方法であれば、いずれも前記コア基材の製造方法として適用することができる。
さらに、情報記録媒体として使用上問題がなければ、半導体回路をコア基材の内部ではなく、表面に露出した状態で配置することも可能である。
【0103】
なお、本発明の情報記録媒体が、ICカード等として用いられる場合には、必要に応じてコア基材にアンテナ、外部端子などが埋め込まれる。また、ホログラム等が印刷されたり、必要文字情報がエンボスされる場合がある。
【0104】
−情報記録媒体の具体例−
次に、上記に説明した情報記録媒体についてより具体的に説明する。
本発明の報記録媒体は、上述したような第1の態様や第2の態様が挙げられるが、コア基材の内部や、コア基材の表面(ラミネート層と接合される面および/またはラミネート層と接合される面と反対側の面)の内の少なくともいずれか1箇所に情報チップが配置されていてもよい。
【0105】
なお、本発明の情報記録媒体の作製に用いられるコア基材の少なくともラミネート側の面には、ウレタン変性ポリエステル樹脂が少なくとも含まれていることが好ましい。この場合、ラミネートフィルムとコア基材とをラミネートした場合に両者をより強固に接着することができる。
【0106】
ラミネート層表面に形成されるトナー画像は、その一部あるいは全体が何らかの識別機能を有する情報を兼ねるもので、画像情報、文字情報等、識別可能な情報として機能するトナー画像を含むものであれば特に限定されない。また情報としてのトナー画像の識別は、視覚的に識別できるものであるか否かは特に限定されず、機械的に識別できるものであってもよい。
【0107】
また、情報チップを備えた情報記録媒体では情報チップが何らかの識別機能を有する情報を有している。なお、情報チップの詳細については後述する。
なお、情報記録媒体の情報源として上記の情報チップを用いる場合に形成されるトナー画像は、その一部あるいは全体が何らかの識別機能を有する情報を有するか否かは特に限定されない。
【0108】
一方、トナー画像や情報チップが有する情報は、識別可能なものであれば特に限定されないが可変情報を含むものであってもよい。当該可変情報とは、同一の規格や基準で作製される複数の情報記録媒体において、個々の情報記録媒体の有する情報が異なることを意味する。例えば、トナー画像が可変情報を含む場合、可変情報に対応した部分のトナー画像は、情報記録媒体毎に異なるトナー画像とすることができる。
【0109】
ラミネートを行う際の電子写真用ラミネートフィルムとコア基材との重ね合わせは、ラミネートフィルムとコア基材とを手で保持して揃えることにより行ってもよいし、電子写真用ラミネートフィルムへの画像形成後に、丁合いトレイなどにラミネートフィルム及びコア基材を順次排出し、自動的に揃えることにより行ってもよい。
【0110】
なお、ラミネート工程や、さらに剥離工程を経て作製された情報記録媒体が、複数のトナー画像を有する場合、この各画像毎に裁断し、所定サイズの複数の情報記録媒体を得ることができる。
【0111】
次に、本発明の電子写真用ラミネートフィルムおよび情報記録媒体を図面を用いてより詳細に説明する。
図1は本発明の電子写真用ラミネートフィルムの一例を示す模式断面図である。図1中、10は(電子写真用ラミネートフィルム用)基材、11は基材10を構成するPET樹脂層、12は基材10を構成するPETG樹脂層、30は非ラミネート層、40は(非ラミネート層に含まれる)微粒子、50はラミネート層、60は(ラミネート層に含まれる)微粒子、101は電子写真用ラミネートフィルムを表す。
図1に示す電子写真用ラミネートフィルム101は、PET樹脂層11およびPETG樹脂層12を積層した基材10と、基材10のPET樹脂層11側の面に設けられた非ラミネート層30と、基材10のPETG樹脂層12側の面に設けられたラミネート層50とから構成され、非ラミネート層30およびラミネート層50には、それぞれ微粒子40、微粒子60が含まれる。
ラミネート層50は、画像受像層の機能も有し、トナー画像はこのラミネート層50表面に形成される。またこの層を構成する樹脂としてはポリエステル樹脂を用いることができる。また、必要に応じて、非ラミネート層30には機能性制御手段を設けることができる。
【0112】
次に、図1に示す電子写真用ラミネートフィルム101を用いて作製された第1の態様の情報記録媒体について説明する。
図2は 本発明の情報記録媒体の一例を示す模式断面図であり、第1の態様の情報記録媒体について示したものである。図2中、110はコア基材、201は情報記録媒体を表し、その他の符号で示される部材は、図1中に示したものと同様である。なお、図2中、トナー画像および微粒子40、60については記載を省略してある。
図2に示す情報記録媒体201は、不透明なコア基材110の両面に、(不図示)のトナー画像がラミネート層50表面に形成された電子写真用ラミネートフィルム101をラミネートすることにより形成されたものである。ここで、情報記録媒体201を構成する2つの電子写真用ラミネートフィルム101は透明である。但し、コア基材110の片面にのみ電子写真用ラミネートフィルム101がラミネートされる場合には、コア基材110または電子写真用ラミネートフィルム101のいずれか一方が透明であればよい。
【0113】
図3は本発明の電子写真用ラミネートフィルムの他の例を示す模式断面図である。図3中、20は(電子写真用ラミネートフィルム用)基材、21は基材10を構成するPET樹脂層、22は離型性を有する樹脂層(離型層)、102は電子写真用ラミネートフィルムを表し、その他の符号で示される部材は、図1に示したものと同様である。
図3に示す電子写真用ラミネートフィルム102は、PET樹脂層21およびこのPET樹脂層21の表面に薄膜状に形成された離型層22からなる基材20と、基材20のPET樹脂層21側の面に設けられた非ラミネート層30と、基材20の離型層22側の面に設けられたラミネート層50とから構成され、非ラミネート層30およびラミネート層50には、それぞれ微粒子40、微粒子60が含まれる。
ラミネート層50は、画像受像層の機能も有し、トナー画像はこのラミネート層50表面に形成される。またこの層を構成する樹脂としてはポリエステル樹脂を用いることができる。また、必要に応じて、非ラミネート層30には機能性制御手段を設けることができる。
【0114】
次に、図4に示す電子写真用ラミネートフィルム102を用いて作製された第2の態様の情報記録媒体について説明する。
図4は 本発明の情報記録媒体の他の例を示す模式断面図であり、第2の態様の情報記録媒体について示したものである。図4中、202は情報記録媒体を表し、その他の符号で示される部材は、図2中に示したものと同様である。なお、図4中、トナー画像および微粒子40、60については記載を省略してある。
図4に示す情報記録媒体202は、不透明なコア基材110の両面に、(不図示)のトナー画像がラミネート層50表面に形成された電子写真用ラミネートフィルム102をラミネートした後、続いて、これら2つの電子写真用ラミネートフィルム102のラミネート層50と基材20との界面を剥離することにより形成されたものである。ここで、情報記録媒体201を構成する2つのラミネート層50は透明である。但し、コア基材110の片面にのみ電子写真用ラミネートフィルム102がラミネートした後、ラミネート層50と基材20との界面を剥離して情報記録媒体を作製する場合は、コア基材110またはラミネート層50のいずれか一方が透明であればよい。
【実施例】
【0115】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、下記実施例及び比較例における「部」は「質量部」を意味する。
【0116】
−電子写真用ラミネートフィルムおよびこれを用いて作製した第1の態様の情報記録媒体の評価−
(実施例A1)
電子写真用ラミネートフィルム(電子写真用ラミネートフィルム1)及びこれを用いた情報記録媒体を以下の手順で製造した。
【0117】
<電子写真用ラミネートフィルム1の作製>
(非ラミネート層塗工液A−1の調製)
ポリエステル樹脂(綜研化学社製、フォレットFF−4M、メチルエチルケトン溶液中の固形分30質量%)20部と、架橋型アクリル微粒子(綜研化学社製、MX150、体積平均粒径R1:1.5μm、R1は式(1)を満たす)0.3部と、界面活性剤(日本油脂社製、エレガン264WAX)0.3部とを、シクロヘキサノンとメチルエチルケトンとを質量比で10:90で混合した液180部に添加して十分撹拌し、非ラミネート層塗工液A−1を調製した。
【0118】
(ラミネート層塗工液B−1の調製)
ポリエステル樹脂(綜研化学社製:フォレットFF−4M、メチルエチルケトン溶液中の固形分30質量%)10部、マット剤として架橋型メタクリル酸エステル共重合物微粒子(綜研化学社製:MX−1000、体積平均粒径:10μm)0.4部、および、界面活性剤(日本油脂社製:エレガン264WAX)0.3部を、トルエン10部とメチルエチルケトン30部との混合溶媒中に添加して十分撹拌し、ラミネート層塗工液B−1を調製した。
【0119】
(電子写真用ラミネートフィルム1の作製)
基材として、PET樹脂層およびこのPET樹脂層の片面にエチレングリコール、テレフタル酸及び1,4−シクロヘキサンジメタノール成分を共重合させたPETG樹脂からなる層(厚み約16μm)が形成されたフィルム(帝人デュポンフィルム社製:メリネックス3368:総厚み100μm)を用い、この基材のPET樹脂層側の面に前記非ラミネート層塗工液A−1をワイヤーバーを用いて塗布し、80℃で60秒乾燥させ、膜厚t1:0.1μm(t1は式(2)を満たす)の非ラミネート層を形成した。さらにこの基材のPETG樹脂層側の面に前記画像受像層塗工液B−1をワイヤーバーを用いて塗布し、80℃で60秒乾燥させ、膜厚2μmのラミネート層を形成し、その後A4サイズ(210mm×297mm)にカットして電子写真用ラミネートフィルム1を作製した。
【0120】
<電子写真用ラミネートフィルム(非ラミネート層)の評価>
上記で得られる電子写真用ラミネートフィルム1を10枚作製し、電子写真用ラミネートフィルム1の非ラミネート層表面の中央部分について、非ラミネート層の微粒子の脱落、埋没、凝集状態を光学顕微鏡(観察倍率:1000倍)により観察し、下記基準にて評価した。結果を表1に示す。
−微粒子の脱落状態−
○:観察視野内における微粒子の脱落痕の割合〔=脱落跡の個数/(脱落跡の個数+脱落せずに残っている微粒子の個数)〕が、10枚平均で0%。
△:観察視野内における微粒子の脱落痕の割合が、10枚平均で0%を超え50%未満。
×:観察視野内における微粒子の脱落痕の割合が、10枚平均で50%を超える。
−微粒子の埋没状態−
○:10枚全ての観察視野内において、微粒子が埋没していない。
×:10枚中のいずれかの観察視野内において、微粒子が埋没している。
−微粒子の凝集状態−
○:10枚全ての観察視野内において、微粒子が凝集していないもの。
×:10枚中のいずれかの観察視野内において、微粒子が凝集しているもの。
また、非ラミネート層表面の100μm×100μm平方のエリア内に存在する微粒子数(10枚平均値)n1は5個/(100μm)2であり、式(3)を満たしていた。
【0121】
(画像記録体の作製)
次に、上記ラミネートフィルム1のラミネート層表面に、富士ゼロックス(株)社製カラー複写機DocuColor1255CP改造機(定着時のラミネートフィルムの表面温度が、95〜100℃の範囲になるように改造したもの)を用いて、ベタ画像を含むカラーの鏡像画像をA4サイズ1枚にカードサイズの画像を9面形成した画像記録体1−Uと、同様に文字情報だけの鏡像文字を9面形成した画像記録体1−Dとを作製した。
【0122】
<カード用コア基材シート1の作製>
(接着層塗工液C−1の調製)
ポリエステル樹脂を含む溶液(東洋紡績社製:バイロンUR1350、メチルエチルケトン50質量%/トルエン50質量%溶液中に固形分としてポリエステル樹脂が33質量%含まれるもの)100部、および、微粒子として架橋型メタクリル酸エステル共重合物微粒子(綜研化学社製:MX−3000、体積平均粒子径:30μm)50部に、溶剤としてシクロヘキサノンを50部を添加混合し、十分撹拌し、接着層塗工液C−1を調製した。
【0123】
(カード用コア基材シートの作製)
B4サイズの白色PETG樹脂シート(三菱樹脂化学社製:ディアフィックスWHI、総厚み:560μm)の片面側に前記接着層塗工液C−1をアプリケータを用いて塗工し、50℃で30分間乾燥させ、さらにもう片面にも同様の処理を施し、表裏面に厚さが25μmの接着層を形成し、これをA4サイズ(210mm×297mm)にカットしてカード用コア基材シート1を作製した。なお、このカード用コア基材シート1の接着層が設けられた側の面を光学顕微鏡により観察したところ、微粒子が、接着層の表面にその一部が露出した状態で存在していることが確認された。
【0124】
<情報記録媒体の作製>
カード用コア基材シート1の片面に、前記画像記録体1−Uの画像形成面を、もう片面に前記画像記録体1−Dの画像形成面を各フィルムの四隅の位置が合うようにして重ね合わせ、さらにこれら3枚の基材を重ね合わせたものの両側を、押し当て面が鏡面仕様でSUS鋼板製の1組の押し当て板材により挟んで重ね合わせた。
上記位置決め、重ね合わせを行った積層物(押し当て板材/画像記録体1−U/カード用コア基材シート1/画像記録体1−D/押し当て板材)を、大気圧下で、上下の押し当て板材の温度を110℃、圧力10kgf/cm2にて、30秒間で熱プレスすることによりラミネートし、室温まで冷却したあと、押し当て板材を取り外して情報記録媒体1を得た。以上の作業を10回繰り返し、合計10枚の情報記録媒体1を得た。
【0125】
<情報記録媒体表面の空気溜り痕評価>
10枚の情報記録媒体1について、情報記録媒体両面における空気溜り痕(ディンプル模様状の空気溜り痕)を、下記基準にて評価した。
◎:10枚の各々の表面、裏面の目視観察で、空気溜り痕の平均個数が0個。
○:10枚の各々の表面、裏面の目視観察で、空気溜り痕の平均個数が0個を超え、3個未満。
×:10枚の各々の表面、裏面の目視観察で、空気溜り痕の平均個数が3個以上。
【0126】
<情報記録媒体の仕上がり光沢度評価>
10枚の情報記録媒体1について、光沢度を下記基準にて評価した。なお、光沢度は、グロスメーター(村上色彩技術研究所社製:MODEL GM−26D FOR 75°)を用いて75°鏡面反射率を求めた。
◎:10枚の各々の表面、裏面の面内9点(9面付けカード位置の中心点)の光沢度測定で、75°鏡面反射率の平均値が95%以上。
○:10枚の各々の表面、裏面の面内9点(9面付けカード位置の中心点)の光沢度測定で、75°鏡面反射率の平均値が40%以上、95%未満。
△:10枚の各々の表面、裏面の面内9点(9面付けカード位置の中心点)の光沢度測定で、75°鏡面反射率の平均値が40%未満。
以上の各種評価結果を、表1に示す。
【0127】
(実施例A2)
(非ラミネート層塗工液A−2の調製)
ポリエステル樹脂(綜研化学社製、フォレットFF−4M、メチルエチルケトン溶液中の固形分30質量%)20部と、架橋型アクリル微粒子(綜研化学社製、MX150、体積平均粒径R2:1.5μm、R2は式(1)を満たす)0.24部と、界面活性剤(日本油脂社製、エレガン264WAX)0.3部とを、シクロヘキサノンとメチルエチルケトンとを質量比で10:90で混合した液80部に添加して十分撹拌し、非ラミネート層塗工液A−2を調製した。
【0128】
実施例A1において、非ラミネート層塗工液A−1の代わりに非ラミネート層塗工液A−2を用いて膜厚t2:1μm(t2は式(2)を満たす)の非ラミネート層を形成して得られた電子写真用ラミネートフィルム2を用いた以外は、実施例A1と同様にして画像記録体2および情報記録媒体2を作製した。
なお、この電子写真用ラミネートフィルム2の非ラミネート層表面を実施例A1と同様にして光学顕微鏡により観察したところ、微粒子の脱落、埋没がなく、微粒子が凝集していないことが確認された。
また、非ラミネート層表面の100μm×100μm平方のエリア内に存在する微粒子数(10枚平均値)n2は23個/(100μm)2であり、式(3)を満たしていた。
実施例A1と同様にして評価した電子写真用ラミネートフィルム2および情報記録媒体2の評価結果を表1に示す。
【0129】
(実施例A3)
(非ラミネート層塗工液A−3の調製)
ポリエステル樹脂(綜研化学社製、フォレットFF−4M、メチルエチルケトン溶液中の固形分30質量%)20部と、架橋型アクリル微粒子(綜研化学社製、MX300、体積平均粒径R3:3μm、R3は式(1)を満たす)1.5部と界面活性剤(日本油脂社製、エレガン264WAX)0.3部とを、シクロヘキサノンとメチルエチルケトンとを質量比で10:90で混合した液180部に添加して十分撹拌し、非ラミネート層塗工液A−3を調製した。
【0130】
実施例A1において、非ラミネート層塗工液A−1の代わりに非ラミネート層塗工液A−3を用いて膜厚t3:0.15μm(t3は式(2)を満たす)の非ラミネート層を形成して得られた電子写真用ラミネートフィルム3を用いた以外は、実施例A1と同様にして画像記録体3および情報記録媒体3を作製した。
なお、この電子写真用ラミネートフィルム3の非ラミネート層表面を実施例A1と同様にして光学顕微鏡により観察したところ、微粒子の脱落、埋没がなく、微粒子が凝集していないことが確認された。また、非ラミネート層表面の100μm×100μm平方のエリア内に存在する微粒子数(10枚平均値)n3は5個/(100μm)2であり、式(3)を満たしていた。
実施例A1と同様にして評価した電子写真用ラミネートフィルム3および情報記録媒体3の評価結果を表1に示す。
【0131】
(実施例A4)
(非ラミネート層塗工液A−4の調製)
ポリエステル樹脂(綜研化学社製、フォレットFF−4M、メチルエチルケトン溶液中の固形分30質量%)20部と、架橋型アクリル微粒子(綜研化学社製、MX300、体積平均粒径R4:3μm、R4は式(1)を満たす)0.35部と、界面活性剤(日本油脂社製、エレガン264WAX)0.3部とを、シクロヘキサノンとメチルエチルケトンとを質量比で10:90で混合した液80部に添加して十分撹拌し、非ラミネート層塗工液A−4を調製した。
【0132】
実施例A1において、非ラミネート層塗工液A−1の代わりに非ラミネート層塗工液A−4を用いて膜厚t4:0.3μm(t4は式(2)を満たす)の非ラミネート層を形成して得られた電子写真用ラミネートフィルム4を用いた以外は、実施例A1と同様にして画像記録体4および情報記録媒体4を作製した。
なお、この電子写真用ラミネートフィルム4の非ラミネート層表面を実施例A1と同様にして光学顕微鏡により観察したところ、微粒子の脱落、埋没がなく、微粒子が凝集していないことが確認された。
また、非ラミネート層表面の100μm×100μm平方のエリア内に存在する微粒子数(10枚平均値)n4は2.6個/(100μm)2であり、式(3)を満たしていた。
実施例A1と同様にして評価した電子写真用ラミネートフィルム4および情報記録媒体4の評価結果を表1に示す。
【0133】
(実施例A5)
(非ラミネート層塗工液A−5の調製)
ポリエステル樹脂(綜研化学社製、フォレットFF−4M、メチルエチルケトン溶液中の固形分30質量%)20部と、シリコーン樹脂微粒子(GE東芝シリコーン社製、トスパール145、体積平均粒径R5:4.5μm、R5は式(1)を満たす)0.3部と、界面活性剤(日本油脂社製、エレガン264WAX)0.15部とを、シクロヘキサノンとメチルエチルケトンとを質量比で10:90で混合した液130部に添加して十分撹拌し、非ラミネート層塗工液A−5を調製した。
【0134】
実施例A1において、非ラミネート層塗工液A−1の代わりに非ラミネート層塗工液A−5を用いて膜厚t5:2μm(t5は式(2)を満たす)の非ラミネート層を形成して得られた電子写真用ラミネートフィルム5を用いた以外は、実施例A1と同様にして画像記録体5および情報記録媒体5を作製した。
なお、この電子写真用ラミネートフィルム5の非ラミネート層表面を実施例A1と同様にして光学顕微鏡により観察したところ、微粒子の脱落、埋没がなく、微粒子が凝集していないことが確認された。また、非ラミネート層表面の100μm×100μm平方のエリア内に存在する微粒子数(10枚平均値)n5は3個/(100μm)2であり、式(3)を満たしていた。
実施例A1と同様に評価した電子写真用ラミネートフィルム5および情報記録媒体5の評価結果を表1に示す。
【0135】
(実施例A6)
(非ラミネート層塗工液A−6の調製)
ポリエステル樹脂(綜研化学社製、フォレットFF−4M、メチルエチルケトン溶液中の固形分30質量%)20部と、架橋型アクリル微粒子(綜研化学社製、MX500、体積平均粒径R6:5μm、R6は式(1)を満たす)3部と、界面活性剤(日本油脂社製、エレガン264WAX)0.3部とを、シクロヘキサノンとメチルエチルケトンとを質量比で10:90で混合した液180部に添加して十分撹拌し、非ラミネート層塗工液A−6を調製した。
【0136】
実施例A1において、非ラミネート層塗工液A−1の代わりに非ラミネート層塗工液A−6を用いて膜厚t6:0.1μm(t6は式(2)を満たす)の非ラミネート層を形成して得られた電子写真用ラミネートフィルム6を用いた以外は、実施例A1と同様にして画像記録体6および情報記録媒体6を作製した。
なお、この電子写真用ラミネートフィルム6の非ラミネート層表面を実施例A1と同様にして光学顕微鏡により観察したところ、微粒子の埋没がなく、微粒子が凝集していないが、微粒子の30%が脱落していることが確認された。また、非ラミネート層表面の100μm×100μm平方のエリア内に存在する微粒子数(10枚平均値)n6は1.5個/(100μm)2であり、式(3)を満たしていた。
実施例A1と同様にして評価した電子写真用ラミネートフィルム6および情報記録媒体6の評価結果を表1に示す。
【0137】
(実施例A7)
(非ラミネート層塗工液A−7の調製)
ポリエステル樹脂(綜研化学社製、フォレットFF−4M、メチルエチルケトン溶液中の固形分30質量%)20部と、架橋型アクリル微粒子(綜研化学社製、MX500、体積平均粒径R7:5μm、R7は式(1)を満たす)0.12部と、界面活性剤(日本油脂社製、エレガン264WAX)0.3部とを、シクロヘキサノンとメチルエチルケトンとを質量比で10:90で混合した液30部に添加して十分撹拌し、非ラミネート層塗工液A−7を調製した。
【0138】
実施例A1において、非ラミネート層塗工液A−1の代わりに非ラミネート層塗工液A−7を用いて膜厚t7:4.5μm(t7は式(2)を満たす)の非ラミネート層を形成して得られた電子写真用ラミネートフィルム7を用いた以外は、実施例A1と同様にして画像記録体7および情報記録媒体7を作製した。
なお、この電子写真用ラミネートフィルム7の非ラミネート層表面を実施例A1と同様にして光学顕微鏡により観察したところ、微粒子の脱落、埋没がなく、微粒子が凝集していないことが確認された。また、非ラミネート層表面の100μm×100μm平方のエリア内に存在する微粒子数(10枚平均値)n7は2.5個/(100μm)2であり、式(3)を満たしていた。
実施例A1と同様にして評価した電子写真用ラミネートフィルム7および情報記録媒体7の評価結果を表1に示す。
【0139】
(比較例A1)
(非ラミネート層塗工液A’−1の調製)
ポリエステル樹脂(綜研化学社製、フォレットFF−4M、メチルエチルケトン溶液中の固形分30質量%)20部と、シリコーン樹脂微粒子(GE東芝シリコーン社製、トスパール105、体積平均粒径R’1:0.5μm、R’1は式(1)を満たさず)0.06部と、界面活性剤(日本油脂社製、エレガン264WAX)0.3部とを、シクロヘキサノンとメチルエチルケトンとを質量比で10:90で混合した液280部に添加して十分撹拌し、非ラミネート層塗工液A’−1を調製した。
【0140】
実施例A1において、非ラミネート層塗工液A−1の代わりに非ラミネート層塗工液A’−1を用いて膜厚t’1:0.05μm(t’1は式(2)を満たさず)の非ラミネート層を形成して得られた電子写真用ラミネートフィルム1’を用いた以外は、実施例A1と同様にして画像記録体1’および情報記録媒体1’を作製した。
なお、この電子写真用ラミネートフィルム1’の非ラミネート層表面を実施例A1と同様にして光学顕微鏡により観察したところ、微粒子の埋没がなく、微粒子が凝集していないが、微粒子の20%が脱落していることが確認された。
また、非ラミネート層表面の100μm×100μm平方のエリア内に存在する微粒子数(10枚平均値)n’1は12.8個/(100μm)2であり、式(3)を満たしていなかった。
実施例A1と同様にして評価した電子写真用ラミネートフィルム1’および情報記録媒体1’の評価結果を表1に示す。
【0141】
(比較例A2)
(非ラミネート層塗工液A’−2の調製)
ポリエステル樹脂(綜研化学社製、フォレットFF−4M、メチルエチルケトン溶液中の固形分30質量%)20部と、シリコーン樹脂微粒子(GE東芝シリコーン社製、トスパール105、体積平均粒径R’2:0.5μm、R’2は式(1)を満たさない)0.03部と、界面活性剤(日本油脂社製、エレガン264WAX)0.3部とを、シクロヘキサノンとメチルエチルケトンとを質量比で10:90で混合した液80部に添加して十分撹拌し、非ラミネート層塗工液A’−2を調製した。
【0142】
実施例A1において、非ラミネート層塗工液A−1の代わりに非ラミネート層塗工液A’−2を用いて膜厚t’2:1μm(t’2は式(2)を満たさない)の非ラミネート層を形成して得られた電子写真用ラミネートフィルム2’を用いた以外は、実施例A1と同様にして画像記録体2’および情報記録媒体2’を作製した。
なお、この電子写真用ラミネートフィルム2’の非ラミネート層表面を実施例A1と同様にして光学顕微鏡により観察したところ、微粒子の脱落はないが、微粒子が凝集して、埋没していることが確認された。
また、非ラミネート層表面の100μm×100μm平方のエリア内に存在する微粒子数(10枚平均値)n’2は80個/(100μm)2であり、式(3)を満たしていなかった。
実施例A1と同様にして評価した電子写真用ラミネートフィルム2’および情報記録媒体2’の評価結果を表1に示す。
【0143】
(比較例A3)
(非ラミネート層塗工液A’−3の調製)
ポリエステル樹脂(綜研化学社製、フォレットFF−4M、メチルエチルケトン溶液中の固形分30質量%)20部と、架橋型アクリル微粒子(綜研化学社製、MX800、体積平均粒径R’3:8μm、R’3は式(1)を満たさない)3部と、界面活性剤(日本油脂社製、エレガン264WAX)0.3部とを、シクロヘキサノンとメチルエチルケトンとを質量比で10:90で混合した液280部に添加して十分撹拌し、非ラミネート層塗工液A’−3を調製した。
【0144】
実施例A1において、非ラミネート層塗工液A−1の代わりに非ラミネート層塗工液A’−3を用いて膜厚t’3:0.05μm(t’3は式(2)を満たさない)の非ラミネート層を形成して得られた電子写真用ラミネートフィルム3’を用いた以外は、実施例A1と同様にして画像記録体3’および情報記録媒体3’を作製した。
なお、この電子写真用ラミネートフィルム3’の非ラミネート層表面を実施例A1と同様にして光学顕微鏡により観察したところ、微粒子の埋没、凝集はないが、微粒子が70%脱落していることが確認された。
また、非ラミネート層表面の100μm×100μm平方のエリア内に存在する微粒子数(10枚平均値)n’3は0.2個/(100μm)2であり、式(3)を満たしていなかった。
実施例A1と同様にして評価した電子写真用ラミネートフィルム3’および情報記録媒体3’の評価結果を表1に示す。
【0145】
(比較例A4)
(非ラミネート層塗工液A’−4の調製)
ポリエステル樹脂(綜研化学社製、フォレットFF−4M、メチルエチルケトン溶液中の固形分30質量%)20部と、架橋型アクリル微粒子(綜研化学社製、MX800、体積平均粒径R’4:8μm、R’4は式(1)を満たさない)0.05部と、界面活性剤(日本油脂社製、エレガン264WAX)0.3部とを、シクロヘキサノンとメチルエチルケトンとを質量比で10:90で混合した液30部に添加して十分撹拌し、非ラミネート層塗工液A’−4を調製した。
【0146】
実施例A1において、非ラミネート層塗工液A−1の代わりに非ラミネート層塗工液A’−4を用いて膜厚t’4:10μm(t’4は式(1)を満たさない)の非ラミネート層を形成して得られた電子写真用ラミネートフィルム4’を用いた以外は、実施例A1と同様にして画像記録体4’および情報記録媒体4’を作製した。
なお、この電子写真用ラミネートフィルム4’の非ラミネート層表面を実施例A1と同様にして光学顕微鏡により観察したところ、微粒子の脱落、凝集はないが、微粒子が埋没していることが確認された。
また、非ラミネート層表面の100μm×100μm平方のエリア内に存在する微粒子数(10枚平均値)n’4は0.7個/(100μm)2であり、式(3)を満たしていなかった。
実施例A1と同様にして評価した電子写真用ラミネートフィルム4’および情報記録媒体4’の評価結果を表1に示す。
【0147】
(実施例A8)
実施例A1において、非ラミネート層塗工液A−1の代わりに非ラミネート層塗工液A−7を用いて膜厚t8:1.0μm(t8は式(2)を満たす)の非ラミネート層を形成して得られた電子写真用ラミネートフィルム8を用いた以外は、実施例A1と同様にして画像記録体8および情報記録媒体8を作製した。
なお、この電子写真用ラミネートフィルム8の非ラミネート層表面を実施例A1と同様にして光学顕微鏡により観察したところ、微粒子の埋没がなく、微粒子が凝集していないが、微粒子の20%が脱落していることが確認された。また、非ラミネート層表面の100μm×100μm平方のエリア内に存在する微粒子数(10枚平均値)n8は2.0個/(100μm)2であり、式(3)を満たしていた。
実施例A1と同様にして評価した電子写真用ラミネートフィルム8および情報記録媒体8の評価結果を表1に示す。
【0148】
(実施例A9)
(非ラミネート層塗工液A−9の調製)
ポリエステル樹脂(綜研化学社製、フォレットFF−4M、メチルエチルケトン溶液中の固形分30質量%)20部と、架橋型アクリル微粒子(綜研化学社製、MX180、体積平均粒径R9:1.8μm、R9は式(1)を満たす)0.24部と、界面活性剤(日本油脂社製、エレガン264WAX)0.3部とを、シクロヘキサノンとメチルエチルケトンとを質量比で10:90で混合した液80部に添加して十分撹拌し、非ラミネート層塗工液A−9を調製した。
【0149】
実施例A1において、非ラミネート層塗工液A−1の代わりに非ラミネート層塗工液A−9を用いて膜厚t9:1.4μm(t9は式(2)を満たす)の非ラミネート層を形成して得られた電子写真用ラミネートフィルム9を用いた以外は、実施例A1と同様にして画像記録体9および情報記録媒体9を作製した。
なお、この電子写真用ラミネートフィルム9の非ラミネート層表面を実施例A1と同様にして光学顕微鏡により観察したところ、微粒子の脱落、埋没がなく、微粒子が凝集していないことが確認された。
また、非ラミネート層表面の100μm×100μm平方のエリア内に存在する微粒子数(10枚平均値)n9は25個/(100μm)2であり、式(3)を満たしていた。しかし、n(=25)が35/R(=19.4)を越えていたため非ラミネート層が白っぽくなり、情報記録媒体9の画像が濁って見えた。
実施例A1と同様にして評価した電子写真用ラミネートフィルム9および情報記録媒体9の評価結果を表1に示す。
【0150】
【表1】

【0151】
−電子写真用ラミネートフィルムおよびこれを用いて作製した第2の態様の情報記録媒体の評価−
(実施例B1)
電子写真用ラミネートフィルム(電子写真用ラミネートフィルム1)及びこれを用いた情報記録媒体を以下の手順で製造した。
【0152】
<電子写真用ラミネートフィルムの作製>
(非ラミネート層塗工液A−1の調製)
ポリエステル樹脂(綜研化学社製、フォレット4M、固形分30質量%)20部と、架橋型アクリル微粒子(綜研化学社製、MX300、体積平均粒径R1:3μm、R1は式(1)を満たす)0.6部と、帯電制御剤(日本油脂社製、エレガン264WAX)0.3部とを、シクロヘキサノンとメチルエチルケトンとを質量比で10:90で混合した液80部に添加して十分撹拌し非ラミネート層塗工液A−1を調製した。
【0153】
(離型層塗工液1の調製)
有機シラン縮合物、メラミン樹脂、アルキド樹脂を含むシリコーンハードコート剤(GE東芝シリコーン社製、SHC900、固形分30質量%)20部を、シクロヘキサノンとメチルエチルケトンとを質量比で10:90で混合した液30部に添加して十分撹拌し離型層塗工液1を調製した。
【0154】
(ラミネート層塗工液B−1の調製)
ポリエステル樹脂(東洋紡績社製、バイロン200)20部と、架橋型アクリル微粒子(綜研化学社製、MX−500、体積平均粒径:5μm)1部と、帯電制御剤(日本油脂社製、エレガン264WAX)0.6部とを、シクロヘキサノンとメチルエチルケトンとを質量比で10:90で混合した液80部に添加して十分撹拌しラミネート層塗工液B−1を調製した。
【0155】
<電子写真用再転写フィルム1の作製>
基材としてPETフィルム(東レ社製、ルミラー100T60、厚み:100μm)を用い、この基材の片面に前記非ラミネート層塗工液A−1をワイヤーバーを用いて塗布し、120℃で30秒乾燥させ、膜厚t1:0.2μm(t1は式(2)を満たす)のラミネート層を形成した。次に、この基材のもう一方の面(未処理面)に、前記離型層塗工液1をワイヤーバーを用いて同様に塗布し、120℃で30秒乾燥させ、膜厚1μmの離型層を形成した。この離型層上に、前記ラミネート層塗工液B−1をワイヤーバーを用いて塗布し、120℃で60秒乾燥させ、膜厚10μmのラミネート層を形成した。その後A4サイズ(210mm×297mm)にカットして電子写真用再転写フィルム1を作製した。
なお、この電子写真用ラミネートフィルム1の非ラミネート層面を実施例A1と同様に光学顕微鏡により観察したところ、微粒子の脱落、埋没がなく、微粒子が凝集していないことが確認された。
また、非ラミネート層表面の100μm×100μm平方のエリア内に存在する微粒子数(10枚平均値)n1は3.5個/(100μm)2であり、式(3)を満たしていた。
実施例A1と同様に評価した電子写真用ラミネートフィルム1および下記情報記録媒体1の評価結果を表2に示す。
【0156】
(画像記録体の作製)
次に、上記ラミネートフィルム1のラミネート層表面に、富士ゼロックス(株)社製カラー複写機DocuColor1255CP改造機(定着時の再転写フィルムの表面温度が、95〜100℃の範囲になるように改造したもの)でベタ画像を含むカラーの鏡像画像をA4サイズ1枚にカードサイズの画像を9面形成した画像記録体1−Uと、同様に文字情報だけの鏡像文字を9面形成した画像記録体1−Dを作製した。
【0157】
<カード用コア基材シートの作製>
(カード用コア基材シート1の作製)
白色PETG原反シート(三菱樹脂化学社製:ディアフィックスWHI、総厚み:760μm)をA4サイズ(210mm×297mm)にカットしてカード用コア基材シート1を作製した。
【0158】
<情報記録媒体の作製>
カード用コア基材シート1の片面に、前記画像記録体1−Uの画像形成面を、もう片面に前記画像記録体1−Dの画像形成面を各フィルムの四隅の位置が合うようにして重ね合わせ、さらにこれら3枚の基材を重ね合わせたものの両側を、押し当て面が鏡面仕様でSUS鋼板製の1組の押し当て板材により挟んで重ね合わせた。
上記位置決め、重ね合わせを行った積層物(押し当て板材/画像記録体1−U/カード用コア基材シート1/画像記録体1−D/押し当て板材)を、大気圧下で、上下の押し当て板材の温度を110℃、圧力10kgf/cm2にて、30秒間で熱プレスすることによりラミネートし、室温まで冷却したあと、押し当て板材を取り外し、第1の態様の情報記録媒体と同様の層構成を有する積層体を得た。
この積層体について、その両面における空気溜り痕(剥離工程前のディンプル模様状の空気溜り痕)を実施例A1と同様に評価した。
次に、この積層体を構成する画像記録体1−Uおよび画像記録体1−Dそれぞれの基材とラミネート層との界面を剥離して、情報記録媒体1(第2の態様の情報記録媒体)を得た。以上の作業を10回繰り返し、合計10枚の情報記録媒体1を得た。
【0159】
<(剥離工程を経て得られた)情報記録媒体表面の空気溜り痕評価>
10枚の情報記録媒体1について、情報記録媒体両面における空気溜り痕(ディンプル模様状の空気溜り痕)を、下記基準にて評価した。
◎:10枚の各々の表面、裏面の目視観察で、空気溜り痕の平均個数が0個。
○:10枚の各々の表面、裏面の目視観察で、空気溜り痕の平均個数が0個を超え、3個未満。
×:10枚の各々の表面、裏面の目視観察で、空気溜り痕の平均個数が3個以上。
【0160】
<(剥離工程を経て得られた)情報記録媒体の仕上がり光沢度評価>
10枚の情報記録媒体1について光沢度を、下記基準にて評価した。なお、光沢度は、グロスメーター(村上色彩技術研究所社製:MODEL GM−26D FOR 75°)を用いて75°鏡面反射率を求めた。
◎:10枚の各々の表面、裏面の面内9点(9面付けカード位置の中心点)の光沢度測定で、75°鏡面反射率の平均値が95%以上。
○:10枚の各々の表面、裏面の面内9点(9面付けカード位置の中心点)の光沢度測定で、75°鏡面反射率の平均値が40%以上、95%未満。
△:10枚の各々の表面、裏面の面内9点(9面付けカード位置の中心点)の光沢度測定で、75°鏡面反射率の平均値が40%未満。
以上の各種評価結果を、表2に示す。
【0161】
(比較例B1)
(非ラミネート層塗工液A’−1の調製)
ポリエステル樹脂(綜研化学社製、フォレット4M、固形分30質量%)20部と、架橋型アクリル微粒子(綜研化学社製、MX1000、体積平均粒径R’1:10μm、R’1は式(1)を満たさない)0.06部と、帯電制御剤(日本油脂社製、エレガン264WAX)0.3部とを、シクロヘキサノンとメチルエチルケトンとを質量比で10:90で混合した液130部に添加して十分撹拌し非ラミネート層塗工液A’−1を調製した。
【0162】
実施例B1において、非ラミネート層塗工液A−1の代わりに非ラミネート層塗工液A’−1を用いて膜厚t’1:2μm(t’1は式(2)を満たす)の非ラミネート層を形成して得られた電子写真用ラミネートフィルム1’を用いた以外は、実施例B1と同様にして画像記録体1’および情報記録媒体1’を作製した。
なお、この電子写真用ラミネートフィルム1’の非ラミネート層面を実施例B1と同様にして光学顕微鏡により観察したところ、微粒子の脱落はないが、微粒子が凝集して、埋没していることが確認された。
非ラミネート層表面の100μm×100μm平方のエリア内に存在する微粒子数(10枚平均値)n’1は0.7個/(100μm)2であり、式(3)を満たしていなかった。
実施例B1と同様にして評価した電子写真用ラミネートフィルム1’および情報記録媒体1’の評価結果を表2に示す。
【0163】
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0164】
【図1】本発明の電子写真用ラミネートフィルムの一例を示す模式断面図である。
【図2】本発明の情報記録媒体の一例を示す模式断面図である。
【図3】本発明の電子写真用ラミネートフィルムの他の例を示す模式断面図である。
【図4】本発明の情報記録媒体の他の例を示す模式断面図である。
【符号の説明】
【0165】
10 基材
11 PET樹脂層
12 PETG樹脂層
20 基材
21 PET樹脂層
22 離型性を有する樹脂層(離型層)
30 非ラミネート層
40 微粒子
50 ラミネート層
60 微粒子
101、102 電子写真用ラミネートフィルム
110 コア基材
201、202 情報記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、該基材の片面に設けられたラミネート層と、前記基材のもう一方の片面に設けられた非ラミネート層とを有する電子写真用ラミネートフィルムにおいて、
前記非ラミネート層が、少なくとも樹脂と微粒子とを含有し、且つ、下式(1)〜下式(3)を満たすことを特徴とする電子写真用ラミネートフィルム。
・式(1) 1.5≦R≦5
・式(2) 0.1≦t<R
・式(3) 7/R≦n
〔但し、式(1)〜式(3)中、Rは前記微粒子の体積平均粒子径(μm)、tは前記非ラミネート層の膜厚、nは前記非ラミネート層中に含まれる前記微粒子の前記基材平面方向10000平方μm当たりの個数(個/(100μm)2)を表す。〕
【請求項2】
カード用コア基材シートと、該カード用コア基材シートの少なくとも片面に接合され、前記カード用コア基材側の面にトナー画像が記録形成されたラミネート層とを含み、
基材と、該基材の片面に設けられた前記ラミネート層と、前記基材のもう一方の片面に設けられた非ラミネート層とを有し、前記ラミネート層表面に電子写真法を利用して前記トナー画像が記録形成された画像記録体の前記ラミネート層側の面と、前記カード用コア基材シートの少なくとも片面とを加熱圧着によりラミネートするラミネート工程を少なくとも経て製造される情報記録媒体において、
前記非ラミネート層が、少なくとも樹脂と微粒子とを含有し、且つ、下式(4)〜下式(6)を満たすことを特徴とする情報記録媒体。
・式(4) 1.5≦R≦5
・式(5) 0.1≦t<R
・式(6) 7/R≦n
〔但し、式(4)〜式(6)中、Rは前記微粒子の体積平均粒子径(μm)、tは前記非ラミネート層の膜厚、nは前記非ラミネート層中に含まれる前記微粒子の前記基材平面方向10000平方μm当たりの個数(個/(100μm)2)を表す。〕
【請求項3】
基材と、該基材の片面に設けられたラミネート層と、前記基材のもう一方の片面に設けられた非ラミネート層とを有する電子写真用ラミネートフィルムの前記ラミネート層表面に電子写真法を利用してトナー画像が記録形成された画像記録体の前記ラミネート層側の面と、カード用コア基材シートの少なくとも片面とを加熱圧着によりラミネートするラミネート工程を少なくとも経て、情報記録媒体を製造する情報記録媒体製造方法において、
前記非ラミネート層が、少なくとも樹脂と微粒子とを含有し、且つ、下式(7)〜下式(9)を満たすことを特徴とする情報記録媒体の製造方法。
・式(7) 1.5≦R≦5
・式(8) 0.1≦t<R
・式(9) 7/R≦n
〔但し、式(7)〜式(9)中、Rは前記微粒子の体積平均粒子径(μm)、tは前記非ラミネート層の膜厚、nは前記非ラミネート層中に含まれる前記微粒子の前記基材平面方向10000平方μm当たりの個数(個/(100μm)2)を表す。〕

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−11024(P2007−11024A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−192178(P2005−192178)
【出願日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】